JPH11130498A - 急結材、吹付材料、及び吹付工法 - Google Patents

急結材、吹付材料、及び吹付工法

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JPH11130498A
JPH11130498A JP9294641A JP29464197A JPH11130498A JP H11130498 A JPH11130498 A JP H11130498A JP 9294641 A JP9294641 A JP 9294641A JP 29464197 A JP29464197 A JP 29464197A JP H11130498 A JPH11130498 A JP H11130498A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間の貯蔵においても物性の低下を示さな
いコンクリートを得ることができる急結材、吹付材料、
及び吹付工法の提供。 【解決手段】 カルシウムアルミネート、Na2 O/A
2 3 のモル比が1.0〜1.3であるアルミン酸ナ
トリウム、硫酸塩、並びに、減水剤、増粘剤、超微粉、
及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以
上の混和材を含有する急結材。アルミン酸ナトリウムの
最大粒径が0.3mm以下である該急結材。セメント
と、該急結材とを含有する吹付材料。該吹付材料を使用
する吹付工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、道路、鉄
道、及び導水路等のトンネルにおいて、露出した地山面
へ吹付ける急結材、吹付材料、及び吹付工法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネル掘削等露出した地山の崩
落を防止するために急結材をコンクリートに配合した急
結性吹付コンクリートの吹付工法が行われている(特公
昭60−4149号公報)。この吹付工法は、通常、掘
削工事現場に設置した計量混合プラントで、セメント、
骨材、及び水を混合して吹付コンクリートを調製し、ア
ジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、そ
の途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結材と混
合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚
みになるまで吹付ける工法である。
【0003】現在市販されている急結材は、水ガラス、
アルカリ金属アルミン酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩
とアルカリ金属炭酸塩の組み合わせ、アルカリ金属アル
ミン酸塩やアルカリ金属アルミン酸塩とアルカリ金属炭
酸塩の組み合わせに仮焼明ばん石を組み合わせたもの、
及びカルシウムアルミネートを主成分としたもの等が知
られている。しかしながら、水ガラス、アルカリ金属ア
ルミン酸塩、アルカリ金属アルカリ炭酸塩、及びアルカ
リ金属アルミン酸塩やアルカリ金属アルミン酸塩とアル
カリ金属炭酸塩の組み合わせに仮焼明ばん石を組み合わ
せたものは、急結性が小さいため、湧水箇所では吹付施
工がしにくいという課題があった。又、セメントに対す
る急結材の最適添加量の範囲が狭く、実際の施工現場で
の管理が難しいという課題があった。
【0004】従来、アルミン酸ナトリウムを含有する急
結材としては、アルミン酸ナトリウムとカルシウムアル
ミネートを併用した二成分系のもの、アルミン酸ナトリ
ウムと炭酸ナトリウムを併用した二成分系のもの、さら
にカルシウムアルミネートを混合した三成分系のものが
挙げられる(特公昭56−27457号参照)。
【0005】従来から、急結材としてアルミン酸ナトリ
ウムを使用する場合には、そのNa 2 O/Al2 3
モル比は1.0未満という低モル比のものが一般的であ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低モル
比のアルミン酸ナトリウムは、長期保存性が非常に悪
い、急結性が著しく低下するという課題があった。
【0007】そこで、本発明者は、前述の課題を解決す
べく種々検討を重ねた結果、特定のアルミン酸ナトリウ
ムを使用することにより、前述の課題が解決されるとの
知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、カルシ
ウムアルミネート、Na2 O/Al2 3 のモル比が
1.0〜1.3であるアルミン酸ナトリウム、硫酸塩、
並びに、減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質から
なる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を含有し
てなる急結材であり、アルミン酸ナトリウムの90%粒
