JPH11147426A - デファレンシャル装置 - Google Patents

デファレンシャル装置

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Publication number
JPH11147426A
JPH11147426A JP31544197A JP31544197A JPH11147426A JP H11147426 A JPH11147426 A JP H11147426A JP 31544197 A JP31544197 A JP 31544197A JP 31544197 A JP31544197 A JP 31544197A JP H11147426 A JPH11147426 A JP H11147426A
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JP
Japan
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gear
differential
differential case
differential device
internal
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Application number
JP31544197A
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English (en)
Inventor
Masao Teraoka
正夫 寺岡
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Publication date
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Publication of JPH11147426A publication Critical patent/JPH11147426A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型軽量で、ギヤ音を静粛にし、潤滑性を高
め、低コストにする。 【解決手段】 ケーシング15の内部に配置されたデフ
ケース3と、デフケース3の回転を車軸27、29側に
分配する差動ギヤ機構5と、デフケース3と車軸27、
29のそれぞれとの間を連結し、増速する増速ギヤ組
7,7と、増速ギヤ組7のトルク伝達をそれぞれ断続す
る各多板クラッチ9と、各多板クラッチ9を断続操作す
る各油圧アクチュエータ11とを備え、増速ギヤ組7は
それぞれデフケース3に同軸に連結される入力ギヤ43
と、車軸29上に回転自在に支持される出力ギヤ45
と、ケーシング15内に回転自在に支持され入力ギヤ4
3および出力ギヤ45と噛み合うインタナルギヤ47と
を備え、インタナルギヤ47は入力ギヤ43と出力ギヤ
45に対して偏心配置されることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、デファレンシャ
ル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−61253号公報に図6と図
7に示すようなデファレンシャル装置201が記載され
ている。
【0003】このデファレンシャル装置201は、デフ
ケース203を回転させるエンジンの駆動力をインタナ
ルギヤ205からピニオンキャリヤ207とサンギヤ2
09とを介してそれぞれドライブシャフト211、21
3に分配する差動機構215と、多板クラッチと21
7、219と、増速ギヤ組221と、減速ギヤ組223
と、伝動ギヤ組225と、多板クラッチ217、219
をそれぞれ締結させる一対の油圧ピストン227、22
9と、油圧ピストン227、229を介して多板クラッ
チ217、219を各別に連結するコントローラなどか
ら構成されている。
【0004】多板クラッチ217、219は、一側がそ
れぞれドライブシャフト213(サンギヤ209)に連
結され、他側がそれぞれ増速ギヤ組221と減速ギヤ組
223とに連結されている。又、伝動ギヤ組225は増
速ギヤ組221及び減速ギヤ組223とドライブシャフ
ト211(ピニオンキャリヤ207)側とを連結する。
【0005】多板クラッチ217を開放して多板クラッ
チ219を締結すると、ドライブシャフト211、21
3の間の差動回転は減速ギヤ組223で減速され、ドラ
イブシャフト213側の車輪を減速する。又、多板クラ
ッチ219を開放して多板クラッチ217を締結する
と、ドライブシャフト211、213の間の差動回転は
増速ギヤ組221で増速され、ドライブシャフト213
側の車輪を増速する。
【0006】このように多板クラッチ217、219を
各別に断続することによって、差動回転を増速ギヤ組2
21と減速ギヤ組223とで増減速し、各車輪へのトル
ク配分割合を制御して車体に必要な方向のヨーモーメン
トを与えれば、例えば、車両の旋回性が向上し、あるい
は、直進安定性が向上する。
【0007】増速ギヤ組221と減速ギヤ組223と伝
動ギヤ組225は、それぞれサンギヤ231、233、
235と、外側からこれらに噛み合うプラネタリーギヤ
237、239、241とから構成された外接型のギヤ
組(プラネタリーギヤ機構)である。
【0008】図7に示すように、これらのプラネタリー
ギヤ237、239、241はそれぞれ周方向等間隔に
3枚配置されており、デフキャリヤ243に固定された
プラネタリーキャリヤである固定軸245上に回転自在
に支承されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】増速ギヤ組221と減
速ギヤ組223と伝動ギヤ組225は外接型のギヤ組で
あるから各ギヤの噛み合い率が低い上に、内側のサンギ
