JPH11140262A - 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

Info

Publication number
JPH11140262A
JPH11140262A JP32244597A JP32244597A JPH11140262A JP H11140262 A JPH11140262 A JP H11140262A JP 32244597 A JP32244597 A JP 32244597A JP 32244597 A JP32244597 A JP 32244597A JP H11140262 A JPH11140262 A JP H11140262A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinyl chloride
weight
chloride resin
film
ethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32244597A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadahiro Takano
忠広 高野
Toshimi Machida
稔巳 町田
Nobuyuki Kikuiri
信幸 菊入
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Achilles Corp filed Critical Achilles Corp
Priority to JP32244597A priority Critical patent/JPH11140262A/ja
Publication of JPH11140262A publication Critical patent/JPH11140262A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたって防滴性が持続する農業用塩
化ビニル系樹脂フィルムを得ること。 【解決手段】 エチレン含有量が0.1〜10重量%で
あるエチレン−塩化ビニル共重合体5〜100重量%
と、他の塩化ビニル共重合体95〜0重量%とからなる
塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、特定の複合金属
水酸化物塩と、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、長石から選ばれる一種以上の無機質粒子を
含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用被覆材とし
て使用される塩化ビニル系樹脂フィルム、詳細には塩化
ビニル系樹脂として特定のエチレン−塩化ビニル共重合
体を使用した防滴持続性に優れた農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、トンネルや農業用ハウス等の
農業用施設に使用する被覆材(農業用被覆材)として、
安価で透明性がよく、保温性や強度等にも優れる上、フ
ィルム化が容易(加工性が良い)等の理由から、塩化ビ
ニル単独重合体であるポリ塩化ビニルからなるフィルム
が広く使用されている。このポリ塩化ビニルからなる農
業用フィルム(農業用ポリ塩化ビニルフィルム)は、一
般に、ポリ塩化ビニルに、可塑剤、安定剤、防滴剤、防
霧剤、紫外線吸収剤等の添加剤を所定量添加してなる組
成物を、カレンダー法等の手段にてフィルム化したもの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年では、農
家の人手不足や省資源等の理由から、長期にわたって展
張することが可能な農業用被覆材が望まれており、農業
用ポリ塩化ビニルフィルムに関しても、長期展張を指向
した提案が数多くなされてきた。特に、農業用ポリ塩化
ビニルフィルムを長期にわたって展張可能とするために
は、防滴性、防霧性を長期間持続させることが必要不可
欠であり、防滴剤や防霧剤の種類を特定したり、他の添
加剤を組み合わせて使用することを特定した提案等が多
くなされている。しかしながら、防滴性や防霧性が長期
間持続するようにした場合、一般に初期の防滴性や防霧
性が低下する傾向にある。
【0004】一方、本発明出願人は、特願昭63−17
4286号として、特定のエチレン−塩化ビニル共重合
体を使用した、防滴持続性に優れる農業用塩化ビニル系
樹脂フィルムを提案(以下、「先提案」という)した。
本発明は、上記の先提案に更に改良を加えたものであ
り、特定の無機質粒子を組み合わせて併用することによ
り、防滴持続性を更に向上させた農業用塩化ビニル系樹
脂フィルムを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
は、エチレン含有量が0.1〜10重量%であるエチレ
ン−塩化ビニル共重合体5〜100重量%と、他の塩化
ビニル系重合体95〜0重量%とからなる塩化ビニル系
樹脂に、少なくとも防滴剤及び無機質粒子を添加してな
る塩化ビニル系樹脂組成物をフィルム化してなる農業用
塩化ビニル系樹脂フィルムであって、無機質粒子が、塩
化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜15重量部
の化2に示す複合金属水酸化物塩粒子と、塩化ビニル系
樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部のシリカ、水
酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ば
れる一種以上の無機質粒子を含むことを特徴とするもの
である。
【化2】
【0006】本発明における塩化ビニル系樹脂は、エチ
レン含有量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化
ビニル共重合体単独、もしくはエチレン含有量が0.1
〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共重合体と他
の塩化ビニル系重合体との混合物であり、エチレン含有
量が0.1〜10重量%であるエチレン−塩化ビニル共
重合体5〜100重量%と、他の塩化ビニル系重合体9
5〜0重量%とからなるものである。
【0007】上記のエチレン−塩化ビニル共重合体は、
エチレン含有量が0.1〜10重量%、特に好ましくは
0.5〜7重量部である。エチレン−塩化ビニル共重合
体中のエチレン含有量が少なすぎると、防滴持続性の向
上が充分に発現せず、逆にエチレン−塩化ビニル共重合
体中のエチレン含有量が多すぎると、得られる農業用塩
化ビニル系樹脂フィルムの耐侯性が悪化する。
【0008】上記のエチレン−塩化ビニル共重合体に混
合される他の塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニル
の単独重合体であるポリ塩化ビニルの他、エチレン以外
の他のモノマー、具体的には、プロピレン、酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン
酸、フマール酸、アクリロニトリル、アルキルビニルエ
ーテル等との共重合体が挙げられる。また、エチレン含
有量が0.1重量%未満あるいは10重量%を超えるエ
チレン−塩化ビニル共重合体を混合しても差し支えない
が、特にエチレン含有量が10重量%を超えるエチレン
−塩化ビニル共重合体を使用する場合には、塩化ビニル
系樹脂中の全エチレン量が、多くなりすぎないように留
意する必要がある。
【0009】上記の塩化ビニル系樹脂中に含まれる全エ
チレン量は、0.1〜7重量部程度とするのが望まし
い。すなわち、エチレン含有量が0.1重量%のエチレ
ン−塩化ビニル共重合体を使用する場合には、エチレン
−塩化ビニル共重合体単独からなる塩化ビニル系樹脂と
するのが望ましく、またエチレン含有量が7〜10重量
%のエチレン−塩化ビニル共重合体を使用する場合に
は、エチレン−塩化ビニル共重合体とエチレンを含まな
い他の塩化ビニル系共重合体を混合して塩化ビニル系樹
脂とするのが望ましい。
【0010】上記の塩化ビニル系樹脂には、必要に応じ
て、可塑剤、安定剤、滑剤又は粘着防止剤、紫外線吸収
剤、防霧剤、抗酸化剤、光安定剤等の各種添加剤が添加
される。
【0011】可塑剤として具体的には、ジ−n−オクチ
ルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ
イソノニルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベ
ンジルフタレート、ジラウリルフタレート、ジデシルフ
タレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタ
レート等のフタル酸エステル系可塑剤;トリクレジルホ
スフェート、トリキシリルホスフェート、トリス(イソ
プロピルフェニル)ホスフェート、トリブチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、トリエチルフェニルホスフェート等のリン酸エス
テル系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジトリノニルア
ジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エス
テル系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;セバチン酸エス
テル系可塑剤;トリメリット酸エステル系可塑剤;エポ
キシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤;等から選ばれる一
種以上が使用できる。また、可塑剤の添加量は、塩化ビ
ニル系樹脂100重量部当たり30〜70重量部程度で
ある。
【0012】安定剤としては、金属石鹸、有機ホスファ
イト系安定剤等の通常使用されている安定剤を使用する
ことができる。金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、リシ
ノール酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸
カルシウム、オクトイン酸亜鉛等が挙げられる。有機ホ
スファイト系安定剤としては、ジフェニルデシルホスフ
ァイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリ
ス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリステアリ
ルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト等が
挙げられる。上記の安定剤は、一種又は二種以上を組み
合わせて使用することができる。
【0013】滑剤又は粘着防止剤としては、ステアリン
酸、イソステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系滑
剤;ステアリン酸アミド、メチレンビスステアロアミ
ド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド系滑
剤;ブチルパルミテート、ブチルステアレート等のエス
テル系滑剤;バリウムイソデシルホスフェート、カルシ
ウムオクタデシルホスフェート等の有機リン酸金属塩系
滑剤;ポリエチレンワックス、流動パラフィン等が使用
できる。上記の滑剤又は粘着防止剤は、一種又は二種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0014】紫外線吸収剤としては、一般に使用されて
いるベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチ
ル酸エステル系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収
剤が使用できる。上記の紫外線吸収剤は、一種又は二種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】防霧剤として具体的には、従来より農業用
フィルムの防霧剤として使用されている含フッ素化合物
を使用することができる。この含フッ素化合物は、一分
子中に、含フッ素基と、水酸基又はアルキレンオキサイ
ド基の少なくとも一種を有する化合物である。含フッ素
基としては、パーフルオロアルキル基〔Cn
2n+1−〕、パーフルオロアルコキシ基〔Cn 2n+1
−〕、ポリフルオロアルキル基〔Hm n
2n+1-m−〕、パーフルオロアルケニル基〔Cn
2n-1−〕、ポリフルオロアルケニル基〔Hm n
2n-1-m−〕、パーフルオロアルキレン基〔Cn 2n−〕
等が挙げられ(但し、式中のmは1〜3、nは3〜20
の整数)、アルキレンオキサイド基としては、〔−(C
2 4 O)n −〕、〔−(C3 6 O)n −〕等が挙げ
られる(但しnは1〜30の整数)。
【0016】上記の含フッ素化合物として具体的には、
化3の(1)〜(13)に示すものが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。
【化3】
【0017】上記の防霧剤の添加量は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対し、0.01〜1.0重量部程度、
特に好ましくは、0.05〜0.5重量部程度である。
防霧剤の添加量が少なすぎると、得られるフィルムの防
霧性が不充分となり、防霧剤の添加量が多すぎると、コ
スト高になる。
【0018】光安定剤としては、一般に使用されてい
る、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン単位を有
するヒンダードアミン系光安定剤を使用することができ
る。このヒンダードアミン系光安定剤としては、分子量
が800〜2000程度のものが好適である。また、上
記の光安定剤の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量
部に対し、0.01〜0.3重量部程度である。
【0019】なお、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フ
ィルムを構成する塩化ビニル系樹脂組成物中には、上記
の通常使用される添加剤に加えて、得られるフィルムの
耐候性を更に向上させるために、化4に示す有機リン系
化合物を添加することもできる。
【化4】
【0020】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
を構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、防滴剤を含むも
のである。この防滴剤としては、従来より使用されてい
るものであればいずれのものであっても使用できるが、
特に好適には、ソルビタン系の防滴剤である。
【0021】ソルビタン系の防滴剤として具体的には、
ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソ
ルビタンステアレート・エチレンオキサイド1モル付加
物、ソルビタンステアレート・エチレンオキサイド2モ
ル付加物、ソルビタンステアレート・プロピレンオキサ
イド3モル付加物、ソルビタンステアレートアジペート
・エチレンオキサイド3モル付加物等が使用できる。
【0022】また、上記のソルビタン系以外の防滴剤と
して具体的には、ジグリセリンステアレート、ソルビト
ールステアレート、ソルビトールステアレート・エチレ
ンオキサイド3モル付加物、ジグリセリンパルミテート
・エチレンオキサイド2モル付加物、ソルビトールステ
アレートアジペート・エチレンオキサイド2モル付加
物、ジグリセリンパルミテートセバケート・プロピレン
オキサイド3モル付加物、ソルビトールパルミテートア
ジペート・エチレンオキサイド3モル付加物等が使用で
きる。
【0023】上記の防滴剤の添加量は、塩化ビニル系樹
脂100重量部に対し、0.3〜5重量部である。防滴
剤の添加量が少なすぎると、得られるフィルムの防滴性
が不充分であり、また、防滴剤の添加量が多すぎると、
コスト高となるばかりでなく、添加した防滴剤がブルー
ムして、得られたフィルムの透明性を損なう等の懸念が
ある。
【0024】本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
を構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、防滴剤ととも
に、上記化2に示す複合金属水酸化物塩粒子と、シリ
カ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石か
ら選ばれる一種以上無機質粒子を含むものである。
【0025】化2に示す複合金属水酸化物塩は、リチウ
ム(Li)、アルミニウム(Al)及び一種又は二種以
上の2価の金属(M)のイオンを含む複合金属水酸化物
塩であるが、この2価の金属は必ずしも含んでいなくて
もよい。むしろ、この2価の金属の比率が高いものを使
用しても、本発明で目的とする防滴持続性の向上が充分
に発現しない。従って、本発明に使用する複合金属水酸
化物塩としては、化2に示す式中のxとaの値の合計が
0.5以上、更に好ましくは0.8以上となっているも
のが望ましい。
【0026】上記の2価の金属として具体的には、マグ
ネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、バリウム(Ba)、
カルシウム(Ca)、鉛(Pb)等から選ばれる一種以
上が挙げられるが、好ましくはマグネシウム又は/及び
亜鉛である。
【0027】化2に示す式中のYはn価のアニオンであ
る。このYとして具体的には、炭酸イオン、過塩素酸イ
