JPH07258003A - 新規な抗菌性組成物及びそれを用いた殺菌方法 - Google Patents

新規な抗菌性組成物及びそれを用いた殺菌方法

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JPH07258003A
JPH07258003A JP5600694A JP5600694A JPH07258003A JP H07258003 A JPH07258003 A JP H07258003A JP 5600694 A JP5600694 A JP 5600694A JP 5600694 A JP5600694 A JP 5600694A JP H07258003 A JPH07258003 A JP H07258003A
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polymer
antibacterial composition
free chlorine
reaction product
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Application number
JP5600694A
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English (en)
Inventor
Atsushi Kawai
厚 河合
Hideaki Kamiya
英昭 神谷
Satoshi Hashimoto
智 橋本
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Tomey Technology Corp
Original Assignee
Tomey Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い抗菌スペクトルを有し、染料の褪色や素
材の材質劣化等の問題がなく、また不快な臭気、強い刺
激及び生体に対する毒性を呈さない抗菌性組成物であっ
て、乾燥状態とされても、抗菌性を安定に保持し得る新
規な抗菌性組成物を提供することを目的とし、またそれ
を用いた殺菌方法を提供することをも、目的とする。 【構成】 抗菌性組成物の有効成分として、1級若しく
は2級アミノ基、イミノ基、−CONH2 基、及び−C
ONH−基からなる群より選ばれた少なくとも1種以上
のN含有官能基を有する高分子と遊離塩素との反応によ
り得られる反応生成物を含有せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、広い抗菌スペクトルを有し、染
料の褪色や素材の材質劣化等が惹起されることのない、
不快な臭気や強い刺激性等を有していない抗菌性組成物
に係り、特に乾燥状態とされても、抗菌作用が安定に保
持され得る新規な抗菌性組成物に関するものである。ま
た、本発明は、そのような新規な抗菌性組成物を用いた
殺菌方法にも関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、ハロゲン乃至はハロゲン含有化
合物、例えば次亜塩素酸等の遊離塩素は、非常に強力な
漂白剤或いは抗菌剤として有効であることが知られてい
る。しかしながら、その反面、遊離塩素は、それが有し
ている強い酸化力のために、染料やプラスチック等と反
応することとなって、その結果、染料の褪色や素材の材
質劣化等を惹起するという問題を有している。そこで、
遊離塩素の高い反応性に起因するこのような問題を解消
する方策として、遊離塩素の有効濃度を低濃度にして、
反応性を抑制することが考えられる。ところが、遊離塩
素は、その有効濃度を低濃度に保持しようとすると、殺
菌用容器内に存在する微量の有機物(不純物)や容器に
付着している汚れ、或いは容器内に混入する大気中の塵
等とも直ぐに反応して消失してしまうところから、有効
濃度を低濃度に維持し得ず、そのために、所望する殺菌
効果が充分に発揮されなくなるのである。また、遊離塩
素は、水溶液状態でしか存在し得ないために、乾燥せし
めて固体とすることが出来なかったり、通常、水溶液の
状態においても、溶存している成分が一部揮発するため
に、生体に対する強い刺激性や毒性を呈したりする等の
問題を内在しており、使用上の取扱いが非常に面倒であ
ったのである。
【0003】このように、遊離塩素は種々の問題点を有
