JPH1113053A - グラウトの比率制御装置 - Google Patents

グラウトの比率制御装置

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JPH1113053A
JPH1113053A JP18175097A JP18175097A JPH1113053A JP H1113053 A JPH1113053 A JP H1113053A JP 18175097 A JP18175097 A JP 18175097A JP 18175097 A JP18175097 A JP 18175097A JP H1113053 A JPH1113053 A JP H1113053A
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  • Preparation Of Clay, And Manufacture Of Mixtures Containing Clay Or Cement (AREA)
  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 取り扱いが簡便で、注入孔へのグラウトの供
給を止めることなく、濃度や硬化時間を任意に調整でき
る安価な装置を提供することを目的とする。 【構成】 グラウトA液系統とグラウトB液系統との少
なくとも2系統を有し、各系統に挿入されたポンプから
吐出された液体を混合して所定の比率のグラウトを得る
ようにした装置において、各系統のポンプの吐出流量を
制御する制御回路は、ポンプモータに、速度制御用モー
タインバータをそれぞれ結合し、これらに結合され、流
量設定信号出力手段としてのポテンシオメータを互いに
逆動作するように連動せしめてなるものである。これに
より、グラウトA液とグラウトB液の吐出流量は、ポン
プ用モータインバータによるポンプの運転速度を管理す
ることにより行い、ポンプの流量測定を行ったと同等以
上の効果、性能が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラウトの比率制
御装置に関するもので、さらに詳しくは、土木工事にお
ける地質改良、地盤改良、岩盤補強、地中杭構築などに
使用されるグラウト注入装置において、複数種類のグラ
ウトを混合して濃度の調整をする場合や硬化時間の調整
をする場合などに用いられるグラウトの比率制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】土木工事において、地質改良、地盤改
良、岩盤補強、地中杭構築などのため地中に、セメント
ミルク、水ガラス、粘土またはこれらの混合物からなる
グラウトが注入される。このグラウトは、地山、地盤、
岩盤などの多様な地質構造の変化や作業工程などに応じ
て適切な圧力・流量で注入されるべきことは勿論である
が、注入すべきグラウトの濃度や硬化時間もまた適切に
計画し、管理、施工されることが要求される。
【0003】従来のグラウト注入工法においては、あら
かじめボーリングなどによって、注入の対象となる地
山、地盤、岩盤などの平均的な性質を把握するか、また
は類似の施工例の実績値を参照して、注入すべきグラウ
トの濃度や硬化時間を調整して注入施工を行っている。
さらに、注入深度・注入工程に応じてグラウトの濃度や
硬化時間を調整することも行われている。
【0004】例えば、ダム土木工事における地盤改良で
は、最初は、濃度の低いグラウトを注入し、段階的に濃
度の高いものへ切り換えてゆく。また、都市土木工事に
おいて、水ガラス主体のグラウト注入を行う場合には、
硬化剤、促進剤などを含む混合液の量を変更して硬化時
間の長いものから短いものへ切り換えてゆく。
【0005】このようなグラウトの注入において、従来
のグラウトの濃度や硬化時間の調整は、1バッチ単位で
A液(例えば、グラウト原料)とB液(例えば、濃度や
硬化時間の調整のためのB液)の量を目的に応じて算出
して計量し、混合、撹拌して圧送するかまたは供給槽に
蓄える方法であった(例えば、特公昭63−46207
号)。
【0006】グラウト注入工事において、地山の性質
