JPH11156609A - 連結式スローアウェイ工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】連結式スローアウェイ工具において、機械強度
を大きくするとともに、ツールホルダーと切削ヘッド間
がつねに密接するようになし、ビビリを抑えて仕上面精
度を向上せしめる。 【解決手段】各ユニットの連結端部６，７には軸線方向
ｒの連結のために一方側にボス８を他方側ボス穴９が形
成されており、これらボス８とボス穴９を嵌合し、さら
に、嵌合状態にて連結する両ユニットに、軸線方向に向
かい連通するボルト孔１０、１０ａに固定ボルト１１を
挿入螺着することによってユニット同士を連結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械に装着
し、旋盤又はフライス用工具、エンドミル、ドリルなど
として金属材料などの切削加工に用いられるスローアウ
ェイ工具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より上記スローアウェイ工具とし
て、異なる長さの切削ヘッドを装着して工具長を調整し
たり、加工径を変えるにあたって切削ヘッドのみを交換
することができるように、分割タイプのものが用いられ
てきた。

【０００３】図４の平面図および図５に、そのような従
来の連結式スローアウェイ工具（以下連結式工具と略称
する）を示し、この工具は工作機械の（不図示）に固定
するツールホルダー２０の先端面２１に冷却液の流路２
２を挟んで左右対称に一対のピン２３，２３を設け、こ
れらをピン孔２４，２４を嵌合した状態で切削ヘッド２
５の外周から上記ピン２３に連通するボルト孔２６に固
定ボルト２７を挿入螺着することにより、各ユニットの
連結と相互回動の防止を行うものであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の連結工具において、ツールホルダーの先端面に一対の
ピンを設けるためには、その面積をかなり大きくする必
要があり、そのため、工具径がφ８３〜φ１２８と非常
に大きくなっていた。

【０００５】また、上記一対のピンによる嵌合はねじれ
方向（回動方向）への応力伝達能には優れていても、軸
線方向に切削ヘッドが引っ張られる荷重をすべて前記固
定ボルトで受けなければならないので機械強度に課題が
あるとともにドリル加工における引抜きの際などにツー
ルホルダーと切削ヘッド間にわずかな隙間が生じ、それ
により、ビビリ発生および仕上面精度上の問題があっ
た。

【０００６】

【発明の目的】したがって、本発明は、小径加工であっ
ても容易に工具長を調整したり、加工径を変更したりで
きる連結式工具を提供し、かつ、そのような工具にあっ
て、ビビリ振動をおこしにくく切削性能にも優れる連結
式工具を提供せんとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明は、工作機械に装着するツールホルダー
の先端側に工具長を調整するための中間部材を介してあ
るいは、直接切削ヘッドを固定してなる連結式スローア
ウェイ工具であって、各ユニットの連結端部には軸線方
向の連結のためにボスとこれと嵌合するボス穴を設け且
つユニット相互の回動を防止すべく前記ボス穴のそれぞ
れの外周側に軸線方向に対し３°〜１５°のテーパー状
に係止し合う鍵稜部を形成してなり、上記連結端部の嵌
合状態において、工具の回転中心に向かう方向に固定用
ボルトを螺入して各ユニットを連結することを特徴とす
る連結式スローアウェイ工具を提供する。

【０００８】

【作用】上記本発明の連結式工具において、各ユニット
の連結端部のボスとボス穴を嵌合する。この際相互の回
動を防止するよう前記ボスとボス穴の外周側に設けた鍵
稜部を組み合わせこの嵌合状態のもと、各連結端部に連
通するボルト孔に固定ボルトを挿入螺着することにより
連結する。

【０００９】上記のようなボスとボス穴の嵌合によれ
ば、工具断面積は小さくても良く、連結式の工具におい
て小径の工具が可能である。また、前記鍵稜部による係
合において工具の軸線方向に対し３°〜１５°のテーパ
ー状の係止としたことにより先端部のユニットをツール
ホルダーの側に強く引込む。したがって、先端側のユニ
ットを引出そうとする荷重に対してもユニット間に隙間
が生じずビビリが発生し難いので加工精度、仕上面など
が良好となる。

