JPH11147978A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH11147978A
JPH11147978A JP9317047A JP31704797A JPH11147978A JP H11147978 A JPH11147978 A JP H11147978A JP 9317047 A JP9317047 A JP 9317047A JP 31704797 A JP31704797 A JP 31704797A JP H11147978 A JPH11147978 A JP H11147978A
Authority
JP
Japan
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olefin polymer
group
epoxy group
polyarylene sulfide
olefin
Prior art date
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Pending
Application number
JP9317047A
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English (en)
Inventor
Asuka Harada
あすか 原田
Shigeaki Nagano
繁明 永野
Toheiji Kawabata
十平次 川端
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィンの耐熱性を改善すると共に、
引張強度や衝撃強度を改善する。 【解決手段】 ポリプロピレンに、エポキシ基含有ポリ
プロピレンと、官能基を有するポリアリーレンスルフィ
ドとを配合。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種成形用途に適
用し得る熱可塑性樹脂組成物に関し、特に、機械的特
性、耐熱性及び成形加工性が兼備されたポリオレフィン
系樹脂を主成分とする組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンに代表されるオレフィン
系樹脂は、靭性等の機械的強度に優れる点から各種成形
用途に用いられており、更に耐熱性、強度等が要求され
る場合には、ガラス繊維等の強化材や無機質充填材で補
強して用いられている。
【0003】しかし、オレフィン系樹脂を強化材や無機
質充填材で補強した場合は、押出成形に適用し難く、ま
た、成型品によっては強化材や無機質充填材の露出によ
って使用が制限されるなど、実用面で問題があった。
【0004】そのため、強化材や無機質充填材を使用す
ることなく、オレフィン系樹脂の耐熱性、衝撃強度を高
める方法として、例えば特開平4−178339号公報
には、エチレンまたはプロピレンを主体とするオレフィ
ン系樹脂の40〜78重量部ににポリフェニレンスルフ
ィド22〜60重量部配合してなる樹脂組成物が開示さ
れている。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4−
178339号公報に記載された樹脂組成物は、オレフ
ィン系樹脂の耐熱性は改善されるものの、ポリフェニレ
ンスルフィドとオレフィン系樹脂との相溶化が不十分で
あり、引張強度と衝撃強度とを著しく低下させるもので
あった。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、オレフ
ィン系樹脂にポリフェニレンスルフィドを用いて性能を
改善するにあたり、耐熱性の改良と共に引張強度や衝撃
強度を改善することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討した結果、オレフィン系樹脂と
ポリフェニレンスルフィドとの相溶性を改善するため
に、ポリフェニレンスルフィドに反応性官能基を導入
し、かつ、エポキシ基を有するオレフィン系樹脂を一部
配合することにより、エポキシ基のゲル化抑制と共に、
オレフィン系樹脂中のエポキシ基とポリフェニレンスル
フィド中の反応性官能基とを反応させることができて、
耐熱性や機械的強度が飛躍的に向上することを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、エポキシ基を分子構造中
に有するオレフィン系重合体(A1)と、その他のオレ
フィン系重合体(A2)と、エポキシ基と反応性を有す
る官能基(b1)を有するポリアリーレンスルフィド
(B)とを必須成分とし、かつ、ポリアリーレンスルフ
ィド(B)の含有量が組成物中5〜50重量%となる範
囲であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0009】本発明で使用する、エポキシ基を分子構造
中に有するオレフィン系重合体(A1)は、ポリオレフ
ィン構造部位を単量体重量基準で85%以上含有するこ
とが機械的特性及び靭性を著しく改善できると共に、成
形加工時のガスを発生を抑制できる点から好ましい。こ
こで、重合体(A1)を構成するポリオレフィン構造部
位としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチ
レン、ポリスチレン等が挙げられる。なかでも特に成型
物の機械的強度、耐熱性、耐薬品性等に優れる点からポ
リプロピレンが好ましい。また、ポリオレフィン構造部
位として、ポリプロピレンと他のオレフィン単位との共
重合構造であってもよい。他のオレフィン単位を構成す
るオレフィンとしては、例えばエチレン、スチレン、イ
ソブチレン等が挙げられる。この場合、ポリプロピレン
構造の含有率は原料単量体重量基準で95%以上である
ことが好ましい。また、ポリオレフィン構造部位は、ポ
