JP4101146B2 - グラウト注入制御方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、岩盤や地盤などの地山に構造体を建設するダム建設工事、都市土木工事等の土木工事において、当該地山にグラウトを注入することによって、建設構造体を支持する地山を改良するグラウト注入制御方法および装置に関するものである。
さらに詳しくは、予め水押し試験によりグラウトを注入する地盤、岩盤などの地山の性状を調査し、この調査結果に応じたグラウト注入プログラム制御ラインを設定し、この制御ラインに可能な限り一致するように、グラウトの注入圧力、注入流量を管理しながら、注入工程の進捗状況で変化する地山の検出データに応じて、グラウト濃度の濃淡を時間遅れなく可逆的に自動調整しつつ注入施工するグラウト注入制御方法および装置に関するものである。
グラウト(地山改良剤又は安定剤)を地山に注入して地山改良を行う土木工法は、従来から各種の方式が提案され、実施されているが、いずれの工法も推定される地山の性状に応じて設定される濃度、配合のグラウトをバッチ方式によって生成して注入する方法であった。
図4(a)に示すような注入チャートと(b)に示すような作業記録からなるグラウト管理日報に基づき具体的に説明すると、グラウト注入前に透水テスト(水押し)を行う。1ステージにおいて透水が30L(リットル)/分以上のときは、配合比の濃いW/C=8/1を初期設定とし、透水が30L/分以下のときは、配合比の薄いW/C=10/1を初期設定とする。この例では、W/C=10/1を初期設定として400Lを23分で注入する。
以後、配合比W/C=6/1のグラウト400Lを21分で注入し、つぎに配合比W/C=4/1のグラウト400Lを20分で注入し、つぎに配合比W/C=2/1のグラウト800Lを48分で注入する。最後にW/C=1.5/1のグラウトをバッチ方式によって1000L生成して、1L/分に達するまで時間を設定せずに注入し(この例では2時間12分かかって644.6Lを注入)、1L/分に達したら、所定時間(たとえば30分間)のダメ押しの注入(この例では6.4Lを注入)をする。
このように、従来のグラウト注入工事においては、注入工程の進捗状況で注入圧力値Pや単位注入流量値Qが変化するにも拘わらず、W/C=10/1を400L、W/C=6/1を400L、W/C=4/1を400L、W/C=2/1を800L、W/C=1.5/1を1000Lなどのように、予め一定量のグラウトを生成するバッチ方式によっているため、当該バッチの生成量が注入量より過剰であれば、注入不要の地山に余剰グラウトを強制注入することとなって、予定外の箇所へ漏出させて環境を破壊する。強制注入しても余剰グラウトが生じると(この例では349Lの余剰)、注入終了後、この余剰グラウトを廃棄することによって、さらに、環境を破壊するなどの恐れがあった。
また、図4(a)の例では、Pが注入開始から80分経過した頃に急に増加したので、このPを一定値に抑えることにより、Qが下降を開始する。この降伏点をQKとしたとき、このQKからQ0のように略直線的に下降する。ところが、Pを一定値に抑えながら予め設定されたW/C=1.5/1の濃度のグラウトを注入を続けると、この例では、120分を過ぎた頃からQ1のようにQ0から離れ、中々1L/分に達することがなく、結局、244分過ぎに1L/分に達し、その後、30分のダメ押しの注入をすることで、注入時間が6時間34分かかった。もし、244分経過しても1L/分に達しなければ、Q2のようにさらに注入が続けられる。
このように、地山改良を目的としてグラウトを注入する工法においては、同一注入孔への注入であっても、注入工程の進捗状況で地山の性状は変化するので、注入のための作業時間を前もって設定することができなかった。
グラウトの注入に際しては、地山の状態を刻々と把握して注入条件を調節するべきであるが、従来の工法では作業者の経験や勘に基づいた手動操作によって注入圧力又は流量を調整する程度の方法しか行われておらず、地山の性状変化に応じた最適な注入施工は期待できなかった。
必要とするグラウトをバッチ方式で生成する従来のグラウト注入工法にあっては、地山の性状に応じてグラウトの濃度、成分比などを変更するためには、注入工程を中断して新たにグラウトを生成したり、供給配管系統を切り替えるなどの必要があり、そのための作業の煩雑化や作業時間の損失は免れなかった。
バッチ方式によりグラウトを生成する従来の注入工法にあっては、正確に把握し得ない注入必要量を推測してバッチ毎に生成量を決定するために過剰生成となる例が多く、強アルカリ性の余剰グラウトを中性化するなどの無害化して廃棄するための処理費用の負担、原材料の過剰消費による無駄な費用の負担は、工費を低減させるための障害となっている。
質量流量と密度をともに検出するコリオリ式の流量計を用いるとともに、圧力計を用い、一定量又は一定時間のグラウトの注入後に、W/Cの配合比の薄いものから濃いものへ変更する方法が既に知られている(特許文献1)。しかし、注入工程の進捗状況で変化する地山の性状に応じて、グラウトの濃度を濃いものから薄いものへ又は薄いものから濃いものへと注入工程を中断することなく又は時間遅れなくグラウトの濃度や成分比を変更することは困難であった。
特開平8−209675号
地上、地中に構造体を建設する土木工事において、建設構造体を支持する地山及びその周辺の地山を強化する目的でグラウトを注入する地山安定化工法では、注入を開始した後、地山の中の注入噴出位置からその周辺へグラウトが浸透し、地山のクラックや透水層に充填されるに従い、注入抵抗が増加して同一の注入圧力とグラウト粘度で施工を継続したのでは注入流量が減少してくる問題がある。