ヤ231、233、235を周囲から均等支持してお
り、上記のように、サンギヤ231、233、235の
周囲に3枚のプラネタリーギヤ237、239、241
を配置している。
【0010】従って、デファレンシャル装置201は増
速ギヤ組221と減速ギヤ組223と伝動ギヤ組225
を配置した部分で径方向に大型になり、デフキャリヤ2
43も大型で複雑な形状になる。
【0011】又、プラネタリーギヤ237、239、2
41に固定軸245が必要であるから、デファレンシャ
ル装置201とデフキャリヤ243共に、固定軸245
の長さだけ軸方向に大型になっている。
【0012】こうして、デフキャリヤ243は、通常の
デフキャリヤとの互換性が失われると共に、このように
形状が複雑で大型のデフキャリヤ243を用いると、車
体側にも大きな変更が必要になり、コストが大幅に上昇
する。
【0013】又、プラネタリーギヤ237、239、2
41をそれぞれ3枚用いたことによってギヤの枚数(1
2枚)が多くなり、増速ギヤ組221と減速ギヤ組22
3と伝動ギヤ組225でギヤの噛み合い部が9箇所にも
なり、かつ各噛み合い部は噛み合い率が低いので、騒音
(ギヤ音)が非常に高い。
【0014】このギヤ音を軽減するためには、例えば、
各ギヤ組をヘリカルギヤ構成にして噛み合い率を上げる
必要があり、コスト高になる。
【0015】又、9枚のプラネタリーギヤと3本の固定
軸245とを用いたデファレンシャル装置201は、そ
れだけ重い。
【0016】又、増速ギヤ組221と減速ギヤ組223
と伝動ギヤ組225の噛み合いを良好に保つためには、
固定軸245の支持部の加工精度を高める必要がある
が、これを3本の固定軸245で行うことは、大きなコ
スト上昇を招く。
【0017】又、外接型の増速ギヤ組221と減速ギヤ
組223と伝動ギヤ組225では、回転によってオイル
が外側に飛散するから、本質的に潤滑性と耐久性が悪
い。
【0018】そこで、この発明は、トルク配分割合の制
御機能を持ちながら、小型軽量であり、収容ケーシング
の互換性が保たれることにより車体側の変更が不要であ
り、ギヤ音が静かで潤滑性が高く、低コストのデファレ
ンシャル装置の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシ
ャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動される
デフケースと、前記デフケースを収容するケーシング
と、前記デフケースの回転を該デフケースと同軸に配置
された一対の出力部材側に分配する差動ギヤ機構と、前
記デフケースと前記一対の出力部材のそれぞれとの間を
連結し、変速する第1と第2の変速ギヤ機構と、前記第
1と第2の変速ギヤ機構のトルク伝達をそれぞれ断続す
る各クラッチと、前記各クラッチを断続操作する各アク
チュエータとを備え、前記第1と第2の変速ギヤ機構
は、それぞれ前記デフケースに同軸に連結される第1ギ
ヤと、前記デフケース上または出力部材上に回転自在に
支持されると共に該第1ギヤに隣接配置される第2ギヤ
と、前記ケーシング内に回転自在に支持され該第1ギヤ
および第2ギヤと噛み合うインタナルギヤとを備え、前
記インタナルギヤは前記第1ギヤと第2ギヤに対して偏
心配置されることを特徴とする。
【0020】したがって、例えば、本発明のデファレン
シャル装置を車軸上に配置し、変速ギヤ機構を増速ギヤ
機構にした場合、クラッチにより一側の増速ギヤ機構を
連結すると、その側の車輪を他側の車輪より増速するか
ら、車体に一側車輪の進行方向のヨーモーメントが生じ
る。
【0021】こうして、車体に必要な方向のヨーモーメ
ントを与えれば、下記のように、車体の挙動を制御して
操縦性や安定性などを大きく向上させることができる。
【0022】例えば、旋回走行するときに外輪側のトル
クを大きくし、旋回を促すヨーモーメントを与えれば、
車両の旋回性が大きく向上する。
【0023】又、悪路などで車体が蛇行するような路面
状態や操舵条件では、蛇行と反対方向のヨーモーメント
を車体に与えれば、蛇行が収束し、安定性が向上する。
【0024】上記のように、変速ギヤ機構は、第1ギヤ
及び第2ギヤとインタナルギヤとを噛み合わせた内接型
のギヤ組にしたことによって、外接のプラネタリーギヤ
が外側に突き出す前記従来例と異なり、径方向に小型に
なり、ケーシングも小型になる。
【0025】又、インタナルギヤがケーシングで支承さ
れ、前記従来例のような固定軸245が不要であるか
ら、デファレンシャル装置とケーシングは軸方向にも小
型化される。
【0026】こうして、デファレンシャル装置は、車体
側周辺部材との干渉が防止されて車体側の設計変更も不
要になり、コストを低減できる。
【0027】又、プラネタリーギヤ237、239、2
41をそれぞれ3枚用いたことによってギヤの噛み合い
箇所が多い前記従来例と異なり、本発明のデファレンシ
ャル装置は、噛み合い率の高い内接型の変速ギヤ組を用
いてギヤの噛み合い箇所を大幅に減少させたから、ギヤ
部の騒音(ギヤ音)が非常に低く、静粛である。
【0028】従って、ギヤ音を軽減する目的で、変速ギ
ヤ組をヘリカルギヤ構成にして噛み合い率を上げる必要
がなく、これに伴うコストの上昇を防止できる。
【0029】又、9枚のプラネタリーギヤに代わって、
インタナルギヤを用いると共に、固定軸245が不要で
あるから、本発明のデファレンシャル装置は、大幅に軽
量化される。
【0030】又、支持部に高い加工精度が必要な固定軸
245を用いないから、加工コストが大きく低減され
る。
【0031】又、本発明のデファレンシャル装置では、
外接型のギヤ組と異なって、インタナルギヤによってオ
イルの飛散が防止されるから、潤滑性と耐久性が本質的
に優れている。
【0032】請求項2の発明は、請求項1に記載のデフ
ァレンシャル装置であって、前記第1ギヤと第2ギヤと
は転位により互いに歯数が異なることを特徴とし、請求