しているために、その殺菌剤としての使用が少なからず
制限されているのであり、このため、そのような問題を
解決し得る、取扱いが容易であって、安定な抗菌作用を
有する抗菌性組成物の提供が望まれているのである。
【0004】ところで、このような問題を解決する抗菌
性組成物の一つとして、特開平4−224518号公報
には、ポリビニルピロリドンと次亜塩素酸との反応によ
り得られる反応生成物が、明らかにされている。しか
し、かかる抗菌性組成物にあっては、従来の抗菌性組成
物で問題であった点を或る程度は解消しているものの、
それを一度乾燥状態にしてから再び溶液状態に調製した
場合には、充分に抗菌性が発揮され得ない等の問題が内
在している。このため、前述した従来の問題を解決する
と共に、固体状態とされても抗菌性が減弱することのな
い、抗菌性をより安定に保持し得る抗菌性組成物の開発
が、強く望まれているのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景として為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、従来の抗菌性組成物において惹起されている染
料の褪色や素材の材質劣化等の問題が有利に改善され得
ると共に、固体状態とされても、抗菌性を安定に保持し
得る新規な抗菌性組成物を提供することにある。また、
本発明は、かかる抗菌性組成物を用いた殺菌方法を提供
することをも、その課題とする。
【0006】
【解決手段】そして、上記の課題を解決するために、本
発明にあっては、1級若しくは2級アミノ基、イミノ
基、−CONH2 基、及び−CONH−基からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種以上のN含有官能基を有する
高分子と遊離塩素との反応により得られる反応生成物
を、有効成分として含有する新規な抗菌性組成物を、そ
の要旨とするものである。
【0007】なお、かかる本発明に従う抗菌性組成物の
好ましい態様によれば、前記高分子は、1級若しくは2
級アミノ基、イミノ基、−CONH2 基、及び−CON
H−基からなる群より選ばれた少なくとも1種以上のN
含有官能基を有するN含有不飽和モノマーとその他の不
飽和モノマーとの共重合体から構成されており、更にそ
の好ましい態様によれば、前記高分子を構成する共重合
体は、前記N含有不飽和モノマーを少なくとも1モル%
以上の割合において結合含有している。また、本発明の
一つの有利な態様によれば、前記共重合体からなる高分
子は、前記N含有不飽和モノマーを1〜60モル%の割
合において結合含有し、且つ該高分子を用いて形成され
た反応生成物が水膨潤性ゲルを与えるものである。
【0008】また、本発明に従う抗菌性組成物の望まし
い態様によれば、前記N含有官能基を有する高分子と反
応せしめられる遊離塩素としては、次亜塩素酸が選択さ
れることとなる。
【0009】さらに、本発明にあっては、1級若しくは
2級アミノ基、イミノ基、−CONH2 基、及び−CO
NH−基からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の
N含有官能基を有する高分子と遊離塩素との反応により
得られる前記反応生成物を溶解若しくは水膨潤状態で存
在せしめた水性媒体中に、殺菌されるべき物体を浸漬す
ることからなる殺菌方法をも、その要旨とするものであ
り、その好ましい態様によれば、前記殺菌されるべき物
体は、コンタクトレンズである。
【0010】
【作用・効果】要するに、本発明に従う抗菌性組成物に
は、1級若しくは2級アミノ基、イミノ基、−CONH
2 基、及び−CONH−基からなる群より選ばれた少な
くとも1種以上のN含有官能基を有する高分子と遊離塩
素との反応により得られる反応生成物が、有効成分とし
て含有せしめられているのであり、これにより、従来の
抗菌性組成物における問題が悉く解決され得ることとな
ったのである。
【0011】すなわち、一般に、水中に溶存している遊
離塩素は、分子状塩素:Cl2 、次亜塩素酸:HOC
l、次亜塩素酸イオン:OCl- の3種類の形態をとる
のであるが、液性が中性領域の場合には、大部分の遊離
塩素は次亜塩素酸:HOClの形態で存在している。そ
して、かかる次亜塩素酸:HOClと前記N含有官能基
を有する高分子とは、下記の式(1)若しくは式(2)
に示されているように反応して、本発明に従う抗菌性組
