JPH11151728A - エアバッグドア部の構造およびエアバッグドア部の製造方法 - Google Patents

エアバッグドア部の構造およびエアバッグドア部の製造方法

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JPH11151728A
JPH11151728A JP9338029A JP33802997A JPH11151728A JP H11151728 A JPH11151728 A JP H11151728A JP 9338029 A JP9338029 A JP 9338029A JP 33802997 A JP33802997 A JP 33802997A JP H11151728 A JPH11151728 A JP H11151728A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアバッグ膨張時にインストルメントパネル
の変形を抑えてスムーズに開き、しかも表面側からの押
圧に対しても窪み難いエアバッグドア部の構造およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 ドア基材21は板状のドア基材本体部2
2と、その外周縁に形成された外周フランジ部32と、
前記ドア基材本体部の縁裏面にエアバッグケースの一側
面と対応して突設されたヒンジ片23およびエアバッグ
ケースの残りの側面の少なくとも一つに対応して突設さ
れた取付片24とを有し、ヒンジ片側の外周フランジ部
裏面あるいはヒンジ片の側面にはヒンジ側挟持爪31を
外向きに有する一方、前記取付片には破断用脆弱部27
を基部に有すると共に側面に取付側挟持爪29を有して
エアバッグドア開口部周縁13が挟持されると共に、前
記ヒンジ片がエアバッグケースに係止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のエアバ
ッグドア部の構造およびエアバッグドア部の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車衝突時における乗員の保護
のため、図10およびそのC−C断面を示す図11のよ
うに、インストルメントパネル60の裏側にエアバッグ
装置90が設けられるようになった。前記エアバッグ装
置90は、車体のリィンホース等に固定されてインスト
ルメントパネル60裏側に配置されるエアバッグケース
91と、そのエアバッグケース91内に収容されるイン
フレータ(作動装置)92と、折り畳まれたエアバッグ
93とを備え、一方、インストルメントパネル60は、
前記エアバッグ装置90の真上にエアバッグドア部61
が設けられている。そして、図12に示すように、衝突
時の衝撃でエアバッグ装置のインフレータ92が作動す
ると、エアバッグ93が膨張してエアバッグドア部61
を裏面側から車室内に押してエアバッグドア部61を開
き、エアバッグ93が車室内に展開する。
【0003】前記エアバッグドア部を有するインストル
メントパネルとしては、インストルメントパネルの成形
後に別部材からなるエアバッグドア部を取り付けたもの
と、インストルメントパネルの製造時にエアバッグドア
部を一体に形成したものとがあり、製造作業性およびエ
アバッグドア部周縁の外観性から一体成形品が好ましい
とされている。
【0004】図11および図12に示した前記インスト
ルメントパネル60は、エアバッグドア部61を一体に
有する一例である。このインストルメントパネル60
は、硬質樹脂等からなるインストルメントパネル基材6
2に形成されたエアバッグドア開口部63に、硬質樹脂
や金属製等からなるドア基材64が配置されて該ドア基
材64のヒンジH側となる一辺65がエアバッグドア開
口部63の縁にボルトおよびナットからなる固着部品6
6で固定され、前記ドア基材64およびその周縁のイン
ストルメントパネル基材62と表皮材67との間で発泡
体68が発泡成形されたものである。前記ドア基材64
の残りの辺69には係止爪70が設けられ、該係止爪7
0がエアバッグドア開口部63の縁に係止している。な
お、前記表皮67には、エアバッグドア部61の位置を
定め、エアバッグ膨張時に破断する破断予定部71がノ
ッチ等により脆弱に形成されている。また、前記エアバ
ッグドア開口部63の周縁においてドア基材64のヒン
ジH側となる部分は、エアバッグの膨張時に過大な力が
加わるため、エアバッグケース91に溶接等で固着され
たブラケット72とドア基材64とでエアバッグドア開
口部63周縁を挟持して補強することがなされる。符号
