JPH11158523A - 溶銑脱硫剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】高脱硫性能、高安全性及び非腐食性のバランス
に優れた溶銑脱硫剤を提供すること。 【解決手段】ＣａＯ３０〜９５重量％、ＣａＣＮ₂ ５〜
７０重量％、及び各種金属の酸化物、水酸化物、フッ化
物、炭酸化物、炭化物、金属アルミニウム、金属マグネ
シウム及び炭素から選ばれた一種以上の無機質物質２５
重量％以下（０を含む）を含んでなることを特徴とする
溶銑脱硫剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高脱硫性能、高安
全性及び非腐食性のバランスに優れた溶銑脱硫剤に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、溶銑脱硫剤については、主として
カルシウムカ−バイド系、石灰系、ソ−ダ灰系のものが
実用化されているが、いずれも一長一短がある。

【０００３】カルシウムカ−バイド系脱硫剤は、強力な
脱硫性能を有しているが、脱硫スラグの後処理において
アセチレンガスが発生する等の安全性に問題がある。ま
た、高価であり、危険物であるので取扱に制約を受け
る。

【０００４】石灰系脱硫剤は、安価であるが、高脱硫を
行うには多量添加する必要があり、スラグの発生量が多
くなる。また、脱硫剤を添加した後に溶銑温度が著しく
低下するので、金属アルミニウムや金属マグネシウム等
の高価な昇温剤を加えたり、あるいは石灰の融点が高い
ので、蛍石等の融点降下剤を添加しなければならない。

【０００５】ソ−ダ灰系脱硫剤も比較的安価ではある
が、高アルカリ性であるので炉の耐火物を損傷させる危
険が大きい。また、排ガスに混入したＮａの除去処理が
必要となり、更にはＮａ₂Ｏ含有の高いスラグが発生す
るので、セメント原料等の再利用を行うには限度があっ
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
てなされたものであり、高脱硫性能、非腐食性、脱硫ス
ラグ処理時の高安全性のバランスに優れた溶銑脱硫処理
を行うことのできる脱硫剤を提供することを目的とする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、Ｃ
ａＯ３０〜９５重量％、ＣａＣＮ₂ ５〜７０重量％、及
び各種金属の酸化物、水酸化物、フッ化物、炭酸化物、
炭化物、金属アルミニウム、金属マグネシウム及び炭素
から選ばれた一種以上の無機質物質２５重量％以下（０
を含む）を含んでなることを特徴とする溶銑脱硫剤であ
る。

【０００８】

【発明の実施の態様】以下、更に詳しく本発明を説明す
る。

【０００９】本発明の溶銑脱硫剤において、ＣａＣＮ₂
が５重量％未満であるか、またはＣａＯが９５重量％を
超えると、脱硫剤の溶融性等が悪化し、高脱硫率を達成
することができなくなる。また、ＣａＣＮ₂ が７０重量
％を超えるか、またはＣａＯが３０重量％未満である
と、脱硫剤の分散性等が悪化し、高脱硫率を達成するこ
とができなくなる。好ましくはＣａＯ４５〜８０重量
％、ＣａＣＮ₂ ２０〜５５重量％である。

【００１０】ＣａＣＮ₂としては、合成カルシウムシア
ナミド、市販の工業用カルシウムシアナミド、石灰窒素
等を使用することができる。石灰窒素を用いて本発明の
脱硫剤を調整する場合は、その組成がＣａＣＮ₂ ４５〜
７５重量％、ＣａＯ１０〜２５重量％、炭素１０〜１５
重量％程度であることを考慮して行われる。

【００１１】本発明の溶銑脱硫剤においては、２５重量
％以下（０を含む）の範囲内で、各種金属の酸化物、水
酸化物、フッ化物、炭酸化物、炭化物、金属アルミニウ
ム、金属マグネシウム及び炭素から選ばれた一種以上の
無機質物質を含ませることができる。各種金属の種類と
しては、Ｎａ、Ｋ、Ｍｇ、Ｃａ、Ｍｎ、Ｆｅ、Ａｌ、Ｓ
ｉ等である。

【００１２】本発明において、好適な無機質物質の成分
は、Ａｌ、Ｍｇ、Ｃ、ＣａＦ₂ 、Ｆｅ₂ Ｏ₃ 、Ｓｉ
Ｏ₂ 、Ａｌ₂ Ｏ₃ 、ＣａＣＯ₃ 、Ｎａ₂ ＣＯ₃ 、ＣａＣ
₂ である。これらの成分を含む物質として、蛍石、ドロ
マイト、アルミ精錬滓、ジアミド石灰、ボ−キサイト、
ミルスケ−ル、カルシウムカ−バイド等がある。