【００１０】なお、上記テーパーの鍵稜部の角度におい
ての制限として３°未満の場合、先端側のユニットを引
出そうとする荷重に対して鍵稜部による引込み効果が得
られないためビビリの発生がおきやすい。また、１５°
以上になると、鍵稜部の角度がきつくなり機械強度的に
問題が発生する恐れがある。

【００１１】さらに本発明の連結方式工具では、工具長
を調整するための中間部材を用いる事が出来る。これに
より、例えば、テーパー穴底のドリル加工などにおいて
切削ヘッドよりも中間部材の径を大きくすることによ
り、工具の剛性を高めるなどいろいろな加工状況に柔軟
に対応させることが可能である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図によ
り説明する。

【００１３】図1 は、本実施形態のドリルとしての連結
式工具１を分解斜視図で示し、２は不図示の工作機械に
固定するツールホルダー、３は工具長を調整する場合に
上記ツールホルダー２と後述の切削ヘッドとの間に介在
させる中間部材、４は切削ヘッドで、先端の内径側と外
径側のそれぞれに内刃、外刃としてスローアウェイチッ
プ５を着脱自在に装着する。

【００１４】この連結式工具１を構成する、これらツー
ルホルダー２、中間部材３、切削ヘッド４の各ユニット
の連結端部６，７には軸線方向ｒの連結のために一方側
にボス８を他方側ボス穴９が形成されており、これらボ
ス８とボス穴９を嵌合し、さらに、嵌合状態にて連結す
る両ユニットに、軸線方向に向かい連通するボルト孔１
０、１０ａに固定ボルト１１を挿入螺着することによっ
てユニット同士を連結する。

【００１５】上記のようなボス８とボス穴９の嵌合によ
れば、工具断面積が小さくとも良く、連結工具１におい
てφ２７のものが実用的に可能である。

【００１６】また、上記連結式工具１では工具長を調整
するための中間部材３を用いることも、また、これを用
いずにツールホルダー２に切削ヘッド４を直接固定する
ことが出来るように連結端部６，７のボス８、ボス穴９
等は同形状同サイズとしてある。

【００１７】中間部材３を用いる場合、例えば、テーパ
ー穴底のドリル加工などにおいて切削ヘッド４よりも中
間部材３の径を大きくすることにより、工具の剛性を高
めるなどいろいろな加工状況に柔軟に対応させることが
可能である。

【００１８】また、上記連結式工具１には、切削ヘッド
４の先端からツールホルダー２にかけて切屑排出用のフ
ルート溝１４が設けられている。このうち、中間部材３
のフルート溝１４はストレート上である。これは、中間
部材3 の使用の有無に関わらず、先端のスローアウェイ
チップ５の切刃５ａとツールホルダー２の取付用平坦面
１５とが平行となるようにするためでこれにより、連結
式工具１を旋盤に取付けて本来のドリル加工径よりも大
きな穴加工が出来るようにするためである。

【００１９】各ユニット相互の回動防止のためには、上
記ボス８ボス穴９の外周側に係合、係止し合う鍵稜部１
２が設けられている。

【００２０】図２は、上記鍵稜部１２，１３の係合状態
を示し、同図に示すように鍵稜部１２，１３は工具の軸
線方向ｒに対してテーパー角α°＝３〜１５°で係合す
る。

【００２１】このように、鍵稜部１２，１３をテーパー
係合とする理由は以下の通りである。

【００２２】すなわち、上記テーパー係合により、各ユ
ニットが軸線方向ｒにおいて、お互いに強く引き合う。
例えば、ドリル加工の引上げなどのように先端側のユニ
ットを引出そうとする荷重にたいしても先端側のユニッ
トをツールホルダー２の側に強く引込む。したがって、
先端側のユニットを引出そうとする荷重に対してもユニ
ット間に隙間が生じずビビリが発生し難いので加工精
度、仕上面などが良好となる。