は、同一施工現場であっても注入孔の位置が異なれば変
化するのが当然であるが、同一注入孔においても深度が
異なれば多様に変化し、そのため注入するグラウトの浸
透状態は変化し、適切なグラウトの濃度や硬化時間も注
入工程の進捗に応じて刻々と変化させることが必要であ
る。
【0007】従来のダム建設工事における地盤改良グラ
ウト注入工事においては、適切なグラウトの比率制御装
置が提供されていないために、個々の注入孔における地
山の性質の変化に関わりなく、全ての注入孔について同
一の基準に基づき、注入深度に応じた段階的な変化を与
えて注入施工がなされている。
【0008】以上のようなバッチ方式を、図5に基づき
さらに詳しく説明する。なお、図5において、実際には
ホッパー1から掘削機13までに至る流路には、セメン
ト、希釈液5および生成されたグラウトの調整やバッチ
処理制御のため、弁類などが何個所かに設けられている
が、説明を簡単にするため、それらを省略して図示して
おり、後述の図1においても同様である。
【0009】ホッパー1には、グラウトA液を生成する
ためのセメントなどの原料が貯蔵され、このホッパー1
から生成すべきグラウト濃度や硬化時間に応じた量の原
料がコンベア2を介して計量槽3に供給される。規定量
の原料が計量槽3からさらに撹拌槽4に供給され、水な
どの希釈液5を撹拌槽4の規定レベルまで供給して撹拌
機6を運転して十分に撹拌する。このようにして、撹拌
槽4内に、注入すべき規定濃度または規定硬化時間のグ
ラウトが1バッチ分量だけ生成される。
【0010】生成されたグラウトは、撹拌槽4からバッ
ファータンク7に送られ、さらに注入ポンプ8によって
掘削機13に圧送され、掘削パイプ14を介して地山1
5の規定深度の位置16から注入されて地山の地盤や岩
盤などの内部に浸透する。バッファータンク7内のグラ
ウトは、自動戻り弁9からの戻り液の循環で撹拌するこ
とが多い。しかし、タンク容量によっては、別途に撹拌
機を設けて行うこともある。図5中、自動戻り弁9、流
量検出器10、圧力検出器11および流量圧力調節器1
2は、地山15の状態に応じて注入圧力や流量を管理し
たり、制御するための機器である。
【0011】前記したバッチ方式の他に、グラウトの濃
度や硬化時間を任意に調整して適切な注入施工を行うべ
く、A液用とB液用の独立して駆動する2台のポンプを
使用して調整する方法が試みられている。この方式は、
グラウトA液の流量を測定し、かつ、希望するグラウト
の濃度や硬化時間に応じた比率係数を演算によって求め
て、グラウトB液ポンプの流量制御装置に与え、両液を
混合、撹拌して希望のグラウトを生成する方法である。
【0012】さらに、図6に示すように、2台のポンプ
17、27を連動して調整する方法が試みられている。
これは、2台のポンプ17、27のピストンロッド4
3、53間を比率調整棒21で連結し、支点25を所定
の位置に移動調整することにより、比率m:nに対応し
たストロークが得られるようにしたもので、各ポンプ1
7、27は、調整されたピストンストロークに対応して
所定量のA液とB液を吐出して、希望する濃度または硬
化時間のグラウトが得られるものである。ポンプ17、
27の運転速度を変えれば、A液とB液の比率を変えず
に合計した総量だけが変えられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来のバッチ方式のグ
ラウト濃度調整方法では、必要に応じてきめ細かく適切
な濃度に調整したグラウトを必要量だけ供給することが
困難であり、理想的なグラウト注入施工を行うことはで
きなかった。
【0014】グラウトA液用とB液用の2台のポンプを
設ける方式において、それぞれ個別に運転速度の調整を
する方法は、追随性および現場における取り扱いに難点
がある上、任意に連続的な濃度値が得にくく、さらには
濃度調整後のグラウト吐出流量を一定または必要量に制
御することが困難であり、グラウト注入工法として普及
するには至っていない。
【0015】また、連動する2台のポンプ方式において
は、原理的には公知の技術を応用して実現することが可
