JP4213976B2 - 消臭繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩および亜鉛塩を有する消臭繊維または消臭繊維製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル酸等のアルカリ金属塩または他の金属塩を繊維等の高分子物質にグラフト重合して、高分子物質に親水性、吸水性、染色性を付与したり、帯電性を防止したりする技術はよく知られている。
【0003】
また、銀・銅などの金属化合物に消臭性能があることは古くから知られている。例えば、アクリル酸などの高分子化合物と金属により錯体を形成させたものを消臭物質として用いる方法が特許文献1に記載されているが、金属として銅を用いるため、高分子化合物が青色または緑色に着色し、衣料素材への適用が限定される。衣料分野においては水溶液の状態でイオンの色が無色、またはその金属を繊維に導入しても繊維が変色しないことが望まれる。
【0004】
また、2種類以上の塩を組み合わせて導入することにより、上記高分子物質に種々の実用的な性能を付与する技術はあまり成功していない。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−122022号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維または繊維製品に硫化水素やメチルメルカプタンなどのチオール基を含む化合物に対する消臭性能を付与する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩と酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩とがモル比として5:95〜95:5の割合でグラフト重合されている消臭繊維または消臭繊維製品に関する。
本発明は、特に、グラフト重合した酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩と、酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩の繊維または繊維製品に対する重量比として表したグラフト率が1〜40%である上記の消臭繊維または消臭繊維製品に関する。
【0008】
また、本発明は、酸基含有ビニルモノマーがグラフト重合された繊維または繊維製品を、(a)アルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを含む水溶液および(b)亜鉛イオンを含む水溶液で逐次または同時に処理して酸基の一部または全部をアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩および亜鉛塩とする上記の消臭繊維または消臭繊維製品の製造方法に関する。
【0009】
更に、また、本発明は、繊維または繊維製品の存在下で酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩の混合モノマーを重合して、繊維または繊維製品に酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩をグラフト重合する上記酸基含有ビニルモノマー消臭繊維または消臭繊維製品の製造方法に関する。
【0010】
なお、本発明において「酸基含有ビニルモノマー」とはカルボキシル基および/またはスルホン酸基を含有するビニルモノマーを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の消臭繊維または消臭繊維製品は、繊維または繊維製品にグラフト重合された酸基含有ビニルモノマーの一部または全部がアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属、および亜鉛によって塩の構造をとっているものであり、本発明の消臭繊維または消臭繊維製品は、硫化水素やメチルメルカプタンなどのチオール基を含む化合物に対し優れた消臭性能を有する。
【0012】
本発明の消臭繊維または消臭繊維製品においては、グラフト重合している酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩と酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩とが、モル比として5:95〜95:5であることが要求される。好ましくはこの比はアルカリ金属と亜鉛の組み合わせの場合20:80〜95:5であり、アルカリ土類金属と亜鉛の組み合わせの場合10:90〜90:10である。アルカリ金属とアルカリ土類金属の両方を含む場合はこれらの塩と亜鉛塩との好ましいモル比は10:90〜90:10である。
【0013】
また酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩両方の合計グラフト率は、1〜40%であることが好ましい。より好ましくは5〜20%である。グラフト率が小さいと消臭効果が低くなり、グラフト率が多いと繊維本来の風合いが損なわれてしまう。
【0014】
本発明でグラフト率とは、グラフト化されている繊維または繊維製品の重量に対するグラフト成分の重量比を意味する。
【0015】
