JPH11135775A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JPH11135775A
JPH11135775A JP9294005A JP29400597A JPH11135775A JP H11135775 A JPH11135775 A JP H11135775A JP 9294005 A JP9294005 A JP 9294005A JP 29400597 A JP29400597 A JP 29400597A JP H11135775 A JPH11135775 A JP H11135775A
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JP
Japan
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voltage
region
forward bias
semiconductor device
impurity region
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JP9294005A
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Hideki Nakamura
秀城 中村
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/68Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable by only the electric current supplied, or only the electric potential applied, to an electrode which does not carry the current to be rectified, amplified or switched
    • H01L29/70Bipolar devices
    • H01L29/72Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals
    • H01L29/739Transistor-type devices, i.e. able to continuously respond to applied control signals controlled by field-effect, e.g. bipolar static induction transistors [BSIT]
    • H01L29/7393Insulated gate bipolar mode transistors, i.e. IGBT; IGT; COMFET
    • H01L29/7395Vertical transistors, e.g. vertical IGBT

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  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラッチアップを抑制しつつIGBTのオン電
圧を低減する。 【解決手段】 nエミッタ領域3とpベース領域2との
間のpn接合に順バイアスを印加すべく直流電源装置1
2を設置する。この直流電源装置12と、第1あるいは
第2の金属電極層8a,8bとの間にはスイッチ27が
設置される。スイッチ27にはスイッチ制御回路28が
接続される。スイッチ制御回路28にはゲート制御回路
26が接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体装置に関
し、特に、電流が半導体基板の両主面間で流れる構造を
有する絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulate
d Gate Bipolar Transistor )(以下単に「IGBT」
と称する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、IGBTは、モータの制御ある
いはインバータ等のスイッチング用素子として広く用い
られている。IGBTは、バイポーラトランジスタの低
飽和電圧特性とMOSFETの高速スイッチング性とを
兼ね備えた電圧駆動素子であり、駆動電力および電力変
換時の損失が少ない特徴を有する。チップ表面に形成さ
れるMOSFETの微細化とその集積度の向上による低
オン電圧化が可能なデバイス構造であることから、近年
その用途が拡大している。
【0003】ここで、従来のIGBTの一例として平面
ゲート構造を有する縦型nチャネルIGBTを挙げ、そ
の構造について説明する。図21は、従来の平面ゲート
構造のnチャネルIGBTの断面図である。
【0004】図21を参照して、半導体基板14の第1
の主面14a側にnドリフト領域1が形成され、このn
ドリフト領域1内に選択的にpベース領域2が形成され
る。pベース領域2内には選択的にnエミッタ領域3が
形成される。nドリフト領域1とnエミッタ領域3とに
挟まれ、かつpベース領域2内に位置し第1の主面14
aに達する領域4をチャネル形成領域と称する。このチ
ャネル形成領域4を覆うように第1の主面14a上にゲ
ート絶縁層5が形成される。このゲート絶縁層5は、n
エミッタ領域3上からnドリフト領域1上へと延在して
いる。
【0005】pベース領域2とnエミッタ領域3とは、
金属電極層(エミッタ電極)8によって短絡した状態と
なっている。pベース領域2と金属電極層8およびnエ
ミッタ領域3と金属電極層8は、オーミック接触してい
る。また、半導体基板14の第2の主面14b側にはp
コレクタ領域10が形成される。このpコレクタ領域1
0とオーミック接触するように第2の主面14b上には
金属電極層(コレクタ電極)11が形成される。
【0006】次に、上記の構造を有するnチャネルIG
BTの動作原理について説明する。なお、以下の説明で
は、遮断(オフ)状態から導通(オン)状態に至る過
程、定常状態、オン状態からオフ状態に至る過程、オフ
状態の4つの過程に分けて説明する。
【0007】(1) オフ状態からオン状態に至る過程 エミッタ電極8に対してコレクタ電極11に相対的に正
の電圧を印加した状態でゲート電極6に正(+)電圧を
印加する。それにより、pベース領域2内に位置するチ
ャネル形成領域4に、n型に反転したnチャネルが形成
される。このnチャネルを通じて、キャリアの1つであ
る電子がnエミッタ領域3からnドリフト領域1内に注
入され、pコレクタ領域10へ向かって流れる。電子が
pコレクタ領域10に達すると、pコレクタ領域10か
らnドリフト領域1へ、キャリアの1つである正孔が注
入される。正孔は、相対的に負の電圧が印加されている
nエミッタ領域3に向かって流れ、上記のnチャネルが
nドリフト領域1と接しているところへ到達する。この
過程を蓄積(ストレージ)過程と称し、この過程に要す
