JPH11134633A - 磁気記録媒体及びその製法ならびに磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製法ならびに磁気記録装置

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JPH11134633A
JPH11134633A JP29726097A JP29726097A JPH11134633A JP H11134633 A JPH11134633 A JP H11134633A JP 29726097 A JP29726097 A JP 29726097A JP 29726097 A JP29726097 A JP 29726097A JP H11134633 A JPH11134633 A JP H11134633A
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magnetic
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JP29726097A
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Naritake Kaizu
功剛 貝津
Iwao Okamoto
巌 岡本
Masaki Shinohara
正喜 篠原
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度記録領域における媒体ノイズの低減と
保磁力の向上が可能な磁気記録媒体を提供することを目
的とする。 【解決手段】 耐熱性を有する非磁性基板と、該基板上
にあって、非磁性材料薄膜中に平均粒径50nm以下の強
磁性材料の結晶粒子がほぼ一様に分布せしめられた構成
を有する磁気記録層とを含む磁気記録媒体において、前
記強磁性材料がコバルト及び白金の二元合金、CoA
100-A (式中、Aは80〜90である)からなりかつ
前記磁気記録層が前記基板の表面に対して垂直方向に磁
化容易軸を有するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録に関し、さ
らに詳しく述べると、高密度記録が可能な、低ノイズで
高出力の磁気記録媒体及びその製造方法に関する。本発
明は、また、本発明の磁気記録媒体を使用した磁気記録
装置、とりわけ、磁気ディスク装置に関する。
【0002】本発明は、特に、再生ヘッド部において、
従来の巻線型のインダクティブ薄膜磁気ヘッドに代え
て、磁界の強さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素
子を使用した磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MRヘ
ッドを使用した磁気ディスク装置において有利に実施す
ることができる。MRヘッドは、磁性体の電気抵抗が外
部磁界により変化する磁気抵抗効果を記録媒体上の信号
の再生に応用したもので、従来のインダクティブ薄膜磁
気ヘッドに較べて数倍も大きな再生出力幅が得られるこ
と、イングクタンスが小さいこと、大きなS/N比が期
待できること、などを特徴としている。また、このMR
ヘッドの代わりに、異方性磁気抵抗効果を利用したAM
Rヘッド、巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッド、
そしてその実用タイプであるスピンバルブGMRヘッド
を使用した磁気ディスク装置であってもよい。
【0003】
【従来の技術】現在、情報処理装置の外部記憶装置とし
て使用される磁気記録装置の分野では、情報量の増加に
伴ってますます記録密度の向上が要求されている。しか
し、従来より用いられている磁気記録媒体では、その記
録密度を高くすると、S/N比が低下し、再生出力の低
下とノイズの増加を招いてしまう。そのため、高再生出
力で低ノイズの磁気記録媒体が要求されている。特に最
近では、磁気抵抗効果型ヘッドの実用化により読み出し
感度が飛躍的に向上したために、磁気記録媒体のノイズ
の低減が課題となっている。
【0004】磁気記録媒体のノイズの発生原因のうち主
なものは、磁化遷移領域の磁化のバラツキに起因する磁
化遷移領域の境界の不明確さにある。磁化のバラツキ