注入流量を維持するために注入圧力を増大させると、地山を破壊する恐れがある。そのため、注入するグラウトの粘度を低下させて流動性を増し、より地山に浸透し易い性状のグラウトに切り替えて注入を継続することが望ましい。しかし、従来は、注入施工中における地山の性状に変化が生じたときには、注入工事を中断してグラウトを最適な性状に変更して注入せざるを得ず、グラウトを最適な性状に連続的に変更して注入することはできなかった。
従来の地山改良工事に供する所要グラウトの生成方法は、前述のように、グラウトを構成する各成分を1バッチ分のグラウト生成量に応じて計量槽又は他の手段によって計量し、混合、撹拌槽に投入して混合、撹拌、生成するバッチ方式によっており、また、予備調査や作業者の経験に基づいてグラウト生成量を予測しようとしても、注入施工前に当該注入孔の正確な注入量を把握することは困難であり、実際に必要な注入所要量だけを、過不足なく生成することはできなかった。
グラウトをバッチ方式で生成する場合、注入仕様で定められた配合基準では、実際に必要とする以上の量を生成する事例が多く、余剰グラウトを必要量以上に強制注入するために地山を破壊したり予定外の箇所へ漏出させる不具合や、残余グラウトを廃棄するための処理費用、作業時間の損失を負うことになり、さらには処理方法の不適正による環境破壊の恐れも否めなかった。
さらに、バッチ方式によるグラウト生成では、グラウトの濃度、成分比を変更しようとする度に、注入作業を中断して新たな組成のグラウトを生成する作業を行う必要があり、作業が煩雑であり、より多くの作業時間を費やす結果となっていた。
地山改良を目的とする従来のグラウト注入工事には、上述のごとき不具合点が多々あり、このような状況に鑑み、作業者の勘や経験に依存することなしにグラウト注入工事の品質を向上させ、さらには原材料の無駄や作業の煩雑性を排除してコストを低減させるための手法が切に求められていた。
本発明の目的は、注入施工を中断することなく、グラウトの濃度、成分比を、その場、その時の地山性状に応じて最適となるよう連続的に自動調整して、予め設定された作業時間内に、過不足なくグラウトを注入し、信頼性のある地山改良工事を施工するためのグラウト注入制御方法および装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、地山安定化に必要とする量だけのグラウトを生成することにより、過剰な原材料を消費することを避け、さらには作業工程の単純化により作業時間を低減し、原材料のコスト及び人件費コストの低減を可能とするグラウト注入制御方法および装置を提供することにある。
本発明のさらなる他の目的は、余剰グラウトを発生させないことにより、余剰グラウトの廃棄処理に関わるコストを不要とし、環境破壊などの恐れを払拭し、信頼性のある地山改良工事の施工、管理を確立することを可能とするグラウト注入制御方法および装置を提供することにある。
本発明は、水押し試験等の地山の予備調査を行なう工程と、この予備調査工程に基づいて、グラウト注入工程初期の流量規制ラインと、所定の積算量を注入した後に、流量規制ラインの降伏点から注入流量を逓減する濃度による規制ラインとからなるグラウト注入プログラム制御ラインを設定する工程と、この工程で得られたグラウト注入プログラム制御ラインのうちの少なくとも前記濃度による規制ラインに追随するように、注入流量制限値と注入圧力制限値を監視しながら、注入施工開始後の注入工程の進捗に伴う当該地山の性状変化に応じて注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程とからなることを特徴とするグラウト注入制御方法である。
このようなグラウト注入プログラム制御ラインの濃度による規制ラインに追随するように、注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入することにより、予め設定された作業時間内に、過不足なくグラウトを注入することができる。
また、注入するグラウトの主要成分を成す高濃度で一定濃度、一定成分の原液グラウトを生成するとともに、この原液グラウトを希釈するための他の成分からなる1種以上の希釈液を別途に用意し、それらの液をそれぞれ独立したポンプによって圧送し、注入工程の進捗に応じて濃度、成分などが変化する最適性状のグラウト供給の要求に対応すべく、注入孔に至る直前の管路において原液グラウトと希釈液を、その混合比及び総量を地山の状態に応じて連続的に増減、自動調整しつつ、混合、均一化した注入グラウトを注入することにより、余剰グラウトを発生させることがない。
地山安定化のためのグラウト注入工法は、軟弱地盤の改良、地山のクラックの補強、砂礫層への止水などの目的によって注入圧力、注入流量、グラウト濃度などが異なり、さらには注入施工の進捗状況に応じて、それらの最適状態は変化する。
また、地山によっては、注入するグラウトの吐出位置から、グラウトの充填を必要とする地盤中の空隙の間に狭歪部が存在し、この狭歪部の注入抵抗によって注入圧力は上昇するが、注入の継続によって狭歪部が押し広げられて空隙に至る注入抵抗が低下し、急激に注入圧力が低下するなどの例もある。
このため、グラウト注入による地山安定化工事に先立つボーリングや透水テストなどの予備調査によって当該地山の挙動を把握し、施工設計の段階で注入グラウトの濃度、成分、流量制限値、圧力制限値、注入総流量などを決定し、施工作業者に指示を与える。
しかし、従来のグラウト注入工法では、これらの指示をすることが困難であり、また、注入の最終段階であるダメ押し工程を除いては、注入グラウトの濃度、成分などの指示、変更が成されていなかった。
本発明による工法によれば、従来は困難であったか、指示が与えられていなかった注入グラウトの濃度、成分などを、注入施工を中断することなく地山の変化に応じて常に最適状態となるよう自動調整するものである。
