JPH11129036A - 成形加工用金型及び成形加工方法 - Google Patents
成形加工用金型及び成形加工方法Info
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- JPH11129036A JPH11129036A JP9297409A JP29740997A JPH11129036A JP H11129036 A JPH11129036 A JP H11129036A JP 9297409 A JP9297409 A JP 9297409A JP 29740997 A JP29740997 A JP 29740997A JP H11129036 A JPH11129036 A JP H11129036A
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- die
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミニウム板の成形に好適な金型の形状を
明確化し、安定して良好なアルミニウム板の成形性を得
ることができる成形加工用金型及び成形加工方法を提供
する。 【解決手段】 ダイ1の押圧面1aに対向する押圧面2
aを有するしわ押え板2が上下に移動可能に設けられて
いる。そして、ダイ1及びしわ押え板2には同軸同径の
孔3が設けられており、この孔3に上下に移動可能に円
柱状のポンチ4が設けられている。更に、ダイ1の押圧
面1aには孔3と同軸円状の溝6が形成されている。成
形される板材の板厚をtとすると、溝6の幅はt乃至
(5×t)であり、深さは(0.1×t)乃至(0.5
×t)である。
明確化し、安定して良好なアルミニウム板の成形性を得
ることができる成形加工用金型及び成形加工方法を提供
する。 【解決手段】 ダイ1の押圧面1aに対向する押圧面2
aを有するしわ押え板2が上下に移動可能に設けられて
いる。そして、ダイ1及びしわ押え板2には同軸同径の
孔3が設けられており、この孔3に上下に移動可能に円
柱状のポンチ4が設けられている。更に、ダイ1の押圧
面1aには孔3と同軸円状の溝6が形成されている。成
形される板材の板厚をtとすると、溝6の幅はt乃至
(5×t)であり、深さは(0.1×t)乃至(0.5
×t)である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム又はア
ルミニウム合金板の成形に好適な成形加工用金型及び成
形加工方法に関し、特に、その形状を明確にし成形性の
向上を図った成形加工用金型及びこれを使用する成形加
工方法に関する。
ルミニウム合金板の成形に好適な成形加工用金型及び成
形加工方法に関し、特に、その形状を明確にし成形性の
向上を図った成形加工用金型及びこれを使用する成形加
工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車その他の部品の成形用素材として
は、一般的に伸びが大きい鋼板が広く使用されている。
近時、これらの成形用素材に軽量化の要望が強まってお
り、アルミニウム又はアルミニウム合金板(以下、アル
ミニウム及びアルミニウム合金を総称してアルミニウム
という)の適用が必要となってきている。しかし、アル
ミニウム板は鋼板と比して成形性が劣っているので、従
来の成形技術では割れが発生することが極めて多く、製
品取りが不可能となる場合が多い。また、ダイ及びしわ
押え板等の金型の形状は成形性を大きく左右するもので
あるが、経験則に基づく調整により成形が行われること
が多く、従来の鋼板の成形に関しても、具体的な適切な
金型の形状は明確化されていない。鋼板より成形性が劣
るアルミニウム板の成形性を向上させるためには、特
に、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状を明確化
することが必要である。
は、一般的に伸びが大きい鋼板が広く使用されている。
近時、これらの成形用素材に軽量化の要望が強まってお
り、アルミニウム又はアルミニウム合金板(以下、アル
ミニウム及びアルミニウム合金を総称してアルミニウム
という)の適用が必要となってきている。しかし、アル
ミニウム板は鋼板と比して成形性が劣っているので、従