項1の発明と同等の効果を得る。
【0033】これに加えて、転位により歯数を変えるこ
とにより所定の変速比が得られると共に、第1ギヤおよ
び第2ギヤと噛み合うインタナルギヤが一つで済むの
で、それだけ低コストになる。
【0034】又、第1ギヤと第2ギヤとは加工素材を共
用することができるから、素材点数と管理コストとが低
減される。
【0035】請求項3の発明は、請求項1に記載のデフ
ァレンシャル装置であって、前記インタナルギヤは、異
なる歯数の第1と第2のギヤ部を有し、該第1と第2の
ギヤ部がそれぞれ前記第1ギヤと第2ギヤとに噛み合
い、所定の変速比を与えることを特徴とし、請求項1の
発明と同等の効果を得る。
【0036】これに加えて、インタナルギヤに歯数の異
なるギヤ部を設けているので、変速比範囲を大きくする
ことが可能になり、それだけ広い範囲でトルク配分割合
を制御することができる。
【0037】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載のデファレンシャル装置であって、前記第1と
第2の変速ギヤ機構のそれぞれの第1ギヤと第2ギヤと
インタナルギヤとの噛み合い部が、前記ケーシングのデ
フケース支持部よりも径方向外方に設けられると共に該
支持部と軸方向にほぼ同位置に設けられることを特徴と
し、請求項1〜3のいずれかと同等の効果を得る。
【0038】これに加えて、変速ギヤ機構の各ギヤの噛
み合い部がデファレンシャル装置の軸方向中心側に寄せ
て配置されるので、デファレンシャル装置が軸方向に一
層小型になり、ケーシングへの収容と、車体への組付け
がそれだけ容易になる。
【0039】請求項5の発明は、エンジンの駆動力によ
って回転駆動されるデフケースと、前記デフケースを収
容するケーシングと、前記デフケースの回転を該デフケ
ースと同軸に配置された一対の出力部材側に分配する差
動ギヤ機構と、前記一対の出力部材と前記デフケースと
のうちのいずれか2部材の間を連結し、増減速する増減
速ギヤ機構と、前記増減速ギヤ機構の増速時と減速時の
トルク伝達をそれぞれ断続する各クラッチと、前記各ク
ラッチを断続操作する各アクチュエータとを備え、前記
増減速ギヤ機構は、前記2部材の一方に同軸に連結され
る第1ギヤと、該2部材の他方上に回転自在に支持され
ると共に該第1ギヤの軸方向外方に隣接配置される第2
ギヤおよび第3ギヤと、前記ケーシング内に回転自在に
支持され該第1ギヤと第2ギヤと第3ギヤと噛み合うイ
ンタナルギヤとを備え、前記インタナルギヤは前記第1
ギヤと第2ギヤと第3ギヤに対して偏心配置されること
を特徴とする。
【0040】したがって、例えば、本発明のデファレン
シャル装置を車軸上に配置し、増減速ギヤ機構を増速側
と減速側との間で切り換え操作し、車体に必要な方向の
ヨーモーメントを与えて車体の挙動を制御することによ
り、操縦性や安定性などを大きく向上させることができ
る。
【0041】また、増減速ギヤ機構が、第1ギヤと第2
ギヤと第3ギヤと噛み合うと共にこれらの各ギヤに対し
偏心配置されたインタナルギヤを備えることにより、増
減速ギヤ機構が大幅に簡単な構成となり、デファレンシ
ャル装置が軸方向、径方向共に小型化され、軽量化され
る。
【0042】又、増減速ギヤ機構の簡単な構成により部
品点数が減って低コストになる。
【0043】請求項6の発明は、請求項5に記載のデフ
ァレンシャル装置であって、前記各クラッチと、該各ク
ラッチを断続操作する各アクチュエータとの少なくとも
一方が、互いに径方向に配置されてなることを特徴と
し、請求項5の発明と同等の効果を得る。
【0044】これに加えて、デファレンシャル装置を軸
方向に更に小型化できる。
【0045】請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれ
かに記載のデファレンシャル装置であって、前記各第1
ギヤとインタナルギヤとを収容するポンプ室を設けるこ
とにより内接ギヤ型のオイルポンプを形成し、該オイル
ポンプの吐出オイルで前記クラッチを潤滑することを特
徴とし、請求項1〜6のいずれかと同等の効果を得る。
【0046】これに加えて、オイルポンプの内蔵によっ
てクラッチが十分に潤滑され、焼き付きや異常摩耗など
が効果的に防止され、耐久性が向上する。
【0047】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1と図2とに
よって本発明の第1実施形態を説明する。図1はこの実
施形態のデファレンシャル装置1を示す。なお、左右の
方向は図1での左右の方向であり、符号を与えていない
部材等は図示されていない。
【0048】このデファレンシャル装置1は車両の後輪
側車軸上に配置されている。
【0049】図1と図2に示したように、デファレンシ
ャル装置1は、デフケース3、ベベルギヤ式の差動ギヤ
機構(差動ギヤ機構)5、内接型の増速ギヤ組(第1と
第2の変速ギヤ機構)7、7、多板クラッチ(クラッ
チ)9、9、各多板クラッチ9を断続操作する油圧アク
チュエータ(アクチュエータ)11、11、オイルポン
プ13、13、各油圧アクチュエータ11を操作するコ
ントローラなどから構成されている。
【0050】デファレンシャル装置1はデフキャリヤ
(ケーシング)15の内部に配置されており、デフケー
ス3の左右に形成されたボス部17、17はそれぞれベ
アリング19を介してデフキャリヤ15に支承されてい
る。デフキャリヤ15にはオイル溜りが設けられてお
り、デファレンシャル装置1は、静止状態で下部がこの
オイル溜りに浸されており、回転するとオイル溜りから
オイルを撥ね上げる。
【0051】デフケース3にはリングギヤ21がボルト
によって固定されており、リングギヤ21はドライブピ
ニオンシャフト23の後端に形成されたドライブピニオ
ンギヤ25と噛み合っている。ドライブピニオンシャフ
ト23はベアリングを介してデフキャリヤ15に支承さ