本発明によれば、土木工事において地盤改良などのために施工するグラウト注入工法に使用するグラウト濃度の調整を、バッチ処理によらず、グラウトの注入工程が進捗中であっても、注入対象である地山、土質の性質の変化に応じて、任意に、連続的に時々刻々と最適濃度のグラウトを必要量だけ生成、供給することができるグラウト濃度調整する手段を備え、グラウト濃度または注入流量選択的にプログラム制御しつつ、注入圧力を管理するグラウト注入制御装置を提供することができる。従って、工事時間を前もって設定し、その通りに注入することができる。
本発明によるグラウト注入制御装置を使用することにより、地山の性質に応じて最適な注入圧力、流量、濃度でのグラウト注入施工を自動的に行うことができるので、グラウト注入の不適条件による地山破壊などが起こりにくく、施工の信頼度が向上し、さらに高度な技術、熟練を必要とせず、グラウト注入工事従事者の負担を軽減して省力化することができる。
本発明によれば、高濃度で一定濃度、成分比のグラウト原液とその希釈液を用意し、注入開始後の注入圧力、注入流量を検知することにより地山の状態変化を把握し、そのときの地山に応じて該グラウト原液と該希釈液の混合比を自在に調整し、常に最適な流動性を持つグラウトを注入することができる。
本発明によれば、生成するグラウト原液及び希釈液の濃度、成分比などは終始同一で、変更する必要はなく、両供給槽の残余に関わらず、随時、必要に応じた量を別の計量で生成して追加投入することができるので、注入するグラウトの濃度を変更する度にバッチ方式で生成しなくてもよい。
本発明によるグラウト生成方法によれば、過剰なグラウトを生成しなくてもよいので、余剰グラウトを廃棄するための負担を皆無とすることができ、さらには漏出による環境汚染などの恐れを払拭することができる。
さらに本発明によれば、グラウトの必要量だけを随時、足し増しできるので原材料の無駄な消費を抑制し、作業工程を単純化して作業時間を短縮することができ、さらには余剰グラウトの廃棄処理費用を不要にすることで、地山安定化工事のコストを削減し、工期を短縮することができる。
本発明は、水押し試験等の地山の予備調査を行なう工程と、この予備調査工程に基づいて、グラウト注入工程初期の流量規制ラインと、所定の積算量を注入した後に、注入流量を逓減する濃度による規制ラインとからなるグラウト注入プログラム制御ラインを設定する工程と、この工程で得られたグラウト注入プログラム制御ラインのうちの少なくとも前記濃度による規制ラインに追随するように、注入流量制限値と注入圧力制限値を監視しながら、注入施工開始後の注入工程の進捗に伴う当該地山の性状変化に応じて注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程とからなることを特徴とするグラウト注入制御方法である。
前記濃度による規制ラインは、流量規制ラインの降伏点と、注入終了時間として予め設定したダメ押し開始点とを結ぶ許容幅を持った略直線的なラインとする。
また、前記注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程は、グラウト原液を生成する工程と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する工程と、前記グラウト原液と希釈液とをそれぞれ独立して圧送して注入直前に混合し、所定の濃度のグラウトを生成する工程と、地山に注入した時の注入圧力、注入流量、注入濃度、注入時間をパラメータとしてフィードバックして、前記混合液の濃度及び/又は流量を調整する工程とによって実現することができる。
以下、本発明によるグラウト注入制御方法及び装置をさらに詳しく説明する。
A.本発明によるシステムの概要
1.グラウト原液と希釈液を独立したポンプで圧送し、両液の吐出量を調節して混合・注入することにより、任意の濃度のグラウトを生成・注入するシステムを構成する。
2.注入過程で変化する地山の性状を、注入圧力、注入流量の変化として検知して把握し、自動的にグラウトを最適な濃度に調整して連続注入を行う。
3.注入流量又は注入圧力のプログラム曲線を注入口毎に設定し、流量、圧力が設定したプログラムに追従するように、原液ポンプ、希釈液ポンプの運転速度を調整して注入グラウト濃度を制御する。
4.所要のグラウトは、必要なときに必要な量を連続的に生成する方式であり、余剰グラウトを生成しないので、廃棄処理が不要であり、余剰グラウトの廃棄に関わる費用を排除し、かつ、環境汚染への憂慮を皆無にするシステムである。
5.地山の性状を自動的に把握し、流量、圧力、濃度を自動調節する方式であり、作業者の熟練、経験に依存しないシステムである。
6.グラウトの生成は、必要な濃度のグラウトを、その都度一定量を予め生成するバッチ方式ではなく、随時必要に応じて必要量を連続的に生成する方式であり、注入作業の中断などによる作業時間のロスを排除できる。
7.所要の能力に応じた機器の容量選定を行うのみで、同一制御システムを使用して小規模工事から大規模工事まで、幅広い適用が可能である。
8.施工データの収集、記録が容易であり、施工管理に供するとともに、関係者への説明資料として説得あるデータの蓄積が可能である。
B.本発明によるシステム実現の手段
1.一定濃度のグラウト原液(セメントミルク)と、希釈液(清水)とを用意し、それぞれ独立したポンプで圧送し、注入口の手前でラインミキサーにより均一に混合して注入グラウトを生成し、注入口へ送り込む。
2.原液と希釈液を混合した後の注入グラウトを、循環ラインなどによりリターンさせて原液濃度を変えるようなことはしない。
3.原液は、原液計量槽(調整槽)で必要量だけ生成し、随時、原液供給槽へ送り込む方式とし、余剰グラウトを生成しない。
