JP3166658B2 - 可変ノズル型ターボチャージャの異常判定装置 - Google Patents

可変ノズル型ターボチャージャの異常判定装置

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JP3166658B2
JP3166658B2 JP12223097A JP12223097A JP3166658B2 JP 3166658 B2 JP3166658 B2 JP 3166658B2 JP 12223097 A JP12223097 A JP 12223097A JP 12223097 A JP12223097 A JP 12223097A JP 3166658 B2 JP3166658 B2 JP 3166658B2
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の過給シ
ステムに用いられる可変ノズル型ターボチャージャの異
常判定装置に係り、詳しくはタービンホイールに吹き付
けられる排気ガスの流速を可変とするためのノズルベー
ンの異常を判定する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジン等の内燃機関
においては、その出力向上のために燃焼室へ充填される
混合ガスの量を増やすことが好ましい。そこで従来は、
ピストンの移動に伴って燃焼室内に発生する負圧で混合
ガスを燃焼室に充填するだけでなく、その混合ガスを強
制的に燃焼室へ送り込んで、同燃焼室への混合ガスの充
填効率を高める過給システムが提案され、実用されてい
る。こうした過給システムには、内燃機関の吸気通路を
流れる空気を強制的に燃焼室へ送り込むための過給機と
して、例えば可変ノズル型のターボチャージャが設けら
れる。
【0003】上記ターボチャージャは、内燃機関の排気
通路を流れる排気ガスによって回転するタービンホイー
ルと、同機関の吸気通路内の空気を強制的に燃焼室側へ
送り込むコンプレッサホイールとを備えている。これら
タービンホイールとコンプレッサホイールとは、ロータ
シャフトを介して一体回転可能に連結されている。そし
て、タービンホイールに排気ガスが吹き付けられて同ホ
イールが回転すると、その回転はロータシャフトを介し
てコンプレッサホイールに伝達される。こうしてコンプ
レッサホイールが回転することにより、吸気通路内の空
気が強制的に燃焼室に送り込まれるようになる。
【0004】また、上記ターボチャージャには、タービ
ンホイールに吹き付けられる排気ガスが通過する導出流
路を備え、同通路はタービンホイールの外周を囲うよう
に同ホイールの回転方向に沿って形成される。従って、
導出流路を通過した排気ガスは、タービンホイールの軸
線へ向かって吹き付けられることになる。このような導
出流路には、タービンホイールに吹き付けられる排気ガ
スの流速を可変とするための複数のノズルベーンが設け
られている。これらノズルベーンは、タービンホイール
の軸線を中心とする等角度毎に位置し、互いに同期した
状態で開閉動作する。
【0005】タービンホイールに吹き付けられる排気ガ
スの流速は、上記ノズルベーンを同期して開閉動作さ
せ、隣合うノズルベーン間の隙間の大きさを変化させる
ことによって調整される。こうしてノズルベーンを開閉
させて上記排気ガスの流速調整を行うことにより、ター
ビンホイールの回転速度が調整され、ひいては燃焼室に
強制的に送り込まれる空気の量が調整される。こうした
燃焼室への吸入空気量の調整を行うことにより、内燃機
関の出力向上と燃焼室内の過剰圧防止との両立が図られ
るようになる。
【0006】ところで、このように構成されたターボチ
ャージャにおいては、ノズルベーンが熱変形したり同ノ
ズルベーンにカーボン等の付着物が付着したりして、そ
のノズルベーンが所定の位置で固着してしまう場合があ
る。そして、例えばノズルベーンが正常時よりも閉じ側
にて固着した場合には、タービンホイールに吹き付けら
れる排気ガスの流速が通常よりも速くなるため、タービ
ン及びコンプレッサホイールの回転速度が通常よりも速
くなって燃焼室内が過剰圧になるという問題がある。そ
こで従来では、ノズルベーンの異常判定装置を用いて、
同ノズルベーンにおける固着などの異常判定を行うよう
にしている。こうした異常判定装置としては、例えば実
開昭62−138831号公報に記載されたものが知ら
れている。
【0007】同公報に記載の異常判定装置は、コンプレ
ッサホイールよりも下流側に位置する内燃機関の吸気通
路内の圧力を検出する過給圧センサを備えている。そし
て、過給圧センサによって吸気通路内の圧力が通常より
も高くなることに基づき、ノズルベーンが正常時よりも
閉じ側にて固着されていることを判定する。このような
異常判定装置を用いることにより、ノズルにおける固着
などの異常を検出することができるようになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記異常判
定装置では、吸気通路内の圧力が通常よりも高くなるこ
とに基づきノズルベーンの異常を判定しているため、過
給圧センサを必ず設けなければならず、同センサを組み
付ける際の手間やコストが無視できないものとなってい
る。
【0009】また、吸気通路内の圧力が通常よりも高く
なることに基づきノズルベーンの異常判定が行われるた
め、そのノズルベーンが正常時よりも開き側にて固着し
た場合などでは、同ノズルベーンの異常判定が行われな
い。即ち、ノズルベーンが開き側にて固着した場合では
吸気通路内の圧力が通常よりも高くなることはないた
め、異常判定装置はノズルベーンの異常判定を行うこと
がない。従って、ノズルベーンが正常時よりも開き側で
固着されたことに起因して吸気通路内の過給圧が下がっ
て内燃機関の出力が低下した場合に、その出力低下の原
因を特定しにくくなる。
【0010】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、過給圧センサ等を設けずと
もノズルベーンの異常を判定することができ、ノズルベ