成物の有効成分たるモノクロラミン(−NHCl)やジ
クロラミン(−NCl2 )等のクロラミン類(結合塩
素)を生成するのである。なお、この反応は速やかに完
結して、この時に生成するクロラミンは、安定で、他の
要因が加わらなければ、長時間変化しない。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】そして、本発明者らの検討によれば、この
ようにして得られた反応生成物(クロラミン類)が極め
て有効な抗菌作用を有し、優れた抗菌性組成物を与える
ことが明らかとなったのである。即ち、そのような反応
組成物は、それが水溶性であれば、該反応生成物自身の
抗菌力も作用するし、また水膨潤性ゲルの形態である場
合にも、前記の式(1)や式(2)にて示される反応が
平衡反応であり、そのため反応生成物たるクロラミン類
は、その加水分解反応で系に遊離塩素を放出することと
なり、そしてその生成する遊離塩素によって抗菌性を発
現するのであり、また発生した遊離塩素が消費されて
も、前記加水分解反応が化学平衡反応であるところか
ら、水膨潤性ゲル内の遊離塩素濃度は略一定に保たれて
おり、安定した抗菌作用を示すのである。
【0015】しかも、かかる反応生成物(クロラミン
類)は、前記ハロゲン及びハロゲン化合物よりも反応性
が低いところから、従来において問題であった染料の褪
色や素材の材質劣化等が惹起されることがないのであ
り、そのために、抗菌性組成物の濃度を低濃度に維持す
る必要もなくなるのである。また、クロラミン類は揮発
性を有していないところから、不快な臭気や生体に対す
る強い刺激性及び毒性を呈することもないのであり、更
にクロラミン類は、固体状態にされても、分解されるこ
となく、安定して存在し得るところから、乾燥して固体
とされた場合にも、抗菌性を安定に保持することが可能
なのである。
【0016】それ故に、本発明に従う抗菌性組成物にあ
っては、従来において面倒であった取扱い上の諸問題を
悉く解決し得て、以て取扱いが非常に簡便、容易となる
のである。
【0017】なお、本発明に従う抗菌性組成物において
は、それを構成する前記高分子が、N含有官能基を有す
るN含有不飽和モノマーとその他の不飽和モノマーとの
重合体とされていてもよく、前記不飽和モノマーの重合
比率を適宜に選択することにより、遊離塩素との反応で
生成するクロラミン類の量が有利に調整され得る特徴を
有している。
【0018】さらに、本発明に従う殺菌方法では、前記
抗菌性組成物を溶解若しくは水膨潤状態で存在せしめた
水性媒体中に、殺菌されるべき物体を浸漬せしめるもの
であるところから、水性媒体中に存在する抗菌性組成物
そのもの又はかかる組成物の加水分解で生成する遊離塩
素の作用により、前記殺菌されるべき物体は有効に殺菌
され得るのである。
【0019】
【具体的構成】ところで、本発明において、抗菌性組成
物の有効成分たる反応生成物を構成している、1級若し
くは2級アミノ基、イミノ基、−CONH2 基、及び−
CONH−基からなる群より選ばれた少なくとも1種以
上のN含有官能基を有する高分子(以下、N含有官能基
を有する高分子という)としては、具体的には、ポリア
クリルアミド類、ポリアリルアミン類、ポリペプチド
類、ポリスチリルアミン類等を挙げることが出来る。ま
た、反応生成物に含有される結合塩素の量を調整するた
めに、前記N含有官能基を有する高分子には、アクリル
アミドやアリルアミン等の前記N含有基の少なくとも1
種を有するN含有不飽和モノマーと他の不飽和モノマー
とを組み合わせて、共重合させたものを用いることも可
能であり、その組み合わせられる他の不飽和モノマーと
しては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)クリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、
酢酸ビニル、スチレン、アルキルスチレン等の疎水性モ
ノマーや、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N
−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド
等の親水性モノマーを挙げることが出来る。なお、これ
ら各種の高分子の中では、入手しやすいという点から、
ポリアクリルアミド類、ポリアリルアミン類や、それら