【００２３】図３は、図１の連結式工具１を組立てた時
の図１のＢ−Ｂ線断面図であり、同図に示すように、ボ
ス８は根元部分が大径の2 段形状であり、その軸線方向
に冷却液の流路を穿設するとともに、他方のボス穴９を
対応する同芯2 段形状としている。これは、冷却液の液
もれを防止するための構造で、ボス８の根元をパッキン
などでシールドしても良い。

【００２４】以上、図１乃至図３に基づき本発明の実施
形態を例示したが、本発明は上述の実施形態に限定され
るものではなく、発明の目的を逸脱しない限り、任意の
形態とすることができることは言うまでもない。

【００２５】

【発明の効果】叙上のように、本発明の連結式工具は、
各ユニットの連結端部のボスとボス穴を嵌合し、この際
相互の回動を防止するよう前記ボスとボス穴の外周側に
設けた鍵稜部を組み合わせこの嵌合状態のもと、各連結
端部に連通するボルト孔に固定ボルトを挿入螺着するこ
とにより連結するもので、上記ボスとボス穴の嵌合によ
り、工具断面積は小さくても良いので、連結式の工具に
おいて小径の工具が可能である。また、ユニット相互の
回動を防止すべく前記ボス穴のそれぞれの外周側に軸線
方向に対し３°〜１５°のテーパー状に係止し合う鍵稜
部を形成したことにより先端部のユニットをツールホル
ダーの側に強く引込む。したがって、先端側のユニット
を引出そうとする荷重に対してもユニット間に隙間が生
じずビビリが発生し難いので加工精度、仕上面などが良
好となる。

【００２６】さらに本発明の連結方式工具では、工具長
を調整するための中間部材を用いる事が出来る。これに
より、例えば、テーパー穴底のドリル加工などにおいて
切削ヘッドよりも中間部材の径を大きくすることによ
り、工具の剛性を高めるなどいろいろな加工状況に柔軟
に対応させることが可能である。

【００２７】以上のように、本発明は非常に優れた効果
を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のドリルとしての連結式工具１の分解斜
視図である。

【図２】図１における領域Ａの拡大平面図であり、連結
状態における鍵稜部の係合状態を示す。

【図３】図１の連結式工具を組み立てた時の図１のＢ−
Ｂ線断面図である。

【図４】従来の連結式工具の斜視図である。

【図５】図４の連結式工具側面図である。

【符号の説明】 １ 連結式工具 ２ ツールホルダー ３ 中間部材 ４ 切削ヘッド ５ スローアウェイチップ ６、７ 連結端部 ８ ボス ９ ボス穴 １０、１０ａ ボルト孔 １１ 固定ボルト １２、１３ 鍵稜部 １４ フルート溝 １５ 取付用平坦面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械に装着するツールホルダーの先端
   側に工具長を調整するための中間部材を介してあるい
   は、直接切削ヘッドを固定してなる連結式スローアウェ
   イ工具であって、各ユニットの連結端部には軸線方向の
   連結のためにボスとこれと嵌合するボス穴を設け且つユ
   ニット相互の回動を防止すべく前記ボス穴のそれぞれの
   外周側に軸線方向に対し３°〜１５°のテーパー状に係
   止し合う鍵稜部を形成してなり、上記連結端部の嵌合状
   態において、工具の回転中心に向かう方向に固定用ボル
   トを螺入して各ユニットを連結することを特徴とする連
   結式スローアウェイ工具。
2. 【請求項２】上記ボス部を根元部分が大径の同芯２段形
   状となし、その軸線方向に冷却液の流路を穿設するとと
   もに、上記ボス穴を対応する同芯２段形状としたことを
   特徴とする請求項１の連結式スローアウェイ工具。