る時間をターンオン遅れ時間(td(on))という。
この過程での電力損失は極めて小さくほとんど無視でき
る。
【0008】その後、エミッタ電極8とコレクタ電極1
1間に印加されている電位差に応じて十分なキャリアが
蓄積され、電子−正孔対による導電率変調(conductivi
ty modulation )と呼ばれる低抵抗状態が出現する。そ
れにより、ターンオン動作が完了する。この過程をライ
ズ(rise)過程といい、この過程に要する時間をラ
イズ時間(t(rise))という。この過程での電力
損失は比較的大きい。
【0009】(2) 定常状態 ターンオン完了後の定常状態をオン状態といい、電流が
100A/cm2 流れたときの電圧をオン電圧と呼ぶこ
ととする。この状態での電力損失をオン損失または定常
損失といい、抵抗成分によって発生する順方向の電圧降
下と通電電流の積で表わされる。オン状態での電力損失
は一般に極めて大きい。オン状態での抵抗成分は、素子
の電流経路すなわちエミッタ電極8とコレクタ電極11
間に存在する各抵抗成分の和で決定される。図22は、
図21に示されるIGBTの断面図に素子の電流経路を
併せて記入した図である。
【0010】図22を参照して、この図においてC,E
およびGは、それぞれコレクタ,エミッタおよびゲート
の各電極の端子である。また、Icは、IGBTのコレ
クタ電流、Ihは、nドリフト領域1からベース領域2
に流入するホール電流、Ieは、nドリフト領域1から
チャネル形成領域4を通じてnエミッタ領域3に流入す
るエレクトロン電流を示している。この図22に示され
るように、オン電圧に影響を及ぼす全抵抗成分Rは、下
記の式で表わされる。
【0011】R=Rcn+Rn+Rch+Ra+RJFET
+Rd+Rdiode+Rs+Rcpここで、Rcnは
nエミッタ領域3と金属電極層8とのコンタクト抵抗、
Rnはnエミッタ領域3の抵抗、Rchはチャネルの抵
抗、Raは蓄積層の抵抗、R JFETはJFET(Junc
tion−FET)効果による抵抗成分、Rdはnドリ
フト領域1の抵抗、Rdiodeはpコレクタ領域10
とnドリフト領域1間のダイオードの順方向の電圧降
下、Rsはpコレクタ領域10の抵抗、Rcpはpコレ
クタ領域10と金属電極層11とのコンタクト抵抗であ
る。なお、トレンチゲート構造のIGBTではJFET
は存在しない。
【0012】(3) オン状態からオフ状態に至る過程 オフ状態は、ゲート電極6にたとえば負(−)電圧等の
しきい値電圧以下の電圧を印加することによって実現さ
れる。ゲート電極6の電位をしきい値電圧以下とする
と、オン状態で形成されていたnチャネルが消滅する。
そのため、nエミッタ領域3からnドリフト領域1への
電子の供給が停止される。この過程を蓄積(ストレー
ジ)過程といい、これに要する時間をストレージ時間ま
たはターンオフ遅れ時間(td(off))という。こ
の間の電力損失は極めて小さく無視できる。電子の供給
が停止されることにより、電子密度がnエミッタ領域3
近傍から徐々に減少し始める。それに伴い、電気的中性
条件を保つためにnドリフト領域1に注入されていた正
孔も減少し始める。
【0013】一方、pベース領域2とnドリフト領域1
とは逆バイアスされているため、pベース領域2とnド
リフト領域1の界面では空乏層が広がり始める。この空
乏層は、コレクタ電極11とエミッタ電極8との間に印
加される電圧に応じた厚みを有する。この過程をフォー
ル過程、これに要する時間をフォール時間、この過程で
の電力損失をフォール損失という。この期間の電力損失
は、ターンオン損失および定常損失と同等以上に大き
い。その後、前述の空乏化領域の外のキャリアのうち正
孔は空乏化領域を通過し、nエミッタ領域3と電気的に
短絡しているpベース領域2の高濃度部分であるp+
ンタクト領域を通って金属電極層8に到達する。このよ
うにしてキャリアがすべて消失することによりターンオ
フが完了する。この過程をテール過程、これに要する時
間をテール時間(t(tail))といい、この過程で
の電力損失をテール損失という。この間の電力損失は極
めて大きい。
【0014】(4) オフ状態 ターンオフ完了後の定常状態をオフ状態という。この状
態でのリーク電流と、コレクタ電極11とエミッタ電極
8間の電圧の積によって発生する電力損失は、通常他の
電力損失に比べて著しく小さく無視できる程度である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
IGBTの通電/遮断の各工程においては、さまざまな
電力損失が生じるが、IGBTを高性能化するために
は、これらの損失のうちいずれか1つでも低減すること
が望ましい。従来のIGBTでは、pベース領域2とn
エミッタ領域3とが同電位であるため、nドリフト領域
1とpベース領域2間のpn接合のポテンシャルが低く
なっていた。そのため、キャリアの蓄積が少なくなり、
キャリア濃度が低くなる。その結果、IGBTのオン電
圧が高くなり、IGBTのオン状態での電力損失が大き
くなるという問題が生じていた。
【0016】上記のような問題に加え、一般にIGBT
ではラッチアップが問題となる。ここで、ラッチアップ
について図23を用いて説明する。図23は、IGBT
の等価回路図である。図23を参照して、npnバイポ
ーラトランジスタTr1は、nエミッタ領域3と、pベ
ース領域2と、nドリフト領域1により構成される。p
npバイポーラトランジスタTr2は、pベース領域2
と、nドリフト領域1と、pコレクタ領域10とで構成
される。
【0017】ラッチアップは、寄生のnpnバイポーラ
トランジスタTr1がオンした場合に、寄生のnpnバ
イポーラトランジスタTr1とpnpバイポーラトラン
ジスタTr2との間に正帰還が行なわれることによって
起こる現象である。nドリフト領域1からpベース領域
2へホール電流Ihが流れると、pベース領域2内の抵
抗成分RB によって発生する電圧降下によってnエミッ
タ領域3とpベース領域2は順バイアス状態となる。こ
の電圧降下がnpnバイポーラトランジスタのビルトイ
ン電圧(一般的には、シリコンウェハ上に形成されたバ
イポーラトランジスタの場合、約0.7V)を超えると
nエミッタ領域3からpベース領域2へ電子が直接注入
され、ラッチアップが生じる。ラッチアップが一旦起こ
ると、ゲート電極に印加する電圧によってデバイス(I
GBT)に流れる電流を制御できなくなり、デバイスが
破壊されることがある。したがって、このようなラッチ
アップは回避しなければならない。
【0018】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたものである。本発明の目的は、ラッチアッ
プを回避するとともにオン電圧低減によるオン状態での
電力損失を低減することが可能となる半導体装置を提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明に係る半導体装
置は、対向する第1と第2の主面を有し、第1と第2の
主面間で流れる電流を導通/遮断するものである。そし
