JPH111447A - 芳香族化合物の側鎖の酸化方法 - Google Patents

芳香族化合物の側鎖の酸化方法

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JPH111447A
JPH111447A JP9156435A JP15643597A JPH111447A JP H111447 A JPH111447 A JP H111447A JP 9156435 A JP9156435 A JP 9156435A JP 15643597 A JP15643597 A JP 15643597A JP H111447 A JPH111447 A JP H111447A
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JP
Japan
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aromatic
aqueous solution
heteropolyacid
carboxylic acid
producing
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JP9156435A
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English (en)
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Michio Higashijima
道夫 東島
Yosuke Iida
陽介 飯田
Yasuko Nakajima
泰子 中嶋
Yasuyuki Sasaki
康之 佐々木
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 側鎖を有する芳香族化合物を、水溶液中で酸
素含有ガスで酸化して、対応するカルボン酸又はアルデ
ヒドを生成させる。 【解決手段】 水溶液中に、ヘテロポリ酸とヘテロポリ
酸構造に組込まれていない遷移金属とを共存させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不完全に酸化されて
いてもよいアルキル基を有する芳香族化合物を水溶液中
で酸化して、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香
族アルデヒドを製造する方法の改良に関するものであ
る。なお、本明細書において「不完全に酸化されてい
る」とは、アルキル基が酸化はされているがカルボン酸
にまでは酸化されていない状態にあることを意味する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキル基を有する芳香族化合物
を酸化して対応する芳香族のカルボン酸又はアルデヒド
を生成させる方法の一つとして、コバルト、マンガン等
の重金属及び臭素からなる触媒の存在下、カルボン酸溶
媒中で酸化する方法が知られている。その代表的なもの
は、コバルト、マンガン及び臭素を含む酢酸溶媒中でパ
ラキシレンを空気で酸化してテレフタル酸を製造する方
法であり、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテ
レフタル酸は今日では主にこの方法で製造されている。
この方法の問題点の一つは、酢酸が燃焼等により相当量
消費されるため、製造コストが高くなることである。
【0003】この問題点を解決するために、溶媒として
酢酸の代わりに水を用いる方法が提案されているが(特
公昭39−13921号、特開昭58−85840号、
特開昭60−18403号など)、反応速度が遅く実用
的でない。そこで、水溶媒法の改良として、酸化ルテニ
ウムを触媒に用いる方法(特開平3−130247)
や、重金属及び臭素を触媒として用い、さらに助触媒と
してケイタングステン酸やリンモリブデン酸などのヘテ
ロポリ酸を併用する方法(特開平2−200656)な
どが提案されている。しかしながら、前者の酸化ルテニ
ウムを用いる方法は、酸化ルテニウムは固体なので生成
するテレフタル酸ケーキとの分離が困難である。また、
後者の方法では高いハロゲン濃度を必要とするので、こ
のハロゲンが固体として析出しているテレフタル酸中に
残留し、このテレフタル酸から製造されるポリエチレン
テレフタレートの着色の原因となる。更に高濃度のハロ
ゲンを含む水溶液は反応装置を腐食させるので、耐腐食
性のチタン、ハステロイ等の高価な材料で装置を製作す
ることが必要である。高濃度のハロゲンを用いない方法
として、遷移金属を欠損型のヘテロポリ酸に組み込んだ
触媒を用いる方法も提案されているが(特開平8−53
391)、反応基質である芳香族化合物の燃焼が無視で
きない程多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は不完全
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を水溶媒中で酸化して対応する芳香族のカルボン酸又
はアルデヒドを製造するに際し、本質的にハロゲンの存
在を必要とせず、かつ反応基質の燃焼を抑制して、高い
選択率で目的物を製造する方法を提供しようとするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、不完全
に酸化されていてもよいアルキル基を有する芳香族化合
物を、ヘテロポリ酸ないしはその塩及びヘテロポリ酸構
造に組込まれていない遷移金属の存在下に、1000p
pm以下のイオン化し得るハロゲン原子を含んでいても
よい水溶液中で、分子状酸素含有ガスで酸化することに
より、対応する芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アル
デヒドを高い選択率で製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、反応基質として炭素
数1〜8程度のアルキル基又はその不完全酸化物を側鎖
として有する芳香族化合物を用いるが、通常はメチル
基、エチル基、n−又はi−プロピル基など炭素数1〜
3のアルキル基を側鎖として有するものを反応基質とす
るのが好ましい。反応基質の芳香族化合物には、このよ
うなアルキル基又はその不完全酸化物が2個以上結合し
ていてもよく、またこれに加えてカルボキシル基のよう
な他の置換基が更に結合していてもよい。本発明で反応
基質として用いられる芳香族化合物の具体例としては、
トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、