リプロピレンオリゴマーであっても良い。
【0010】また、オレフィン系重合体(A1)中に含
有されるエポキシ基の量は、特に制限されないが、エポ
キシ変性量0.05〜0.5mmol/gなる範囲であ
ることがポリアリーレンスルフィド(B)との相溶性の
点から好ましい。なかでも、0.05〜0.3mmol
当量/gであることがより好ましい。また、組成物中の
エポキシ基の量としては、組成物中の全オレフィン量
((A1)成分と(A2)成分との合計重量)に対して
0.002〜0.3mmol/gであることが、相溶性
及びゲル化防止の効果が一層良好となる点から好まし
い。
【0011】オレフィン系重合体(A1)中にエポキシ
基を導入する方法としては、特に制限されるものではな
いが、前記ポリオレフィン構造部位を形成するオレフィ
ン系重合体と、エポキシ基含有重合性単量体とを共重合
さればよい。エポキシ基含有単量体としては、特に限定
されないが、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリ
シジル、エタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、
特にメタクリル酸グリシジルがポリアリーレンスルフィ
ド(B)との反応性の点から好ましい。
【0012】本発明で用いるオレフィン系重合体(A
1)は、前記エポキシ基含有重合性単量体と共に、その
他の重合性単量体と共重合させることができる。その場
合、その他の重合性単量体は、ポリオレフィン構造部位
の原料単量体基準の含有率が85%以上となる範囲で使
用することが好ましい。
【0013】その他の重合性単量体としては、具体的に
は、スチレン、メチルスチレン、ビニルスチレン、ビニ
ルトルエン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチ
レン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチ
レン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。
【0014】この様なオレフィン系重合体(A1)は、
特に分子量が特定されるものではないが、成形加工性、
耐熱性、機械的強度の点から数平均分子量1,000〜
1,000,000であることが好ましい。
【0015】この様なオレフィン系重合体(A1)を製
造する方法としては、特に制限されないが、具体的には
溶液法又は溶融混練法が挙げられる。
【0016】溶液法としては、ポリオレフィン構造部位
を形成するオレフィン系重合体、エポキシ基含有重合性
単量体、必要に応じてその他の重合性単量体、ラジカル
重合触媒を、キシレン等の有機溶媒に溶解させ、90〜
200℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。
また、溶融混練法としては、ポリオレフィン構造部位を
形成するポリオレフィン、エポキシ基含有重合性単量
体、必要に応じてその他の重合性単量体、ラジカル重合
触媒を、押出機に投入し溶融混練しながら反応させる方
法が挙げられる。
【0017】その他のオレフィン系重合体(A2)とし
ては、特に限定されないが、反応性官能基を有していな
いポリオレフィン(A2’)が好ましく、具体的には、
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリス
チレン等が挙げられる。なかでも特に成型物の機械的強
度に優れる点からポリプロピレンが好ましい。また、オ
レフィン系重合体(A2)としては、ポリプロピレンと
他のオレフィン単位との共重合構造であってもよい。他
のオレフィン単位を構成するオレフィンとしては、例え
ばエチレン、スチレン、イソブチレン等が挙げられる。
この場合、ポリプロピレン構造の含有率は原料単量体モ
ル基準で90%以上の範囲が好ましい。
【0018】また、本発明においては官能基を持たない
ポリオレフィン(A2’)と共に、エポキシ基以外の官
能基であって、後述するポリアリーレンスルフィド
(B)中の官能基(b1)と反応性を有する官能基(a
2”)を有するオレフィン系重合体(A2”)を併用す
ることにより、組成物のゲル化を良好に防止することが
できる。
【0019】オレフィン系重合体(A2”)中のポリオ
レフィン構造部位は、前記したポリオレフィン(A
1’)中で例示したものが何れも用いることができる。
また、上記ポリオレフィン構造部位の含有量は、原料単
量体重量基準で85%以上の範囲が成形加工時のガスを
発生を抑制できる点で好ましい。
【0020】オレフィン系重合体(A2”)中の官能基
(a2”)としては、特に制限されるものではないが、
例えば、カルボキシル基、酸無水物基、オキサゾリン
基、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、イソシアナート
基等が挙げられる。これらのなかでも、特に相溶性改善
効果の点、機械的強度、靭性の点から、特にカルボキシ
ル基並びに酸無水物基が好ましい。その場合、ポリアリ
ーレンスルフィド(B)中の官能基(b1)は、アミノ
基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、アミノ酸基、ア
ミノ酸塩基、チオール基、水酸基、アルコラート基、チ
オラート基から選択することができる。
【0021】オレフィン系重合体(A2”)中に含有さ
れる官能基(a2”)の量は、特に制限されないが、官
能基(a2”)変性量0.05〜0.5mmol/gと
なる範囲がポリアリーレンスルフィド(B)との相溶性
の点から好ましい。
【0022】また、組成物中の官能基(a2”)の量と
しては、組成物中の全オレフィン量((A1)成分と
(A2)成分との合計重量)に対して0.002〜0.