て、この発明に係る半導体装置は、半導体基板と、第1
導電型(たとえばn型)の第1の不純物領域と、第2導
電型(たとえばp型)の第2の不純物領域と、第1導電
型の第3の不純物領域と、チャネル形成領域と、ゲート
絶縁層と、ゲート電極と、第1,第2および第3の電極
層と、順バイアス手段と、順バイアス制御手段と、第2
導電型の第4の不純物領域とを備える。半導体基板は第
1と第2の主面を有する。第1の不純物領域は、第1の
主面から半導体基板内に延在するように形成される。第
2の不純物領域は、第1の不純物領域内に選択的に形成
される。第3の不純物領域は、第2の不純物領域内に選
択的に形成される。チャネル形成領域は、第2の不純物
領域内に位置し、その内部にチャネルが形成される。ゲ
ート絶縁層は、チャネル形成領域に沿って形成される。
ゲート電極は、ゲート絶縁層を介在してチャネル形成領
域と対向する。第1の電極層は、第1の主面上に第2の
不純物領域と電気的に接続されるように形成される。第
2の電極層は、第1の主面上に第3の不純物領域と電気
的に接続されるように形成される。順バイアス手段は、
第2と第3の不純物領域間のpn接合に順バイアスを与
えるためのものである。順バイアス制御手段は、順バイ
アス手段と接続され、この順バイアス手段によってpn
接合に与えられる電圧値を制御するためのものである。
第4の不純物領域は、第2の主面から半導体基板内に延
在するように形成される。第3の電極層は、第2の主面
上に第4の不純物領域に電気的に接続されるように形成
される。
【0020】上記のように、本発明に係る半導体装置
は、順バイアス手段と順バイアス制御手段とを備える。
順バイアス手段により第2と第3の不純物領域の間のp
n接合に順バイアスを印加することが可能となる。それ
により、第2の不純物領域のポテンシャルを高めること
ができ、第3の不純物領域から第2の不純物領域への電
子の注入を促進することが可能となる。また、第2の不
純物領域のポテンシャルを高めることにより、第1と第
2の不純物領域間のpn接合のポテンシャルをも高める
ことが可能となる。それにより、第4の不純物領域から
第1の不純物領域を通って第2の不純物領域へのホール
の注入を促進できる。その結果、第1と第2の不純物領
域内のキャリア濃度を高めることが可能となる。それに
より、通電時の半導体装置の抵抗を低減でき、半導体装
置のオン電圧を低減することが可能となる。また、順バ
イアス制御手段を備えることにより、順バイアス手段に
よってpn接合に与えられる電圧値を制御することが可
能となる。たとえば、順バイアス手段によって与えられ
る電圧を、ラッチアップが懸念される値よりも小さく抑
えることが可能となる。それにより、順バイアス手段に
よって第2と第3の不純物領域間のpn接合に順バイア
スを印加した場合におけるラッチアップを効果的に抑制
することが可能となる。
【0021】なお、上記の順バイアス手段により第2と
第3の不純物領域間のpn接合に与えられる電圧は、こ
のpn接合のビルトイン電圧より小さいことが好まし
い。それにより、より確実にラッチアップを抑制するこ
とが可能となる。
【0022】上記の順バイアス手段は、半導体装置の通
電時に第1と第2の電極層に接続される直流電源を含
む。また、順バイアス制御手段は、順バイアス手段と、
第1あるいは第2の電極層との間に設けられたスイッチ
を含む。そして、ゲート電極へ印加される電圧値に応じ
て上記のスイッチが開閉される。
【0023】上記のように、順バイアス手段として直流
電源を用いることにより、第2と第3の不純物領域間の
pn接合に与えられる電圧を、ビルトイン電圧より小さ
い値で保持することが可能となる。また、順バイアス手
段と、第1あるいは第2の電極層との間に上記のような
スイッチを設けることにより、ゲート電極へ印加される
電圧値(ゲート電位)に応じて、順バイアス手段と、第
1と第2の電極層との接続/非接続を制御することが可
能となる。それにより、半導体装置のオフ状態において
第2と第3の不純物領域間のpn接合に順バイアス手段
が接続されることがなく、さらに確実にラッチアップを
抑制することが可能となる。
【0024】上記のゲート電極には第1と第2の電圧が
印加され、第1の電圧の印加により上記チャネルが形成
され、第2の電圧の印加によりチャネルが消失する。そ
して、第1の電圧の印加に応じてスイッチが閉じられ、
上記のpn接合に順バイアスが印加され、第2の電圧の
印加に応じて上記のスイッチが開かれ、順バイアスの印
加が解除されることが好ましい。このとき、たとえばゲ
ート電極が接地された場合には、0Vが印加されたもの
と解釈する。
【0025】上記のように、第2の電圧の印加に応じて
順バイアスの印加が解除されることにより、半導体装置
のオフ状態での第2と第3の不純物領域間のpn接合に
順バイアスが印加されることを阻止できる。それによ
り、上述したように、さらに確実にラッチアップを抑制
することが可能となる。
【0026】上記のスイッチは、好ましくは、半導体ス
イッチである。このように半導体スイッチを採用するこ
とにより、高速スイッチングが可能となる。
【0027】上記の第1と第2の電極層は、第2と第3
の不純物領域の表面とそれぞれオーミック接触するよう
に形成された金属により構成されることが好ましく、第
1と第2の電極層間には第1の主面上から延在するよう
に絶縁層が形成されることが好ましい。
【0028】上記のように第1と第2の電極層間に絶縁
層が形成されることにより、順バイアス手段として直流
電源を使用することが可能となる。それにより、既に述
べたように、第2と第3の不純物領域間に与えられる電
圧を、ビルトイン電圧より小さい値で保持できる。
【0029】上記の順バイアス手段は、第1の電極層と
第2の不純物領域間に介在された電圧降下手段を含む。
そして、順バイアス制御手段は、順バイアス手段と並列
に接続されたツエナーダイオードを含む。
【0030】上記のように順バイアス手段と並列にツエ
ナーダイオードを設置することにより、電圧降下により
結果としてpn接合に与えられる電圧が、pn接合のビ
ルトイン電圧を超えることを効果的に抑制することが可
能となる。それにより、順バイアス手段として電圧降下
手段を採用した場合におけるラッチアップを効果的に抑
制することが可能となる。また、第1の電極層と第2の
不純物領域との間に電圧降下手段を介在することによ
り、半導体装置の通電時に、この電圧降下手段を電流が
通過する際に電圧降下が引起こされる。それにより、第
2の不純物領域のポテンシャルを第3の不純物領域のそ
れよりも高めることができ、第3の不純物領域から第2
の不純物領域への電子の注入を促進することが可能とな
る。また、第2の不純物領域への正孔の注入を促進で
き、第1と第2の不純物領域内のキャリア濃度を高める
ことが可能となる。その結果、通電時の半導体装置の抵
抗を低減でき、半導体装置のオン電圧を低減することが
可能となる。
【0031】上記のツエナーダイオードの耐圧は0.5
V以下であることが好ましい。それにより、上記の電圧
降下手段による電圧降下によりpn接合に与えられる電