ーンが正常時よりも開き側で固着した場合などでも、そ
のノズルベーンの異常判定を行うことのできる可変ノズ
ル型ターボチャージャの異常判定装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、請求項1記載の発明では、内燃機関の排気ガスが吹
き付けられることにより回転するタービンホイールと、
同ホイールに吹き付けられる排気ガスの流速を可変とす
るために開閉動作するノズルベーンとを備え、そのノズ
ルベーンの異常判定を行う可変ノズル型ターボチャージ
ャの異常判定装置において、内燃機関の機関回転数を検
出する回転数検出手段と、同機関のスロットルバルブが
全閉になったことを検出するスロットル全閉検出手段
と、前記スロットルバルブが全閉になった時点での同機
関の機関回転数よりも小さい値である目標回転数を設定
する目標回転数設定手段と、前記機関回転数が前記目標
回転数へと収束するまでの実際の収束時間を計測する実
収束時間計測手段と、前記機関回転数と前記目標回転数
とに基づき、前記ノズルベーン正常時の収束時間である
基準収束時間を算出する基準収束時間算出手段と、前記
前記基準収束時間に対する前記実際の収束時間に基づき
前記ノズルベーンの異常を判定する異常判定手段とを備
えた。
【0012】同構成にあっては、内燃機関のスロットル
バルブが全閉になった時点での機関回転数が、目標回転
数設定手段によって設定された目標回転数まで収束する
のにかかる実際の収束時間が計測される。そして、基準
収束時間算出手段によって算出されたノズルベーン正常
時の収束時間である基準収束時間に対する上記実際の収
束時間に基づきノズルベーンの異常が判定される。従っ
て、過給圧センサ等を設けずとも、ノズルベーンの異常
を判定することができるようになる。
【0013】請求項2記載の発明では、前記異常判定手
段は、前記実際の収束時間が前記基準収束時間よりも小
さいことに基づき前記ノズルベーンの正常時よりも閉じ
側での異常を判定し、前記実際の収束時間が前記基準収
束時間よりも大きいことに基づきノズルベーンの正常時
よりも開き側での異常を判定するものとした。
【0014】同構成によれば、実際の収束時間と基準収
束時間との大小関係に基づき、ノズルベーンが正常時よ
りも閉じ側にて異常が発生しているのか、或いは正常時
よりも開き側にて異常が発生しているのか判定される。
従って、ノズルベーンが正常時よりも開き側にて固着し
た場合などでも、そのノズルベーンの異常判定を行うこ
とができるようになる。
【0015】請求項3記載の発明では、前記異常判定手
段が前記ノズルベーンの異常を判定したとき、内燃機関
の運転をフェイルセーフするフェイルセーフ手段を更に
備えた。
【0016】同構成によれば、ノズルベーンが異常であ
ると判定された場合には、フェイルセーフ手段により内
燃機関の運転がフェイルセーフされるため、ノズルベー
ンに異常が発生したときに、同機関を運転可能な状態に
保持して同機関の停止を防止することができるようにな
る。
【0017】請求項4記載の発明では、前記フェイルセ
ーフ手段は、前記異常判定手段が前記ノズルベーンの正
常時よりも閉じ側での異常を判定したとき、内燃機関の
機関出力を低減させるようフェイルセーフを実行するも
のとした。
【0018】同構成にあっては、正常時よりも閉じ側に
てノズルベーンの異常が発生すると、内燃機関の排気系
から排気ガスが排出されにくくなって同排気系にて過剰
圧が発生する。しかし、上記のようなノズルベーンの異
常時には、フェイルセーフ手段によって内燃機関の出力
低減が図られるため、同機関の排気系に生じる過剰圧は
抑制されるようになる。
【0019】請求項5記載の発明では、前記内燃機関は
その排気系から排出される排気の一部を吸気系へ再循環
させる排気ガス再循環装置を更に備え、前記フェイルセ
ーフ手段は、前記異常判定装置が前記ノズルベーンの正
常時よりも閉じ側での異常を判定したとき、同機関の吸
気系へ再循環される排気ガスが減量若しくはカットされ
るよう前記排気ガス再循環装置を制御するものとした。
【0020】同構成にあっては、正常時よりも閉じ側に
てノズルベーンの異常が発生すると、内燃機関の排気系
に過剰圧が発生するため、同排気系から吸気系へ再循環
される排気ガスの量が過度に多くなり、同機関から排出
される排気ガス中に黒煙が発生するなどしてエミッショ
ンが悪化する。しかし、上記のようなノズルベーンの異
常時には、内燃機関の吸気系へ再循環される排気ガスが
減量若しくはカットされるため、同機関のエミッション
悪化を抑制することができるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を自動用エンジンに
適用した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0022】図1に示すように、エンジン11のシリン
ダブロック11aにはピストン12が往復移動可能に設
けられ、ピストン12はコンロッド13を介してエンジ
ン11の出力軸であるクランクシャフト14に連結され
ている。ピストン12の往復移動は、このコンロッド1
3によりクランクシャフト14の回転へと変換されるよ
うになっている。
【0023】また、シリンダブロック11aには、エン
ジン11の冷却水の温度を検出するための水温センサ1
1bが設けられている。シリンダブロック11aの上端
にはシリンダヘッド15が設けられ、シリンダヘッド1
5とピストン12との間には燃焼室16が設けられてい
る。このシリンダヘッド15には燃焼室16と連通する
吸気ポート17及び排気ポート18が設けられ、それら
吸気ポート17及び排気ポート18には、それぞれ吸気
バルブ19及び排気バルブ20が設けられている。
【0024】更に、シリンダヘッド15には、吸気バル
ブ19及び排気バルブ20を開閉駆動するための吸気カ
ムシャフト21及び排気カムシャフト22が回転可能に
支持されている。これら吸気及び排気カムシャフト2
1,22はタイミングベルト(図示せず)を介してクラ
