JP2003103311A - マグネシウム合金薄板のプレス成形方法 - Google Patents

マグネシウム合金薄板のプレス成形方法

Info

Publication number
JP2003103311A
JP2003103311A JP2001295914A JP2001295914A JP2003103311A JP 2003103311 A JP2003103311 A JP 2003103311A JP 2001295914 A JP2001295914 A JP 2001295914A JP 2001295914 A JP2001295914 A JP 2001295914A JP 2003103311 A JP2003103311 A JP 2003103311A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
magnesium alloy
die
punch
press
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001295914A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinobu Komiyama
慶信 込山
Koichi Ohori
紘一 大堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Aluminum Co Ltd filed Critical Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority to JP2001295914A priority Critical patent/JP2003103311A/ja
Publication of JP2003103311A publication Critical patent/JP2003103311A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品ケース等の製造工程で好ましく適用
されるマグネシウム合金薄板のプレス成形方法を提供す
る。 【解決手段】 ダイ1と、ポンチ2と、ブランクホルダ
ー3とで少なくとも構成されるプレス成形装置10を使
用したマグネシウム合金薄板のプレス成形方法におい
て、190〜300℃のダイ1と、そのダイ1の温度よ
りも低く且つそのダイ1との温度差が60℃以内のポン
チ2とによりマグネシウム合金薄板4をプレス成形す
る、マグネシウム合金薄板のプレス成形方法により、上
記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品ケース等
の製造工程で好ましく適用されるマグネシウム合金薄板
のプレス成形方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】マグネシウム合金の結晶構造は稠密六方
晶であることから、マグネシウム合金は、常温で塑性変
形しにくく、冷間加工性に乏しい材料として知られてい
る。そのため、マグネシウム合金の塑性加工は、従来よ
り、塑性変形しやすい熱間または温間で行われている。 【0003】こうしたことは、圧延された後のマグネシ
ウム合金薄板をプレス成形して所定の形状の製品を製造
する場合においても同様であり、従来より、マグネシウ
ム合金薄板を加温してプレス成形が行われている。例え
ば、加熱されたプレス成形型にマグネシウム合金薄板を
設置することによりそのマグネシウム合金薄板を加温
し、その後プレス成形する温間プレス成形方法が採用さ
れている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
温間プレス成形方法では、プレス成形型に設置されたマ
グネシウム合金薄板が所定の温度に到達するまでに時間
がかかるので、効率的に成形することができないという
問題があった。 【0005】また、所定の温度に加温されたマグネシウ
ム合金薄板であっても、プレス成形を高速で行う場合ま
たは複雑な形状からなる特定部分や小さいコーナーr
(アール)からなるコーナー部分を有する製品を成形す
る場合には、成形された製品の特定部分やコーナー部分
にくびれや割れが発生するという問題があった。特に近
年においては、精密で複雑な形状の成形品が要求されて
いるので、その問題が顕在化してきている。 【0006】また、上述の温間プレス成形方法において
は、マグネシウム合金薄板が軟化温度以上に加温される