子径が0.3mm以下である該急結材である。そして、
セメントと該急結材を含有してなる吹付材料であり、該
吹付材料を使用してなることを特徴とする吹付工法であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しく説明
する。なお、本発明ではセメントモルタルやコンクリー
トを総称してセメントコンクリートという。
【0010】本発明で使用するセメントとしては、通常
市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各
種ポルトランドセメント、並びに、これらのポルトラン
ドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した
各種混合セメント等が挙げられ、これらを微粉末化して
使用してもよい。吹付けに要求されるリバウンド率や粉
塵量の低減、圧送性、強度発現性、及び施工条件等の性
能により適したセメントを選択できるが、一般的に使用
できる普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセ
メントが好ましい。
【0011】又、フルオロカルシウムアルミネートを含
有するフルオロセメントも使用できる。さらに、CaO
をC、Al23 をA、SiO2 をS、及びFe2 3
Fとすると、C2 S、C3 S、C3 A、及びC4 AFと
示されるセメント中の鉱物組成の含有量を変更して焼成
したクリンカーに、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、及
び硫酸ナトリウム等の硫酸塩を併用した特殊セメントも
使用できる。
【0012】本発明で使用するカルシウムアルミネート
とは、CaO原料やAl23 原料等を混合したものを、
キルンで焼成したり、電気炉で溶融したりする等の熱処
理をして得られるものをいい、初期にセメントコンクリ
ートの凝結を起こさせる急結成分である。
【0013】カルシウムアルミネートとしては、C
3 A、C127 、CA、及びCA2 等の鉱物組成で示さ
れるカルシウムアルミネート熱処理物が挙げられ、これ
らの一種又は二種以上を使用してもよい。又、これらを
粉砕したものであってもよく、さらに、その他の成分と
して、ナトリウム、カリウム、及びリチウム等のアルカ
リ金属が一部含有したカルシウムアルミネート等も使用
できる。これらの中では、反応活性の点で、非晶質のカ
ルシウムアルミネートが好ましく、C127 組成に対応
する熱処理物を急冷した非晶質のカルシウムアルミネー
トがより好ましい。
【0014】又、SiO2 成分を含有するアルミノケイ
酸カルシウム、C127 の1つのCaOをCaF2 等の
ハロゲン化物で置き換えたC117 ・ CaX2 (Xはフ
ッ素等のハロゲン)、SO3 成分を含有するC4 3
SO3 も同様に使用できる。更に、アルミナセメントも
同様に使用できる。
【0015】カルシウムアルミネートの粒度は、ブレー
ン値で5000cm2 /g以上が好ましい。5000c
2 /g未満だと急結性や初期強度発現性が低下するお
それがある。
【0016】アルミン酸ナトリウムは、Na2 OとAl
2 3 を主成分とするものであり、水溶液と粉末の二種
類がある。アルミン酸ナトリウムは急結材の成分として
非常に重要である。
【0017】アルミン酸ナトリウムは、カルシウムアル
ミネートに混合することにより、セメントコンクリート
の急結性と強度発現性を向上し、吹付後のコンクリート
混練物の急結を促進させる作用を有するものである。
【0018】アルミン酸ナトリウムは、水酸化アルミニ
ウムと水酸化ナトリウムとを水に加熱溶解させることに
より製造される。この製造過程においては、合成温度や
乾燥条件によって無水物や含水物になり、ナトリウム分
が多い場合には無水物が生成しやすい。無水物と含水物
との中では、急結性や貯蔵安定性の点で、無水物が好ま
しい。
【0019】アルミン酸ナトリウムのNa2 O/Al2
3 のモル比は1.0〜1.3が好ましく、1.05〜
1.20がより好ましい。1.0未満だと急結性が小さ
いおそれがあり、1.3を越えると吸湿して貯蔵安定性
が小さくなるおそれがある。
【0020】アルミン酸ナトリウムの90%粒子径は
0.3mm以下が好ましく、0.05〜0.2mmがよ
り好ましい。0.05mm未満だと吸湿して貯蔵安定性
が小さくなるおそれがあり、0.3mmを越えると急結
性が低下するおそれがある。
【0021】アルミン酸ナトリウムの使用量は、カルシ
ウムアルミネートとアルミン酸ナトリウムの合計100
重量部中、1〜70重量部が好ましく、5〜40重量部
がより好ましい。1重量部未満では凝結性や強度発現性
が低下するおそれがあり、70重量部を越えると強度発
現性や貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0022】硫酸塩は強度発現性を向上させるものであ
る。
【0023】硫酸塩としては、硫酸ナトリウムや硫酸カ
リウム等のアルカリ金属硫酸塩、硫酸マグネシウムやセ
