JPH11131253A - 耐食性に優れた有機被覆鋼板 - Google Patents

耐食性に優れた有機被覆鋼板

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JPH11131253A
JPH11131253A JP31428297A JP31428297A JPH11131253A JP H11131253 A JPH11131253 A JP H11131253A JP 31428297 A JP31428297 A JP 31428297A JP 31428297 A JP31428297 A JP 31428297A JP H11131253 A JPH11131253 A JP H11131253A
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JP
Japan
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organic
steel sheet
film
resin
chelating agent
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Application number
JP31428297A
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English (en)
Inventor
Naoto Yoshimi
直人 吉見
Kenichi Sasaki
健一 佐々木
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膜中に6価クロムを含むことなく優れた耐
食性が得られる有機被覆鋼板を提供する。 【解決手段】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
めっき鋼板の表面に、有機高分子マトリックスにキレー
ト形成基を有する高分子キレート化剤であって、リン酸
基、リン酸塩基の中から選ばれる1種または2種以上、
好ましくはアミノアルキレンリン酸基、アミノアルキレ
ンリン酸塩基、イミノアルキレンリン酸基、イミノアル
キレンリン酸塩基の中から選ばれる1種または2種以上
が含まれるキレート形成基を有する高分子キレート化剤
を主成分とする高分子キレート化剤皮膜が0.01〜5
μmの膜厚で形成され、その上層に有機樹脂皮膜または
有機複合シリケート皮膜が形成されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途に最適な有機被覆鋼板に関し、製品を取扱う作業
者やユーザーへの影響、製造時の排水処理対策、さらに
は使用環境下における製品からの有害物質の揮発・溶出
などの環境問題に適応するために、塗料組成物や皮膜中
に環境・人体に有害なクロム、鉛、カドミウム、水銀等
の重金属を全く含まない環境適応型有機被覆鋼板に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】家電製品、建材、自動車を用途とする有
機複合被覆鋼板は耐食性に優れることを長所とし、さら
に用途に応じて、塗装性、潤滑性を付与した高機能鋼板
として幅広く実用化されている。ここで、有機複合被覆
鋼板とは、亜鉛系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆
性、耐赤錆性)を向上させる目的で、クロム酸、重クロ
ム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロ
メート処理を施し、さらにその表面に薄膜の有機樹脂皮
膜を形成したものである。このような有機複合被覆鋼板
には、例えば特公平4−1070号や特公平3−326
38号に示されるものがある。
【0003】これらの有機複合被覆鋼板は、基本的に
は、下地めっきの表面に形成されたクロメート皮膜が塩
水噴霧等の苛酷な腐食環境下でも優れた防錆性を発揮す
るとともに、その表面の有機樹脂皮膜層が保護皮膜とし
て防錆性や塗装性を高めている。また、有機樹脂中に防
錆添加剤、固形潤滑剤を添加することにより、高耐食性
鋼板や潤滑鋼板としてのバリエーションが可能となる。
ところで、めっき表面に実施される上記のクロメート処
理は、低コストで防錆効果を付与できる極めて経済的な
防錆処理方法である。
【0004】しかし、クロメート処理は公害規制物質で
ある6価クロムを使用するものであるため、処理工程に
おいてクロム酸塩が人体に悪影響を与えること、排水処
理後のクロムスラッジの廃棄処理が困難であること、ま
たクロメート処理後の製品から6価クロムが溶出するお
それがあること等、種々の問題を有している。このた
め、クロム酸類の使用管理基準が厳しくなるにしたが
い、クロメート処理工場の管理、排水処理、クロメート
処理物による二次汚染等が問題とされ、これに対応して
各工場では排水関係をクローズド化し、クロムイオンが
外部に排出されるのを極力防止する対策を講じている。
また、ユーザーにおいてクロメート処理鋼板に付着した
防錆油やプレス油を脱脂する工程で、アルカリ系の脱脂
液を用いる際には、脱脂液中へのクロムの溶出がかなり
多くなるため、脱脂液の脱クロム処理が必要となる。
【0005】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い無公害な処理技術が数多く提案されている。例えば、
無機化合物、有機化合物、有機高分子材料或いはこれら
を組み合わせた溶液を用い、浸漬、塗布、電解処理等の
方法により薄膜を生成させる方法がある。具体的には、
以下のような方法が知られている。 (1)モリブデン、タングステン等の金属の酸化物を用
いる方法(例えば、特開昭57−5875号公報) (2)タンニン酸を用いる方法(例えば、特開昭51−
71233号公報) (3)3価クロムのみで構成し、6価クロムを含まない
無公害のクロメート処理方法(例えば、特開昭61−5
87号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)の
方法では、モリブデン、タングステン等の金属酸化物の
腐食に対する安定領域はクロムのそれよりも狭いため、
クロメート処理と同程度の耐食性を得ることは不可能で
ある。また、上記(2)の方法では、耐食性が不十分
で、しかも外観に着色ムラのある皮膜しか得られない。
さらに、上記(3)の方法では、可溶性クロムを使用し
ていることからして、クロムフリーのニーズには根本的
には応えられない。したがって本発明の目的は、このよ
うな従来技術の課題を解決し、皮膜中に6価クロムを含
むことなく優れた耐食性が得られる有機被覆鋼板を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らが鋭意検討を行った結果、亜鉛系めっき鋼
板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、特定のキ
レート形成基を有する高分子キレート化剤を主成分とす
る皮膜(高分子キレート化剤皮膜)を形成し、その上層
に有機樹脂系皮膜を形成することにより、環境や人体に
悪影響を及ぼすおそれのあるクロメート処理を行うこと
なく、無公害で且つ耐食性に優れた有機被覆鋼板が得ら
れることを見い出した。本発明はこのような知見に基づ
きなされたもので、その特徴は以下の通りである。
【0008】[1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、有機高分子マトリックスにキレ
ート形成基を有する高分子キレート化剤であって、リン
酸基、リン酸塩基の中から選ばれる1種または2種以上
が含まれるキレート形成基を有する高分子キレート化剤
を主成分とする高分子キレート化剤皮膜が0.01〜5
μmの膜厚で形成され、その上層に有機樹脂皮膜または
有機複合シリケート皮膜が形成されていることを特徴と
する耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [2] 上記[1]の有機被覆鋼板において、高分子キレート