能であるが、支点25の移動調整機構が、強度上におい
ても、構造的にも極めて複雑で、しかも、操作性が悪
く、普及していないのが現状である。
【0016】本発明の第1の目的は、土木工事のグラウ
ト注入施工において、取り扱いが簡便、容易で、さらに
注入孔へのグラウトの連続供給を止めることなく、グラ
ウトの濃度や硬化時間を任意に調整することのできる安
価なグラウトの比率制御装置を提供することにある。
【0017】本発明の第2の目的は、グラウトを同一注
入孔へ注入する過程において、注入工程を中断すること
なく連続的にきめ細かくグラウトの濃度や硬化時間の調
整が可能であり、注入工程の進捗状態および対象となる
地山、岩盤の性状変化に応じて、その時々に応じた最適
のグラウトを理想的に注入し得るグラウトの比率制御装
置を提供することである。
【0018】本発明の第3の目的は、グラウトの濃度や
硬化時間の設定値を任意に変更してもグラウト生成量に
変化を与えず、またグラウト生成量を任意に変更しても
設定したグラウトの濃度や硬化時間に影響を与えない簡
便なグラウトの比率制御装置を提供することにある。
【0019】本発明の第4の目的は、グラウトの濃度や
硬化時間および生成量を、任意、連続的に、簡便、容易
に変更可能とすることにより、グラウト注入工事におけ
る施工労務の負担を軽減し、省力化を図るグラウトの比
率制御装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、グラウトA液
系統とグラウトB液系統との少なくとも2系統を有し、
各系統に挿入されたポンプから吐出された液体を混合し
て所定の比率のグラウトを得るようにしたグラウトの比
率制御装置において、前記各系統のポンプに、吐出流量
を制御する制御回路を結合し、この制御回路は、前記各
系統のポンプをそれぞれ駆動するポンプモータに、速度
制御するためのモータインバータをそれぞれ結合し、こ
れらモータインバータに、ポテンシオメータからなる流
量設定信号出力手段をそれぞれ結合し、このポテンシオ
メータは、それぞれの摺動子が機械的に連動して、同一
の操作ノブで同時に作動するように構成し、これらのポ
テンシオメータがそれぞれ対応する各ポンプのモータイ
ンバータに独立して流量設定信号を与えるようにしたこ
とを特徴とするグラウトの比率制御装置である。
【0021】グラウト注入工事に使用されるポンプがプ
ランジャー形式であり、吐出圧力の脈動は大きいが、ポ
ンプの運転速度と吐出流量は比例関係にあり、吐出量を
測定しなくても運転速度を制御、管理することにより吐
出流量の管理が可能であることに着目し、A液用とB液
用の2台のポンプを用意し、連動して運転速度を調整す
ることにより、任意の濃度や硬化時間のグラウトを任意
の必要量だけ得ることができる。
【0022】A液用とB液用の各ポンプの駆動機には、
モータインバータによって速度制御される3相誘導電動
機を採用する。モータインバータへの速度指令信号は、
機械的に連動するポテンシオメータから、直接出力する
かまたは他の電気信号に変換して出力する。各ポテンシ
オメータは、A液とB液の比率を1個の操作ノブで調整
できるように、操作ノブの同一操作方向に対して電気抵
抗値の増減が互いに逆となる接続をして、各系統の吐出
量の増減方向が、互いに逆となるようにする。
【0023】A液とB液の吐出量は、直接測定すること
なく、モータインバータによるポンプの運転速度を管理
することにより行い、ポンプの吐出量測定を省いても流
量測定を行ったと同等以上の効果、性能が得られる。
【0024】各ポテンシオメータに与える速度設定用の
基準電圧を、同時に変更できる回路構成を採用し、予め
設定したグラウトの濃度や硬化時間に関わるA液とB液
の吐出比率に影響を与えることなく、グラウト生成量を
容易に調整することを可能としている。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるグラウトの比
率制御装置の実施例を図1ないし図4に基づき説明す
る。図1は、本発明によるグラウトの比率制御装置全体
の説明図である。この図1では、説明を簡単にするた
め、グラウトA液系統19とグラウトB液系統29とを