73は他の固着部品、74は他のブラケットである。
【0005】前記エアバッグドア部61は、エアバッグ
93の膨張によりドア基材64が裏側から押圧される
と、前記ドア基材64の係止爪70がエアバッグドア開
口部63周縁から外れる。そして、ドア基材64の周縁
に沿って発泡体68および表皮材67の破断予定部71
が破断し、ドア基材64のヒンジH側を支点としてエア
バッグドア部61が車室内に屈曲して開き、エアバッグ
93の車室内への展開を可能とする。
【0006】また前記エアバッグドア部61の製造は、
図13に示すように、前記ドア基材64をインストルメ
ントパネル基材62のエアバッグドア開口部63に取り
付けた後、該インストルメントパネル基材62およびド
ア基材64と表皮材67とを発泡成形型75の発泡成形
用キャビティ76に配置し、前記ドア基材64およびイ
ンストルメントパネル基材62と表皮材67との間にポ
リウレタン原料等の液状発泡原料77を注入し、前記発
泡体68を発泡成形することにより行われる。その際、
前記発泡原料77の漏出を防止するため、ドア基材64
の周縁はインストルメントパネル基材62のエアバッグ
ドア開口部63周縁に密着するようにされる。
【0007】ところが、図11のD−D断面を示す図1
4のように、前記一体成形されたエアバッグドア部61
は、エアバッグ93膨張時にエアバッグドア部61の開
放を可能とするため、ドア基材64の車幅方向両側部に
おいて、インストルメントパネル基材62のエアバッグ
ドア開口部周縁78がドア基材64周縁の係止爪70に
係止しているだけとされ、エアバッグケース91に固定
されてないことから、エアバッグ93膨張時の押圧で鎖
線のように変形し易くなっている。しかも、前記のよう
にエアバッグドア部成形時にドア基材64の周縁をエア
バッグドア開口部周縁78に密着させて発泡原料の漏出
を少なくするため、前記ドア基材64の周縁にはエアバ
ッグドア開口部周縁78と係合する係止爪70が多数設
けられており、エアバッグ93の膨張時にドア基材64
のヒンジ側を除く周縁がエアバッグドア開口部からスム
ーズに分離しずらくなっている。さらに、このエアバッ
グドア部一体成形においては、前記発泡体68はエアバ
ッグドア部分とその周囲の一般部分とが連続した一体品
として発泡成形されるため、エアバッグ93の膨張時に
ドア基材64の周縁で強引に発泡体68を破断させねば
ならない。それらにより、前記インストルメントパネル
60は、エアバッグ93の膨張時に、まずエアバッグド
ア部61およびその周縁で大きく変形し、次いで前記係
止爪70の分離および発泡体68の破断を経てエアバッ
グドア部61が開くことになるため、前記変形による破
損のおそれがあった。
【0008】また、前記エアバッグ膨張時の押圧力がイ
ンストルメントパネル基材に直接加わって変形破損する
のを防止するため、図15に示すドア基材80を用いて
図16に示すようなエアバッグドア部86の構造とする
ことが考えられる。すなわち、ドア基材80の周縁に係
止爪81を設けてインストルメントパネル基材82のエ
アバッグドア開口部周縁83に係止する一方、ドア基材
80裏面にエアバッグケース91aの側面に沿って突出
する係止片84を設けて該係止片84にエアバッグケー
ス91aを係止し、かつドア基材80の裏面には、ヒン
ジ側Haの係止片84aを除く他の係止片84bの内側
に沿って破断用脆弱部85を形成することが考えられ
る。この場合には、エアバッグ93aの膨張時に前記ド
ア基材80の破断用脆弱部85が破断し、該破断部外周
の係止片84bおよびその外側部分をエアバッグドア開
口部周縁83に残した状態でエアバッグドア部86がヒ
ンジ側Haを支点として車室内へ開く。そのため、エア
バッグ93a膨張時の押圧力は主として破断用脆弱部8
5で囲まれたドア基材80の内側部分に加わり、インス
トルメントパネル基材82のエアバッグドア開口部周縁
83に加わる変形力を低下させることができる。符号8
7は表皮材、88は発泡体である。
【0009】しかし、図15および図16に示した構造
にあっては、破断用脆弱部85が係止片84bの内側に
沿ってドア基材80に設けられているため、エアバッグ
ドア部86の表面が乗員等によって押された際に、前記
破断用脆弱部85に応力が集中して破断し易く、その破
断によってエアバッグドア部86の表面が窪んでインス
トルメントパネルの外観が損なわれる問題がある。な
お、このエアバッグドア部86の表面側からの押圧に対
して前記破断用脆弱部85が破断しないようにするため
には、ドア基材80の曲げ弾性率を低くして剛性の低い
