JPH11158366A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物Info
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Abstract
性を有するPPE系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)PPE系樹脂、(B) シンジオタクチック
スチレン系重合体および(C) ハイインパクトポリスチレ
ンを含む樹脂組成物。(A)10 〜90重量部に対して(B)90
〜10重量部、(A)+(C) 40重量部より多く95重量部以下に
対して(B) 5重量部以上60重量部未満が含まれる。
Description
ーテル(以下では、PPEと称することがある)系樹脂
を含有する樹脂組成物に関し、さらに詳しくは自動車用
部材、電気・電子用部材、家庭台所・浴室・建築用資
材、洗面所用品などの産業用または家庭用資材分野に於
いて耐薬品性を必要とするプラスチック用途に非常に有
用な前記樹脂組成物に関する。
のアモルファス構造特性により射出成形時、成形寸法精
度に優れているので、その特徴を生かし、大型成形品
や、組み立て精度等を必要とする産業分野に多く使用さ
れている。しかしながら、アモルファス構造がゆえに有
機薬品浸透性、即ち耐薬品性に劣り、オイル、有機溶媒
等に簡単に侵されるという欠点を有している。
り、耐薬品性に非常に優れ、多くのオイル、有機溶媒等
の触れる用途に使用されているが、成形冷却過程に結晶
化が進行する際、成形収縮現象が起きて成形寸法精度が
悪いので、大型成形品には適していない。それを改善す
る為、ガラス繊維等の無機フィラーなどを添加する試み
が行われているが、高比重化、延性衝撃強度の低下、又
は射出成形流動方向および流動垂直方向に於いて違った
収縮を示し、ソリや変形という欠陥を生じてしまう。
有する非晶性熱可塑性樹脂の代表であり、バランスのと
れた機械的性質と優れた電気的性質を有し、かつ吸水性
が低く寸法安定性も良好である。しかもポリフェニレン
エーテル樹脂は同じく非晶性熱可塑性樹脂のポリスチレ
ン樹脂と非常に良く相溶し、変性を行うことが簡単にで
きる。PPE系樹脂とスチレン系重合体とからなるその
樹脂組成物(以下では、PPE/PS樹脂組成物と称す
ることがある)は成形加工性および耐衝撃性にも優れる
(米国特許第3,383,435号明細書)ことから、
従来自動車用部材や電気・電子部材などに広く用いられ
ている。しかしながら、このPPE/PS樹脂組成物は
アモルファス樹脂であり、前述のように耐薬品性、特に
芳香族炭化水素系溶剤に対する耐性が十分ではなく、た
とえば溶剤が歪みが加えられている部位や成形残留歪み
のある部位に触れると、そこからクレーズや亀裂(クラ
ック)が発生し、部材の破断に至ってしまうケースがあ
る。そのため、その用途に制限が加えられているのが実
状であり、例えばワックス、機械油・エンジンオイル、
防錆剤、芳香剤などが付着する恐れのある自動車外装、
エンジンルーム部品、客室内インテリア;揩動用潤滑
油、グリース、クリーナーが付着する恐れのある事務機
器、コンピューター関連機器などの部品(例えば内部パ
ーツ、ファンモーターケース、プラスチックシャーシ
ー);サラダ油、天麩羅油、その他の有機溶媒の付着の
可能性のある家電、商業用電化製品部品;あるいは油
煙、有機ガスが立ち込めるような環境(例えば工場環
境、建築関連)で使用される電気電子機器の部品のよう
な用途には、適用が避けられている。これは、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂が非晶性であることに起因する本質
的な欠点であると考えられる。
みがなされているが、いまだにPPE/PS樹脂組成物
の特性をまったく損なわずに耐薬品性を向上させる技術
は得られていない。代表的な従来技術としては例えば、
PPE/PS樹脂組成物に、結晶性樹脂、例えばポリオ
レフィン、(たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、
EEA)、ポリエステル、ナイロン等;低分子量のオレ
フィン類(たとえば、ポリブテン、エチレンオリゴマ
ー、等);又はゴム状重合体(たとえばSEBS、SB
S,SEPSラバー等)を配合する方法が挙げられる。
しかしこの技術では、少量の添加により耐薬品性が若干
改善されるが、実用レベルの耐薬品性を発揮させる為添
加量を増やすと、従来PPE/PS樹脂組成物の持つ優
れた機械的強度、耐熱性、難燃性の低下を招くばかり
か、不十分な相溶性に起因する射出成形時の層状剥離現
象を引き起こしたり、成形時の寸法精度に欠陥を生じて
しまう。
晶性熱可塑性樹脂とをアロイ化する技術が盛んに行われ
ており、その代表としてポリフェニレンエーテル樹脂と
ナイロン樹脂とを、相溶化剤を用いて押出し時にアロイ
化したものが商品化されている。この技術はナイロンの
マトリックスの中にポリフェニレンエーテル樹脂を機械