圧が、pn接合のビルトイン電圧を超えることを効果的
に抑制することが可能となる。
【0032】上記の電圧降下手段は、第2の不純物領域
のシート抵抗値よりも大きい抵抗値を有する抵抗層を含
む。このような抵抗層を採用することにより、通電時に
電圧降下を生じさせることができ、既に述べたように半
導体装置のオン電圧を低減することが可能となる。
【0033】また、上記の電圧降下手段は、ショットキ
ー接合でもよい。このショットキー接合を採用した場合
にも、上記の抵抗層の場合と同様に電圧降下を生じさせ
ることが可能となる。それにより、半導体装置のオン電
圧を低減することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図20を用いて、こ
の発明の実施の形態について説明する。
【0035】(実施の形態1)まず、図1〜図13を用
いて、この発明の実施の形態1とその変形例について説
明する。図1は、この発明の実施の形態1における平面
ゲート構造のnチャネルIGBTを示す断面図である。
【0036】図1を参照して、半導体基板14の第1の
主面14a側にはnドリフト領域1が形成される。な
お、半導体基板14は、真性半導体の基板でもよく、複
数の半導体層により構成されてもよい。半導体基板14
の第1の主面14aからnドリフト領域1内に延在する
ようにpベース領域2が形成される。このpベース領域
2は、nドリフト領域1内に選択的に形成される。nド
リフト領域1は、第1の主面14aに達する部分を有す
る。
【0037】第1の主面14aからpベース領域2内に
延在するようにnエミッタ領域3が形成される。このn
エミッタ領域3も、pベース領域2内に選択的に形成さ
れる。nドリフト領域1とnエミッタ領域3とに挟ま
れ、かつpベース領域2内で第1の主面14aに達し、
その内部にチャネルが形成される領域を、チャネル形成
領域4と称することとする。
【0038】ゲート絶縁層5は、チャネル形成領域4上
の第1の主面14aを覆い、かつnドリフト領域1とn
エミッタ領域3との双方に接触するように形成される。
このゲート絶縁層5は、たとえばシリコン酸化物などの
絶縁体により構成される。一方、半導体基板14の第2
の主面14bから半導体基板14内に延在するようにp
コレクタ領域10が形成される。
【0039】ゲート絶縁層5を介在してチャネル形成領
域4と対向する部分を有するようにゲート絶縁層5上に
ゲート電極6が形成される。このゲート電極6は、たと
えばリンをドープしたポリシリコンなどにより構成され
る。
【0040】ゲート電極6を覆うように第1の主面14
a上に絶縁層7が形成される。絶縁層7には、nエミッ
タ領域3の表面の一部または全部を露出させるコンタク
トホール7aと、pベース領域2の一部を露出させるコ
ンタクトホール7bとが設けられる。コンタクトホール
7b内から絶縁層7上に延在するように第1の金属電極
層8aが形成される。この第1の金属電極層8aを覆う
ように層間絶縁層13が形成される。
【0041】コンタクトホール7a内から絶縁層7およ
び層間絶縁層13上に延在するように第2の金属電極層
8bが形成される。第1の金属電極層8aはpベース領
域2とオーミック接触し、第2の金属電極層8bはnエ
ミッタ領域3とオーミック接触している。一方、Pコレ
クタ領域10とオーミック接触するように第2の主面1
4b上には第3の金属電極層11aが形成される。
【0042】上記の構成において、第1と第2の金属電
極層8a,8bとスイッチ27を介して電気的に接続さ
れるように、順バイアス手段として機能する直流電源装
置12が設けられる。スイッチ27を閉じることにより
直流電源装置12が第1と第2の金属電極層8a,8b
と電気的に接続される。それにより、直流電源装置12
の正極側が第1の金属電極層8aに接続され、負極側が
第2の金属電極層8bに接続される。一方、スイッチ2
7を開くことにより、直流電源装置12と、第1と第2
の金属電極層8a,8bとの電気的接続が解除される。
【0043】上記のようにスイッチ27を閉じることに
より直流電源装置12と第1および第2の金属電極層8
a,8bとを電気的に接続できるので、第2の金属電極
層8bに接続されるnエミッタ領域3と第1の金属電極
層8aに接続されるpベース領域2との間に所望の大き
さの電位差を発生させることが可能となる。この場合、
nエミッタ領域3とpベース領域2間のpn接合には、
そのpn接合のビルトイン電圧より小さい電位差を発生
させるようにする。
【0044】それにより、IGBTの通電時に、nエミ
ッタ領域3とpベース領域2との間のpn接合にビルト
イン電圧より小さい値の順バイアスを印加することが可
能となる。それにより、pベース領域2のポテンシャル
を高めることができ、nエミッタ領域3からpベース領
域2への電子の注入を促進することが可能となる。ま
た、pベース領域2のポテンシャルを高めることによ
り、nドリフト領域1とpベース領域2間のpn接合の
ポテンシャルをも高めることが可能となる。それによ
り、pコレクタ領域10からnドリフト領域1を通って
pベース領域2へのホールの注入を促進することが可能
となる。その結果、nドリフト領域1とpベース領域2
内のキャリア濃度を高めることができ、通電時のIGB
Tの抵抗を低減できる。それにより、IGBTのオン電
圧を低減でき、IGBTのオン状態における電力損失を
も低減することが可能となる。また、pベース領域2と
nエミッタ領域3間のpn接合に与えられる電圧をその
pn接合のビルトイン電圧よりも小さくすることによ
り、ラッチアップを効果的に抑制することも可能とな
る。さらに、直流電源装置12を採用することにより、
上記のpn接合に与えられる電圧をビルトイン電圧より
小さく保持できる。以上のことより、ラッチアップを効
果的に制御しつつIGBTのオン状態での電力損失を低
減することが可能となる。
【0045】次に、ラッチアップをさらに確実に抑制で
きる本実施の形態1の特徴について説明する。図1に示
されるように、ゲート電極6にはゲート制御回路26が
接続され、このゲート制御回路26にはスイッチ27を
制御するスイッチ制御回路28が接続される。ゲート制
御回路26は、IGBTをオン/オフ制御すべく、ゲー
ト電極6に所定の電圧を印加する機能を有する。より詳
しくは、ゲート制御回路26は、ゲート電極6とnエミ
ッタ領域3とnドリフト領域1とで構成されるMOSト
ランジスタのしきい値電圧以上の第1の電圧と、それよ
り小さい第2の電圧とを、ゲート電極6に印加する回路
である。
【0046】また、スイッチ制御回路28は、スイッチ
27の動作を制御するための回路である。なお、スイッ
チ27としては、バイポーラトランジスタやMOSFE
Tなどを挙げることができる。これらの半導体スイッチ
を使用することにより、高速スイッチングが可能とな
る。
【0047】ここで、図4を用いて、上記のゲート制御
回路26とスイッチ制御回路28とについて説明する。
図4には、ゲート制御回路26やスイッチ制御回路28
として使用可能な回路の一例が示されている。