柔らかい材質にすることが考えられる。しかし、前記破
断による窪みを防ぐには、ドア基材80をその通常の曲
げ弾性率7,000kg/cm2 に比べて極端に低い
2,000〜3,000kg/cm2 にまで低下させる
必要があり、そのような曲げ弾性率の低いドア基材80
は柔らかすぎて、ドア基材80周囲の硬いインストルメ
ントパネル基材82との間で大なる硬度差を生じるよう
になる。その結果、エアバッグドア部86の表面とその
周囲の一般部表面との間で硬度差を生じ、表面感触にお
いて違和感の問題が発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記の点
に鑑みなされたもので、インストルメントパネルと一体
に成形されたエアバッグドア部について、エアバッグ膨
張時にインストルメントパネルの変形を抑えてスムーズ
にエアバッグドア部が開き、しかもエアバッグドア部表
面側からの押圧に対してもエアバッグドア部の窪みのお
それがない外観良好なエアバッグドア部の構造とその製
造方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エア
バッグドア部の構造に係るもので、インストルメントパ
ネル基材に形成されたエアバッグドア開口部にドア基材
が配置され、該ドア基材およびインストルメントパネル
基材と表皮材間で発泡体が成形されて当該ドア基材とそ
の表面の発泡体および表皮材により構成されたエアバッ
グドア部が、前記エアバッグドア開口部裏側のエアバッ
グケースに収容されたエアバッグの膨張により押圧され
て前記ドア基材の一辺側をヒンジとして開くようにされ
た構造において、前記ドア基材は板状のドア基材本体部
と、該ドア基材本体部の外周縁に形成された外周フラン
ジ部と、前記ドア基材本体部の縁裏面に前記エアバッグ
ケースの一側面と対応して突設されたヒンジ片および前
記エアバッグケースの残りの側面の少なくとも一つに対
応して突設された取付片とを有し、前記ヒンジ片側の外
周フランジ部裏面あるいはヒンジ片の側面には、前記外
周フランジ部裏面との間でヒンジ側挟持部を構成するヒ
ンジ側挟持爪を外向きに有する一方、前記取付片には破
断用脆弱部を基部に有すると共に側面に前記外周フラン
ジ部裏面との間で取付片側挟持部を構成する取付片側挟
持爪を有し、前記ヒンジ側挟持部および取付片側挟持部
とでエアバッグドア開口部周縁が挟持されると共に、前
記ヒンジ片がエアバッグケースに係止されていることを
特徴とする。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て取付片を除去したことを特徴とするエアバッグドア部
の構造に係る。
【0013】また、請求項3の発明は、エアバッグドア
部の製造方法に係るもので、インストルメントパネル裏
側のエアバッグケースに収容されたエアバッグの膨張に
より押圧されて開くエアバッグドア部をインストルメン
トパネルと一体に製造する方法において、板状のドア基
材本体部と、該ドア基材本体部の外周縁に形成された外
周フランジ部と、前記ドア基材本体部の縁裏面に前記エ
アバッグケースの一側面と対応して突設されたヒンジ片
および前記エアバッグケースの残りの側面の少なくとも
一つに対応して突設された取付片とを有し、前記ヒンジ
片側の外周フランジ部裏面あるいはヒンジ片の側面には
前記外周フランジ部裏面との間でヒンジ側挟持部を構成
するヒンジ側挟持爪を外向きに有する一方、前記取付片
には破断用脆弱部が基部に形成されると共に側面に前記
外周フランジ部裏面との間で取付側挟持部を構成する取
付側挟持爪を外向きに有し、前記ヒンジ片にエアバッグ
ケース係止部が形成されてなるドア基材を、インストル
メントパネル基材のエアバッグドア開口部に配置し該開
口部周縁を前記ヒンジ側挟持部および取付側挟持部で挟
持して、当該インストルメントパネル基材とドア基材お
よび表皮材を発泡成形型にセットし、次いで、前記イン
ストルメントパネル基材およびドア基材と表皮材との間
に発泡原料を注入して発泡体を成形することを特徴とす
る。
【0014】請求項4の発明は、請求項3において、発
泡体の成形後、取付片基部の破断用脆弱部を破断して取
付片を分離させることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下この発明について添付の図面
を用いて説明する。図1は請求項1の発明の一実施例に
係るエアバッグドア部の断面図、図2は図1のA−A断
面図、図3は図1のエアバッグドア部の裏面についてエ
アバッグケースを外して示す斜視図、図4は請求項2の