ッコウ等のアルカリ土類金属硫酸塩、並びに、硫酸アル
ミニウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使
用してもよい。これらの中では、強度発現性の点で、セ
ッコウが好ましい。
【0024】本発明で使用するセッコウは、強度発現性
を向上するために使用するものである。セッコウとして
は、無水セッコウ、半水セッコウ、及び二水セッコウ等
が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよ
い。これらの中では、強度発現性の点で、無水セッコウ
が好ましい。
【0025】硫酸塩の粒度は、強度発現性の点で、ブレ
ーン値で2500cm2 /g以上が好ましく、5000
cm2 /g以上がより好ましい。2500cm2 /g未
満だと強度発現性が低下するおそれがある。
【0026】硫酸塩の使用量は、カルシウムアルミネー
ト、アルミン酸ナトリウム、及び硫酸塩の合計100重
量部中、10〜70重量部が好ましく、30〜60重量
部がより好ましい。10重量部未満だと強度発現性が小
さくなるおそれがあり、70重量部を越えると初期凝結
が遅れ、地山に対する付着性が小さくなるおそれがあ
る。
【0027】急結材の使用量は、セメント100重量部
に対して、3〜30重量部が好ましく、5〜20重量部
がより好ましい。3重量部未満だと効果がないおそれが
あり、30重量部を越えると急結材を圧送する圧送管が
閉塞したり、長期強度発現性が小さくなるおそれがあ
る。
【0028】本発明ではセメントモルタルの凝結硬化前
のスランプ等の特性や凝結硬化後の強度特性等を改善す
るために、減水剤、増粘剤、超微粉、及び繊維状物質か
らなる群より選ばれる一種又は二種以上の混和材を使用
する。これらの混和材の中では強度発現性の点で減水剤
が好ましい。
【0029】本発明で使用する減水剤とは、セメントコ
ンクリートの流動性や急結材の分散安定性を改善するた
めに使用するものをいい、液状や粉状のものいずれも使
用できる。減水剤としては、ポリオール誘導体、リグニ
ンスルホン酸塩やその誘導体、及び高性能減水剤等が挙
げられ、これらの一種又は二種以上を使用してもよい。
これらの中では、高強度発現性や分散安定性の点で、高
性能減水剤が好ましい。
【0030】高性能減水剤により、急結材の使用量を少
なくでき、又、粉塵の発生量、及びリバウンド率が極め
て少なくできる。
【0031】高性能減水剤としては、アルキルアリルス
ルホン酸塩のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸
塩のホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩のホルマ
リン縮合物、及びポリカルボン酸系高分子化合物等が挙
げられ、液状や粉状のものいずれも使用でき、これらの
一種又は二種以上を使用してもよい。これらの中では、
効果が大きい点で、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリ
ン縮合物、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、
及びポリカルボン酸系高分子化合物が好ましい。
【0032】減水剤の使用量は、セメント100重量部
に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2
重量部がより好ましい。0.05重量部未満では効果が
なく、3重量部を越えるとセメントコンクリートの流動
性は大きくなるが、セメントコンクリートに粘性を生
じ、セメントコンクリートが圧送管やミキサーの回転羽
根に付着して施工性が低下したり、強度が低下したりす
るおそれがある。
【0033】本発明で使用する増粘剤とは、セメントコ
ンクリートに粘性を与え、吹付直後のダレを防止し、リ
バウンド率を小さくし、粉塵発生を抑制するものをい
う。増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシエ
チルエチルセルロース等のセルロース類、アルギン酸、
アルギン酸ナトリウム、β−1,3−グルカン、プルラ
ン、グアガム、カゼイン、及びウェランガム等の多糖
類、酢酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、メタクリル
酸、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、及び不飽和カ
ルボン酸等のビニル重合体やこれらの共重合体、並び
に、酢酸ビニル重合体やその共重合体をケン化しポリビ
ニルアルコール骨格に変性したもの等のエマルジョン類
等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用しても
よい。これらの中では、初期凝結を阻害しにくい点で、
セルロース類が好ましい。
【0034】増粘剤の使用量は、セメント100重量部
に対して、0.001〜0.5重量部が好ましく、0.