【0048】図4を参照して、素子Tに抵抗RG を介し
て2つのスイッチS1,S2と2つの直流電源Eg1,
Eg2が接続されている。素子Tをオン状態とするに
は、スイッチS1を閉じて(スイッチS1のオン状態)
素子Tのゲートにしきい値電圧以上の大きさの正電圧を
印加する。一方、素子Tをオフ状態とするには、スイッ
チS1を開いて(スイッチS1のオフ状態)スイッチS
2を閉じる。それにより、素子Tのゲートに負電圧が印
加され、素子Tがオフ状態となる。このような回路を用
いて、ゲート電極6に上記の第1と第2の電圧をそれぞ
れ印加することが可能となる。なお、上記素子Tをスイ
ッチ27に置換えることにより、図4に示される回路
を、スイッチ制御回路28として使用できる。
【0049】次に、スイッチ27の制御方法について、
図5と図6とを用いて説明する。図5と図6は、ゲート
電極6に印加される電圧波形とスイッチ27の切換動作
との関係を示す図である。
【0050】図5を参照して、ゲート電極6に−5Vの
電圧を印加し、スイッチS1をオフ状態とし、スイッチ
S2をオン状態とする。それにより、IGBTはオフ状
態となり、直流電源装置12と、第1および第2の金属
電極層8a,8bとの接続が解除される。一方、IGB
Tをオン状態とするには、ゲート電極6に+15Vの電
圧を印加する。そして、それに同期させて、スイッチS
1をオン状態に移行させ、スイッチS2をオフ状態に移
行させる。それにより、スイッチ27がオン状態とな
る。その結果、IGBTがオン状態に移行したのに応じ
て直流電源装置12と第1および第2の金属電極層8
a,8bとを接続することが可能となる。
【0051】上記のように、ゲート電極6に印加される
電圧値に応じてスイッチ27の動作を制御することによ
り、IGBTのオン状態への移行に応じて、nエミッタ
領域3とpベース領域2間のpn接合に順バイアスを印
加し、IGBTがオフ状態のときに上記pn接合に順バ
イアスが印加されるのを阻止することが可能となる。そ
れにより、ラッチアップをより効果的に抑制することが
可能となる。
【0052】なお、図6では、IGBTがオン状態に移
行した後にスイッチ27をオン状態とすべく、ゲート電
極6に+15Vの電圧を印加した時点から時間tだけ遅
らせてスイッチ27をオン状態に移行させている。IG
BTがオン状態に移行する際にラッチアップが比較的起
こりやすいので、スイッチ27をオン状態に移行させる
タイミングを時間tだけ遅らせることにより、さらに効
果的にラッチアップを抑制することが可能となる。
【0053】次に、図3を用いて、直流電源装置12と
スイッチ27の具体的な設置方法について説明する。図
3は、直流電源装置12とスイッチ27の設置方法の一
例を示す斜視図である。
【0054】図3を参照して、セラミックスなどからな
る絶縁基板15上に金属電極板16,17,18,1
9,20がそれぞれ取付けられている。金属電極板20
と金属電極板16とは電気的に接続されており、金属電
極板20にはIGBT21が第3の金属電極層11aを
下にして接合されている。したがって、金属電極板16
がIGBT21のpコレクタ領域10と電気的に接続さ
れることとなる。金属電極板17は、IGBT21のゲ
ート電極6とボンディングワイヤ22を介して電気的に
接続される。また、金属電極板19は、第1の金属電極
層8aとボンディングワイヤ22を介して電気的に接続
される。金属電極板18は、ボンディングワイヤ22を
介して第2の金属電極層8bと接続される。そして、ス
イッチ27を介在して金属電極板18,19とそれぞれ
電気的に接続されるように絶縁基板15上に直流電源装
置12が設置される。
【0055】次に、図7〜図13を用いて、図1に示さ
れる平面ゲート構造のnチャネルIGBTの製造方法に
ついて説明する。図7〜図13は、平面ゲート構造のn
チャネルIGBTの製造工程の第1〜第7工程を示す断
面図である。
【0056】図7および図8を参照して、イオン注入法
と熱拡散法とを用いて、半導体基板14の第1の主面1
4a側にnドリフト領域1,pベース領域2,nエミッ
タ領域3をそれぞれ形成し、半導体基板14の第2の主
面14b側にpコレクタ領域10を形成する。
【0057】次に、図9を参照して、熱酸化法等を用い
て、絶縁層を第1の主面14a上に形成する。このと
き、絶縁層は、nドリフト領域1とnエミッタ領域3と
の双方の上に延在するように形成される。この絶縁層上
に、CVD(Chemical Vapor Deposition )法等を用い
て、リンがドープされたポリシリコン層を堆積する。こ
のポリシリコン層と上記の絶縁層とをパターニングする
ことにより、ゲート絶縁層5とゲート電極6とが形成さ
れる。
【0058】次に、図10を参照して、CVD法等を用
いて、ゲート電極6を覆うように第1の主面14a上に
絶縁層7を形成する。この絶縁層7にエッチング処理を
施すことにより、nエミッタ領域3の少なくとも一部表
面を露出させるコンタクトホール7aと、pベース領域
2の一部表面を露出させるコンタクトホール7bとをそ
れぞれ形成する。このとき、絶縁層7にゲート電極6と
電気的に接続される導電層を形成するための開口を形成
してもよい。
【0059】次に、図11を参照して、コンタクトホー
ル7b内から絶縁層7上に延在するように第1の金属電
極層8aを形成する。次に、図12を参照して、第1の
金属電極層8aを選択的にエッチングすることによりパ
ターニングした後、層間絶縁層13を形成する。この層
間絶縁層13を選択的にエッチングすることによってパ
ターニングする。それにより、nエミッタ領域3の少な
くとも一部表面を露出させる。次に、図13を参照し
て、コンタクトホール7a内から層間絶縁層13上に延
在するように第2の金属電極層8bを形成する。なお、
第2の金属電極層8bは、主面と垂直方向にパターニン
グされており、第1と第2の金属電極層8a,8bはそ
れぞれ独立に形成されている。
【0060】次に、pコレクタ領域10の表面とオーミ
ック接触するように第2の主面14b上に第3の金属電
極層11aを形成する。そして、第1と第2の金属電極
層8a,8bに電気的に接続される直流電源装置12,
スイッチ27,ゲート制御回路26およびスイッチ制御
回路28が形成される。以上の工程を経て、図1に示さ
れる平面ゲート構造のIGBTが形成されることとな
る。
【0061】次に、図2を用いて、上述の実施の形態1
の変形例について説明する。図2は、実施の形態1の変
形例におけるIGBTを示す断面図である。
【0062】図2を参照して、本変形例は、トレンチゲ
ート構造を持つIGBTに本発明の思想を適用したもの
である。図2に示されるように、第1の主面14aから
nエミッタ領域3とpベース領域2とを貫通してnドリ
フト領域1に到達するようにトレンチ9が形成されてい
る。このトレンチ9の側壁に近接するpベース領域2内
の領域が、チャネル形成領域4となる。
【0063】トレンチ9内には、ゲート絶縁層5を介在
してゲート電極6が埋込まれる。そして、ゲート電極6
を覆うように絶縁層7が形成されている。それ以外の構