発明の一実施例に係るエアバッグドア部の断面図、図5
は図4のB−B断面図、図6は図4のエアバッグドア部
の裏面についてエアバッグケースを外して示す斜視図、
図7は請求項3の発明の一実施例におけるドア基材本体
部とインストルメントパネル基材を示す斜視図、図8は
ドア基材セット後のインストルメントパネル基材を示す
斜視図、図9は発泡成形時を示す発泡成形型の断面図で
ある。
【0016】図1ないし図3に示すインストルメントパ
ネル10は、インストルメントパネル基材11と、ドア
基材21と、発泡体35および表皮材37よりなるもの
で、、一体に形成されたエアバッグドア部D1を所定部
に有し、その表面形状が図10に示したインストルメン
トパネル60と同様の形状からなる。このエアバッグド
ア部D1の裏側にはエアバッグケース53が取り付けら
れる。エアバッグケース53は、開口部の形状が略長方
形からなり、内部にエアバッグ55が折り畳まれて収容
され、図示しない車体のリィンホース等に固着される。
符号57はエアバッグ55を膨張させるインフレータで
ある。
【0017】インストルメントパネル基材11は、主と
してインストルメントパネル10に所定の強度を付与す
るためのもので、適宜の硬質樹脂等からなり、図7から
容易に理解されるように、所要位置にエアバッグドア開
口部12が形成されている。エアバッグドア開口部12
は、インストルメントパネル10裏側のエアバッグケー
ス53に収容されているエアバッグ55を、自動車衝突
によるエアバッグ55膨張時にインストルメントパネル
10表面側の車室内で展開できるようにするためのもの
で、エアバッグケース53等に応じた適宜の大きさで形
成されている。この例のエアバッグドア開口部12は略
長方形の開口とされ、その開口部周縁13が段差を介し
てインストルメントパネル基材11の裏側へ窪み、該開
口部12にドア基材21を配置した際にドア基材21が
その外周のインストルメントパネル基材11の表面14
から突出しないようにされている。
【0018】ドア基材21はエアバッグドア部D1の裏
面を補強してエアバッグ55の膨張時にスムーズにエア
バッグドア部D1が押し開かれるようにすると共に、平
常時にエアバッグドア部D1の表面が乗員等により押さ
れた際にエアバッグドア部D1が窪むのを防止するため
のもので、適宜の硬質樹脂等からなる。このドア基材2
1は、図7から容易に理解されるように、平板状のドア
基材本体部22と、その外周縁に形成された外周フラン
ジ部32とを有する。
【0019】前記ドア基材本体部22は、前記エアバッ
グドア開口部12より小さくかつエアバッグケース53
の上部の開口54より大なる外形の平板状からなり、一
方、外周フランジ部32は、前記ドア基材本体部22か
ら外方へ延設されていて、前記エアバッグドア開口部1
2の開口部周縁13表面に載置される大きさからなる。
【0020】前記ドア基材本体部22の縁裏面には、前
記エアバッグケース53の一側面53aと対応して突設
されたヒンジ片23と、前記エアバッグケース53の残
りの側面53bの少なくとも一つに対応して突設された
取付片24とを有する。この例では、一つのヒンジ片2
3と三つの取付片24によって、前記エアバッグケース
53の開口54外周を包囲するようになっている。また
前記ヒンジ片23と取付片24はこの例のように完全に
分離したものに限られず、連続した枠状のもの、あるい
は各片間に一部切り欠き等があるものであってもよい。
前記ヒンジ片23と取付片24は、エアバッグケース5
3の側面に至る長さからなって、ヒンジ片23とそれに
対向する一つの取付片24aに係止部25,26が穴形
状に所定間隔で形成されている。この係止部25,26
には、エアバッグケース53の上端に外向きに形成され
た係止爪56が挿入係止される。なお、前記取付片24
aの係止部26は、エアバッグケース53の固定作業を
容易にするためには、少なくとも取付片24の一つ、好
ましくはヒンジ片23と対向する取付片24aに設ける
のが好ましい。勿論、前記係止部26は取付片24の全
てに設けたりあるいは全く設けないこともできる。
【0021】前記取付片24の基部、この例ではドア基
材本体部22裏面との境界位置に、破断用脆弱部27が
溝状やスリット状等に形成されている。この破断用脆弱
部27は、請求項1の発明においては、エアバッグ55
の膨張によりエアバッグドア部D1裏面が押圧された際
に破断して取付片24を後記の取付側挟持爪29と共に
ドア基材21から分離させ、エアバッグドア部D1のス
ムーズな開放を可能にするものであり、それに対し、後