ので、このときのプレス成形は、マグネシウム合金薄板
の過軟化状態での成形となる。軟化温度以上に加熱され
て過軟化状態となったマグネシウム合金薄板は、高い伸
び率を示すので張り出し成形には好適であるものの、絞
り加工等のプレス成形を比較的高速で行う場合には適し
ておらず、上述と同様、成形された製品の特定部分やコ
ーナー部分にくびれや割れが発生し易いという問題があ
った。 【0007】本発明は、上記問題を解決するために、マ
グネシウム合金薄板の引張強さに影響する軟化温度と、
プレス成形時におけるマグネシウム合金薄板の変形抵抗
との関係を詳細に研究してなされたものであり、その目
的は、電子部品ケース等の製造工程で好ましく適用され
るマグネシウム合金薄板のプレス成形方法を提供するこ
とにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載のマグネ
シウム合金薄板のプレス成形方法は、190〜300℃
のダイと、当該ダイの温度よりも低く且つ当該ダイとの
温度差が60℃以内のポンチとによりマグネシウム合金
薄板をプレス成形することに特徴を有する。 【0009】この発明によれば、190〜300℃のダ
イと、そのダイの温度よりも低く且つそのダイとの温度
差が60℃以内のポンチとによりマグネシウム合金薄板
をプレス成形するので、複雑な形状からなる特定部分や
小さいコーナーrからなるコーナー部分を有する製品
を、その製品の特定部分やコーナー部分にくびれや割れ
を発生させることなく成形することができる。 【0010】ダイの温度とポンチの温度は、マグネシウ
ム合金薄板の引張強さに影響する軟化温度とプレス成形
時におけるマグネシウム合金薄板の変形抵抗との関係を
詳細に研究することによって初めて見いだされた知見で
あり、上述した温度範囲にポンチの温度を設定すること
により、マグネシウム合金薄板に所定の引張強さをもた
せることができる。その結果、特に絞り加工において好
ましい変形形態を発揮することができ、プレス成形速度
の向上とプレス成形の効率化を図ることができる。ま
た、上述した温度範囲にダイの温度を設定することによ
り、特にプレス成形の最終段階において、複雑な形状か
らなる特定部分や小さいコーナーrからなるコーナー部
分を、ダイに接触させて高い伸び率を発揮させることが
できる。その結果、上記の特定部分やコーナー部分にく
びれや割れを発生させることなく成形製品を成形するこ
とができる。特に、精密で複雑な形状が要求される絞り
加工製品の製造に好ましく適用できる。 【0011】また、本発明によれば、従来複数の部品を
組み合わせて製造されていた複雑な形状からなる電子部
品ケースなども、一枚のマグネシウム合金薄板をプレス
成形することによって製造することが可能になるので、
製造コストを削減できると共に、部品の軽量化に大きく
貢献できる。更に、電子部品ケースなどの製品を連続生
産することが容易となり、安価で量産性に優れたプレス
成形製品の成形を可能にすることができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照
しつつ説明する。 【0013】図1は、本発明のマグネシウム合金薄板の
プレス成形方法の一例を示す概略断面図である。図1に
示されるプレス成形装置10は、本発明のマグネシウム
合金薄板4のプレス成形方法に好適に使用される装置で
あり、ダイ1と、ポンチ2と、ブランクホルダー3とで
少なくとも構成されている。 【0014】ダイ1は、ポンチ2と協働してマグネシウ
ム合金薄板4を所定形状の成形品に加工する部材である
と共に、ブランクホルダー3と協働してマグネシウム合
金薄板4を挟持する部材であり、本発明のマグネシウム
合金薄板のプレス成形方法における主要な構成部材であ
る。ダイ1には、ノックアウト14が備えられている。
ダイ1に含まれるノックアウト14は、マグネシウム合
金薄板4を予熱すると共に加工された成形品を取り出す
役割を有する。ダイ1は、ヒーター5および熱電対(図
示しない)を内蔵し、そのヒーター5および熱電対によ
り、成形開始時にマグネシウム合金薄板4が接触するフ
ランジ面21の温度およびノックアウト14の温度、が
制御される。なお、以下において、ダイの温度というと
きは、そうしたフランジ面21およびノックアウト14
の温度をも含んでいる。 【0015】ポンチ2は、ダイ1と協働してマグネシウ
ム合金薄板4を所定形状の成形品に加工する部材であ
り、本発明のマグネシウム合金薄板のプレス成形方法に
おける主要な構成部材である。ポンチ2は、ヒーター6
