JPH111447A - 芳香族化合物の側鎖の酸化方法 - Google Patents
芳香族化合物の側鎖の酸化方法Info
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- JPH111447A JPH111447A JP9156435A JP15643597A JPH111447A JP H111447 A JPH111447 A JP H111447A JP 9156435 A JP9156435 A JP 9156435A JP 15643597 A JP15643597 A JP 15643597A JP H111447 A JPH111447 A JP H111447A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 側鎖を有する芳香族化合物を、水溶液中で酸
素含有ガスで酸化して、対応するカルボン酸又はアルデ
ヒドを生成させる。 【解決手段】 水溶液中に、ヘテロポリ酸とヘテロポリ
酸構造に組込まれていない遷移金属とを共存させる。
素含有ガスで酸化して、対応するカルボン酸又はアルデ
ヒドを生成させる。 【解決手段】 水溶液中に、ヘテロポリ酸とヘテロポリ
酸構造に組込まれていない遷移金属とを共存させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不完全に酸化されて
いてもよいアルキル基を有する芳香族化合物を水溶液中
で酸化して、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香
族アルデヒドを製造する方法の改良に関するものであ
る。なお、本明細書において「不完全に酸化されてい
る」とは、アルキル基が酸化はされているがカルボン酸
にまでは酸化されていない状態にあることを意味する。
いてもよいアルキル基を有する芳香族化合物を水溶液中
で酸化して、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香
族アルデヒドを製造する方法の改良に関するものであ
る。なお、本明細書において「不完全に酸化されてい
る」とは、アルキル基が酸化はされているがカルボン酸
にまでは酸化されていない状態にあることを意味する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキル基を有する芳香族化合物
を酸化して対応する芳香族のカルボン酸又はアルデヒド
を生成させる方法の一つとして、コバルト、マンガン等
の重金属及び臭素からなる触媒の存在下、カルボン酸溶
媒中で酸化する方法が知られている。その代表的なもの
は、コバルト、マンガン及び臭素を含む酢酸溶媒中でパ
ラキシレンを空気で酸化してテレフタル酸を製造する方
法であり、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテ
レフタル酸は今日では主にこの方法で製造されている。
この方法の問題点の一つは、酢酸が燃焼等により相当量
消費されるため、製造コストが高くなることである。
を酸化して対応する芳香族のカルボン酸又はアルデヒド
を生成させる方法の一つとして、コバルト、マンガン等
の重金属及び臭素からなる触媒の存在下、カルボン酸溶
媒中で酸化する方法が知られている。その代表的なもの
は、コバルト、マンガン及び臭素を含む酢酸溶媒中でパ
ラキシレンを空気で酸化してテレフタル酸を製造する方
法であり、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテ
レフタル酸は今日では主にこの方法で製造されている。
この方法の問題点の一つは、酢酸が燃焼等により相当量
消費されるため、製造コストが高くなることである。
【0003】この問題点を解決するために、溶媒として
酢酸の代わりに水を用いる方法が提案されているが(特
公昭39−13921号、特開昭58−85840号、
特開昭60−18403号など)、反応速度が遅く実用
的でない。そこで、水溶媒法の改良として、酸化ルテニ
ウムを触媒に用いる方法(特開平3−130247)
や、重金属及び臭素を触媒として用い、さらに助触媒と
してケイタングステン酸やリンモリブデン酸などのヘテ
ロポリ酸を併用する方法(特開平2−200656)な
どが提案されている。しかしながら、前者の酸化ルテニ
ウムを用いる方法は、酸化ルテニウムは固体なので生成
するテレフタル酸ケーキとの分離が困難である。また、
後者の方法では高いハロゲン濃度を必要とするので、こ
のハロゲンが固体として析出しているテレフタル酸中に
残留し、このテレフタル酸から製造されるポリエチレン
テレフタレートの着色の原因となる。更に高濃度のハロ
ゲンを含む水溶液は反応装置を腐食させるので、耐腐食
性のチタン、ハステロイ等の高価な材料で装置を製作す
ることが必要である。高濃度のハロゲンを用いない方法
として、遷移金属を欠損型のヘテロポリ酸に組み込んだ
触媒を用いる方法も提案されているが(特開平8−53
391)、反応基質である芳香族化合物の燃焼が無視で
きない程多い。
酢酸の代わりに水を用いる方法が提案されているが(特
公昭39−13921号、特開昭58−85840号、
特開昭60−18403号など)、反応速度が遅く実用