述する請求項2の発明および請求項4の製造方法の発明
においては、インストルメントパネルを車体へ取り付け
る前に前記取付片24の除去を可能にするものである。
また、前記取付片24の外側側面には、外周フランジ部
32裏面との間で取付側挟持部28を構成する取付側挟
持爪29を外向きに有する。この取付側挟持部28は外
周フランジ部32を前記エアバッグドア開口部12の開
口部周縁13表面に密着させる大きさに設定される。
【0022】一方、前記ヒンジ片23側の外周フランジ
部32の裏面あるいはヒンジ片23の外側側面には、前
記外周フランジ部32裏面との間でヒンジ側挟持部30
を構成するヒンジ側挟持爪31を外向きに有する。この
例では、ヒンジ片23側の外周フランジ部32裏面に略
L形にヒンジ側挟持爪31が形成されているが、この例
に限るものではない。なお、前記ヒンジ側挟持部30は
外周フランジ部32を前記エアバッグドア開口部12の
開口部周縁13表面に密着させる大きさに設定される。
【0023】前記構成のドア基材21は、前記外周フラ
ンジ部32がエアバッグドア開口部12の開口部周縁1
3表面に載置されて前記ヒンジ側挟持部30および取付
側挟持部28で開口部周縁13を挟持することにより、
前記エアバッグドア開口部12を覆ってインストルメン
トパネル基材11に取り付けられている。
【0024】発泡体35は、このインストルメントパネ
ル10の表面に緩衝性を付与するためのもので、前記ド
ア基材21の表面およびその周囲のインストルメントパ
ネル基材一般部14の表面とに連続して形成されてい
る。この発泡体35は、ポリウレタンフォーム等の弾性
発泡体からなり、前記ドア基材21がセットされたイン
ストルメントパネル基材11の表面と表皮材37との間
で液状発泡原料を発泡させることにより形成されてい
る。
【0025】表皮材37は、前記発泡体35表面を保護
して装飾性を高めるもので、樹脂シートやファブリック
等から構成される。この表皮材37にはドア基材21の
周縁と対応してエアバッグドア部D1を定める破断予定
部38が形成されている。この破断予定部38は、エア
バッグ55の膨張時に表皮材37がエアバッグドア部D
1周縁で容易に破断してエアバッグドア部D1の開放を
スムーズに行えるようにするもので、ノッチ状やスリッ
ト状のものにより、あるいは縫合等により強度低下がな
されている。
【0026】前記構造のエアバッグドア部D1は、車体
へのインストルメントパネル10取付時に、前記ドア基
材21のヒンジ片23および取付片24の係止部25,
26にエアバッグケース55の係止爪56が挿入係止さ
れて該エアバッグドア部D1裏側にエアバッグケース5
5が配置される。そして、平常時には、前記ドア基材2
1の外周フランジ部32がエアバッグドア開口部12の
開口部周縁13表面に位置し、前記取付側挟持部28お
よびヒンジ側挟持部30が開口部周縁13を挟持するこ
とによってドア基材21が開口部周縁13に支持される
ため、エアバッグドア部D1の表面が乗員等によって押
された場合には、その押圧力をドア基材21で支えるこ
とができる。しかも、前記破断用脆弱部27が取付片2
4に存在しドア基材本体部22および外周フランジ部3
2には存在しないため、前記エアバッグドア部D1表面
側からの押圧力によりドア基材本体部22および外周フ
ランジ部32が破損(破断)し難く、その破損によって
エアバッグドア部D1表面が窪むおそれがない。従っ
て、前記破損を防ぐ目的でドア基材21を特別に弾性率
の低い剛性の低いものとする必要がないことから、エア
バッグドア部D1表面がその周囲の一般部と比べて柔ら
かくなることがなく、違和感を生じるおそれがない。
【0027】一方、自動車に衝撃が加わってインフレー
タ57が作動しエアバッグ55が膨張する場合には、そ
の膨張するエアバッグ55によりドア基材本体部21が
裏側から押圧され、前記取付片24基部の破断用脆弱部
27に応力が集中し、該破断用脆弱部27が破断してド
ア基材21がヒンジ片23側を除きインストルメントパ
ネル基材11から分離する。そして、前記ヒンジ片23
を支点としてドア基材21が発泡体35側へ曲がり、そ
の際ドア基材21の縁に沿って発泡体35が破断し、ま
た表皮材37が破断予定部38で破断してエアバッグド
ア部D1が車室内に開き、エアバッグ55がスムーズに
車室内に展開する。
【0028】図4ないし図6に示す請求項2の発明の一
実施例に係るエアバッグドア部D2の構造は、前記図1
ないし図3に示した実施例におけるドア基材21の取付
片24をその基部の破断用脆弱部27で破断させて取付
側挟持爪29と共に除去した構造からなり、他の部分に