来の成形技術では割れが発生することが極めて多く、製
品取りが不可能となる場合が多い。また、ダイ及びしわ
押え板等の金型の形状は成形性を大きく左右するもので
あるが、経験則に基づく調整により成形が行われること
が多く、従来の鋼板の成形に関しても、具体的な適切な
金型の形状は明確化されていない。鋼板より成形性が劣
るアルミニウム板の成形性を向上させるためには、特
に、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状を明確化
することが必要である。
【0003】従来、成形に使用されるダイの素材を押圧
する押圧面は平面であるか、又は凸部が形成された形状
を有している。図3は従来の金型を示す断面図である。
従来の金型においては、ダイ11の押圧面11aに対向
する押圧面12aを有するしわ押え板12が上下に移動
可能に設けられている。そして、ダイ11及びしわ押え
板12には同軸同径の孔13が設けられており、この孔
13に上下に移動可能に円柱状のポンチ14が設けられ
ている。更に、押圧面11aには孔13と同軸円状の凸
部16aが形成されており、しわ押え板12の凸部16
aと整合する位置には凸部16aと嵌合する形状の環状
の凹部16bが形成されている。このように構成された
従来の金型を使用してアルミニウム板材15を成形する
際には、ダイ11とアルミニウム板材15を挟むしわ押
え板12に印加する力を調整することにより、アルミニ
ウム板材15の孔3への流れ込み量を調節して割れ及び
しわの制御を行っている。
する押圧面は平面であるか、又は凸部が形成された形状
を有している。図3は従来の金型を示す断面図である。
従来の金型においては、ダイ11の押圧面11aに対向
する押圧面12aを有するしわ押え板12が上下に移動
可能に設けられている。そして、ダイ11及びしわ押え
板12には同軸同径の孔13が設けられており、この孔
13に上下に移動可能に円柱状のポンチ14が設けられ
ている。更に、押圧面11aには孔13と同軸円状の凸
部16aが形成されており、しわ押え板12の凸部16
aと整合する位置には凸部16aと嵌合する形状の環状
の凹部16bが形成されている。このように構成された
従来の金型を使用してアルミニウム板材15を成形する
際には、ダイ11とアルミニウム板材15を挟むしわ押
え板12に印加する力を調整することにより、アルミニ
ウム板材15の孔3への流れ込み量を調節して割れ及び
しわの制御を行っている。
【0004】また、極低温で素材を成形するための金型
装置が提案されている(特開平8−103826号公
報)。アルミニウム板の伸び及び引張強さ等の機械的性
質は液体窒素温度程度の極低温において向上することが
公知であり、この性質を利用したものである。この公報
に記載された金型装置において、ダイ及びしわ押え板の
夫々の押圧面には放射状にその外縁まで達するスリット
が形成されいる。また、ダイの押圧面には環状の凸部が
形成されており、しわ押え板の前記凸部と整合する位置
には前記凸部と嵌合する形状の環状の凹部が形成されて
いる。更に、スリットの外側にはスリットに低温ガスを
噴霧する噴霧器が配置されている。このように構成され
た従来の金型装置においては、成形される板材が凹部と
凸部とに挟まれて支持される。そして、成形の際には、
噴霧器からスリットに冷却ガスが噴霧されるので、板材
の温度は低く保たれる。これにより、低温成形を長時間
行うことが可能となり、アルミニウム板の成形性が向上
している。
装置が提案されている(特開平8−103826号公
報)。アルミニウム板の伸び及び引張強さ等の機械的性
質は液体窒素温度程度の極低温において向上することが
公知であり、この性質を利用したものである。この公報
に記載された金型装置において、ダイ及びしわ押え板の
夫々の押圧面には放射状にその外縁まで達するスリット
が形成されいる。また、ダイの押圧面には環状の凸部が
形成されており、しわ押え板の前記凸部と整合する位置
には前記凸部と嵌合する形状の環状の凹部が形成されて
いる。更に、スリットの外側にはスリットに低温ガスを
噴霧する噴霧器が配置されている。このように構成され
た従来の金型装置においては、成形される板材が凹部と
凸部とに挟まれて支持される。そして、成形の際には、
噴霧器からスリットに冷却ガスが噴霧されるので、板材