005〜0.3重量部がより好ましい。0.001重量
部未満ではセメントコンクリートの粘性が小さく吹付け
たときにダレが生じたり、リバウンド率が大きくなった
りし、0.5重量部を越えるとセメントコンクリートの
粘性が大きくなり、セメントコンクリートの圧送性に支
障を生じたり、強度発現性を阻害したりするおそれがあ
る。
【0035】超微粉とは平均粒径10μm以下のものを
いい、セメント量、粉塵量、及びリバウンド率を少なく
し、セメントコンクリートの圧送性を向上する効果があ
る。超微粉としては、微粉スラグ、微粉フライアッシ
ュ、ベントナイト、メタカオリオン、及びシリカフュー
ム等が挙げられ、これらの中では、強度発現性の点でシ
リカフュームが好ましい。
【0036】超微粉の使用量は、セメント100重量部
に対して、1〜50重量部が好ましく、2〜30重量部
がより好ましい。1重量部未満では効果がなく、50重
量部を越えると凝結や硬化が遅延するおそれがある。
【0037】繊維状物質はセメントコンクリートの耐衝
撃性や弾性を向上させるものであり、無機質や有機質い
ずれも使用できる。
【0038】無機質の繊維状物質としては、ガラス繊
維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維、
及び金属繊維等が挙げられ、有機質の繊維状物質として
は、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン
繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニル
アルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛、
及び木片等が挙げられる。これらの中では経済性の点
で、金属繊維やビニロン繊維が好ましい。
【0039】繊維状物質の長さは圧送性や混合性等の点
で、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ま
しい。50mmを越えると圧送中にセメントコンクリー
トが閉塞するおそれがある。
【0040】繊維状物質の使用量は、セメント100重
量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、2〜2
0重量部がより好ましい。0.5重量部未満では効果が
なく、30重量部を越えると圧送性が低下したり、効果
がなくなったりするおそれがある。
【0041】さらに、本発明では、セメントコンクリー
トの凝結時間を遅延させるために、有機酸又はその塩、
有機酸又はその塩と炭酸塩の混合物、リン酸塩、ホウ酸
又はその塩、及びアルコール類等の凝結遅延剤を使用し
てもよい。
【0042】本発明のセメントコンクリートにおける水
の使用量は、セメント100重量部に対して、35〜6
5重量部が好ましく、40〜55重量部がより好まし
い。35重量部未満だと粘性が大きくなって圧送性が低
下したり、十分に混合できなかったりするおそれがあ
り、65重量部を越えると強度発現性が小さく、急結材
の使用量を多く必要とするおそれがある。
【0043】使用する細骨材や粗骨材といった骨材は吸
水率が低くて、骨材強度が高いものが好ましいが、特に
制限されるものではない。粗骨材としては、川砂利、山
砂利、及び石灰砂利等が挙げられ、細骨材としては、川
砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が挙げられる。
【0044】本発明では、他に、粉塵低減剤、凝結調整
剤、AE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、セメント
膨張剤、防錆剤、防凍剤、高分子エマルジョン、シリカ
質微粉末、シリカフューム、及び炭酸カルシウム等のう
ちの一種又は二種以上を使用してもよい。
【0045】本発明の急結材の吹付工法は、モルタルや
コンクリートの乾式混合物に添加し、圧搾空気によりホ
ース内を圧送し、ノズル部直前で水を加えて吹付ける乾
式吹付方法や、モルタルやコンクリートの湿式混合物を
圧搾空気により圧送し、Y字管の一方から急結材を添加
し吹付ける湿式吹付方法のどちらでも使用できる。これ
