JPH11132050A - 可変容量型ターボチャージャの制御装置 - Google Patents

可変容量型ターボチャージャの制御装置

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JPH11132050A
JPH11132050A JP9298698A JP29869897A JPH11132050A JP H11132050 A JPH11132050 A JP H11132050A JP 9298698 A JP9298698 A JP 9298698A JP 29869897 A JP29869897 A JP 29869897A JP H11132050 A JPH11132050 A JP H11132050A
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nozzle
variable displacement
engine
control
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Tatsuhisa Yokoi
辰久 横井
Masaki Koga
勝紀 古賀
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Toyota Motor Corp
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Supercharger (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】可変容量機構が過度に内燃機関の排気圧を増大
させる方向に作動していることを迅速に回避することの
できる可変容量型ターボチャージャの制御装置を提供す
る。 【解決手段】ディーゼルエンジン11の過給圧は、電子
制御ユニットを通じてターボチャージャ35の可変容量
機構が制御(ノズルベーンの開閉)されることによって
調整される。ノズルベーンの開度調整は、ノズル用エレ
クトリック・バキューム・レギュレーティング・バルブ
の電磁ソレノイドに対する印加電圧をデューティ比指令
値に基づきデューティ制御することによって行われる。
そして、電子制御ユニットは、ノズルベーンの閉じ過ぎ
を防止するためのデューティ比指令値のガード値をエン
ジン回転数に応じて可変設定し、そのガード値と実際の
デューティ比指令値との比較に基づきノズルベーンの閉
じ過ぎ発生を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の過給シ
ステムに用いられる可変容量型ターボチャージャにあっ
て、その可変容量機構の制御を行う可変容量型ターボチ
ャージャの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジン等の内燃機関
においては、その出力を向上させるために燃焼室へ充填
される空気の量を増やすことが好ましい。そこで従来
は、ピストンの移動に伴って燃焼室内に発生する負圧で
空気を燃焼室に充填するだけでなく、その空気を強制的
に燃焼室へ送り込んで、同燃焼室への空気の充填効率を
高める過給システムが提案され、実用されている。こう
した過給システムとしては、例えば可変容量型のターボ
チャージャが知られている。
【0003】このターボチャージャは、内燃機関の排気
ガスの流入によって回転するタービンホイールと、ター
ビンホイールと一体回転することで燃焼室へ空気を強制
的に送り込むコンプレッサホイールを備えている。ま
た、上記ターボチャージャには、タービンホイールに吹
き付けられる排気ガスの流速を可変とすべく動作する可
変容量機構(ノズルベーン)が設けられている。そし
て、ノズルベーンの開閉によって上記排気ガスの流速を
変化させ、タービンホイール及びコンプレッサホイール
の回転速度を可変とすることで、内燃機関の過給圧、即
ち燃焼室に送り込まれる空気の量が調整される。
【0004】ここで過給圧とノズルベーンの開度との関
係を図13(a)のグラフに示す。同図から明らかなよ
うに過給圧は、ノズルベーン全閉付近にて最大となり、
ノズルベーンの開度が増大するほど徐々に低下するよう
な推移態様を示す。
【0005】上記過給圧の調整は、図13(a)に示さ
れるノズルベーンの開度に対する過給圧の推移特性をふ
まえ、実際の過給圧が内燃機関の運転状態に基づき設定
される目標過給圧に近づくようノズルベーンの開度を制
御することによって行われる。即ち、実際の過給圧が目
標過給圧よりも小さい場合にはノズルベーンの開度を小
さくすることで実際の過給圧を上昇させ、実際の過給圧
が目標過給圧よりも大きい場合にはノズルベーンの開度
を大きくすることで実際の過給圧を低下させる。このよ
うなノズルベーンの開度制御に基づく過給圧調整を行う
ことができるのは、同開度の増大に伴い過給圧が低下す
るノズルベーンの開度領域(図13(a)の領域Z)を
用いて当該開度制御を行うためである。
【0006】なお、上記目標過給圧は、例えば内燃機関
の負荷及び回転数に基づいて、同機関の低回転高負荷時
に高く設定され、高回転低負荷時には低く設定される。
これは低回転高負荷時には内燃機関の過給圧を高めて出
力向上を図り、高回転低負荷時には同機関の過給圧を低
くすべく排気ガス流路のガス流通面積ノズルベーン間の
隙間を大きくすることで排気ガスの排出抵抗を低減する
ためである。
【0007】上記構成のターボチャージャにおいては、
ノズルベーンの開度と過給圧との関係が、内燃機関が高
回転及び高負荷になることにより、例えば図13(a)
のグラフに示す態様から図13(b)のグラフに示す態
様へと変化する。この図13(b)のグラフでは、ノズ
ルベーンの半開付近にて過給圧が最大となる。また、ノ
ズルベーンが全閉から半開に至る領域Aではノズルベー
ンの開度増大に伴い過給圧が徐々に高くなり、ノズルベ
ーンが半開から全開に至る領域Bではノズルベーンの開
度増大に伴い過給圧が徐々に低下する。
【0008】このようにノズルベーンの開度と過給圧と
の関係が変化するのは、内燃機関が高回転高負荷になる
に従って排気ガス量が増加したときには、ノズルベーン
の開度を小さくしてもそれが排気抵抗の増大に繋がり、
タービンホイールを回転させる排気の流速を高めること
にならないためである。従って、回転数や負荷が高いと
きにはノズルベーンの開度を開き側に移行させて排気抵
抗の低減を図り、回転数や負荷が低くなったときにはノ
ズルベーンの開度を閉じ側に移行させてタービンホイー
ルを回転させる排気ガスの流速を高める必要がある。
【0009】ところで、ノズルベーンの開度が例えば図
13(a)において全閉から半開の間の状態にあると
き、内燃機関の回転数が急激に高くなると、同ノズルベ
ーンの開度は図13(b)の領域A内に位置する状態に
なる。この状態にあっては、実際の過給圧が目標過給圧
よりも小さくなってノズルベーンを閉じ側に制御したと
しても、実際の過給圧を上昇させることができない。そ
のため、ノズルベーンは過度に閉じられた状態にまで至
ることとなる。このようにノズルベーンが閉じ過ぎにな
ると、排気ガスの排気効率が低下して内燃機関の出力低
下に繋がることともなる。
【0010】上記のようなノズルベーンの閉じ過ぎを防
止する装置(方法)としては、例えば特開昭62−18
2437号公報に記載された制御装置(制御方法)が知
られている。同装置では、排気行程時における排気通路
内の排気圧と、ターボチャージャの駆動により生じる吸
気通路内の過給圧とを減算し、その減算値に基づき上記
ノズルベーンの閉じ過ぎを判断するようにしている。
【0011】即ち、ノズルベーンの開度が図13(b)
の領域B内にある状態では、排気圧が低くなるため、そ
の排気圧と過給圧との減算値が小さくなる。また、ノズ
ルベーンの開度が図13(b)の領域A内にある状態で
は、排気圧が高くなるため、その排気圧と過給圧との減
算値は大きくなる。同制御装置(制御方法)では、この
ような排気圧と過給圧との関係を考慮して、排気圧と過
給圧との減算値が所定の判定値よりも大きいことに基づ
き上記ノズルベーンの閉じ過ぎを判断する。そして、ノ
ズルベーンが閉じ過ぎの旨判断された場合、ノズルべー