を与えるN含有不飽和モノマーを含む共重合体、或いは
陰イオン交換樹脂が、好適に使用されることとなる。
【0020】なお、かかる抗菌性組成物を与える高分子
中のN含有不飽和モノマーの占める割合は、抗菌性組成
物が水に溶解せしめられて使用される場合には、1モル
%以上であれば、特に限定されない。一方、水膨潤性ゲ
ルとして用いられる場合には1〜60モル%とされ、好
ましくは3〜50モル%、より好ましくは5〜20モル
%とされる。何故ならば、抗菌性組成物を与える高分子
中におけるN含有不飽和モノマーの割合が1モル%未満
であると、遊離塩素との反応で生成する結合塩素の量が
少なくなり、水に溶解せしめられて用いられる場合で
も、水膨潤性ゲルとして用いられる場合でも、抗菌性が
不充分となるからである。また、抗菌性組成物を与える
高分子中のN含有不飽和モノマーの割合が60モル%を
越える場合には、クロラミン類を均一に形成するために
は、大量の遊離塩素と反応せしめることが必要となる
が、そのような大量の遊離塩素と反応せしめられること
により、抗菌性組成物の骨格を形成する高分子鎖を切断
し、その結果、ゲル強度の低下等の問題が生じやすくな
るのである。一方、少量の遊離塩素と反応せしめてクロ
ラミン類を生成させると、抗菌性組成物内のクロラミン
類の生成が不均一となり、そのような抗菌性組成物にあ
っては、水膨潤性ゲルのように非流動性の状態で使用す
ると、充分な抗菌性の効果が発揮されないことがあるか
らである。
【0021】また、水溶性の抗菌性組成物として用いら
れる際、その分子量は殺菌する対象物によって適宜に選
択されることとなる。例えば、シャーレや手術用の注射
筒等の硝子類を消毒する場合には、約1000〜数百万
の分子量のものが用いられ、含水性コンタクトレンズ等
の含水性ゲルを殺菌する場合には、10000〜数百万
の分子量のものが用いられることとなる。けだし、分子
量が10000未満である場合には、前記ゲル内部に抗
菌性組成物が侵入する虞があり、もしそのような場合に
は、例えばゲルが含水性コンタクトレンズであると、レ
ンズ内に侵入した抗菌性組成物がレンズ装用中に徐々に
滲み出て、眼組織に対する刺激や悪影響等を及ぼすから
であり、また分子量が数百万を越えるポリマーでは、水
溶液で用いる場合に粘度が高くなり過ぎて、実用性に乏
しくなるからである。
【0022】本発明では、かくの如きN含有官能基を有
する高分子に対して遊離塩素を反応させて、目的とする
抗菌性組成物を与える反応生成物を形成するものである
が、その際の混合比は、N含有官能基1個に対して遊離
塩素1/3〜2個の割合、好ましくは1/2〜2個の割
合となるようにされる。勿論、本質的に全ての遊離塩素
が反応する量(N含有官能基1個に対して2個)以上で
あっても何等差し支えないが、効率よく製造するために
は、前記の範囲が好ましく、また遊離塩素の比率が1/
3よりも低くなると、結合塩素の生成量が不充分とな
り、抗菌性組成物として殺菌効果を充分に発現し難くな
るからである。
【0023】なお、それらN含有官能基を有する高分子
と遊離塩素とは、混合するだけで、充分に反応するもの
であるが、必要に応じて約30〜100℃、好ましくは
40〜80℃に加熱することにより、反応を早く進行さ
せることができる。また、反応時間は、遊離塩素を日本
薬学会編「衛生試験法・注解1990」(金原出版)の
p.947に記載されている水質試験法(DPD酸化比
色法による定量)に従って測定、定量することによっ
て、進行状況を把握しながら、自由に調整し得るが、通
常、1時間〜24時間とされる。
【0024】そして、このようにして得られた反応生成
物を水溶性の抗菌性組成物として使用する場合には、必
要に応じて、その水溶液に、緩衝剤、等張化剤等が適宜
に添加されることとなる。ここで、緩衝剤は、かかる水
溶液のpHを安定させるために用いられる成分であり、
好ましくはpHを6.0〜7.5程度に安定させるもの
である。なお、そのような緩衝剤の具体例としては、リ
ン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩等が挙げられ、それらの塩類
は、単独で又は2種類以上を混合して使用される。ま
た、その濃度は、通常、ガラスや汎用プラスチックの製
品等の殺菌に際しては、特に考慮する必要はないが、殺
菌される対象物によっては0.2mol/L以下、好ま
しくは0.005〜0.05mol/Lとなるように調