ついては前記実施例と同様である。すなわち、このエア
バッグドア部D2においては、エアバッグドア開口部1
2の開口部周縁13は、ドア基材21のヒンジ片23側
でヒンジ側挟持部30により挟持され、ヒンジ片23側
を除く部分で外周フランジ部32が開口部周縁13の表
面に単に載置された状態となっている。なお、前記取付
片24の除去は、このインストルメントパネル40にエ
アバッグケース53を係止する前に行われる。図6の符
号27aは前記破断用脆弱部27の残りである。
【0029】前記エアバッグドア部D2においては、平
常時、前記エアバッグドア開口部12の開口部周縁13
表面に位置する外周フランジ部32によってドア基材2
1が開口部周縁13に支持されるため、車室内側からの
エアバッグドア部D2表面の押圧を支え、しかも、ドア
基材本体部21および外周フランジ部32に破断用脆弱
部が存在しないため、ドア基材21が容易に破損(破
断)せず、エアバッグドア部D2の表面が窪むおそれが
ない。また、エアバッグ55の膨張時には、前記ヒンジ
片24を支点としてドア基材21が発泡体35側へ屈曲
し、その際発泡体35をドア基材21の縁に沿って破断
させ、かつ表皮37を破断予定部38で破断させてエア
バッグドア部D2を開放する。
【0030】次に請求項3のエアバッグドア部の製造方
法の発明に係る一実施例について説明する。なお、この
実施例においては、前記請求項1の実施例で用いたイン
ストルメントパネル基材11、ドア基材21および表皮
材37を用いる。
【0031】まず、図7および図8に示すように、前記
インストルメントパネル基材11の表面側からドア基材
21のヒンジ片23および取付け片24をエアバッグド
ア開口部12に挿入し、前記取付側挟持部28およびヒ
ンジ側挟持部30でエアバッグドア開口部12の開口部
周縁13を挟持する。これにより、前記ドア基材21を
インストルメントパネル基材11のエアバッグドア開口
部12に配置し、ドア基材21の外周フランジ部32を
エアバッグドア開口部12の開口部周縁13の表面に載
置する。その際、前記取付片24を内側へ所要量弾性変
形させながらエアバッグドア開口部12に挿入すること
により、前記取付側挟持爪29およびヒンジ側挟持爪3
1をエアバッグドア開口部12の裏側まで挿入し、開口
部周縁13裏面に係止する。勿論、前記取付側挟持爪2
9およびヒンジ側挟持爪31の爪の長さは、前記取付片
24の弾性変形によりエアバッグドア開口部12を通る
ことができる程度とされ、前記取付片24の長さや弾性
等に応じて適宜決定される。このようにしてドア基材2
1が配置されたエアバッグドア開口部12は、前記ドア
基材21の取付側挟持部28およびヒンジ側挟持部30
の挟持によって、外周フランジ部32がエアバッグドア
開口部12の開口部周縁13の表面に密着しており、該
開口部周縁13が確実にシールされている。
【0032】次いで、前記ドア基材21がエアバッグド
ア開口部12にセットされたインストルメントパネル基
材11を、図9に示すように、ドア基材21と共に発泡
成形型45の上型46の型面47に配置し、対する下型
48の型面49に前記表皮材37を配置する。
【0033】使用する発泡成形型45は、公知の一体発
泡成形型で、上型型面47と下型型面49間に、成形す
るインストルメントパネルに応じた形状の発泡成形用キ
ャビティ50を有する。なお、前記上型型面47にはド
ア基材21のヒンジ片23や取付片24が収容される凹
部が形成されている。前記上型型面47へのインストル
メントパネル基材11およびドア基材21の保持は、適
宜の方法でなされるが、例として、インストルメントパ
ネル基材11の一部に取付クリップを設け、その取付ク
リップを上型型面47に形成した係止部に挿入すること
により、あるいは上型型面47に真空あるいは磁石等に
よる吸引手段を設けてインストルメントパネル基材11
を上型型面47に吸着させる等を挙げることができる。
【0034】次いで、前記表皮材37の裏面に、公知の
クローズド注入法あるいはオープン注入法によりポリウ
レタン原料等の液状発泡原料51を注入し、表皮材37
とインストルメントパネル基材11間で発泡させ、その
際の接着性により表皮材37、インストルメントパネル
基材11およびドア基材21と接着した前記発泡体35
を形成する。このとき、エアバッグドア開口部12の開
口部周縁13は前記ドア基材21の外周フランジ部32
の密着によりシールされているため、発泡原料51の漏
出を防ぐことができる。なお、クローズド注入法は発泡
成形型45を閉じた後に発泡原料51を注入する方法