造に関しては図1に示されるIGBTとほぼ同様である
ため説明は省略する。
【0064】また、この図2に示されるトレンチゲート
構造を有する縦型nチャネルIGBTを形成するには、
上述の平面ゲート型IGBTの製造方法を多少変形する
だけでよい。具体的には、ゲート絶縁層5とゲート電極
6を形成する前にトレンチ9を形成し、このトレンチ9
内にゲート絶縁層5とゲート電極6とを埋込めばよい。
それ以外の工程に関しては上述の平面ゲート型IGBT
の場合とほぼ同様である。
【0065】(実施の形態2)次に、図14〜図20を
用いて、この発明の実施の形態2とその変形例について
説明する。図14は、この発明の実施の形態2における
IGBTを示す断面図である。
【0066】本実施の形態2では、順バイアス手段とし
て電圧降下手段が採用されており、この電圧降下手段と
並列にツエナーダイオード29が設置されている。図1
4に示される場合では、電圧降下手段として抵抗層24
が設けられている。この抵抗層24は、pベース領域2
の表面上に形成され、たとえばノンドープトポリシリコ
ンあるいは低濃度のリンをドープしたポリシリコンなど
により構成される。この抵抗層24の抵抗は、pベース
領域2のシート抵抗値よりも大きくなるように設定され
ることが好ましい。それ以外の構造に関しては図1に示
される場合とほぼ同様である。
【0067】上記のように電圧降下手段としての抵抗層
24を設けることにより、IGBTの通電時に、抵抗層
24を電流が通過する際に電圧降下が引起こされる。そ
れにより、pベース領域2のポテンシャルをnエミッタ
領域3のそれよりも高めることができ、結果としてpベ
ース領域2とnエミッタ領域3との間のpn接合に順バ
イアスを印加することが可能となる。その結果、nエミ
ッタ領域3からpベース領域2への電子の注入を促進す
ることが可能となる。また、pベース領域2への正孔の
注入を促進でき、nドリフト領域1とpベース領域2内
のキャリア濃度を高めることが可能となる。それによ
り、通電時のIGBTの抵抗を低減でき、IGBTのオ
ン電圧を低減することが可能となる。
【0068】具体的には、たとえば5μm×5μmサイ
ズのセルにおいて電流密度100A/cm2 の電流を流
す場合、抵抗層24の抵抗値を約2×103 (Ω)〜約
2×105 (Ω)とすることにより、最大で約0.17
V程度のオン電圧の改善を行なうことが可能となる。
【0069】以下、その理由について説明する。上記の
セルには、下記の数式(1)により得られる2.5×1
-5Aの電流が流れる。
【0070】
【数1】
【0071】ここで、最大電圧降下量を0.5Vとした
ときの抵抗値Rは下記の数式(2)により得られる。
【0072】
【数2】
【0073】オン状態でのホール電流は電子電流の1/
3で、オン電圧は、下記の数式(3)により得られる値
だけ改善できる。
【0074】
【数3】
【0075】以上の結果より、約0.17Vのオン電圧
の低減が可能となる。なお、上記の抵抗層24によって
生じる電圧降下量は、pベース領域2とnエミッタ領域
3との間のpn接合のビルトイン電圧よりも小さくなる
ように調節されることが好ましい。それにより、抵抗層
24を設けることによって上記pn接合に与えられる電
圧をビルトイン電圧より小さくでき、ラッチアップを抑
制できる。また、0.5V以下の耐圧を有するツエナー
ダイオード29を設けることにより、上記の電圧降下に
よりpn接合に与えられる電圧がビルトイン電圧を超え
ることを効果的に抑制することが可能となる。それによ
り、さらに効果的にラッチアップを抑制することが可能
となる。
【0076】ここで、図20を用いて、電圧降下手段3
0とツエナーダイオード29の具体的な設置方法につい
て説明する。図20は、電圧降下手段30とツエナーダ
イオード29の設置方法の一例を示す斜視図である。
【0077】図20を参照して、金属電極板18,19
の間に、電圧降下手段30としての抵抗と、ツエナーダ
イオード29とが並列に接続されている。それ以外の構
造に関しては、図3に示される場合と同様であるため説
明は省略する。なお、この図20に示される思想は、後
述する各変形例に対しても同様に適用可能である。
【0078】次に、図15を用いて、図14に示される
IGBTの製造方法について説明する。図15は、図1
4に示されるIGBTの特徴的な製造工程を示す断面図
である。
【0079】図15を参照して、上述の実施の形態1の
場合と同様の工程を経てゲート電極6までを形成する。
次に、実施の形態1の場合と同様の方法で絶縁層7を形
成し、この絶縁層7を所定形状にパターニングする。こ
のとき、ゲート電極6によって覆われていないpベース
領域2の表面全面を露出させる。
【0080】次に、CVD法などを用いて、リンドープ
のポリシリコン層を第1の主面14a上に堆積した後、
このポリシリコン層を所定形状にパターニングする。そ
れにより、pベース領域2上からnエミッタ領域3の一
部表面上に延在するように抵抗層24が形成される。そ
の後、抵抗層24とnエミッタ領域3とを覆うように金
属電極層8aを形成する。その後は上記の実施の形態1
の場合と同様の工程を経て図14に示されるIGBTが
形成されることとなる。
【0081】次に、図16を用いて、本実施の形態2の
第1の変形例におけるIGBTについて説明する。図1
6は、この第1の変形例におけるIGBTを示す断面図
である。
【0082】本変形例では、本実施の形態2の思想をト
レンチゲート型nチャネルIGBTに適用している。こ
の場合にも、図14に示される場合と同様の効果が期待
できる。この第1の変形例におけるIGBTの製造方法
については、前述の実施の形態1の変形例の製造方法と
上記の実施の形態2の製造方法とを組合せればよい。
【0083】次に、図17を用いて、本実施の形態2の
第2の変形例について説明する。図17は、実施の形態
2の第2の変形例を示す断面図である。
【0084】図17を参照して、この第2の変形例で
は、電圧降下手段としてショットキー接合領域25を設
けている。このショットキー接合領域25は、pベース
領域2の表面に形成され、たとえば金属電極層8aとp
ベース領域2とのコンタクト部におけるpベース領域2
の不純物濃度を低く設定することにより形成できる。n
エミッタ領域3は高濃度のn型の不純物(たとえば10
19cm-3以上)を含んでいるため、金属電極層8bとは
オーミック接触可能である。しかしながら、pベース領
域2と金属電極層8aとの接触部分におけるp型の不純
物濃度を低く設定することにより、第1の金属電極層8
aとpベース領域2との接触部にエネルギー障壁を生じ
させることができる。それにより、結果としてpベース
領域2と第1の金属電極層8aとをショットキー接合さ
せることが可能となる。
【0085】また、第1と第2の金属電極層8a,8b
の材質として、n型の不純物領域に対するエネルギー障
壁の高さがp型の不純物領域に対するエネルギー障壁の
高さよりも十分に低いものを選択することも考えられ
る。それにより、pベース領域2と第1の金属電極層8