整される。けだし、例えばコンタクトレンズ類の殺菌に
おいて、抗菌性組成物の水溶液たる処理溶液内の緩衝剤
の濃度が0.2mol/Lを越えると、等張化剤等を合
わせた処理溶液中の溶質濃度が高くなり過ぎて、浸透圧
が高くなり過ぎることとなるので、このような処理溶液
で殺菌せしめられたコンタクトレンズは、装用時に、眼
刺激を生じてしまうからである。
【0025】また、等張化剤は、抗菌性組成物の水溶液
たる処理溶液の浸透圧を調製するために用いられ、その
ような等張化剤としては、具体的には、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム
等が挙げられるが、中でも入手の容易さやコスト等の点
から、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が好適に用いら
れる。そして、それらの等張化剤にあっても、その使用
時の濃度は前記緩衝剤と同様に殺菌される対象物により
調整される必要があり、例えばコンタクトレンズ類の殺
菌に際しては、前記緩衝剤と合わせて、処理溶液の浸透
圧が250〜350mmol/kgとなるような濃度と
して0.01〜1mol/Lに調整され、好ましくは
0.1〜0.5mol/Lとなるように調整されるので
ある。なお、等張化剤の濃度が1mol/Lを越える
と、例えばコンタクトレンズ類の殺菌に用いられる場合
には、処理溶液の浸透圧が高くなり過ぎて、コンタクト
レンズが変形したり、コンタクトレンズ装用時に眼刺激
を生じるようになり、好ましくないのである。
【0026】なお、前記反応成生物が、水不溶性の抗菌
性組成物として用いられる場合においても、上述した水
溶性の抗菌性組成物と同様に、緩衝剤、等張化剤等を、
該抗菌性組成物を存在せしめた処理液中に添加してもよ
く、その添加量は、前記水溶性の抗菌性組成物の場合と
同様である。
【0027】そして、本発明に従う殺菌方法において
は、上記の如き抗菌性組成物を水溶液状態若しくは水膨
潤性ゲル状態で存在せしめた水性媒体中に、殺菌される
べき物体を浸漬することにより、その殺菌操作が実施さ
れるのであるが、その際、従来のハロゲン及びハロゲン
化合物を用いた殺菌方法において問題であった染料の褪
色や素材の材質劣化等の悪影響は全く認められないので
ある。また、不快な臭気や生体に対する強い刺激性及び
毒性を呈することもなく、有効な殺菌作用が実現される
のである。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、
本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制
約をも受けるものでないことは、言うまでもないところ
である。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更
には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0029】実施例 1 アクリルアミドポリマー(平均分子量:50000)の
10%水溶液(和光純薬株式会社製)の50mLに次亜
塩素酸ナトリウム水溶液(塩素濃度:約5%)の5mL
を添加して、これを攪拌しながら70℃に加熱し、1時
間反応せしめた。この得られた反応溶液中の遊離塩素濃
度を、日本薬学会編「衛生試験法・注解1990」(金
原出版)のp.947に記載されている水質試験法(D
PD酸化比色法による定量)に従って測定したところ、
反応溶液中の遊離塩素は殆ど検出されなかった。
【0030】その後、かかる反応溶液(p−AAm)を
0.05%のリン酸緩衝液で4倍に希釈して、シュード
モナス・アエルギノーザ(Ps. aeruginosa) 、ストレプ
トコッカス・アウレウス(St. aureus)、イー・コリ(E.
coli) 、セラチア・マルセセンス(Se. marsecens) の4
種の菌に対して抗菌性評価試験を行い、一定時間経過後
の生菌数を計数して、その結果を、下記表1に示した。
この表1の結果から明らかなように、本発明に従う抗菌
性組成物は優れた殺菌力を有していることが認められる
のである。
【0031】
【表1】
【0032】実施例 2及び比較例 1 2−ヒドロキシエチルメタクリレートの77.2モル%
とアクリルアミド(AAm)の22.6モル%に、架橋
剤としてのエチレングリコールジメタクリレートの0.