しかし、本発明では、主たるグラフト成分は酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩であるが、グラフト成分には消臭繊維または消臭繊維製品としての本発明の特徴が損なわれない範囲で、上記2種の塩以外に他の成分、例えば遊離の酸基含有ビニルモノマー、酸基含有ビニルモノマーのエステルやアミド、酸基含有ビニルモノマーの他の塩等が含まれてもよい。
【0016】
酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属塩を形成するアルカリ金属は、特に限定しないがナトリウム、カリウム、リチウムから選ばれる。消臭性能および価格の面からナトリウム、カリウムが特に好ましい。酸基含有ビニルモノマーのアルカリ土類金属塩を形成するアルカリ土類金属は特に限定しないがカルシウム、マグネシウムから選ばれる。
【0017】
グラフト処理される本発明でいう繊維または繊維製品とは、糸状または綿塊状繊維物質、および繊維からなる織布、編物、不織布等の布帛、更に紙をいう。
【0018】
繊維には、合成繊維のほかセルロース系繊維、動物性繊維等の天然繊維、またはこれらの混合繊維も含まれる。セルロース系繊維には、綿、麻等の天然セルロース系繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニア法レーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維、テンセル等の精製セルロース繊維、アセテート、ジアセテート等の半合成繊維が含まれるが、これらに限定されるものではない。鉱物系繊維には、石綿、玄武岩繊維等が含まれるが、これらに限定されるものではない。動物質繊維には、羊毛等の獣毛繊維、絹等が含まれるが、これらに限定されるものではない。また合成繊維にはポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、ポリビニルアルコール系、フッ素系等が含まれるが、これらに限定されるものではない。再生繊維には、キチン・キトサン繊維、コラーゲン繊維などが含まれるがこれに限定されるものではない。またセルロース系繊維は、精練を施していない原糸や生機、精練後、漂白後、苛性シルケット処理後、アンモニアシルケット後、染色後のいずれの状態でもよい。
【0019】
本発明の消臭繊維または消臭繊維製品を製造する方法としては、(1)酸基含有ビニルモノマーをグラフト重合した繊維または繊維製品にアルカリ金属、アルカリ土類金属、および亜鉛を含む化合物を作用させて酸基をそれらの塩に変換する方法、(2)反応性ビニルモノマーを繊維または繊維製品にグラフト重合後に該モノマーに酸基を導入し、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および亜鉛を含む化合物を作用させて酸基をそれらの塩に変換する方法、および(3)酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および亜鉛塩を直接繊維または繊維製品にグラフト重合する方法、のいずれの方法を用いてもよい。
【0020】
なお、本発明において上記「反応性ビニルモノマー」とは、例えば、分子内にエポキシ基を含有するグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のモノマーのことである。例えば上記のようなエポキシ基を含有する反応性ビニルモノマーの場合は、イミノジ酢酸等の酸基を含有する化合物との反応によりカルボキシル基を導入することができる。
【0021】
第1の方法においては、アルカリ金属、アルカリ土類金属および亜鉛を水溶性の化合物として用い、この水溶液に繊維または繊維製品を浸漬することが好ましい。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水溶性化合物としては水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化塩などが利用できる。亜鉛の水溶性化合物としては酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが利用できる。
【0022】
第1の方法の場合、アルカリ金属含有化合物および/またはアルカリ土類金属含有化合物と亜鉛含有化合物とを含む水溶液を用いてアルカリ金属塩化および/またはアルカリ土類金属塩化と亜鉛塩化を同時に行ってもよいし、アルカリ金属含有化合物および/またはアルカリ土類金属含有化合物と亜鉛含有化合物の一方を用いてまずどちらかの塩を形成し、次いで他方の金属含有化合物によってもう一つの塩を形成する逐次処理によってもよい。
【0023】
塩形成反応は室温でも進行するが、50℃から80℃に加温すると効率よく進めることができる。
【0024】
上記第1の方法で出発物質として使用する酸基含有ビニルモノマーの消臭繊維または消臭繊維製品の製法は特に限定されるものでなく、例えば次のような公知の方法で製造することができる。
【0025】
第1は繊維または繊維製品の存在で酸基含有ビニルモノマーを溶液重合または乳化重合する方法であり、それぞれ適当な重合開始剤を用いて行うことができる。
【0026】
第2の方法は、電子線照射を利用することにより可能となる。
【0027】
電子線照射による方法は、従来から知られている方法を使用すればよく、例えば特開2001−254264号公報に記載されている方法に準じて、繊維または繊維製品に電子線を照射して、繊維または繊維製品を活性化し、次いでこの繊維または繊維製品を脱酸素条件で酸基含有ビニルモノマーを含む液に接触させることによって酸基含有ビニルモノマーをグラフト重合させることができる。または、繊維または繊維製品を酸基含有ビニルモノマーを含む液に接触させた後に、電子線を照射してグラフト重合してもよい。