れており、継ぎ手を介してプロペラシャフトに連結さ
れ、動力伝達系を構成している。
【0052】エンジンの駆動力はトランスミッションか
らこの動力伝達系を介してデフケース3を回転駆動す
る。
【0053】デフケース3とデフキャリヤ15には、左
右の後輪側に連結された車軸(出力部材)27、29が
貫入しており、各車軸27、29はベアリング31によ
ってデフキャリヤ15に支承されている。又、デフキャ
リヤ15の左右の端部と車軸27、29との間にはシ−
ル33が配置され、オイル洩れと異物の侵入とを防止し
ている。
【0054】差動ギヤ機構5は、デフケース3に固定さ
れたピニオンシャフト35と、ピニオンシャフト35上
に回転自在に支承されたピニオンギヤ37と、左右から
ピニオンギヤ37と噛み合った一対の出力側サイドギヤ
39,41などから構成されている。サイドギヤ39、
41は車軸27、29にそれぞれスプライン連結されて
いる。
【0055】デフケース3を回転させるエンジンの駆動
力は、ピニオンシャフト35からピニオンギヤ37を介
してサイドギヤ39、41に分配され、車軸27、29
を介して左右の後輪に伝達される。
【0056】又、車両が悪路などを走行中に、後輪間に
駆動抵抗差が生じるとエンジンの駆動力は、ピニオンギ
ヤ37の自転によって左右各側に差動分配される。
【0057】各増速ギヤ組7は、入力ギヤ(第1ギヤ)
43と、出力ギヤ(第2ギヤ)45と、インタナルギヤ
47とから構成されている。
【0058】入力ギヤ43はデフケース3の左右のボス
部17に連結されており、出力ギヤ45はベアリング4
9を介して左右の車軸27、29上に支承されている。
なお、この出力ギヤ45はベアリングを介してデフケー
ス3のボス部17に支承してもよい。
【0059】入力ギヤ43と出力ギヤ45は転位歯切に
より、入力ギヤ43の歯数を出力ギヤ45の歯数より大
きくしてある。したがって、入力ギヤ43と出力ギヤ4
5と噛み合うインタナルギヤ47は一つで済む。そし
て、このインタナルギヤ47は各ギヤ43,45に対し
偏心して配置されており、ベアリング51を介して外周
をデフキャリヤ15に支承されている。
【0060】こうして、増速ギヤ組7により所定の増速
比が得られ、各入力ギヤ43の回転はインタナルギヤ4
7、出力ギヤ45を介し、後述する多板クラッチ9の締
結によりクラッチハブ55を経て各車軸27、29に伝
達される。
【0061】各多板クラッチ9は、出力ギヤ45に連結
されたクラッチドラム53と、車軸27、29にそれぞ
れ連結されたクラッチハブ55との間に配置されてい
る。
【0062】各油圧アクチュエータ11にはエンジン駆
動のオイルポンプから油圧が送られ、押圧部材57を介
して多板クラッチ9を押圧する。
【0063】各オイルポンプ13は、図2に示すよう
に、入力ギヤ43とインタナルギヤ47とを収容する図
示しないポンプ室を設けることにより形成される。両ギ
ヤ43,47との間に仕切り部材である固定体59が配
置されており、この固定体59にはオイルの吸入孔61
と吐出孔63とが形成されている。
【0064】差動ギヤ機構5に差動回転が生じると、各
入力ギヤ43の回転とインタナルギヤ47の公転によっ
てオイルポンプ13が作動し、デフキャリヤ15のオイ
ル溜りのオイルを吸入孔61から吸入し、吐出孔63か
ら多板クラッチ9やベアリング19、49、51などに
送り、これらを潤滑する。
【0065】コントローラは、車両の走行条件、操舵条
件、路面状態などに応じ、油圧アクチュエータ11を介
して左右の多板クラッチ9を各別に断続する。
【0066】左の多板クラッチ9を連結すると、差動ギ
ヤ機構5の差動回転は左の増速ギヤ組7で増速され、左
の後輪を右の後輪よりも高速で駆動し、車体に右旋回方
向のヨーモーメントを与える。
【0067】又、右の多板クラッチ9を連結すると、差
動ギヤ機構5の差動回転は右の増速ギヤ組7で増速さ
れ、右の後輪を左の後輪よりも高速で駆動し、車体に左
旋回方向のヨーモーメントを与える。
【0068】そこで、車両が右旋回をするときは左の多
板クラッチ9を連結し、左旋回のときは右の多板クラッ
チ9を締結すればそれぞれ車両の旋回性が向上する。
【0069】又、悪路などで車体が蛇行する場合は、同
様に、左右の多板クラッチ9を切り換え操作し、蛇行と
反対方向のヨーモーメントを車体に与えることによっ
て、蛇行が収束し、安定性が向上する。
【0070】こうして、デファレンシャル装置1が構成
されている。
【0071】上記のように、デファレンシャル装置1
は、増速ギヤ組7、7のトルク伝達を断続し、車体に必
要な方向のヨーモーメントを与えて車体の挙動を制御す
れば、操縦性や安定性などを大きく向上させることがで
きる。
【0072】又、デファレンシャル装置1は、増速ギヤ
組7、7を内接型にしたことにより、プラネタリーギヤ
が外側に突き出す前記従来例と異なって、径方向に大幅
に小型化される。
【0073】又、インタナルギヤ47がデフキャリヤ1
5で支承され、前記従来例のような固定軸245が不要
であるから、デファレンシャル装置1は軸方向にも小型
になる。
【0074】このように、デファレンシャル装置1の小
型化によって、デフキャリヤ15も小型で簡単な形状に
なり、車体側周辺部材との干渉が防止されて車体側の設
計変更も不要になり、コストが低減される。
【0075】又、プラネタリーギヤを9枚用いたことに
よってギヤの噛み合い箇所が多い前記従来例と異なり、
噛み合い率の高い内接型の増速ギヤ組7を用いてギヤの
噛み合い箇所を大幅に減少させたから、ギヤ部の騒音
(ギヤ音)が非常に低く、静粛である。
【0076】従って、ギヤ音を軽減する目的で、各ギヤ
をヘリカルギヤ構成にして噛み合い率を上げる必要がな
く、これに伴うコストの上昇がない。
【0077】又、前記従来例と異なり、9枚のプラネタ
リーギヤに代わってインタナルギヤ47を用いると共