ンを開き側に強制制御して同ベーンの開度を正常に開閉
制御可能な領域Bへと移行させる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように内燃機関に
おける過給圧と排気圧との減算値に基づきノズルベーン
が閉じ過ぎである旨判断することはできるが、同ノズル
ベーンが閉じ過ぎの状態になってから実際に排気圧が変
化するまでには、ある程度の時間遅れがある。そのため
上記従来の装置(方法)では、過給圧と排気圧との減算
値に基づくノズルベーンが閉じ過ぎである旨の判断にも
自ずと時間遅れが生じ、ひいてはその閉じ過ぎを回避す
るためのノズルベーンの強制制御も応答性の悪いものと
なっている。
【0013】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、可変容量機構が過度に内燃
機関の排気圧を増大させる方向に作動していることを迅
速に回避することのできる可変容量型ターボチャージャ
の制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、請求項1記載の発明では、内燃機関からの排気ガス
流に基づき作動することにより同機関の燃焼室に吸入さ
れる空気の過給を行うとともに、可変容量機構の操作を
通じてその作動量が制御される可変容量型ターボチャー
ジャの制御装置であって、内燃機関の運転状態を検出す
る運転状態検出手段と、前記燃焼室に吸入される空気の
過給値が前記検出される機関運転状態に基づき求められ
る目標過給値に近づくよう前記可変容量機構を制御する
制御手段と、同検出される機関運転状態に基づき前記可
変容量機構の機関排気圧増大方向への作動をガードする
ためのガード値を設定するガード値設定手段と、この設
定されるガード値と前記可変容量機構の制御量との比較
に基づき同可変容量機構の過度の機関排気圧増大方向へ
の作動を判定する過剰制御状態判定手段とを備えた。
【0015】同構成によれば、可変容量機構の作動をガ
ードするためのガード値の設定は、内燃機関の運転状態
に応じて迅速に行われるため、そのガード値と可変容量
機構における実際の作動量との比較に基づき、前記可変
容量機構の過度の機関排気圧増大向への作動が迅速に判
定される。従って、その判定に応じて機関排気圧増大の
回避制御などが行われる場合であれ、その回避制御等の
応答性を向上させることができるようになる。
【0016】請求項2記載の発明では、前記制御手段
は、前記過剰制御状態判定手段による前記可変容量機構
の過度の機関排気圧増大方向への作動が判定されると
き、同可変容量機構の制御量を前記ガード値に強制設定
するものとした。
【0017】同構成によれば、可変容量機構の過度の機
関排気圧増大方向への作動の判定が迅速に行われるた
め、その判定に基づき行われる可変容量機構の制御量を
ガード値に強制設定することの遅れも防止することがで
きるようになる。従って、機関排気圧増大方向への過剰
な可変容量機構の作動が迅速に回避される。
【0018】請求項3記載の発明では、前記可変容量機
構の前記ガード値での制御状態において前記燃焼室に吸
入される空気の過給値の理論値と実際値とを比較し、該
比較効果に基づき前記ガード値設定手段にて設定される
ガード値を補正するガード値補正手段を更に備えた。
【0019】一般に、可変容量機構の作動量に対する燃
焼室への空気の過給値がターボチャージャの寸法公差等
により基準値に対してばらつくと、内燃機関の運転状態
に基づき設定される可変容量機構のためのガード値が不
適正なものとなる。この場合、当該ガード値と可変容量
機構における実際の作動量との比較に基づき行われる、
過度の機関排気圧増大向への可変容量機構の作動の判定
に誤りが生じることとなる。しかし、同構成によれば、
制御手段によって可変容量機構の作動量が上記ガード値
と同じ値にされた状態での前記燃焼室への空気の過給値
の理論値と実際値との比較に基づきガード値が適正な値
へと補正される。即ち、当該ガード値が上記ばらつきに
応じて補正されることとなり、可変容量機構の作動量に
対するガードがターボチャージャの寸法公差等に影響さ
れることなく実行される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動車用のディー
ゼルエンジンに適用した一実施形態を図1〜図12に従
って説明する。
【0021】図1に示すように、ディーゼルエンジン1
1のシリンダブロック11aには、ピストン12が往復
移動可能に設けられている。このピストン12は、コン
ロッド13を介してディーゼルエンジン11の下部に設
けられたクランクシャフト(出力軸)14に連結されて
いる。そして、ピストン12の往復移動は、コンロッド
13によりクランクシャフト14の回転へと変換される
ようになっている。
【0022】クランクシャフト14にはシグナルロータ
15が取り付けられている。このシグナルロータ15の
外周面には、複数の突起15aがクランクシャフト14
の軸線を中心とする等角度毎に設けられている。また、
シグナルロータ15の側方には、同ロータ15の突起1
5aを検出して検出信号を出力するクランクポジション
センサ16が設けられている。そして、クランクシャフ
ト14が回転して、シグナルロータ15の各突起15a
が順次クランクポジションセンサ16の側方を通過する
ことにより、同センサ16からそれら各突起15aに対
応したパルス状の検出信号が出力されるようになる。
【0023】上記シリンダブロック11aには、ディー
ゼルエンジン11の冷却水温を検出するための水温セン
サ11bが設けられている。また、シリンダブロック1
1aの上端にはシリンダヘッド17が設けられている。
そして、シリンダヘッド17とピストン12との間には
燃焼室18が設けられている。シリンダヘッド17に
は、その燃焼室18内に燃料を噴射するための噴射ノズ
ル18aが設けられるとともに、吸気ポート19及び排
気ポート20が同燃焼室18と連通するように設けられ
ている。そして、それら吸気ポート19及び排気ポート
20には、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22
が設けられている。
【0024】シリンダヘッド17には、吸気バルブ21
及び排気バルブ22を開閉駆動するための吸気カムシャ
フト23及び排気カムシャフト24が回転可能に支持さ
れている。これら吸気及び排気カムシャフト23,24
はタイミングベルト(図示せず)を介してクランクシャ
フト14に連結され、同ベルトによりクランクシャフト
14の回転が吸気及び排気カムシャフト23,24へ伝
達されるようになっている。そして、吸気カムシャフト
23が回転すると、吸気バルブ21が開閉駆動されて、
吸気ポート19と燃焼室18とが連通・遮断されるよう
になる。また、排気カムシャフト24が回転すると、排
気バルブ22が開閉駆動されて、排気ポート20と燃焼
室18とが連通・遮断されるようになる。
【0025】その排気カムシャフト24の外周面には、
一つの突起25が設けられている。この排気カムシャフ
ト22の側方には、突起25を検出して検出信号を出力
するカムポジションセンサ26が設けられている。そし
て、排気カムシャフト24が回転して、突起25が所定
の周期でカムポジションセンサ24の側方を通過するこ
とにより、同センサ24から突起25に対応して検出信
号が所定の周期で出力されるようになる。
【0026】上記吸気ポート19及び排気ポート20に
は、それぞれ吸気管30及び排気管31が接続されてい
る。この吸気管30内及び吸気ポート19内は吸気通路
32となっており、排気管31内及び排気ポート20内
は排気通路33となっている。そして、吸気通路32の
上流部及び排気通路33の下流部は、それぞれターボチ
ャージャ35に繋がっている。このターボチャージャ3
5は、吸気通路32の下流側へ空気を送り出すためのコ
ンプレッサホイール36と、排気通路33を通過する排
気ガスによって回転するタービンホイール37と、それ
らホイール36,37を一体回転可能に連結するロータ
シャフト38とを備えている。
【0027】また、ターボチャージャ35よりも下流側
の吸気通路32及び上流側の排気通路33は、排気ガス
再循環(EGR)通路39を介して連通している。この
