JPH11147918A - 水可溶性抗菌ポリマーおよびそれからなるコンタクトレンズ用液剤 - Google Patents

水可溶性抗菌ポリマーおよびそれからなるコンタクトレンズ用液剤

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JPH11147918A
JPH11147918A JP9314021A JP31402197A JPH11147918A JP H11147918 A JPH11147918 A JP H11147918A JP 9314021 A JP9314021 A JP 9314021A JP 31402197 A JP31402197 A JP 31402197A JP H11147918 A JPH11147918 A JP H11147918A
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water
polymer
contact lens
meth
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Kazuhiko Nakada
和彦 中田
Sadanori Ono
定紀 大野
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Menicon Co Ltd
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    • C08F230/02Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and containing phosphorus, selenium, tellurium or a metal containing phosphorus
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    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
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    • AHUMAN NECESSITIES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 すぐれた抗菌性および安定性を有する水可溶
性抗菌ポリマー、ならびにこれを含有し、コンタクトレ
ンズの殺菌消毒や保存に好適に使用しうるコンタクトレ
ンズ用液剤を提供すること。 【解決手段】 一般式(I): 【化16】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜18のアルキル
基、X1はハロゲン原子を示す)で表わされる繰り返し
単位および/または一般式(II): 【化17】 (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1
〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜18のアルキル
基、X2はハロゲン原子を示す)で表わされる繰り返し
単位を有する水可溶性抗菌ポリマー、ならびに該水可溶
性抗菌ポリマーを含有してなるコンタクトレンズ用液
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水可溶性抗菌ポリ
マーおよびそれからなるコンタクトレンズ用液剤に関す
る。さらに詳しくは、すぐれた抗菌性および安定性を有
し、幅広い用途に利用することができる水可溶性抗菌ポ
リマー、ならびに該水可溶性抗菌ポリマーを防腐剤ない
し殺菌消毒剤として含有し、コンタクトレンズの殺菌消
毒や保存に好適に使用しうるコンタクトレンズ用液剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンタクトレンズの保存液に
は、通常防腐剤が添加されている。とくに、含水性のソ
フトコンタクトレンズは、含水性であるがゆえに細菌が
繁殖しやすいため、保存時に防腐作用が要求されるう
え、定期的な消毒も必要とされる。しかも、かかるソフ
トコンタクトレンズは、煮沸による加熱消毒以外に、殺
菌剤を用いた消毒も行なわれるようになってきている。
【0003】しかしながら、含水性のソフトコンタクト
レンズは、含水時に膨潤するものであるため、その材質
の分子間隙が開いてしまい、かかる間隙に比較的低分子
量の防腐剤や殺菌剤が吸収され、濃縮されるという問題
が生じる。さらに、このようにソフトコンタクトレンズ
中に吸収され、濃縮された防腐剤や殺菌剤の作用によ
り、眼組織に障害を与えるといった問題も指摘されてい
る。
【0004】そこで、前記問題を解決するために、分子
量が高くてコンタクトレンズ中に取り込まれにくく、し
かも抗菌作用を有するポリマーの開発が進められてきて
おり、たとえば抗菌性第4級アンモニウム基含有重合体
をコンタクトレンズの殺菌消毒に用いることが提案され
ている(特開平6−256421号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