13モル%と開始剤たる2,2′−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)の0.07モル%を加えてポ
リプロピレン製管に流し込み、50℃、24時間の条件
で重合した後、これを80℃で6時間加熱して、18m
mφの棒材を得た。一方、比較のために、前記アクリル
アミドの代わりに、N−ビニルピロリドン(NVP)を
用いて、その他は同じ組成としたものを、前記と同様の
条件で重合して、棒材を得た。
【0033】かくして得られた各棒材を、径が16mm
φで、厚みが2mmの円盤状の供試片を与えるように切
削し、得られたそれぞれの20枚ずつを100mLの蒸
留水に浸漬して、1時間煮沸し、未反応モノマー及び未
架橋ポリマーを溶出させて除去した。更に、その後、新
たに蒸留水を入れ換えて煮沸し、同様な操作を5回繰り
返した。
【0034】次に、このようにして得られた供試片をそ
れぞれ100mLの蒸留水に浸漬して、次亜塩素酸ナト
リウム溶液(塩素濃度約5%)の5mLをそれぞれに添
加せしめ、攪拌しながら60℃に加熱し、6時間反応さ
せた後に、その反応液中の遊離塩素濃度を実施例1と同
様の方法(DPD酸化比色法による定量)で測定したと
ころ、反応溶液中には、遊離塩素は殆ど検出されなかっ
た。
【0035】その後、こうして得られたAAmを共重合
せしめたものを実施例2の抗菌性組成物とし、またNV
Pを共重合させたものを比較例1の抗菌性組成物とし
て、それらのそれぞれ3枚ずつを、実施例1で用いられ
たものと同種の各微生物が懸濁せしめられた生理食塩水
10mLに投入して抗菌性評価試験を行ない、一定時間
経過後の生菌数を計数して、その結果を、下記表2に示
した。この表2の結果より、実施例2の抗菌性組成物で
も、比較例1の抗菌性組成物でも、同程度の殺菌力を有
していることが理解される。
【0036】
【表2】
【0037】しかしながら、ここで得られた抗菌性組成
物を一度乾燥させ、再び生理食塩水で膨潤させたものの
シュードモナス・アエルギノーザ(Ps. aeruginosa) に
対する抗菌性評価試験を実施し、一定時間経過後の生菌
数を計数して、その結果を、下記表3に示したが、その
結果より、本発明に従う実施例2の抗菌性組成物は、乾
燥されても、抗菌力を有効に保持しているのに対して、
比較例1のNVPを高分子とした組成物は、乾燥させる
ことで、抗菌力がかなり低下することが明らかとなっ
た。
【0038】
【表3】
【0039】比較例 2 さらに、次亜塩素酸と反応させないこと以外は、実施例
2と同様に処理して得られた組成物の、シュードモナス
・アエルギノーザ(Ps. aeruginosa) 、ストレプトコッ
カス・アウレウス(St. aureus)に対する抗菌性評価試験
を行ない、一定時間経過後の生菌数を計数して、その結
果を、下記表4に示した。この表4の結果から、比較例
2の次亜塩素酸を作用させていないものは、クロラミン
が形成されていないために、抗菌性を示さないことが理
解されるのである。
【0040】
【表4】
【0041】実施例 3、4 実施例2で得られた抗菌性組成物を6枚、乾燥状態のま
まで、空気中に室温で3ヵ月放置した(実施例3)。ま
た、これとは別に、1度乾燥させたもの6枚を50mL
の生理食塩水に浸漬して3ヵ月放置した(実施例4)。
こうして得られたそれぞれの抗菌性組成物のシュードモ
ナス・アエルギノーザ(Ps. aeruginosa) やストレプト
コッカス・アウレウス(St. aureus)に対する抗菌性評価
試験を行い、一定時間経過後の生菌数を計数して、その
結果を、表5に示した。その表5の結果から、本発明に
従う抗菌性組成物は、長期保存の後にも、その抗菌性が
良好に保持され得て、充分なる抗菌性を示すことが理解
される。
【0042】
【表5】
【0043】実施例 5〜9 下記表6に示される配合割合にて、N含有官能基を有す
る各種の高分子を製造した。なお、表6においては、ア