は、強磁性の磁気記録層を構成する強磁性材料(一般に
「強磁性体」とも呼ばれる)の結晶粒間の磁気的な相互
作用によって生じる。したがって、磁気記録媒体のノイ
ズを低減するためには、強磁性体の結晶粒同士の磁気的
な相互作用を弱くしてやることが必要である。
【0005】従来の磁気記録媒体では、その記録層とし
て、コバルト(Co)を基調とした3元あるいは4元の
合金をスパッタリングすることにより作製した薄膜を用
いるのが一般的である。そして、その薄膜の組成や成膜
条件を調整することによって、強磁性部分と非磁性部分
の偏析を促してノイズの低減を図っている。従来の磁気
記録媒体の一例を示すと、例えば図1に断面で示すよう
に、NiP膜を被覆したAl基板からなる非磁性基板1
1の上に、クロム(Cr)層14、CoCr13Ta5
らなる磁気記録層13、そしてカーボン(炭素)からな
る保護膜16が順次形成されている。しかし、図示のよ
うな磁気記録媒体の場合、その磁気記録層を構成するコ
バルト系合金は基本的に固溶体なので、組成や成膜条件
を調整して偏析を促進させても、強磁性体の結晶粒を完
全に孤立化させることは難しい。
【0006】そこで、磁性体の結晶粒を孤立化させる方
法として、銀や銅等の非磁性材とこの非磁性材に固溶し
難い強磁性材との2元又は3元の合金層をスパッタリン
グにより一度に形成するとともに、その合金層を加熱す
る方法が提案されている。例えば、特開昭59−426
42号公報は、ガラスあるいは耐熱性高分子フィルムを
基板として用い、強磁性金属もしくは強磁性合金と、そ
のような金属もしくは合金と本質的に固溶しないか、あ
るいは10%以下の割合で固溶する非磁性金属もしくは
合金のおのおのの原子が一様でかつ無秩序に分布してい
るところの組成式A1-X X (A:Fe、Co、Niの
いずれかまたは2種以上、B:Ag、Pb、Au、Cu
のいずれかまたは2種以上)を有する磁性薄膜を1×1
-4Torr以下の真空において100℃以上に加熱し
熱処理することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を
開示している。しかし、このように熱処理により粒子成
長させ、所望の磁気特性を得る方法では、使用した基板
の耐熱性の面から、400℃以下の温度での処理にしか
意味がなく、また、それよりも高い温度では逆に保磁力
の低下を避けることができない。
【0007】さらに、特開昭59−42642号公報に
記載の方法では、磁気記録層の膜厚の問題がある。すな
わち、この方法の場合、磁気記録層の膜厚として一般に
1300〜1500Åを採用しているけれども、これを
現在要求されている膜厚、通常300Å又はそれ以下、
まで薄くした場合には、高い保磁力を得ることが困難と
なる。
【0008】そこで、本発明者らは、特開昭59−42
642号公報及びその他の公報に記載の方法における上
記したような問題点を解決するために鋭意研究した結
果、FeもしくはFe系の合金あるいはCoもしくはC
o系の合金(強磁性材)と、これらの強磁性材に非固溶
な非磁性材からなる磁気記録層を400℃以上の耐熱性
の非磁性基板上に形成し、次いで前記基板と磁気記録層
を400℃以上に加熱することによって、前記強磁性材
からなる平均粒径50nm以下の孤立した複数の粒子を形
成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を見い
出し、すでに特許出願した(特開平9−16934号公
報を参照されたい)。この磁気記録媒体は、その断面を
参考のために示すと、図2に示されるように、400℃
以上の耐熱性の非磁性基板21の上に磁気記録層25が
形成されていて、磁気記録層25は、強磁性材22と非
磁性材23とからなる。強磁性材22は、平均粒径50
nm以下の粒子であって、膜厚方向に重ならず、かつ面方
向に孤立して複数個分布する。この磁気記録媒体を使用
すると、強磁性粒子どうしを孤立化させたので、それら
の粒子の間の磁気的な相互作用をなくし、高密度記録領
域における媒体ノイズを低減させ、高い保磁力を得るこ
とができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−16934
号公報に記載の磁気記録媒体は、上記したように、高密
