JP6565975B2 - エンジンの排気ガス還流制御装置 - Google Patents
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Description
尚、特許文献1の技術を採用する場合でも、排気ターボ過給機の故障により吸気圧力が低下し、新気の充填量が低下するため、排気ガス還流装置が作動する限り、燃焼性の低下は避けられない。
しかも、燃焼室内の酸素濃度が設定値以下に低下したことを条件として前記排気ガス還流装置による排気ガスの還流を制限するため、排気ガス還流量が零又は僅少になり、燃焼室内の酸素濃度を回復させて燃焼性を維持することができ、エンジンストールするのを防止することができる。
この構成によれば、排気ガスの還流を制限するとき、吸気制御弁を全開にすることで、燃焼室に吸入する新気の吸入量を増加させて、エンジンの出力低下を防ぐことができる。
この構成において、エンジン回転数が所定の低回転領域になる前は、エンジンの運転状態も種々の状態になるため、排気ターボ過給機の異常判定の信頼性を確保するのが難しい上、前記排気ガス還流制御手段による制御を、エンジン回転数が所定の低回転領域になってから直ちに行なえば、エンジンストールの発生も回避可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジンの排気ガス還流制御装置を含むエンジンEの全体構成を示す図である。このエンジンEは、車両に搭載される4サイクル4気筒のディーゼルエンジンである。尚、エンジンの具体的種類はこれに限らず、例えばガソリンエンジンであってもよい。
第1排気ターボ過給機5は、第1タービン5aと第1ブロア5bを有し、第2排気ターボ過給機6は、第2タービン6aと第2ブロア6bを有する。
シリンダブロック7には、クランク軸13の回転数をエンジンの回転数として検出するエンジン回転数センサ14が設けられている。
排気通路3の上流部には排気圧を検出する排気圧センサ38が付設されており、排気通路3のうちの第2タービン6aよりも下流部には排気ガス中の酸素濃度を検出する排気O2 センサ39が付設されている。
図2はエンジンの制御系のブロック図であり、このブロック図に基づいて説明する。
エンジンの制御ユニット50(ECU)は、入力I/F(インターフェイス)と出力I/F(インターフェイス)とCPUとROMとRAM等で構成され、ROMには、図3と図4のフローチャートに示す排気ターボ過給機の異常判定制御と、異常判定時の排気ガス還流制御のフローチャートを含む種々の制御プログラムが格納されている。制御ユニット50が排気ターボ過給機の異常判定制御手段と、異常判定時の排気ガス還流制御手段を構成している。
最初に、本実施例に係る排気ターボ過給機の異常判定制御と排気ガス還流制御の概要について説明し、その後タイムチャートとフローチャートに基づいて説明する。
図5は、排気ターボ過給機の異常判定制御と排気ガス還流制御に付随するタイムチャートを示すものであり、このタイムチャートに基づいて説明する。
1200rpmよりも高いエンジン回転数で運転中に、時刻t1において、排気ターボ過給機5,6の何れかに異常が発生し、第1,第2タービン5a,6aの何れかにより排気通路3が閉塞されたり、第1,第2ブロア5b,6bの何れかにより吸気通路2が閉塞されたりすると、排気ガスの流れと空気の流れが阻害されるため、排気圧が急速に上昇し、吸気圧が異常に低下し、エンジン回転数も低下していく。
上記のバルブ25,27,23を開弁している間は、排気圧が低下するものの、その後これらのバルブ25,27,23が閉弁されると、排気圧は再び上昇し、吸気圧は低圧を維持するため、異常判定フラグF1が再び「1」とされ、そのフラグF1が「0」にリセットされると、再度上記のバルブ25,27,23が所内時間の間開弁される。
前記の異常判定フラグF2が「1」から「0」切換えられると、吸気制御弁19が所定時間の間全開にされ、第1,第2EGRバルブ34,35が所定時間の間全閉にされる。
排気ターボ過給機の異常判定制御と異常判定時の排気ガス還流制御について、図3と図4のフローチャートに基づいて説明する。尚、フローチャート中、Si(i=1,2,・・)は各ステップを示す。
制御ユニット50は、燃焼室10内の酸素濃度を、例えば、吸気充填量、吸入空気量、EGRガスの流量及び酸素濃度をパラメータとして吸排気通路内ガスの酸素濃度をモデル化した吸排気モデルにより推定する。
第1,第2EGRバルブ34,35を所定時間全閉とする制御信号が制御ユニット50からバルブ19,34,35へ出力される。