オン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオ
ン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、アジピン酸イオ
ン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イ
オン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イ
オン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、p−オキシ安息
香酸イオン、サリチル酸イオン、ピクリン酸イオン、ケ
イ酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ヨウ素イオン、
フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン等が挙げられ
る。
【0028】化2に示す複合金属水酸化物塩粒子として
は、平均粒子径が0.01〜10μmのものが好適であ
り、また、形状が板状である粒子であるのが望ましい。
この複合金属水酸化物塩粒子は、二次粒子を形成したも
のであってもよく、二次粒子を形成したものである場合
には、上記の平均粒子径は、この二次粒子の平均粒子径
のことを指す。また、この複合金属水酸化物塩粒子とし
ては、屈折率が1.45〜1.55程度のものが特に好
適である。更に、この複合金属水酸化物塩粒子は、塩化
ビニル系樹脂組成物中への分散性を向上させるために、
パラフィン、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属
塩、高級アルコール、多価アルコール、カップリング剤
等の表面処理剤によって表面処理されたものであっても
よい。
【0029】化2に示す複合金属水酸化物塩粒子の添加
量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、0.1〜
15重量部、特に好ましくは、1〜10重量部である。
この複合金属水酸化物塩粒子の添加量が少なすぎると、
防滴持続性が十分に向上せず、添加量が多すぎると、得
られるフィルムの透明性や強度が低下するといった懸念
がある。
【0030】上記の複合金属水酸化物塩粒子と共に本発
明の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを構成する塩化ビ
ニル系樹脂組成物中に添加される、シリカ、水酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる一種
以上の無機質粒子としては、平均粒径が0.01〜20
μmのものが好適である。
【0031】上記の無機質粒子の添加量は、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部、好まし
くは0.5〜3重量部である。また、塩化ビニル系樹脂
組成物中に添加する、上記の複合金属水酸化物塩粒子と
このシリカ等の無機質粒子の割合は、1:1〜10:1
程度とするのが望ましい。複合金属水酸化物塩粒子の添
加量以上の量のシリカ等の無機質粒子を添加しても、防
滴持続性が更に向上するようなことはなく、むしろ得ら
れるフィルムの透明性や強度等を損なう等の懸念があ
り、一方、シリカ等の無機質粒子を複合金属水酸化物塩
粒子の添加量に対し、その10分の1にも満たない極僅
かな量添加しても、複合金属水酸化物塩粒子単独で添加
した場合と特段の差は見られない。
【0032】尚、上記の複合金属水酸化物塩粒子を添加
した塩化ビニル系樹脂組成物からなる農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムは、この塩化ビニル系樹脂組成物中に、
シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、長
石のいずれも添加されていないとしても、防滴持続性の
改良が見られるが、本発明は、この複合金属水酸化物塩
粒子と、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニ
ウム、長石から選ばれる一種以上無機質粒子を併用して
添加することにより、複合金属水酸化物塩粒子を単独で
添加した場合よりも、防滴持続性が向上することを見出
した結果、完成するに至ったものである。
【0033】また、塩化ビニル系樹脂組成物中に上記の
複合金属水酸化物塩粒子を添加した場合、この組成物を
カレンダー加工等でフィルム化するときに変色し易くな
る。それを防止するために、上記に加えてβ−ジケトン
化合物を添加しておくのが望ましい。このβ−ジケトン
化合物としては、ジベンゾイルメタン、メトキシベンゾ
イル・ベンゾイルメタン、クロロベンゾイル・ベンゾイ
ルメタン、パルミチンベンゾイルメタン等が使用でき
る。
【0034】このβ−ジケトン化合物の添加量は、塩化
ビニル系樹脂100重量部に対し、0.001〜0.3
重量部程度である。β−ジケトン化合物の添加量が少な
すぎると、上記の効果が充分に発現せず、また、β−ジ
ケトン化合物を上記添加量を超えて添加しても、コスト
高となるだけである。
【0035】また、上記の無機質粒子を塩化ビニル系樹
脂組成物中に添加した場合、得られるフィルムの耐侯性
が低下する傾向にある。これを抑制するためには、紫外
線吸収剤の種類や添加量を選定・調製することによっ
て、330nmの波長の光線透過率を50%以下に抑制
しておくのが望ましい。但し、紫外線帯の光線透過率を
必要以上に抑制してしまうと、作物の色付き等の悪影響
を及ぼすことが懸念されるため、それを使用して栽培す
る作物の特性等も考慮した上で、紫外線帯の光線透過率
を決定することが重要である。勿論、上記のように33
0nmの波長の光線透過率は50%以下とするととも
に、フィルムの耐侯性を向上させるトリキシリルホスフ
ェート等のリン酸エステル系可塑剤、上記化4に示す有