3mmol/gであることが好ましい。
【0023】オレフィン系重合体(A2”)中に、官能
基(a2”)を導入する方法は特に制限されるものでは
ないが、例えば、ポリオレフィン構造部位を形成するポ
リオレフィンに、官能基(a2”)を含有する重合性単
量体をグラフト重合させる方法が挙げられる。
【0024】官能基(a2”)を含有する重合性単量体
としては、カルボキシル基及び酸無水物基含有単量体が
好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチル
マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン
酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、フ
マル酸モノエチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸メ
チル、無水メチルマレイン酸、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられるが、特に無
水マレイン酸が好ましい。
【0025】この様なオレフィン系重合体(A2”)を
製造する方法としては、特に制限されないが、溶液法及
び溶融混練法が挙げられる。これらの溶液法及び溶融混
練法としては、具体的には、エポキシ基含有重合性単量
体の代わりに、官能基(a2”)を含有する重合性単量
体を用いる他は、前記した(A1)の場合と同様の方法
が挙げられる。
【0026】その他のオレフィン系重合体(A2)の分
子量は特に制限されないが、機械的強度の改善効果が顕
著である点から数平均分子量10,000〜1,00
0,000の範囲が好ましい。
【0027】次に、エポキシ基と反応性を有する官能基
(b1)を有するポリアリーレンスルフィド(B)は、
主とする構造単位が一般式:−Ar−S−(式中Arは
少なくとも一つの炭素六員環を含む2価の芳香族基を示
し、Sはイオウ原子で、nは1〜3の整数である。)で
示される重合体である。このポリアリーレン基を構成す
る2価の芳香族基としては、p−フェニレン基、m−フ
ェニレン基、2,6−ナフタレン基、4,4ビフェニレ
ン基、p,p’−ビベンジル基、及びこれらの各置換基
などが挙げられる。これらの内でも、各無置換基のp−
フェニレン基を有するポリフェニレンスルフィドが成形
加工性の点で好ましい。
【0028】ポリアリーレンスルフィド(B)は、分
岐、架橋構造を有しない実質上線状の分子構造であって
も、分岐や架橋の構造を有する線状の分子構造であって
もよい。
【0029】また、ポリアリーレンスルフィド(B)は
上記一般式−Ar−S−を繰り返し単位とするものであ
るが、その構造の一部に3価の芳香族基を導入してもよ
い。それによってポリマー鎖は分岐構造を取ることがで
きる。その場合、3価の芳香族基は結晶性の低下を防ぐ
ため1モル%以下であることが好ましい。
【0030】本発明で用いるポリアリーレンスルフィド
(B)は、前記一般式:−Ar−S−で表される構造の
みから構成されていても、他の構造単位を分子中に含ん
でいてもよいが、原料単量体基準で、前記一般式の構造
単位を少なくとも70モル%以上含有させることが、結
晶性やガラス転移点が向上し、成形性や耐熱性、耐薬品
性、機械的特性などが著しく優れたものとなり好まし
い。
【0031】ポリアリーレンスルフィド(B)が、前記
一般式で表される構造単位とその他の共重合構造単位と
を有する場合、その他の共重合構造単位としては特に制
限されるものではないが、例えば、ジフェニルケトン構
造、ジフェニルスルホニル構造、ジフェニルエーテル構
造が挙げられる。
【0032】ここでジフェニルケトン構造として、具体
的には、
【0033】
【化1】
【0034】ジフェニルスルホニル構造として、具体的
には、
【0035】
【化2】
【0036】ジフェニルエーテル構造として、具体的に
は、
【0037】
【化3】
【0038】が夫々挙げられる。
【0039】本発明で用いるポリアリーレンスルフィド
