JP4490184B2 - グラウト注入制御装置 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、グラウトを注入する地盤の性質に応じてグラウトの注入圧力、注入流量を自動的に管理するだけでなく、本発明は、特に、グラウト液種、配合成分の変動を監視し、又は注入工程の進捗に応じて刻々と変化する地盤の性質に対応、適合するようにグラウト液種を変更するに際して、注入されるグラウトの液種を判別し、常に対象地盤に適合する最善のグラウト注入が行われることを保証しうるグラウト注入制御装置に関するものである。
例えば、注入孔に近い領域のみを改良するためには、主材と反応して短時間で硬化させるショートゲルと称される薬液を二重管で対象地盤内の噴出孔まで圧送して2液を混合して硬化させる手法があり、また、より広域を改良するためには、硬化時間の長いロングゲルと称される薬液を採用する手法があり、その他、目的に応じて適宜、自在にグラウト剤を選定し、地盤に適合する改良工事が行われている。
注入グラウトは、水とセメント、又は水と水ガラスのみで構成されることは少なく、改良すべき地盤の性状によってセメント主材のグラウト原液に水ガラスを添加したり、水ガラス主材原液に無機、又は有機薬剤を添加したりする。
また、透水試験の結果によっては、さらに微量の増粘剤や凝固促進剤を添加することも多い。改良、安定化しようとする対象地盤への作用に、大きな影響を与えるこれら成分の変化、及びその適否は、従来の測定手段である流量・密度測定によっては把握できなかった。
例えば、建設構造体を支持する地盤、またはその周辺の地盤を強化して構造体の負荷に耐えるよう地盤改良を施す、さらにはその目的のために地盤のクラックや破断層を強固に結合させ剛体化するなどの作用をグラウト注入に求める場合がある。
このような地盤の変化にも対応し、適合するように、注入グラウトを適切な性質に調整すること、すなわち流動性や硬化時間が地盤に対して最適であるように成分比を調節することが理想的である。
ところが、従来のグラウト注入においては、管理手段が得られなかったため、注入するグラウトの濃度、密度を管理するのみであり、地盤に対する作用に最も影響を与える配合成分、特に増粘剤、凝固促進剤などの微量成分については、初期に投入する量を計量するのみで、注入施工中の管理はなされていなかった。
さらに原液、及び希釈液生成手段のうち、添加剤を加える機能を保持させた循環管路中には、生成液の導電率を測定する手段を具備せしめる。
そして、成分比が一定である液の導電率の変化は、公開されている物性データ、又は予備実験によってあらかじめ把握することができるので、その数値に基づいて基準とする導電率値に上下限の管理値を設け、当該液の導電率の測定値が管理値内にあるか否かを連続監視すれば、混合液の成分比がどの程度変化したか、不純物が混入したか否かを把握することができる。
温度補正に適用できるデータが得られていない場合には、導電率の変化と生成液の温度変化を合わせて記録し、さらにサンプリングなどにより当該液の成分比を確認することにより、導電率の変化が成分変化に、又は温度変化に依存する割合が明らかとなり、以降の温度補正データとして採用することが可能となる。
図1は、グラウト原液槽の系統と希釈液槽の系統を設けた本発明の動作原理を説明する図である。グラウト原液槽の系統と希釈液槽の系統は、それぞれの液がポンプによって元の槽へ戻る循環系統を形成している。そして、注入開始指令によって、両循環系統の切り替え弁を同時に圧送側へ切り替え、両液を混合し、圧送する配管系統を示し、さらに制御、システム管理に必要なセンサー類を図示している。説明を簡単にするため、希釈液の系統は、1系統の場合について図示しているが、2系統又はそれ以上であってもよく、また、動作説明に不要である逆止弁や手動止め弁などは図示を省略している。
同様に、希釈液槽系統の希釈液計量槽(41)にも、計量センサー(43)、及び攪拌機(42)が設けられている。そして、希釈液の原料(44)、(45)は、投入量が前記計量センサー(43)によって検出されて、設定量が前記希釈液計量槽(41)に投入され、前記攪拌機(42)の運転によって混合攪拌される。
同様に、前記希釈液計量槽(41)において十分に攪拌された希釈液(50)は、希釈液槽(51)に移送され、攪拌機(52)によって攪拌されると同時に、希釈液ポンプ(57)によって切り替えバルブ(58)、希釈液循環管路(55)を介して、希釈液計量槽(41)の間において循環している。
同様に、前記希釈液槽(51)の出口から希釈液ポンプ(57)に至る希釈液管路(56)には、希釈液の導電率を検出する導電率センサー(61)、及び希釈液の液温を検出する温度センサー(62)が設けられている。
前記導電率センサー(31)は、例えば、グラウト原液管路(26)の内部に取り付けた2個の電極に所定の電圧をかけ、この電圧と流れる電流から抵抗値を求め、その逆数を導電率信号として出力する。
同様に、前記導電率センサー(61)は、例えば、希釈液管路(56)の内部に取り付けた2個の電極に所定の電圧をかけ、この電圧と流れる電流から抵抗値を求め、その逆数を導電率データとして出力する。
前記温度センサー(32)は、グラウト原液管路(26)を流れるグラウト原液の液温を検出して温度信号として出力する。
前記温度センサー(62)は、希釈液管路(56)を流れる希釈液の液温を検出して温度信号として出力する。
さらに、グラウト原液ポンプ(27)、及び希釈液ポンプ(57)を、それぞれの調節信号によって可変速制御して吐出流量を調整し、混合・生成される注入グラウトの濃度・成分比を制御することも可能である。
バックデータがない場合には、循環時に得られる導電率を規準として上下限管理値を仮設定し、次に計量槽から成分比が明らかとなっているグラウト原液が投入されるときに対比する。
希釈液(50)についても同様である。