に、固定軸245が不要であるから、デファレンシャル
装置1は大幅に軽量化される。
【0078】又、支持部に高い加工精度が必要な固定軸
245を用いないから、加工コストが大きく低減され
る。
【0079】又、インタナルギヤ47によってオイルの
飛散が防止されるから、外接型のギヤ組を用いる前記従
来例と較べて、潤滑性と耐久性が大幅に向上する。
【0080】更に、ケーシング15に内蔵されるオイル
ポンプ13により多板クラッチ9やベアリング19、4
9、51などを潤滑するから、これらの焼き付きや異常
摩耗などが効果的に防止され、耐久性が向上する。
【0081】又、増速ギヤ組7、7を構成するに当たっ
て、入力ギヤ43と出力ギヤ45を転位歯切により歯数
を異ならせることにより、インタナルギヤ47を各ギヤ
43、45と噛み合う歯幅の広い1枚のギヤにすること
が可能になり、それだけ低コストにできる。
【0082】又、入力ギヤ43と出力ギヤ45との間で
加工素材を共用することができるから、素材点数と管理
コストとが大きく低減される。
【0083】[第2実施形態]図3によって本発明の第
2実施形態を説明する。図3はこの実施形態のデファレ
ンシャル装置65を示す。
【0084】本実施形態は増速ギヤ組(第1と第2の変
速ギヤ機構)の構成が上記第1実施形態と相違し、その
他は同じである。したがって、この相違点を説明し、第
1実施形態と同機能の部材等には同一の符号を与えて引
用し、これら同機能部材の重複説明は省く。
【0085】このデファレンシャル装置65は車両の後
輪側車軸上に配置されている。
【0086】図3に示したように、各増速ギヤ組67
は、入力ギヤ(第1ギヤ)69と、出力ギヤ(第2ギ
ヤ)71と、インタナルギヤ73とから構成されてい
る。
【0087】入力ギヤ69はデフケース3の左右のボス
部17に連結されており、出力ギヤ71はベアリング4
9を介して左右の車軸27、29上に支承されている。
なお、この出力ギヤ71はベアリングを介してデフケー
ス3のボス部17に支承してもよい。
【0088】インタナルギヤ73はこれらの入力ギヤ6
9と出力ギヤ71に対して偏心配置されており、ベアリ
ング51によって外周をデフキャリヤ15に支承されて
いる。
【0089】入力ギヤ69の径D1は出力ギヤ71の径
D2より大径であり、入力ギヤ69の歯数を出力ギヤ7
1の歯数より大きくしてある。又、インタナルギヤ73
には入力ギヤ69と出力ギヤ71とにそれぞれ噛み合う
径(歯数)の異なったギヤ部75、77が設けられてい
る。
【0090】各増速ギヤ組67は、入力ギヤ69の回転
をインタナルギヤ73のギヤ部75,77、出力ギヤ7
1を介して増速し、多板クラッチ9の締結によりクラッ
チハブ55を経て各車軸27、29に伝達する。
【0091】このように、増速ギヤ組67、67を構成
することにより、デファレンシャル装置65は上記第1
実施形態と同等の作用・効果が得られるうえに、インタ
ナルギヤ73に歯数の異なるギヤ部75,77を設ける
ことにより増速比範囲を大きくすることが可能になり、
トルク配分割合をそれだけ広い範囲で制御することが可
能になる。
【0092】[第3実施形態]図4によって本発明の第
3実施形態を説明する。図4はこの実施形態のデファレ
ンシャル装置79を示す。
【0093】本実施形態は増速ギヤ組(第1と第2の変
速ギヤ機構)の構成が上記第1実施形態と相違し、その
他は同じである。したがって、この相違点を説明し、第
1実施形態と同機能の部材等には同一の符号を与えて引
用し、これら同機能部材の重複説明は省く。
【0094】このデファレンシャル装置79は車両の後
輪側車軸上に配置されている。
【0095】図4に示したように、各増速ギヤ組81
は、入力ギヤ(第1ギヤ)83と、出力ギヤ(第2ギ
ヤ)85と、インタナルギヤ87とから構成されてい
る。
【0096】入力ギヤ83はデフケース3の左右のボス
部17に連結されており、出力ギヤ85はベアリング4
9を介して左右の車軸27、29上に支承されている。
なお、この出力ギヤ85はベアリングを介してデフケー
ス3のボス部17に支承してもよい。そして、デフケー
ス3を支持するデフキャリヤ(ケーシング)15のボス
部89の径方向外方には空間91が形成されており、入
力ギヤ83と出力ギヤ85とはその各外周近傍のオーバ
ーハング部93、95がこの空間91に入り込むように
張り出して形成され、空間91の内部でインタナルギヤ
87と噛み合っている。
【0097】なお、転位歯切により入力ギヤ83と出力
ギヤ85との歯数は相違し、入力ギヤ83の歯数を出力
ギヤ85の歯数より大きくしてある。又、インタナルギ
ヤ87は1枚でこれらのギヤ83、85と噛み合うこと
ができるように、歯幅を広くしてある。そして、インタ
ナルギヤ87はこれらの入力ギヤ83と出力ギヤ85に
対して偏心配置されており、ベアリング51によって外
周をデフキャリヤ15に支承されている。
【0098】こうして、各増速ギヤ組81は、入力ギヤ
83と出力ギヤ85とインタナルギヤ87との噛み合い
部を、デフケース3を支持するデフキャリヤ15のボス
部89の径方向外方に設けられると共に、軸方向には該
ボス部89とほぼ同位置に配置されている。
【0099】このような構成により、本実施形態によれ
ば、上記第1実施形態と同等の作用・効果が得られるう
えに、各増速ギヤ組81をデファレンシャル装置79の
軸方向中心側へ寄せて配置しているので軸方向に一層小
型になり、ケーシングへの収容と、車体への組付けがそ
れだけ容易になる。
【0100】[第4実施形態]図5によって本発明の第
4実施形態を説明する。図5はこの実施形態のデファレ
ンシャル装置97を示す。
【0101】本実施形態は、上記第1実施形態における
増速ギヤ組(第1と第2の変速ギヤ機構)の代りに増減
速ギヤ機構を一方の車軸(出力部材)側に備える点が相
違する。したがって、上記第1〜第3実施形態と同機能