らの中では粉塵の発生量が少ない点で湿式吹付法が好ま
しい。
【0046】本発明の吹付工法においては、従来使用の
吹付設備等が使用できる。
【0047】本発明の吹付工法は、施工性、物性、及び
価格を満足できる範囲であれば、モルタルやコンクリー
トのいずれも使用して吹付けを行うことができる。
【0048】混和材は、セメントコンクリート側、急結
材側のどちら側にも添加でき、片側のみに使用してもよ
く、両側に併用してもよいが、強度向上、リバウンド防
止、及び凝結コントロールの点で、セメントコンクリー
ト側に添加することが好ましい。特に単位水量を小さく
し、強度発現性を向上させる点で、減水剤を予めセメン
トコンクリート側に添加して使用することがより好まし
い。最終的にこれらの材料を混合した急結性吹付セメン
トコンクリートが吹付けられれば問題はない。
【0049】本発明の吹付工法においては、従来使用の
吹付設備等が使用できる。通常、吹付圧力は2〜5kg
/cm2 、吹付速度は4〜20m3 /hである。
【0050】吹付設備は吹付けが十分に行われれば、特
に限定されるものではなく、例えば、吹付セメントコン
クリートの圧送にはアリバー社商品名「アリバー28
0」等が、急結材の圧送には急結材圧送装置「ナトムク
リート」等が、それぞれ使用できる。
【0051】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0052】(実施例1)カルシウムアルミネート4
2.5重量部、表1に示すNa2 O/Al2 3 のモル
比のアルミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩5
0重量部からなる急結材を調製し、凝結時間を測定し
た。又、各材料の単位量を、セメント400kg/
3 、細骨材1151kg/m 3 、粗骨材629kg/
3 、及び水190kg/m3 とし、セメント100重
量部に対して、減水剤ア0.5重量部を混合して吹付コ
ンクリートを調製し、圧送速度4m3 /h、圧送圧力4
kg/cm2 の条件下で、コンクリート圧送機「アリバ
−280」で圧送した。一方、この吹付コンクリート
に、調製した急結材を、セメント100重量部に対し
て、10重量部になるように、途中に設けたY字管の一
方より急結材圧送機「ナトムクリート」を用いて、圧送
圧力4.5kg/cm2 の条件下で空気圧送して吹付コ
ンクリートと混合し、急結性吹付コンクリートとした。
この急結性吹付コンクリートの凝結時間と圧縮強度を測
定した。結果を表1に示す。
【0053】(使用材料) セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレー
ン値3200cm2 /g、比重3.16 細骨材:新潟県姫川産川砂、表面水率4.0%、比重
2.62 粗骨材:新潟県姫川産川砂利、表乾状態、比重2.6
4、最大骨材寸法10mm カルシウムアルミネート:C127 組成に対応するも
の、非晶質、ブレーン値6000cm2 /g アルミン酸ナトリウム:水酸化アルミニウムと水酸化ナ
トリウムとを水に加熱溶解させることによりNa2 O/
Al2 3 のモル比を調製し、乾燥後粉砕したもの、無
水物、90%粒子径0.2mm 硫酸塩a:無水セッコウ、フッ酸副生セッコウ、ブレー
ン値5200cm2 /g 減水剤ア:市販ポリカルボン酸系高分子化合物
【0054】(測定方法) 凝結時間:温度20℃、湿度80%の恒温恒湿室におい
て、セメント100重量部、急結材10重量部、細骨材
300重量部、及び水60重量部を計量した。モルタル
ミキサーにて、セメント、急結材、及び細骨材を10秒
間空練り混合した後、水を加えて更に10秒間混合して
モルタルとし、素早く型枠に充填し、プロクター貫入抵
抗法(ASTM C−403−65Tに準拠)により凝
結時間を測定した。又、急結材を袋詰めし、温度20
℃、湿度80%の恒温恒湿室に6か月貯蔵したものにつ
いても同様に測定した。 圧縮強度:材齢1時間の圧縮強度は幅25cm×長さ2
5cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト
型枠表面から急結性吹付コンクリートで被覆し、型枠の
裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求
め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接
触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢1日以降の
圧縮強度は幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの
型枠に急結性吹付コンクリートを吹付け、採取した直径
5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定
し、圧縮強度を求めた。
【0055】
【表1】
【0056】(実施例2)セメント100重量部に対し
て、減水剤ア0.5重量部を混合して吹付コンクリート
を調製し、カルシウムアルミネートとアルミン酸ナトリ
ウムの合計100重量部中、表2に示す量のカルシウム
アルミネートとアルミン酸ナトリウム、並びに、カルシ
ウムアルミネート、アルミン酸ナトリウム、及び硫酸塩
の合計100重量部中、50重量部の硫酸塩からなる急
結材を、セメント100重量部に対して10重量部使用
して急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例
1と同様に行なった。結果を表2に示す。
【0057】(使用材料) アルミン酸ナトリウム:無水物、Na2 O/Al2
3 のモル比1.10、90%粒子径0.2mm アルミン酸ナトリウム:水酸化アルミニウムと水酸化
ナトリウムとを水に加熱溶解させることによりNa2
/Al2 3 のモル比を調製し、乾燥後粉砕したもの、
含水物、Na2 O/Al2 3 のモル比1.10、90
%粒子径0.2mm アルミン酸ナトリウム:無水物、Na2 O/Al2
3 のモル比1.10、90%粒子径0.3mm
【0058】
【表2】
【0059】(実施例3)セメント100重量部に対し
て、減水剤ア0.5重量部を混合して吹付コンクリート
を調製し、カルシウムアルミネート85重量部、アルミ
ン酸ナトリウム15重量部、並びに、カルシウムアル
ミネート、アルミン酸ナトリウム、及び硫酸塩の合計1
00重量部中、表3に示す量の硫酸塩からなる急結材
を、セメント100重量部に対して10重量部使用して
急結性吹付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と
同様に行った。結果を表3に示す。
【0060】(使用材料) 硫酸塩b:二水セッコウ粉砕品、ブレーン値5500c
2 /g 硫酸塩c:硫酸アルミニウム粉砕品、ブレーン値590
0cm2 /g
【0061】
【表3】
【0062】(実施例4)セメント100重量部に対し
て、減水剤ア0.5重量部を混合して吹付コンクリート
を調製し、カルシウムアルミネート42.5重量部、ア
ルミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a50
重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対し
て表4に示す量使用して急結性吹付コンクリートとし、
圧縮強度を測定したこと以外は、実施例1と同様に行っ
た。結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】(実施例5)カルシウムアルミネート4
2.5重量部、アルミン酸ナトリウム7.5重量部、及
び硫酸塩a50重量部を混合して表5に示す期間貯蔵し
た急結材を、セメント100重量部に対して10重量部
使用して急結性吹付コンクリートとし、凝結時間を測定
したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表5
に示す。
【0065】(使用材料) アルミン酸ナトリウム:無水物、Na2 O/Al2
3 のモル比0.90、90%粒子径0.2mm
【0066】
【表5】
【0067】表5から明らかなように、Na2 O/Al
2 3 のモル比が0.90であるアルミン酸ナトリウム
を使用した場合は、貯蔵日数が経過するにつれて始発・
終結時間共に遅くなる傾向であるのに対して、Na2