化剤が有するキレート形成基が、アミノアルキレンリン
酸基、アミノアルキレンリン酸塩基、イミノアルキレン
リン酸基、イミノアルキレンリン酸塩基の中から選ばれ
る1種または2種以上であることを特徴とする耐食性に
優れた有機被覆鋼板。
【0009】[3] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に、下記(A)を主成分とし、さらに
下記(B)の成分を含む高分子キレート化剤皮膜が0.0
1〜5μmの膜厚で形成され、その上層の有機樹脂皮膜
または有機複合シリケート皮膜が形成されていることを
特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスに、アミノアルキレンリ
ン酸基、アミノアルキレンリン酸塩基、イミノアルキレ
ンリン酸基、イミノアルキレンリン酸塩基の中から選ば
れる1種または2種以上のキレート形成基を有する高分
子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シリ
カ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモ
リブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
の防錆添加剤を1〜100重量部
【0010】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの有機被覆鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスの数平均分子量が300以上であることを特徴とす
る耐食性に優れた有機被覆鋼板。 [5] 上記[1]〜[3]のいずれかの有機被覆鋼板において、
高分子キレート化剤の有機高分子マトリックスの数平均
分子量が1000以上であることを特徴とする耐食性に
優れた有機被覆鋼板。
【0011】[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの有機被覆鋼
板において、高分子キレート化剤の有機高分子マトリッ
クスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエ
チレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ化
合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
は2種以上からなることを特徴とする耐食性に優れた有
機被覆鋼板。
【0012】[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼
板において、有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮
膜が、有機樹脂100重量部に対して、シリカ、ポリリ
ン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加剤
を1〜100重量部含み、膜厚が0.1〜10μmであ
ることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。
【0013】[8] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼
板において、有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮
膜が、有機樹脂100重量部に対して、ポリオレフィン
ワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹脂系化合物、
脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属石けん、フッ
化黒鉛、グラファイト、窒化ホウ素、ポリアルキレング
リコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選ばれる1種ま
たは2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量部含み、膜厚
が0.1〜10μmであることを特徴とする耐食性に優
れた有機被覆鋼板。
【0014】[9] 上記[1]〜[6]のいずれかの有機被覆鋼
板において、有機樹脂皮膜または有機複合シリケート皮
膜が、有機樹脂100重量部に対して、シリカ、ポリリ
ン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加剤
を1〜100重量部、ポリオレフィンワックス等の炭化
水素系化合物、フッ素樹脂系化合物、脂肪酸アミド系化
合物、金属硫化物、金属石けん、グラファイト、フッ化
黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカ
リ金属硫酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の固
形潤滑剤を1〜80重量部含み、膜厚が0.1〜10μ
mであることを特徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼
板。
【0015】このような本発明の有機被覆鋼板におい
て、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に形成された、特定のキレート形成基を有する高
分子キレート化剤皮膜は、その高分子マトリクスが有機
樹脂と同様に皮膜を形成して腐食を抑制するだけでな
く、特定のキレート形成基がめっき皮膜の表面に吸着も
しくは反応することにより緻密な保護皮膜層を形成する
とともに、皮膜形成時にめっき皮膜から溶出した金属イ
オンをキレート形成基が捕捉して錯体構造を形成し、緻
密なバリヤー層を形成することにより防錆効果を発揮
し、さらに腐食環境中においても、腐食によってめっき
皮膜から溶出した金属イオンを皮膜中のフリーのキレー
ト形成基が捕捉し、安定な金属錯体構造を形成すること
によって腐食の促進を抑制する効果を発揮し、これらの
複合的な作用と上層の有機樹脂系皮膜による防食作用に
より極めて優れた耐食性が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の有機被覆鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜
中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合め
っき鋼板(例えば、Zn−SiO2分散めっき鋼板)等
を用いることができる。
【0017】また、上記のようなめっきのうち、同種ま
たは異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を
用いることもできる。また、本発明の有機被覆鋼板のベ
ースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミ
ニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板等を用い
ることができる。また、鋼板面に予めNi等の薄目付め
っきを施し、その上に上記のような各種めっきを施して
もよい。めっき方法としては、電解法(水溶液中での電
解または非水溶媒中での電解)、溶融法および気相法の
うち、実施可能ないずれの方法を採用することもでき
る。
【0018】次に、上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミ
ニウム系めっき鋼板の表面に形成される特定のキレート
形成基を有する高分子キレート化剤皮膜について説明す
る。キレート形成基は、めっき皮膜表面に化学吸着また
は反応することにより緻密な保護皮膜層を形成し、さら
に皮膜形成時にめっき皮膜から溶出した金属イオンと反
応して、不溶性の緻密なキレート錯体をめっき表面に形
成する機能を有するものである。金属表面をこのような