クリルアミドはAAm、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートは2HEMA、架橋剤としてのエチレングリコー
ルジメタクリレートはEDMA、また開始剤である2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は
V−65として、それぞれ表してある。また、水は、重
合溶媒として、AAmを溶解させるために添加されてお
り、目的とする高分子を構成するものではない。更に、
各成分の添加量は、水のみ全体に対する重量%で示し、
その他は水を除く構成成分全体に対するモル%で示され
ている。そして、目的とする高分子の製造に際しては、
これらの成分を実施例2と同様に重合して、各種ポリマ
ーの棒材を得、次いでそれら棒材より、径が10mmφ
で、厚みが2mmの円盤状の供試片を切り出し、そして
それら供試片のそれぞれの20枚ずつを100mLの蒸
留水に浸漬し、1時間煮沸して、未反応モノマー及び未
架橋ポリマーを溶出させた。更に、その後、新たな蒸留
水中にて煮沸するという操作を5回繰り返した。
【0044】次いで、これら煮沸処理された供試片をそ
れぞれ100mLの蒸留水に浸漬して、次亜塩素酸ナト
リウム溶液(塩素濃度:約5%)を、実施例5〜7にお
いては3mL、実施例8及び9においては5mL添加
し、攪拌しながら60℃に加熱して、6時間反応せしめ
て、反応生成物を形成させた後に、その反応溶液中の遊
離塩素濃度を、実施例1と同様に、DPD酸化比色法に
より定量して、反応溶液中に遊離塩素が検出されないこ
とを確認した。
【0045】かくして得られた反応生成物からなる抗菌
性組成物を一度乾燥せしめ、その後その乾燥物を再び生
理食塩水で膨潤させてから、ストレプトコッカス・アウ
レウス(St. aureus)、セラチア・マルセセンス(Se. mar
secens) に対する抗菌性評価試験を行ない、一定時間経
過後の生菌数を計数して、その結果を表7に示した。こ
れら表7の結果から、本発明に従う抗菌性組成物は乾燥
されても、抗菌性を充分に保持していることが判る。ま
た、より好ましいN含有不飽和モノマーの割合は16.
7モル%程度であるといえる。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】実施例 10〜18 下記表8に示される配合割合にて、N含有官能基を有す
る各種の高分子を製造した。なお、表8においては、
N,N−ジメチルアクリルアミドはNDAm、メチルメ
タクリレートはMMA、n−ブチルメタクリレートはn
−BMA、グリシジルメタクリレートはGMA、酢酸ビ
ニルはVAcとして、それぞれ表し、その他は表6と同
様に表した。そして、これらの成分を実施例2と同様の
条件で重合して、各種ポリマーの棒材を得た。次いで、
それら棒材を切削して、径が10mmφで、厚みが2m
mの円盤状の供試片を作製し、更にそれぞれの20枚ず
つを100mLの蒸留水に浸漬し、1時間煮沸して、未
反応モノマー及び未架橋ポリマーを溶出させた。更に、
新たな蒸留水に入れ換えて、煮沸するという操作を、5
回繰り返した。
【0049】その後、それらの煮沸処理供試片をそれぞ
れ100mLの蒸留水に浸漬して、次亜塩素酸ナトリウ
ム溶液(塩素濃度:約5%)を、実施例10〜12及び
実施例15、16においては3mL、実施例13、14
及び実施例17、18においては5mL添加せしめ、攪
拌しながら75℃に加熱して、7時間反応させることに
より、反応生成物を取得し、そして実施例1と同様、そ
の反応溶液中の遊離塩素濃度をDPD酸化比色法により
定量して、反応溶液中に遊離塩素が殆ど検出されないこ
とを確認した。
【0050】かくして得られた抗菌性組成物を一度乾燥
させ、そしてその乾燥物を再び生理食塩水で膨潤させて
から、シュードモナス・アエルギノーザ(Ps. aerugino
sa)、イー・コリ(E. coli) に対する抗菌性評価試験を
行ない、一定時間経過後の生菌数を計数して、その結果
を、表9に示した。これら表9の結果からも、本発明に
従う抗菌性組成物は、一度乾燥されても、抗菌性が保持