ンクシャフト14に連結され、同ベルトによりクランク
シャフト14の回転が吸気及び排気カムシャフト21,
22へ伝達されるようになっている。そして、吸気カム
シャフト21が回転すると、吸気バルブ19が開閉駆動
されて、吸気ポート17と燃焼室16とが連通・遮断さ
れる。また、排気カムシャフト22が回転すると、排気
バルブ20が開閉駆動されて、排気ポート18と燃焼室
16とが連通・遮断されるようになっている。
【0025】吸気ポート17及び排気ポート18には、
それぞれ吸気管30及び排気管31が接続されている。
この吸気管30内及び吸気ポート17内は吸気通路32
となっており、排気管31内及び排気ポート18内は排
気通路33となっている。そして、吸気通路32の上流
部及び排気通路33の下流部は、それぞれターボチャー
ジャ35に繋がっている。このターボチャージャ35
は、吸気通路32の下流側へ空気を送り出すためのコン
プレッサホイール36と、排気通路33を通過する排気
ガスによって回転するタービンホイール37と、それら
ホイール36,37を一体回転可能に連結するロータシ
ャフト38とを備えている。
【0026】また、ターボチャージャ35よりも下流側
の吸気通路32及び排気通路33は、排気ガス再循環
(EGR)通路41を介して連通している。このEGR
通路41の途中には、開度調節用の電磁ソレノイド42
aを備えたEGRバルブ42が設けられている。EGR
バルブ42は電磁ソレノイド42aに対する印加電圧の
デューティ制御に基づいて開度調節され、その開度調節
により排気通路33からEGR通路41を介して吸気通
路32へ再循環する排気ガスの量が調整されるようにな
る。
【0027】一方、吸気管30内の上流端には、スロッ
トルバルブ46が設けられている。スロットルバルブ4
6の開度(スロットル開度)は、自動車の室内に設けら
れたアクセルペダル47の踏込量(アクセル開度)に基
づき調節され、このスロットルバルブ46の開度調節に
より燃焼室16内へ吸入される空気の量が調節される。
また、上記アクセルペダル47の近傍には全閉スイッチ
47aが設けられている。この全閉スイッチ47aは、
アクセル開度が「0」のとき、即ちスロットルバルブ4
6が全閉のときにオフ信号を出力する。
【0028】更に、吸気通路32には、スロットルバル
ブ46を迂回して同バルブ46の上流側と下流側とを連
通するバイパス通路49が接続されている。このバイパ
ス通路49には、同通路49を流れる空気流量を調節す
るリニアソレノイド式のアイドル・スピード・コントロ
ール・バルブ(ISCV)49aが設けられている。そ
して、ISCV49aは電磁ソレノイド49bに対する
印加電圧のデューティ制御に基づいて開度調節され、そ
の開度調節によりバイパス通路49を流れる空気の量が
調節される。
【0029】また、吸気管30の下流端には、燃焼室1
6内へ向かって燃料を噴射するための燃料噴射弁50が
設けられている。この燃料噴射弁50は、吸気通路32
内の空気が燃焼室16へ吸入されるとき、燃焼室16へ
向けて燃料を噴射し、燃料及び空気からなる混合ガスを
形成する。
【0030】一方、シリンダヘッド15には、点火プラ
グ51が設けられている。そして、その点火プラグ51
により燃焼室16内に充填された混合ガスに対して点火
が行われると、混合ガスは爆発して排気ガスになり排気
通路33へ送り出される。その点火プラグ51は、エン
ジン11に設けられたディストリビュータ52に接続さ
れている。そして、ディストリビュータ52には、エン
ジン11の回転に連動して回転する図示しないロータ
と、そのロータの回転からエンジン11の回転数NEを
検出する回転数センサ53とが設けられている。
【0031】こうしたエンジン11にあっては、その吸
気行程において、ピストン12の下降により燃焼室16
内に負圧が発生し、その負圧により燃焼室16へ吸気通
路32を介して空気が吸入される。また、燃料噴射弁5
0からは、燃焼室16に吸入される空気の量に対応した
量の燃料が同燃焼室16へ向かって噴射され、その結
果、燃焼室16には空気と燃料とからなる混合ガスが充
填される。
【0032】その後、エンジン11の圧縮行程におい
て、ピストン12の上昇により、燃焼室16内の混合ガ
スは圧縮される。燃焼室16内で圧縮された混合ガス
は、点火プラグ51により点火されて爆発し、その爆発
力によってピストン12が下降してエンジン11は爆発
行程に移る。この爆発行程により、エンジン11は駆動
力を得ることとなる。こうして燃焼室16内で燃焼した
混合ガスは、エンジン11の排気行程において、ピスト
ン12の上昇により排気ガスとして排気通路33へ排出
される。
【0033】排気通路33を通過する排気ガスの一部は
EGR通路41を介して吸気通路32へ再循環され、こ
の排気ガス再循環量(EGR量)の調節はEGR通路4
1に設けられたEGRバルブ42の開度調節によって行
われる。なお、こうした排気ガスの再循環を行うのは、
エンジン11から排出された排気ガス中の窒素酸化物や
一酸化炭素などを低減させ、エンジン11におけるエミ
ッションの向上を図るためである。
【0034】更に、排気通路33から吸気通路32へ再
循環されなかった排気ガスは、ターボチャージャ35の
タービンホイール37に吹き付けられる。タービンホイ
ール37は排気ガスの吹き付けによって回転し、同ホイ
ール37の回転はロータシャフト38を介してコンプレ
ッサホイール36に伝達される。こうしてコンプレッサ
ホイール36が回転すると、吸気通路32の下流側へ向
かって空気が強制的に送り出されて燃焼室16への吸入
空気量が増加し、ひいては燃焼室16への混合ガスの充
填効率が向上することとなる。そしてその結果、エンジ
ン11の出力が向上するようになる。
【0035】一方、エンジン11がアイドル状態のとき
には、アクセルペダル47の踏込量が「0」になってロ
ットルバルブ46が全閉になるため、燃焼室16へ吸入
される空気はその大部分がパイパス通路49を通過する
こととなる。従って、エンジン11がアイドル状態の場
合には、ISCV49aを開度調節して燃焼室16へ吸