それぞれ1系統ずつで構成する場合について図示した
が、後述するように各系統19、29は、1系統ずつに
限定されるものではない。
【0026】本発明における比率調整には、少なくとも
グラウトの濃度を調整する場合と、硬化時間を調整する
場合とを含む。グラウトの濃度を調整する場合におい
て、グラウトA液とは、例えば、注入すべきグラウトの
濃度より充分高く、かつ、一定濃度に調整されたものを
いい、また、グラウトB液とは、前記グラウトA液を希
釈するためのもので、注入すべきグラウトの濃度より低
く、かつ、一定濃度に調整されたものをいい、このグラ
ウトB液には、水なども希釈液に含むものとする。グラ
ウトの硬化時間を調整する場合において、グラウトA液
とは、グラウトの主剤をいい、また、グラウトB液と
は、硬化剤、促進剤などを含むものをいう。なお、硬化
時間を調整する場合において、硬化時間が充分長い(数
時間から1日以上)場合には、図1に示すように、バッ
ファータンクでA液とB液を混合してから地盤へ圧送す
る方法が採用されるが、硬化時間が充分短い(数10分
から数時間以内)場合には、図4に示すように、掘削パ
イプ14の先端から地盤へ注入する直前に混合される方
法が採用される。
【0027】以下、図1に示す装置により、グラウトの
濃度を調整する場合を例として説明すると、グラウトA
液系統19においては、ホッパー1からのセメントなど
の原料が、コンベア2を介して計量槽3に供給されて計
量され、または、水ガラスなどは別の手段によって、A
液撹拌槽4に送られる。このA液撹拌槽4には、また、
規定量の水などの希釈液5が加えられて、撹拌機6で撹
拌され、注入すべきグラウトの濃度より充分高く、か
つ、規定濃度を保って保有される。
【0028】グラウトB液系統29では、図示されてい
ないホッパーからまたはグラウトA液系統19のホッパ
ー1からの原料が、コンベア22を介して計量槽23に
供給されて計量され、B液撹拌槽24に送られる。この
B液撹拌槽24には、また、規定量の水などの希釈液5
が加えられて、撹拌機26で撹拌され、注入すべきグラ
ウトの濃度より充分低く、かつ、規定濃度を保って保有
される。説明を簡単にするため、両系統19、29とも
供給原料が1種類の場合としたが、この供給原料は、1
種類に限定されるものではなく、供給手段もホッパー、
コンベアを必ずしも必要とするものではなく、また、他
の薬剤、薬液などを併せて供給する場合であってもよ
い。
【0029】図1において、グラウトA液系統19に挿
入されたグラウトA液ポンプ18と、グラウトB液系統
29に挿入されたグラウトB液ポンプ28は、それぞれ
連動して制御されるように、後述の制御装置20に結合
されている。これらのポンプ18、28には、グラウト
を圧送するため、例えば、プランジャーポンプが用いら
れる。前記グラウトA液系統19のA液撹拌槽4と、グ
ラウトB液系統29のB液撹拌槽24のそれぞれに、規
定濃度のグラウトA液と、グラウトB液が保有されてい
る状態で、グラウトA液ポンプ18とグラウトB液ポン
プ28とを同時に運転して両液をバッファータンク7に
送り込んで撹拌すれば、両液の供給量比率、すなわち、
運転速度比に応じた濃度のグラウトが生成される。両ポ
ンプ18、28の運転速度比を変更すれば、異なる濃度
のグラウトが生成できる。
【0030】そこで、本発明では、グラウトA液ポンプ
18とグラウトB液ポンプ28の運転速度を、制御回路
20により連動して同時に制御を行い、かつ、速度変更
する場合に、それぞれの運転速度の増減方向が逆方向と
なるよう、任意、随時に運転速度の変更を可能とし、簡
便、用意に任意濃度のグラウトを生成することができる
グラウトの比率制御装置を提供するものである。
【0031】図2は、前記制御回路20の詳細を示すも
ので、グラウトA液用モータインバータ35の入力端子
33には、流量設定信号出力手段としてのポテンシオメ
ータ31が結合され、また、出力端子34には、3相誘
導電動機からなるグラウトA液ポンプモータ36が結合
され、このポンプモータ36により前記グラウトA液ポ
ンプ18が駆動されるようになっている。同様に、グラ