で、その場合にはあらかじめ上型46およびインストル
メントパネル基材11に発泡原料注入孔が形成される。
それに対して、オープン注入法は、発泡成形型45を開
けた状態で発泡原料51の注入を行いその後閉型する方
法である。クローズド注入法にするかオープン注入法に
するかは、発泡原料51の反応速度や成形品の大きさ、
形状等により適宜決定される。
【0035】前記発泡原料51の発泡終了後、前記発泡
成形型45を開いて成形品を脱型すれば、図1ないし図
3に示した請求項1の発明のエアバッグドア部D1の構
造を有するインストルメントパネル10が得られる。
【0036】また、請求項4の発明の実施例において
は、前記脱型後に取付片24の基部の破断用脆弱部27
を破断させて、該取付片24を切除すれば、図4ないし
図6に示した請求項2の発明のエアバッグドア部D2の
構造を有するインストルメントパネル40が得られる。
【0037】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
エアバッグドア部の構造によれば、ドア基材をエアバッ
グケースに係止し、インストルメントパネル基材には直
接エアバッグケースを固定しないため、エアバッグ膨張
時にインストルメントパネル基材のエアバッグドア開口
部周縁に大なる変形力が加わらず、インストルメントパ
ネルの破損を生じにくくできるのみならす、エアバッグ
ドア部に効率よくエアバッグの膨張押圧力が加わってス
ムーズにエアバッグドア部が開くようになる。
【0038】また、この発明のエアバッグドア部の構造
によれば、ドア基材本体部および外周フランジ部に破断
用脆弱部が存在しないため、平常時におけるエアバッグ
ドア部表面の押圧に対してドア基材が破損し難く、その
破損による窪みがエアバッグドア部表面に生じるおそれ
がないので、エアバッグドア部の外観を良好に保つこと
ができる。さらに、前記ドア基材を特別に剛性の低い材
質にすることなく、前記エアバッグドア部表面の押圧に
よる不具合を防止できるため、エアバッグドア部表面の
感触をその周囲の一般部表面の感触と等しくでき、違和
感を防ぐことができる。
【0039】一方、この発明のエアバッグドア部の製造
方法によれば、前記優れた利点のあるエアバッグドア部
を簡単に得ることができるのみならず、発泡体成形時に
発泡原料の漏出を抑えることもできるため、経済的で作
業性に優れる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一実施例に係るエアバッグド
ア部の断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のエアバッグドア部の裏面についてエアバ
ッグケースを外して示す斜視図である。
【図4】請求項2の発明の一実施例に係るエアバッグド
ア部の断面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】図4のエアバッグドア部の裏面についてエアバ
ッグケースを外して示す斜視図である。
【図7】請求項3の発明の一実施例におけるドア基材本
体部とインストルメントパネル基材を示す斜視図であ
る。
【図8】ドア基材セット後のインストルメントパネル基
材を示す斜視図である。
【図9】発泡成形時を示す発泡成形型の断面図である。
【図10】エアバッグドア部を一体に有するインストル
メントパネルの斜視図である。
【図11】図10のC−C断面図である。
【図12】エアバッグ膨張時を示す断面図である。
【図13】従来のエアバッグドア部の製造を示す断面図
である。
【図14】図11のD−D断面図である。
【図15】他の従来例を示すドア基材の斜視図である。
【図16】図15のドア基材を有するエアバッグドア部
の断面図である。
【符号の説明】
10,40 インストルメントパネル 11 インストルメントパネル基材 12 エアバッグドア開口部 13 開口部周縁 21 ドア基材 22 ドア基材本体部 23 ヒンジ片 24 取付片 25,26 係止部 27 破断用脆弱部 28 取付側挟持部 29 取付側挟持爪 30 ヒンジ側挟持部 31 ヒンジ側挟持爪 32 外周フランジ部 35 発泡体 37 表皮材 45 発泡成形型 51 発泡原料 53 エアバッグケース 55 エアバッグ 57 インフレータ D1,D2 エアバッグドア部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インストルメントパネル基材に形成され
    たエアバッグドア開口部にドア基材が配置され、該ドア