入される空気の量を調節することにより、エンジン11
のアイドル回転数NEが調節されるようになる。そして
通常、エンジン11のアイドル回転数NEは、上記IS
CV49aの開度制御によって、予め定められた目標回
転数NTRGとなるよう調整される。
【0036】次に、上記ターボチャージャ35の具体的
構成を、図2及び図3に基づいて詳しく説明する。図2
に示すように、ターボチャージャ35は、センタハウジ
ング61、コンプレッサハウジング62及びタービンハ
ウジング63を備えている。センタハウジング61に
は、上記ロータシャフト38がその軸線Lを中心に回転
可能に支持されている。このロータシャフト38の一端
部(図中右端部)には、複数の羽根36aを備えた上記
コンプレッサホイール36が取り付けられている。ま
た、ロータシャフト38の他端部(図中左端部)には、
同じく複数の羽根37aを備えた上記タービンホイール
37が取り付けられている。
【0037】センタハウジング61の一端側には、コン
プレッサホイール62の外周を囲うように、しかも渦巻
き状に延びるかたちで上記コンプレッサハウジング62
が取り付けられている。このようなコンプレッサハウジ
ング62において、センタハウジング61の反対側に位
置する部分には、エンジン11の燃焼室16(図1)に
供給される空気が導入される吸気入口62aが設けられ
ている。また、コンプレッサハウジング62の内部に
は、同ハウジング62と同じく渦巻き状に延びて吸気通
路32(図1)と連通するコンプレッサ通路64が設け
られている。更に、コンプレッサハウジング62には、
吸気入口62aを介して同ハウジング62内に導入され
た空気をコンプレッサ通路64へ送り出すための送出通
路65が設けられている。この送出通路65は、コンプ
レッサ通路64に沿って設けられている。そして、ロー
タシャフト38の回転に基づきコンプレッサホイール3
6が軸線Lを中心に回転すると、空気が吸気入口62
a、送出通路65及びコンプレッサ通路64を介して吸
気通路32へ強制的に送り出されるようになる。
【0038】一方、センタハウジング61の他端側に
は、タービンホイール37の外周を囲うように、しかも
渦巻き状に延びるかたちで上記タービンハウジング63
が取り付けられている。そしてこのタービンハウジング
63内には、同ハウジング63と同じく渦巻き状に延び
るスクロール通路66が設けられている。このスクロー
ル通路66は、エンジン11の排気通路33(図1)と
連通し、燃焼室16からの排気ガスが同排気通路33を
介して送り込まれる。
【0039】また、タービンハウジング63内には、ス
クロール通路66内の排気ガスをタービンホイール37
へ向けて吹き付けるための導出流路67が、そのスクロ
ール通路66に沿って設けられている。この導出通路6
7からのタービンホイール37への排気ガスの吹き付け
によって、タービンホイール37が軸線Lを中心に回転
するようになる。なお、タービンホイール37に吹き付
けられた後の排気ガスは、タービンハウジング63にお
いてセンタハウジング61と反対側に位置する部分に設
けられた排気出口63aを介して触媒(図示せず)へ送
り出される。
【0040】次に、センタハウジング61とタービンハ
ウジング63との間に設けられて、上記導出流路67を
介してタービンホイール37に吹き付けられる排気ガス
の流速を調整する可変ノズル機構71について、図3
(a),(b)を参照して説明する。なお、図3(a)
は同機構71の側断面図であり、図3(b)は同機構7
1の正面図である。
【0041】これら図3(a),(b)に示すように、
可変ノズル機構31は、リング状に形成されたノズルバ
ックプレート72を備えている。ノズルバックプレート
72には、複数の軸73が同プレート72の円心を中心
として等角度毎に設けられている。各軸73は、ノズル
バックプレート72をその厚さ方向に貫通して回動可能
に支持されている。これら軸73の一端部(図3(a)
中の左端部)には、ノズルベーン74が固定されてい
る。また、軸73の他端部(図3(b)中の右端部)に
は、同軸73と直交してノズルバックプレート72の外
縁部へ延びる開閉レバー75が固定されている。開閉レ
バー75の先端には二股に分岐した一対の挟持部75a
が設けられている。
【0042】各開閉レバー75とノズルバックプレート
72との間には、ノズルバックプレート72と重なるよ
うに環状のリングプレート76が設けられている。この
リングプレート76は、その円心を中心に周方向へ回動
可能となっている。また、リングプレート76にはその
円心を中心として等角度毎に複数のピン77が設けられ
ており、それらピン77が各開閉レバー75の挟持部7
5a間に回動可能な状態で挟持されている。
【0043】そして、リングプレート76がその円心を
中心に回動されると、各ピン77が各開閉レバー75の
挟持部75aをリングプレート76の回動方向へ押す。
その結果、それら開閉レバー75は軸73を回動させる
こととなり、軸73の回動に伴い各ノズルベーン74は
同軸73を中心にして各々同期した状態で開閉動作す
る。また、隣合うノズルベーン74間の隙間の大きさ
は、それらノズルベーン74の同期した開閉動作に基づ
き変化する。
【0044】上記構成の可変ノズル機構71は、ノズル
バックプレート72を図示しないボルトでタービンハウ
ジング63に固定することで、図2に示すように同ハウ
ジング63に取り付けられる。こうしてタービンハウジ
ング63に取り付けられた可変ノズル機構71は、セン
タハウジング61とタービンハウジング63との間に位
置することとなる。この状態において、リングプレート
76の外縁部(図中下端部)には軸線Lと同方向へ延び
るピン86が設けられ、そのピン86には可変ノズル機
構71を駆動するための駆動機構82が連結される。
【0045】駆動機構82は、センタハウジング61に
上記ピン86と同方向へ延びた状態で回動可能に支持さ
れた支軸83を備えている。この支軸83の一端部(図
中左端部)には、上記ピン86に対して回動可能に連結