4,4′−ジメチルビフェニル、o−,m−又はp−キ
シレン、o−,m−,又はp−ジイソプロピルベンゼ
ン、プソイドキュメン(1,2,4−トリメチルベンゼ
ン)、2,6−ジメチルナフタレン等のアルキル基の置
換した芳香族化合物;ベンズアルデヒド、o−,m−又
はp−トルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデ
ヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2,
6−ジホルミルナフタレン、1−ホルミルナフタレン等
のホルミル基又はホルミル基とアルキル基の置換した芳
香族化合物;ベンジルアルコール等のヒドロキシアルキ
ル基の置換した芳香族化合物;o−,m−又はp−トル
イル酸、o−,m−又はp−カルボキシベンズアルデヒ
ド等のアルキル基又はホルミル基とカルボキシル基の置
換した芳香族化合物が挙げられる。なお、ヒドロキシア
ルキル基やホルミル基などの不完全に酸化されたアルキ
ル基はアルキル基そのものよりも酸化され易いので、ト
ルアルデヒドのようなホルミル基とアルキル基の双方を
有する芳香族化合物を基質とする場合には、ホルミル基
だけがカルボキシル基に酸化された生成物を得ることが
できる。
【0007】本発明では、触媒として、ヘテロポリ酸と
ヘテロポリ酸の構造に組込まれていない遷移金属とを併
用する。ヘテロポリ酸としては、下記式で示されるヘテ
ロポリ酸組成を有するケギン型ヘテロポリ酸又はドーソ
ン型ヘテロポリ酸を用いることができる。 ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM1240n- ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2 1862n- (式中、Yはケイ素、リン、ゲルマニウム及びホウ素よ
り成る群から選ばれた元素を示す。Mはモリブデン、タ
ングステン、バナジウム及びニオブより成る群から選ば
れた元素を示すが、複数の元素の混合物であってもよ
い。nは正の整数であり、その値は通常1〜20の範囲
にある)。
【0008】また少なくとも一つの欠損構造部位を有す
る欠損型のヘテロポリ酸を用いることもできる。欠損構
造部位を有するヘテロポリ酸としては、例えば下記式で
示される組成を有するものが挙げられる。 欠損型ヘキサメタレート型ヘテロポリ酸イオン[M5
18n- 1欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM1139n- 3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸イオン[YM9 34
(m+9r-68) 1欠損型ドーソン型ヘテロポリ酸イオン[Y2
1761n- (式中、Y、M、nは上記式におけると同義である。m
は3欠損型ケギン型ヘテロポリ酸を構成するYの原子価
であって通常は3〜5であり、rは同じくMの原子価で
あって5又は6である)
【0009】触媒活性の点からして、ヘテロポリ酸を構
成するヘテロ原子のYとしては、リン又はケイ素が好ま
しく、またポリ原子のMとしてはタングステンが好まし
い。ヘテロポリ酸イオンの対カチオンとしては、限定さ
れるものではないが、通常はプロトン;ナトリウムイオ
ン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシ
ウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金
属イオン、アルキル基の炭素数が1〜20であるテトラ
アルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0010】ヘテロポリ酸と併用される遷移金属として
は、元素の周期表(IUPAC無機化学命名法改訂版
(1989))の第5〜10族のものが用いられる。通
常はバナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、
マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、パラ
ジウムなどを用いるのが好ましい。これらのうちでも触
媒活性と選択性の点からして第8族の遷移金属、特にル
テニウムを用いるのが好ましい。これらの遷移金属は、
無機塩ないしは有機塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化
物、臭化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナートの形
態で用いられる。なかでもアセチルアセトナート塩とし
て用いるのが好ましい。遷移金属はヘテロポリ酸アニオ
ンに対して0.1〜6倍モル用いるのが好ましい。
【0011】本発明では、上述のヘテロポリ酸と遷移金
属塩とを含有している水溶液に反応基質の芳香族化合物
を加え、これに分子状酸素含有ガスを吹込んで、芳香族
化合物の酸化反応を行わせる。水溶液中における遷移金
属の濃度は、通常10〜10,000ppmであるが、
100〜5,000ppmであるのが好ましい。また、
水溶液と反応基質である芳香族化合物の比率は、通常は
1:1〜100:1(重量比)の範囲から選択される。
【0012】なお、水溶液中におけるヘテロポリ酸アニ
オンの安定性は水溶液のpHに影響されるので、水溶液
としてはpH緩衝水溶液を用いて、pHをヘテロポリ酸
アニオンの安定な領域、通常はpH1.5〜10、特に
1.5〜7に維持するのが好ましい。pH緩衝剤として
はアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いるのが
好ましい。例えばアルカリ金属のカルボン酸塩、燐酸
塩、炭酸塩、ホウ酸塩などが用いられる。また、タング
ステン酸塩、モリブデン酸塩、ニオブ酸塩、バナジン酸
塩などを、触媒成分としての遷移金属の添加を兼ねて用
いることもできる。
【0013】反応に使用する分子状酸素含有ガスとして
は、通常は空気を用いるが、酸素富化空気や逆に窒素な
どの不活性ガスで希釈した空気を用いることもできる。
また所望ならば、酸素ガスそのもの、あるいは、酸素を
窒素などで希釈したものを用いることができる。これら
の分子状酸素含有ガスは、通常、連続的に反応系に吹き
込まれる。反応温度は、通常100〜300℃、好まし
くは150〜230℃であり、反応圧力はこの反応温度
において液相が保持できる圧力以上であればよく、通常
は常圧〜100気圧、好ましくは10〜80気圧であ
る。また、反応時間は、通常0.1〜8時間、好ましく