(B)は、ポリマー構造中にエポキシ基と反応性を有す
る官能基(b1)を有している。この官能基(b1)と
しては、特に制限されるものではないが、アミノ基、カ
ルボキシル基、カルボン酸塩基、アミノ酸基、アミノ酸
塩基、チオール基、水酸基、アルコラート基、チオラー
ト基等が挙げられる。具体的には、下記構造のものが夫
々挙げられる。
【0040】
【化4】
【0041】この様なポリアリーレンスルフィド(B)
は、その溶融粘度は特に限定されないが、耐熱性改善効
果の点から、315℃でのせん断速度100[1/s]
における溶融粘度が20〜1000[Pa・S]である
ことが好ましい。
【0042】本発明においては、ポリアリーレンスルフ
ィド(B)の含有量は(A1)成分、(A2)成分及び
(B)成分の合計に対して5〜50重量%となる範囲で
ある。当該範囲においてオレフィン系樹脂(A1)及び
(A2)に優れた耐熱性を付与することができる。この
範囲を超え、ポリアリーレンスルフィド(B)が過剰に
存在すると、(A1)成分及び(A2)成分よりなるマ
トリックス中におけるポリアリーレンスルフィド(B)
粒子の分散性が低下する。なかでも10〜40重量%の
範囲において一層この効果が顕著になり好ましい。
【0043】また、エポキシ基を有するオレフィン系重
合体(A1)の使用割合としては特に制限されるもので
はないが、エポキシ基を有するオレフィン系重合体(A
1)とポリアリーレンスルフィド(B)との重量比(A
1)/(B)が(1/10)〜(34/10)となる範
囲であることが、相溶性が一層向上し、機械的強度が良
好となり、また、溶融混練時や成形加工時の系のゲル化
防止によって、成形性及び成形品の伸びが改善される点
から好ましい。
【0044】また、エポキシ基を有するオレフィン系重
合体(A1)と、その他のオレフィン系重合体(A2)
との重量比(A1)/(A2)が(67/33)〜(3
/97)となる範囲であることが相溶性、及び、溶融混
練時や成形加工時の系のゲル化を良好に抑制できる点か
ら好ましい。
【0045】以上詳述した(A1)成分、(A2)成分
及び(B)成分から本発明の組成物を製造する方法は、
特に制限されないが、上記各成分、更に必要に応じて添
加剤を単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダーミキサ
ー、ニーダー、ミキシングロールなどの溶融混練機を用
いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0046】更に具体的には、上記各成分、更に必要に
応じて添加剤をミキサーで均一に混合し、押出機に供給
して290℃〜330℃で溶融混練し、ストランド状に
押し出されたものを冷却、次いで切断して組成物を調整
する方法が好ましい。
【0047】また、この製造方法においては、例えば、
(A1)成分、(A2)成分及び(B)成分、更に添加
剤を一括に押出機に導入して溶融混練しても良いし、ま
た、(A1)成分、(A2)成分及び添加剤の一部を溶
融混練した熱可塑性樹脂組成物を作成し、その後、得ら
れた熱可塑性樹脂組成物と(B)成分及び各種添加剤と
を、押出機に導入して溶融混練してもよい。
【0048】この様にして製造された本発明の組成物に
おいては、エポキシ基を分子構造中に有するオレフィン
系重合体(A1)と、エポキシ基と反応性を有する官能
基(b1)を有するポリアリーレンスルフィド(B)と
が、それぞれ有する官能基が相互に反応して一部架橋構
造を形成する。また、その他のオレフィン系重合体(A
2)として、エポキシ基以外の官能基であって、ポリア
リーレンスルフィド(B)中の官能基(b1)と反応性
を有する官能基(a2”)を有するオレフィン系重合体
(A2”)を併用する場合には、官能基(b1)、エポ
キシ基及び官能基(a2”)が相互に反応して一部架橋
構造を形成するものである。それによって、従来になく
優れた相溶性を発現するものである。
【0049】架橋部分の構造は特に限定されるものでは
ないが、まず、オレフィン系重合体(A1)中のエポキ
シ基と、上記ポリアリーレンスルフィド(B)中の官能