機リン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の光安定
剤等を添加する等して、得られるフィルムの耐侯性を向
上させることが、長期展張可能な農業用フィルムを得る
上では必要である。
【0036】上記の塩化ビニル系樹脂組成物は、カレン
ダー法、押出法、インフレーション法等の公知の手段に
てフィルム化され、本発明の塩化ビニル系樹脂フィルム
が得られる。尚、フィルム化するときの温度等の加工条
件は、従来の農業用塩化ビニル系樹脂フィルムの場合と
特に変える必要はない。
【0037】上記のようにして得られた本発明の農業用
塩化ビニル系樹脂フィルムは、従来の農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムのように、展張した際に外側となる面
に、溶剤系、水系あるいは紫外線硬化型の塗料を塗布し
て形成した防塵性塗膜を設けることもできる。上記の溶
剤系塗料としては、例えば、アクリル樹脂系、塩化ビニ
ル樹脂系、セルロース樹脂系、フッ素樹脂系、ポリアミ
ド樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコー
ン樹脂系等の塗料が使用できる。水系塗料としては、例
えば、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ウレタン
樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗料が使用できる。紫外線
硬化型塗料としては、例えば、アクリル樹脂系、アクリ
ル変性ウレタン樹脂系、アクリル変性エポキシ樹脂系、
メルカプト誘導体系、エポキシ樹脂系等の塗料が使用で
きる。
【0038】また、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂フ
ィルムは、展張した際に内側となる面に、防滴性を付与
することを目的とする被膜、例えば、上記の溶剤系、水
系あるいは紫外線硬化型の塗料に、コロイダルシリカ等
を添加して得た塗料を塗布して形成した塗膜を形成して
もよい。
【0039】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げ、本発明をより
詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定さ
れるものではない。
【0040】〔実施例1〜9、比較例1〜6〕表1、表
2に示す配合からなる塩化ビニル系樹脂組成物をロール
温度180℃のカレンダー装置を用いて、厚さ0.1m
mのフィルムに成形し、塩化ビニル系樹脂フィルムを得
た。得られた塩化ビニル系樹脂フィルムを、幅1m、高
さ80cm、長さ10mのトンネルハウスに展張し、初
期の防滴性、防滴持続性、フィルムの耐侯性について、
下記方法にて評価した。結果を表1、表2に示す。
【0041】(1)初期の防滴性 展張してから3日経過後に、フィルムのハウス内表面側
の状態を目視により観察し、下記基準にて評価した。 〔基準〕 5:水滴が全く見られず、水が膜状となってきれいに流
れている。 4:極僅かに水滴が見られるが、水が膜状となってきれ
いに流れている。 3:水滴は少ないが、水が筋状となって流れている箇所
が見受けられる。 2:水滴が多く、水が筋状となって流れている。 1:多量の水滴が付着し、殆ど流れていない。 (2)展張してから3ケ月後、6ケ月後、12ケ月後、
24ケ月後のフィルムのハウス内表面側の状態を目視に
より観察し、上記の同じ基準にて評価した。 (3)耐侯性 展張してから12ケ月後のフィルムの状態(特に、金属
製パイプとの接触部の状態)を目視により観察し、変色
が殆どないものを○、変色の見られるものを×として評
価した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】以上の結果より明らかなように、塩化ビニ
ル系樹脂として、特定のエチレン−塩化ビニル共重合樹
脂、或いはエチレン−塩化ビニル共重合樹脂を含む塩化
ビニル系樹脂を用い、かつ特定の複合金属水酸化物塩及
び無機質粉体を添加してなる本発明の農業用塩化ビニル
系樹脂フィルムは、防滴持続性の改善が見られることが
わかる。一方、比較例4〜6から明らかなように、塩化
ビニル系樹脂としてポリ塩化ビニルを用いた場合であっ
ても、同様の複合金属水酸化物塩及び無機質粉体を添加
することによって防滴持続性が改善されるが、実施例
2、5、6との比較から明らかなように、その効果は、
特定のエチレン−塩化ビニル共重合樹脂、或いはエチレ
ン−塩化ビニル共重合樹脂を含む塩化ビニル系樹脂を用
いた場合の方が大きいことがわかる。更に、実施例2と
実施例6の比較から、本発明において使用する防滴剤と
してはソルビタン系の防滴剤が好適であることがわか
り、また実施例2と実施例5の比較から、本発明におい
て使用する複合金属水酸化物塩としては、上記化2に示
す式中の2価の金属(M)の比率が低いものの方が好適
であることがわかる。
【0045】
【発明の効果】上記した通り、本発明の農業用塩化ビニ
ル系樹脂フィルムは、特定の塩化ビニル系樹脂を用い、
かつ特定の複合金属水酸化物塩及び無機質粉体を併用し
て添加した組成物からなることにより、初期の防滴性に
優れるのは勿論のこと、その効果の持続性にも優れるも
のである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量が0.1〜10重量%で
    あるエチレン−塩化ビニル共重合体5〜100重量%
    と、他の塩化ビニル系重合体95〜0重量%とからなる
    塩化ビニル系樹脂に、少なくとも防滴剤及び無機質粒子
    を添加してなる塩化ビニル系樹脂組成物をフィルム化し
    てなる農業用塩化ビニル系樹脂フィルムであって、無機
    質粒子が、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1