および熱電対(図示しない)を内蔵している。成形開始
時にそのポンチ2をマグネシウム合金薄板4に接触させ
ることにより、マグネシウム合金薄板4が加温され、マ
グネシウム合金薄板4の温度が制御される。 【0016】ブランクホルダー3は、ダイ1と協働して
マグネシウム合金薄板4を挟持する部材であり、本発明
のマグネシウム合金薄板のプレス成形方法における主要
な構成部材である。ブランクホルダー3はヒーター7お
よび熱電対(図示しない)を内蔵し、そのヒーター7お
よび熱電対により、成形開始時にマグネシウム合金薄板
4が接触するフランジ面21の温度が制御される。な
お、ブランクホルダー3は、上述のポンチ2と共にマグ
ネシウム合金薄板4を挟持し、特に絞り加工においては
しわ押さえ部材として作用することから、その温度と押
し力は、ポンチ2の温度制御と連動し、マグネシウム合
金薄板4の温度条件に影響しないように適宜調整され
る。 【0017】なお、ダイ1、ポンチ2、ブランクホルダ
ー3およびノックアウト14の材質としては、プレス成
形用の部材として一般的に使用されているものが使用さ
れ、例えばSS400等が好ましく使用される。 【0018】ヒーター5、6、7は、上述したダイ1、
ポンチ2およびブランクホルダー3に内蔵され、それら
の部材を所定の温度に制御するのに使用されるものであ
ればその種類は特に限定されず、電熱式ヒーター、パイ
プヒーター、バンドヒーター等種々のものを選択でき
る。 【0019】本発明に係るプレス成形方法においては、
そうしたヒーター5、6、7からなる温度制御手段によ
り、ダイ1、ポンチ2、ブランクホルダー3およびノッ
クアウト14が所定の温度に制御される。マグネシウム
合金薄板4は、所定の温度に制御されたそれらの部材に
より加温され、所定の温度に達した後、プレス成形され
る。 【0020】次に、ダイおよびポンチの温度条件につい
て説明する。 【0021】本発明に係るマグネシウム合金薄板4のプ
レス成形方法は、ダイ1の温度を190〜300℃と
し、ポンチ2の温度をダイ1の温度よりも低く且つダイ
1と60℃以内の温度差とすることに特徴を有するもの
である。こうした温度に制御されたプレス成形装置10
により、複雑な形状からなる特定部分や小さいコーナー
rからなるコーナー部分を有する製品を、その製品の特
定部分やコーナー部分にくびれや割れを発生させること
なくプレス成形することができる。特に、精密で複雑な
形状が要求される絞り加工製品の製造に好ましく適用で
きる。 【0022】ダイ1の温度を190〜300℃の範囲内
とすることにより、マグネシウム合金薄板4を所望の程
度に軟化させることができ、容易に塑性変形させること
ができる。具体的には、後に詳述するように、温度制御
されたポンチ2と協働でプレス成形した際の最終段階に
おいて、複雑な形状からなる特定部分や小さいコーナー
rからなるコーナー部分は、上記温度に制御されたダイ
に接触して高い伸び率を示すので、上記の特定部分やコ
ーナー部分は容易に変形することができる。その結果、
くびれや割れを発生させることなく成形製品をプレス成
形することができる。 【0023】また、ダイ1の温度を上述の範囲とするこ
とにより、マグネシウム合金薄板4を軟化させて最適な
伸び率を与えることができるので、プレス成形における
下死点13付近での変形が特に容易になり、上記の特定
部分やコーナー部分にくびれや割れを発生させることな
く成形製品をプレス成形することができる。 【0024】なお、ダイ1の温度のより好ましい範囲は
210〜260℃であり、プレス成形性、特に深絞り性
をより向上させることができ、精密で複雑な形状が要求
される絞り加工製品の製造を容易にさせる。 【0025】ダイ1の温度が190℃未満の場合には、
ダイ1に接触して加温されるマグネシウム合金薄板4を
十分に軟化させることができないので、割れが生じてし
まうことがある。一方、ダイ1の温度が300℃を超え
ると、ダイ1に接触して加温されるマグネシウム合金薄
板4が過軟化状態となって、局部的に伸びが生じて割れ
が生ずることがある。 【0026】ポンチ2の温度を、上述したダイ1の温度
よりも低く且つダイ1と60℃以内の温度差とすること
により、プレス成形されるのに適した引張強さと伸び率
を、マグネシウム合金薄板4に与えることができる。具
体的には、後に詳述するように、温度制御されたダイ1
と協働でプレス成形する際の初期段階において、マグネ
シウム合金薄板4はポンチ2に接触して加温され上記の
温度に到達する。そうした温度に加温されたマグネシウ