腐食抑制剤(インヒビター)を用いて化学吸着法により
防食する手法は古くから知られており、主に鉄の防食方
法として、冷却水系、ボイラー系、給水・給湯系等のよ
うな水と金属とが常時接触する環境下で、水中にアミン
系、リン酸系吸着剤を添加する方法が実用化されてい
る。
【0019】本発明は、これら水回り配管系の防食とは
もちろん目的・用途が異なり、建材、家電、自動車等の
用途の鋼板の防錆を目的としている。ところが、従来で
はこのような防錆鋼板の表面処理皮膜として、キレート
形成基を有する化合物を主体とする皮膜が実用化された
例はほとんどない。これは、(1)金属の種類により吸
着能が異なり、亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっ
き鋼板と安定で緻密な吸着皮膜を得ることが困難なこ
と、(2)上記キレート化剤は一般に低分子量(通常、
分子量300未満)であるため、塗料用高分子樹脂のよ
うな連続皮膜を形成することが困難であること、等の理
由により十分な防食機能が得られなかったためである。
【0020】上記の課題を克服するために本発明者らが
鋭意研究を重ねた結果、有機高分子マトリクスに特定の
キレート形成基を付与した高分子キレート化剤を主成分
とする皮膜が、亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム系めっ
き鋼板の表面処理皮膜として優れた防食機能を有するこ
とを見い出したものである。このような高分子キレート
化剤皮膜による防食機構は必ずしも明確でないが、
(1)特定のキレート形成基により亜鉛系めっき鋼板や
アルミニウム系めっき鋼板の表面に安定で強固な吸着・
反応皮膜(特定のキレート形成基がめっき皮膜の表面に
吸着若しくは反応することで形成される皮膜)を形成す
ること、(2)従来用いられていたような低分子量のキ
レート化剤ではなく、有機高分子を主体とする高分子キ
レート化剤とすることにより、塗料用樹脂のような有機
皮膜としての機能を付与したこと、(3)上記(1)お
よび(2)の作用に加えて、特定の種類のキレート形成
基を有する高分子キレート化剤が、皮膜形成時にめっき
皮膜から溶出した金属イオンを捕捉して三次元の高分子
錯体構造を有する皮膜を形成し、緻密で安定な三次元イ
オン架橋構造皮膜を形成できること、(4)さらに、形
成した皮膜を有する鋼板を腐食環境下に曝したときに、
アノード溶解によって溶出した金属イオンをキレート形
成基が捕捉し、安定化させることにより腐食の進行を抑
制すること、等により優れた防食効果が得られるものと
考えられる。
【0021】本発明において、有機高分子マトリクスに
付与するキレート形成基は、リン酸基、リン酸塩基の中
から選ばれる1種または2種以上を含むキレート形成基
であり、このようなリン酸系キレート形成基を有する高
分子キレート化剤を用いることにより皮膜に優れた耐食
性を付与できる。また、リン酸系キレート形成基の中で
も、アミノアルキレンリン酸基、アミノアルキレンリン
酸塩基、イミノアルキレンリン酸基、イミノアルキレン
リン酸塩基が好適であり、これらの中から選ばれる1種
または2種以上のキレート形成基を有する高分子キレー
ト化剤を用いることが好ましい。これらのリン酸系キレ
ート形成基は亜鉛系めっき鋼板やアルミニウム系めっき
鋼板のめっき皮膜との間で強固で安定な吸着・反応層を
形成する。
【0022】このようなリン酸系キレート形成基、特に
上記のような特定のリン酸系キレート形成基を有する高
分子キレート化剤により、皮膜に優れた耐食性が付与さ
れる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推
定される。すなわち、リン酸系キレート形成基は、上記
(1)〜(4)の防食機構において皮膜形成時の金属イ
オン(亜鉛やアルミニウム)との反応性もしくは吸着力
に優れていることが考えられる。さらに、上記のような
特定のリン酸系キレート形成基は、一つのキレート形成
基が二座配位子、すなわち窒素原子とリン酸基という二
種類の配位子を有しており、金属イオンの捕捉能力がリ
ン酸単独の場合よりも高いために、緻密なイオン架橋
の形成若しくはアノード溶解の抑制に寄与し、或いは
めっき皮膜との結合密度がより密になることが考えられ
る。
【0023】本発明において、上記のキレート形成基を
有する高分子化合物のマトリックスとなる有機ポリマー
の構造や合成方法に制限はなく、いずれ構造ないし合成
方法のものでもよい。例えば、有機高分子マトリックス
としては、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
脂、アクリル樹脂、デンプン等が挙げられ、これらの中
から選ばれる1種または2種以上を用いることができ
る。
【0024】有機高分子マトリックスの数平均分子量に
も特別な制約はないが、好ましくは300以上、より好
ましくは1000以上、さらに好ましくは10000以
上、特に好ましくは50000以上1000000以下
とする。分子量が300未満では耐食性向上効果が小さ
く、一方、1000000を超えるような分子量では塗
料組成物がゲル化する等の問題が生じるため好ましくな
い。
【0025】高分子キレート化剤皮膜には、防食効果を
さらに高める目的で、必要に応じて、シリカ、ポリリン
酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸
塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン
酸塩等の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
剤を配合することができる。
【0026】シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュ
ームドシリカのいずれを用いてもよい。コロイダルシリ
カとしては、例えば、スノーテックス O、スノーテッ
クスN、スノーテックス 20、スノーテックス 30、
スノーテックス 40、スノーテックス C、スノーテッ
クス S(以上、日産化学(株)製)等を用いることが
できる。また、ヒュームドリシカとしては、例えば、A
EROSIL R971、AEROSIL R812、A
EROSIL R811、AEROSIL R974、A
EROSIL R202、AEROSIL R805、A
EROSIL130、AEROSIL 200、AER
OSIL 300、AEROSIL 300CF(以上、
日本アエロジル(株)製)等を用いることができる。
【0027】皮膜中に添加されたシリカは、腐食環境下
で緻密で安定な金属の腐食生成物の生成に寄与し、この
腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによっ
て、腐食の促進を抑制するものと考えられる。また、シ
リカ以外の防錆添加剤として、公知のポリリン酸塩(例
えば、ポリリン酸アルミ:テイカK−WHITE80、
テイカK−WHITE 84、テイカK−WHITE 1
05、テイカK−WHITE G105、テイカK−W
HITE 90(以上、テイカ(株)製))、リン酸塩
(例えば、リン酸亜鉛、リン酸二水素アルミニウム、亜
リン酸亜鉛等)、モリブテン酸塩、リンモリブデン酸塩
(例えば、リンモリブデン酸アルミニウム)、フィチン
酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩等を用い
ることもできる。
【0028】防錆添加剤の配合量は、固形分の割合で高
分子キレート化剤100重量部に対して1〜100重量
部とする。配合量が1重量部未満では、耐食性向上効果
が少ない。一方、配合量が100重量部を超えると、塗
装性や加工性が低下するので好ましくない。防錆添加剤
のより好ましい配合量は5〜80重量部である。
【0029】以上述べたような高分子キレート化剤皮膜
は、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、クロメート処理皮膜を介することなく形成さ