EGR通路39の途中には、EGR用エレクトリック・
バキューム・レギュレーティング・バルブ(EVRV)
40aによって開度調節されるEGRバルブ40が設け
られている。そして、EGR用EVRV40aの電磁ソ
レノイド(図示せず)に対する印加電圧のデューティ制
御に基づきEGRバルブ40の開度調節が行われる。こ
うしたEGRバルブ40の開度調節により、排気通路3
3からEGR通路39を介して吸気通路32へ再循環す
る排気ガスの量が調整されるようになる。
【0028】この吸気通路32においてEGR通路39
と連通する部分よりも上流側には、スロットルバルブ3
4が設けられている。スロットルバルブ34の開度は自
動車の室内に設けられたアクセルペダル34aの踏込量
に基づき調節される。吸気管30においてスロットルバ
ルブ34に対応する位置には、同バルブ34の開度をア
クセルペダル34aの踏込量として検出し、その検出さ
れたアクセル踏込量に対応した検出信号を出力するスロ
ットルポジションセンサ28が設けられている。更に、
吸気管30において、スロットルバルブ34よりも下流
側には圧力センサ30aが設けられている。この圧力セ
ンサ30aは、スロットルバルブ34よりも下流側に位
置する吸気通路32内の圧力を検出し、その検出された
圧力に対応した検出信号を出力する。
【0029】一方、ディーゼルエンジン11のクランク
シャフト14は、燃料噴射ポンプ41のドライブシャフ
ト41aと連結されている。この燃料噴射ポンプ41
は、燃料ライン42を介してシリンダヘッド18の噴射
ノズル18aに接続されている。そして、燃料噴射ポン
プ41は、クランクシャフト14の回転がドライブシャ
フト41aに伝達されることによって駆動され、自動車
の燃料タンク(図示せず)から燃料を吸引するとともに
同燃料を噴射ノズル18aへ向けて吐出する。噴射ノズ
ル18aは、燃料噴射ポンプ41から送り込まれた燃料
の圧力によって作動し、その燃料を燃焼室18内へ噴射
する。
【0030】また、燃料噴射ポンプ41は、噴射ノズル
18aへ向けて吐出される燃料の量を調整する電磁スピ
ル弁43と、その燃料の吐出開始時期を調整するタイマ
装置44とを備えている。そして、燃料噴射ポンプ41
から噴射ノズル18aへ向けて吐出される燃料の吐出量
と吐出時期とを上記電磁スピル弁43及びタイマ装置4
4で調整することによって、噴射ノズル18aから燃焼
室18へ噴射される燃料の噴射量及び噴射時期が調整さ
れる。
【0031】こうしたディーゼルエンジン11にあって
は、その吸気行程において、ピストン12の下降により
燃焼室18内に負圧が発生し、その負圧により燃焼室1
8へ吸気通路32を介して空気が吸入される。その後、
圧縮行程において、ピストン12の上昇により燃焼室1
8内の空気が圧縮された状態で、噴射ノズル18aから
アクセルペダル34aの踏込量に対応した量の燃料が同
燃焼室18へ向かって噴射される。その結果、燃焼室1
8内の高圧空気中に噴射された燃料が自己着火して燃焼
し、その燃焼エネルギーによりピストン12が下降して
爆発行程に移る。この爆発行程によってエンジン11は
駆動力を得ることとなる。燃焼室18内で燃料が燃焼す
ることにより発生した排気ガスは、エンジン11の排気
行程においてピストン12の上昇により排気通路33へ
排出される。
【0032】排気通路33を通過する排気ガスの一部は
EGR通路39を介して吸気通路32へ再循環され、こ
の排気ガス再循環量(EGR量)の調節はEGR通路3
9に設けられたEGRバルブ40の開度調節によって行
われる。なお、こうした排気ガスの再循環を行うのは、
エンジン11から排出された排気ガス中の窒素酸化物や
一酸化炭素などを低減させ、エンジン11におけるエミ
ッションの悪化を抑制するためである。
【0033】更に、排気通路33から吸気通路32へ再
循環されなかった排気ガスは、ターボチャージャ35の
タービンホイール37に吹き付けられる。タービンホイ
ール37は排気ガスの吹き付けによって回転し、同ホイ
ール37の回転はロータシャフト38を介してコンプレ
ッサホイール36に伝達される。こうしてコンプレッサ
ホイール36が回転すると、吸気通路32の下流側へ向
かって空気が強制的に送り出されて燃焼室18への吸入
空気量が増加し、エンジン11の出力が向上するように
なる。
【0034】このようなディーゼルエンジン11のクラ
ンクシャフト14は、例えば自動変速機を介してを自動
車の車輪(共に図示せず)に連結されている。また、自
動車には、停止しているディーゼルエンジン11のクラ
ンクシャフト14を強制的に回転させることで同エンジ
ン11を始動させるスタータ51が設けられている。こ
のスタータ51の駆動は、自動車の室内に設けられたイ
グニッションスイッチ52を操作することによって行わ
れる。
【0035】次に、上記ターボチャージャ35の具体的
構成を、図2及び図3に基づいて詳しく説明する。図2
に示すように、ターボチャージャ35は、センタハウジ
ング61、コンプレッサハウジング62及びタービンハ
ウジング63を備えている。センタハウジング61に
は、上記ロータシャフト38がその軸線Lを中心に回転
可能に支持されている。このロータシャフト38の一端
部(図中右端部)には、複数の羽根36aを備えた上記
コンプレッサホイール36が取り付けられている。ま
た、ロータシャフト38の他端部(図中左端部)には、
同じく複数の羽根37aを備えた上記タービンホイール
37が取り付けられている。
【0036】センタハウジング61の一端側には、コン
プレッサホイール36の外周を囲うように、しかも渦巻
き状に延びるかたちで上記コンプレッサハウジング62
が取り付けられている。このようなコンプレッサハウジ
ング62において、センタハウジング61の反対側に位
置する部分には、エンジン11の燃焼室18(図1)に
供給される空気が導入される吸気入口62aが設けられ
ている。また、コンプレッサハウジング62の内部に
は、同ハウジング62と同じく渦巻き状に延びて吸気通
路32(図1)と連通するコンプレッサ通路64が設け
られている。更に、コンプレッサハウジング62には、
吸気入口62aを介して同ハウジング62内に導入され
た空気をコンプレッサ通路64へ送り出すための送出通
路65が設けられている。この送出通路65は、コンプ
レッサ通路64に沿って設けられている。そして、ロー
タシャフト38の回転に基づきコンプレッサホイール3
6が軸線Lを中心に回転すると、空気が吸気入口62
a、送出通路65及びコンプレッサ通路64を介して吸
気通路32へ強制的に送り出されるようになる。
【0037】一方、センタハウジング61の他端側に
は、タービンホイール37の外周を囲うように、しかも
渦巻き状に延びるかたちで上記タービンハウジング63
が取り付けられている。そしてこのタービンハウジング
63内には、同ハウジング63と同じく渦巻き状に延び
るスクロール通路66が設けられている。このスクロー
ル通路66は、エンジン11の排気通路33(図1)と
連通し、燃焼室18からの排気ガスが同排気通路33を
介して送り込まれる。
【0038】また、タービンハウジング63内には、ス
クロール通路66内の排気ガスをタービンホイール37
へ向けて吹き付けるための排気ガス流路67が、そのス
クロール通路66に沿って設けられている。この排気ガ
ス流路67からのタービンホイール37への排気ガスの
吹き付けによって、タービンホイール37が軸線Lを中
心に回転するようになる。なお、タービンホイール37
に吹き付けられた後の排気ガスは、タービンハウジング
63においてセンタハウジング61と反対側に位置する
部分に設けられた排気出口63aを介して触媒(図示せ
ず)へ送り出される。
【0039】次に、センタハウジング61とタービンハ
ウジング63との間に設けられて、上記排気ガス流路6
7を介してタービンホイール37に吹き付けられる排気
ガスの流速を調整する可変容量機構(可変ノズル機構)
71について、図3(a),(b)を参照して説明す
る。なお、図3(a)は同機構71の側断面図であり、
図3(b)は同機構71の正面図である。
【0040】これら図3(a),(b)に示すように、
可変ノズル機構71は、リング状に形成されたノズルバ