された駆動レバー84が固定されている。また、支軸8
3の他端部(図中右端部)には、図示しないアクチュエ
ータに連結された操作片85が固定されている。
【0046】そして、アクチュエータの駆動により操作
片85が操作されて支軸83が回動すると、支軸83の
回動に伴い駆動レバー84が支軸83を中心に回動す
る。その結果、支軸83によりピン86を介してリング
プレート76が周方向に押され、軸線Lを中心に回動す
ることとなる。このリングプレート76の回動により、
隣合うノズルベーン74間の隙間の大きさが調整され、
当該隙間の調整に基づきスクロール通路66から導出流
路67を介してタービンホイール37へ吹き付けられる
排気ガスの流速が調節される。
【0047】更に、タービンホイール37へ吹き付けら
れる排気ガスの流速を調節することにより、タービンホ
イール37、ロータシャフト38及びコンプレッサホイ
ール36の回転速度が適宜に調節され、ひいては燃焼室
16(図1)へ強制的に送り込まれる空気の量が調節さ
れる。こうした燃焼室16への吸入空気量の調整を行う
ことにより、エンジン11の出力向上と燃焼室16内の
過剰圧防止との両立が図られるようになる。
【0048】次に、本実施形態におけるノズルベーン7
4の異常判定装置の電気的構成を図4に基づいて説明す
る。この異常判定装置は、点火時期制御、燃料噴射時期
制御、燃料噴射量制御及びアイドル回転数制御など、エ
ンジン11の運転状態を制御するための電子制御ユニッ
ト(以下「ECU」という)92を備えている。このE
CU92は、ROM93、CPU94、RAM95及び
バックアップRAM96等を備える論理演算回路として
構成されている。
【0049】ここで、ROM62は各種制御プログラム
や、その各種制御プログラムを実行する際に参照される
マップ等が記憶されるメモリであり、CPU94はRO
M93に記憶された各種制御プログラムやマップに基づ
いて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU9
4での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一
時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM96
はエンジン11の停止時に保存すべきデータを記憶する
不揮発性のメモリである。そして、ROM93、CPU
94、RAM95及びバックアップRAM96は、バス
97を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路
98及び外部出力回路99と接続されている。
【0050】外部入力回路98には、水温センサ11
b、全閉スイッチ47a、回転数センサ53及びエアコ
ンスイッチ80が接続されている。このエアコンスイッ
チ80は、自動車に設けられたエアコン(図示せず)の
オン・オフに対応したオン・オフ信号を出力するもので
ある。一方、外部出力回路99には、EGRバルブ4
2、ISCV49a、燃料噴射弁50、第1の警告灯8
8及び第2の警告灯89が接続されている。この第1の
警告灯88はノズルベーン74が正常時よりも閉じ側に
て異常が発生した場合に点灯し、第2の警告灯89はノ
ズルベーンが正常時よりも開き側にて異常が発生した場
合に点灯するものである。これら警告灯88,89は、
例えば自動車の計器パネル(図示せず)に設けられる。
【0051】このように構成されたECU92は、上記
水温センサ11b及びエアコンスイッチ80からの信
号、即ちエアコンのオン・オフ及びエンジン11の冷却
水温に基づき、同エンジン11におけるアイドル時の目
標回転数NTRGを設定する。こうした目標回転数NT
RGは、エアコンのオンのときや冷却水温が低いときに
は高めに設定される。これはエアコン用のコンプレッサ
を駆動するため、及び冷却水温が低いときのエンジン1
1の運転停止を防止するためである。そして、上記のよ
うにアイドル時の目標回転数NTRGが設定されると、
ECU92は、エンジン11がアイドル状態になったと
き、実際のエンジン回転数NEが上記目標回転数NTR
GとなるようISCV49aを開度制御する。
【0052】次に、本実施形態におけるノズルベーン7
4の異常判定手順、及びノズルベーン74の異常時にお
けるフェイルセーフ手順を図6及び図7に基づいて説明
する。図6及び図7は、上記ノズルベーン74の異常判
定及び異常判定時のフェイルセーフを実行するための処
理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルー
チンは、ECU92を通じて所定時間毎の時間割り込み
にて実行される。
【0053】同処理ルーチンにおいてECU92は、ス
テップS101の処理として、全閉スイッチ47aから
のオフ信号入力に基づきアクセル踏込量が「0(アクセ
ル全閉)」か否かを判断する。そして、上記ステップS
101でNOと判断された場合、即ちスロットルバルブ
46が全閉でなくエンジン11がアイドル状態でない場
合には、この処理ルーチンを一旦終了する。また、上記
ステップS101でYESと判断された場合、即ちスロ
ットルバルブ46が全閉であってエンジン11がアイド
ル状態となっている場合には、ステップS102に進
む。
【0054】ECU92は、ステップS102の処理と
して、今回の全閉スイッチ47aからのオフ信号入力
が、前回の同スイッチ80からのオフ信号入力と同じで
あるか否かを判断する。そして、ステップS102でN
Oと判断された場合、即ち今回初めてアクセル全閉とな
った場合には、ステップS103に進む。
【0055】ECU92は、ステップS103の処理と
して、エンジン回転数NEとアイドル時の目標回転数N
TRGとを読み込む。続くステップS104においてE
CU92は、ROM93に記憶されたマップ(図示せ
ず)を参照して、上記エンジン回転数NEから目標回転
数NTRGを減算した値(「NE−NTRG」)に基づ
き基準収束時間KVNTを算出する。
【0056】このように算出された基準収束時間KVN