度記録領域における媒体ノイズを低減させ、高い保磁力
を得ることができるという点で注目に値する。しかし、
先にも説明したように、この技術分野における技術の進
歩には目ざましいものがあり、さらなる記録密度の向上
と低ノイズ化が要求されており、したがって、強磁性粒
子をより微細化する必要がある。
【0010】しかし、強磁性粒子をことさら小さくし過
ぎると、熱揺らぎにより記録磁化を長時間保持できなく
なるおそれがある。これは、記録磁化方向が基板面と平
行な水平記録に関して生じやすい問題である。水平記録
において、超高密度記録領域では、記録磁化の反磁界を
低減するために、記録層の膜厚を薄くしなければならな
い。すると、強磁性粒子の面積が小さくなり、熱の影響
を受けやすくなる。
【0011】本発明の目的は、したがって、特開平9−
16934号公報に記載の磁気記録媒体に比較してさら
なる記録密度の向上と低ノイズ化が可能であり、また、
記録磁化を長時間保持できないというような問題を生じ
ない磁気記録媒体を提供することにある。本発明のもう
1つの目的は、そのような磁気記録媒体の製造方法を提
供することにある。
【0012】本発明のさらにもう1つの目的は、そのよ
うな磁気記録媒体を使用した磁気記録装置を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このた
び、上記したような面内磁化記録方式とは対照的な垂直
磁化記録方式に着目し、本発明を完成した。すなわち、
基板面と垂直な記録磁化方向の垂直記録においては、超
高密度記録領域においても、記録層を薄膜化する必要が
なく、熱の影響を受けにくいからである。
【0014】本発明は、1つの面において、耐熱性を有
する非磁性基板と、該基板上にあって、非磁性材料薄膜
中に平均粒径50nm以下の強磁性材料の結晶粒子がほぼ
一様に分布せしめられた構成を有する磁気記録層とを含
む磁気記録媒体であって、前記強磁性材料がコバルト及
び白金の二元合金、CoA Pt100-A (式中、Aは80
〜90である)からなりかつ前記磁気記録層が前記基板
の表面に対して垂直方向に磁化容易軸を有することを特
徴とする磁気記録媒体を提供する。
【0015】本発明は、また、上記したような本発明に
よる磁気記録媒体を製造する方法であって、非磁性基板
上に、その基板の温度を500℃以上に保ちながら、前
記非磁性材料及び前記強磁性材料からなる磁気記録層を
形成する工程を含んでなることを特徴とする磁気記録媒
体の製造方法を提供する。すなわち、本発明は、磁気記
録媒体の磁性材料としてコバルト及び白金の二元合金を
使用し、そのCoとPtの組成比を特定し、高められた
基板温度で成膜することによって、高い保磁力と垂直磁
気異方性を同時に達成するものである。
【0016】本発明は、さらに、磁気記録媒体において
情報の記録を行うための記録ヘッド部及び情報の再生を
行うための再生ヘッド部を含んでなる磁気記録装置であ
って、前記磁気記録媒体が本発明の磁気記録媒体であり
かつ前記再生ヘッド部が磁気抵抗効果型ヘッドを備えて
いることを特徴とする磁気記録装置を提供する。すなわ
ち、本発明の磁気記録媒体を使用すると、高保磁力の垂
直磁気異方性膜が得られ、超高密度磁気記録領域におい
て熱揺らぎによる影響がなく、低媒体ノイズの、高い信
号品質(高S/N比)をもつ高記録密度の磁気記録装置
を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明による磁気記録媒体は、上
記したように、耐熱性を有する非磁性基板と、この基板
上にあって、非磁性材料の薄膜中に平均粒径50nm以下
の強磁性材料の結晶粒子がほぼ一様に分布せしめられた
構成を有する磁気記録層とを含む磁気記録媒体である。
【0018】本発明の磁気記録媒体において、その基板
は、好ましくは500℃以上の耐熱性を有しており、ま
た、媒体製造時の熱処理温度を考慮して、800℃もし
くはその近傍の温度に対しても耐熱性を有することがさ
らに好ましい。本発明の実施において適当な基板材料
は、この技術分野において常用のいろいろな基板材料を
包含し得るというものの、好ましくは、シリコン(S
i)、SiO2 、カーボン(C)、アルミナ( Al
23 )、MgOなどである。
【0019】基板の形状は特に限定されないというもの