ックプレート72を備えている。ノズルバックプレート
72には、複数の軸73が同プレート72の円心を中心
として等角度毎に設けられている。各軸73は、ノズル
バックプレート72をその厚さ方向に貫通して回動可能
に支持されている。これら軸73の一端部(図3(a)
中の左端部)には、ノズルベーン74が固定されてい
る。また、軸73の他端部(図3(b)中の右端部)に
は、同軸73と直交してノズルバックプレート72の外
縁部へ延びる開閉レバー75が固定されている。開閉レ
バー75の先端には二股に分岐した一対の挟持部75a
が設けられている。
【0041】各開閉レバー75とノズルバックプレート
72との間には、ノズルバックプレート72と重なるよ
うに環状のリングプレート76が設けられている。この
リングプレート76は、その円心を中心に周方向へ回動
可能となっている。また、リングプレート76にはその
円心を中心として等角度毎に複数のピン77が設けられ
ており、それらピン77が各開閉レバー75の挟持部7
5a間に回動可能な状態で挟持されている。
【0042】そして、リングプレート76がその円心を
中心に回動されると、各ピン77が各開閉レバー75の
挟持部75aをリングプレート76の回動方向へ押す。
その結果、それら開閉レバー75は軸73を回動させる
こととなり、軸73の回動に伴い各ノズルベーン74は
同軸73を中心にして各々同期した状態で開閉動作す
る。また、隣合うノズルベーン74間の隙間の大きさ
は、それらノズルベーン74の同期した開閉動作に基づ
き変化する。
【0043】上記構成の可変ノズル機構71は、ノズル
バックプレート72を図示しないボルトでタービンハウ
ジング63に固定することで、図2に示すように同ハウ
ジング63に取り付けられる。こうしてタービンハウジ
ング63に取り付けられた可変ノズル機構71は、セン
タハウジング61とタービンハウジング63との間に位
置することとなる。この状態において、リングプレート
76の外縁部(図中下端部)には軸線Lと同方向へ延び
るピン86が設けられ、そのピン86には可変ノズル機
構71を駆動するための駆動機構82が連結される。
【0044】駆動機構82は、センタハウジング61に
上記ピン86と同方向へ延びた状態で回動可能に支持さ
れた支軸83を備えている。この支軸83の一端部(図
中左端部)には、上記ピン86に対して回動可能に連結
された駆動レバー84が固定されている。また、支軸8
3の他端部(図中右端部)には、アクチュエータ87に
連結された操作片85が固定されている。
【0045】そして、アクチュエータ87の駆動により
操作片85が操作されて支軸83が回動すると、支軸8
3の回動に伴い駆動レバー84が支軸83を中心に回動
する。その結果、駆動レバー84によりピン86を介し
てリングプレート76が周方向に押され、軸線Lを中心
に回動することとなる。このリングプレート76の回動
により、隣合うノズルベーン74間の隙間の大きさが調
整され、当該隙間の調整に基づきスクロール通路66か
ら排気ガス流路67を介してタービンホイール37へ吹
き付けられる排気ガスの流速が調節される。
【0046】更に、タービンホイール37へ吹き付けら
れる排気ガスの流速を調節することにより、タービンホ
イール37、ロータシャフト38及びコンプレッサホイ
ール36の回転速度が適宜に調節され、ひいては燃焼室
18(図1)へ強制的に送り込まれる空気の量が調節さ
れる。こうした燃焼室18への吸入空気量の調整を行う
ことにより、エンジン11の出力向上と燃焼室18内の
過剰圧防止との両立が図られるようになる。
【0047】次に、上記アクチュエータ87及びその駆
動装置を図5に基づいて詳しく説明する。同図に示され
るように、アクチュエータ87の内部は、ダイヤフラム
88によって負圧室87aと大気室87bとに区画され
ている。この負圧室87aには負圧通路89が接続され
ている。また、大気室87bの内部は、アクチュエータ
87の外部と連通して大気圧となっている。一方、負圧
室87a内には、ダイヤフラム88と直交する方向に伸
縮するコイルスプリング88aが設けられている。ダイ
ヤフラム88には、コイルスプリング88aの伸縮方向
へ延びてアクチュエータ87の外部に突出するロッド8
8bが設けられている。このロッド88bは、上記ノズ
ルベーン74を開閉動作させるための駆動機構82に設
けられた操作片85(図2)に連結されている。
【0048】また、アクチュエータ87の負圧室87a
に接続された負圧通路89は、エンジン11のクランク
シャフト14に駆動連結されたバキュームポンプ91に
接続されている。また、負圧通路89の途中にはノズル
用エレクトリック・バキューム・レギュレーティング・
バルブ(EVRV)90が設けられている。そして、ク
ランクシャフト14の回転により駆動される上記バキュ
ームポンプ91は、ノズル用EVRV90との間に位置
する負圧通路89内の負圧が一定値となるように同通路
89内の空気を吸引する。
【0049】一方、上記ノズル用EVRV90は、電磁
ソレノイド(図示せず)を備えている。同電磁ソレノイ
ドの消磁状態においては、ノズル用EVRV90は負圧
室87aとアクチュエータ87の外部とが連通する状態
に保持される。この状態にあっては、アクチュエータ8
7のロッド88bは、コイルスプリング88aの付勢力
により最も突出した状態に保持され、ターボチャージャ
35のノズルベーン74は例えば全閉とされるようにな
る。
【0050】また、ノズル用EVRV90の電磁ソレノ
イドの励磁状態においては、ノズル用EVRV90は負
圧室87aとバキュームポンプ91とを連通する状態に
保持される。この状態にあっては、負圧室87a内の空
気がバキュームポンプ91へ向けて吸引されることで、
ダイヤフラム88がコイルスプリング88aの付勢力に
抗して変位する。こうしたダイヤフラム88の変位によ
り、ロッド88bはアクチュエータ87に対して最も没
入した状態に保持され、ターボチャージャ35のノズル
ベーン74は例えば全開とされるようになる。
【0051】更に、電磁ソレノイドへの印加電圧をデュ
ーティ制御した場合には、負圧室87aからバキューム
ポンプ91へ向けて吸引される空気の量を調節すべくノ
ズル用EVRV90の開度が調節される。このノズル用
EVRV90の開度調節により、アクチュエータ87に
おけるロッド88bの突出位置が適宜に変更され、ター
ボチャージャ35におけるノズルベーン74の開度が適
宜に調整される。また、このようにノズルベーン74の
開度が調節されることで、ターボチャージャ35により
燃焼室18(図1)へ強制的に送り込まれる空気の量、
即ち燃焼室18への空気の過給圧が調節されるようにな
る。
【0052】次に、本実施形態におけるターボチャージ
ャ35の制御装置の電気的構成を図4に基づいて説明す
る。この制御装置は、燃料噴射時期制御、燃料噴射量制
御、及びノズベーン74の開度制御など、エンジン11
の運転状態を制御するための電子制御ユニット(以下
「ECU」という)92を備えている。このECU92
は、ROM93、CPU94、RAM95及びバックア
ップRAM96等を備える論理演算回路として構成され
ている。
【0053】ここで、ROM93は各種制御プログラム
や、それら各種制御プログラムを実行する際に参照され
るマップ等が記憶されるメモリであり、CPU94はR
OM93に記憶された各種制御プログラムやマップに基
づいて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU
94での演算結果や各センサから入力されたデータ等を
一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM9
6はエンジン11の停止時に保存すべきデータを記憶す
る不揮発性のメモリである。そして、ROM93、CP
U94、RAM95及びバックアップRAM96は、バ
ス97を介して互いに接続されるとともに、外部入力回
路98及び外部出力回路99と接続されている。
【0054】外部入力回路98には、水温センサ11
b、クランクポジションセンサ16、カムポジションセ
ンサ26、スロットルポジションセンサ28、圧力セン
サ30a、スタータ51及びイグニッションスイッチ5