の部材等には同一の符号を与えて引用し、これら同機能
部材の重複説明は省く。
【0102】このデファレンシャル装置97は車両の後
輪側車軸上に配置されている。
【0103】図5に示したように、デファレンシャル装
置97は、デフケース3、差動ギヤ機構5、増減速ギヤ
機構を構成する内接型の増速ギヤ組99と減速ギヤ組1
01、多板クラッチ(クラッチ)103、105、油圧
アクチュエータ(アクチュエータ)107,109、こ
れらの油圧アクチュエータ107,109を操作するコ
ントローラなどから構成されている。
【0104】上記増速ギヤ組99は、入力ギヤ(第1ギ
ヤ)111と、増速側出力ギヤ(第3ギヤ)113と、
これらと噛み合うインタナルギヤ115とから構成され
ている。
【0105】上記減速ギヤ組101は、入力ギヤ(第1
ギヤ)111と、減速側出力ギヤ117(第2ギヤ)
と、これらと噛み合うインタナルギヤ115とから構成
されている。
【0106】入力ギヤ111はデフケース3の右のボス
部17に連結されている。又、減速側出力ギヤ117は
その中空軸部121をベアリング119を介して右の車
軸29上に支持されると共に入力ギヤ111の右外方に
配置されている。そして、増速側出力ギヤ113がその
中空軸部125をベアリング123を介して、減速側出
力ギヤ117の中空軸部121上に支持されると共に、
減速側出力ギヤ117の右外方に配置されている。
【0107】インタナルギヤ115はこれらの入力ギヤ
111と減速側出力ギヤ117、増速側113に対して
偏心配置されており、ベアリング127を介して外周を
デフキャリヤ15に支承されている。
【0108】入力ギヤ111(歯数をとする)と減速
側出力ギヤ117(歯数をとする)と増速側出力ギヤ
113(歯数をとする)とは転位量を異ならせて歯切
りすることにより、3者間の歯数の関係は〉〉
で、また|−|=−に設定されている。こうす
ることにより、入力ギヤ111と増速側出力ギヤ113
とで増速ギヤ組99を構成し、入力ギヤ111と減速側
出力ギヤ117とで減速ギヤ組101を構成している。
【0109】多板クラッチ103と多板クラッチ105
は互いに軸方向に配列されている。多板クラッチ103
は、車軸29に連結されたクラッチドラム129と増速
側出力ギヤ113との間に配置されている。多板クラッ
チ105は、このクラッチドラム129と減速側出力ギ
ヤ117との間に配置されている。
【0110】油圧アクチュエータ107は油圧アクチュ
エータ109の径方向外方に配置されている。各油圧ア
クチュエータ107、109にはエンジン駆動のオイル
ポンプから油圧が送られ、押圧部材131、133を介
してそれぞれ多板クラッチ103、105を押圧する。
【0111】コントローラは、車両の走行条件、操舵条
件、路面状態などに応じ、油圧アクチュエータ107、
109を介して多板クラッチ103、105を各別に断
続する。
【0112】多板クラッチ105を開放して多板クラッ
チ103を締結すると、差動ギヤ機構5の差動回転は増
速ギヤ組99で増速され、右の後輪を左の後輪よりも高
速で駆動し、車体に左旋回方向のヨーモーメントを与え
る。逆に、多板クラッチ103を開放して多板クラッチ
105を締結すると、差動ギヤ機構5の差動回転は減速
ギヤ組101で減速され、右の後輪を左の後輪よりも減
速し、車体に右旋回方向のヨーモーメントを与える。
【0113】そこで、車両が左旋回をするときは多板ク
ラッチ103を締結し、右旋回のときは多板クラッチ1
05を締結すれば、車両の旋回性が大きく向上する。
【0114】又、悪路などで車体が蛇行するような場合
は、同様に、多板クラッチ103、105を切り換え操
作し、蛇行と反対方向のヨーモーメントを車体に与えれ
ば、蛇行が収束し、安定性が向上する。
【0115】こうして、デファレンシャル装置97が構
成されている。
【0116】上記のように、デファレンシャル装置97
は、増速ギヤ組99と減速ギヤ組101とを切り換え操
作し、車体に必要な方向のヨーモーメントを与えて車体
の挙動を制御することにより、操縦性や安定性などを大
きく向上させることができる。
【0117】又、デファレンシャル装置97は、増速ギ
ヤ組99と減速ギヤ組101とを内接型にしたことによ
り、前記従来例と較べて、径方向に大幅に小型化されて
いる。
【0118】又、増速ギヤ組99と減速ギヤ組101
と、これらを断続する多板クラッチ103、105と、
油圧アクチュエータ107、109とをデフケース3の
軸方向一側に配置したことにより、デファレンシャル装
置97は軸方向にも大幅に小型化されている。
【0119】更に、これらの油圧アクチュエータ10
7、109を径方向に配置したことにより、デファレン
シャル装置97が軸方向に更に小型になる。
【0120】又、増速ギヤ組99と減速ギヤ組101と
で入力ギヤ111を共用するから、部品点数が低減して
低コストになると共に、デファレンシャル装置97が軸
方向に更に小型になり、軽量になる。
【0121】又、インタナルギヤ115がデフキャリヤ
15で支承され、前記従来例のような固定軸245が不
要であるから、デファレンシャル装置97は軸方向に小
型になる。
【0122】このようなデファレンシャル装置97の大
幅な小型化によって、デフキャリヤ15も小型で簡単な
形状になり、車体側の変更も不要になり、コストが大幅
に低減される。
【0123】又、ギヤの噛み合い箇所が多い前記従来例
と異なって、噛み合い率が高い内接型の増速ギヤ組99
と減速ギヤ組101とを用いてギヤの噛み合い箇所を大
幅に減少させたから、ギヤ部の騒音(ギヤ音)が非常に
低く、静粛である。
【0124】従って、ギヤ音を軽減する目的で、各ギヤ
をヘリカルギヤ構成にする必要がなく、これに伴うコス
トの上昇がない。
【0125】又、前記従来例と異なり、9枚のプラネタ
リーギヤに代わってインタナルギヤ115を用いると共
に、固定軸245が不要であるから、デファレンシャル