ウトB液用モータインバータ45の入力端子43には、
流量設定信号出力手段としてのポテンシオメータ41が
結合され、また、出力端子44には、3相誘導電動機か
らなるグラウトB液ポンプモータ46が結合され、この
ポンプモータ46により前記グラウトB液ポンプ28が
駆動されるようになっている。前記ポテンシオメータ3
1、41とモータインバータ35、45の間に、図示し
ない抵抗/電圧変換器、抵抗/電流変換器などが介在す
るものであってもよい。
【0032】前記A液ポンプモータ36とB液ポンプモ
ータ46は、それぞれに対応するポテンシオメータ3
1、41から運転速度設定信号(流量設定信号)が与え
られると、対応するモータインバータ35、45の出力
周波数が変化し、それに応じて可変速運転する。
【0033】前記ポテンシオメータ31、41は、機械
的に連動しており、一方のポテンシオメータ31の摺動
子32を図2中で時計回りの方向、すなわち、端子aか
ら端子b側に摺動すれば、同時に他方のポテンシオメー
タ41の摺動子42も端子aから端子b側に摺動するよ
うに構成されている。前記両ポテンシオメータ31、4
1の固定端子a、b間には、それぞれ直流基準電源3
0、40が接続されるが、一方のポテンシオメータ31
では、固定端子b側にプラス(+)、固定端子a側にマ
イナス(−)が印加されるように接続され、また、他方
のポテンシオメータ41では、その逆に固定端子a側に
プラス(+)、固定端子b側にマイナス(−)が印加さ
れるように接続されている。すなわち、連動しているポ
テンシオメータ31、41の操作ノブを、それぞれの摺
動子32、42が、図中で時計回りに摺動するよう操作
すれば、A液用モータインバータ35に速度信号を与え
るポテンシオメータ31の摺動端子cの電圧は、プラス
側へ上昇し、逆に、B液用インバータ45に速度信号を
与えるポテンシオメータ41の摺動端子cの電圧は、マ
イナス側へ下降する。
【0034】前記各モータインバータ35、45は、速
度信号電圧が上昇すればモータの速度も上昇し、信号電
圧が下降すればモータの速度も下降する方向に周波数出
力を発するものとする。また、両ポテンシオメータ3
1、41に共通の操作ノブを、それぞれの摺動子32、
42が時計回りに動くよう操作すれば、A液ポンプメー
タ36の運転速度は上昇し、B液ポンプメータ46の運
転速度は下降する。そして、それぞれのポテンシオメー
タ31、41は、同じ直線特性であり、与えられている
基準電圧が同じ値であるとすれば、それぞれの摺動子3
2、42が端子a、b間の中間抵抗値になる位置に至っ
たときに、同じ値の速度信号電圧を発し、それぞれのポ
ンプモータ36、46は、同じ速度で運転をすることに
なる。ただし、両モータインバータ35、45の入出力
特性が同じであり、両モータ36、46の極数も同じで
あるとする。
【0035】以上の説明では、2個のポテンシオメータ
31、41が機械的に連動して同一方向に回転する操作
ノブを持つものとして説明したが、2個のポテンシオメ
ータ31、41が同一の回転軸を共有する構造のもので
あっても、異なる回転軸を歯車、リンクなどによって連
動させる構造のものであっても、直線スライドするもの
であってもよい。
【0036】また、連動する2個のポテンシオメータ3
1、41の回転方向が同一方向ではなく、逆方向である
場合には、印加する基準電圧の極性を考慮して一方のポ
テンシオメータによる設定信号電圧が他方と逆になる接
続をすればよい。
【0037】さらに、前記実施例では、各系統19、2
9のポテンシオメータ31、41は、操作ノブによる同
一操作方向に対して電気抵抗値の増減が互いに逆となる
接続をして、各系統19、29のポンプ吐出流量の増減
方向が、互いに逆となるようにしたが、これに限られる
ものではなく、各系統19、29のポテンシオメータ3
1、41は、操作ノブによる同一操作方向に対して電気
抵抗値の増減が互いに同一となる接続をし、一方のポテ
ンシオメータ31の吐出量設定信号に対して他方のポテ
ンシオメータ41を反転して出力することにより各系統
19、29のポンプ吐出流量の増減方向が、互いに逆と
なるようにすることもできる。