的でない。そこで、水溶媒法の改良として、酸化ルテニ
ウムを触媒に用いる方法(特開平3−130247)
や、重金属及び臭素を触媒として用い、さらに助触媒と
してケイタングステン酸やリンモリブデン酸などのヘテ
ロポリ酸を併用する方法(特開平2−200656)な
どが提案されている。しかしながら、前者の酸化ルテニ
ウムを用いる方法は、酸化ルテニウムは固体なので生成
するテレフタル酸ケーキとの分離が困難である。また、
後者の方法では高いハロゲン濃度を必要とするので、こ
のハロゲンが固体として析出しているテレフタル酸中に
残留し、このテレフタル酸から製造されるポリエチレン
テレフタレートの着色の原因となる。更に高濃度のハロ
ゲンを含む水溶液は反応装置を腐食させるので、耐腐食
性のチタン、ハステロイ等の高価な材料で装置を製作す
ることが必要である。高濃度のハロゲンを用いない方法
として、遷移金属を欠損型のヘテロポリ酸に組み込んだ
触媒を用いる方法も提案されているが(特開平8−53
391)、反応基質である芳香族化合物の燃焼が無視で
きない程多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は不完全
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を水溶媒中で酸化して対応する芳香族のカルボン酸又
はアルデヒドを製造するに際し、本質的にハロゲンの存
在を必要とせず、かつ反応基質の燃焼を抑制して、高い
選択率で目的物を製造する方法を提供しようとするもの
である。
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を水溶媒中で酸化して対応する芳香族のカルボン酸又
はアルデヒドを製造するに際し、本質的にハロゲンの存
在を必要とせず、かつ反応基質の燃焼を抑制して、高い
選択率で目的物を製造する方法を提供しようとするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不完全
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を、ヘテロポリ酸ないしはその塩及びヘテロポリ酸構
造に組込まれていない遷移金属の存在下に、1000p
pm以下のイオン化し得るハロゲン原子を含んでいても
よい水溶液中で、分子状酸素含有ガスで酸化することに
より、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アル
デヒドを高い選択率で製造することができる。
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を、ヘテロポリ酸ないしはその塩及びヘテロポリ酸構
造に組込まれていない遷移金属の存在下に、1000p
pm以下のイオン化し得るハロゲン原子を含んでいても
よい水溶液中で、分子状酸素含有ガスで酸化することに
より、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アル
デヒドを高い選択率で製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、反応基質として炭素
数1〜8程度のアルキル基又はその不完全酸化物を側鎖
として有する芳香族化合物を用いるが、通常はメチル
基、エチル基、n−又はi−プロピル基など炭素数1〜
3のアルキル基を側鎖として有するものを反応基質とす
るのが好ましい。反応基質の芳香族化合物には、このよ
うなアルキル基又はその不完全酸化物が2個以上結合し
ていてもよく、またこれに加えてカルボキシル基のよう
な他の置換基が更に結合していてもよい。本発明で反応
基質として用いられる芳香族化合物の具体例としては、
トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、
4,4′−ジメチルビフェニル、o−,m−又はp−キ
シレン、o−,m−,又はp−ジイソプロピルベンゼ
ン、プソイドキュメン(1,2,4−トリメチルベンゼ
ン)、2,6−ジメチルナフタレン等のアルキル基の置
換した芳香族化合物;ベンズアルデヒド、o−,m−又
はp−トルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデ
ヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,
6−ジホルミルナフタレン、1−ホルミルナフタレン等
のホルミル基又はホルミル基とアルキル基の置換した芳
香族化合物;ベンジルアルコール等のヒドロキシアルキ
ル基の置換した芳香族化合物;o−,m−又はp−トル
イル酸、o−,m−又はp−カルボキシベンズアルデヒ
ド等のアルキル基又はホルミル基とカルボキシル基の置
換した芳香族化合物が挙げられる。なお、ヒドロキシア
ルキル基やホルミル基などの不完全に酸化されたアルキ
ル基はアルキル基そのものよりも酸化され易いので、ト
ルアルデヒドのようなホルミル基とアルキル基の双方を
有する芳香族化合物を基質とする場合には、ホルミル基
だけがカルボキシル基に酸化された生成物を得ることが
できる。
数1〜8程度のアルキル基又はその不完全酸化物を側鎖
として有する芳香族化合物を用いるが、通常はメチル