的に微細に分散させ、その分散状態を相溶化剤により抑
制するものであり、非相溶型のアロイと呼ばれている。
すなわち、ポリフェニレンエーテル樹脂をナイロンマト
リックスにより覆うことによりポリフェニレンエーテル
樹脂の薬品浸透性を抑え、耐薬品性を改善するものであ
る。ナイロン側より見た場合、ナイロンにポリフェニレ
ンエーテル樹脂を分散させることにより、ナイロンの成
形時収縮からくる寸法安定性の悪さは、ポリフェニレン
エーテル樹脂の配合量の分だけ改善される。しかしなが
ら、この技術に於いては、ナイロンの結晶性からくる寸
法精度の改善効果は不十分である。
ル樹脂に完全相溶し、しかも耐薬品性を向上する新規技
術が待ち望まれてきた。
オタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体(以
下、シンジオタクチックスチレン系重合体と称する)が
開発商業化されるに至っている(特開昭62−1048
1号公報)。当然の結果として、このシンジオタクチッ
クスチレン系重合体をさまざまな樹脂と配合する試みも
なされている。
晶性を有すると共に、分子構造上はスチレン骨格を主体
にしている為、従来のアタクチック型スチレン系重合体
と同様、ポリフェニレンエーテル樹脂との相溶性も良好
と予測され、ポリフェニレンエーテル樹脂とシンジオタ
クチックなスチレン系重合体のブレンド組成物も知られ
ている。例えば特開平1−182344号公報、特開平
1−82350号公報、特開平2−64140号公報、
特開平02−92948号公報、特開平2−21872
4号公報、特開平3−126743号公報、特開平5−
86296号公報、特開平5−209098号公報、特
開平5−279530号公報、特開平6−93151号
公報、特開平6−93153号公報、特開平7−538
15号公報、特開平7−62175号公報、特開平7−
138433号公報、特開平7−292184号公報、
特開平7−331003号公報、特開平8−14369
9号公報、特開平8−311196号公報、特開平9−
52958号公報および特開平9−52959号公報な
どに開示されている。しかし、上記公報では、シンジオ
タクチックスチレン系重合体とポリフェニレンエーテル
樹脂をアロイ化するという単純なものが多く、耐薬品性
の改善とその組成相乗効果を明確にする具体的事例は少
ない。わずかに、特開平2−64140号公報、特開平
2−92948号公報、特開平9−52958号公報お
よび特開平9−52959号公報に、耐薬品性の改善が
記載されているにすぎない。これらの公報においては、
単にシンジオタクチックスチレン系重合体と添加型のゴ
ム状弾性体とをポリフェニレンエーテル樹脂に添加し、
結晶性成分を増加させることにより、耐薬品性を向上さ
せようとするものであり、アモルファスであるポリフェ
ニレンエーテル樹脂の特徴である寸法精度を保持するこ
とについては考慮されていないので、実用性に乏しい。
しかも、何れの場合も、溶剤中に成形試験片を浸漬し一
定時間後の外観を目視で評価するといった定量性の低い
溶剤浸漬法で耐薬品性を評価している。ところが、前述
したように、ポリフェニレンエーテル樹脂の使用環境を
考慮した場合、溶剤に常時浸漬または接触するような用
途は皆無である。自動車のエンジン周りや電気・電子機
器の駆動部周辺のように、使用時に何等かの要因で溶
剤、オイル等が付着し、特に部品固定のために締め付け
歪みのかかった部位が割れるという問題から、その用途
に制限が加えられていることに考慮すると、歪みのかか
った部位での耐薬品性に優れた、すなわちクレーズや亀
裂(クラック)を生じないようなポリフェニレンエーテ
ル樹脂が望まれる。
レンエーテル樹脂の特徴である高い寸法精度および優れ
た諸特性を保持しつつ、実用的な耐薬品性を有するPP
E系樹脂組成物を提供することを目的とする。
ニレンエーテル樹脂について、前記したような歪みのか
かった部位でのクレーズや亀裂(クラック)を抑制する
ことを検討した。試験方法には、成形物に1%以上の強
制歪みをかけ溶剤塗布法(成形試験片を強制的に歪みが
かけられる治具に固定し、その歪み部に溶剤を浸したガ
ーゼ等を置いて溶剤によるアタック度を見る手法)を用
いて耐薬品性を調べると同時に、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂の本来有する機械的特性、寸法精度安定性の両局
面を観察して実験を行った。その結果、驚くべきこと
に、従来のような結晶性重合体(シンジオタクチックス
チレン系重合体)をポリフェニレンエーテル樹脂に添加
する場合、多ければ多いほど耐薬品性改良効果があるの
ではなく、ある特定な範囲において、しかもハイインパ
クトスチレン系樹脂と組合せて使用したときに、耐薬品
性改良効果が得られると共に、ポリフェニレンエーテル
樹脂が本来有する優れた寸法精度および機械的強度を保
持し得ることを見出した。かくして本発明に到達した。
エーテル系樹脂および(B)シンジオタクチックスチレ
ン系重合体を含む樹脂組成物において、(1) さらに