【0038】さらにまた、ポテンシオメータ31、41
の操作の動きは、回転運動に限らず、前述のように直線
運動であってもよく、また、本発明のグラウトの比率制
御装置に使用するポテンシオメータの数も2個に限定さ
れるものではなく、複数個を機械的に連動させ、少なく
ともそのうちの1個以上が、共有する操作ノブの同一操
作方向に操作したとき、出力の増減方向が他と異なる方
向であればよい。
【0039】このようにして、複数のポンプモータ3
6、46の運転速度を、機械的に連動した複数のポテン
シオメータ31、41に共通する1個の操作ノブを任意
に動かすことにより、少なくともそのうちの1台をその
他と増減の方向が逆になるように、同時に変化させるこ
とができる。各ポンプ18、28から吐出されるグラウ
トA液量とグラウトB液量の比率は、モータインバータ
35、45に与える速度信号電圧の比率、すなわちポン
プ18、28の運転速度の比率であり、それらの吐出液
を混合して撹拌することにより、希望する任意濃度のグ
ラウトを生成することができる。
【0040】図3は、グラウト濃度を設定するための流
量設定信号出力手段である2個のポテンシオメータ3
1、41の機能を説明する図であり、横軸は、左端子a
を反時計回り端部、右端子bを時計回り端部とする運転
速度比率の軸であり、縦軸は、グラウトA液およびグラ
ウトB液のポンプ運転速度設定電圧V、すなわち両ポン
プ18、28の吐出量を示す軸である。なお、説明を簡
単にするため、両ポンプ18、28の運転速度と吐出量
の関係は同一であるとする。
【0041】図3における縦軸のポンプ18、28の設
定速度は、各ポンプ18、28の吐出量と考えてもよ
く、グラウトA液は、ノブの操作位置の左端子aで零、
右端子bで最大量であり、B液は、左端子aで最大量、
右端子bで零である。操作の中間位置では、A液とB液
が等量であり、2液を等量混合した時の濃度のグラウト
が生成される。図3における実線特性線A、Bからも明
らかなように、A、B両液を混合して生成されるグラウ
トの濃度は、ポテンシオメータ31、41の共通ノブを
設定する位置によって、低濃度液の濃度から高濃度液の
濃度の間で任意に得ることができる。
【0042】この図3において、両ポンプ18、28の
最大吐出量が同じであるものを選ぶことにより、横軸の
操作ノブの位置をどこにとっても、両液の合計量Tは一
定であり変化しない。そのため、設定する濃度値に関わ
りなく生成するグラウトの総量は一定であり、濃度設定
を変更する毎に生成すべきグラウト量の補正を行う必要
がない。
【0043】前記各系統19、29のポテンシオメータ
31、41に印加される基準電圧Vを任意に変更する手
段を具備せしめることにより、2個のポテンシオメータ
31、41に与える基準電圧Vを個別に調整して左右端
子a、b間におけるA液またはB液の最大値を変更し、
ポンプ18、28の特性に合わせた生成濃度範囲を決め
ることも可能である。例えば、図3において、A液の最
大値をVa1、Bの最大値をVb1のように異なる値を
与えたとすれば、A、B両液は、それぞれ点線特性線で
示すように、A1、B1のように変化し、両液の合計量
は、T1のように濃度設定比率を変更する毎に生成すべ
きグラウト量も変化する。また、2個のポテンシオメー
タ31、41に与えた同じ基準電圧V2を一体に調整す
れば、A液とB液の吐出・混合比率を変えることなく、
生成される両液の合計量T2を任意に変更し、必要な濃
度のグラウトを、必要な時に必要なだけ生成することが
可能である。
【0044】図1に示した実施例では、グラウトB液系
統29に保有するグラウトB液は、グラウトの低濃度液
としたが、水などの希釈液5のみであることもあり、こ
の場合、コンベア22、計量槽23および低濃度撹拌槽
24は不要である。
【0045】つぎに、グラウトの硬化時間を調整する場
合を例として説明する。グラウトA液は、例えば主剤
(シリカゾルなど)に水を加えたものとし、また、グラ
ウトB液は、例えば硬化剤、促進剤、助剤、水を加えた
ものとする。これらのA液とB液との混合割合を上記し
た方法と同様にして調整することにより、硬化時間を調