の温度は低く保たれる。これにより、低温成形を長時間
行うことが可能となり、アルミニウム板の成形性が向上
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
公報に記載された金型装置においても、凸部及び凹部の
形状は明確には記載されておらず、素材の軽量化を目的
としたアルミニウム板の成形に関して、金型の形状が全
く明確化されていない。このため、安定して良好なアル
ミニウム板の成形性を得ることが困難であるという問題
点がある。
公報に記載された金型装置においても、凸部及び凹部の
形状は明確には記載されておらず、素材の軽量化を目的
としたアルミニウム板の成形に関して、金型の形状が全
く明確化されていない。このため、安定して良好なアル
ミニウム板の成形性を得ることが困難であるという問題
点がある。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状
を明確化し、安定して良好なアルミニウム板の成形性を
得ることができる成形加工用金型及び成形加工方法を提
供することを目的とする。
のであって、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状
を明確化し、安定して良好なアルミニウム板の成形性を
得ることができる成形加工用金型及び成形加工方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る成形加工用
金型は、成形される板材の板厚をtとしたとき、幅がt
乃至(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃至
(0.5×t)である溝を前記板材の押圧面に有するこ
とを特徴とする。
金型は、成形される板材の板厚をtとしたとき、幅がt
乃至(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃至
(0.5×t)である溝を前記板材の押圧面に有するこ
とを特徴とする。
【0008】本発明においては、溝に成形時に使用する
潤滑剤が溜められ、成形される板材に随時供給されるの
で、板材と金型との摩擦が低減され、板材の流れ込みが
促進されて成形性が向上する。ここで、板材の押圧面と
は、成形加工時に板材に押圧される面をいう。なお、溝
のピッチを(15×t)以下とすることにより、潤滑剤
が溝に溜まりやすく板材に供給されやすくなるため、よ
り成形性が向上する。
潤滑剤が溜められ、成形される板材に随時供給されるの
で、板材と金型との摩擦が低減され、板材の流れ込みが
促進されて成形性が向上する。ここで、板材の押圧面と
は、成形加工時に板材に押圧される面をいう。なお、溝
のピッチを(15×t)以下とすることにより、潤滑剤
が溝に溜まりやすく板材に供給されやすくなるため、よ
り成形性が向上する。
【0009】また、前記溝が伸びる方向は成形加工時に
前記板材が流れる方向と直交することが望ましい。溝が
伸びる方向を成形加工時に板材が流れる方向に直交させ
ることにより、より潤滑剤が溝に溜められやすくなり、
更に一層成形性が向上する。
前記板材が流れる方向と直交することが望ましい。溝が
伸びる方向を成形加工時に板材が流れる方向に直交させ
ることにより、より潤滑剤が溝に溜められやすくなり、
更に一層成形性が向上する。
【0010】本発明に係る成形加工方法は、板材の板厚
をtとしたとき、幅がt乃至(5×t)であり、深さが
(0.1×t)乃至(0.5×t)である溝を前記板材
の押圧面に有する成形加工用金型を使用し、前記押圧面
を介して前記板材を0.1乃至1.0(kg/mm2)
のしわ押え力で押圧する工程を有することを特徴とす
る。
をtとしたとき、幅がt乃至(5×t)であり、深さが
(0.1×t)乃至(0.5×t)である溝を前記板材
の押圧面に有する成形加工用金型を使用し、前記押圧面
を介して前記板材を0.1乃至1.0(kg/mm2)
のしわ押え力で押圧する工程を有することを特徴とす
る。
【0011】本発明においては、前述の適切な形状の溝
を押圧面に有する成形加工用金型を使用し、適切なしわ
押え力で板材を押圧して成形加工を行うので、金型と板
材との潤滑性が高く、しわ及び割れ等を生じることなく
安定してアルミニウム板等の板材を加工することができ