4.原液供給槽は、原液グラウトを連続撹拌しつつ、注入運転時以外は循環させ、沈殿や成分の分離などによる濃度の変化を防止し、槽内、管路ともに均一な濃度状態を保持する。
5.注入圧力、流量ともに管理上限値を設定し、注入施工に伴う地山破壊のおそれを排除するとともに、低圧・大流量注入の状態とその継続時間を判別して漏出を把握する。
6.原液、希釈液流量の自動調整は、モータ・インバータによって駆動する各ポンプの運転速度を、独立して設けられた流量検出器の出力信号を負帰還制御することによって行う。
7.原液グラウトの生成は、任意に行うことができるので、工程進捗状況の如何に拘わらず、注入施工を中断することなく、原液供給槽の残量に応じて、随時、連続的に補充することができる。
C.本発明によるグラウト濃度調節システム設計の考え方
1.地山の性質とグラウト注入方法
1−1.地山改良のためのグラウト注入は、注入圧力、流量、グラウト濃度を、そのときの地山の状態に応じて適正に管理すべきであり、それらの適正な管理値は、注入作業の進捗に応じて刻々と変化するものである。
1−2.注入圧力が過剰であれば、クラックなどの間隙を押し広げ、地山を破壊するおそれがあるので、注入圧力は、地山の性質に応じて又は岩盤変位計で計測した変位量と相俟って、適正な値以下に制限されなければならない。
1−3.注入圧が上昇せず、注入流量値だけが上昇することは、注入、改良を目的とする地山以外の部分に漏洩を生じている可能性があるので、的確にチェックし、注入を停止して検討する必要がある。
1−4.地山の性質が同じ状態であれば、同一圧力で注入した場合には、高濃度のグラウトほど注入流量は減少し、同一流量で注入した場合には高濃度のグラウトほど注入圧力は上昇する。
1−5.一般的グラウト注入における注入開始時には、注入点から離れた、間隙の狭いクラックなどの注入抵抗の大きい地山の不安定部から改良すべく、粘度が高く、注入抵抗の少ない低濃度グラウトを注入し、次第にグラウト濃度を高くして、間隙の大きい不安定部に圧送・充填してゆく。
グラウトを注入抵抗の大きい高濃度にして、同じ流量での注入を継続すれば、グラウト及び地山の注入抵抗がともに上昇し、注入圧力が上昇してくるので、自然と注入流量が低下する。
1−6.グラウト注入の最終工程においては、それまでに注入したグラウトが地山の微細な間隙にまで十分浸透するよう任意の濃度で、かつ、管理圧力値で注入流量がゼロ又はそれに近い状態になるまで「ダメ押し」を行う。
1−7.以上により、注入に当たり、流量、圧力、グラウト濃度を監視しつつ、適切な注入方法を、プログラム注入及び手動注入によって行う。
2.グラウト濃度の調整と制御
2−1.高濃度のグラウト原液と希釈液を用意し、それぞれ流量制御をしつつ独立したポンプによって圧送し、吐出側で混合して任意濃度の注入グラウトを得る。
2−2.グラウト原液の濃度は、W/C=0.75/1又は1.0/1のいずれかを選択し、グラウト原液を調整し、生成するとともに、注入運転開始に先立って演算定数としての原液W/Cを設定し入力する。希釈液は、清水とし、計算比重は、ρw=1.0[kg/L]とする。
2−3.起動時及び運転中において、生成すべき注入グラウトの吐出流量とW/Cが与えられれば、グラウト原液流量と希釈液流量とをそれぞれ独立して流量制御を行う。
このとき、グラウト原液流量と希釈液流量の和が吐出流量となり、かつ、注入する混合・生成グラウトのW/Cが与えられた値になるように演算して求めて設定流量値とする。
2−4.流量設定値をプログラム又はマニュアル設定する注入グラウトの流量制御を優先とし、注入グラウトの吐出圧力が、圧力設定上限値より上昇すれば注入グラウト濃度を低下させ、設定圧力下限値より低下すれば注入グラウト濃度を上昇させるようにW/Cを自動変更する。
このとき、変更したW/Cの値に応じて、グラウト原液と希釈液の所要流量を自動演算して流量設定値として与え、それぞれ独立した流量制御を行うが、濃度変更の効果が現れる猶予時間を待って、さらに濃度変化するか否かを自動判断する。
2−5.注入グラウトの吐出圧力の増減に応じて、グラウト濃度、W/Cを自動的に減増させる流量制御において、注入グラウトの吐出圧力が圧力設定した上限値に至れば、流量設定値の如何に関わらず、圧力設定中心値に戻るまで流量設定値を強制低減させる。
3.プログラム制御グラウト注入方式
3−1.グラウト注入の一つの注入口について、注入開始から最終段階のダメ押しまで注入流量をプログラム化する(図1(a))。
3−2.グラウト注入は、低濃度グラウト(グラウト原液+希釈液)の注入で開始し、注入開始後から一定時間まで、管理上限値内で、グラウトが地盤内に注入される。
時間の経過とともに、充填率が充足され、次第に流量値が逓減され、最終的には、流量は、ゼロ又はそれに近い状態となる。
3−3.プログラム流量制御によって注入を開始した後、注入圧力が設定上限値に達したら、圧力が上限値を超えないようにポンプの回転数を下げ、圧力を低下させる。流量値がプログラム上限管理線を越えたときは、ポンプの回転でセメント・水比を上げ、グラウト濃度を濃くする。濃くすれば、当然、流量が減少する。減少しすぎると、プログラム下限管理線を越えるので、そのときは、ポンプでセメント・水比を下げ、グラウト濃度を薄くする。
このように、管理線の上下2本の間に収まるように濃度管理制御を行なう。
3−4.注入開始後、流量が大きいにも拘らず、圧力が設定下限値以下の場合は、警報を発してマニュアル検討を指示する(図1(c))。