【0028】
酸基含有ビニルモノマーを電子線照射法により繊維または繊維製品にグラフト重合する方法では、繊維または繊維製品を電子線処理する電子線の強さ、電子線照射するときの雰囲気中の酸素濃度、電子線照射後の繊維または繊維製品に、酸基含有ビニルモノマーを接触してグラフト重合するときの繊維または繊維製品に対する酸基含有ビニルモノマーの割合によって、酸基含有ビニルモノマーのグラフト率を制御することができる。
【0029】
酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩および亜鉛塩を、繊維または繊維製品に直接グラフト重合する消臭繊維または消臭繊維製品の第3の製造方法においても、酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩および亜鉛塩を繊維または繊維製品に同時にグラフト重合してもよいし、またはそれぞれの金属塩を逐次グラフト重合してもよい。いずれにしてもグラフト重合は該酸の金属塩および重合開始剤を含む水溶液に繊維または繊維製品を浸漬し、酸素を除去した状態で加熱することにより繊維または繊維製品へのグラフト重合を開始することができる。
【0030】
なお、あらかじめ電子線照射法などにより繊維または繊維製品に開始剤の代わりとなるラジカルを生成させた場合は開始剤の必要はない。
【0031】
この重合においては、繊維または繊維製品に作用させる水溶液中のモノマー濃度は、酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属塩については0.1〜10重量%、酸基含有ビニルモノマーのアルカリ土類金属塩については0.1〜10重量%、および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩については0.1〜10重量%が好ましい。また繊維または繊維製品に対するモノマーの仕込み量は、所望の範囲のグラフト率が得られるように適宜調製すればよく、繊維または繊維製品100重量部に対して酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属塩については1〜50重量部、または酸基含有ビニルモノマーのアルカリ土類金属塩については1〜50重量部、および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩については1〜50重量部となるように使用するとよい。
【0032】
使用する重合開始剤は2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、過硫酸カリウム等の水溶性のものを使用する。
【0033】
本発明による消臭繊維または消臭繊維製品は、空気中に存在する硫化水素や、メチルメルカプタンなどのチオール基を含む化合物に対し、優れた消臭性能を備えている。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明する。これらの実施例は、特許請求の範囲に示された本発明の範囲を制限するものではない。
【0035】
実施例 1
綿100%織物生地(番手:経糸22.5×緯糸22.5番手、密度:経63本/インチ、緯58本/インチ)の電子線グラフト重合を行った。まず生地を脱気して、脱酸素状態で30KGy照射した。次いで、予め脱気、窒素置換(酸素濃度1%以下)したアクリル酸5%を含む水溶液(100mL)(アクリル酸5重量部を含有)を処理槽内に満たし、電子線照射した生地(5重量部)を浸漬した。処理槽内の温度を50℃まで徐々に昇温し、脱酸素状態で30分間処理した。グラフト重合した生地を取り出し、水で洗浄し、乾燥してグラフト率10%のアクリル酸グラフト加工生地を得た。
【0036】
続いてアクリル酸グラフト加工生地を60℃の水酸化ナトリウム1%水溶液に1時間浸漬し、その後60℃の酢酸亜鉛二水和物1%水溶液に1時間浸漬した。処理した生地を水で洗浄し、乾燥してアクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸亜鉛がグラフトされた生地を得た。
【0037】
繊維に導入されたナトリウムと亜鉛は、モル比が90:10であった。
【0038】
この生地を用いて、以下に示す消臭試験を行った。消臭結果を表1に示す。
消臭試験の方法
消臭試験の方法は、処理生地1gを1リットルのテドラーバッグ(ガス分析サンプリングバッグ)に入れ、そのあと35ppmに調整した硫化水素ガスを入れた。生地を入れないテドラーバッグも硫化水素で満たす。硫化水素を入れて1時間後および2時間後にテドラーバッグ中の硫化水素濃度をガス検知管により測定した。消臭率(%)は[(生地を入れていないテドラーバッグ中の硫化水素濃度−処理生地を入れたテドラーバッグ中の硫化水素濃度)/生地を入れていないテドラーバッグ中の硫化水素濃度]×100により求めた。
【0039】
比較例 1
酢酸亜鉛二水和物1%水溶液で処理しない以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験を行った。消臭結果を表1に示す。
【0040】
比較例 2
水酸化ナトリウム1%水溶液で処理しない以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験を行った。消臭結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