基(b1)との結合としては、例えば、
【0050】
【化5】 等が挙げられる。
【0051】本発明においては、上記各成分の他にさら
に、ポリフェニレンスルフィド(B)末端の官能基(b
1)と、オレフィン系重合体(A1)中のエポキシ基と
の反応を促進する目的で、樹脂組成物100重量部に対
しシランカップリング剤を0.2〜1重量部添加しても
良い。シランカップリング剤としては、ビニルシラン、
アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、クロ
ロシラン、メルカプトシラン、パーオキシシラン、並び
にこれらの高分子量シランカップリング剤などが挙げら
れるが、これに限定されるものではない。
【0052】本発明では、官能基(b1)とエポキシ基
との反応性を高める目的で、エポキシ硬化触媒を添加し
ても良い。本発明で用いられるエポキシ硬化触媒として
は公知の物が使用されるが、特に第三級アミン、第四級
アンモニウム塩、第三ホスフィンが好ましい。
【0053】本発明の樹脂組成物に対し、更に必要に応
じて顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、
滑剤、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、などの添加剤を使
用する事ができる。中でもポリプロピレンの熱分解によ
る分子量低下を抑制するために、酸化防止剤を添加する
ことが好ましい。使用する酸化防止剤としては、ヒンダ
ードアミン系、ヒンダードフェノール系、リン系、チオ
ール系等から一種類以上選択し、樹脂分100重量部に
対して0.1〜2重量%添加すると良い。
【0054】さらに本発明では、必要に応じて以下に示
す充填剤を同時に配合することができる。これらの充填
剤の形状としては、粉粒状、平板状、鱗片状、針状、球
状、中空状、繊維状等が挙げられる。具体的には、硫酸
カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、タルク、アルミ
ナ、珪砂、ガラス粉、金属粉、グラファイト、炭化珪
素、窒化珪素、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウ
ム、カーボンブラック等の粉粒状充填剤、雲母、ガラス
板、アルミフレークなどの金属箔、黒鉛などの平板状も
しくは鱗片状充填剤、金属バルーン、ガラスバルーン等
の中空状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト
繊維、ウィスカ、金属繊維、アスベスト等の繊維状充填
剤が挙げられる。
【0055】この様にして調整される樹脂組成物の成形
加工温度領域として、次の二種類のが挙げられる。
【0056】即ち、オレフィン系重合体(A1)及びオ
レフィン系重合体(A2)と、ポリアリーレンスルフィ
ド(B)とが共に溶融状態である領域、即ち、ポリアリ
ーレンスルフィド(B)の融点以上の温度領域である。
もう一方は、溶融状態のオレフィン系重合体(A1)及
びオレフィン系重合体(A2)の樹脂マトリックス内で
固体のポリアリーレンスルフィド(B)粒子が分散する
温度領域である。
【0057】どちらの温度領域でも成形加工可能である
が、特に後者の方が、オレフィン系重合体(A1)及び
オレフィン系重合体(A2)の熱分解がさらに抑制さ
れ、良好な機械特性を得ることができる。後者の温度領
域として具体的にはシリンダ温度を190℃〜250
℃、好ましくは210℃〜230℃の範囲が挙げられ
る。
【0058】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお実施例中、%及び部の表示は特に限定のない限
り重量基準である。
【0059】合成例1 ブラベンダー社(ドイツ)製の30mm二軸押出機をバ
レル温度200℃(但し、フィーダー部180℃)、ダ
イス温度210℃に設定した。粉末状のポリプロピレン
(B−101P、グランドポリマー社製)920部にイ
ルガノックス1010(チバガイキー社製安定剤)0.