グラウト原液槽(21)及び希釈液槽(51)において、攪拌が正常に行われており、各計量槽(11)、及び(41)からの計量液の供給や、計量槽を介さない槽へ投入がない限り、各液の成分比に変動はないから、この間に導電率の変化があれば、温度依存に基づく変動と理解されるので、その記録値により、後述するように、以降に温度補正、管理限界値の決定などに活用しうるバックデータを得ることができる。
また、図1においては、グラウト原液(20)、及び希釈液(50)をミキサー(71)によって混合した注入グラウトを注入孔へ圧送するシステムを図示しているが、両液の混合、反応によって硬化時間を短くする成分配合のグラウトの場合には、注入孔入り口、または注入の噴射孔において混合させるよう、両液をその混合位置まで別個に圧送することもある。
これらの実線A、Bの上下に沿う点線は、上下限管理設定値(例えば、±2mS/cm)を想定して示したものであり、それぞれの温度において、測定導電率がこの管理値の範囲を越えれば、成分比に変化があったことになる。
さらに、図示した特性を持つ液に、他の液が混合された場合、混合比率が明確である初期の計量時に測定によって得られる導電率から、管理値範囲を推定して仮設定することができる。
この場合、温度センサー(82)は、ミキサー(71)の出口における生成グラウトの温度を測定し、導電率センサー(81)で得られる値を温度補正するために設けられる。
グラウト原液(20)と希釈液(50)の配合比が、自動的、又は手動設定により変更された場合には、あらかじめ得られている両液の配合比に応じた導電率データに基づいて導電率の上下限管理値を自動変更する。
33…グラウト原液流量計、41…希釈液計量槽、42…攪拌機、43…計量センサー、44、45…希釈液原料、50…希釈液、51…希釈液槽、52…攪拌機、55…希釈液循環管路、56…希釈液管路、57…希釈液ポンプ、58…切り替えバルブ、61…導電率センサー、62…温度センサー、63…希釈液流量計、71…ミキサー、72…圧力計、80…導電率センサー、81…温度センサー。
Claims (4)
- グラウト原液を生成するグラウト原液系統と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する希釈液系統とを有し、これらの両系統の液を混合して注入すべき対象地盤に適合するグラウトの液種と配合成分の変更を可能にしたグラウト注入制御装置において、前記グラウト原液系統の出口側流路に、このグラウト原液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを具備し、かつ、前記希釈液系統の出口側流路に、この希釈液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを具備したことを特徴とするグラウト注入制御装置。
- グラウト原液を生成するグラウト原液槽の出口側にグラウト原液ポンプを介して切り替えバルブを結合し、この切り替えバルブの一方の出口を前記グラウト原液槽に循環し、他方の出口をミキサーに結合したグラウト原液系統と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する希釈液槽の出口側に希釈液ポンプを介して切り替えバルブを結合し、この切り替えバルブの一方の出口を前記希釈液槽に循環し、他方の出口を前記ミキサーに結合した希釈液系統とを有し、これらの両系統の液を前記ミキサーで混合して注入すべき対象地盤に適合するグラウトの液種と配合成分の変更を可能にしたグラウト注入制御装置において、前記グラウト原液槽の出口側流路に、このグラウト原液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを設け、かつ、前記希釈液槽の出口側流路に、この希釈液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを設け、これらのセンサーの出力に基づき得られたグラウト原液の液種と配合成分を表わす導電率と、希釈液の液種と配合成分を表わす導電率とにそれぞれ上下管理設定値を付与する制御管理装置を具備したことを特徴とするグラウト注入制御装置。
- グラウト原液を生成するグラウト原液系統と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する希釈液系統とを有し、これらの両系統の液を混合して注入すべき対象地盤に適合するグラウトの液種と配合成分の変更を可能にしたグラウト注入制御装置において、前記グラウト原液と希釈液との混合後の出口側流路に、混合されたグラウト注入液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを具備したことを特徴とするグラウト注入制御装置。
- グラウト原液を生成するグラウト原液槽の出口側にグラウト原液ポンプを介して切り替えバルブを結合し、この切り替えバルブの一方の出口を前記グラウト原液槽に循環し、他方の出口をミキサーに結合したグラウト原液系統と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する希釈液槽の出口側に希釈液ポンプを介して切り替えバルブを結合し、この切り替えバルブの一方の出口を前記希釈液槽に循環し、他方の出口を前記ミキサーに結合した希釈液系統とを有し、これらの両系統の液を前記ミキサーで混合して注入すべき対象地盤に適合するグラウトの液種と配合成分の変更を可能にしたグラウト注入制御装置において、前記ミキサーの出口側流路に、混合されたグラウト液の液種と配合成分を導電率として検出する導電率センサーと、この導電率センサーにより検出した導電率の温度補正のためのグラウト温度を測定する温度センサーとを設け、これらのセンサーの出力に基づき得られたグラウト液の液種と配合成分を表わす導電率に上下管理設定値を付与する制御管理装置を具備したことを特徴とするグラウト注入制御装置。
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