(C)ハイインパクトスチレン系樹脂を含み、(2)
(A)10〜90重量部に対して(C)90〜10重量
部、かつ(A)および(C)の合計40重量部より多く
95重量部以下に対して(B)5重量部以上60重量部
未満が含まれることを特徴とする樹脂組成物を提供する
ものである。
衝撃性改良を目的として配合されており、これを単独で
ポリフェニレンエーテル樹脂に添加しても、ポリフェニ
レンエーテル樹脂の耐薬品性改善効果は示さなかった。
それが、シンジオタクチックスチレン系重合体とポリフ
ェニレンエーテル樹脂を含む系にハイインパクトスチレ
ン系樹脂を配合すると、耐薬品性がさらに改良されるこ
とは、驚くべきことである。またさらに、シンジオタク
チックスチレン系重合体は、上記範囲より多い系では寸
法精度を低下させ、さらに多量な結晶性からくる組成物
の不透明感や物性低下を生じてしまうことも、従来技術
からは予測されなかったことである。すなわち、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂にシンジオタクチックスチレン系
重合体を上記の範囲で配合し、かつハイインパクトスチ
レン系樹脂を組合せて配合したときにはじめて、高い寸
法精度と優れた耐薬品性との両方を備えた組成物が得ら
れることが見出された。
される(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂はそれ自体
公知のものであり、例えば一般式(I)
立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、置換炭
化水素基、アルコキシ基、シアノ基、フェノキシ基また
はニトロ基を表し、nは重合度を表す整数である)で示
される重合体の総称であって、上記一般式で示される重
合体の一種単独であっても、二種以上が組み合わされた
共重合体であってもよい。
ては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル、エチ
ル、プロピル、アリル、フェニル、ベンジル、メチルベ
ンジル、クロロメチル、ブロモメチル、シアノエチル、
シアノ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニトロ等の
基が挙げられる。
おけるR1 およびR2 が炭素原子数1〜4のアルキル基
であり、R3 、R4 は水素もしくは炭素原子数1〜4の
アルキル基のポリマーである。nは通常50以上が好ま
しい。
−1 ,4 −フェニレン)エーテル、ポリ(2 ,6 −ジエ
チル−1 ,4 −フェニレン)エーテル、ポリ(2 −メチ
ル−6 −エチル−1 ,4 −フェニレン)エーテル、ポリ
(2 −メチル−6 −プロピル−1 ,4 −フェニレン)エ
ーテル、ポリ(2 ,6 −ジプロピル−1 ,4 −フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2 −エチル−6 −プロピル−1 ,
4 −フェニレン)エーテル、ポリ(2 ,6 −ジメトキシ
−1 ,4 −フェニレン)エーテル、ポリ(2 ,6 −ジク
ロロメチル−1 ,4 −フェニレン)エーテル、ポリ(2
,6 −ジブロモメチル−1 ,4 −フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2 ,6 −ジフェニル−1 ,4 −フェニレン)
エーテル、ポリ(2 ,6 −ジトリル−1 ,4 −フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2 ,6 −ジクロロ−1 ,4 −フェ
ニレン)エーテル、ポリ(2 ,6 −ジベンジル−1 ,4
−フェニレン)エーテル、ポリ(2 ,5 −ジメチル−1
,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。中でも
特に好ましいPPEはポリ(2 ,6 −ジメチル−1 ,4
−フェニレン)エーテルである。
フェニレンエーテル繰り返し単位中にアルキル三置換フ
ェノール例えば2 ,3 ,6 −トリメチルフェノールを一
部含有する共重合体を挙げることができる。
化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレ
ン系化合物グラフト化ポリフェニレンエーテルとしては
上記PPE系樹脂にスチレン系化合物として、例えばス
チレン、α−メチルメチルスチレン、ビニルトルエン、
クロロスチレンなどをグラフト重合して得られる共重合
体である。
剤により変性されていてもかまわない。極性基として
は、例えば、酸ハイドライド、カルボニル基、酸無水
物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフ
ォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステ
ル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサ
ゾリン基、チオール基などが挙げられる。
ックスチレン系重合体とは、高度のシンジオタクチック
構造を有するスチレン系重合体である。シンジオタクチ
ック構造とは、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対
してフェニル基あるいは置換フェニル基が交互に反対方
向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクテ
ィシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−N
MR法)により定量される。13C−NMR法により測定
されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位
の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場
合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示す
ことができる。本発明において、シンジオタクチックス
チレン系重合体とは、通常はダイアッド率75%以上、
好ましくは85%以上、またはラセミペンタッド率30
%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシテ
ィーを有するスチレン系重合体である。スチレン系重合
体は、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ
(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレ
ン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)およびこれらの
混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を包含
する。尚、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、
ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポ
リ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチ
ルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)
としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチ
レン)、ポリ(フルオロスチレン)などがある。また、
ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシ
スチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。こ
れらのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、ポ
リスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−
メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチ
レン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロ
ロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、さらに
はスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げる
ことが出来る。
体は、分子量について特に制限はないが、重量平均分子
量で10,000以上のものが好ましく、とりわけ50,000以上
のものが最適である。ここで重量平均分子量が10,000未
満であると耐薬品性が不足する傾向がある。さらに、分
子量分布についてもその広狭は制約がなく、様々なもの
を充当することが可能である。シンジオタクチックスチ
レン系重合体は、融点が200〜310℃であって、従
来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱
性が優れている。
重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不
存在下に、チタン化合物、および水とトリアルキルアル
ミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体
(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合する
ことにより製造することができ(例えば特開昭62−1
04818号公報、特開昭63−268709号公
報)、市販のものが使用できる。
体は、極性基を有する変性剤により変性されていてもか
まわない。極性基としては、例えば、酸ハイドライド、