/Al2 3 のモル比が1.10であるアルミン酸ナト
リウムを使用した場合は、6ヶ月の貯蔵においても始発
・終結時間は殆ど変化せず、物性の低下も認められなか
った。
【0068】(実施例6)セメント100重量部に対し
て、減水剤ア0.5重量部を混合して吹付コンクリート
を調製し、カルシウムアルミネート42.5重量部、ア
ルミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a50重
量部を混合して表6に示す期間貯蔵した急結材を、セメ
ント100重量部に対して10重量部使用して急結性吹
付コンクリートとしたこと以外は、実施例1と同様に行
い、粉塵量、ダレ、及びリバウンド率を測定した。結果
を表6に示す。
【0069】(測定方法) 粉塵量:急結性吹付コンクリートを4m3 /hの吹付速
度で30分間、鉄板でアーチ状に製作した高さ3.5
m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた。10分毎に
吹付場所より3mの定位置で粉塵量を測定し、得られた
測定値の平均値を示した。 ダレ:急結性吹付コンクリートを4m3 /hの吹付速度
で30分間、鉄板でアーチ状に製作した高さ3.5m、
幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた後の状態を観察し
た。ダレが生じなかったものを◎とし、ダレが少し生じ
たものを○とし、ダレが多く生じたものを×とした。 リバウンド率:急結性吹付コンクリートを4m3 /hの
吹付速度で30分間、高さ3.5m、幅2.5mの模擬
トンネルに吹付けた。吹付終了後、付着せずに落下した
急結性吹付コンクリートの量を測定し、(リバウンド
率)=(吹付けの際に模擬トンネルに付着せずに落下し
た急結性吹付コンクリートの重量)/(吹付に使用した
急結性吹付コンクリートの重量)×100(%)の式よ
り算出した。
【0070】
【表6】
【0071】表6から明らかなように、本発明品は、貯
蔵直後と比較しても強度低下は認められなかった。しか
も、粉塵発生率やリバウンド率も少なかった。又、1年
間貯蔵しても本発明品は急結性が強く、急結材の使用量
も低減することができた。
【0072】(実施例7)セメント100重量部に対し
て、減水剤を表7に示す量混合して吹付コンクリートを
調製し、カルシウムアルミネート42.5重量部、アル
ミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a50重
量部からなる急結材を、セメント100重量部に対して
10重量部使用して急結性吹付コンクリートとしたこと
以外は、実施例1と同様に行い、スランプと圧縮強度を
測定した。結果を表7に示す。
【0073】(使用材料) 減水剤イ:市販ナフタレンスルホン酸塩系ホルマリン縮
合物
【0074】(測定方法) スランプ:JIS A 1101に準じた。
【0075】
【表7】
【0076】(実施例8)セメント100重量部に対し
て、増粘剤を表8に示す量混合して吹付コンクリートと
し、カルシウムアルミネート42.5重量部、アルミン
酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a50重量部
からなる急結材を、セメント100重量部に対して10
重量部使用して急結性吹付コンクリートとしたこと以外
は、実施例1と同様に行い、粉塵量、ダレ、及び圧送性
を測定した。結果を表8に示す。
【0077】(使用材料) 増粘剤i:メチルセルロース 増粘剤ii:ヒドロキシプロピルセルロース
【0078】(評価方法) 圧送性:急結性吹付コンクリートを4m3 /hの吹付速
度、4kg/cm2 の吐出圧力で、30分間圧送管を用
いて吹付け、圧送管内の圧力を測定した。圧送管内の圧
力が4.0〜5.5kg/cm2 である場合を◎、圧送
管内が閉塞しやすくなる6.0kg/cm2 以上になっ
ても、圧送管に衝撃を与えることにより4.0〜5.5
kg/cm2 になる場合を○、圧送管が閉塞し、圧送管
に衝撃を与えても4.0〜5.5kg/cm2 とならな
い場合を×とした。
【0079】
【表8】
【0080】(実施例9)セメント100重量部に対し