基、エチル基、n−又はi−プロピル基など炭素数1〜
3のアルキル基を側鎖として有するものを反応基質とす
るのが好ましい。反応基質の芳香族化合物には、このよ
うなアルキル基又はその不完全酸化物が2個以上結合し
ていてもよく、またこれに加えてカルボキシル基のよう
な他の置換基が更に結合していてもよい。本発明で反応
基質として用いられる芳香族化合物の具体例としては、
トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、
4,4′−ジメチルビフェニル、o−,m−又はp−キ
シレン、o−,m−,又はp−ジイソプロピルベンゼ
ン、プソイドキュメン(1,2,4−トリメチルベンゼ
ン)、2,6−ジメチルナフタレン等のアルキル基の置
換した芳香族化合物;ベンズアルデヒド、o−,m−又
はp−トルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデ
ヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,
6−ジホルミルナフタレン、1−ホルミルナフタレン等
のホルミル基又はホルミル基とアルキル基の置換した芳
香族化合物;ベンジルアルコール等のヒドロキシアルキ
ル基の置換した芳香族化合物;o−,m−又はp−トル
イル酸、o−,m−又はp−カルボキシベンズアルデヒ
ド等のアルキル基又はホルミル基とカルボキシル基の置
換した芳香族化合物が挙げられる。なお、ヒドロキシア
ルキル基やホルミル基などの不完全に酸化されたアルキ
ル基はアルキル基そのものよりも酸化され易いので、ト
ルアルデヒドのようなホルミル基とアルキル基の双方を
有する芳香族化合物を基質とする場合には、ホルミル基
だけがカルボキシル基に酸化された生成物を得ることが
できる。
【0007】本発明では、触媒として、ヘテロポリ酸と
ヘテロポリ酸の構造に組込まれていない遷移金属とを併
用する。ヘテロポリ酸としては、下記式で示されるヘテ
ロポリ酸組成を有するケギン型ヘテロポリ酸又はドーソ
ン型ヘテロポリ酸を用いることができる。 ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM12O40]n- ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2 M18O62]n- (式中、Yはケイ素、リン、ゲルマニウム及びホウ素よ
り成る群から選ばれた元素を示す。Mはモリブデン、タ
ングステン、バナジウム及びニオブより成る群から選ば
れた元素を示すが、複数の元素の混合物であってもよ
い。nは正の整数であり、その値は通常1〜20の範囲
にある)。
ヘテロポリ酸の構造に組込まれていない遷移金属とを併
用する。ヘテロポリ酸としては、下記式で示されるヘテ
ロポリ酸組成を有するケギン型ヘテロポリ酸又はドーソ
ン型ヘテロポリ酸を用いることができる。 ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM12O40]n- ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2 M18O62]n- (式中、Yはケイ素、リン、ゲルマニウム及びホウ素よ
り成る群から選ばれた元素を示す。Mはモリブデン、タ
ングステン、バナジウム及びニオブより成る群から選ば
れた元素を示すが、複数の元素の混合物であってもよ
い。nは正の整数であり、その値は通常1〜20の範囲
にある)。
【0008】また少なくとも一つの欠損構造部位を有す
る欠損型のヘテロポリ酸を用いることもできる。欠損構
造部位を有するヘテロポリ酸としては、例えば下記式で
示される組成を有するものが挙げられる。 欠損型ヘキサメタレート型ヘテロポリ酸イオン[M5 O
18]n- 1欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM11O39]n- 3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM9 O34]
(m+9r-68) 1欠損型ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2 M
17O61]n- (式中、Y、M、nは上記式におけると同義である。m
は3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸を構成するYの原子価
であって通常は3〜5であり、rは同じくMの原子価で
あって5又は6である)
る欠損型のヘテロポリ酸を用いることもできる。欠損構
造部位を有するヘテロポリ酸としては、例えば下記式で
示される組成を有するものが挙げられる。 欠損型ヘキサメタレート型ヘテロポリ酸イオン[M5 O
18]n- 1欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM11O39]n- 3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM9 O34]
(m+9r-68) 1欠損型ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2 M