2等が接続されている。一方、外部出力回路99には、
EGR用EVRV40a、電磁スピル弁43、タイマ装
置44及びノズル用EVRV90等が接続されている。
【0055】このように構成されたECU92は、クラ
ンクポジションセンサ16及びカムポジションセンサ2
6からの検出信号に基づきエンジン回転数NEやクラン
ク角度を求め、そのエンジン回転数NEやクランク角度
から噴射時期目標値を算出する。また、ECU92は、
上記スロットルポジションセンサ28からの検出信号に
基づきアクセルペダル34aの踏込量を求め、そのアク
セル踏込量及びエンジン回転数NEに対応した噴射量指
令値を算出する。そして、ECU92は、上記求めた噴
射量指令値及び噴射時期目標値に基づき電磁スピル弁4
3及びタイマ装置44を駆動制御し、上記噴射量指令値
に対応した燃料量を噴射させるとともに、燃料の噴射時
期を上記噴射時期目標値に近づける。このように燃料噴
射量及び燃料噴射時期を制御することで、ディーゼルエ
ンジン11の運転状態を良好に保つことができるように
なる。
【0056】また、ECU92は、スロットルポジショ
ンセンサ28からの検出信号に基づきディーゼルエンジ
ン11の負荷を求め、その求められた負荷とエンジン回
転数NEとに基づいて図6に示すマップを参照して過給
圧目標値PIMTRGを算出する。このマップは、予め
実験によって求められてROM93に記憶されている。
ECU92は、圧力センサ30aからの検出信号に基づ
き求められる実際の過給圧PIMを上記過給圧目標値P
IMTRGに近づけるべく、ターボチャージャ35にお
けるノズルべーン74の開度を制御する。
【0057】即ち、実際の過給圧PIMが過給圧目標値
PIMTRGよりも小さい場合、ECU92は、ノズル
用EVRV90を駆動するためのデューティ比指令値D
NFINを例えば小さくすることで、ノズルベーン74
の開度を小さくして実際の過給圧PIMを上昇させる。
また、実際の過給圧PIMが過給圧目標値PIMTRG
よりも大きい場合、ECU92は、ノズル用EVRV9
0を駆動するためのデューティ比指令値DNFINを例
えば大きくすることで、ノズルベーン74の開度を大き
くして実際の過給圧PIMを低下させる。
【0058】こうして実際の過給圧PIMを過給圧目標
値PIMTRGに近づけることで、その実際の過給圧P
IMはディーゼルエンジン11の低回転高負荷時に大き
くなり、同エンジン11の高回転低負荷時には小さくな
る。これは低回転高負荷時には過給圧PIMを高めて出
力向上を図り、高回転低負荷時には過給を低くすべくノ
ズルベーン74間の隙間を大きくすることで排気ガスの
排出抵抗を低減するためである。そして、このように過
給圧PIMを制御することによって、ディーゼルエンジ
ン11の出力向上と燃焼室18及び排気通路33内の過
剰圧防止との両立が図られるようになる。
【0059】また、ECU92は、冷却水温、エンジン
回転数NE、及び吸入空気圧(負荷)など、ディーゼル
エンジン11の運転状態に基づきEGR制御を実行す
る。このEGR制御は、常時実行されるのではなくエン
ジン11の運転状態に応じて実行・非実行が決定され
る。このようにEGR制御を常時実行しないのは、エン
ジン11の運転状態によってはEGR制御の実行により
同エンジン11の運転が不安定になる場合があるためで
ある。
【0060】ECU92は、上記エンジン11の運転状
態に基づきEGR用EVRV40aを駆動するためのデ
ューティ比指令値を算出し、同指令値に基づきEGR用
EVRV40aの電磁ソレノイドに対する印加電圧のデ
ューティ制御を行う。このデューティ制御によって、E
GRバルブ40の開度調節が行われる。即ち、EGRバ
ルブ40は、上記デューティ比指令値の増加により開き
側に制御され、上記デューティ比指令値の減少により閉
じ側に制御される。こうしたEGRバルブ40の開度調
整によって、EGR量が非アイドル状態であるエンジン
11の運転状態に応じた値に調整され、ディーゼルエン
ジン11から排出される排気ガスのエミッション悪化が
抑制される。
【0061】なお、こうしたEGR制御が実行されてい
るときには、ECU92がターボチャージャ35におけ
るノズルベーン74の開度を固定すべくノズル用EVR
V90の電磁ソレノイドに対する印加電圧をデューティ
制御する。これはノズルベーン74の開度が変化するこ
とで排気管31内の圧力が頻繁に変動し、その排気管3
1内の圧力変動によってEGR量が頻繁に変動してしま
うのを防止するためである。
【0062】次に、上記ECU92を通じて実行される
制御態様について図7〜図9を参照して説明する。図7
は、本実施形態におけるノズル開度制御のメインルーチ
ンを示すフローチャートである。同メインルーチンは、
ECU92を通じて例えば100ms毎の時間割り込み
にて実行される。
【0063】このメインルーチンにおけるステップS1
01,S102の処理は、ディーゼルエンジン11が運
転状態にあるか否かを判定するためのものである。同メ
インルーチンにおいてECU92は、ステップS101
の処理で、スタータフラグXSTAとして「1」がRA
M95の所定領域にセットされているか否かを判断す
る。このスタータフラグXSTAは、スタータ51が駆
動されたとき同スタータ51からの信号に基づき、別途
のルーチンによってECU92を通じて「1」にセット
され、エンジン11が停止したときには「0」にリセッ
トされる。続いてECU92は、ステップS102の処
理として、イグニッションスイッチ52からの信号に基
づき同スイッチ52がONになっているか否かを判断す
る。
【0064】上記ステップS101,S102のいずれ
か一方でNOと判断された場合には、ディーゼルエンジ
ン11が運転状態にない旨の判定がなされ、ECU92
は、このメインルーチンを一旦終了する。また、ステッ
プS101,S102の両方でYESと判断された場合
には、ディーゼルエンジン11が運転状態にある旨の判
定がなされてステップS103に進む。
【0065】ECU92は、ステップS103の処理と
して、水温センサ11b、クランクポジションセンサ1
6、スロットルポジションセンサ28及び圧力センサ3
0a等の各種センサからの検出信号を読み込む。続いて
ステップS104に進み、ECU92は、ノズルベーン
74に異常が発生しているか否かを判断する。即ち、E
CU92は、例えば圧力センサ30aからの検出信号に
基づき求められる実際の過給圧PIMと、エンジン11
の運転状態に基づき算出される目標過給圧PIMTRG
との差を計算する。そして、その計算値が所定のしきい
値よりも小さいときにはノズルベーン74に異常が無い
と判断してステップS105に進み、同計算値が所定の
しきい値よりも大きいときにはノズルベーン74に異常
が有ると判断してステップS107に進む。
【0066】例えばノズルベーン74が熱変形などによ
り固着した場合には、実際の過給圧PIMが変化しなく
なるため、その実際の過給圧PIMと目標過給圧PIM
TRGとが離れた値になる。従って、上記ステップS1
04の処理を実行することで、ノズルベーン74の固着
といった異常を的確に判断することができるようにな
る。
【0067】上記ステップS104でYESと判断され
てステップS107に進むと、ECU92は、ノズルベ
ーン74に異常が発生したときのフェイルセーフ制御を
実行する。即ち、例えばノズルベーン74が適正状態よ
りも閉じ側で固着した場合、ECU92は、EGRバル
ブ40を閉じてEGR量を「0」にするとともに、電磁
スピル弁43を駆動制御して燃料噴射量を減量補正す
る。このようにEGR量を「0」にすることで、ノズル
ベーン74の閉じ過ぎに起因してエンジン11の排気圧
が過剰に上昇し、EGR量が過多になってエミッション
が悪化するのを防止することができるようになる。ま
た、燃料噴射量を減量補正することで、エンジン11の
出力が低減され、排気通路33内の過剰圧抑制が図られ
るようになる。こうしてノズルベーン74異常時のフェ
イルセーフ制御が実行された後、ECU92は、この処
理ルーチンを一旦終了する。
【0068】一方、上記ステップS104の処理でNO
と判断された場合、即ちノズルベーン74に異常の無い
状態である旨の判断がなされた場合にはステップS10