    〜15重量部の化1に示す複合金属水酸化物塩粒子と、
    塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜5重量部
    のシリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、
    長石から選ばれる一種以上の無機質粒子を含むことを特
    徴とする農業用塩化ビニル系樹脂フィルム。 【化1】
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂中の全エチレン量が、
    0.1〜7重量%である請求項1記載の農業用塩化ビニ
    ル系樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 化1に示す複合金属水酸化物塩粒子の平
    均粒子径が0.01〜10μmであり、シリカ、水酸化
    マグネシウム、水酸化アルミニウム、長石から選ばれる
    一種以上無機質粒子の平均粒子径が0.01〜20μm
    である請求項1又は2記載の農業用塩化ビニル系樹脂フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】 化1に示す複合金属水酸化物塩粒子が板
    状粒子である請求項1〜3いずれか1項記載の農業用塩
    化ビニル系樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 防滴剤が、ソルビタン系防滴剤である請
    求項1〜4いずれか1項記載の農業用塩化ビニル系樹脂
    フィルム。
JP32244597A 1997-11-07 1997-11-07 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム Pending JPH11140262A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32244597A JPH11140262A (ja) 1997-11-07 1997-11-07 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32244597A JPH11140262A (ja) 1997-11-07 1997-11-07 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11140262A true JPH11140262A (ja) 1999-05-25

Family

ID=18143756

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32244597A Pending JPH11140262A (ja) 1997-11-07 1997-11-07 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11140262A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4724460B2 (ja) 農業用フィルム
JPH11140262A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH11140261A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP2500957B2 (ja) 農業用軟質塩化ビニル系樹脂フィルム
JP3736660B2 (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH10226739A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
KR100201885B1 (ko) 농업용 폴리올레핀계 수지 필름
JPH1180478A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH04238029A (ja) オレフィン系農業用積層フィルム
JP3033213B2 (ja) 農業用軟質塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH10259284A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP3385578B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂製フィルム
JP3630868B2 (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP2981413B2 (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP4053458B2 (ja) 農業用塩化ビニル樹脂フィルム
JP3990040B2 (ja) 農業用合成樹脂製フィルム
JP3463762B2 (ja) 農業用合成樹脂被覆材
JP4276350B2 (ja) 農業用合成樹脂フィルム
JP2914887B2 (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH09309996A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP3056763B2 (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JP3148164B2 (ja) 農業用合成樹脂フィルム
JPH11137097A (ja) 農業用合成樹脂製フィルム
JP2001031776A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH07149985A (ja) 農業用塩化ビニル系樹脂フィルム