【００１３】これらの無機質物質において、主に、Ａ
ｌ、Ｍｇ、Ｃは昇温還元剤、ＣａＦ₂は融点降下剤、Ｆ
ｅ₂ Ｏ₃ 、ＳｉＯ₂ 、Ａｌ₂ Ｏ₃ はスラグ調整剤、Ｃａ
ＣＯ₃は分散剤、Ｎａ₂ ＣＯ₃ 、ＣａＣ₂ は脱硫強化剤
として機能する。

【００１４】本発明の溶銑脱硫剤の粒度は細かい程良
く、１０ｍｍ以下であることが望ましい。

【００１５】

【実施例】以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に
本発明を説明する。

【００１６】実施例１〜１８ 比較例１〜７ 合成カルシウムシアナミド（ＣａＣＮ₂ ：９８％、粒
度：１ｍｍ以下）、酸化カルシウム（市販品、ＣａＯ：
９９％、粒度：１ｍｍ以下）、蛍石（市販品、Ｃａ
Ｆ₂ ：９５％、粒度：１ｍｍ以下）、ソ−ダ灰（市販
品、Ｎａ₂ ＣＯ₃ ：９９％、粒度：１ｍｍ以下）、炭酸
カルシウム（市販品、ＣａＣＯ₃ ：９５％、粒度：１ｍ
ｍ以下）、カルシウムカ−バイド（市販品、ＣａＣ₂ ：
８０％、ＣａＯ：１５％、粒度：１ｍｍ以下）、黒鉛
（市販品、Ｃ：９８％、粒度：１ｍｍ以下）、金属マグ
ネシウム（市販品、Ｍｇ：９９％、粒度：１ｍｍ以
下）、酸化アルミニウム（市販品、Ａｌ₂ Ｏ₃ ：９９
％、粒度：１ｍｍ以下）を混合し、表１に示す組成の脱
硫剤を種々製造した。

【００１７】なお、合成カルシウムシアナミドはジシア
ンジアミド（市販品、（Ｈ₂ ＣＮ₂）₂ ：９８％）と炭
酸カルシウム（市販品、ＣａＣＯ₃ ：９８％）を１：１
で混合し、約１１００℃、１時間、窒素ガス雰囲気下で
熱処理をして合成し、１ｍｍ以下に整粒したものを使用
した。

【００１８】上記で製造された脱硫剤を、溶銑（温度１
４００℃）に対し０．３重量％をＮ ₂ ガスとともに１分
間吹き込んでから空吹きを２分間行って脱硫処理を行
い、次式に従って脱硫率を測定した。それらの結果を表
１に示す。

【００１９】脱硫率（％）＝（溶銑から除去された硫黄
の重量）×１００／（脱硫処理前の溶銑中の硫黄重量）

【００２０】また、耐火物の溶損状態の評価として、Ｎ
₂ 雰囲気において、溶銑（温度１４００℃）に対し２重
量％の脱硫剤を添加し、この中にアルミナ−シリカ質レ
ンガ（市販品、Ａｌ₂ Ｏ₃ ：８４％、ＳｉＯ₂ ：１３
％、サイズ：並型）を１時間浸漬後、断面の溶損深さ
（ｍｍ）を測定した。それらの結果を表１に示す。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】本発明による溶銑脱硫剤は、従来のカル
シウムカ−バイド系と遜色のない高脱硫性能を有し、し
かもソ−ダ分とカルシウムカ−バイド分は混入されてい
てもそれらは極少量であるので、脱硫スラグの後処理時
の安全性は損なわれることがない。また、炉の耐火物を
損傷させる危険も小さく、スラグの再利用も容易とな
る。すなわち、本発明によれば、高脱硫性能、高安全性
及び非腐食性のバランスに優れた溶銑脱硫剤が提供され
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＣａＯ３０〜９５重量％、ＣａＣＮ₂ ５
   〜７０重量％、及び各種金属の酸化物、水酸化物、フッ
   化物、炭酸化物、炭化物、金属アルミニウム、金属マグ
   ネシウム及び炭素から選ばれた一種以上の無機質物質２
   ５重量％以下（０を含む）を含んでなることを特徴とす
   る溶銑脱硫剤。