ここで、前記図1(a)は、地山改良施工をするためのある注入孔について、当該地山のためのグラウト注入プログラム制御ラインを設定した例を示している。このモデル化したグラウト注入プログラム制御ラインは、時間Tを横軸にし、単位注入流量Qと注入圧力Pを縦軸にして表したもので、注入開始S時から降伏点QK(A0時)までの一定大流量を注入する流量規制ラインL1と、降伏点QK(A0時)からB時までの、注入流量を逓減する濃度による規制ラインL2と、B時からC時までの、単位時間当たりの注入量が所定値以下に達したときにダメ押し注入するダメ押しラインL3と、注入開始のS時からA1時までの、注入圧力が逓増する圧力逓増ラインP1と、A1時からC時までの、制限圧力に達しないように圧力を規制する圧力規制ラインP2とで構成する。
前記濃度による規制ラインL2は、流量規制ラインL1の降伏点QKと、注入終了時間として予め設定したダメ押し開始点Bとを結ぶ許容幅を持った略直線的なラインとする。
図1(a)において、Q0は、注入流量Qの制御値の許容幅、P0は、注入圧力Pの制御値の許容幅、QHは、超えてはならない注入流量Qの上限管理値、PHは、同じく注入圧力Pの上限管理値である。A0は、注入開始Sから適宜の濃度に制御しつつ設定流量を一定として注入する点であり、降伏点QKでもある。Bは、濃度による規制ラインL2の終点で、ダメ押しの開始点でもある。Cは、注入作業の終了点である。また、P1は、注入開始のS時からA1時までに0からP0まで注入圧力が逓増するように管理される。
これらのQ0、P0、QH、PH、A0、A1、B、C、L1、L2、L3、P1、P2の各点は、事前に行われる水押し試験、ボーリング等の当該地山の予備調査に基づいて設定される。
図1(a)に示すように、当該地山用にモデル化されたグラウト注入プログラム制御ラインを設定したにも拘らず、実際の注入工程では、このグラウト注入プログラム制御ラインのとおりに推移するとは限られない。
図1(b)は、圧力逓増ラインP1が注入開始のS時からA1時に達する前のD点でP0に達した例を示している。地山中の空隙の間に存在している狭歪部の注入抵抗が予測以上に大きいために注入圧力が急激に上昇しているような場合である。
図1(c)は、注入開始のS時からA1時までの、注入開始後、一定大流量を注入しても予定外の箇所へ漏出して注入圧力が上昇しないため、D点で注入を停止したような場合を示している。
図2は、前記図1に例示したグラウト注入プログラム制御ラインに沿って制御するためのグラウト注入制御装置を示すもので、設定グラウト原液と希釈液を循環しておき、注入開始指令によって同時に切り替え弁を作動させ混合・圧送する配管系統と信号授受の状態など、動作原理を説明する図であり、説明を簡単にするため、希釈液の系統は1系統の場合について図示しており、動作説明に不要な手動止め弁などは省略している。
図2において、(11)はグラウト原液槽で、このグラウト原液槽(11)には、図示されない計量器又は計量槽で生成された高濃度のグラウト原液(10)が投入され、原液撹拌機(12)によって撹拌されながら、さらに別途に設定される循環運転速度で運転している原液圧送ポンプ(13)により、グラウト原液は、原液切り替え弁(14)を介して循環しているとともに、流量検出器(15)に送られる。
注入開始前に原液圧送ポンプ(13)を運転してグラウト原液(10)を循環させるのは、注入に先立ち、グラウト原液(10)が成分分離したり、沈殿したりすることを防止して、原液全体を常に均一な状態に保持することが目的である。
他方、成分調整した上で希釈液槽(21)に投入された希釈液(20)は、希釈液撹拌機(22)によって撹拌されつつ、別途設定される速度で運転している希釈液圧送ポンプ(23)により、希釈液切り替え弁(24)を介して循環しているとともに、流量検出器(25)に送られる。この希釈液(20)には、例えば、薄いグラウト液が用いられる。 希釈液(20)は、水であってもよい。水その他、撹拌操作をしなくても分離したり沈殿したりしない性質の液体であれば、撹拌機(22)は不要である。
原液圧送ポンプ(13)及び希釈液圧送ポンプ(23)は、制御回路(49)から与えられる後述の速度指令信号(51)、(61)に応じて、それぞれのポンプ運転速度を制御する速度制御器(16)、(26)の出力信号によって駆動せしめられるが、速度制御器(16)、(26)が各ポンプ(13)、(23)を駆動する誘導電動機の駆動周波数を変化させてポンプ速度を調節するモーター・インバーターであれば、速度指令信号(51)、(61)は出力周波数指令信号であり、各電動機には、その指令信号に基づく周波数の駆動電源が供給され、電動機は、その周波数に基づいた運転速度で駆動される。
グラウト注入を開始すると、制御回路(49)からの切り替え弁信号(53)、(63)によって、原液切り替え弁(14)及び希釈液切り替え弁(24)が同時に循環から注入側に切り替わり、グラウト原液、希釈液の両液は、例えばスタテイツクミキサーなどで構成するラインミキサー(31)によって均一に混合され、注入管(34)を介して、地山(40)の注入位置(41)へ放出される。
前記スタテイツクミキサーは、駆動部を有しない管形の混合器で、円形の管路内に混合素子を設置したものである。この混合素子の形状は、長方形の板を左右逆方向に180度ひねったもので、それらを左右交互にそれぞれ直交するように配列したものである。
注入開始時に前記制御回路(49)から速度制御器(16)、(26)に与えられる各ポンプ(13)、(23)の速度信号は、あらかじめ設定されるプログラムに基づいた注入グラウトの流量及び濃度、例えばW/Cで示される注入グラウトの水とセメントの混合比率から演算されたそれぞれの流量値をポンプ速度に換算した信号であり、それぞれの流量検出器(15)、(25)によって検出される流量をフイードバック信号として取り込み、制御回路(49)に内蔵する調節系によって速度制御器(16)、(26)に与えられる速度信号が適正になるように自動調整される。