5に進む。ECU92は、ステップS105の処理とし
て、EGR制御が実行されて排気通路33から吸気通路
32へ排気ガスが再循環されているか否かを判断する。
そして、EGR制御実行中である旨判断した場合にはス
テップS106に進み、ECU92は、ノズル用EVR
V90を駆動制御してノズルベーン74の開度を固定す
る。このようにノズルベーン74の開度を固定するの
は、EGR制御中にノズルベーン74の開度が変更され
てエンジン11の排気圧が変動し、EGR量が変動して
しまうのを防止するためである。このノズル開度固定制
御を実行した後、ECU92は、当該処理ルーチンを一
旦終了する。
【0069】また、上記ステップS105の処理で、E
GR制御実行中でない旨判断した場合にはステップS1
08に進み、ディーゼルエンジン11の運転状態に基づ
くノズルベーン74の開閉制御を実行する。その後、E
CU92は、当該処理ルーチンを一旦終了する。
【0070】次に、メインルーチンにおけるステップS
108で実行される処理について、図8及び図9を参照
して詳しく説明する。なお、図8及び図9は、ノズルベ
ーン74を開閉制御するためのノズル開閉制御ルーチン
を示すフローチャートである。このノズル開閉制御ルー
チンは、上記メインルーチンにおいてステップS108
に進んだとき、ECU92を通じて実行される。
【0071】同ノズル開度制御ルーチンにおいてステッ
プS201〜S205(図8)の処理は、実際の過給圧
PIMをエンジン11の運転状態に基づき求められる目
標過給圧PIMTRGに近づけるためのものである。E
CU92は、ステップS201の処理として、実際の過
給圧PIMが目標過給圧PIMTRGよりも小さいか否
かを判断する。そして、ステップS201において、
「PIM<PIMTRG」でない場合にはステップS2
03に進む。続いてECU92は、ステップS203の
処理として、実際の過給圧PIMが目標過給圧PIMT
GRと同じか否かを判断する。
【0072】そして、ステップS203において、「P
IM=PIMTRG」である場合にはステップS204
に進む。ECU92は、ステップS204の処理とし
て、前回のノズル用デューティ比指令値DNFINi-1
を、今回のノズル用デューティ比指令値DNFINとし
て設定し直す。このようにデューティ比指令値DNFI
Nの設定が行われると、ECU92は、ノズルベーン7
4の開度調節を行うべく上記デューティ比指令値DNF
INに基づきノズル用EVRV90の電磁ソレノイドへ
の印加電圧をデューティ制御する。今回のデューティ比
指令値DNFINは、前回のデューティ比指令値DNF
INi-1 と同じであるため、上記デューティ制御の結
果、ノズルベーン74の開度は変更されず一定状態に保
持される。
【0073】一方、ステップS203において、「PI
M=IMTRG」でない場合にはステップS205に進
む。このようにステップS205に進んだ場合には、実
際の過給圧PIMが目標過給圧よりも大きくなる(「P
IM>PIMTRG」)。ECU92は、ステップS2
05の処理として、前回のノズル用デューティ比指令値
DNFINi-1 にデューティ比補正値DNFBIを加算
したものを、今回のノズル用デューティ比指令値DNF
INとして設定し直す。このように新たにデューティ比
指令値DNFINが設定されると、ECU92は、ノズ
ルベーン74の開度調節を行うべく上記デューティ比指
令値DNFINに基づきノズル用EVRV90の電磁ソ
レノイドへの印加電圧をデューティ制御する。今回のデ
ューティ比指令値DNFINは、前回のデューティ比指
令値DNFINi-1 よりも大きくなるため、上記デュー
ティ制御の結果、ノズルベーン74は開き側に制御され
る。
【0074】こうしたノズルベーン74の開度制御量
は、上記デューティ比補正値DNFBIに基づき変化す
る。即ち、デューティ比補正値DNFBIが大きい場合
には上記ノズルベーン74の開度制御量は大きくなり、
デューティ比補正値DNFBIが小さい場合には上記ノ
ズルベーン74の開度制御量は小さくなる。なお、本実
施形態のデューティ比補正値DNFBIは、実際の過給
圧PIMを速やかに目標過給圧PIMTRGに近づける
ことができ、且つ上記ノズルベーン74の開度制御量が
過度に大きくなることのない値に設定されている。
【0075】上記ステップS204,S205のいずれ
か一方の処理を経た後、ECU92は、このノズル開閉
制御ルーチンを一旦終了させる。一方、上記ステップS
201において、「PIM<PIMTRG」である場合
にはステップS202に進む。ECU92は、ステップ
S202の処理として、前回のノズル用デューティ比指
令値DNFINi-1 からデューティ比補正値DNFBI
を減算した値を、今回のノズル用デューティ比指令値D
NFINとして設定し直す。このように新たにデューテ
ィ比指令値DNFINが設定されると、ECU92は、
ノズルベーン74の開度調節を行うべく上記デューティ
比指令値DNFINに基づきノズル用EVRV90の電
磁ソレノイドへの印加電圧をデューティ制御する。今回
のデューティ比指令値DNFINは、前回のデューティ
比指令値DNFINi-1 よりも小さくなるため、上記デ
ューティ制御の結果、ノズルベーン74は閉じ側に制御
される。
【0076】このようにノズルベーン74が閉じ側に制
御される際には、上記ステップS202の処理に続いて
ステップS206(図9)の処理が実行される。このス
テップS203及びステップS204の処理は、ノズル
ベーン74が閉じ側に制御される際のノズル用デューテ
ィ比指令値DNFINを下限ガードし、同ノズルベーン
74の閉じ過ぎを防止するためのものである。
【0077】ここで、エンジン回転数NEを一定とした
条件のもとで、上記デューティ比指令値DNFINを変
化させた場合における過給圧PIMの標準的な推移態様
を図10のグラフに実線で示す。このグラフから明らか
なように、デューティ比指令値DNFINが小さい領域
(グラフ中左側の領域D)においては、過給圧PIMが
同指令値DNFINの増加(ノズルベーン開)に伴い徐
々に大きくなる。また、デューティ比指令値DNFIN
が大きい領域(グラフ中右側の領域C)においては、デ
ューティ比指令値DNFINの増加(ノズルベーン開)
に伴い徐々に小さくなる。
【0078】こうした過給圧PIMとデューティ比指令
値DNFINとの関係を考慮して、通常はグラフ中右側
の領域C内のみでデューティ比指令値DNFINの変更
を行うようにしている。ところで、実線で示される過給
圧PIMの推移態様は、エンジン回転数NEの上昇に伴
ってグラフ中右方向へ移行し、エンジン回転数NEの下
降に伴ってグラフ中左方向へ移行することとなる。従っ
て、エンジン回転数NEが低回転で且つデューティ比指
令値DNFINが比較的小さく設定されているときにエ
ンジン回転数NEが急上昇した場合などでは、デューテ
ィ比指令値DNFINがグラフ中左側の領域D内に位置
してしまうことがある。
【0079】この場合、実際の過給圧PIMを目標過給
値PIMTRGへ高めようとして、上記ステップS20
2の処理によってデューティ比指令値DNFINを小さ
くしても過給圧PIMが低下してしまう。そのため、デ
ューティ指令値DNFINが最小値にまで小さくなって
行き、ノズルベーン74が閉じ過ぎになってエンジン1
1における排気ガスの排出効率低下に繋がることとな
る。
【0080】そこで本実施形態は、このようなノズルベ
ーン74の閉じ過ぎを防止するために、上記デューティ
比指令値DNFINをガード値DNFINMNで下限ガ
ードするようにしている。このガード値DNFINは、
エンジン回転数NEに基づき図12のマップから算出さ
れる。同図から明らかなように、ガード値DNFINM
Nは、エンジン回転数NEが高いほど大きい値として設
定される。これはエンジン回転数NEが高くなるほど、
図10に実線で示す過給圧PIMの推移態様が右方向へ
移行するためである。上記のようにガード値DNFIN
MNが可変設定されることで、図10に実線で示される
過給圧PIMの推移態様がエンジン回転数NEの変化に
伴って図中左右方向へ移行したとしても、ガード値DN
FINMNが常に領域D内におけるデューティ比指令値