て、超微粉を表9に示す量混合して吹付コンクリートと
し、カルシウムアルミネート42.5重量部、アルミン
酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a50重量部
からなる急結材を、セメント100重量部に対して10
重量部混合して急結性吹付コンクリートとしたこと以外
は実施例1と同様に行い、リバウンド率を測定した。結
果を表9に示す。
【0081】(使用材料) 超微粉α:市販シリカフューム、平均粒径10μm以下 超微粉β:市販メタカオリン、平均粒径10μm以下
【0082】(測定方法) リバウンド率:急結性吹付コンクリートを4m3 /hの
吹付速度で30分間、高さ3.5m、幅2.5mの模擬
トンネルに吹付けた。吹付終了後、付着せずに落下した
急結性吹付コンクリートの量を測定し、(リバウンド
率)=(吹付けの際に模擬トンネルに付着せずに落下し
た急結性吹付コンクリートの重量)/(吹付に使用した
急結性吹付コンクリートの重量)×100(%)の式よ
り算出した。
【0083】
【表9】
【0084】(実施例10)セメント100重量部に対
して、繊維状物質を表10に示す量混合して吹付コンク
リートとし、カルシウムアルミネート42.5重量部、
アルミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸塩a5
0重量部からなる急結材を、セメント100重量部に対
して10重量部混合して急結性吹付コンクリートとした
こと以外は実施例1と同様に行い、耐衝撃性を測定し
た。結果を表10に示す。
【0085】(使用材料) 繊維状物質A:ビニロン繊維、繊維長10mm 繊維状物質B:スチール繊維、繊維長30mm
【0086】(評価方法) 耐衝撃性:材齢1時間後の吹付けコンクリートを幅20
cm、長さ20cm、厚さ2cmの型枠に吹付けし、底
面を取り外し、平らにならした標準砂の上に置き、重さ
50gの球体を50cmの高さから落下させた。落下回
数が5回以内でひびが入って破壊したら×、ひびは入っ
たが破壊しなかったら○、ひびが入らなかったら◎とし
た。
【0087】
【表10】
【0088】(実施例11)セメント100重量部に対
して、減水剤ア0.5重量部、並びに、増粘剤i、繊維
状物質A、及び超微粉αを表11に示す量混合して吹付
コンクリートとし、カルシウムアルミネート42.5重
量部、アルミン酸ナトリウム7.5重量部、及び硫酸
塩a50重量部からなる急結材を、セメント100重量
部に対して10重量部混合して急結性吹付コンクリート
としたこと以外は実施例1と同様に行い、スランプ、リ
バウンド率、及び耐衝撃性を測定した。結果を表11に
示す。
【0089】
【表11】
【0090】
【発明の効果】本発明のアルミン酸ナトリウムを用いた
急結材を使用することにより、従来のアルミン酸ナトリ
ウムを用いたものと比較して、長期間の貯蔵においても
物性の低下を示さない急結性吹付セメントコンクリート
を得ることができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウムアルミネート、Na2 O/A
    2 3 のモル比が1.0〜1.3であるアルミン酸ナ
    トリウム、硫酸塩、並びに、減水剤、増粘剤、超微粉、
    及び繊維状物質からなる群より選ばれる一種又は二種以
    上の混和材を含有してなる急結材。
  2. 【請求項2】 アルミン酸ナトリウムの90%粒子径が
    0.3mm以下である請求項1記載の急結材。
  3. 【請求項3】 セメントと、請求項1又は2記載の急結
    材とを含有してなる吹付材料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の吹付材料を使用してなる
    ことを特徴とする吹付工法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014047114A (ja) * 2012-08-31 2014-03-17 Taiheiyo Material Kk 急結剤用アルミン酸ナトリウム及び急結剤
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