れる。高分子キレート化剤皮膜の乾燥膜厚は任意である
が、好ましくは0.01〜5μmとする。膜厚が0.0
1μm未満では耐食性が不十分であり、一方、溶接性が
要求される用途では膜厚が5μmを超えると溶接性が低
下する。より好ましい膜厚は0.05〜3μm、さらに
好ましくは0.1〜2μmである。
【0030】高分子キレート化剤皮膜は、上述した高分
子キレート化剤を主成分とする塗料組成物を亜鉛系めっ
き鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に塗布
し、乾燥させることにより形成される。めっき鋼板の表
面は、上記塗料組成物を塗布する前に必要に応じてアル
カリ脱脂処理し、さらに密着性、耐食性を向上させるた
めに表面調整処理等の前処理を施すことができる。
【0031】高分子キレート化剤を主成分とする塗料組
成物を亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼
板の表面に塗布する方法としては、塗布法、浸漬法、ス
プレー法等の任意の方法を採用できる。塗布法として
は、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式
等)、スクイズコーター、ダイコーター等のいずれの方
法を用いてもよい。また、スクイズコーター等による塗
布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後に、エアナイ
フ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一
化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0032】塗料組成物の塗布後、通常は水洗すること
なく、加熱乾燥を行う。但し、塗料組成物の塗布後に水
洗工程を実施しても構わない。加熱乾燥処理には、ドラ
イヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用い
ることができる。加熱処理は、到達板温で50〜300
℃、好ましくは80℃〜250℃の範囲で行うことが望
ましい。加熱温度が50℃未満では皮膜中の水分が多量
に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱温度が30
0℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠
陥が生じて耐食性が低下するおそれがある。
【0033】次に、上記高分子キレート化剤皮膜の上層
に形成される有機樹脂系皮膜(有機樹脂皮膜または有機
複合シリケート皮膜)について説明する。有機樹脂系皮
膜を構成する有機樹脂としては、水溶性樹脂、水分散性
樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。な
お、高耐食性を期待する場合には熱硬化性樹脂を選択す
ることが好ましい。また、これらの水分散性樹脂をシラ
ンカップリング剤を介してシリカと複合化させた有機複
合シリケートも好適であり、本発明においては、このよ
うな有機複合シリケート皮膜を高分子キレート化剤皮膜
の上層に形成してもよい。なお、以下の説明では、この
ような有機複合シリケート皮膜を含めて“有機樹脂皮
膜”という。
【0034】水分散性樹脂としては、例えば、以下のも
のを用いることができる。 (1)アクリル系樹脂 例えば、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリ
ル酸エステル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エス
テル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エステル及び
その共重合体、ウレタン−アクリル酸共重合体(または
ウレタン変性アクリル樹脂)、スチレン−アクリル酸共
重合体等、さらにこれらの樹脂を他のアルキド樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂等によって変性させた樹脂
等を用いることができる。
【0035】(2)エチレン樹脂(ポリオレフィン樹
脂) 例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メ
タクリル酸共重合体、カルボキシル変性ポリオレフィン
樹脂等のエチレン系共重合体、エチレン−不飽和カルボ
ン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等、さらにこれ
らの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂等によって変性させた樹脂を用いることができ
る。 (3)アルキド樹脂 例えば、油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹
脂、フェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド
樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキ
ド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、高分子量オイルフ
リーアルキド樹脂等を用いることができる。
【0036】(4)エポキシ樹脂 例えば、エピクロルヒドリン型、グリシジルエーテル型
等のストレートエポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂
(エポキシエステル樹脂)、多塩基性酸変性エポキシ樹
脂、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂、アルキド(または
ポリエステル)変性エポキシ樹脂、ポリブタジエン変性
エポキシ樹脂、フェノール変性エポキシ樹脂、アミンま
たはポリアミン変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキ
シ樹脂等を用いることができる。 (5)ウレタン樹脂 例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリエ
ステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹
脂等を用いることができる。また、これらの中から選ば
れる2種以上の水分散性樹脂を混合して用いてもよい。
【0037】また、有機樹脂皮膜の乾燥温度の低温化を
狙いとして、樹脂粒子のコア部分とシェル部分とを異な
る樹脂種または異なるガラス転移温度の樹脂で構成した
コア・シェル型水分散性樹脂を用いることもできる。さ
らに、自己架橋性を有する水分散性樹脂、例えば、樹脂
粒子にアルコキシシラン基を付与することによって、樹
脂皮膜の加熱乾燥時にアルコキシシランの加水分解によ
るシラノール基の生成と樹脂粒子間のシラノール基の脱
水縮合反応を利用した粒子間架橋が生じるようにした水
分散性樹脂を用いることもできる。
【0038】以上のような水分散性樹脂の中で、耐食
性、加工性および塗装性の観点からはエチレン系樹脂が
特に好ましく、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−メタクリル酸共重合体、カルボキシル変性ポリオレ
フィン樹脂等のエチレン系共重合体、エチレン−不飽和
カルボン酸共重合体、エチレン系アイオノマー等が好適
である。また、その中でもエチレン系アイオノマーが優
れた耐食性、加工性とともに優れた耐黒変性を発揮す
る。また、このようなエチレン系樹脂と水分散性エポキ
シ樹脂、水分散性アクリル樹脂、水分散性ウレタン樹脂
の1種以上を混合して用いることもできる。
【0039】さらに、これらの水分散性樹脂に対して、
水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ブ
タジエンラバー(SBR,NBR,MBR)、メラミン