aとの間のエネルギー障壁を、第2の金属電極層8bと
nエミッタ領域3との間のエネルギー障壁よりも高める
ことが可能となり、上記の場合と同様にショットキー接
合領域25が形成できる。
【0086】また、nエミッタ領域3とpベース領域2
とに対し異なる電極材料を使用することも考えられる。
具体的には、第1と第2の金属電極層8a,8bの材質
を異ならせることが考えられる。この場合、第2の金属
電極層8bとしてはnエミッタ領域3に対するエネルギ
ー障壁ができるだけ低い材質を選択し、第1の金属電極
層8aとしてはpベース領域2に対するエネルギー障壁
の高さが第2の金属電極層8bの場合よりも高いものを
用いる。それにより、ショットキー接合領域25が形成
可能となる。なお、上記の各思想を適宜組合せてもよ
い。
【0087】上記のようなショットキー接合領域25を
設けることにより、上述の実施の形態2の場合と同様
に、ショットキー接合領域25内で電圧降下を生じさせ
ることができ、IGBTのオン電圧を低減することが可
能となる。なお、本変形例の場合も、ショットキー接合
領域25の存在によって生じるpベース領域2とnエミ
ッタ領域3との間の電位差は、pベース領域2とnエミ
ッタ領域3との間のpn接合のビルトイン電圧よりも小
さいものであることが好ましい。それにより、ラッチア
ップを抑制することが可能となる。
【0088】次に、図18を用いて、上記の第2の変形
例におけるIGBTの製造方法について説明する。
【0089】図18は、この第2の変形例におけるIG
BTの特徴的な製造工程を示す断面図である。
【0090】図18を参照して、上記の実施の形態2の
場合と同様の工程を経て絶縁層7までを形成する。次
に、pベース領域2の表面にショットキー接合領域25
を形成する。ショットキー接合領域25の形成方法とし
ては、たとえば、pベース領域2の表面の濃度制御を行
なうことによってpベース領域2の表面に含まれるp型
の不純物濃度を低く設定する手法を挙げることができ
る。具体的には、第1の金属電極層8aとのコンタクト
のためのp型の不純物ドープ量を制御するかあるいは省
略することにより行なえる。それ以降は上記の実施の形
態2の場合と同様の工程を経て図17に示されるIGB
Tが形成されることとなる。
【0091】次に、図19を用いて、本実施の形態2の
第3の変形例について説明する。図19は、この第3の
変形例におけるIGBTを示す断面図である。
【0092】図19を参照して、この第3の変形例にお
けるIGBTは、図17に示される第2の変形例の思想
をトレンチゲート構造のIGBTに適用したものであ
る。この場合も、上述の第2の変形例の場合と同様の効
果が得られる。この第3の変形例の製造方法に関して
は、前述の実施の形態2と第1の変形例の製造方法を組
合せて容易に想到し得るため、その説明は省略する。
【0093】なお、上述の各実施の形態におけるn型と
p型を入れ換えたデバイスにも本発明は適用可能であ
る。また、上述の各実施の形態あるいはその変形例の特
徴を適宜組合せることも可能である。
【0094】以上のように、この発明の実施の形態につ
いて説明を行なったが、今回開示された実施の形態はす
べての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によっ
て示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内で
のすべての変更が含まれることが意図される。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る半
導体装置は、順バイアス手段と順バイアス制御手段とを
備えているので、ラッチアップを抑制しつつ半導体装置
のオン電圧を低減することが可能となる。それにより、
ラッチアップを抑制しつつ半導体装置のオン状態におけ
る電力損失を低減でき、高性能かつ高信頼性を有する半
導体装置が得られる。
【0096】また、上記の順バイアス手段により第2と
第3の不純物領域間のpn接合に与えられる電圧がその
pn接合のビルトイン電圧より小さくなるように調整す
ることによって、ラッチアップをより効果的に抑制で
き、半導体装置の信頼性をさらに向上させることが可能
となる。
【0097】また、順バイアス手段が直流電源である場
合には、pn接合に与えられる電圧を一定に保持するこ
とが可能となる。このとき、pn接合に与えられる電圧
をビルトイン電圧より小さく設定することにより、さら
に効果的にラッチアップを抑制することが可能となる。
また、順バイアス制御手段がスイッチである場合には、
このスイッチにより順バイアスの印加/解除を制御する
ことができる。それにより、必要なときにのみ上記pn
接合に順バイアスを印加することができ、さらに確実に
ラッチアップを抑制できる。
【0098】また、ゲート電極にチャネル形成可能な第
1の電圧とチャネル形成不可能な第2の電圧が印加さ
れ、第1の電圧の印加に応じて順バイアスを印加し、第
2の電圧の印加に応じて順バイアスの印加を解除した場
合には、半導体装置のオフ状態で順バイアスが上記のp
n接合に印加されるのを阻止することが可能となる。こ
のことも、ラッチアップ抑制に効果的に寄与し得る。
【0099】また、上記スイッチが半導体スイッチであ
る場合には、高速スイッチングが可能となり、高性能な
半導体装置が得られる。
【0100】また、第1と第2の電極層とそれらの間に
絶縁層を設けることにより、順バイアス手段として直流
電源を採用でき、既に述べたような効果が得られる。
【0101】また、順バイアス手段として電圧降下手段
を採用した場合にも、通電時の半導体装置のオン電圧を
低減できる。この場合も、半導体装置のオン状態での電
力損失を低減でき、高性能な半導体装置が得られる。ま
た、順バイアス制御手段としてツエナーダイオードを採
用することにより、上記の電圧降下手段による電圧降下
量をビルトイン電圧より小さく抑えることが可能とな
る。その結果、上記pn接合に与えられる電圧をビルト
イン電圧より小さく保持でき、ラッチアップを効果的に
抑制しつつオン状態での電力損失を低減することが可能
となる。
【0102】また、ツエナーダイオードの耐圧を0.5
V以下とすることにより、ほぼ確実にラッチアップを抑
制でき、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0103】また、電圧降下手段が抵抗層やショットキ
ー接合である場合には、この抵抗層やショットキー接合
を電流が通過する際に電圧降下が引き起こされる。この
場合にも、抵抗層やショットキー接合と並列に上記のツ
エナーダイオードを設置することにより、ラッチアップ
を抑制しつつ半導体装置のオン状態での電力損失を低減
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるIGBTを
示す断面図である。
【図2】 図1に示されるIGBTの変形例を示す断面
図である。
【図3】 本発明に係る直流電源装置とスイッチの具体
的な設置方法の一例を示す斜視図である。
【図4】 ゲート制御回路あるいはスイッチ制御回路と