整することができる。この場合において、硬化時間が充
分長い(数時間から数日以上)場合には、図1に示すよ
うに、バッファータンクでA液とB液を混合してから地
盤へ圧送する方法が採用される。しかし、硬化時間が充
分短い(数10分から数時間以内)場合には、バッファ
ータンクや途中の流路で固結するおそれがあるので、図
4に示すように、2重管を用い、A液は、A液流路37
を通って送り出され、B液は、B液流路38を通って送
り出され、掘削パイプ16の先端から地盤へ注入する直
前に混合される方法が採用される。
【0046】前記実施例では、グラウトA液系統19と
グラウトB液系統29とをそれぞれ1系統ずつで構成す
る場合、すなわち、A液撹拌槽4およびB液撹拌槽24
には、それぞれ濃度や配合比が予め一定のものとして設
定されたA液とB液が収納されているものとしたが、こ
のような固定的な場合に限られるものではなく、A液撹
拌槽4および/またはB液撹拌槽24の前段および/ま
たは後段においても、濃度や硬化時間の調整をするため
に本発明による比率調整装置を介在してもよい。
【0047】
【発明の効果】本発明は、グラウトA液系統とグラウト
B液系統との少なくとも2系統のポンプに、吐出流量を
制御する制御回路を結合し、この制御回路は、各系統の
ポンプをそれぞれ駆動するポンプモータに、速度制御す
るためのモータインバータをそれぞれ結合し、これらモ
ータインバータに、流量設定信号出力手段としてのポテ
ンシオメータをそれぞれ結合し、それぞれのポテンシオ
メータを互いに逆動作するように連動せしめた。そのた
め、土木工事のグラウト注入施工における取り扱いが簡
便、かつ、容易で、さらに注入孔へのグラウトの連続供
給を止めることなく、グラウトの濃度や硬化時間を任意
に調整可能で、しかも安価なグラウトの比率制御装置を
提供することができる。
【0048】グラウトの注入工程が進捗中であっても、
注入対象である地山、土質の性質の変化に応じて、任意
に、連続的に刻々と最適濃度、最適硬化時間のグラウト
を必要量だけ生成、供給することができる。
【0049】グラウトの濃度や硬化時間の設定は、共通
する1個の操作ノブを任意の位置に動かすだけでよく、
さらに、同じ最大吐出量のポンプを選べば、設定値を任
意に変更しても生成されるグラウト総量に影響を与えな
いので、生成量補正操作などの必要がなく、高度な技
術、熟練を必要とせず、取り扱いが極めて簡便であり、
グラウト注入工事従事者の負担を軽減することができ
る。
【0050】本発明によるグラウトの比率制御装置は、
構成機器の点数が少なく単純であり、一方の流体の流量
を測定し、設定した比率係数をその値に乗じて他方の流
量を演算設定して流量調節する公知の技術による濃度調
節法に比べて極めて安価に装置を構成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるグラウトの比率制御装置の一実施
例を示す全体の説明図である。
【図2】本発明による制御回路のブロック図である。
【図3】本発明のグラウトの比率制御装置における2個
のポテンシオメータの機能の説明図である。
【図4】本発明によるグラウトの比率制御装置の他の実
施例を示す説明図である。
【図5】従来のバッチ方式によるグラウト注入工法の説
明図である。
【図6】従来の比例制御によるグラウト注入工法の説明
図である。
【符号の説明】
1…ホッパー、2…コンベア、3…計量槽、4…A液撹
拌槽、5…希釈液、6…撹拌機、7…バッファータン
ク、8…注入ポンプ、9…自動戻り弁、10…流量検出
器、11…圧力検出器、12…流量・圧力調節器、13
…掘削機、14…掘削パイプ、15…地山、16…規定
深度の位置、17…A液プランジャーポンプ、18…グ
ラウトA液ポンプ、19…グラウトA液系統、20…制
御回路、21…比率調整棒、22…コンベア、23…計
量槽、24…B液撹拌槽、25…支点、27…B液プラ
ンジャーポンプ、28…グラウトB液ポンプ、29…グ
ラウトB液系統、30…電源、31…ポテンシオメー
タ、32…摺動子、33…入力端子、34…出力端子、
35…グラウトA液用モータインバータ、36…グラウ