鑑み、前記抗菌性第4級アンモニウム基含有重合体をコ
ンタクトレンズの殺菌消毒に用いたばあいの効果をさら
に向上せしめるべくなされたものであり、すぐれた抗菌
性および安定性を有し、しかも水可溶性であって液剤と
して利用価値が高い重合体、ならびにこの重合体を用
い、その重合体がコンタクトレンズに吸収されにくいコ
ンタクトレンズの保存ないし殺菌消毒用液剤を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 一般式(I):
【0007】
【化5】
【0008】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2は炭素数1〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜1
8のアルキル基、X1はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位および/または一般式(II):
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R4は水素原子またはメチル基、
5は炭素数1〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜1
8のアルキル基、X2はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位を有する水可溶性抗菌ポリマー、なら
びに 前記水可溶性抗菌ポリマーを含有してなるコンタクト
レンズ用液剤に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の水可溶性抗菌ポリマー
は、前記したように、一般式(I):
【0012】
【化7】
【0013】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2は炭素数1〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜1
8のアルキル基、X1はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位および/または一般式(II):
【0014】
【化8】
【0015】(式中、R4は水素原子またはメチル基、
5は炭素数1〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜1
8のアルキル基、X2はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位を有するポリマーであり、抗菌作用を
呈する成分である。
【0016】前記水可溶性抗菌ポリマーがすぐれた抗菌
性を有するのは、一般式(I)で表わされる繰り返し単
位中および一般式(II)で表わされる繰り返し単位中
に第4級ホスホニウム基が存在しているからであり、し
かも該抗菌ポリマーは安定性にすぐれ、高水可溶性を有
するのである。
【0017】本発明の水可溶性抗菌ポリマーとしては、
たとえば、一般式(III):
【0018】
【化9】
【0019】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2は炭素数1〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜1
8のアルキル基、X1はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる化合物(A−1)および/または一般式(IV):
【0020】
【化10】
【0021】(式中、R4は水素原子またはメチル基、
5は炭素数1〜8のアルキレン基、R 6は炭素数1〜1
8のアルキル基、X2はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる化合物(A−2)を含有した重合成分を重合させて
なるポリマー(以下、ポリマー(A)という)が好まし
く例示される。
【0022】前記化合物(A−1)および化合物(A−
2)は、その分子内に存在する第4級ホスホニウム基に
より、いずれも抗菌作用を呈する成分である。
【0023】なお、化合物(A−1)を表わす一般式
(III)、化合物(A−2)を表わす一般式(IV)
において、R2、R5はいずれも炭素数1〜8のアルキレ
ン基であるが、水可溶性を有意に保持するという点か
ら、かかるR2、R5はいずれも炭素数1〜4のアルキレ
ン基であることが好ましく、またR3、R6はいずれも炭
素数1〜18のアルキル基であるが、高い水可溶性およ
び抗菌活性が発現されるという点から、かかるR3、R6
はいずれも炭素数3〜12のアルキル基であることが好
ましい。なお、一般式(III)における3個のR
3は、すべて同一であってもよく、異なっていてもよ
い。一般式(IV)における3個のR6も、すべて同一
であってもよく、異なっていてもよい。
【0024】一般式(III)中のX1および一般式
(IV)中のX2は、いずれもハロゲン原子であり、た
とえば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられ
る。