17O61]n- (式中、Y、M、nは上記式におけると同義である。m
は3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸を構成するYの原子価
であって通常は3〜5であり、rは同じくMの原子価で
あって5又は6である)
【0009】触媒活性の点からして、ヘテロポリ酸を構
成するヘテロ原子のYとしては、リン又はケイ素が好ま
しく、またポリ原子のMとしてはタングステンが好まし
い。ヘテロポリ酸イオンの対カチオンとしては、限定さ
れるものではないが、通常はプロトン;ナトリウムイオ
ン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシ
ウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金
属イオン、アルキル基の炭素数が1〜20であるテトラ
アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
成するヘテロ原子のYとしては、リン又はケイ素が好ま
しく、またポリ原子のMとしてはタングステンが好まし
い。ヘテロポリ酸イオンの対カチオンとしては、限定さ
れるものではないが、通常はプロトン;ナトリウムイオ
ン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシ
ウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金
属イオン、アルキル基の炭素数が1〜20であるテトラ
アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0010】ヘテロポリ酸と併用される遷移金属として
は、元素の周期表(IUPAC無機化学命名法改訂版
(1989))の第5〜10族のものが用いられる。通
常はバナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、
マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、パラ
ジウムなどを用いるのが好ましい。これらのうちでも触
媒活性と選択性の点からして第8族の遷移金属、特にル
テニウムを用いるのが好ましい。これらの遷移金属は、
無機塩ないしは有機塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化
物、臭化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナートの形
態で用いられる。なかでもアセチルアセトナート塩とし
て用いるのが好ましい。遷移金属はヘテロポリ酸アニオ
ンに対して0.1〜6倍モル用いるのが好ましい。
は、元素の周期表(IUPAC無機化学命名法改訂版
(1989))の第5〜10族のものが用いられる。通
常はバナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、
マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、パラ
ジウムなどを用いるのが好ましい。これらのうちでも触
媒活性と選択性の点からして第8族の遷移金属、特にル
テニウムを用いるのが好ましい。これらの遷移金属は、
無機塩ないしは有機塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化
物、臭化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナートの形
態で用いられる。なかでもアセチルアセトナート塩とし
て用いるのが好ましい。遷移金属はヘテロポリ酸アニオ
ンに対して0.1〜6倍モル用いるのが好ましい。
【0011】本発明では、上述のヘテロポリ酸と遷移金
属塩とを含有している水溶液に反応基質の芳香族化合物
を加え、これに分子状酸素含有ガスを吹込んで、芳香族
化合物の酸化反応を行わせる。水溶液中における遷移金
属の濃度は、通常10〜10,000ppmであるが、
100〜5,000ppmであるのが好ましい。また、
水溶液と反応基質である芳香族化合物の比率は、通常は
1:1〜100:1(重量比)の範囲から選択される。
属塩とを含有している水溶液に反応基質の芳香族化合物
を加え、これに分子状酸素含有ガスを吹込んで、芳香族
化合物の酸化反応を行わせる。水溶液中における遷移金
属の濃度は、通常10〜10,000ppmであるが、
100〜5,000ppmであるのが好ましい。また、
水溶液と反応基質である芳香族化合物の比率は、通常は
1:1〜100:1(重量比)の範囲から選択される。
【0012】なお、水溶液中におけるヘテロポリ酸アニ
オンの安定性は水溶液のpHに影響されるので、水溶液
としてはpH緩衝水溶液を用いて、pHをヘテロポリ酸
アニオンの安定な領域、通常はpH1.5〜10、特に
1.5〜7に維持するのが好ましい。pH緩衝剤として
はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いるのが
好ましい。例えばアルカリ金属のカルボン酸塩、燐酸
塩、炭酸塩、ホウ酸塩などが用いられる。また、タング