樹脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合物等
の1種以上を架橋剤として配合することが有効である。
【0040】熱硬化性樹脂としては、例えば、以下のも
のを用いることができる。 (1)エポキシ樹脂 例えば、エピクロルヒドリン型、グリシジルエーテル型
等のストレートエポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂
(エポキシエステル樹脂)、多塩基性酸変性エポキシ樹
脂、アクリル樹脂変性エポキシ樹脂、アルキド(または
ポリエステル)変性エポキシ樹脂、ポリブタジエン変性
エポキシ樹脂、フェノール変性エポキシ樹脂、アミンま
たはポリアミン変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキ
シ樹脂等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂
または変性エポキシ樹脂を用いることにより、有機樹脂
皮膜に優れた耐食性、塗装性を付与することができる。
【0041】(2)ウレタン樹脂 例えば、油変性ポリウレタン樹脂、アルキド系ポリウレ
タン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエー
テル系ウレタン樹脂等を用いることができる。 (3)アルキド樹脂 例えば、油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹
脂、フェノール変性アルキド樹脂、スチレン化アルキド
樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキ
ド樹脂、オイルフリーアルキド樹脂、高分子量オイルフ
リーアルキド樹脂等を用いることができる。
【0042】(4)アクリルシリコン樹脂 例えば、主剤としてアクリル系共重合体の側鎖又は末端
に加水分解性アルコキシシリル基を含み、これに硬化剤
を添加したもの等を用いることができ、このようなアク
リルシリコン樹脂を用いた場合には、優れた耐候性が得
られる。 (5)フッ素樹脂 フルオロオレフィン系共重合体のものがあり、これには
例えば、モノマーであるアルキルビニルエーテル、シン
クロアルキルビニルエーテル、カルボン酸変性ビニルエ
ステル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、テトラフ
ルオロプロピルビニルエーテル等の1種以上と、フッ素
モノマー(フルオロオレフィン)との共重合体がある。
このようなフッ素樹脂を用いた場合には、優れた耐候性
と疎水性が得られる。
【0043】また、これらの中から選ばれる2種以上の
樹脂を混合して用いてもよい。さらに、これら樹脂に対
して可溶性フェノール樹脂を併用してもよい。さらに、
これら樹脂主剤(基体樹脂)に対して、尿素樹脂(ブチ
ル化尿素樹脂等)、メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹
脂)、ブチル化尿素、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン
樹脂等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート、オキサ
ゾリン化合物、フェノール樹脂等の1種以上を硬化剤と
して配合することができる。これらの中でも特に、皮膜
の耐食性を考慮した場合、ブロックイソシアネート、ア
ミノ樹脂が好ましい。
【0044】基体樹脂の硬化方法は、イソシアネートと
基体樹脂中の水酸基との間のウレタン化反応とすること
が特に好適ではあるが、皮膜形成前の塗料組成物を安定
に保存するためには硬化剤のイソシアネートを保護する
必要がある。イソシアネートの保護方法としては、加熱
処理時に保護基が脱離し、イソシアネート基が再生する
保護方法を採用できる。この場合に使用するポリイソシ
アネート化合物としては、1分子中に少なくとも2個の
イソシアネート基を有する脂肪族、脂環族(複素環を含
む)または芳香族イソシアネート化合物、若しくはそれ
らの化合物を多価アルコールと部分的に反応せしめた化
合物、若しくはそれらの化合物のビューレットタイプ付
加物、イソシアヌル環タイプ付加物等の化合物が挙げら
れる。例えば、
【0045】 m−またはp−フェニレンジイソシア
ネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネ
ート、またはp−キシリレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、 トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシ
アネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、
2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジ
メチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトラ
イソシアネート等の3個以上のイソシアネート基を有す
るポリイソシアネート化合物、
【0046】 上記の化合物の単独または混合と多
価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコ
ール等の2価アルコール類;グリセリン、トリメチロー
ルプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール
等の4価アルコール;ソルビトール、ジペンタエリスリ
トール等の6価アルコール等)との反応生成物で1分子
中に少なくとも2個のイソシアネート基が残存する化合
物、 ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジ
イソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイ
ソシアネート)等のビューレットタイプ付加物、イソシ
アヌル環タイプ付加物、等がある。
【0047】さらに、例えば腐食環境中に鉄錆が共存
し、有機皮膜中の樹脂バリヤー性が腐食の抑制に大きく
寄与する場合には、1分子中に少なくとも3個のイソシ
アネート基を有するポリイソシアネート化合物、より好
ましくは4個以上、さらに好ましくは6個以上のイソシ
アネート基を有するポリイソシアネート化合物を硬化剤
として用いることが好ましい。
【0048】このような1分子中に少なくとも3個のイ
ソシアネート基を有する多官能ポリイソシアネート化合
物としては、1分子中に3個以上のイソシアネート基を
有する化合物、少なくとも2個のイソシアネート基を有
するイソシアネート化合物を多価アルコールと反応せし
めた化合物、若しくはそれらのビューレットタイプ付加
物、イソシアヌル環タイプ付加物等の化合物がある。例
えば、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソ
シアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、
2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジ
メチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトラ
イソシアネート等の3個以上のイソシアネート基を有す
るポリイソシアネート化合物;エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ポ
リアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘ
キサントリオール等のポリオールの水酸基に対してイソ
シアネート基が過剰量となる量のポリイソシアネート化
合物を反応させてなる付加物;ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等のビュー
レットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等が
ある。
【0049】上記ポリオールの水酸基に対してイソシア
ネート基が過剰量となる量のポリイソシアネート化合物
を反応させてなる付加物において、該ポリイソシアネー
ト化合物としては、上記3個以上のイソシアネート基を
有するポリイソシアネート化合物並びにヘキサメチレン
ジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシア
ネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロ
ンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロ
ヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−
2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3
−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン等の脂肪族ジイソシアネート化合物;及びキシリ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、m
−(又はp−)フェニレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフ
ェニル)スルホン等の芳香族ジイソシアネート化合物な
どを挙げることができる。
【0050】また、1分子中に少なくとも6個のイソシ
アネート基を有する多官能ポリイソシアネート化合物
(6官能ポリイソシアネート化合物)の中でも、特に、
ヘキサメチレンジイソシアネートの多官能体が最も有効
である。なお、使用する多官能ポリイソシアネート化合
物は、1分子中のイソシアネート基の数が異なる同属化
合物の混合物であってもよい。また、上記多官能ポリイ
ソシアネート化合物の2種類以上を併用してもよい。
【0051】先に述べたように皮膜形成物を安定に保存
するために硬化剤のイソシアネートを保護する方法とし
ては、加熱硬化時に保護基(ブロック剤)が脱離し、イ
ソシアネート基が再生する保護方法が採用できる。この
保護剤(ブロック剤)としては、例えば以下のようなも
のがあり、これらの1種または2種以上と前記ポリイソ
シアネート化合物とを反応させることにより、少なくと
も常温下で安定に保護されたイソシアネート化合物を得
ることができる。
【0052】(1) メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、オクチルアルコール等の脂肪族モノア
ルコール類 (2) エチレングリコールおよび/またはジエチレングリ
コールのモノエーテル類、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,se
c)等のモノエーテル類 (3) フェノール、クレゾール等のフェノール類 (4) アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム等の
オキシム類
【0053】硬化剤としてのポリイソシアネート化合物
は、基体樹脂100重量部(固形分)に対して5〜80
重量部(固形分)、好ましくは10〜50重量部(固形
分)の割合で配合することが好ましい。硬化剤の配合量
が5重量部未満では、形成された皮膜の架橋密度が不十
分となり、耐食性の向上効果が小さい。一方、80重量
部を超えて配合すると、未反応の残留イソシアネートが
吸水し、耐食性(耐穴あき性)や密着性が損なわれる。
【0054】さらに、硬化剤としてメラミン、尿素およ
びベンゾグアナミンの中から選ばれた1種以上にホルム
アルデヒドを反応させてなるメチロール化合物の一部若
しくは全部に炭素数1〜5の1価アルコールを反応させ
てなるアルキルエーテル化アミノ樹脂を、イソシアネー
ト化合物と併用してもよい。なお、樹脂は以上のような
硬化剤で十分架橋するが、さらに低温架橋性を増大させ
るため、公知の硬化促進触媒を使用することが望まし
い。この硬化促進触媒としては、例えば、N−エチルモ
ルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバル
ト、塩化第一スズ、ナフテン酸亜鉛、硝酸ビスマス等が
ある。
【0055】また、有機樹脂皮膜中には、腐食を抑制す
る目的で、下層側の高分子キレート化剤皮膜と同様の防
錆添加剤、すなわち、シリカ、ポリリン酸塩、リン酸
塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン酸塩、フィチン
酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩の中から
選ばれる1種または2種以上の防錆添加剤を配合するこ
とができる。
【0056】シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュ
ームドシリカのいずれを用いてもよい。また、必要に応
じて水分散性、有機溶媒分散性のシリカを選択できる。
水分散性コロイダルシリカとしては、例えば、スノーテ
ックス O、スノーテックス N、スノーテックス 2
0、スノーテックス 30、スノーテックス 40、スノ
ーテックス C、スノーテックス S(以上、日産化学
(株)製)、有機溶媒分散性シリカとしては、例えば、
オルガノシリカゾル MA−ST−M、オルガノシリカ
ゾル IPT−ST、オルガノシリカゾル EG−ST、
オルガノシリカゾル EG−ST−ZL、オルガノシリ
カゾル NPC−ST、オルガノシリカゾル DMAC−
ST、オルガノシリカゾル DMAC−ZL、オルガノ
シリカゾル XBA−ST、オルガノシリカゾル MIB
K−ST(以上、日産化学(株)製)、OSCAL 1
132、OSCAL 1232、OSCAL 1332、
OSCAL 1432(以上、触媒化成工業(株)製)
を用いることができる。
【0057】また、ヒュームドシリカとしては、例え
ば、AEROSIL R971、AEROSIL R81
2、AEROSIL R811、AEROSIL R97
4、AEROSIL R202、AEROSIL R80
5(以上、表面を疎水化したヒュームドシリカ)或い
は、AEROSIL 130、AEROSIL 200、
AEROSIL 300、AEROSIL 300CF
(以上、日本アエロジル(株)製)を用いることができ
る。
【0058】樹脂組成物中にシリカを配合する方法とし
ては、通常の分散機により分散させる方法でよい。ま
た、水分散性樹脂とコロイダルシリカを予めシランカッ
プリング剤を用いて反応させた有機複合シリケートを用
いてもよい。この場合、例えばアクリル樹脂とシリカの
有機複合シリケートと、エポキシ樹脂とシリカの有機複
合シリケートとを混合して使用することもできる。
【0059】また、シリカ以外の防錆添加剤として、公
知のポリリン酸塩(例えば、ポリリン酸アルミ:テイカ
K−WHITE 80、テイカK−WHITE 84、テ
イカK−WHITE 105、テイカK−WHITE G
105、テイカK−WHITE 90(以上、テイカ
(株)製))、リン酸塩(例えば、リン酸亜鉛、リン酸
二水素アルミニウム、亜リン酸亜鉛等)、モリブデン酸
塩、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸ア
ルミニウム)、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
酸、ホスホン酸塩等を用いることができる。
【0060】防錆添加剤の配合量としては、固形分の割
合で有機樹脂100重量部に対して、1〜100重量部
とする。配合量が1重量部未満では、耐食性向上効果が
少ない。一方、配合量が100重量部を超えると塗装
性、加工性が低下するので好ましくない。防錆添加剤の
より好ましい配合量は5〜80重量部である。
【0061】さらに、有機樹脂皮膜には、皮膜の加工性