前記制御回路(49)には、入力回路、RAM、ROM等が内蔵され、前記入力回路は、各種指令信号を入力し、前記RAMは、データを一時記憶するとともに、各種演算を行ない、前記ROMは、地山の予備調査に基づいて、各注入孔における注入グラウトの初期濃度、注入流量制限値QH、注入圧力制限値PH、流量規制ラインL1、濃度による規制ラインL2、ダメ押しラインL3、圧力逓増ラインP1、圧力規制ラインP2からなるグラウト注入プログラム制御ラインをモデル化して与え、注入施工開始後の工程の進捗に従って流量又は圧力が与えたモデル曲線に追従するよう、原液グラウト及び希釈液の流量並びにそれらの比率を自動調整し、注入グラウトの濃度を地山の変化状態に応じて常に最適であるよう調整するためのプログラムを記憶しているものである。
図2に示した機器のうち、原液圧送ポンプ(13)、希釈液ポンプ(23)の型式は、吐出圧力性能が同等の電動ピストンポンプが適当であり、ポンプの速度制御器(16)、(26)は、モーター・インバーターが適当である。
さらに、循環、注入を切り替える切り替え弁(14)、(24)は、速い切り替え速度が要求されるために空気駆動方式が望ましく、両液の流量検出器(15)、(25)は電磁流量計が適当である。
このような構成において、図1(a)に示すような注入点における地山の性状に適合したS点からC点までの注入作業時間(例えば、3時間)と、グラウト注入プログラム制御ラインとを予め設定する。
注入を開始するS点から、水押し試験で設定された初期設定濃度に基づくグラウト原液(10)と希釈液(20)の流量値が自動演算され、その結果によってグラウト原液ポンプ(13)と希釈液ポンプ(23)の速度が与えられ、初期設定濃度のグラウト注入が開始される。一定大流量を注入する流量規制ラインL1では、プログラム設定された注入流量Q0まで達すると、流量制御が開始される。
低濃度である初期設定濃度のグラウトが地山に注入され、次第に地山の注入抵抗が増加するに従い、注入流量Qを制御値に維持する結果、注入圧力PはP1のように、次第に上昇する。A0点までの流量規制ラインL1では、少しずつ濃度を上げていっても良いし、ある程度の濃度になったら一定値にしてもよい。
注入流量Qがやや低下した降伏点QK(A0点)に至ると、この降伏点QKとB点を結ぶ注入流量を逓減する濃度による規制ラインL2となる。注入圧力Pの上昇傾向は鈍くなるが、さらに注入圧力Pは上昇を続け、圧力制御幅P0に入ってAl点において設定制御値を越えることになる。
ここで、注入圧力をP2のように制限値P0内に維持しつつ、プログラムによって与えられる流量値に制御しようとするためには、注入抵抗が低下するよう、注入グラウトの粘度を低下させればよい。それには、希釈液(20)の流量に対するグラウト原液(10)の流量比率を自動的に低下させて濃度を下げて対処する。
さらに詳しくは、図1(a)におけるQK点からの注入流量を逓減する領域のうち、注入圧力Pが制限値に至ったAl点からB点に至る領域では、注入流量Qをプログラムによる濃度による規制ラインL2に追従させたとき、地山の注入抵抗の増加と注入量の減少が平衡し、注入圧力P2を管理値の一定範囲P0内に維持できるとは限らず、変動を伴う。
注入圧力P2が上昇した場合にはグラウト原液(10)に対する希釈液(20)の供給比率を増やして注入グラウトの濃度を低下させ、注入圧力P2が低下した場合には注入グラウトの濃度を上昇させる自動調整を行う。
このように注入グラウトの濃度調節は、注入施工の進捗に応じて一方的に増加させるのみではなく、注入圧力の変化に応じて高濃度側へも低濃度側へも、グラウト原液ポンプ(13)と希釈液ポンプ(23)の運転速度を自在に自動調整することによって高濃度側から低濃度側へ又は低濃度側から高濃度側へと可逆的な制御を行う。
B点に至り、単位注入流量Qがほぼゼロ又は一定値以下になってからも、さらにC点に至るまでのダメ押しラインL3では一定時間、ポンプの低速運転を続け圧力を加えるが、この領域は「ダメ押し」と称し、先立って注入された高濃度のグラウトを地山に十分浸透させる工程であり、任意の濃度のグラウトが注入される。
図1(b)は、注入点における地山の性状が、事前に予測したよりも密であって、注入抵抗が大である場合の例であり、プログラム曲線の流量規制ラインL1における降伏点QK点に至る以前のD点において注入圧力P1が制限値P0に達した場合を示したもので、流量規制ラインL1の領域であってもD点から注入グラウトの濃度を低下させ、注入流量Qを維持しつつそれ以上の圧力上昇を制限する制御動作が開始される。
図1(b)の降伏点QK以降の流量低減範囲における注入グラウトの濃度制御動作は、図1(a)における動作と同様である。
図1(c)は、注入点における地山の性状が、事前に予測したよりも疎であって、注入抵抗が小であり、注入を開始するとグラウトは容易に注入され、圧力P1が上昇しない場合を示している。
このような場合には、注入したグラウトが地山内で予定外の範囲に漏出している可能性があり、注入を継続すると予想し得ない箇所へグラウトが噴出し、環境汚染に至る可能性もあり、ここでは注入を開始してからT時間後、E点において注入を自動的に停止する例を示している。
図1(c)における例では、E点で注入を自動停止した後、注入グラウトに増粘剤を添加し又は擬固促進剤を添加するなどして、注入抵抗の少ない地山に適合したより高粘度のグラウトを調整、再生成して、再度、注入施工を開始すべきであるが、注入圧力と流量の変動を検出して地山の状態を把握し、増粘剤又は擬固促進剤を自動的に添加して、注入工程を中断せず工事を進捗させる方法及びその装置を構築することも容易に可能である。