【0025】前記化合物(A−1)の具体例としては、
たとえばトリ−n−ブチル(2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル)ホスホニウムクロライド、トリ−n−ヘ
キシル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホス
ホニウムクロライド、トリ−n−オクチル(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)ホスホニウムクロライ
ド、トリ−n−ブチル(2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチル)ホスホニウムブロマイド、トリ−n−ヘキシ
ル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスホニ
ウムブロマイド、トリ−n−オクチル(2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル)ホスホニウムブロマイド、ト
リ−n−ブチル(2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル)ホスホニウムアイオダイド、トリ−n−ヘキシル
(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスホニウ
ムアイオダイド、トリ−n−オクチル(2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル)ホスホニウムアイオダイドな
どがあげられる。
【0026】前記化合物(A−2)の具体例としては、
たとえばトリ−n−ブチル(4−ビニルベンジル)ホス
ホニウムクロライド、トリ−n−ヘキシル(4−ビニル
ベンジル)ホスホニウムクロライド、トリ−n−オクチ
ル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムクロライド、ト
リ−n−ブチル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムブ
ロマイド、トリ−n−ヘキシル(4−ビニルベンジル)
ホスホニウムブロマイド、トリ−n−オクチル(4−ビ
ニルベンジル)ホスホニウムブロマイド、トリ−n−ブ
チル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムアイオダイ
ド、トリ−n−ヘキシル(4−ビニルベンジル)ホスホ
ニウムアイオダイド、トリ−n−オクチル(4−ビニル
ベンジル)ホスホニウムアイオダイドなどがあげられ
る。
【0027】前記化合物(A−1)および化合物(A−
2)は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜
組み合わせて用いてもよい。これらのなかでは、えられ
るポリマーに水可溶性を付与する効果が大きいという点
から、トリ−n−ブチル(2−メタクリロイルオキシエ
チル)ホスホニウムクロライドおよびトリ−n−ブチル
(4−ビニルベンジル)ホスホニウムクロライドが好ま
しい。
【0028】重合成分中の化合物(A−1)および/ま
たは化合物(A−2)の量は、抗菌性の付与効果の発現
を考慮し、また後述する親水性モノマーや他の重合性モ
ノマーの量などとあわせて適宜調整することが望まし
い。
【0029】前記ポリマー(A)をうる際には、重合成
分全量が化合物(A−1)および/または化合物(A−
2)であってもよい(化合物(A−1)および/または
化合物(A−2)の量が重合成分全量の100重量%で
あってもよい)が、本発明においては、えられるポリマ
ー(A)の水可溶性をより向上させるために、重合成分
に、化合物(A−1)および/または化合物(A−2)
と共重合可能な親水性モノマーを含有させることが好ま
しい。
【0030】前記親水性モノマーの代表例としては、た
とえばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロ
ピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メ
タ)アクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルア
ミド;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピペリ
ドン、N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニルラク
タム;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メ
タ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。これらのなかで
は、えられるポリマー(A)の水可溶性が向上し、ポリ
マー(A)が適度な粘度を有するようになり、さらにか
かるポリマー(A)を後述するコンタクトレンズ用液剤
に用いた際に、かかるコンタクトレンズ用液剤の透明性
が向上するという点から、N,N−ジメチルアクリルア
ミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。
【0031】前記親水性モノマーを重合成分として用い
るばあい、化合物(A−1)および/または化合物(A
−2)と親水性モノマーとの割合[(化合物(A−1)
および/または化合物(A−2))/(親水性モノマ
ー)(重量比)]は、化合物(A−1)および/または
化合物(A−2)を用いたことによる抗菌性の付与効果
が充分に発現されるようにするために、5/100以
上、好ましくは10/100以上であることが望まし
く、また親水性モノマーを用いたことによる水可溶性の
向上効果が充分に発現されるようにするために、100
/50以下、好ましくは100/80以下であることが
望ましい。
【0032】前記ポリマー(A)をうる際には、重合成
分全量が化合物(A−1)および/または化合物(A−
2)と親水性モノマーとであってもよい(化合物(A−
1)および/または化合物(A−2)と親水性モノマー
との合計量が重合成分全量の100重量%であってもよ
い)が、本発明においては、さらに、化合物(A−1)
および/または化合物(A−2)ならびに親水性モノマ
ーと共重合可能な他の重合性モノマーを、本発明の目的
を阻害しない範囲で適宜重合成分に含有させてもよい。
【0033】他の重合性モノマーの代表例としては、た
とえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−
プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メ
タ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、
n−ドデシル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、t
−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)ア
クリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
ト、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレートなどの直鎖状、分岐鎖状また
は環状のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン;α
−メチルスチレン;メチルスチレン、エチルスチレン、
プロピルスチレン、ブチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、イソブチルスチレン、ペンチルスチレンなどのアル
キルスチレン;メチル−α−メチルスチレン、エチル−
α−メチルスチレン、プロピル−α−メチルスチレン、
ブチル−α−メチルスチレン、t−ブチル−α−メチル
スチレン、イソブチル−α−メチルスチレン、ペンチル
−α−メチルスチレンなどのアルキル−α−メチルスチ
レンなどがあげられる。
【0034】前記他の重合性モノマーは、単独でまたは
2種以上を混合して用いることができ、その量は、重合
成分の10重量%以下の範囲で、すなわち、化合物(A
−1)および/または化合物(A−2)ならびに親水性
モノマーの量が重合成分の90重量%以上となるよう
に、化合物(A−1)および/または化合物(A−2)
や親水性モノマーの量に応じて適宜調整し、重合成分全
量が100重量%となるようにすればよい。
【0035】本発明では、たとえば化合物(A−1)お
よび/または化合物(A−2)、親水性モノマー、他の
重合性モノマーなどを含有した重合成分を、たとえば前
記した量の範囲内で所望量を調整し、これにラジカル重
合開始剤を添加して通常の方法で重合させることによ
り、水可溶性抗菌ポリマーの一例であるポリマー(A)
をうることができる。
【0036】前記通常の方法とは、たとえばラジカル重
合開始剤を添加したのち、室温ないし、たとえば溶媒を
用いるばあいには、溶媒の沸点以下の温度範囲で徐々に
加熱するか、マイクロ波、紫外線、放射線(γ線)など
の電磁波を照射して重合を行なう方法である。加熱重合
させるばあいには、段階的に昇温させてもよい。重合は
塊状重合法によってなされてもよいし、たとえばテトラ
ヒドロフラン、アルコール類、トルエン、ジメチルホル
ムアミドなどの溶媒などを用いた溶液重合法によってな
されてもよく、またその他の方法によってなされてもよ
い。
【0037】前記ラジカル重合開始剤の代表例として
は、たとえばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジ
メチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。なお、光線などを
利用して重合させるばあいには、光重合開始剤や増感剤
をさらに添加することが好ましい。前記重合開始剤や増
感剤の量は、重合成分全量100部(重量部、以下同
様)に対して約0.001〜2部、なかんづく約0.0
1〜1部であることが好ましい。
【0038】かくしてえられるポリマー(A)などのポ
リマーを、たとえば水、メタノールや、これらの混合溶
液で洗浄後、脱気乾燥するなどして精製し、本発明の水