を向上させる目的で固形潤滑剤を配合することができ
る。この固形潤滑剤としては、以下のようなものが挙げ
られる。 (1)ポリオレフィンワックス等の炭化水素系化合物:
例えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然
パラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素等 (2)フッ素樹脂系化合物:例えば、ポリフルオロエチ
レン樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化
ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂等 (3)脂肪酸アミド系化合物:例えば、ステアリン酸ア
ミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミ
ド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、
エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等
【0062】(4)金属石けん類:例えば、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウ
ム、パルミチン酸カルシウム等 (5)金属硫化物:例えば、二硫化モリブデン、二硫化
タングステン (6)その他:例えば、グラファイト、フッ化黒鉛、窒
化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫
酸塩等
【0063】以上の固形潤滑剤の中でも、特にポリエチ
レンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでも、ポリ4
フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチレ
ンワックスとしては、例えば、ヘキスト社製のセリダス
ト 9615A、セリダスト3715、セリダスト 36
20、セリダスト 3910、三洋化成(株)製のサン
ワックス 131−P、サンワックス 161−P、三井
石油化学(株)製のケミパール W−100、ケミパー
ル W−200、ケミパール W−500、ケミパール
W−800、ケミパール W−950等を用いることが
できる。
【0064】フッ素樹脂系化合物としては、テトラフル
オロエチレン微粒子が好適であり、例えば、ダイキン工
業(株)製のルブロン L−2、ルブロン L−5、三井
・デュポン社製のMP1100、MP1200、旭アイ
シーアイフロロポリマーズ(株)製のフルオンディスパ
ージョン AD1、フルオンディスパージョン AD2、
フルオン L140J、フルオン L150J、フルオン
L155J等を用いることができる。
【0065】また、これらの固形潤滑剤なかで、ポリオ
レフィンワックスとテトラフルオロエチレンを併用して
添加することにより、特に優れた潤滑効果が期待でき
る。固形潤滑剤の配合量は、固形分の割合で有機樹脂1
00重量部に対して1〜80重量部とする。固形潤滑剤
の配合量が1重量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、
80重量部を超えると塗装性が低下する。固形潤滑剤の
好ましい配合量は3〜40重量部である。
【0066】さらに、有機樹脂皮膜には他の添加剤とし
て、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系金属錯塩
染料、水溶性アゾ系金属錯塩染料等)、有機着色顔料
(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機
顔料等)、無機顔料(例えば、酸化チタン等)、キレー
ト剤(例えば、チオール等)、導電性顔料(例えば、亜
鉛、アルミニウム、ニッケル等の金属粉末、リン化鉄、
アンチモンドープ型酸化錫等)、カップリング剤(例え
ば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤
等)、メラミン・シアヌル酸付加物等を添加することが
できる。
【0067】以上述べたような有機樹脂皮膜の乾燥膜厚
は任意であるが、好ましくは0.1〜10μmとする。
膜厚が0.1μm未満では耐食性が不十分であり、一
方、加工性が要求される用途では膜厚が10μmを超え
ると加工性が低下する。より好ましい膜厚は0.3〜3
μmである。有機樹脂皮膜は、上述した成分の有機樹脂
塗料組成物を高分子キレート化剤皮膜表面に塗装し、乾
燥させることにより形成される。
【0068】有機樹脂塗料組成物の塗装方法としては、
塗布法、浸漬法、スプレー法等の任意の方法を採用でき
る。塗布法としては、ロールコーター(3ロール方式、
2ロール方式等)、スクイズコーター、ダイコーター等
のいずれの方法を用いてもよい。また、スクイズコータ
ー等による塗布処理、浸漬処理またはスプレー処理の後
に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、
外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
【0069】加熱乾燥処理には、ドライヤー、熱風炉、
高周波誘導加熱炉、赤外線炉等を用いることができる。
加熱処理は、到達板温で50〜300℃、好ましくは8
0℃〜250℃の範囲で行うことが望ましい。加熱温度
が50℃未満では皮膜中の水分が多量に残り、耐食性が
不十分となる。また、加熱温度が300℃を超えると非
経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じて耐食性
が低下するおそれがある。
【0070】本発明は、以上述べたような高分子キレー
ト化剤皮膜と有機樹脂皮膜とからなる有機複合被覆を両
面または片面に有する鋼板を含むものである。したがっ
て、本発明鋼板の形態としては、例えば、以下のような
ものがある。 (1)片面:めっき皮膜−高分子キレート化剤皮膜−有
機樹脂皮膜、片面:めっき皮膜 (2)片面:めっき皮膜−高分子キレート化剤皮膜−有
機樹脂皮膜、片面:高分子キレート化剤皮膜 (3)両面:めっき皮膜−高分子キレート化剤皮膜−有
機樹脂皮膜 (4)片面:めっき皮膜−高分子キレート化剤皮膜−有
機樹脂皮膜、片面:公知のリン酸塩処理皮膜等
【0071】
【実施例】家電、建材、自動車部品用の有機被覆鋼板と
して、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼
板の表面をアルカリ脱脂処理後、水洗乾燥し、次いで、
下層皮膜(高分子キレート化剤皮膜等)用の塗料組成物
をロールコーターにより塗布し、加熱乾燥した。さら
に、その上層に上層皮膜(有機樹脂皮膜)用の有機樹脂
塗料組成物を塗布し、乾燥加熱した。なお、下層皮膜お
よび上層皮膜の膜厚は塗料組成物の固形分濃度または塗
布条件(ロールコーターのロールの圧下力、回転速度
等)により調整した。得られた有機被覆鋼板について、
皮膜外観の評価と耐食性(耐白錆性)、塗料密着性およ
び加工性の各評価試験を行った。その結果を、使用した
めっき鋼板の種類、下層皮膜および上層皮膜の組成、膜
厚、乾燥温度とともに表10〜表30に示す。
【0072】本実施例における有機被覆鋼板の製造条件
を以下に示す。 (1) めっき鋼板 板厚0.8mm、表面粗さ(Ra)1.0μmの冷延鋼
板に各種亜鉛系めっきまたはアルミニウム系めっきを施
し、下地めっき鋼板として用いた。使用しためっき鋼板
を表1に示す。 (2) 高分子キレート化剤を主成分とする塗料組成物 下記する高分子キレート化剤等の水溶液を主体とし、必
要に応じて、これに防錆添加剤を添加して、塗料用分散
機(サンドグラインダー)を用いて所要時間分散させ、
塗料組成物を得た。
【0073】(2-1) 高分子キレート化剤 表2にNo.1〜No.22として示す、有機高分子マ
トリックスとリン酸系キレート形成基からなる高分子キ
レート化剤を用いた。また、比較例として同表のNo.