る。
を押圧面に有する成形加工用金型を使用し、適切なしわ
押え力で板材を押圧して成形加工を行うので、金型と板
材との潤滑性が高く、しわ及び割れ等を生じることなく
安定してアルミニウム板等の板材を加工することができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明者等が前記課題を解決す
るため、種々の形状の溝を有する引抜き加工用金型を作
製し、高成形性を有するAl−Mg系合金を試験材とし
て使用し、実際の成形時における板材の流れを引抜き加
工にて再現し、試験材の割れ及び摩擦係数等の調査を行
い、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状を検討し
た。この結果、成形される板材の板厚をtとしたとき、
幅がt乃至(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃
至(0.5×t)の溝を押圧面に有する金型において、
良好な成形性が得られることを見出した。特に、成形加
工時に板材が流れる方向に直交する方向に伸びる溝を有
する金型においては、極めて良好な成形性が得られた。
なお、良好な成形性が得られたときに板材に印加される
しわ押え力は、0.1乃至1.0(kg/mm2)であ
った。
るため、種々の形状の溝を有する引抜き加工用金型を作
製し、高成形性を有するAl−Mg系合金を試験材とし
て使用し、実際の成形時における板材の流れを引抜き加
工にて再現し、試験材の割れ及び摩擦係数等の調査を行
い、アルミニウム板の成形に好適な金型の形状を検討し
た。この結果、成形される板材の板厚をtとしたとき、
幅がt乃至(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃
至(0.5×t)の溝を押圧面に有する金型において、
良好な成形性が得られることを見出した。特に、成形加
工時に板材が流れる方向に直交する方向に伸びる溝を有
する金型においては、極めて良好な成形性が得られた。
なお、良好な成形性が得られたときに板材に印加される
しわ押え力は、0.1乃至1.0(kg/mm2)であ
った。
【0013】以下、本発明の実施例に係る成形加工用金
型について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の実施例に係る成形加工用金型を示す断面
図である。本実施例においては、ダイ1の押圧面1aに
対向する押圧面2aを有するしわ押え板2が上下に移動
可能に設けられている。そして、ダイ1及びしわ押え板
2には同軸同径の孔3が設けられており、この孔3に上
下に移動可能に円柱状のポンチ4が設けられている。更
に、ダイ1の押圧面1aには孔3と同軸円状の溝6が形
成されている。なお、溝6の幅及び深さは成形される板
材の板厚により前述のようにして規定されるものであ
る。
型について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の実施例に係る成形加工用金型を示す断面
図である。本実施例においては、ダイ1の押圧面1aに
対向する押圧面2aを有するしわ押え板2が上下に移動
可能に設けられている。そして、ダイ1及びしわ押え板
2には同軸同径の孔3が設けられており、この孔3に上
下に移動可能に円柱状のポンチ4が設けられている。更
に、ダイ1の押圧面1aには孔3と同軸円状の溝6が形
成されている。なお、溝6の幅及び深さは成形される板
材の板厚により前述のようにして規定されるものであ
る。
【0014】次に、上述のように構成された成形加工用
金型を使用したアルミニウム板の成形加工方法について
説明する。先ず、アルミニウム板材5を潤滑剤が塗布さ
れた押圧面1a及び2aの間に配置し、しわ押え板2を
下降させる。そして、0.1乃至1.0(kg/m
m2)のしわ押え力でアルミニウム板材5を挟持する。
次に、ポンチ4をアルミニウム板材5の上方から下降さ
せ、アルミニウム板材5を成形加工する。このとき、ア
ルミニウム板材5の押圧面1a及び2aに挟持されてい
る部分は、孔3の中心に向かいその半径方向に沿って流
れ込む。つまり、アルミニウム板材5が流れ込む方向と
溝6が伸びる方向とが直交している。この成形加工の