して使用可能な回路の一例を示す回路図である。
【図5】 ゲート電極に印加される電圧波形とスイッチ
の切換動作との関係を示す図である。
【図6】 ゲート電極に印加される電圧波形とスイッチ
の切換動作との関係の他の例を示す図である。
【図7】 図1に示されるIGBTの製造工程の第1工
程を示す断面図である。
【図8】 図1に示されるIGBTの製造工程の第2工
程を示す断面図である。
【図9】 図1に示されるIGBTの製造工程の第3工
程を示す断面図である。
【図10】 図1に示されるIGBTの製造工程の第4
工程を示す断面図である。
【図11】 図1に示されるIGBTの製造工程の第5
工程を示す断面図である。
【図12】 図1に示されるIGBTの製造工程の第6
工程を示す断面図である。
【図13】 図1に示されるIGBTの製造工程の第7
工程を示す断面図である。
【図14】 この発明の実施の形態2におけるIGBT
を示す断面図である。
【図15】 図14に示されるIGBTの特徴的な製造
工程を示す断面図である。
【図16】 図14に示されるIGBTの第1の変形例
を示す断面図である。
【図17】 図14に示されるIGBTの第2の変形例
を示す断面図である。
【図18】 図17に示されるIGBTの特徴的な製造
工程を示す断面図である。
【図19】 図14に示されるIGBTの第3の変形例
を示す断面図である。
【図20】 本発明に係る電圧降下手段とツエナーダイ
オードの具体的設置方法の一例を示す斜視図である。
【図21】 従来のnチャネルIGBTの一例を示す断
面図である。
【図22】 図21に示されるIGBTの電流経路図で
ある。
【図23】 ラッチアップを説明するためのIGBTの
等価回路図である。
【符号の説明】
1 nドリフト領域、2 pベース領域、3 nエミッ
タ領域、4 チャネル形成領域、5 ゲート絶縁層、6
ゲート電極、7 絶縁層、7a,7b コンタクトホ
ール、8a 第1の金属電極層、8b 第2の金属電極
層、9 トレンチ、10 pコレクタ領域、11,8
金属電極層、11a 第3の金属電極層、12 直流電
源装置、13 層間絶縁層、14 半導体基板、14a
第1の主面、14b 第2の主面、15 絶縁基板、
16,17,18,19,20金属電極板、21 IG
BT、22 ボンディングワイヤ、24 抵抗層、25
ショットキー接合領域、26 ゲート制御回路、27
スイッチ、28 スイッチ制御回路、29 ツエナーダ
イオード、30 電圧降下手段。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する第1と第2の主面を有し、前記
    第1と第2の主面間で流れる電流を導通/遮断する半導
    体装置であって、 前記第1と第2の主面を有する半導体基板と、 前記第1の主面から前記半導体基板内に延在するように
    形成された第1導電型の第1の不純物領域と、 前記第1の不純物領域内に選択的に形成された第2導電
    型の第2の不純物領域と、 前記第2の不純物領域内に選択的に形成された第1導電
    型の第3の不純物領域と、 前記第2の不純物領域内に位置し、チャネルが形成され
    るチャネル形成領域と、 前記チャネル形成領域に沿って形成されるゲート絶縁層
    と、 前記ゲート絶縁層を介在して前記チャネル形成領域と対
    向するゲート電極と、 前記第1の主面上に前記第2の不純物領域と電気的に接
    続されるように形成された第1の電極層と、 前記第1の主面上に前記第3の不純物領域と電気的に接
    続されるように形成された第2の電極層と、 前記第2と第3の不純物領域間のpn接合に順バイアス
    を与えるための順バイアス手段と、 前記順バイアス手段と接続され、前記順バイアス手段に
    よって前記pn接合に与えられる電圧値を制御するため
    の順バイアス制御手段と、 前記第2の主面から前記半導体基板内に延在するように
    形成された第2導電型の第4の不純物領域と、 前記第2の主面上に前記第4の不純物領域に電気的に接
    続されるように形成された第3の電極層と、 を備えた半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記順バイアス手段により前記第2と第
    3の不純物領域間のpn接合に与えられる電圧は、前記
    pn接合のビルトイン電圧より小さい、請求項1に記載
    の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記順バイアス手段は、前記半導体装置
    の通電時に前記第1と第2の電極層に接続される直流電
    源を含み、 前記順バイアス制御手段は、前記順バイアス手段と、前
    記第1あるいは第2の電極層との間に設けられたスイッ
    チを含み、 前記ゲート電極へ印加される電圧値に応じて前記スイッ
    チが開閉される、請求項1に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記ゲート電極には第1と第2の電圧が
    印加され、 前記第1の電圧の印加により前記チャネルが形成され、
    前記第2の電圧の印加により前記チャネルが消失し、 前記第1の電圧の印加に応じて前記スイッチが閉じら
    れ、前記pn接合に前記順バイアスが印加され、 前記第2の電圧の印加に応じて前記スイッチが開かれ、
    前記順バイアスの印加が解除される、請求項3に記載の
    半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記スイッチは半導体スイッチである、
    請求項3に記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記第1と第2の電極層は、前記第2と
    第3の不純物領域の表面とそれぞれオーミック接触する
    ように形成された金属により構成され、 前記第1と第2の電極層間には前記第1の主面上から延
    在するように絶縁層が形成される、請求項1に記載の半
    導体装置。
  7. 【請求項7】 前記順バイアス手段は、前記第1の電極
    層と前記第2の不純物領域との間に介在された電圧降下
    手段を含み、 前記順バイアス制御手段は、前記順バイアス手段と並列
    に接続されたツエナーダイオードを含む、請求項1に記
    載の半導体装置。
  8. 【請求項8】 前記ツエナーダイオードの耐圧は0.5
    V以下である、請求項7に記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】 前記電圧降下手段は、前記第2の不純物
    領域のシート抵抗値よりも大きい抵抗値を有する抵抗層
    を含む、請求項7に記載の半導体装置。
  10. 【請求項10】 前記電圧降下手段は、ショットキー接
    合を含む、請求項7に記載の半導体装置。
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