の、磁気記録媒体が通常磁気ディスク装置で用いられる
点を考慮して、ディスク状、すなわち、円盤の形状であ
るのが好ましい。また、基板の大きさ及び厚さは、所望
とする媒体の種類や使用する磁気ディスク装置などのフ
ァクタに応じて広く変更することができる。ここで用い
られる基板は、この技術分野において通常行われている
ように、テクスチャー処理が施されていてもよく、ある
いは施されていなくてもよい。
【0020】本発明の磁気記録媒体において、非磁性基
板の上には、必要に応じてかつ好ましくは、中間層(さ
もなければ、「バリア層」とも言うことができる)を介
在させることができる。適当な中間層の例としては、非
磁性基板がシリコン基板である時、その基板と磁気記録
層との中間に、下地の基板からの珪素(Si)の拡散を
防止するのに十分な膜厚で二酸化珪素(SiO2 )層を
介在せしめることが挙げられる。SiO2 層は、好まし
くは、シリコン基板の表面を酸化処理して形成すること
ができる。SiO2 層及び必要に応じてその他の中間層
の膜厚は、広く変更することができるというものの、通
常、約1000〜9000Åの範囲である。このような
SiO2 層付きのシリコン基板を使用すると、高基板温
度時の基板からの珪素の拡散、もしくは記録層からの磁
性元素(Co)の拡散による磁気特性の劣化を防止する
ことができる。
【0021】耐熱性を有する非磁性基板上に直接にある
いは二酸化珪素層等の中間層を介して形成される磁性記
録層では、上記したように、(1)磁性記録層が非磁性
材料の薄膜中に平均粒径50nm以下の強磁性材料の結晶
粒子がほぼ一様に分布せしめられた構成を有すること、
(2)強磁性材料がコバルト及び白金の二元合金、Co
A Pt100-A (式中、Aは80〜90である)からなる
こと、(3)磁気記録層がその下地の基板の表面に対し
て垂直方向に磁化容易軸を有すること、が少なくとも必
須である。
【0022】磁気記録層を構成する非磁性材料は、いろ
いろな材料を包含することができるというものの、好ま
しくは二酸化珪素(SiO2 )である。かかる磁性記録
層は、好ましくは、スパッタ法により、特定の成膜条件
下で有利に形成することができる。スパッタ法として
は、例えばマグネトロンスパッタ法などを使用すること
ができる。また、必要に応じて、スパッタ法に代えて、
他の成膜法、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ法等
を使用してもよい。
【0023】上記したようにして磁気記録層を形成する
に当たり、本発明では、非磁性基板上に、その基板の温
度を500℃以上に保ちながら、非磁性材料及び強磁性
材料からなる磁気記録層をスパッタ法により形成する。
スパッタ法による成膜時、基板の温度は、好ましくは5
00〜800℃の範囲で保持し、さらに好ましくは57
0〜750℃の範囲で保持する。基板の温度が800℃
を上回ると、好ましくない酸化を被ったり、磁気的特性
が劣化するおそれがある。
【0024】本発明の磁気記録媒体において、磁性記録
層の膜厚は、その形成に使用するCo系合金の組成や所
望とする特性などのファクタに応じて広く変更すること
ができるというものの、通常、10〜50nmの範囲であ
り、好ましくは15〜30nmの範囲である。さらに、本
発明の磁気記録媒体は、必要に応じてかつ好ましくは、
その最上層として、そして、通常、上記した磁性記録層
の上方に、この技術分野において屡々採用されているよ
うに、保護層をさらに有していてもよい。適当な保護層
としては、例えば、カーボンの単独もしくばその化合物
からなる層、例えばC層、WC層、SiC層、B4
層、水素含有C層などを挙げることができるできる。特
に、本発明の実施に当たっては、カーボンからなる保護
膜を有利に使用することができる。このような保護層
は、常法に従って、例えば、スパッタ法、蒸着法などに
よって形成することができる。かかる保護層の膜厚は、
種々のファクタに応じて広い範囲で変更することができ
るというものの、好ましくは、約5〜10nmである。
【0025】本発明の磁気記録媒体は、上記したような
必須の層及び任意に使用可能な層に加えて、この技術分
野において常用の追加の層を有していたり、さもなけれ
ば、含まれる層に任意の化学処理等が施されていてもよ
い。例えば、上記した保護層の上に、フルオロカーボン