    基材およびインストルメントパネル基材と表皮材との間
    で発泡体が成形されて当該ドア基材とその表面の発泡体
    および表皮材により構成されたエアバッグドア部が、前
    記エアバッグドア開口部裏側のエアバッグケースに収容
    されたエアバッグの膨張により押圧されて前記ドア基材
    の一辺側をヒンジとして開くようにされた構造におい
    て、 前記ドア基材は板状のドア基材本体部と、該ドア基材本
    体部の外周縁に形成された外周フランジ部と、前記ドア
    基材本体部の縁裏面に前記エアバッグケースの一側面と
    対応して突設されたヒンジ片および前記エアバッグケー
    スの残りの側面の少なくとも一つに対応して突設された
    取付片とを有し、 前記ヒンジ片側の外周フランジ部裏面あるいはヒンジ片
    の側面には、前記外周フランジ部裏面との間でヒンジ側
    挟持部を構成するヒンジ側挟持爪を外向きに有する一
    方、前記取付片には破断用脆弱部を基部に有すると共に
    側面に前記外周フランジ部裏面との間で取付片側挟持部
    を構成する取付片側挟持爪を有し、 前記ヒンジ側挟持部および取付片側挟持部とでエアバッ
    グドア開口部周縁が挟持されると共に、前記ヒンジ片が
    エアバッグケースに係止されていることを特徴とするエ
    アバッグドア部の構造。
  2. 【請求項2】 インストルメントパネル基材に形成され
    たエアバッグドア開口部にドア基材が配置され、該ドア
    基材およびインストルメントパネル基材と表皮材との間
    で発泡体が成形されて当該ドア基材とその表面の発泡体
    および表皮材により構成されたエアバッグドア部が、前
    記エアバッグドア開口部裏側のエアバッグケースに収容
    されたエアバッグの膨張時により押圧されて前記ドア基
    材の一辺側をヒンジとして開くようにされた構造におい
    て、 前記ドア基材は板状のドア基材本体部と、該ドア基材本
    体部の外周縁に形成された外周フランジ部と、前記ドア
    基材本体部の縁裏面に前記エアバッグケースの一側面に
    対応して突設されたヒンジ片と、該ヒンジ片側の外周フ
    ランジ部裏面または当該ヒンジ片の側面に前記外周フラ
    ンジ部裏面との間でヒンジ側挟持部を構成するよう外向
    きに形成されたヒンジ側挟持爪とを有し、前記エアバッ
    グドア開口部周縁表面に外周フランジ部が載置され前記
    ヒンジ側挟持部でエアバッグドア開口部周縁が挟持され
    ると共に、前記ヒンジ片がエアバッグケースに係止され
    ていることを特徴とするエアバッグドア部の構造。
  3. 【請求項3】 インストルメントパネル裏側のエアバッ
    グケースに収容されたエアバッグの膨張により押圧され
    て開くエアバッグドア部をインストルメントパネルと一
    体に製造する方法において、 板状のドア基材本体部と、該ドア基材本体部の外周縁に
    形成された外周フランジ部と、前記ドア基材本体部の縁
    裏面に前記エアバッグケースの一側面と対応して突設さ
    れたヒンジ片および前記エアバッグケースの残りの側面
    の少なくとも一つに対応して突設された取付片とを有
    し、前記ヒンジ片側の外周フランジ部裏面あるいはヒン
    ジ片の側面には前記外周フランジ部裏面との間でヒンジ
    側挟持部を構成するヒンジ側挟持爪を外向きに有する一
    方、前記取付片には破断用脆弱部が基部に形成されると
    共に側面に前記外周フランジ部裏面との間で取付側挟持
    部を構成する取付側挟持爪を外向きに有し、前記ヒンジ
    片にエアバッグケース係止部が形成されてなるドア基材
    を、 インストルメントパネル基材のエアバッグドア開口部に
    配置し該開口部周縁を前記ヒンジ側挟持部および取付側
    挟持部で挟持して、当該インストルメントパネル基材と
    ドア基材および表皮材を発泡成形型にセットし、 次いで、前記インストルメントパネル基材およびドア基
    材と表皮材との間に発泡原料を注入して発泡体を成形す
    ることを特徴とするエアバッグドア部の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記発泡体の成形
    後、前記取付片基部の破断用脆弱部を破断して取付片を
    分離させることを特徴とするエアバッグドア部の製造方
    法。
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