5部、ステアリン酸カルシウム(安定剤)1部を混合し
た。スチレン50部、グリシジルメタクリレート30部
にパーヘキシン25B[ジメチル(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン]、日本油脂社製)2.5部を混合したも
のを、先の粉末ポリプロピレン配合物にドライブレンド
した。得られたドライブレンド物を押出機に供給し15
rpmにて溶融混練してグラフト反応を行い、ペレタイ
ザーを通して960部の生成物ペレットを得た。この方
法によって得られたエポキシ基含有ポリプロピレン系共
重合体を成分(A1)とする。また、下記エポキシ変性
量の測定法に従って測定した(A1)中のエポキシ基の
含有量は、0.1mmol/gであった。
【0060】また、各実施例及び比較例で配合する各成
分は以下の通りである。 成分(A1):上記方法にて作成したエポキシ基含有ポ
リプロピレン 成分(A2):反応性官能基を有しないポリプロピレン
(グランドポリマー株式会社製ポリプロピレン「J−1
03」) 成分(B) :300℃における溶融粘度が100(P
a.s)のリニア型ポリフェニレンスルフィド 酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ
ガイキー社製安定剤「イルガノックス1010」)
【0061】尚、実施例中の各種測定は次の通りであ
る。
【0062】[エポキシ変性量](A1)成分及び(A
2)成分を所定量配合したものに、塩酸/ピリジン/キ
シレン溶液を加え、160℃で攪拌しながら還流した
後、フェノールフタレイン指示薬を滴下し、N/10水
酸化カリウムアルコール溶液で適定。 [引張試験]射出成形により得らた引張特性測定用試験
片を下記条件にて測定した。
【0063】測定装置:島津オートグラフIS2000 試験方法:ASTM D−638
【0064】[アイゾット衝撃試験]射出成形により得
られたアイゾット衝撃値測定用試験片を下記条件にて測
定した。
【0065】測定装置:万能衝撃試験機、ユニバーサル
型、東洋精機製 試験方法:ASTM D−256
【0066】[荷重たわみ温度測定]射出成形により得
られた荷重たわみ温度測定用試験片を下記条件にて測定
した。
【0067】 測定装置:HDTテスターS3−FH、東洋精機製 試験方法:ASTM D−648
【0068】[加熱減量測定]前記手法にて溶融混練し
た樹脂組成物を冷却後ペレット化・乾燥し、下記条件に
て加熱減量を測定した。
【0069】設定温度に到達時における試料の重量をw
(0)、設定温度におけるホールド時間t分終了後の重
量をw(t)とし、 加熱減量(%)={w(0)−w(t)}/w(0) で表す。
【0070】測定試料重量:40mg 測定装置:THERMOFLEX TG8110、リガ
ク製 測定温度:210℃ ホールド時間:30分 測定温度到達までの昇温時間:20℃/min
【0071】[成形性]射出成形時のゲル化の発生状況
を下記の基準に従って評価した。 ○:押出溶融混練時のトルク上昇なし。射出成形性も良
好。 ×:射出成形は問題なくできたものの、押出溶融混練時
に若干のトルク上昇が生じ、ペレット中にゲル化物が確
認できた。
【0072】[分散状態]IZOD衝撃試験後の成形品
の破断面に金蒸着を施し、走査型電子顕微鏡で分散状態
を観察した。PPS分散粒子の50個の粒径の平均値を
平均粒子径とし、以下のように分類した。
【0073】 ◎:1μm以下 ○:1μm〜2μm △:2μm〜5μm ×:5μm以上
【0074】実験例1〜8 表1に示す組成に基づき、タンブラーを用いてドライブ
レンドし、その後バレル温度290℃に設定した二軸押
出機(TEM−35 東芝機械製)にて溶融混練し、押
し出したストランドを冷却固化後ペレット化して樹脂組
成物を得た。その後、シリンダ温度210℃、金型温度
40℃に設定された射出成形(IS−50M 東芝機械
製)を用いて、各種試験方法に適した成形品を作成し
た。表1の測定結果より、与えられた組成範囲内で樹脂
組成物を作成すると、ポリフェニレンスルフィド粒子が
ポリプロピレンマトリックス中に良好に分散し、機械特
性・耐熱性が良好な成形品が得られると共に、樹脂組成
物作成時並びに射出成形時にゲル化しないことがわかっ
た。
【0075】比較例1、2 組成を表2に基づき作成した以外は、実施例1〜7と同