ステン酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、バナジン酸
塩などを、触媒成分としての遷移金属の添加を兼ねて用
いることもできる。
オンの安定性は水溶液のpHに影響されるので、水溶液
としてはpH緩衝水溶液を用いて、pHをヘテロポリ酸
アニオンの安定な領域、通常はpH1.5〜10、特に
1.5〜7に維持するのが好ましい。pH緩衝剤として
はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いるのが
好ましい。例えばアルカリ金属のカルボン酸塩、燐酸
塩、炭酸塩、ホウ酸塩などが用いられる。また、タング
ステン酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、バナジン酸
塩などを、触媒成分としての遷移金属の添加を兼ねて用
いることもできる。
【0013】反応に使用する分子状酸素含有ガスとして
は、通常は空気を用いるが、酸素富化空気や逆に窒素な
どの不活性ガスで希釈した空気を用いることもできる。
また所望ならば、酸素ガスそのもの、あるいは、酸素を
窒素などで希釈したものを用いることができる。これら
の分子状酸素含有ガスは、通常、連続的に反応系に吹き
込まれる。反応温度は、通常100〜300℃、好まし
くは150〜230℃であり、反応圧力はこの反応温度
において液相が保持できる圧力以上であればよく、通常
は常圧〜100気圧、好ましくは10〜80気圧であ
る。また、反応時間は、通常0.1〜8時間、好ましく
は1〜5時間の範囲で選ばれる。
は、通常は空気を用いるが、酸素富化空気や逆に窒素な
どの不活性ガスで希釈した空気を用いることもできる。
また所望ならば、酸素ガスそのもの、あるいは、酸素を
窒素などで希釈したものを用いることができる。これら
の分子状酸素含有ガスは、通常、連続的に反応系に吹き
込まれる。反応温度は、通常100〜300℃、好まし
くは150〜230℃であり、反応圧力はこの反応温度
において液相が保持できる圧力以上であればよく、通常
は常圧〜100気圧、好ましくは10〜80気圧であ
る。また、反応時間は、通常0.1〜8時間、好ましく
は1〜5時間の範囲で選ばれる。
【0014】なお、反応基質である芳香族化合物は反応
媒体である水溶液に不溶ないし難溶であるで2層分離し
やすい。そこで、反応速度を高めるため、相溶解剤を加
えて均一層を形成するようにしてもよい。相溶解剤とし
ては、カルボキシル基を有する芳香族化合物が好まし
く、例えば反応基質が、p−キシレンの場合には、相溶
解剤としてp−トルイル酸を使用するのが好ましい。反
応は回分又は連続のいずれの方式でも行うことができ
る。反応生成物の分離精製は、濾過、遠心分離、蒸留な
どの常法により行うことができる。なお、反応生成物を
分離した後の触媒を含む水溶液は、反応に再度利用する
ことができる。
媒体である水溶液に不溶ないし難溶であるで2層分離し
やすい。そこで、反応速度を高めるため、相溶解剤を加
えて均一層を形成するようにしてもよい。相溶解剤とし
ては、カルボキシル基を有する芳香族化合物が好まし
く、例えば反応基質が、p−キシレンの場合には、相溶
解剤としてp−トルイル酸を使用するのが好ましい。反
応は回分又は連続のいずれの方式でも行うことができ
る。反応生成物の分離精製は、濾過、遠心分離、蒸留な
どの常法により行うことができる。なお、反応生成物を
分離した後の触媒を含む水溶液は、反応に再度利用する
ことができる。
【0015】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 ハステロイC製の容積70mlのミクロオートクレーブ
に、水7.5ml、ルテニウムアセチルアセトナート
0.0296g(0.074mmol)、リンタングス
テン酸0.23g(0.08mmol)及びパラキシレ
ン0.5ml(4mmol)を仕込み、空気で60kg
/m2 に加圧した。200℃の電気炉中にオートクレー
ブを装入し、マグネチックスターラーで撹拌しながら2
時間反応を行った。反応後、液については液体クロマト
グラフィーにより、またガス成分についてはガスクロマ
トグラフィーで分析を行った。結果を表−1に示す。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 ハステロイC製の容積70mlのミクロオートクレーブ
に、水7.5ml、ルテニウムアセチルアセトナート
0.0296g(0.074mmol)、リンタングス
テン酸0.23g(0.08mmol)及びパラキシレ
ン0.5ml(4mmol)を仕込み、空気で60kg
/m2 に加圧した。200℃の電気炉中にオートクレー
ブを装入し、マグネチックスターラーで撹拌しながら2
時間反応を行った。反応後、液については液体クロマト
グラフィーにより、またガス成分についてはガスクロマ
トグラフィーで分析を行った。結果を表−1に示す。
【0016】実施例2 ルテニウムアセチルアセトナートの代わりに塩化ルテニ
ウム(RuCl3 ・3H2 O)を0.0185g(0.
07mmol)用いた以外は実施例1と同様に反応を行
った。水溶液の塩素イオン濃度は1000ppmであっ
た。結果を表−1に示す。 実施例3 リンタングステン酸の代わりにケイタングステン酸を