Tは、ターボチャージャ35のノズルベーン74が正常
な状態でアクセル全閉になったとき、上記エンジン回転
数NEが目標回転数NTRGまで収束するのに要する収
束時間と同じ値になる。また、上記マップは「NE−N
TRG」と目標時間KVNTとの関係を示すものであっ
て、同マップにおける目標時間KVNTは「NE−NT
RG」の増加に比例して増加するような推移態様を示
す。
【0057】続いてステップS104に進み、ECU9
2は、カウンタCのカウント値を「0」にリセットした
後、この処理ルーチンを一旦終了する。なお、カウンタ
Cは、アクセル全閉になってからの経過時間を示すもの
であって、ステップS104にて算出された基準収束時
間に対応するものである。
【0058】一方、上記ステップS102でYESと判
断された場合、即ち今回全閉スイッチ47aからのオフ
信号入力が、前回の同スイッチ80からのオフ信号入力
と同じである場合には、ステップS106に進む。EC
Uは、ステップS106の処理として、実際のエンジン
回転数NEが目標回転数NTRGと同じであるか否かを
判断する。そして、「NTRG=NE」でない場合に
は、ステップS107に進む。ECU92は、ステップ
S107の処理として、上記カウンタCの加算を行った
後、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0059】また、ステップS106において、「NT
RG=NE」であると判断された場合にはステップS1
08(図7)に進む。ECU92は、ステップS108
の処理として、カウンタCが基準収束時間KVNT以上
の値であるか否かを判断する。即ち、アクセル全閉にな
ってからエンジン回転数NEが目標回転数NTRGにな
るまでの実際の収束時間Tが、上記基準収束時間KVN
T以上の値であるか否かを判断する。
【0060】ここで、基準収束時間KVNTとノズルベ
ーン74の異常時における実際の収束時間Tとの関係を
図5のグラフに基づいて説明する。図5のグラフは、ア
クセル全閉後における時間経過に伴ったエンジン回転数
NEの推移を示すものである。同図において、ノズルベ
ーン74が正常な場合にアクセル全閉になると、エンジ
ン回転数NEは図中実線で示すように低下して目標回転
数NTRGへと収束する。この収束にかかる時間は基準
収束時間KVNTと同じである。
【0061】また、ノズルベーン74が正常時よりも閉
じ側にて固着するなどの異常が発生した場合にアクセル
全閉になると、エンジン回転数NEは図中破線で示すよ
うに低下して目標回転数NTRGへと収束する。このと
きの実際の収束時間Tは、基準収束時間KVNTよりも
小さくなる。これは上記のようなノズルベーン74の異
常発生時には、隣合うノズルベーン74間の隙間が正常
時よりも小さくなって排気ガスの排出抵抗が増大し、エ
ンジン回転数NEが目標回転数NTRGへと素早く収束
するためである。
【0062】更に、ノズルベーン74が正常時よりも開
き側にて固着するなどの異常が発生した場合にアクセル
全閉になると、エンジン回転数NEは図中二点鎖線で示
すように低下して目標回転数NTRGへと収束する。こ
のときの実際の収束時間Tは、基準収束時間KVNTよ
りも大きくなる。これは上記のようなノズルベーン74
の異常発生時には、隣合うノズルベーン74間の隙間が
正常時よりも大きくなって排気ガスの排出抵抗が低減
し、エンジン回転数NEが目標回転数NTRGへと収束
するのに時間がかかるためである。
【0063】従って、上記ステップS108でNOと判
断された場合、即ち実際の収束時間Tが基準収束時間K
VNTよりも小さい場合には、ノズルベーン74が正常
時よりも閉じ側にて固着するなどの異常が発生した旨の
判定がなされ、ステップS109に進むことになる。E
CU92は、ステップS109の処理として、EGRバ
ルブ42駆動用のデューティ比DEFINを「0%」に
設定する。こうして「DEFIN=0」とすることによ
りEGRバルブ42が閉じられ、排気通路33から吸気
通路32へと再循環する排気ガスがカットされる。
【0064】一般に、上記のようなノズルベーン74の
異常発生時には、隣合うノズルベーン74間の隙間が正
常時よりも小さくなるため、排気通路33内の圧力が高
くなって同通路33から吸気通路32へ再循環する排気
ガスの量が過度に多くなる。しかし、本実施形態では、
正常時よりも閉じ側にてノズルベーン74の異常が発生
しても、再循環する排気ガスの過度な増大が上記排気ガ
スカットにより防止される。そのため、再循環する排気
ガスの過度な増大に起因して、エンジン11から排出さ
れる排気ガス中に黒煙が発生するなどのエミッション悪
化を抑制することができるようになる。
【0065】続いてECU92は、ステップS110の
処理として、正常時よりも閉じ側にてノズルベーン74
に異常が発生した場合の燃料噴射量の下限ガード値QF
LVNよりも、エンジン11における実際の最終燃料噴
射量QFINが小さくなるようにする。上記下限ガード
値QFLVNは、エンジン11の出力を低減させて排気
通路32内の過剰圧を抑制できるよう、最終燃料噴射量
QFINを通常時よりも小さくするためのものである。
なお、本実施形態の下限ガード値QFLVNは一定値と
なっている。
【0066】ECU92は、続くステップS111の処
理として、第1の警告灯88を点灯させ、正常時よりも
閉じ側にてノズルベーン74の異常が発生したことを自
動車の運転者に知らせた後、この処理ルーチンを一旦終
了する。
【0067】一方、ステップS108でYESと判断さ
れた場合、即ち上記実際の収束時間Tが基準収束時間K
VNTと同じか、或いは基準収束時間KVNTよりも大
きい場合には、ステップS112に進む。ECU92
は、ステップS112の処理として、カウンタCが基準
収束時間KVNTと同じ値か否かを判断する。そして、
ステップS112で「C=KVNT」であると判断され
た場合、即ち実際の収束時間Tが基準収束時間KVNT
と同じである場合には、ノズルベーン74が正常である