23、No.24に示す、従来から防錆剤として用いら
れているタンニン酸水溶液と、低分子量のキレート化剤
であるEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)水溶液
を用いた。 (2-2) 防錆添加剤 必要に応じて、表3に示すシリカ、表4に示すポリリン
酸塩等の防錆添加剤を用いた。
【0074】(3) 有機樹脂皮膜用の塗料組成物 表5に示す有機樹脂に、必要に応じて、表6に示すシリ
カ、表7に示す固形潤滑剤を添加して、塗料用分散機
(サンドグラインダー)を用いて所要時間分散させ、表
8及び表9に示す樹脂組成物を得た。
【0075】有機被覆鋼板の品質性能の評価は以下のよ
うにして行った。 (1) 皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は、以下の通りであ
る。 ○:ムラが全くない均一な外観 △:ムラが若干目立つ外観 ×:ムラが目立つ外観
【0076】(2) 耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を実施し、所定時間後の白錆発生面積率で評価し
た。なお、防錆添加剤を含まない皮膜を形成したものに
ついては96時間後の耐白錆性で評価し、一方、防錆添
加剤(シリカまたはシリカ以外の防錆添加剤)を含む皮
膜を形成したものについては、96時間後の耐白錆性だ
けでは防錆添加剤無添加のものに対する優位差が現われ
ないため、より厳しい試験条件である120時間後の耐
白錆性でも評価した。評価基準は、以下の通りである。 ◎ :白錆発生なし ○+:白錆発生面積率5%未満 ○ :白錆発生面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆発生面積率10%以上、25%未満 △ :白錆発生面積率25%以上、50%未満 × :白錆発生面積率50%以上
【0077】(3) 塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料(膜厚30
μm)を塗装した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(1mm間隔で10×10の碁盤目)のカットを入
れて、貼着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離
面積率で評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0078】(4) 加工性 ブランク径φ120mm、ダイス径φ50mmで深絞り
成形(無塗油条件)を行い、割れが生ずるまでの成形高
さで評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:絞り抜け ○:成形高さ30mm以上 △:成形高さ20mm以上、30mm未満 ×:成形高さ20mm未満
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
【表13】
【0092】
【表14】
【0093】
【表15】
【0094】
【表16】
【0095】
【表17】
【0096】
【表18】
【0097】
【表19】
【0098】
【表20】
【0099】
【表21】
【0100】
【表22】
【0101】
【表23】
【0102】
【表24】
【0103】
【表25】
【0104】
【表26】
【0105】
【表27】
【0106】
【表28】
【0107】
【表29】
【0108】
【表30】
【発明の効果】以上述べたように本発明の有機被覆鋼板
は、製造時の処理液や製品の皮膜成分中に6価クロムを
全く含まず、しかも建材、家電、自動車等の用途の有機
被覆鋼板として高度の耐食性を有し、また、皮膜外観、
塗料密着性等にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、有機高分子マトリックスにキレー
    ト形成基を有する高分子キレート化剤であって、リン酸
    基、リン酸塩基の中から選ばれる1種または2種以上が
    含まれるキレート形成基を有する高分子キレート化剤を
    主成分とする高分子キレート化剤皮膜が0.01〜5μ
    mの膜厚で形成され、その上層に有機樹脂皮膜または有
    機複合シリケート皮膜が形成されていることを特徴とす
    る耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 高分子キレート化剤が有するキレート形
    成基が、アミノアルキレンリン酸基、アミノアルキレン
    リン酸塩基、イミノアルキレンリン酸基、イミノアルキ
    レンリン酸塩基の中から選ばれる1種または2種以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れた
    有機被覆鋼板。
  3. 【請求項3】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、下記(A)を主成分とし、さらに下
    記(B)の成分を含む高分子キレート化剤皮膜が0.01
    〜5μmの膜厚で形成され、その上層に有機樹脂皮膜ま
    たは有機複合シリケート皮膜が形成されていることを特
    徴とする耐食性に優れた有機被覆鋼板。 (A) 有機高分子マトリックスに、アミノアルキレンリ
    ン酸基、アミノアルキレンリン酸塩基、イミノアルキレ
    ンリン酸基、イミノアルキレンリン酸塩基の中から選ば
    れる1種または2種以上のキレート形成基を有する高分
    子キレート化剤 (B) 高分子キレート化剤100重量部に対して、シリ
    カ、ポリリン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモ
    リブデン酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン
    酸、ホスホン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上
    の防錆添加剤を1〜100重量部
  4. 【請求項4】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
    ックスの数平均分子量が300以上であることを特徴と
    する請求項1、2または3に記載の耐食性に優れた有機
    被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
    ックスの数平均分子量が1000以上であることを特徴
    とする請求項1、2または3に記載の耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  6. 【請求項6】 高分子キレート化剤の有機高分子マトリ
    ックスが、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
    エチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアミノ
    化合物、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、エポキシ樹
    脂、フェノール樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン樹
    脂、アクリル樹脂、デンプンの中から選ばれる1種また
    は2種以上からなることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  7. 【請求項7】 有機樹脂皮膜または有機複合シリケート
    皮膜が、有機樹脂100重量部に対して、シリカ、ポリ
    リン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン
    酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホ
    ン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
    剤を1〜100重量部含み、膜厚が0.1〜10μmで
    あることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または
    6に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
  8. 【請求項8】 有機樹脂皮膜または有機複合シリケート
    皮膜が、有機樹脂100重量部に対して、ポリオレフィ
    ンワックス等の炭化水素系化合物、フッ素樹脂系化合
    物、脂肪酸アミド系化合物、金属硫化物、金属石けん、
    グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレ
    ングリコール、アルカリ金属硫酸塩の中から選ばれる1
    種または2種以上の固形潤滑剤を1〜80重量部含み、
    膜厚が0.1〜10μmであることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または6に記載の耐食性に優れた有
    機被覆鋼板。
  9. 【請求項9】 有機樹脂皮膜または有機複合シリケート
    皮膜が、有機樹脂100重量部に対して、シリカ、ポリ
    リン酸塩、リン酸塩、モリブデン酸塩、リンモリブデン
    酸塩、フィチン酸、フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホ
    ン酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の防錆添加
    剤を1〜100重量部、ポリオレフィンワックス等の炭
    化水素系化合物、フッ素樹脂系化合物、脂肪酸アミド系
    化合物、金属硫化物、金属石けん、グラファイト、フッ
    化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アル
    カリ金属硫酸塩の中から選ばれる1種または2種以上の
    固形潤滑剤を1〜80重量部含み、膜厚が0.1〜10
    μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5
    または6に記載の耐食性に優れた有機被覆鋼板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11128830A (ja) * 1997-10-30 1999-05-18 Nkk Corp 耐食性に優れた表面処理鋼板
JP2004507615A (ja) * 2000-07-27 2004-03-11 ロード コーポレーション 二液型水性金属保護処理
JP2014080635A (ja) * 2012-10-12 2014-05-08 Nof Corp 水性クロムフリー処理液及び処理被膜
KR20160077730A (ko) * 2014-12-24 2016-07-04 현대자동차주식회사 고경도 클리어 코팅재

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