0.265g(0.08mmol)用い、かつ炭酸カリ
ウムでpHを5に調製した水溶液を用いて実施例2と同
様に反応を行った。結果を表−1に示す。
ウム(RuCl3 ・3H2 O)を0.0185g(0.
07mmol)用いた以外は実施例1と同様に反応を行
った。水溶液の塩素イオン濃度は1000ppmであっ
た。結果を表−1に示す。 実施例3 リンタングステン酸の代わりにケイタングステン酸を
0.265g(0.08mmol)用い、かつ炭酸カリ
ウムでpHを5に調製した水溶液を用いて実施例2と同
様に反応を行った。結果を表−1に示す。
【0017】実施例4 水の代わりに0.3M硫酸ナトリウム緩衝水溶液(pH
4)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
結果を表−1に示す。 比較例1 臭化水素を臭素として20,000ppmとなるように
添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施した。結
果を表−1に示す。 比較例2 臭化カリウムを臭素として20,000ppmとなるよ
うに添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施し
た。結果を表−1に示す。 比較例3 ヘテロポリ酸を添加しない以外は、実施例2と同様に反
応を実施した。結果を表−1に示す。
4)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
結果を表−1に示す。 比較例1 臭化水素を臭素として20,000ppmとなるように
添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施した。結
果を表−1に示す。 比較例2 臭化カリウムを臭素として20,000ppmとなるよ
うに添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施し
た。結果を表−1に示す。 比較例3 ヘテロポリ酸を添加しない以外は、実施例2と同様に反
応を実施した。結果を表−1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表−1から明らかなように、本発明方法で
はハロゲンイオンの存在は本質的に不要であり、ハロゲ
ン濃度が高いとむしろ反応が阻害される傾向がある。且
つハロゲンイオンは反応装置を腐蝕させる原因ともなる
ので、ハロゲン濃度は1000ppm以下に抑制すべき
である。
はハロゲンイオンの存在は本質的に不要であり、ハロゲ
ン濃度が高いとむしろ反応が阻害される傾向がある。且
つハロゲンイオンは反応装置を腐蝕させる原因ともなる
ので、ハロゲン濃度は1000ppm以下に抑制すべき
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 63/04 C07C 63/04 63/26 63/26 F // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 佐々木 康之 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内
Claims (7)
- 【請求項1】 不完全に酸化されていてもよいアルキル
基を有する芳香族化合物を、ヘテロポリ酸ないしはその
塩及びヘテロポリ酸構造に組込まれていない遷移金属の
存在下に、1000ppm以下のイオン化しうるハロゲ
ン原子を含んでいてもよい水溶液中で、分子状酸素含有
ガスにより酸化することを特徴とする芳香族カルボン酸
及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。 - 【請求項2】 ヘテロポリ酸構造に組込まれていない遷
移金属がルテニウムであることを特徴とする請求項1記
載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製
造方法。 - 【請求項3】 水溶液がアルカリ金属及び/又はアルカ
リ土類金属を含んでいることを特徴とする請求項1又は
2記載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒド
の製造方法。 - 【請求項4】 ヘテロポリ酸ないしはその塩が、ヘテロ
ポリ酸構造中にタングステンを含むものであることを特
徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族カ
ルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。 - 【請求項5】 水溶液がヘテロポリ酸構造を安定に保持
できるpHの緩衝水溶液であることを特徴とする請求項
1ないし4のいずれかに記載の芳香族カルボン酸及び/
又は芳香族アルデヒドの製造方法。 - 【請求項6】 水溶液のpHが1.5〜7であることを
特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の芳香族
カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。 - 【請求項7】 反応基質の芳香族化合物がパラキシレン