DNFINの最大値よりも大きい値に設定される。
【0081】さて、説明を図8及び図9のノズル開閉制
御ルーチンに戻す。同制御ルーチンにおいてECU92
は、ステップS206(図9)の処理として、上記ステ
ップS202の処理で減小側に補正されたノズル用デュ
ーティ比指令値DNFINが、上記可変設定されるガー
ド値DNFINMN以下であるか否かを判断する。そし
て、「DNFIN≦DNFINMN」でない場合にはノ
ズルベーン74が閉じ過ぎでない旨の判断がなされ、E
CU92は、このノズル開閉制御ルーチンを一旦終了す
る。また、「DNFIN≦DNFINMN」である場合
にはノズルベーン74が閉じ過ぎである旨の判断がなさ
れてステップS207に進む。こうしたステップS20
6の判断処理によって、ノズルベーン74が閉じ過ぎに
なったときには、その閉じ過ぎ発生の旨の判断が迅速に
行われるようになる。
【0082】ECU92は、続くステップS207の処
理として、上記ガード値DNFINMNを新たなノズル
用デューティ比指令値DNFINとして設定する。上記
ステップS206,S207の処理を実行することで、
ノズル用デューティ比指令値DNFINが大きくなって
図10の領域D内から外れる。その結果、ノズルベーン
74が開き側に強制制御され、同ノズルベーン74の閉
じ過ぎが防止されるようになる。以上のガード処理が実
行された後、続くステップS208に進む。ステップS
208〜S212の処理は、ターボチャージャ35の寸
法公差等に起因して、図10に実線で示される過給圧P
IMの推移態様がばらついたとき、そのばらつきに応じ
て上記ガード値DNFINMNを補正するためのもので
ある。
【0083】ECU92は、ステップS208の処理と
して、実際の過給圧PIMが過給圧判定値PIMMNよ
りも小さいか否かを判断する。この過給圧判定値PIM
MNは固定値であって、上記ステップS207の処理で
「DNFIN=DNFINMN」としたときの理論上の
過給圧PIMと同じ値になっている。なお、当該理論上
の過給圧PIMとは、ノズル用デューティ比指令値DN
FINの変化に対する実際の過給圧PIMの推移態様が
図10に実線で示される標準的な状態において、「DN
FIN=DNFINMN」としたときの実際の過給圧P
IMのことである。
【0084】そして、ステップS208において「PI
M<PIMMN」である場合にはステップS209に進
み、「PIM<PIMMN」でない場合にはステップS
210に進む。ECU92は、ステップS210の処理
として、実際の過給圧PIMが過給圧判定値PIMMN
と同じであるか否かを判断する。そして、「PIM=P
IMMN」でない場合(「PIM>PIMMN」である
場合)にはステップS211に進み、「PIM=PIM
MN」である場合にはステップS212に進む。
【0085】ところで、ノズル用デューティ比指令値D
NFINの変化に対する実際の過給圧PIMの推移態様
がターボチャージャ35の寸法公差等によってばらつい
ていない場合、その過給圧PIMの推移態様は図10に
実線で示すように標準的な状態になる。この場合、上記
ステップS207の処理で「DNFIN=DNFIM
N」とされたとき、実際の過給圧PIMは過給圧判定値
PIMMNと同じになり、ステップS208,S210
を経てステップS212に進むこととなる。
【0086】ECU92は、ステップS212の処理と
して、前回のガード値DNFINi-1 にガード値補正量
DNYを加算したものを、今回のガード値DNFINM
Nとして設定し、その後に当該ノズル開閉制御ルーチン
を一旦終了してメインルーチン(図7)に戻る。なお、
上記ガード値補正量DNYは、学習値としてバックアッ
プRAM96に記憶されており、初期状態においては
「0」に設定されている。従って、上記過給圧PIMの
推移態様にばらつきが生じていないときには、ステップ
S212の処理で「DNFINMN=DNFINMNi-
1 」とされ、ガード値DNFINMNの補正が行われる
ことはない。
【0087】また、ターボチャージャ35の寸法公差等
によって上記PIMの推移態様が図10に二点鎖線で示
す状態へとばらついている場合、ステップS207の処
理で「DNFIN=DNFIMN」とされたとき、実際
の過給圧PIMが過給圧判定値PIMMNよりも小さく
なる。この場合、ステップS208でYESと判断され
て、ステップS209に進むこととなる。ECU92
は、ステップS209の処理として、前回のガード値補
正量DNYi-1 に修正値DNYIを加算したものを、今
回のガード値補正量DNYとして新たに設定するととも
に学習値としてバックアップRAM96に記憶した後、
ステップS212に進む。その修正値DNYは、ガード
値補正量DNYを調整するためのものであって、本実施
形態ではガード値補正DNYの調整を過剰に行うことな
く且つ的確に行うことのできる値に設定されている。
【0088】こうしてステップS209を経てステップ
S212に進んだ場合、同ステップS212の処理によ
って設定される今回のガード値DNFINMNが前回の
値よりも大きくなる。その結果、ガード値DNFINM
Nは、図10のグラフ中右方向へ移行して、過給圧判定
値PIMMNに対応するよう増大側へ補正されることと
なる。
【0089】また、ターボチャージャ35の寸法公差等
によって上記PIMの推移態様が図11に二点鎖線で示
す状態へとばらついている場合、ステップS207の処
理で「DNFIN=DNFIMN」とされたとき、実際
の過給圧PIMが過給圧判定値PIMMNよりも大きく
なる。この場合、ステップS208,S210で共にN
Oと判断されて、ステップS211に進むこととなる。
ECU92は、ステップS211の処理として、前回の
ガード値補正量DNYi-1 から修正値DNYIを減算し
たものを、今回のガード値補正量DNYとして新たに設
定するとともに学習値としてバックアップRAM96に
記憶した後、ステップS212に進む。
【0090】ステップS211を経てステップS212
に進んだ場合、同ステップS212の処理によって設定
される今回のガード値DNFINMNが前回の値よりも
小さくなる。その結果、ガード値DNFINMNは、図
11のグラフ中左方向へ移行して、過給圧判定値PIM
MNに対応するよう減小側へ補正されることとなる。
【0091】上記のようにガード値DNFINMNを補
正することで、図10及び図11に実線で示される過給
圧PIMの推移態様にターボチャージャ35の寸法公差
等に起因するばらつきが生じたとしても、そのガード値
DNFINMNによるノズル用デューティ比指令値DN
FINの下限ガードが適正なものとされる。
【0092】以上詳述した処理が行われる本実施形態に
よれば、以下に示す効果が得られるようになる。・一般
に、ノズル用デューティ比指令値DNFINの変化に対
する実際の過給圧PIMの推移態様(図10の実線)
は、エンジン回転数NEの変化に応じて図10中左右方
向に移行することとなる。本実施形態では、ノズル用デ
ューティ比指令値DNFINのガード値DNFINMN
が常に領域D内におけるデューティ比指令値DNFIN
の最大値よりも大きい値になるよう、そのガード値DN
FINMNをエンジン回転数NEに応じて可変設定し
た。そのため、ガード値DNFINとノズル用デューテ
ィ比指令値DNFINとの比較に基づき、ノズルベーン
74が閉じ過ぎになっていることの有無を判断すること
ができるようになる。そして、ノズル用デューティ比指
令値DNIFNの変化とノズルベーン74の開度変化と
の間には時間差がほとんどないため、ノズルベーン74
の閉じ過ぎが発生した場合、その発生の旨の判断を迅速
に行うことができる。
【0093】・ノズルベーン74の閉じ過ぎ発生の旨の
判断が迅速に行われるため、その閉じ過ぎ発生の旨の判
断がなされた際に行われるノズルベーン74の開き側へ
の強制制御(ノズルベーン74閉じ過ぎの回避制御)を
迅速に行うことができる。
【0094】・ノズル用デューティ比指令値DNFIN
の変化に対する実際の過給圧PIM(図10の実線)
は、ターボチャージャ35の寸法公差等に起因して図1
0中左右方向へばらつくことがある。この場合、標準的
な過給圧PIMの推移態様(図10の実線)に合わせて