装置97はそれだけ更に軽量になる。
【0126】又、支持部に高い加工精度が必要な固定軸
245を用いないから、加工コストが大きく低減され
る。
【0127】又、インタナルギヤ115によってオイル
の飛散が防止されるから、潤滑性と耐久性が大幅に向上
する。
【0128】又、増速ギヤ組99と減速ギヤ組101と
を構成するに当たって、入力ギヤ111と増減各側の出
力ギヤ113、117とを転位歯切りし歯数を異ならせ
ることにより、インタナルギヤ115を各ギヤ111、
113、117と噛み合う歯幅の広い1枚のギヤにする
ことが可能になり、それだけ低コストになる。
【0129】又、入力ギヤ111と出力ギヤ113、1
17は素材を共用することができるから、素材点数と管
理コストとが大きく低減される。
【0130】なお、デファレンシャル装置97でも、入
力ギヤ111とインタナルギヤ115とを用いてオイル
ポンプを形成し、多板クラッチ103、105やベアリ
ング119、123、127などを潤滑するように構成
してもよい。
【0131】なお、本発明において、差動ギヤ機構はベ
ベルギヤ式に限らず、例えば、プラネタリーギヤ式の差
動ギヤ機構、あるいは、デフケースの収容孔に回転自在
に収容したピニオンギヤで出力側のサイドギヤを連結す
る差動ギヤ機構などでもよい。
【0132】プラネタリーギヤ式の差動ギヤ機構を用い
る場合、例えば前記従来例の図6に示す両出力部材間
(ピニオンキャリヤ207とサンギヤ209との間)に
設けるなど、デフケース203と両出力部材の3部材の
うちのいずれか2部材間に増減速ギヤ機構を配置すれば
よい。
【0133】又、本発明において、アクチュエータは、
油圧アクチュエータやエアアクチュエータに限らず、例
えば、電動モータを用いたアクチュエータや、電磁石を
用いた電磁式のアクチュエータでもよい。
【0134】又、第1〜第3実施形態では、デフケース
と両出力部材との間に増速ギヤ組を配置する構成を示し
たが、増速ギヤ組でなく、減速ギヤ組にしてもよい。
【0135】又、本発明のデファレンシャル装置は、上
記実施形態のリヤデフに限らずに、車両のフロントデフ
やセンターデフにも用いることができる。
【0136】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、変速ギヤ機構
を断続し、車体に必要な方向のヨーモーメントを与えて
車体の挙動を制御することにより、操縦性、安定性など
を大きく向上させることができる。
【0137】又、変速ギヤ機構にインタナルギヤを用い
ることによって径方向に小型になり、デファレンシャル
装置のケーシングも小型で簡単な形状になる。
【0138】又、インタナルギヤをケーシングで支承す
ることによって、前記従来例のような固定軸245が不
要になり、デファレンシャル装置とケーシングは軸方向
にも小型になる。
【0139】又、ギヤの噛み合い箇所が多い前記従来例
と異なって、噛み合い率の高い内接型の変速ギヤ機構を
用いてギヤの噛み合い箇所を大幅に減少させたから、ギ
ヤ音が非常に低く、静粛である。
【0140】従って、ギヤ音を軽減する目的で、各ギヤ
をヘリカルギヤ構成にする必要がなく、これに伴うコス
トの上昇を防止できる。
【0141】又、前記従来例の9枚のプラネタリーギヤ
に代わってインタナルギヤを用いると共に、同従来例の
固定軸が不要であるから、大幅に軽量化される。
【0142】又、支持部に高い加工精度が必要な固定軸
を用いないから、加工コストが大きく低減される。
【0143】又、インタナルギヤによってオイルの飛散
が防止されるから、潤滑性と耐久性が本質的に優れてい
る。
【0144】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同等の効果を得ると共に、転位により歯数を変えるこ
とにより所定の変速比が得られると共に、第1ギヤおよ
び第2ギヤと噛み合うインタナルギヤが一つで済むの
で、それだけ低コストになる。
【0145】又、第1ギヤと第2ギヤとは加工素材を共
用することができるから、素材点数と管理コストとが低
減される。
【0146】請求項3の発明によれば、請求項1の発明
と同等の効果を得ると共に、インタナルギヤに歯数の異
なるギヤ部を設けているので、変速比範囲を大きくする
ことが可能になり、それだけ広い範囲でトルク配分割合
を制御することができる。
【0147】請求項4の発明によれば、請求項1〜3の
いずれかと同等の効果を得ると共に、変速ギヤ機構の各
ギヤの噛み合い部がデファレンシャル装置の軸方向中心
側に寄せて配置されるので、デファレンシャル装置が軸
方向に一層小型になる。
【0148】請求項5の発明によれば、増減速ギヤ機構
が第1ギヤと第2ギヤと第3ギヤと噛み合うと共にこれ
らの各ギヤに対し偏心配置されたインタナルギヤを備え
ることにより、増減速ギヤ機構が大幅に簡単な構成とな
り、デファレンシャル装置が軸方向、径方向共に小型化
され、軽量化される。
【0149】又、増減速ギヤ機構の簡単な構成により部
品点数が減って低コストになる。
【0150】請求項6の発明によれば、請求項5の発明
と同等の効果を得ると共に、デファレンシャル装置を軸
方向に更に小型化できる。
【0151】請求項7の発明によれば、請求項1〜6の
いずれかと同等の効果を得ると共に、オイルポンプの内
蔵によってクラッチが十分に潤滑され、焼き付きや異常
摩耗などが効果的に防止され、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図4】本発明の第3実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図5】本発明の第4実施形態を示すスケルトン機構図
である。
【図6】従来例の断面図である。
【図7】図6のY−Y断面図である。
【符号の説明】