可溶性抗菌ポリマーをうることができる。
【0039】なお、かかる水可溶性抗菌ポリマーの水可
溶性とは、抗菌有効量のポリマーが水に可溶であること
をいう。
【0040】また、本発明の水可溶性抗菌ポリマーの重
量平均分子量は、たとえば後述するコンタクトレンズ用
液剤、とくに含水性ソフトコンタクトレンズ用液剤に用
いるばあい、コンタクトレンズ中に取り込まれるおそれ
をなくすために、2000以上、好ましくは3000以
上であることが望ましく、また該コンタクトレンズ用液
剤の粘度が高くなり、製造時などに取り扱い上の問題が
生じるおそれをなくすためには、1000000以下、
好ましくは800000以下であることが望ましい。な
お、かかる水可溶性抗菌ポリマーの重量平均分子量と
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、G
PCという)にて測定した値をいう。
【0041】かくして、本発明の水可溶性抗菌ポリマー
は、一般式(I):
【0042】
【化11】
【0043】(式中、R1は水素原子またはメチル基、
2は炭素数1〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜1
8のアルキル基、X1はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位および/または一般式(II):
【0044】
【化12】
【0045】(式中、R4は水素原子またはメチル基、
5は炭素数1〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜1
8のアルキル基、X2はハロゲン原子を示す)で表わさ
れる繰り返し単位を有するものである。
【0046】なお、本発明の水可溶性抗菌ポリマー中、
前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位および一般
式(II)で表わされる繰り返し単位は、それぞれいず
れかが含まれていてもよく、両方が含まれていてもよ
い。また、両方が含まれているばあい、これらはランダ
ム状態であってもよく、ブロック状態であってもよい。
【0047】また、一般式(I)中のR2、R3およびX
1ならびに一般式(II)中のR5、R6およびX2の好ま
しい態様は、たとえばそれぞれ前記化合物(A−1)を
表わす一般式(III)中のR2、R3およびX1ならび
に前記化合物(A−2)を表わす一般式(IV)中のR
5、R6およびX2の好ましい態様と同様である。
【0048】本発明のコンタクトレンズ用液剤は、前記
水可溶性抗菌ポリマーを含有したものである。
【0049】前記水可溶性抗菌ポリマーのコンタクトレ
ンズ用液剤中の含有量は、かかる水可溶性抗菌ポリマー
を用いたことによる防腐ないし殺菌消毒効果を充分に発
現させるためには、0.0001w/v%以上、好まし
くは0.001w/v%以上であることが望ましく、ま
た取り扱い上の簡便性のためには、10w/v%以下、
好ましくは5w/v%以下であることが望ましい。
【0050】本発明のコンタクトレンズ用液剤には、水
可溶性抗菌ポリマーのほかにも、たとえばキレート化
剤、緩衝剤、等張化剤などの通常コンタクトレンズの殺
菌消毒剤などに用いられる配合剤などが含有されていて
もよい。
【0051】前記キレート化剤は、コンタクトレンズ用
液剤などがコンタクトレンズに沈着するのを防ぐという
性質を有するものである。
【0052】キレート化剤は、眼科生理学的に許容しう
るものであればよく、とくに限定がないが、その代表例
としては、たとえばエチレンジアミン四酢酸およびその
ナトリウム塩、フィチン酸、クエン酸などがあげられ
る。
【0053】前記キレート化剤のコンタクトレンズ用液
剤中の含有量は、かかるコンタクトレンズ用液剤などが
コンタクトレンズに沈着するのを防ぐ効果を充分に発現
させるためには、0.001モル/リットル以上、好ま
しくは0.0015モル/リットル以上であることが望
ましく、またかかるキレート化剤の含有量があまりにも
多いばあいには、それ以上含有させることによる効果の
向上が小さく、かえって不経済となるので、0.1モル
/リットル以下、好ましくは0.05モル/リットル以
下であることが望ましい。
【0054】前記緩衝剤は、えられるコンタクトレンズ
用液剤のpHを、涙液に近い約5〜9の範囲で一定にす
るという性質を有するものである。
【0055】緩衝剤は、眼科生理学的に許容しうるもの
であればよく、とくに限定がないが、その代表例として
は、たとえばホウ酸とそのナトリウム塩、リン酸とその
ナトリウム塩、クエン酸とそのナトリウム塩、乳酸とそ
のナトリウム塩、グリシン、グルタミン酸などのアミノ
酸とそのナトリウム塩、リンゴ酸とそのナトリウム塩な
どがあげられる。
【0056】前記緩衝剤のコンタクトレンズ用液剤中の
含有量は、充分な緩衝効果を付与せしめるためには、
0.005モル/リットル以上、好ましくは0.01モ
ル/リットル以上であることが望ましく、またかかる緩
衝剤の含有量があまりにも多いばあいには、緩衝効果が
あまり高くならず、かえって浸透圧を高めるなどコンタ
クトレンズの形状に影響を及ぼすようになる傾向がある
ので、0.5モル/リットル以下、好ましくは0.15