際、押圧面1aに塗布された潤滑油は溝6に溜められ、
随時アルミニウム板材5に供給される。このため、アル
ミニウム板材5とダイ1との摩擦が低減され、アルミニ
ウム板材5の流れ込みが促進されて成形性が向上する。
一方、アルミニウム板材の流れ込む方向と溝が伸びる方
向とが平行である場合には、成形加工が進行するのに伴
って、潤滑油が溝を伝って流出してしまい油切れが生じ
る。これにより、アルミニウム板材と金型とが焼付きを
起こして極めて大きな力がアルミニウム板材に作用する
ので、アルミニウム板材に割れが生じる。
金型を使用したアルミニウム板の成形加工方法について
説明する。先ず、アルミニウム板材5を潤滑剤が塗布さ
れた押圧面1a及び2aの間に配置し、しわ押え板2を
下降させる。そして、0.1乃至1.0(kg/m
m2)のしわ押え力でアルミニウム板材5を挟持する。
次に、ポンチ4をアルミニウム板材5の上方から下降さ
せ、アルミニウム板材5を成形加工する。このとき、ア
ルミニウム板材5の押圧面1a及び2aに挟持されてい
る部分は、孔3の中心に向かいその半径方向に沿って流
れ込む。つまり、アルミニウム板材5が流れ込む方向と
溝6が伸びる方向とが直交している。この成形加工の
際、押圧面1aに塗布された潤滑油は溝6に溜められ、
随時アルミニウム板材5に供給される。このため、アル
ミニウム板材5とダイ1との摩擦が低減され、アルミニ
ウム板材5の流れ込みが促進されて成形性が向上する。
一方、アルミニウム板材の流れ込む方向と溝が伸びる方
向とが平行である場合には、成形加工が進行するのに伴
って、潤滑油が溝を伝って流出してしまい油切れが生じ
る。これにより、アルミニウム板材と金型とが焼付きを
起こして極めて大きな力がアルミニウム板材に作用する
ので、アルミニウム板材に割れが生じる。
【0015】なお、溝は板材の成形されて製品となる部
分と接する位置には設けられておらず、板材の余剰部分
となる部分と接する位置に設けられている。この余剰部
分は絞り加工後に打ち抜かれて廃棄される部分である。
分と接する位置には設けられておらず、板材の余剰部分
となる部分と接する位置に設けられている。この余剰部
分は絞り加工後に打ち抜かれて廃棄される部分である。
【0016】次に、本発明における数値限定理由につい
て説明する。
て説明する。
【0017】しわ押え力:0.1乃至1.0 しわ押え力が0.1(kg/mm2)未満であると、し
わが発生してしまい、このしわを起因とする割れも生じ
る。一方、しわ押え力が1.0(kg/mm2)を超え
ると、溝が形成されたことによる成形性向上の効果より
もしわ押え力による影響が大きくなり、金型と板材との
滑りが著しく低下する。これにより、板材に割れが生じ
る。従って、しわ押え力は0.1乃至1.0(kg/m
m2)とする。
わが発生してしまい、このしわを起因とする割れも生じ
る。一方、しわ押え力が1.0(kg/mm2)を超え
ると、溝が形成されたことによる成形性向上の効果より
もしわ押え力による影響が大きくなり、金型と板材との
滑りが著しく低下する。これにより、板材に割れが生じ
る。従って、しわ押え力は0.1乃至1.0(kg/m
m2)とする。
【0018】溝の幅:t乃至(5×t) 成形される板材の板厚をtとしたとき、溝の幅がt未満
であると、溝の加工が困難であると共に、溜められる潤
滑油の量が少なく、溝が形成されたことによる効果が低
い。一方、溝の幅が(5×t)を超えると、板材が溝が
形成された位置で変形して曲げ又は曲げ戻し等により加
工硬化するので、板材の伸びが低下する。また、潤滑油
の粘度が低い場合には、潤滑油が溝に溜まりにくくな
り、潤滑油が十分には板材に供給されず、割れが発生し
やすくなる。従って、溝の幅はt乃至(5×t)である
とする。
であると、溝の加工が困難であると共に、溜められる潤
滑油の量が少なく、溝が形成されたことによる効果が低
い。一方、溝の幅が(5×t)を超えると、板材が溝が
形成された位置で変形して曲げ又は曲げ戻し等により加
工硬化するので、板材の伸びが低下する。また、潤滑油
の粘度が低い場合には、潤滑油が溝に溜まりにくくな
り、潤滑油が十分には板材に供給されず、割れが発生し
やすくなる。従って、溝の幅はt乃至(5×t)である
とする。
【0019】溝の深さ:(0.1×t)乃至(0.5×