図示していないが、注入開始から次第に注入圧力が上昇し、事前に予測していた通りであると認識される地山において、急激な圧力低下が生じた場合には、注入抵抗の低い空隙の前に注入抵抗の大きな狭歪部があり、注入の継続により該狭歪部が押し広げられて注入抵抗が急激に低下したか又は注入グラウトが意図しない他の部分へ漏出したかの疑いがある。
このような場合には、注入工程の進捗に従って次第に濃度を上昇させる一般的な場合とは逆に、注入するグラウトの濃度を低下させるか又は増粘剤を添加して粘度を上げたグラウトを注入し、それ以降の圧力変動と時間によって地山の状況を把握し、注入を継続するべきか、中断すべきかの判断を行うべきであるが、この判断過程をプログラム化して自動的に行うことも可能である。
図3は、図1に示したごとく、地山の性質に応じて注入グラウト濃度を自動調節するための、制御系統を説明する図であり、説明を容易にするために各機能をブロック図化した機器として表しているが、プログラマブルコントローラーやコンピューターを使用して、ソフトウェアで対応することも可能である。
図3において、切り替え弁(14)、(24)が注入側へ切り替わり、注入が開始されてから、順次、注入グラウトの設定流量Qを発信するプログラム設定器(70)から出力される流量設定値は、総流量調節器(72)に与えられ、グラウト原液流量検出器(15)及び希釈液流量検出器(25)の測定信号が両者を加算する流量加算器(73)に取り込まれて得られる合計流量値がフイードバックされて流量調節ループが構成されるとともに、それぞれの流量信号は、原液流量調節器(55)及び希釈液流量調節器(65)にもフイードバック信号として与えられ、両液個別の流量調節ループが構成される。
他方、ラインミキサー(31)によって混合撹拌された注入グラウトは、図2における注入管(34)を介して地山(40)の注入位置(41)に吐出されるが、注入抵抗による背圧を受けて上昇した圧力値は、圧力検出器(32)によって検出・出力され圧力調節器(74)に与えられ、その調節出力は比率調節器(71)に与えられる。
ここにおいて比率調節器(71)は、入力される注入圧力値が増加すれば逆に低下する調節出力を発する特性であるとし、この調節出力は、比率乗算器(56)、原液流量調節器(55)を介して原液圧送ポンプ(13)の速度を変更する速度制御器(16)に与えられる。
また、比率調節器(71)の出力は、反転演算器(75)によって反転され、原液系統に与えられる理論値と逆の値となって希釈液系統の比率乗算器(66)、希釈液流量調節器(65)を介して希釈液圧送ポンプ(23)の速度を変更する速度制御器(65)に与えられる。
ここで比率調節器(71)から直接、原液系統の比率乗算器(56)に与えられ、同時に反転演算器(75)を介して反転値として希釈液系統の比率乗算器(66)に与えられる信号は、それぞれ理論値として1から0及び0から1の値をとり、プログラム設定器(70)の出力を設定値として受ける総流量調節器(72)の流量調節出力に乗数として与える比率乗算係数であり、両者を加算した理論値は常に1である。
次に一実施例について、具体的な数値をもって説明する。
濃度の高いグラウト原液として水に対するセメントの質量比を1/1、即ち、W/C=1/1であるセメントミルクを準備し、希釈液として清水を用いるものとした場合、両者を混合して得られる注入グラウトの濃度W/Cは、グラウト原液と希釈液の流量比に応じて次のごとく得られる。
グラウト原液の流量をQg[L]、希釈液の流量をQw=k×QgとするときW/C=1/1のセメントミルクの比重は、ρ=1.52であるので、グラウト原液中の水の量Gwとセメントの質量Gcは同量であり、
Gw=Gc=(1/2)×1.52×Qg [kg]
希釈液の比重は1.0であり、グラウト原液と希釈液を混合した注入グラウト中の水の量Gwlとセメントの量Gclは Gwl=1.0×[(1/2)×1.52×Qg+k×Qg]

=(0.76+k)×Qg
Gcl=Gc=0.76×Qg 従って、混合生成される注入グラウトは

W/C=0.76+k/0.76
となる。
以上の説明で明らかなように、グラウト原液(10)、希釈液(20)の比重などの係数を入力しておけば、得られる測定体積流量から混合生成される注入グラウトのW/Cを自動演算し、本発明のよる装置に表示器を設けてモニタリングすることは容易であり、さらに希望するW/Cの注入グラウトを得るためのグラウト原液と希釈液の流量比率を演算、出力することも可能である。
以上の説明においては、理解を容易にするため1種類のグラウト原液と1種類の希釈液を混合して、地山の性状に応じた最適な濃度の注入グラウトを任意に生成する実施例について説明したが、この発明に適用するグラウト原液及び希釈液は1種類に限定されるものではなく、それぞれ2種類以上であってもよい。
また、グラウト原液(10)又は希釈液(20)の成分として増粘剤や凝固促進剤を混入することも可能であり、さらには増粘剤や凝固促進剤を別途の圧送ポンプ系統から供給、混入させ、ラインミキサー(31)でグラウト原液、希釈液と混合して注入することもできる。
上記の説明においては、グラウト原液及び希釈液の流量、比率制御について、電磁流量計などによって流量検出を行い、フイードバック制御ループを構成する実施例を説明したが、流量、比率制御の精度が若干低下することを認容する場合には、それぞれのポンプを駆動するモーター・インバータへ駆動周波数指令信号を与えてポンプの運転速度を調節するオープンループ制御を取ることも可能である。
本発明は、地山に注入管を差し込みグラウトを注入して地山を改良する場合について利用できるのみならず、地山を撹拌翼で撹拌しながらグラウトを注入して地山を改良する方法にも利用することができる。