旨の判定がなされてECU92はこの処理ルーチンを一
旦終了する。
【0068】また、ステップS112で「C=KVN
T」でないと判断された場合、即ち実際の収束時間Tが
基準収束時間KVNTよりも大きい場合には、正常時よ
りも開き側でノズルベーン74の異常が発生した旨の判
定がなされ、ステップS113に進むことになる。EC
U92は、ステップS113の処理として、第2の警告
灯89を点灯させ、正常時よりも開き側にてノズルベー
ン74の異常が発生したことを自動車の運転者に知らせ
た後、この処理ルーチンを一旦終了する。
【0069】以上詳述した処理が行われる本実施形態に
よれば、以下に示す効果が得られるようになる。 ・本実施形態では、アクセル全閉となってからエンジン
回転数NEが目標回転数NTRGに収束するまでの実際
の収束時間Tと、ノズルベーン74が正常な状態での上
記収束時間と同じ値となる基準収束時間KVNTとを比
較することにより、ノズルベーン74の異常が判定され
る。従って、吸気通路32内の圧力を検出する過給圧セ
ンサ等を設けずとも、ノズルベーン74の異常を判定す
ることができるため、上記過給圧センサ等を組み付ける
際の手間やコストを省くことができる。
【0070】・上記実際の収束時間Tが基準収束時間K
VNTよりも小さいときには、正常時よりも閉じ側にて
ノズルベーン74が固着するなどの異常が発生している
との判定がなされる。また、上記実際の収束時間Tが基
準時間KVNTよりも大きいときには、正常時よりも開
き側にてノズルベーン74が固着するなどの異常が発生
しているとの判定がなされる。従って、正常時よりも閉
じ側にてノズルベーンの異常が発生したことしか検出す
ることができなかった従来と異なり、ノズルベーン74
が正常時よりも開き側にて固着した場合などでも、その
ノズルベーン74の異常を判定することができる。
【0071】・正常時よりも閉じ側にてノズルベーン7
4の異常が発生した旨の判定がなされたとき、最終燃料
噴射量QFINが通常時よりも小さくされてエンジン1
1の出力低減が図られる。こうしたエンジン11の出力
低減により、同エンジン11の排気系に生じる過剰圧が
抑制され、その過剰圧によりコンロッド13が変形した
り、ヘッドガスケット(図示せず)が破損したりするの
を防止することができる。
【0072】・上記最終燃料噴射量QFINを通常より
も小さくしてエンジン11の出力低減を図るようなフェ
イルセーフを行うことにより、ノズルベーン74が正常
時よりも閉じ側にて異常になったとき、エンジン11の
運転状態を保持して同エンジン11の停止を防止するこ
とができる。
【0073】・一般に、正常時よりも閉じ側にてノズル
ベーン74の異常が発生した場合、エンジン11の排気
通路33内に過剰圧が発生するため、同排気通路33か
ら吸気通路32へ再循環される排気ガスの量が過度に多
くなり、エンジン11から排出される排気ガス中に黒煙
が発生するなどしてエミッションが悪化する。しかし、
本実施形態では、上記のようなノズルベーン74の異常
には、EGRバルブ42駆動用のデューティ比を「0
%」にし、再循環される排気ガスをカットするため、エ
ンジン11のエミッション悪化を抑制することができ
る。
【0074】なお、本実施形態は、例えば以下のように
変更することもできる。 ・正常時よりも閉じ側にてノズルベーン74の異常が発
生した場合、排気通路33から吸気通路32へ再循環さ
れる排気ガスをカットするのに代えて、その再循環され
る排気ガスを減量するようにしてもよい。この場合、E
GRバルブ42駆動用のデューティ比DEFINは、
「0%」にされるのではなく上記再循環される排気ガス
を減量するような値に設定される。この場合において
も、上記実施形態に準じた効果を得ることはできる。
【0075】・本実施形態では、エンジン11の最終燃
料噴射量QFINを通常よりも小さくするための下限ガ
ード値QFLVNを一定値としたが、この下限ガード値
QFLVNを実際の収束時間Tと基準収束時間KVNT
との差などに基づき可変としてもよい。この場合、正常
時よりも閉じ側にてノズルベーン74の異常が発生した
場合、そのノズルベーンの異常発生位置に基づいて、一
層細かな上記最終燃料噴射量QFINの減量制御を行う
ことができる。
【0076】・エンジン11の最終燃料噴射量QFIN
を通常よりも小さくすることでエンジン11の出力低減
を図る代わりに、燃料噴射量、燃料噴射時期及び点火時
期の内のすくなくとも一つを、エンジン11の出力を抑
制する方向へ制御するようにしてもよい。
【0077】・ノズルベーン74が正常時よりも閉じ側
にて異常になった場合に最終燃料噴射量QFINを減量
するなどのフェイルセーフを実行するだけでなく、正常
時よりも開き側にて異常になった場合にもフェイルセー
フを実行するようにしてもよい。この場合、ノズルベー
ン74に異常が発生したときのエンジン11の運転状態
保持を一層好適に行うことができる。
【0078】・本実施形態では、アクセル全閉になった
時点のエンジン回転数NEがアイドル時の目標回転数N
TRGに収束するまでの実際の収束時間Tを測定した
が、そのアイドル時の目標回転数NTRG以外の目標回
転数を設定してもよい。例えばアイドル時の目標回転数
よりも高い値の目標回転数を設定し、その設定した目標
回転数へとエンジン回転数NEが収束するまでの時間を
実際の収束時間Tとして測定してもよい。この場合、基
準収束時間KVNTも上記目標回転数に対応して変更さ
れる。
【0079】・本発明の異常判定装置をガソリンエンジ
ンに適用するのに代えて、ディーゼルエンジンに上記異
常判定装置を適用してもよい。
【0080】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、内燃機関
のスロットルバルブが全閉になった時点での機関回転数
が目標回転数まで収束するのにかかる実際の収束時間が
計測される。そして、基準収束時間算出手段によって算
出されたノズルベーン正常時の収束時間である基準収束
時間に対する上記実際の収束時間に基づきノズルベーン