様に成形品を作成した。表2の結果から明らかなよう
に、組成物中のエポキシ基含有ポリプロピレンの添加量
が指定範囲より少ないと、相溶化が不十分であるため良
好な機械物性が得られず、逆に過剰に添加すると、ゲル
化が顕著になりポリプロピレン成分の粘度増加のため分
散性も悪化することがわかる。
【0076】比較例3〜6 エポキシ基含有ポリプロピレン(A1)の代わりに、以
下に示すオレフィン系共重合体を用いたこと以外は実施
例3と同様に溶融混練により樹脂組成物を作成し、成形
温度210℃で射出成形を行った。表3から明らかなよ
うに、エラストマー成分を含むオレフィン系共重合体を
用いると耐熱性が悪く、また変性成分がエポキシ基以外
のとき分散性が低下する傾向がみられた。
【0077】[成分A’] 比較例3:エポキシ基含有エチレン系エラストマー(住
友化学製「ボンドファースト7M」) 比較例4:酸変性エチレン系エラストマー(住友化学製
「ボンダインLX−4110」) 比較例5:酸変性エチレン−プロピレン系エラストマー
(三井石油化学製「タフマーMC−201」) 比較例6:合成例1において、グリシジルメタクリレー
ト300重量部の代わりに、無水マレイン酸30重量部
としたこと以外は同様に合成した無水マレイン酸を含む
ポリプロピレン。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、オレフィン系樹脂にポ
リフェニレンスルフィドを用いて性能を改善するにあた
り、耐熱性の改良と共に引張強度や衝撃強度を改善する
ことができる。また、本発明においては、溶融混練時や
成形加工時におけるゲル化を抑制することもできる。
【0081】従って、本発明の組成物は、非強化系にお
いて耐熱性や強度が要求されるあらゆる用途において利
用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ基を分子構造中に有するオレフ
    ィン系重合体(A1)と、その他のオレフィン系重合体
    (A2)と、エポキシ基と反応性を有する官能基(b
    1)を有するポリアリーレンスルフィド(B)とを必須
    成分とし、かつ、ポリアリーレンスルフィド(B)の含
    有量が組成物中5〜50重量%となる範囲であることを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エポキシ基を有するオレフィン系重合体
    (A1)とポリアリーレンスルフィド(B)との重量比
    (A1)/(B)が(1/10)〜(34/3)である
    請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ基を有するオレフィン系重合体
    (A1)と、その他のオレフィン系重合体(A2)との
    重量比(A1)/(A2)が(67/33)〜(3/9
    7)である請求項1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアリーレンスルフィド(B)が、ポ
    リフェニレンスルフィドである請求項1、2又は3記載
    の組成物。
  5. 【請求項5】 エポキシ基を有するオレフィン系重合体
    (A1)中のエポキシ基の含有量が、0.05〜0.5
    mmol当量/gである請求項1、2、3又は4記載の
    組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014101467A (ja) * 2012-11-21 2014-06-05 Rikkyo Gakuin ポリプロピレンおよびポリエーテルスルホンを含む樹脂組成物
JP2016121207A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂粒子分散体、熱可塑性樹脂組成物、成形品、シート又はシートおよびそれらの製造方法

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JP2016121207A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂粒子分散体、熱可塑性樹脂組成物、成形品、シート又はシートおよびそれらの製造方法

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