カルボニル基、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステ
ル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、
イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、
エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基などが挙げら
れる。特に好ましい極性基は酸無水物とエポキシ基であ
り、酸無水物の中では無水マレイン酸基が好ましい。
パクトスチレン系樹脂は、それ自体公知であり、弾性体
(ゴム状物質)とスチレン系樹脂の一部とがグラフト重
合しており、その[弾性体(ゴム状物質)/スチレン系
樹脂]グラフト体が、スチレン系樹脂中に、約0.1〜
4.0μmの大きさに、通称サラミ構造と呼ばれる形状
に、溶融時、固体時共に安定分散しているものである。
ハイインパクトスチレン系樹脂は、添加型熱可塑性エラ
ストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン共重
合体(SBS)および水素化・スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体(SEBS)のような、プラ
スチック溶融時に一旦溶融分散するものではない。
は、例えばスチレン系モノマーに弾性体(ゴム状物質)
を溶解し、任意の公知の重合法を行うことによって製造
することができる。重合は、バッチ式、連続式を問わな
い。重合方法としては、例えば乳化重合法、塊状重合
法、塊状懸濁2段階法などが挙げられる。
一般式(II):
ルキル基であり、Zはハロゲン原子または炭素原子数1
〜4のアルキル基である置換基を示し、pは0〜5の整
数である)で示される。
ばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、EP
DM、エチレン−プロピレン共重合体、天然ゴム、エピ
クロルヒドリンのような天然または合成エラストマー物
質が挙げられ、好ましくはポリブタジエンである。
ハイインパクトポリスチレン(スチレンとポリブタジエ
ンを使用)が好ましい。
市販されていて入手可能であり、例えば三菱化学(株)
から発売されているダイアレックスHTシリーズ、三井
東圧(株)から発売されているトーポレックスシリーズ
などが挙げられる。
インパクトスチレン系樹脂とは、(A)10〜90重量
部に対して(C)90〜10重量部、好ましくは(A)
20〜90重量部に対して(C)80〜10重量部配合
される。(C)の量が少なすぎると、耐薬品性の改良効
果が達成できない。また、(A)が少なすぎると、PP
E系樹脂の優れた特性が発揮できない。
部より上95重量部以下に対して、(B)シンジオタク
チックスチレン系重合体は5重量部以上60重量部未満
配合される。好ましくは(A)および(C)の合計90
〜50重量部に対して、(B)10〜50重量部が配合
される。より好ましくは(A)および(C)の合計85
〜50重量部に対して、(B)15〜50重量部が配合
される。(B)シンジオタクチックスチレン系重合体の
割合が多すぎると、寸法精度および機械的強度が低下
し、また少なすぎると耐薬品性改良効果が達成されな
い。
分の他にさらに任意的に、(D)スチレン系樹脂を配合
することができる。
あり一般式(III):
アルキル基であり、Z′はハロゲン原子または炭素原子
数1〜4のアルキル基である置換基を示し、qは0〜5
の整数である)で示されるビニル芳香族化合物から誘導
された繰り返し構造単位を、その重合体中に少なくとも
25重量%以上有するものでなければならない。かかる
スチレン系樹脂としては、例えばホモポリスチレン、ス
チレン含有共重合体、例えば、スチレン−メチルスチレ
ン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン
−アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン−無
水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体(ABS)などを挙げることができ
る。ホモポリスチレンは、アタクチック構造およびアイ
ソタクチック構造のものを包含する。またスチレン系エ
ラストマーとしては、スチレン−ブタジエン共重合体
(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体
(SBS)、水素化・スチレン−ブタジエン−スチレン
ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン
共重合体(SIR)、スチレン−イソプレン−スチレン
共重合体(SIS)、水素化・スチレン−イソプレン−
スチレン共重合体(SEPS)などが挙げられる。これ
らスチレン系樹脂は一種単独でも、あるいは二種類以上