樹脂系の潤滑層が形成されていたり、さもなければ、同
様な処理が施されていてもよい。
【0026】さらに、本発明は、そのもう1つの面にお
いて、上記したような磁気記録媒体の製造方法にある。
この本発明方法を実施するための有利な形態は、上記し
た通りである。さらにまた、本発明は、そのもう1つの
面において、本発明の磁気記録媒体を使用した磁気記録
装置にある。本発明の磁気記録装置において、その構造
は特に限定されないというものの、本発明の磁気記録媒
体が垂直磁化記録方式に基づくものであることを考慮し
て、基本的に、磁気記録媒体において情報の記録を行う
ための記録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生ヘ
ッド部を備えている装置を包含するように構成すること
が好ましい。特に、再生ヘッド部は、以下に説明するよ
うに、磁界の強さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗
素子を使用した磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MR
ヘッドを備えていることが好ましい。MRヘッドは、先
にも説明したように、異方性磁気抵抗効果を利用したA
MRヘッド又は巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッ
ド(スピンバルブGMRヘッド等を含む)を包含する。
【0027】
【実施例】次いで、本発明をその実施例を参照しながら
具体的に説明する。比較例1 従来の磁気記録媒体の作製 比較のため、先に説明した図1に示すような断面を有す
る従来の磁気記録媒体を常法に従って作製した。非磁性
基板としてNiPメッキのアルミニウム基板11を用意
し、その上に、下地層としてのCr層14を膜厚50nm
で、磁気記録層としてのCoCr13Ta5 層13を膜厚
20nmで、そしてカーボン保護膜16を20nmで、それ
ぞれスパッタリングによって成膜した。実施例1 磁気記録媒体(本発明)の作製 図3に示すような断面を有する本発明の磁気記録媒体を
次のような手法に従って作製した。
【0028】先ず、図7に示すようなDCマグネトロン
スパッタリング装置のチャンバ31内のウェハ支持台3
2上に直径2.5インチ(約6.35cm)の耐熱性の
非磁性基板1を取り付けた。ここで、耐熱性の非磁性基
板1として、500℃以上の加熱に耐え得るシリコン基
板を使用した。また、ターゲット支持台33上に複合タ
ーゲット34を取り付けた。複合ターゲット34は、図
示しないけれども、非磁性盤の上に扇形の磁性板を間隔
をおいて複数枚配置したもので、枠体によってターゲッ
ト支持台33に固定される。本例では、非磁性盤として
非磁性材料であるSiO2 の円盤を、磁性板として強磁
性材料であるCo85Pt15からなる合金板を、それぞれ
使用した。また、スパッタ用電源38として高周波電力
電源を使用した。
【0029】この状態で、チャンバ31内のガスを排気
口36から排気するとともにガス導入口37からアルゴ
ンガスを導入し、その内部の圧力を5mTorrに保持
した。そして、基板温度を600℃に保持しながら、
0.2kWの高周波電力をターゲット支持台33とウェ
ハ支持台32の間に印加した。DCバイアスは0Vであ
った。
【0030】このようなスパッタリング条件によって、
図3に示すように、強磁性材料(Co85Pt15)2と非
磁性材料(SiO2 )3の合金よりなる磁気記録層(C
85Pt15−SiO2 )5が耐熱性非磁性基板1の上に
膜厚20nmで形成された。上記したターゲット34を使
用した結果、磁気記録層5内の強磁性材料2の垂直分布
は所望のものであった。また、膜厚20nmの磁気記録層
5のtBr値は約200G・μmとなり、磁気抵抗効果
型ヘッドの使用により高記録密度、高出力が可能にな
る。
【0031】次いで、磁気記録層5の形成に使用したも
のと同じスパッタリング装置を使用して、磁気記録層5
の上にカーボン保護膜6をスパッタリングにより膜厚1
0nmで形成した。スパッタリングの条件は、ターゲッ
ト:炭素盤、アルゴンガス雰囲気の圧力:10mTor
r、基板温度:25℃、スパッタ電力:1.0kW(D
C)、そしてDCバイアス:0Vであった。