され得ることが判るのである。
【0051】
【表8】
【0052】
【表9】
【0053】実施例 19 N含有官能基として2級アミノ基を有する弱塩基性陰イ
オン交換樹脂であるダイヤイオンWA20(三菱化成株
式会社製)を用い、その100gを蒸留水100mLに
浸漬して、次亜塩素酸ナトリウム溶液(塩素濃度約5
%)を5mL添加せしめ、攪拌しながら70℃に加熱し
て、6時間反応させることにより、目的とする反応生成
物を得た後、その反応溶液中の遊離塩素濃度を実施例1
と同様にDPD酸化比色法により定量して、反応溶液中
に遊離塩素が殆ど存在していないことを確認した。
【0054】次いで、かくして得られた陰イオン交換樹
脂の反応生成物たる抗菌性組成物を一度乾燥させ、再び
生理食塩水に浸漬した。そして、この組成物のシュード
モナス・アエルギノーザ(Ps. aeruginosa) に対する抗
菌性評価試験を行ない、その結果を表10に示した。こ
の表10に示される結果からも明らかなように、本発明
に従う抗菌性組成物は、乾燥されても、充分な抗菌性を
保持していることが、理解されるのである。
【0055】
【表10】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1級若しくは2級アミノ基、イミノ基、
    −CONH2 基、及び−CONH−基からなる群より選
    ばれた少なくとも1種以上のN含有官能基を有する高分
    子と遊離塩素との反応により得られる反応生成物を、有
    効成分として含有する新規な抗菌性組成物。
  2. 【請求項2】 前記高分子が、1級若しくは2級アミノ
    基、イミノ基、−CONH2 基、及び−CONH−基か
    らなる群より選ばれた少なくとも1種以上のN含有官能
    基を有するN含有不飽和モノマーとその他の不飽和モノ
    マーとの共重合体である請求項1に記載の新規な抗菌性
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記高分子が、前記N含有不飽和モノマ
    ーを少なくとも1モル%以上の割合において結合含有す
    る請求項2に記載の新規な抗菌性組成物。
  4. 【請求項4】 前記高分子が、前記N含有不飽和モノマ
    ーを1〜60モル%の割合において結合含有し、且つ該
    高分子を用いて形成された反応生成物が水膨潤性ゲルを
    与える請求項3に記載の新規な抗菌性組成物。
  5. 【請求項5】 前記遊離塩素が、次亜塩素酸である請求
    項1乃至請求項4の何れかに記載の新規な抗菌性組成
    物。
  6. 【請求項6】 1級若しくは2級アミノ基、イミノ基、
    −CONH2 基、及び−CONH−基からなる群より選
    ばれた少なくとも1種以上のN含有官能基を有する高分
    子と遊離塩素との反応により得られる反応生成物を溶解
    若しくは水膨潤状態で存在せしめた水性媒体中に、殺菌
    されるべき物体を浸漬することからなる殺菌方法。
  7. 【請求項7】 前記殺菌されるべき物体が、コンタクト
    レンズである請求項6に記載の殺菌方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001527027A (ja) * 1997-12-31 2001-12-25 ハイドロマー インコーポレイテッド 細菌接着低減及び防止用生物静力学的コーティング
WO2005016003A1 (en) * 2003-08-06 2005-02-24 Aquaum Corporation Germicidal systems and methods therefor
JP2010055714A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Panasonic Corp 回折素子、光ピックアップ装置及び光ディスク装置

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