は1〜5時間の範囲で選ばれる。
【0014】なお、反応基質である芳香族化合物は反応
媒体である水溶液に不溶ないし難溶であるで2層分離し
やすい。そこで、反応速度を高めるため、相溶解剤を加
えて均一層を形成するようにしてもよい。相溶解剤とし
ては、カルボキシル基を有する芳香族化合物が好まし
く、例えば反応基質が、p−キシレンの場合には、相溶
解剤としてp−トルイル酸を使用するのが好ましい。反
応は回分又は連続のいずれの方式でも行うことができ
る。反応生成物の分離精製は、濾過、遠心分離、蒸留な
どの常法により行うことができる。なお、反応生成物を
分離した後の触媒を含む水溶液は、反応に再度利用する
ことができる。
【0015】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 ハステロイC製の容積70mlのミクロオートクレーブ
に、水7.5ml、ルテニウムアセチルアセトナート
0.0296g(0.074mmol)、リンタングス
テン酸0.23g(0.08mmol)及びパラキシレ
ン0.5ml(4mmol)を仕込み、空気で60kg
/m2 に加圧した。200℃の電気炉中にオートクレー
ブを装入し、マグネチックスターラーで撹拌しながら2
時間反応を行った。反応後、液については液体クロマト
グラフィーにより、またガス成分についてはガスクロマ
トグラフィーで分析を行った。結果を表−1に示す。
【0016】実施例2 ルテニウムアセチルアセトナートの代わりに塩化ルテニ
ウム(RuCl3 ・3H2 O)を0.0185g(0.
07mmol)用いた以外は実施例1と同様に反応を行
った。水溶液の塩素イオン濃度は1000ppmであっ
た。結果を表−1に示す。 実施例3 リンタングステン酸の代わりにケイタングステン酸を
0.265g(0.08mmol)用い、かつ炭酸カリ
ウムでpHを5に調製した水溶液を用いて実施例2と同
様に反応を行った。結果を表−1に示す。
【0017】実施例4 水の代わりに0.3M硫酸ナトリウム緩衝水溶液(pH
4)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行った。
結果を表−1に示す。 比較例1 臭化水素を臭素として20,000ppmとなるように
添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施した。結
果を表−1に示す。 比較例2 臭化カリウムを臭素として20,000ppmとなるよ
うに添加した以外は、実施例1と同様に反応を実施し
た。結果を表−1に示す。 比較例3 ヘテロポリ酸を添加しない以外は、実施例2と同様に反
応を実施した。結果を表−1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表−1から明らかなように、本発明方法で
はハロゲンイオンの存在は本質的に不要であり、ハロゲ
ン濃度が高いとむしろ反応が阻害される傾向がある。且
つハロゲンイオンは反応装置を腐蝕させる原因ともなる
ので、ハロゲン濃度は1000ppm以下に抑制すべき
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 63/04 C07C 63/04 63/26 63/26 F // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 佐々木 康之 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不完全に酸化されていてもよいアルキル
    基を有する芳香族化合物を、ヘテロポリ酸ないしはその
    塩及びヘテロポリ酸構造に組込まれていない遷移金属の
    存在下に、1000ppm以下のイオン化しうるハロゲ
    ン原子を含んでいてもよい水溶液中で、分子状酸素含有
    ガスにより酸化することを特徴とする芳香族カルボン酸
    及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。
  2. 【請求項2】 ヘテロポリ酸構造に組込まれていない遷
    移金属がルテニウムであることを特徴とする請求項1記
    載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 水溶液がアルカリ金属及び/又はアルカ
    リ土類金属を含んでいることを特徴とする請求項1又は
    2記載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ヘテロポリ酸ないしはその塩が、ヘテロ
    ポリ酸構造中にタングステンを含むものであることを特
    徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族カ
    ルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。
  5. 【請求項5】 水溶液がヘテロポリ酸構造を安定に保持
    できるpHの緩衝水溶液であることを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれかに記載の芳香族カルボン酸及び/
    又は芳香族アルデヒドの製造方法。
  6. 【請求項6】 水溶液のpHが1.5〜7であることを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の芳香族
    カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒドの製造方法。
  7. 【請求項7】 反応基質の芳香族化合物がパラキシレン
    であり、主生成物がテレフタル酸及び/又はパラトルイ
    ル酸であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
    かに記載の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族アルデヒ
    ドの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6506932B2 (en) 2000-11-10 2003-01-14 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for production of oxygen-containing aromatic compound
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