【0032】以上のようにして作製した磁気記録層5を
有する磁気記録媒体10について、面内方向と垂直方向
の磁化を測定し、グラフにプロットしたところ、図4に
示すような磁化曲線が得られた。図示の磁化曲線から理
解されるように、この磁気記録媒体は垂直方向に磁気異
方性を有しており、2700(Oe)という高い保磁力
Hcを示している。実施例2 磁気記録媒体(本発明)の作製 図5に示すような断面を有する本発明の磁気記録媒体を
前記実施例1と同様な成膜法及び成膜条件に従って作製
した。しかし、本例の場合、図示のように、シリコン基
板に代えて、そのシリコン基板1の上にその表面酸化処
理により二酸化珪素(SiO2 )層4を膜厚3000Å
で形成したものを使用した。本例では、このようなSi
2 層4をシリコン基板1と磁気記録層5の間に介在さ
せたことによって、高基板温度時の基板からのSiの拡
散、もしくは磁気記録層からの磁性元素(Co)の拡散
による磁気特性の劣化を防止することができた。
【0033】次いで、本例で作製された磁気記録媒体
の、媒体ノイズの記録信号密度依存性を調べたところ、
図6にグラフで示すような結果が得られた。なお、ノイ
ズパワーの測定にはMRヘッドを使用し、このときのヘ
ッドと磁気記録媒体の相対速度(周速)を10 m/sとし
た。同様に、比較例1で作製した従来の磁気記録媒体に
ついても媒体ノイズの記録信号密度依存性を調べ、図6
にプロットした。図6に示した結果から、従来の磁気記
録媒体では周波数が高くなるとそれに伴って媒体ノイズ
も増加していたが、本発明の磁気記録媒体では、記録周
波数が高くなっても、媒体ノイズがほとんど増加せず、
低いレベルを保っていることがわかる。実施例3 磁気記録装置(本発明)の作製 図8及び図9に示すような構成を有する本発明の磁気記
録装置(磁気ディスク装置)を作製した。図8は、本例
で作製された、磁気ヘッド付きスライダを用いた磁気デ
ィスク装置の平面図(カバーを除いた状態)、そして図
9は図8における線分A−Aに沿った断面図である。
【0034】これらの図において、参照番号10は、ベ
ースプレート51上に設けられたスピンドルモータ52
によって回転駆動される複数枚(本例では3枚)の磁気
ディスクを指す。参照番号53は、ベースプレート51
上に回転可能に設けられたアクチュエータを指す。この
アクチュエータ53の一方の回転端部には、磁気ディス
ク10の記録面方向に延出する複数のヘッドアーム54
が形成されている。このヘッドアーム54の回転端部に
は、スプリングアーム55が取り付けられ、さらに、こ
のスプリングアーム55のフレクシャー部に磁気ヘッド
付きのスライダ40が絶縁膜(図示せず)を介して傾動
可能に取り付けられている。なお、磁気ヘッド付きのス
ライダ40は、セラミック製ヘッド基板上に薄膜形成技
術を用いて多数個のヘッドを形成した後、ヘッド基板を
ヘッドごとに切り出し所定の形状に加工することにより
作製した。一方、アクチュエータ53の他方の回転端部
には、コイル57が設けられている。
【0035】ベースプレート51上には、マグネット及
びヨークで構成された磁気回路58が設けられ、この磁
気回路58の磁気ギャップ内に、上記コイル57が配置
されている。そして、磁気回路58とコイル57とでム
ービングコイル型のリニアモータ(VCM:ボイスコイ
ルモータ)が構成されている。そして、これらベースプ
レート51の上部はカバー59で覆われている。
【0036】上記構成の磁気ディスク装置は、次のよう
にして作動可能である。磁気ディスク10が停止してい
る時には、スライダ40は磁気ディスク10の退避ゾー
ンに接触し停止している。次に、磁気ディスク10がス
ピンドルモータ52によって、高速で回転駆動される
と、この磁気ディスク10の回転による発生する空気流
によって、スライダ40は微小間隔をもってディスク面
から浮上する。この状態でコイル57に電流を流すと、
コイル57には推力が発生し、アクチュエータ53が回
転する。これにより、ヘッド(スライダ)40を磁気デ
ィスク10の所望のトラック上に移動させ、データのリ
ード/ライトを行なうことができる。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、高密度磁気記録装置に用いて好適な、強磁性粒子間