の組み合わせでも使用できる。極性基を有する変性剤に
より一部あるいは全部が変性されていてもかまわない。
および(C)の合計100重量部に対して、50重量部
以下の量で配合されるのが好ましく、さらに好ましくは
5〜50重量部である。
成するために、総結晶化度を表すΔEが、ΔE<54を
満たすのが好ましい。より好ましくはΔE≦50を満た
す。ΔEは、次式(i):
脂組成物の結晶化エネルギー(単位:mJ/mg)であ
り;Esps は、前記Ecと同一条件で測定したシンジオ
タクチックスチレン系重合体単体の結晶化エネルギー
(単位:mJ/mg)であり;Wは、樹脂組成物中にお
けるシンジオタクチックスチレン系重合体の重量比率で
ある)で示される。このように、ΔEは総結晶化度の尺
度である結晶化エネルギーの割合を表す。ここで、Ec
は、示差走査熱量計により測定した樹脂組成物の結晶化
エネルギーである(単位:mJ/mg)。Ecの値は、
次のようにして求める:不活性ガス雰囲気中で溶融させ
た樹脂組成物を−20℃/分の速度で降温していき、そ
の時の結晶化挙動をプロットして、得られた結晶化ピー
クの面積を求め、結晶化エネルギー(Ec)とする。E
sps は、シンジオタクチックスチレン系重合体単独で測
定した結晶化エネルギー(単位:mJ/mg)であり、
Ecと同一条件で測定したものである。Wは、樹脂組成
物中におけるシンジオタクチックスチレン系重合体の重
量比率である。
ーのピークが得られない場合、すなわちEcの値が測定
できない場合は、Ec=0であり、ΔE値は0である。
体の配合量が60重量部以上になると、ΔEが54%以
上となり、成形加工中に結晶化が進行しすぎることによ
る成形収縮による寸法精度の悪化、組成物の脆性化が進
み衝撃強度等の機械的強度の低下を引き起こすのみでな
く、結晶成分が多いにもかかわらず逆に耐薬品性が低下
してしまうことがある。またこの過剰な範囲での配合に
於いては、結晶化に伴う白濁、不透明感が組成物に発生
し、従来の変性ポリフェニレンエーテル樹脂の持つ透明
アモルファス特性を失う。
わちΔE値<54を満たすときに、このアモルファス樹
脂であるポリフェニレンエーテル樹脂組成物の特徴であ
る高い寸法精度、および優れた諸特性を損なうことな
く、実用性の有る耐薬品性改良効果を引き出すことがで
きる。
用いることができる。例えばリン酸エステル系難燃剤、
ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。中でも、安全衛生
上の観点からリン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン
酸エステル系難燃剤の例としては、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリオクチルフォスフェート、トリブトキシエチル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オク
チルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニル
ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、
トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジク
ロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3-ジブロモプロ
ピル)-2,3- ジクロロプロピルホスフェート、トリス
(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、および(クロ
ロプロピル)モノオクチルホスフェート、ビスフェノー
ルAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェー
ト、レゾルシンビスホスフェート、トリオキシベンゼン
トリホスフェート等のポリホスフェートが挙げられ、好
ましくはトリフェニルホスフェート及び各種ポリホスフ
ェートである。
分の他に、本発明の主旨を阻害しない範囲で、樹脂の混
合時あるいは成形時に、他の樹脂、ゴム状物質(例えば
ポリブタジエン、ポリイソプレンなど。ただしスチレン
系エラストマーを除く)、慣用の添加剤、例えば顔料、
染料、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、充填剤
(カーボンブラック、マイカ、タルク、シリカ、酸化チ
タンなど)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、滑剤、
離型剤、結晶核剤、可塑剤、流動性改良剤、帯電防止
剤、抗菌、抗カビ剤などを添加することができる。
に特に制限はなく、通常の方法が適宜使用できる。一般
には、溶融混練法が望ましい。装置としては特に押出
機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等を例と