であり、主生成物がテレフタル酸及び/又はパラトルイ
ル酸であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
かに記載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒ
ドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9156435A JPH111447A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 芳香族化合物の側鎖の酸化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9156435A JPH111447A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 芳香族化合物の側鎖の酸化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH111447A true JPH111447A (ja) | 1999-01-06 |
Family
ID=15627698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9156435A Pending JPH111447A (ja) | 1997-06-13 | 1997-06-13 | 芳香族化合物の側鎖の酸化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH111447A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6506932B2 (en) | 2000-11-10 | 2003-01-14 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Method for production of oxygen-containing aromatic compound |
JP2008162917A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Nippon Shokubai Co Ltd | ヘテロポリオキソメタレート化合物およびその製造方法 |
JP2008534577A (ja) * | 2005-03-31 | 2008-08-28 | カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ | 水中におけるp−キシレンの液相酸化によるp−トルイル酸の製造方法 |
EP2479198A1 (en) * | 2009-09-15 | 2012-07-25 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Aromatic hydrocarbon resin and composition for forming underlayer film for lithography |
-
1997
- 1997-06-13 JP JP9156435A patent/JPH111447A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6506932B2 (en) | 2000-11-10 | 2003-01-14 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | Method for production of oxygen-containing aromatic compound |
JP2008534577A (ja) * | 2005-03-31 | 2008-08-28 | カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ | 水中におけるp−キシレンの液相酸化によるp−トルイル酸の製造方法 |
JP2008162917A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Nippon Shokubai Co Ltd | ヘテロポリオキソメタレート化合物およびその製造方法 |
EP2479198A1 (en) * | 2009-09-15 | 2012-07-25 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Aromatic hydrocarbon resin and composition for forming underlayer film for lithography |
EP2479198A4 (en) * | 2009-09-15 | 2013-12-25 | Mitsubishi Gas Chemical Co | RESIN BASED ON AROMATIC HYDROCARBON AND COMPOSITION FOR FORMING SUSPENSION FILM FOR LITHOGRAPHY |
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