モル/リットル以下であることが望ましい。
【0057】前記等張化剤は、えられるコンタクトレン
ズ用液剤の浸透圧を、涙液の浸透圧(280〜300m
Os/kg)に近づけるという性質を有するものであ
る。
【0058】等張化剤は、眼科生理学的に許容しうるも
のであればよく、とくに限定がないが、その代表例とし
ては、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カ
ルシウムなどの無機塩および前記緩衝剤があげられる。
【0059】前記等張化剤のコンタクトレンズ用液剤中
の含有量は、充分な浸透圧を付与せしめるためには、
0.01モル/リットル以上、好ましくは0.05モル
/リットル以上であることが望ましく、またかかる等張
化剤の含有量があまりにも多いばあいには、浸透圧が高
くなり、コンタクトレンズの形状に影響を及ぼすように
なる傾向があるので、0.5モル/リットル以下、好ま
しくは0.15モル/リットル以下であることが望まし
い。
【0060】なお、前記キレート化剤、緩衝剤および等
張化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用
いることができる。
【0061】本発明のコンタクトレンズ用液剤は、前記
したように、水可溶性抗菌ポリマーを有効成分として含
有し、さらに必要に応じて、たとえばキレート化剤、緩
衝剤、等張化剤などのそのほかの配合剤などの成分を含
有したものであるが、これらの媒体として、たとえば蒸
留水、精製水などの水などが配合されていればよい。な
お、かかる水などの水性媒体は、コンタクトレンズ用液
剤の全量が100%となるようにして用いればよい。
【0062】本発明のコンタクトレンズ用液剤は、たと
えば所定量の水性媒体中に水可溶性抗菌ポリマーを入
れ、さらに必要に応じてキレート化剤、緩衝剤、等張化
剤などの配合剤を適宜入れ、充分に混合撹拌して溶解さ
せ、濾過することによって調製することができる。
【0063】かくしてえられる本発明のコンタクトレン
ズ用液剤にコンタクトレンズを浸漬させることにより、
種々のコンタクトレンズを、もちろんその形状に影響を
及ぼすことなく保存したり、殺菌消毒することができ
る。
【0064】
【実施例】つぎに、本発明の水可溶性抗菌ポリマーおよ
びそれからなるコンタクトレンズ用液剤を実施例に基づ
いてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例の
みに限定されるものではない。
【0065】実施例1 撹拌子およびジムロートを取り付けた3つ口フラスコ
に、テトラヒドロフラン20g、トリ−n−ブチル(2
−メタクリロイルオキシエチル)ホスホニウムクロライ
ド10gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.01g
を入れ、水浴中にて50℃で6時間撹拌した。この反応
液を脱気乾燥し、えられたゲル状物を水とメタノールと
の混合溶液で洗浄したのち、再度脱気乾燥し、ポリマー
をえた。収量は4gであり、収率は、原料のトリ−n−
ブチル(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスホニウ
ムクロライド基準で40%であった。
【0066】つぎに、このポリマーの赤外吸収スペクト
ルを日本分光(株)製のFT−IR8300を用い、K
Br錠剤にして測定した。その結果、1640cm-1
C=C二重結合由来の吸収が消失しており、重合してい
ることが確認された。
【0067】この結果から、えられたポリマーは、式:
【0068】
【化13】
【0069】で表わされる繰り返し単位を有するもので
あることが確認された。
【0070】つぎに、GPC(溶離液:100mMホウ
酸、pH9.1)にてこのポリマーの重量平均分子量を
測定したところ、約45000であった。
【0071】実施例2 実施例1において、トリ−n−ブチル(2−メタクリロ
イルオキシエチル)ホスホニウムクロライド10gのか
わりに、トリ−n−オクチル(4−ビニルベンジル)ホ
スホニウムクロライド5gおよびN−ビニル−2−ピロ
リドン5gを用いたほかは実施例1と同様にしてポリマ
ーをえた。収量は4gであり、収率は、原料のトリ−n
−オクチル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムクロラ
イドおよびN−ビニル−2−ピロリドン基準で40%で
あった。
【0072】つぎに、このポリマーの赤外吸収スペクト
ルを実施例1と同様にして測定した。その結果、163
7cm-1のC=C二重結合由来の吸収が消失しており、
重合していることが確認された。
【0073】この結果から、えられたポリマーは、式:
【0074】
【化14】
【0075】で表わされる繰り返し単位および式:
【0076】
【化15】
【0077】で表わされる繰り返し単位を有するもので
あることが確認された。
【0078】つぎに、実施例1と同様にしてこのポリマ
ーの重量平均分子量を測定したところ、約30000で
あった。
【0079】実施例3 実施例1でえられたポリマーを蒸留水に添加し、室温で
撹拌してポリマーを溶解させ、ポリマーの含有量が20