t) 成形される板材の板厚をtとしたとき、溝の深さが
(0.1×t)未満であると、溝の加工が困難であると
共に、溜められる潤滑油の量が少なく、溝が形成された
ことによる効果が低い。一方、溝の深さが(0.5×
t)を超えると、板材が溝が形成された位置で変形して
曲げ又は曲げ戻し等により加工硬化するので、板材の伸
びが低下する。また、潤滑油の粘度が低い場合には、潤
滑油が溝に溜まりにくくなり、潤滑油が十分には板材に
供給されず、割れが発生しやすくなる。従って、溝の深
さは(0.1×t)乃至(0.5×t)とする。
t) 成形される板材の板厚をtとしたとき、溝の深さが
(0.1×t)未満であると、溝の加工が困難であると
共に、溜められる潤滑油の量が少なく、溝が形成された
ことによる効果が低い。一方、溝の深さが(0.5×
t)を超えると、板材が溝が形成された位置で変形して
曲げ又は曲げ戻し等により加工硬化するので、板材の伸
びが低下する。また、潤滑油の粘度が低い場合には、潤
滑油が溝に溜まりにくくなり、潤滑油が十分には板材に
供給されず、割れが発生しやすくなる。従って、溝の深
さは(0.1×t)乃至(0.5×t)とする。
【0020】なお、ダイの肩部及び溝と平面部との境界
部には半径が1乃至2mmの面取が施されていることが
望ましい。
部には半径が1乃至2mmの面取が施されていることが
望ましい。
【0021】また、成形される板材の板厚をtとしたと
き、溝のピッチを(15×t)以下とすることにより、
溝による潤滑油の保持及び補給効果が向上する。従っ
て、溝のピッチは(15×t)以下であることが望まし
い。
き、溝のピッチを(15×t)以下とすることにより、
溝による潤滑油の保持及び補給効果が向上する。従っ
て、溝のピッチは(15×t)以下であることが望まし
い。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0023】先ず、下記表1に示す溝を有する引抜き加
工用の金型を作製した。図2は金型を示す模式的断面図
である。金型21の押圧面21aには試験材の引抜き方
向24に直交する方向に伸びる3列の溝23が形成され
ている。また、押圧面21aと対向する平滑な押圧面2
2aを有する金型22が配置されている。これらの押圧
面21a及び22a間に試験材が挟まれて引抜き加工さ
れる。
工用の金型を作製した。図2は金型を示す模式的断面図
である。金型21の押圧面21aには試験材の引抜き方
向24に直交する方向に伸びる3列の溝23が形成され
ている。また、押圧面21aと対向する平滑な押圧面2
2aを有する金型22が配置されている。これらの押圧
面21a及び22a間に試験材が挟まれて引抜き加工さ
れる。
【0024】
【表1】
【0025】次に、金型に潤滑油を塗布し、引張強さσ
Bが285(N/mm2)、耐力σ0. 2が135(N/m
m2)、伸びδが33(%)である板厚が1mmのAl
−5.5重量%Mg合金板材を試験材とし、下記表2に
示す条件の下で、25トン引張試験機を利用した引抜き
試験機により引抜き試験を行った。
Bが285(N/mm2)、耐力σ0. 2が135(N/m
m2)、伸びδが33(%)である板厚が1mmのAl
−5.5重量%Mg合金板材を試験材とし、下記表2に
示す条件の下で、25トン引張試験機を利用した引抜き
試験機により引抜き試験を行った。
【0026】
【表2】
【0027】そして、成形による試験材の割れの有無を
調査した。この結果を下記表3に示す。なお、成形性の
評価の欄において、○は割れが発生しなかったことを示
し、×は割れが発生したこと又は実際の成形においてし
わが発生する可能性が極めて高いことを示している。
調査した。この結果を下記表3に示す。なお、成形性の
評価の欄において、○は割れが発生しなかったことを示
し、×は割れが発生したこと又は実際の成形においてし
わが発生する可能性が極めて高いことを示している。
【0028】
【表3】
【0029】上記表3に示すように、実施例1乃至5に
おいては、適切な形状の金型を使用し、適切なしわ押え
力を印加して成形加工を行ったので、成形性が良好で割
れは生じなかった。
おいては、適切な形状の金型を使用し、適切なしわ押え
力を印加して成形加工を行ったので、成形性が良好で割
れは生じなかった。
【0030】一方、比較例6においては、溝を有しない