次に、S19において、カウンタC1のカウント値が所定値n1(例えばn1=3)以上で且つカウンタC2のカウント値が所定値n2(例えばn2=2)以上か否か判定し、その判定がNoのときはリターンし、S19の判定がYesのときはS20において、排気ターボ過給機5,6の何れかに異常が発生し、排気通路3又は吸気通路2が閉塞したものと判定する。次のS21においては、報知手段40により第1,第2排気ターボ過給機5,6に異常発生の旨を報知する。
第1,第2排気ターボ過給機5,6の何れかの異常による排気通路3又は吸気通路2の閉塞状態が検知された時、EGR装置4による排気ガスの還流を制限するため、排気ガス還流量が零又は僅少になり、燃焼室10における燃焼性を維持することができ、エンジンストールするのを防止することができる。
しかも、燃焼室10内の酸素濃度が設定値以下に低下したことを条件として前記EGR装置4による排気ガスの還流を制限するため、燃焼室10内の酸素濃度を回復させて燃焼性を維持することができる。
つまり、第1、第2排気ターボ過給機5,6の何れかの異常により排気通路3が閉塞された場合、その閉塞状態の程度によって排気ガス還流量の増加度合も変わり、燃焼室内の酸素濃度の低下度合も変わる。閉塞程度が小さく酸素濃度の低下が小さい場合は、燃焼への影響が小さいため、排気ガス還流量を制限する必要性は低く、むしろ排気ガス還流量を制限するとNOx浄化性能に影響を及ぼす。従って、酸素濃度の低下度合を把握し、酸素濃度が設定値以下に低下したことを条件として排気ガス還流量を制限することで、NOx浄化性能悪化防止と燃焼性維持との両立を図ることができる。
また、排気ガスの還流を制限するとき、吸気制御弁19を全開にすることで、燃焼室10に供給する新気の供給量を増加させてエンジンの出力低下を防ぐことができる。
1)前記実施形態では、第2排気ターボ過給機6の故障も考慮して制御するようにしているが、第2排気ターボ過給機6は故障しにくいので第1排気ターボ過給機5の故障のみを考慮して制御するようにしてもよい。即ち、吸気通路2と排気通路3の閉塞の可能がある場合に、第1タービン・BPバルブ25とブロア・BPバルブ23のみを開弁するように構成してもよい。この場合、第2排気ターボ過給機6の機能は維持することができる。
1 エンジン本体
2 吸気通路
3 排気通路
4 EGR装置(排気ガス還流装置)
5,6 第1,第2排気ターボ過給機
5a,6a 第1,第2タービン
5b,6b 第1,第2ブロア
10 燃焼室
19 吸気制御弁
23 ブロア・バイパスバルブ
25,27 第1,第2タービン・バイパスバルブ
50 制御ユニット(排気ガス還流制御手段)
Claims (4)
- 排気ターボ過給機と、この排気ターボ過給機のタービン上流の排気通路から排気ターボ過給機のブロア下流の吸気通路へ排気ガスを還流させる排気ガス還流装置と、この排気ガス還流装置を制御する排気ガス還流制御手段とを備えたエンジンの排気ガス還流制御装置において、
前記排気ガス還流制御手段は、前記排気ターボ過給機のタービン又はブロアによる排気通路又は吸気通路の閉塞状態が検知された時、前記排気ターボ過給機の排気通路をバイパスする排気バイパス弁及び吸気通路をバイパスする吸気バイパス弁を開弁し、且つ燃焼室内の酸素濃度が設定値以下に低下したことを条件として前記排気ガス還流装置による排気ガスの還流を制限する、
ことを特徴とするエンジンの排気ガス還流制御装置。 - 前記排気ガス還流制御手段は、前記排気ターボ過給機のタービン上流の排気通路の排気圧力とブロア下流の吸気圧力とに基づいて、前記排気ターボ過給機のタービン又はブロアの異常に伴う前記排気通路又は吸気通路の閉塞状態を検知することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気ガス還流制御装置。
- 前記排気ターボ過給機のブロア下流の吸気通路に吸気制御弁を有し、
前記排気ガス還流装置による排気ガスの還流を制限するときには、前記吸気制御弁を全開にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの排気ガス還流制御装置。 - 前記排気ガス還流制御手段による制御は、エンジン回転数が所定の低回転領域にある場合だけ行われることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジンの排気ガス還流制御装置。
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