予め設定されているガード値DNFINMNが不適正な
ものとなる。その結果、ガード値DNFINMNとノズ
ル用デューティ比指令値DNFINとの比較に基づき行
われるノズルベーン74の閉じ過ぎ発生の旨の判断に誤
りが生じることとなる。しかし、本実施形態では、ノズ
ルベーン74の閉じ過ぎ発生の旨の判断がなされ、上記
ガード値DNFINMNによってノズル用デューテイ比
指令値DNFINが下限ガードされた際、そのときの理
論上の過給圧PIMと同じ値となる過給圧判定値PIM
MNと実際の過給圧PIMとの比較に基づきガード値D
NFINMNを適正値へと補正した。そのため、ガード
値DNFINMNが上記ばらつきに応じて適正に補正さ
れ、ノズル用デューティ比指令値DNFINの下限ガー
ドをターボチャージャ35の寸法公差等に影響されるこ
となく適正に実行することができるようになる。
【0095】なお、本実施形態は、例えば以下のように
変更することもできる。 ・ノズル開閉制御ルーチンにおけるステップS208〜
S212(図9)の処理を省略してもよい。この場合、
ガード値DNFINMNの補正は行われなくなるが、ス
テップS208〜S212の処理を行わない分だけEC
U92の制御負荷が低減する。
【0096】・上記ステップステップS208〜S21
2の処理を省略するのに加えステップS207の処理を
省略し、ノズルベーン74の閉じ過ぎ発生の旨の判定が
なされたとき、ステップS207の処理の代わりに警告
等などによって異常発生を知らせるようにしてもよい。
【0097】・本実施形態形態では、ステップS207
の処理として、デューティ比指令値DNFINをガード
値DNFINMNと同じ値に設定したが、これに代えて
デューティ比指令値DNFINをガード値DNFINM
Nよりも大きい値としてもよい。
【0098】・本実施形態では、可変容量機構として多
数のノズルベーン74を備えたいわゆる可変ノズル型タ
ーボチャージャを例示したが、本発明はこれに限定され
ない。即ち、可変容量機構としては、タービンホイール
より上流にて排気ガスの通路を複数に分割し、該通路に
開閉弁を設けて排気ガス流通面積を可変とするものや、
ターボチャージャにおける排気ガスの入り口にフラップ
を設けて排気ガス流通面積を可変とするものであっても
よい。
【0099】・本実施形態では、EGR機構が設けられ
たエンジン11に本発明を適用したが、EGR機構が設
けられていないエンジンに本発明を適用してもよい。 ・本実施形態では、ディーゼルエンジン11に本発明適
用したが、これに代えてガソリンエンジンに本発明を適
用してもよい。
【0100】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、可変容量
機構の作動をガードするためのガード値の設定が内燃機
関の運転状態に応じて迅速に行われる。そのため、その
ガード値と可変容量機構における実際の作動量との比較
に基づき、前記可変容量機構の過度の機関排気圧増大方
向への作動を迅速に判定することができる。従って、そ
の判定に応じて機関排気圧増大の回避制御などが行われ
る場合であれ、その回避制御等の応答性を向上させるこ
とができる。
【0101】請求項2記載の発明によれば、可変容量機
構の過度の機関排気圧増大方向への作動が迅速に判定さ
れるため、その判定に基づき行われる可変容量機構の制
御量をガード値に強制設定することの遅れも防止するこ
とができる。従って、機関排気圧増大方向への過剰な可
変容量機構の作動が迅速に回避されるようになる。
【0102】請求項3記載の発明によれば、制御手段に
よって可変容量機構の作動量がガード値と同じ値にされ
た状態での前記燃焼室への空気の過給値の理論値と実際
値との比較に基づきガード値が適正な値へと補正され
る。一般に、可変容量機構の作動量に対する燃焼室への
空気の過給値がターボチャージャの寸法公差等により基
準値に対してばらつくと、内燃機関の運転状態に基づき
設定される可変容量機構のためのガード値が不適正なも
のとなる。この場合、当該ガード値と可変容量機構にお
ける実際の作動量との比較に基づく過度の機関排気圧増
大方向への可変容量機構の作動の判定に誤りが生じ、可
変容量機構の作動に対するガードも誤って行われること
となる。しかし、上記ばらつきに応じたガード値の補正
を実行することで、可変容量機構の作動に対するガード
をターボチャージャの寸法公差等の影響を受けることな
く的確に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の制御装置が適用されたディーゼル
エンジン全体を示す概略一部断面図。
【図2】同エンジンに設けられたターボチャージャを示
す断面図。
【図3】同ターボチャージャにおけるノズルベーンを開
閉動作させるための可変ノズル機構を示す断面図及び正
面図。
【図4】上記制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図5】上記可変ノズル機構を駆動する装置を示す概略
図。
【図6】過給圧目標値を算出する際に参照されるマッ
プ。
【図7】本実施形態の制御手順全体を示すフローチャー
ト。
【図8】ノズルベーンの開閉制御手順を示すフローチャ
ート。
【図9】ノズルベーンの開閉制御手順を示すフローチャ
ート。
【図10】ノズル用デューティ比指令値の変化に対する
実際の過給圧の推移態様を示すグラフ。
【図11】ノズル用デューティ比指令値の変化に対する
実際の過給圧の推移態様を示すグラフ。
【図12】ノズル用デューティ比指令値を下限ガードす
るためのガード値を算出する際に参照されるマップ。
【図13】ノズルベーンの開度と過給圧との関係を示す
グラフ。
【符号の説明】 11…ディーゼルエンジン、16…クランクポジション
センサ、18…燃焼室、26…カムポジションセンサ、
28…スロットルポジションセンサ、30a…圧力セン
サ、35…ターボチャージャ、71…可変容量機構(可
変ノズル機構)、87…アクチュエータ、90…ノズル
用エレクトリック・バキュームレギュレーティング・バ
ルブ(EVRV)、92…電子制御ユニット(ECU9
2)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関からの排気ガス流に基づき作動す
    ることにより同機関の燃焼室に吸入される空気の過給を
    行うとともに、可変容量機構の操作を通じてその作動量
    が制御される可変容量型ターボチャージャの制御装置で
    あって、 内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、 前記燃焼室に吸入される空気の過給値が前記検出される
    機関運転状態に基づき求められる目標過給値に近づくよ
    う前記可変容量機構を制御する制御手段と、 同検出される機関運転状態に基づき前記可変容量機構の
    機関排気圧増大方向への作動をガードするためのガード
    値を設定するガード値設定手段と、 この設定されるガード値と前記可変容量機構の制御量と
    の比較に基づき同可変容量機構の過度の機関排気圧増大
    方向への作動を判定する過剰制御状態判定手段と、 を備えることを特徴とする可変容量型ターボチャージャ
    の制御装置。
  2. 【請求項2】前記制御手段は、前記過剰制御状態判定手
    段による前記可変容量機構の過度の機関排気圧増大方向
    への作動が判定されるとき、同可変容量機構の制御量を
    前記ガード値に強制設定するものである請求項1記載の
    可変容量型ターボチャージャの制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の可変容量型ターボチャージ
    ャの制御装置において、 前記可変容量機構の前記ガード値での制御状態において
    前記燃焼室に吸入される空気の過給値の理論値と実際値
    とを比較し、該比較効果に基づき前記ガード値設定手段
    にて設定されるガード値を補正するガード値補正手段を
    更に備えることを特徴とする可変容量型ターボチャージ
    ャ。
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