金型を使用したので、潤滑油が流れ出して潤滑性が低下
し、割れが生じた。比較例7においては、溝の幅及び深
さが本発明範囲の上限を超えているので、加工硬化によ
り試験材の伸びが低下して割れが生じた。
金型を使用したので、潤滑油が流れ出して潤滑性が低下
し、割れが生じた。比較例7においては、溝の幅及び深
さが本発明範囲の上限を超えているので、加工硬化によ
り試験材の伸びが低下して割れが生じた。
【0031】比較例8においては、しわ押え力が印加さ
れていないので、割れは生じなかったものの、引抜き荷
重が低いため実際の成形においてしわが発生する可能性
が極めて高い。比較例9においては、しわ押え力が本発
明範囲の上限を超えているので、潤滑性が低く割れが生
じた。
れていないので、割れは生じなかったものの、引抜き荷
重が低いため実際の成形においてしわが発生する可能性
が極めて高い。比較例9においては、しわ押え力が本発
明範囲の上限を超えているので、潤滑性が低く割れが生
じた。
【0032】比較例10においては、溝の幅が本発明範
囲の下限未満であるので、適正なしわ押え力にも関わら
ず、溝による潤滑油の保持及び補給効果が低く割れが発
生した。比較例11においては、溝の深さが本発明範囲
の下限未満であるので、比較例10と同様に、適正なし
わ押え力にも関わらず、溝による潤滑油の保持及び補給
効果が低く割れが発生した。
囲の下限未満であるので、適正なしわ押え力にも関わら
ず、溝による潤滑油の保持及び補給効果が低く割れが発
生した。比較例11においては、溝の深さが本発明範囲
の下限未満であるので、比較例10と同様に、適正なし
わ押え力にも関わらず、溝による潤滑油の保持及び補給
効果が低く割れが発生した。
【0033】比較例12においては、溝の幅が本発明範
囲の上限を超えているので、素材の曲げ及び曲げ戻し変
形による加工硬化が著しく割れが発生した。比較例13
においては、溝の深さが本発明範囲の上限を超えている
ので、比較例12と同様に、素材の曲げ及び曲げ戻し変
形による加工硬化が著しく割れが発生した。
囲の上限を超えているので、素材の曲げ及び曲げ戻し変
形による加工硬化が著しく割れが発生した。比較例13
においては、溝の深さが本発明範囲の上限を超えている
ので、比較例12と同様に、素材の曲げ及び曲げ戻し変
形による加工硬化が著しく割れが発生した。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
成形加工用金型は適切な形状の溝を板材の押圧面に有す
るので、板材と金型との摩擦が低減され、板材の流れ込
みが促進されて成形性が向上する。これにより、安定し
て良好なアルミニウム板の成形性を得ることができる。
また、溝のピッチを(15×t)以下とすることによ
り、潤滑剤が溝に溜まりやすく板材に供給されやすくな
るため、より成形性が向上する。更に、溝が伸びる方向
を成形加工時に板材が流れる方向に直交させることによ
り、より潤滑剤が溝に溜められやすくなり、更に一層成
形性が向上する。
成形加工用金型は適切な形状の溝を板材の押圧面に有す
るので、板材と金型との摩擦が低減され、板材の流れ込
みが促進されて成形性が向上する。これにより、安定し
て良好なアルミニウム板の成形性を得ることができる。
また、溝のピッチを(15×t)以下とすることによ
り、潤滑剤が溝に溜まりやすく板材に供給されやすくな
るため、より成形性が向上する。更に、溝が伸びる方向
を成形加工時に板材が流れる方向に直交させることによ
り、より潤滑剤が溝に溜められやすくなり、更に一層成
形性が向上する。
【0035】また、本発明方法によれば、前述の適切な
形状の溝を板材の押圧面に有する成形加工用金型を使用
し、適切なしわ押え力で板材を押圧して成形加工を行う
ので、しわ及び割れ等を生じることなく安定してアルミ
ニウム板等の板材を加工することができる。
形状の溝を板材の押圧面に有する成形加工用金型を使用
し、適切なしわ押え力で板材を押圧して成形加工を行う
ので、しわ及び割れ等を生じることなく安定してアルミ
ニウム板等の板材を加工することができる。
【図1】本発明の実施例に係る成形加工用金型を示す断
面図である。
面図である。
【図2】引抜き試験で使用された金型を示す模式的断面
図である。
図である。
【図3】従来の金型を示す断面図である。