の異常が判定される。従って、過給圧センサ等を設けず
とも、ノズルベーンの異常を判定することができる。
【0081】請求項2記載の発明によれば、実際の収束
時間と基準収束時間との大小関係に基づき、ノズルベー
ンが正常時よりも閉じ側にて異常が発生しているのか、
或いは正常時よりも開き側にて異常が発生しているのか
判定される。従って、ノズルベーンが正常時よりも開き
側にて固着した場合などでも、そのノズルベーンの異常
判定を行うことができる。
【0082】請求項3記載の発明によれば、ノズルベー
ンが異常であると判定された場合には、フェイルセーフ
手段により内燃機関の運転がフェイルセーフされるた
め、ノズルベーンに異常が発生したときに、同機関を運
転可能な状態に保持して同機関の停止を防止することが
できる。
【0083】請求項4記載の発明によれば、正常時より
も閉じ側にてノズルベーンの異常が発生すると、内燃機
関の排気系から排気ガスが排出されにくくなって同排気
系にて過剰圧が発生するが、フェイルセーフ手段にて内
燃機関の出力低減が図られるため、同機関の排気系に生
じる過剰圧を抑制することができる。
【0084】請求項5記載の発明によれば、正常時より
も閉じ側にてノズルベーンの異常が発生すると、内燃機
関の排気系に過剰圧が発生するため、同排気系から吸気
系へ再循環される排気ガスの量が過度に多くなり、同機
関から排出される排気ガス中に黒煙が発生するなどして
エミッションが悪化する。しかし、上記のようなノズル
ベーンの異常時には、内燃機関の吸気系へ再循環される
排気ガスが減量若しくはカットされるため、同機関のエ
ミッション悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の異常検出装置が適用されたエンジ
ン全体を示す概略断面図。
【図2】同エンジンに設けられたターボチャージャを示
す断面図。
【図3】同ターボチャージャにおけるノズルベーンを開
閉動作させるための可変ノズル機構を示す断面図及び正
面図。
【図4】上記異常検出装置の電気的構成を示すブロック
図。
【図5】ノズルベーン異常時におけるアクセル全閉後か
らの時間経過に伴うエンジン回転数の推移を示すタイム
チャート。
【図6】ノズルベーンの異常判定手順、及びノズルベー
ン異常時のフェイルセーフ手順を示すフローチャート。
【図7】ノズルベーンの異常判定手順、及びノズルベー
ン異常時のフェイルセーフ手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…エンジン、32…吸気通路、33…排気通路、3
5…ターボチャージャ、37…タービンホイール、42
…EGRバルブ、42a…電磁ソレノイド、47a…全
閉スイッチ、50…燃料噴射弁、53…回転数センサ、
74…ノズルベーン、92…電子制御ユニット(EC
U)。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気ガスが吹き付けられること
    により回転するタービンホイールと、同ホイールに吹き
    付けられる排気ガスの流速を可変とするために開閉動作
    するノズルベーンとを備え、そのノズルベーンの異常判
    定を行う可変ノズル型ターボチャージャの異常判定装置
    において、 内燃機関の機関回転数を検出する回転数検出手段と、 同機関のスロットルバルブが全閉になったことを検出す
    るスロットル全閉検出手段と、 前記スロットルバルブが全閉になった時点での同機関の
    機関回転数よりも小さい値である目標回転数を設定する
    目標回転数設定手段と、 前記機関回転数が前記目標回転数へと収束するまでの実
    際の収束時間を計測する実収束時間計測手段と、 前記機関回転数と前記目標回転数とに基づき、前記ノズ
    ルベーン正常時の収束時間である基準収束時間を算出す
    る基準収束時間算出手段と、 前記基準収束時間に対する前記実際の収束時間に基づき
    前記ノズルベーンの異常の有無を判定する異常判定手段
    と、 を備えることを特徴とする可変ノズル型ターボチャージ
    ャの異常判定装置。
  2. 【請求項2】前記異常判定手段は、前記実際の収束時間
    が前記基準収束時間よりも小さいことに基づき前記ノズ
    ルベーンの正常時よりも閉じ側での異常を判定し、前記
    実際の収束時間が前記基準収束時間よりも大きいことに
    基づき前記ノズルベーンの正常時よりも開き側での異常
    を判定する請求項1記載の可変ノズル型ターボチャージ
    ャの異常判定装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の可変ノズル型ターボ
    チャージャの異常判定装置において、 前記異常判定手段が前記ノズルベーンの異常を判定した
    とき、内燃機関の運転をフェイルセーフするフェイルセ
    ーフ手段を更に備えることを特徴とする可変ノズル型タ
    ーボチャージャの異常判定装置。
  4. 【請求項4】前記フェイルセーフ手段は、前記異常判定
    手段が前記ノズルベーンの正常時よりも閉じ側での異常
    を判定したとき、内燃機関の機関出力を低減させるよう
    フェイルセーフを実行する請求項3記載の可変ノズル型
    ターボチャージャの異常判定装置。
  5. 【請求項5】請求項3又は4記載の可変ノズル型ターボ
    チャージャの異常判定装置において、 前記内燃機関はその排気系から排出される排気の一部を
    吸気系へ再循環させる排気ガス再循環装置を更に備え、
    前記フェイルセーフ手段は、前記異常判定手段が前記ノ
    ズルベーンの正常時よりも閉じ側での異常を判定したと
    き、同機関の吸気系へ再循環される排気ガスが減量若し
    くはカットされるよう前記排気ガス再循環装置を制御す
    る請求項3又は4記載の可変ノズル型ターボチャージャ
    の異常判定装置。
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