トA液ポンプモータ、37…A液流路、38…B液流
路、40…電源、41…ポテンシオメータ、42…摺動
子、43…ピストンロッド、44…出力端子、45…グ
ラウトB液用モータインバータ、46…グラウトB液ポ
ンプモータ、53…ピストンロッド。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラウトA液系統とグラウトB液系統と
    の少なくとも2系統を有し、各系統に挿入されたポンプ
    から吐出された液体を混合して所定の比率のグラウトを
    得るようにしたグラウトの比率制御装置において、前記
    各系統のポンプに、吐出流量を制御する制御回路を結合
    し、この制御回路は、前記各系統のポンプをそれぞれ駆
    動するポンプモータに、速度制御するためのモータイン
    バータをそれぞれ結合し、これらモータインバータに、
    流量設定信号出力手段をそれぞれ結合し、それぞれの流
    量設定信号出力手段を互いに逆動作するように連動せし
    めてなることを特徴とするグラウトの比率制御装置。
  2. 【請求項2】 各系統の流量設定信号出力手段は、ポテ
    ンシオメータからなり、このポテンシオメータは、それ
    ぞれの摺動子が機械的に連動して、同一の操作ノブで同
    時に作動するように構成し、これらのポテンシオメータ
    がそれぞれ対応する各ポンプのモータインバータに独立
    して流量設定信号を与えるようにしたことを特徴とする
    請求項1記載のグラウトの比率制御装置。
  3. 【請求項3】 各系統の流量設定信号出力手段は、ポテ
    ンシオメータからなり、このポテンシオメータは、それ
    ぞれの摺動子が機械的に連動して、同一の操作ノブで同
    時に作動するように構成し、これらのポテンシオメータ
    がそれぞれ対応する各ポンプのモータインバータに独立
    して流量設定信号を与え、かつ、操作ノブによる同一操
    作方向に対して電気抵抗値の増減が互いに逆となる接続
    をして、各系統のポンプ吐出流量の増減方向が、互いに
    逆となるようにしたことを特徴とする請求項1記載のグ
    ラウトの比率制御装置。
  4. 【請求項4】 各系統の流量設定信号出力手段は、ポテ
    ンシオメータからなり、このポテンシオメータは、それ
    ぞれの摺動子が機械的に連動して、同一の操作ノブで同
    時に作動するように構成し、これらのポテンシオメータ
    がそれぞれ対応する各ポンプのモータインバータに独立
    して流量設定信号を与え、かつ、操作ノブによる同一操
    作方向に対して電気抵抗値の増減が互いに同一となる接
    続をし、一方のポテンシオメータの吐出量設定信号に対
    して他方を反転して出力することにより各系統のポンプ
    吐出流量の増減方向が、互いに逆となるようにしたこと
    を特徴とする請求項1記載のグラウトの比率制御装置。
  5. 【請求項5】 各ポテンシオメータに与える基準電圧
    を、任意に変更する手段を具備してなることを特徴とす
    る請求項2、3または4記載のグラウトの比率制御装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003166235A (ja) * 2001-11-29 2003-06-13 Goobyoku Engineering Co Ltd 軟弱地盤補強のための薬液撹拌装置
JP2007191920A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Tachibana Material Co Ltd 複数流動体の調合・攪拌・注入装置
JP2017014780A (ja) * 2015-06-30 2017-01-19 三菱マテリアル株式会社 地盤改良方法
CN109016135A (zh) * 2018-08-23 2018-12-18 王健 一种搅拌作业半径可调的小型手提搅拌机

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