1、11;ダイ 1a、2a、11a、12a、21a、22a;押圧面 2、12;しわ押え板 3、13;孔 4、14;ポンチ 5、15;アルミニウム板材 6、23;溝 16a;凸部 16b;凹部 21、22;金型 24;引抜き方向
Claims (5)
- 【請求項1】 成形される板材の板厚をtとしたとき、
幅がt乃至(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃
至(0.5×t)である溝を前記板材の押圧面に有する
ことを特徴とする成形加工用金型。 - 【請求項2】 前記溝のピッチは(15×t)以下であ
ることを特徴とする請求項1に記載の成形加工用金型。 - 【請求項3】 前記溝が伸びる方向は成形加工時に前記
板材が流れる方向と直交することを特徴とする請求項1
又は2に記載の成形加工用金型。 - 【請求項4】 板材の板厚をtとしたとき、幅がt乃至
(5×t)であり、深さが(0.1×t)乃至(0.5
×t)である溝を前記板材の押圧面に有する成形加工用
金型を使用し、前記押圧面を介して前記板材を0.1乃
至1.0(kg/mm2)のしわ押え力で押圧する工程
を有することを特徴とする成形加工方法。 - 【請求項5】 前記溝が伸びる方向は成形加工時に前記
板材が流れる方向と直交することを特徴とする請求項4
に記載の成形加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9297409A JPH11129036A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | 成形加工用金型及び成形加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9297409A JPH11129036A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | 成形加工用金型及び成形加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11129036A true JPH11129036A (ja) | 1999-05-18 |
Family
ID=17846139
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9297409A Pending JPH11129036A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | 成形加工用金型及び成形加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11129036A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001334342A (ja) * | 2000-05-26 | 2001-12-04 | Honda Motor Co Ltd | 等速ジョイント内輪およびその鍛造金型装置 |
JP2020044567A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-03-26 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | 金属箔成形体の製造方法 |
-
1997
- 1997-10-29 JP JP9297409A patent/JPH11129036A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001334342A (ja) * | 2000-05-26 | 2001-12-04 | Honda Motor Co Ltd | 等速ジョイント内輪およびその鍛造金型装置 |
JP2020044567A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-03-26 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | 金属箔成形体の製造方法 |
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