の磁気的な相互作用のない、高記録密度領域で低ノイズ
の熱揺らぎの影響が少ない磁気記録媒体を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気記録媒体の一例を示した断面図であ
る。
【図2】本発明者らが先に発明した磁気記録媒体の1実
施例を示した断面図である。
【図3】本発明による磁気記録媒体の好ましい1例を示
した断面図である。
【図4】図3に示した磁気記録媒体の面内方向及び垂直
方向の磁化曲線を示したグラフである。
【図5】本発明による磁気記録媒体のもう1つの好まし
い例を示した断面図である。
【図6】図5に示した磁気記録媒体の媒体ノイズの記録
信号密度依存性を示したグラフである。
【図7】実施例で磁気記録媒体の作製に使用されたスパ
ッタリング装置の構成を示した断面図である。
【図8】本発明の磁気ディスク装置の好ましい1例(カ
バーを除いた状態)を示した平面図である。
【図9】図8に示した磁気ディスク装置の線分A−Aに
沿った断面図である。
【符号の説明】
1…非磁性基板 2…強磁性材料 3…非磁性材料 4…二酸化珪素層 5…磁気記録層 6…カーボン保護膜 10…磁気記録媒体(磁気ディスク) 31…チャンバ(処理室) 32…ウェハ支持台 33…ターゲット支持台 34…複合ターゲット 38…スパッタ用電源

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性を有する非磁性基板と、該基板上
    にあって、非磁性材料の薄膜中に平均粒径50nm以下の
    強磁性材料の結晶粒子がほぼ一様に分布せしめられた構
    成を有する磁気記録層とを含む磁気記録媒体であって、
    前記強磁性材料がコバルト及び白金の二元合金、CoA
    Pt100-A (式中、Aは80〜90である)からなりか
    つ前記磁気記録層が前記基板の表面に対して垂直方向に
    磁化容易軸を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性材料がSiO2 であることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性基板がシリコン基板であり、
    その基板と前記磁気記録層との中間に、下地の基板から
    の珪素の拡散を防止するのに十分な膜厚を有する二酸化
    珪素層が介在せしめられていることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の磁気記録媒体を製造す
    る方法であって、非磁性基板上に、その基板の温度を5
    00℃以上に保ちながら、前記非磁性材料及び前記強磁
    性材料からなる磁気記録層を形成する工程を含んでなる
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記非磁性基板がシリコン基板であり、
    そして、前記磁気記録層を形成する前、前記シリコン基
    板の表面を酸化処理してその基板からの珪素の拡散を防
    止するのに十分な膜厚を有する二酸化珪素層を形成する
    工程をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 磁気記録媒体において情報の記録を行う
    ための記録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生ヘ
    ッド部を含んでなる磁気記録装置であって、前記磁気記
    録媒体が、耐熱性を有する非磁性基板と、該基板上にあ
    って、非磁性材料の薄膜中に平均粒径50nm以下の強磁
    性材料の結晶粒子がほぼ一様に分布せしめられた構成を
    有する磁気記録層とを含む磁気記録媒体であって、前記
    強磁性材料がコバルト及び白金の二元合金、CoA Pt
    100-A (式中、Aは80〜90である)からなりかつ前
    記磁気記録層が前記基板の表面に対して垂直方向に磁化
    容易軸を有する磁気記録媒体であり、かつ前記再生ヘッ
    ド部が磁気抵抗効果型ヘッドを備えていることを特徴と
    する磁気記録装置。
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