して挙げることができ、これらを回分的または連続的に
運転する。
形、ブロー成形等任意の成型法を用いて、任意の形に成
形することによって、任意の成形品を得ることができ
る。
において、油脂、グリースおよび有機溶剤から選ばれる
有機物質に24時間以上さらされても、亀裂破壊を生じ
ない、および(ii)射出成形にて作成した角板試験片(10
0 mm×100 mm×厚み3 mm)における成形収縮率が流動方
向0.8%以下、かつ流動垂直方向0.8%以下であ
る、を同時に満たすことが好ましい。ここで、1.5%
歪み耐薬品性クラック試験において使用される有機物質
の具体例としては、例えば天ぷら油、サラダオイル、エ
ポキシ硬化剤、エンジンオイル、ガソリン、潤滑油、ワ
ックスリムーバー液、防錆剤等が挙げられる。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
分は以下の物質を使用した。 (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂: PPE:固有粘度(クロロホルム、25℃)0.48d
l/gのポリ(2,6-ジメチル-1,4- フェニレン)エーテ
ル、日本ジ−イ−プラスチックス(株)社製 (B)シンジオタクチックポリスチレン: S−PS:商標;ザレック 70Z(分子量250,000 、
13C−NMRの分析によるラセミペンダット率で表した
シンジオタクティシティーが97%)、出光石油化学工
業(株)製) (C)ハイインパクトスチレン系樹脂: HIPS:ハイインパクトポリスチレン(商標;HT6
44、三菱化成(株)製) (D)スチレン系樹脂: A−PS:汎用アタクチックポリスチレン(商標;CR
3500、大日本インキ(株)製) SBS:スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、Kr
aton D1101CU (シェル社製)実施例1〜4および比較例1〜11 (1)押し出し工程 各成分を表1〜2に示す割合(重量比)で配合し、ヘン
シルミキサーにてブレンドした後、30mmの二軸押出
機にて、混練設定温度300℃および回転数300rp
mの条件で溶融混練し、ペレットを作った。 (2)成形工程 上記で得られたペレットを、射出成形機(東洋機械金属
株式会社製、80トン)にて、シリンダー設定温度30
0℃および金型温度80℃の条件で射出成形し、試験片
を得た。
った。結果を表1〜2に示す。 a:耐薬品性試験:射出成形で得られた3.2mm ×12.7mm×
63.5mm の試験片を図1に示す強制1.5%曲げ歪み治
具に固定し、耐薬品性テストを行った。
工業(株)製、ST−7 *エポキシ硬化剤:トシダ(Toshida) 社製、TCG16
72 *グリース:共同油脂(株)製、マルテンプSRL *天ぷら油:(株)昭和製、 *エンジンオイル:(株)シェル プレミアム(SHELL
PREMIUM)社製、5W30 *ガソリン:(株)日本石油製、レギュラーガソリン *防錆剤:クベ(KURE)工業(株)製、CRC556 試験方法は以下の通りであった:図1に示した1.5%
の曲げ歪み治具の歪曲部分(4)に試験片(3)を固定
し、試験片湾曲部上面に12.7mm×12.7mmのガーゼ(1)
を敷き、このガーゼ全体に溶剤(2)が浸み渡るように
溶剤を滴下し、滴下後から試験片が完全に破断するまで
の時間を測定し、その時間の長短を耐薬品性の尺度とし
た。24時間経過しても何ら破壊が起こらないものはNo
Breakとしてその時点で実験を終了した。この理由は、
実際の使用において1.5%という高い歪みがかかる用
途は皆無であり24時間以上実験継続は実用面から見て
不要と考えられたからである。また、溶剤がグリースの
場合は試験片上に直接塗布し測定を行った。
ぷら油、エンジンオイルの場合は85℃エアオーブン中
で計測し、ワックス リムーバー液、ガソリン、防錆剤
およびエポキシ硬化剤は、揮発性で発火の恐れがあるの
で、室温ドラフト内で行った。 b:成形収縮率の測定(寸法精度の評価):図2に示す10
0mm ×100mm × 3 mm の平板試験片を、FANAC 社製 FAS
-T100D (100 トン)成形機で、前述同様の成形条件(シ
リンダー設定温度300℃および金型温度80℃)のフ
ィルムゲート(5)にて成形した。試験片を、室温23
℃、湿度50%下で24時間放置後、三次元測定器(AF
211 Mitutoyo製)にて、a方向およびb 方向を5回測定
し、その平均をそれぞれ、成形収縮率流れ方向(図2に
おいてaで示す)および成形収縮率流れ垂直方向(図2
においてbで示す)とした。またナイロンの成形時金型
温度は無添加一般最適条件の60℃を、またPPE/ナ
イロンアロイ(NORYL GTX600)においては無添加一般最
適条件の80℃を採用した。 c:アイゾット衝撃性試験:射出成形で得られた3.2mm ×
12.7mm×63.5mm の試験片について、ノッチ付きでASTM
D-256に従い、アイゾット衝撃強度を測定した。 d:HDT(熱変形温度):射出成形で得られた6.4mm ×