1、65、79、97 デファレンシャル装置 3 デフケース 5 ベベルギヤ式差動ギヤ機構(差動ギヤ機構) 7、67、81、 増速ギヤ組(第1と第2の変速ギヤ
機構) 9、103、105 多板クラッチ(クラッチ) 11 油圧アクチュエータ(アクチュエータ) 13 オイルポンプ 15 デフキャリヤ(ケーシング) 17 デフケースのボス部 19 デフケースをデフキャリヤ15上に支承するベア
リング 27、29 車軸(出力部材) 39、41 サイドギヤ 43、69,83、111 入力ギヤ(第1ギヤ) 45、71,85 出力ギヤ(第2ギヤ) 47、73,87、115 インタナルギヤ 75、77 インタナルギヤ73のギヤ部 89 デフキャリヤ15のボス部 91 ボス部89の径方向外方の空間 93 入力ギヤ83のオーバーハング部 95 出力ギヤ85のオーバーハング部 99 増速ギヤ組 101 減速ギヤ組 107、109 油圧アクチュエータ(径方向に配置さ
れたアクチュエータ) 113 増速側出力ギヤ(第3ギヤ) 117 減速側出力ギヤ(第2ギヤ)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケースと、前記デフケースを収容するケーシング
    と、前記デフケースの回転を該デフケースと同軸に配置
    された一対の出力部材側に分配する差動ギヤ機構と、 前記デフケースと前記一対の出力部材のそれぞれとの間
    を連結し、変速する第1と第2の変速ギヤ機構と、 前記第1と第2の変速ギヤ機構のトルク伝達をそれぞれ
    断続する各クラッチと、前記各クラッチを断続操作する
    各アクチュエータとを備え、 前記第1と第2の変速ギヤ機構は、それぞれ前記デフケ
    ースに同軸に連結される第1ギヤと、前記デフケース上
    または出力部材上に回転自在に支持されると共に該第1
    ギヤに隣接配置される第2ギヤと、前記ケーシング内に
    回転自在に支持され該第1ギヤおよび第2ギヤと噛み合
    うインタナルギヤとを備え、 前記インタナルギヤは前記第1ギヤと第2ギヤに対して
    偏心配置されることを特徴とするデファレンシャル装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のデファレンシャル装置
    であって、 前記第1ギヤと第2ギヤとは転位により互いに歯数が異
    なることを特徴とするデファレンシャル装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のデファレンシャル装置
    であって、 前記インタナルギヤは、異なる歯数の第1と第2のギヤ
    部を有し、該第1と第2のギヤ部がそれぞれ前記第1ギ
    ヤと第2ギヤとに噛み合い、所定の変速比を与えること
    を特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のデファ
    レンシャル装置であって、 前記第1と第2の変速ギヤ機構のそれぞれの第1ギヤと
    第2ギヤとインタナルギヤとの噛み合い部が、前記ケー
    シングのデフケース支持部よりも径方向外方に設けられ
    ると共に該支持部と軸方向にほぼ同位置に設けられるこ
    とを特徴とするデファレンシャル装置。
  5. 【請求項5】 エンジンの駆動力によって回転駆動され
    るデフケースと、前記デフケースを収容するケーシング
    と、前記デフケースの回転を該デフケースと同軸に配置
    された一対の出力部材側に分配する差動ギヤ機構と、 前記一対の出力部材と前記デフケースとのうちのいずれ
    か2部材の間を連結し、増減速する増減速ギヤ機構と、 前記増減速ギヤ機構の増速時と減速時のトルク伝達をそ
    れぞれ断続する各クラッチと、前記各クラッチを断続操
    作する各アクチュエータとを備え、 前記増減速ギヤ機構は、前記2部材の一方に同軸に連結
    される第1ギヤと、該2部材の他方上に回転自在に支持
    されると共に該第1ギヤの軸方向外方に隣接配置される
    第2ギヤおよび第3ギヤと、前記ケーシング内に回転自
    在に支持され該第1ギヤと第2ギヤと第3ギヤと噛み合
    うインタナルギヤとを備え、 前記インタナルギヤは前記第1ギヤと第2ギヤと第3ギ
    ヤに対して偏心配置されることを特徴とするデファレン
    シャル装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のデファレンシャル装置
    であって、 前記各クラッチと、該各クラッチを断続操作する各アク
    チュエータとの少なくとも一方が、互いに径方向に配置
    されてなることを特徴とするデファレンシャル装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のデファ
    レンシャル装置であって、 前記各第1ギヤとインタナルギヤとを収容するポンプ室
    を設けることにより内接ギヤ型のオイルポンプを形成
    し、該オイルポンプの吐出オイルで前記クラッチを潤滑
    することを特徴とするデファレンシャル装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008531957A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト 駆動動力分配装置を制御する自動車用差動歯車装置統合体

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008531957A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト 駆動動力分配装置を制御する自動車用差動歯車装置統合体

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