0ppm(重量)の液剤を調製した。
【0080】つぎに、この液剤について、米国薬局方
(United Sates Pharmacopoeia)にしたがい、生物チャ
レンジ試験法(organism challenge test)を用いてつ
ぎのような防腐効力試験を行なった。
【0081】調製した液剤を試料として、グラム陽性
Staphylococcus aureus)およびグラム陰性(Escheri
chia coli)の増殖性細菌(vegetative bacteria)をそ
れぞれ1×106個接種したところ、24時間後には、
グラム陽性の細菌が2×103個に、グラム陰性の細菌
が3×103個にそれぞれ減少していた。
【0082】その結果、この液剤は、実施例1でえられ
たポリマーによってすぐれた抗菌性が付与されたもので
あることがわかった。
【0083】なお、この実施例1でえられたポリマーの
200ppm液剤がこのような抗菌効果を有し、またこ
のポリマーの20℃での水への溶解度が1g以上である
ことから、このポリマーの水可溶性が確認された。
【0084】実施例4 実施例3において、実施例1でえられたポリマーのかわ
りに実施例2でえられたポリマーを用いたほかは実施例
3と同様にして液剤を調製し、防腐効力試験を行なった
ところ、24時間後には、グラム陽性の細菌が1×10
4個に、グラム陰性の細菌が1×104個にそれぞれ減少
していた。
【0085】その結果、この液剤は、実施例2でえられ
たポリマーによってすぐれた抗菌性が付与されたもので
あることがわかった。
【0086】なお、この実施例2でえられたポリマーの
200ppm液剤がこのような抗菌効果を有し、またこ
のポリマーの20℃での水への溶解度が1g以上である
ことから、このポリマーの水可溶性が確認された。
【0087】
【発明の効果】本発明の水可溶性抗菌ポリマーは、すぐ
れた抗菌性を有し、分解しにくく、安定であり、しかも
水可溶性であって液剤として利用価値が高いものであ
る。
【0088】したがって、前記水可溶性抗菌ポリマーを
用いてえられる本発明のコンタクトレンズ用液剤は、該
水可溶性抗菌ポリマーがコンタクトレンズ内に吸収され
にくく、コンタクトレンズの殺菌消毒や保存に好適に使
用することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
    〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜18のアルキル
    基、X1はハロゲン原子を示す)で表わされる繰り返し
    単位および/または一般式(II): 【化2】 (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1
    〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜18のアルキル
    基、X2はハロゲン原子を示す)で表わされる繰り返し
    単位を有する水可溶性抗菌ポリマー。
  2. 【請求項2】 一般式(III): 【化3】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数1
    〜8のアルキレン基、R3は炭素数1〜18のアルキル
    基、X1はハロゲン原子を示す)で表わされる化合物
    (A−1)および/または一般式(IV): 【化4】 (式中、R4は水素原子またはメチル基、R5は炭素数1
    〜8のアルキレン基、R6は炭素数1〜18のアルキル
    基、X2はハロゲン原子を示す)で表わされる化合物
    (A−2)を含有した重合成分を重合させてなるポリマ
    ーである請求項1記載の水可溶性抗菌ポリマー。
  3. 【請求項3】 重合成分が化合物(A−1)および/ま
    たは化合物(A−2)と共重合可能な親水性モノマーを
    含有したものである請求項2記載の水可溶性抗菌ポリマ
    ー。
  4. 【請求項4】 化合物(A−1)および/または化合物
    (A−2)と親水性モノマーとの割合[(化合物(A−
    1)および/または化合物(A−2))/(親水性モノ
    マー)(重量比)]が5/100以上である請求項3記
    載の水可溶性抗菌ポリマー。
  5. 【請求項5】 重量平均分子量が2000〜10000
    00である請求項1、2、3または4記載の水可溶性抗
    菌ポリマー。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5記載の水
    可溶性抗菌ポリマーを含有してなるコンタクトレンズ用
    液剤。
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EP98121641A EP0916682A1 (en) 1997-11-14 1998-11-12 Water-soluble antibacterial polymer and liquid formulation comprising it for contact lenses
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