12.7mm×63.5mm の試験片について、ASTM D648に従
い、18.6kg加重の条件下で、油槽の中で2℃/分
の速度にて昇温し、熱変形温度を測定した。 e:MI(メルトフローインデックス) 株式会社TAKARA製のメルトインデクサーを用い
て、250℃にて10kg加重の条件下で測定を行っ
た。
オタクチックポリスチレン(S−PS)を配合している
が、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)は配合し
ていないPPE組成物である。実施例1と比べて耐薬品
性が非常に劣ることがわかる。
ると、S−PSおよびHIPSが含まれない比較例2
(PPE/A−PS系)では、耐薬品性が著しく劣るこ
とがわかる。またHIPSを配合せず、その代わりにA
−PSを配合している比較例3(PPE/S−PS/A
−PS系)では、比較例2よりは耐薬品性改善効果がみ
られるが、実施例1(PPE/S−PS/HIPS系)
に比べるとなお耐薬品性は非常に劣っている。同様のこ
とが、実施例2と比較例5および6とを比較した場合、
実施例3と比較例8および9とを比較した場合(表
2)、ならびに実施例4と比較例10および11とを比
較した場合(表2)についてもいえる。このように、P
PEへS−PSを配合することによって耐薬品性の向上
効果は認められるが、さらにHIPSを配合することに
より、著しい耐薬品性の向上効果が得られる。A−PS
とS−PSの組合せでは、このような効果は得られな
い。耐衝撃性改良を目的として使用される、耐薬品性と
は無関係であると考えられていたHIPSの配合によっ
て、このように耐薬品性が向上されることは驚くべきこ
とである。また、いずれの実施例の組成物においても、
機械的強度等の特性および成形収縮率(寸法精度)は、
PPE/A−PS系と同等である。
剰量添加した場合であり、それぞれ実施例1および2と
比較すると、耐薬品性は同等であるが、成形収縮率が非
常に高く、寸法精度が悪化していることがわかる。
をHIPSと組合せて使用したときに初めて、高い寸法
精度を保持しつつ、優れた耐薬品性を有するPPE系樹
脂組成物が得られることがわかる。
ニレンエーテル系樹脂(アモルファス樹脂)の有する特
性(特に寸法安定性)を損なうことなく、耐溶剤性を著
しく向上せしめた。また、難燃剤、充填剤(グラスファ
イバー、マイカ等)などの添加によっても、このような
利点は損なわれない。したがって、本発明の樹脂組成物
は、従来、使用が制限されていたワックス、機械油・エ
ンジンオイル、防錆剤、芳香剤などが付着する恐れのあ
る自動車外装、エンジンルーム部品、客室内インテリ
ア;揩動用潤滑油、グリース、クリーナーが付着する恐
れのある事務機器、コンピューター関連機器などの部品
(例えば内部パーツ、ファンモーターケース、プラスチ
ックシャーシー);サラダ油、天ぷら油、その他の有機
溶媒の付着の可能性のある家電、商業用電化製品部品;
あるいは油煙、有機ガスが立ち込めるような環境(例え
ば工場環境、建築関連)で使用される電気電子機器の部
品のような用途に好適である。特に、歪みのかかった部
位に使用するのに適している。よって工業的に非常に有
用である。
曲げ歪み治具である。
100mm × 3 mm の平板試験片である。
Claims (5)
- 【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂お
よび(B)シンジオタクチックスチレン系重合体を含む
樹脂組成物において、(1) さらに(C)ハイインパクト
スチレン系樹脂を含み、(2) (A)10〜90重量部に
対して(C)90〜10重量部、かつ(A)および
(C)の合計40重量部より多く95重量部以下に対し
て(B)5重量部以上60重量部未満が含まれることを
特徴とする樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)20〜80重量部に対して(C)
80〜20重量部が含まれる請求項1記載の樹脂組成
物。 - 【請求項3】 (A)および(C)の合計50〜90重
量部に対して、(B)10〜50重量部が含まれる請求
項1または2記載の樹脂組成物。 - 【請求項4】 さらに、(A)、(B)および(C)の
合計100重量部に対して、(D)スチレン系樹脂を5
0重量部以下の量含む請求項1〜3のいずれか1項記載
の樹脂組成物。 - 【請求項5】 次の条件: (i) 1%以上の歪み条件で行った耐薬品性クラック試験
において、油脂、グリースおよび有機溶剤から選ばれる
有機物質に24時間以上さらされても、亀裂破壊を生じ
ない、および(ii)射出成形にて作成した角板試験片(10
0 mm×100 mm×厚み3 mm)における成形収縮率が流動方
向0.8%以下、かつ流動垂直方向0.8%以下であ
る、を同時に満たす請求項1〜4のいずれか1項記載の
樹脂組成物。
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