地山改良施工に本発明によるグラウト注入制御方法および装置を適用した場合の応答を表した特性図であり、地山の状況に応じて相違する(a)、(b)、(c)の3例を示している。 グラウト原液と希釈液を循環し、注入開始指令によって同時に切り替え弁を作動させ混合、圧送する配管系統と信号授受の状態など本発明によるグラウト注入制御方法および装置の動作原理を説明する実施例1の説明図である。 地山の性質に応じて注入グラウト濃度を自動調節する図2における制御系統を説明する詳細な説明図であり、各機能をブロック図化した機器として表している。 従来のグラウト注入制御のためのグラウト管理日報の一例を示すもので、(a)は、注入チャート、(b)は、作業記録の説明図である。
符号の説明
10…グラウト原液、11…グラウト原液槽、12…原液撹拌機、13…原液圧送ポンプ、14…原液切り替え弁、15…流量検出器、16…速度制御器、20…希釈液、21…希釈液槽、22…希釈液撹拌機、23…希釈液圧送ポンプ、24…希釈液切り替え弁、25…流量検出器、26…速度制御器、31…ラインミキサー、32…圧力検出器、34…注入管、40…地山、41…注入位置、49…制御回路、51…速度指令信号、53…切り替え弁信号、55…原液流量調節器、56…比率乗算器、61…速度指令信号、63…切り替え弁信号、65…希釈液流量調節器、66…比率乗算器、70…プログラム設定器、71…比率調節器、72…総流量調節器、73…流量加算器、74…圧力調節器、75…反転演算器。

Claims (6)

  1. 水押し試験等の地山の予備調査を行なう工程と、
    この予備調査工程に基づいて、注入開始からの注入を一定流量に規制するために予め設定されたグラウト注入工程初期の流量規制ラインと、この流量規制ラインに沿って一定流量を注入し、所定の積算量を注入した後に、注入圧力の上昇に伴い注入流量が低下を開始する降伏点と、注入終了時間として予め設定したダメ押し開始点とを結ぶ許容幅を持った略直線的なラインをもって注入流量を濃度の制御によって逓減する濃度による規制ラインとからなるグラウト注入プログラム制御ラインを設定する工程と、
    この工程で得られたグラウト注入プログラム制御ラインのうちの少なくとも前記濃度による規制ラインの許容幅内に追随するような注入流量値を保持するために、グラウト原液に対する希釈液の比率を、注入圧力が上昇したときに増やしてグラウトの濃度を低下させ、注入圧力が低下したときに減らしてグラウトの濃度を上昇させるように、注入流量制限値と注入圧力制限値を監視しながら、注入施工開始後の注入工程の進捗に伴う当該地山の性状変化に応じて注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程と
    からなることを特徴とするグラウト注入制御方法。
  2. グラウト注入プログラム制御ラインを設定する工程は、流量規制ラインと、濃度による規制ラインの他に、ダメ押し開始点からダメ押し終了点までのダメ押しラインと、注入開始から注入圧力が制限値に至るまでの圧力逓増ラインと、注入圧力が制限値に至ったときからダメ押し終了点までの圧力規制ラインとで構成したことを特徴とする請求項1記載のグラウト注入制御方法。
  3. 注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程は、グラウト原液を生成する工程と、このグラウト原液を希釈する希釈液を生成する工程と、前記グラウト原液と希釈液とをそれぞれ独立して圧送して混合し、注入直前に所定の濃度のグラウトを生成する工程と、地山に注入した時の注入圧力、注入流量、注入濃度、注入時間をパラメータとしてフィードバックし、前記混合液の濃度及び/又は流量を可逆調整する工程とからなることを特徴とする請求項1又は2記載のグラウト注入制御方法。
  4. 注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程における所定の濃度の混合液を生成する工程は、グラウトの主成分を含む1種類以上のグラウト原液と、このグラウト原液と混合して生成する混合液の濃度をグラウト原液より低下せしむる1種類以上の希釈液とを、それぞれ独立したポンプを使用して圧送し、地山に注入する注入管流路に至る前段階で混合してなり、この吐出する混合液の吐出圧力値及び流量値の変化に応じてグラウト原液と希釈液の混合比率を連続、自動的に可逆調整することを特徴とする請求項3記載のグラウト注入制御方法。
  5. 注入グラウト濃度の濃淡を制御しつつ注入する工程における所定の濃度の混合液を生成する工程は、地山に注入する混合液の吐出圧力値及び流量値の変化に応じて、グラウトの凝固を促進する凝固促進剤又は粘度を増加させる増粘剤を添加して注入するグラウトの性状を変化させることを特徴とする請求項3又は4記載のグラウト注入制御方法。
  6. グラウト原液を投入したグラウト原液槽と、このグラウト原液槽に結合された原液圧送ポンプと、この原液圧送ポンプによる吐出量を検出する流量検出器と、希釈液を投入した希釈液槽と、この希釈液槽に結合された希釈液圧送ポンプと、この希釈液圧送ポンプによる吐出量を検出する流量検出器と、前記原液圧送ポンプと希釈液圧送ポンプとから吐出されたグラウト原液と希釈液とを混合するラインミキサーと、このラインミキサーの吐出側に連結された注入管と、この注入管の吐出圧力を検出する圧力検出器と、混合液の吐出圧力値及び流量値の変化に応じて原液と希釈液の混合比率を連続、自動的に可逆調整してコンピュータに請求項1又は2記載のグラウト注入制御方法を実現させるためのプログラムを記憶した制御回路とからなり、地山に注入した時の注入圧力、注入流量、注入濃度、注入時間をフィードバックして前記混合液の濃度及び/又は流量を可逆的に調整するようにしたことを特徴とするグラウト注入制御装置。
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