以下に示す比較例3〜8で用いた金属は水溶液自体無色であり、かつ加工後も着色しないものを選んだ。これらは安全性の点でも問題が少ないものである。
【0043】
比較例 3
酢酸亜鉛二水和物の代わりに酢酸ランタン水和物で処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0044】
比較例 4
酢酸亜鉛二水和物の代わりに酢酸イッテリビウム水和物で処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0045】
比較例 5
酢酸亜鉛二水和物の代わりに酢酸サマリウム水和物で処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0046】
比較例 6
酢酸亜鉛二水和物の代わりに酢酸イットリウム水和物で処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0047】
比較例 7
酢酸亜鉛二水和物の代わりに酢酸ネオジウム水和物で処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0048】
比較例 8
酢酸亜鉛二水和物の代わりに硫酸アルミニウムで処理する以外は実施例1と同様に処理した生地を用いて消臭試験した。消臭結果を表2に示す。
【0049】
実施例 2
実施例1で作成したグラフト生地を用いて60℃の水酸化カリウム1%水溶液に1時間浸漬し、その後60℃の酢酸亜鉛二水和物1%水溶液に1時間浸漬した。処理した生地を洗浄乾燥してアクリル酸カリウムおよびアクリル酸亜鉛がグラフトされた生地を得た。繊維に導入されたカリウムと亜鉛は、モル比が80:10であった。この生地を用いて、以下に示す消臭試験を行った。消臭結果を表2に示す。
【0050】
実施例 3
実施例1で作成したグラフト生地を用いて60℃の塩化カルシウム1%、酢酸亜鉛二水和物1%水溶液に1時間浸漬した。処理した生地を洗浄乾燥してアクリル酸カルシウムおよびアクリル酸亜鉛がグラフトされた生地を得た。繊維に導入されたカルシウムと亜鉛は、モル比が40:60であった。この生地を用いて、以下に示す消臭試験を行った。消臭結果を表2に示す。
【0051】
実施例 4
実施例1で作成したグラフト生地を用いて60℃の酢酸ナトリウム1%、酢酸亜鉛二水和物1%水溶液に1時間浸漬した。処理した生地を洗浄乾燥してアクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸亜鉛がグラフトされた生地を得た。繊維に導入されたナトリウムと亜鉛は、モル比が40:60であった。この生地を用いて、以下に示す消臭試験を行った。消臭結果を表2に示す。またこの処理生地を用いて硫化水素と同様の方法でメチルメルカプタン消臭率を測定したところ、2時間で60%であった(初期濃度8ppm)。
【0052】
実施例 5
あらかじめ電子線を30kGy照射した実施例1記載の綿100%生地(5重量部)を、50℃のアクリル酸ナトリウム2%およびアクリル酸亜鉛2.2%を含む水溶液(100mL)(アクリル酸ナトリウム2重量部、アクリル酸亜鉛2.2重量部含有)に1時間浸漬した。処理した生地を水で洗浄し、乾燥してアクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸亜鉛がグラフト重合された生地を得た。グラフト率は7%であった。繊維に導入されたナトリウムと亜鉛は、モル比が20:80であった。この生地を用いて、以下に示す消臭試験を行った。消臭結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩と、酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩とが特定の割合でグラフト重合されている本発明の消臭繊維または消臭繊維製品は、硫化水素やメチルメルカプタンなどのチオール基を含む臭気性の高い化合物に対する優れた消臭剤としての広い用途が期待される。
Claims (3)
- 酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩と酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩とが、モル比として5:95〜95:5の割合でセルロース系繊維またはセルロース系繊維製品に導入されており、セルロース系繊維またはセルロース系繊維製品に導入された酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩、および酸基含有ビニルモノマーの亜鉛塩のセルロース系繊維またはセルロース系繊維製品に対する重量比として表したグラフト率が、5〜20%である消臭セルロース系繊維または消臭セルロース系繊維製品。
- 酸基含有ビニルモノマーが、予め酸基を有する酸基含有ビニルモノマーをセルロース系繊維またはセルロース系繊維製品にグラフト重合するか、または反応性ビニルモノマーをセルロース系繊維またはセルロース系繊維製品にグラフト重合した後に該モノマーに酸基を導入することによって導入されてなる、請求項1に記載の消臭セルロース系繊維または消臭セルロース系繊維製品。
- 酸基含有ビニルモノマーが電子線照射を利用して導入される、請求項2に記載の消臭セルロース系繊維または消臭セルロース系繊維製品。
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