ム合金薄板4は、適度な強度を有した状態を保持してい
るので、特に絞り加工される際に、複雑な形状からなる
マグネシウム合金薄板製の成形品を、割れを発生させる
ことなく絞り加工することができる。その結果、プレス
成形速度の向上とプレス成形の効率化を図ることができ
る。 【0027】ポンチ2の温度がダイ1の温度と同じかそ
れ以上である場合は、マグネシウム合金薄板4がポンチ
2に接触して高温に加温されるので、マグネシウム合金
薄板4は高い伸び率を有する過軟化状態となる。その結
果、局部的な伸びが生じるおそれがあり、成形品に割れ
が発生してしまうことがある。また、ポンチ2の温度と
ダイ1の温度との差が60℃を超えると、マグネシウム
合金薄板4がポンチ2に接触してもあまり加温されない
ので、マグネシウム合金薄板4は高い強度を保持した状
態でプレス成形されることになる。その結果、マグネシ
ウム合金薄板4の塑性変形能が乏しくなり、所望の形状
からなる成形製品を得ることができないことがある。な
お、ポンチ2とダイ1との特に好ましい温度差は5〜6
0℃であり、プレス成形性、特に深絞り性をより向上さ
せることができる。 【0028】次に、ダイ1の温度とポンチ2の温度との
関係を、ポンチ2の温度を基準にして定義した場合につ
いて説明する。 【0029】本発明に係るマグネシウム合金薄板4のプ
レス成形方法においては、ダイ1の温度とポンチ2の温
度との関係を、ポンチ2の温度を基準にして定義するこ
ともできる。すなわち、ポンチ2の温度を180〜26
0℃とし、ダイ1の温度をポンチ2の温度よりも高く且
つポンチ2と60℃以内の温度差として、プレス成形し
てもよい。このようにポンチ2の温度を基準にしてダイ
1の温度とポンチ2の温度との関係を定義した場合にお
いても、ダイ1の温度を基準にしてダイ1の温度とポン
チ2の温度との関係を定義した上述の場合と同様の作用
効果を示すことができる。なお、ポンチ2の特に好まし
い温度は180〜240℃であり、ポンチ2とダイ1と
の特に好ましい温度差は5〜60℃であり、何れもプレ
ス成形性、特に深絞り性をより向上させることができ
る。 【0030】こうした温度条件からなるプレス成形装置
10にマグネシウム合金薄板4が供されると、マグネシ
ウム合金薄板4は、ポンチ2の温度と等しい温度に速や
かに到達する。そうした温度に加温されたマグネシウム
合金薄板4は、プレス成形性、特に絞り加工性に優れた
変形性能を示す引張強さと伸びを有するので、マグネシ
ウム合金薄板4をその状態でプレス成形することにより
所望の形状の成形製品を製造することができると共に、
複雑な形状や小さいコーナーrを有するマグネシウム合
金薄板製の成形品を、くびれや割れの発生なく製造する
ことができる。 【0031】次に、上述したダイおよびポンチ等によっ
て加温されたマグネシウム合金薄板と、その加工性につ
いて説明する。 【0032】図2は、所定温度のマグネシウム合金薄板
の引張試験結果を示している。この引張試験は、高温引
張試験機を用い、AZ31合金からなる厚さ0.4mm
のマグネシウム合金薄板を加工して平行部幅7mm×平
行部長さ50mmの試験片を用いて行った。測定は、標
点間距離を50mmとし、歪み速度を3.3sec-1
した。 【0033】図2に示すように、マグネシウム合金薄板
の引張強さの顕著な下降は、170℃付近で起こり、伸
び率の顕著な上昇は120℃付近で起こっている。 【0034】プレス成形時のマグネシウム合金薄板にあ
っては、プレス成形時の摺動に耐えることができる強度
と、塑性変形可能な伸び率とを有していることが必要で
あるが、本発明においては、マグネシウム合金薄板を1
80〜260℃の温度範囲内に加温することにより、適
度な強度と適度な伸び率を有する軟化状態とすることが
でき、好適なプレス成形を可能にさせることができる。
なお、図2に示すように、180〜260℃の温度範囲
におけるマグネシウム合金薄板の引張強さはおよそ16
0〜220MPaであり、伸び率はおよそ20〜70%
である。従って、本発明においては、マグネシウム合金
薄板がそうした温度範囲となるように、主としてポンチ
2の温度制御が行われる。 【0035】なお、マグネシウム合金薄板4を、主とし
てポンチ2からの熱伝導により所定の温度に加温するに
は、一定の時間が必要になる。このとき必要とされる時
間は、マグネシウム合金薄板4の合金組成や厚さ、さら
には、ポンチ2の材質などに依存する。 【0036】本発明においては、マグネシウム合金薄板
4をプレス成形装置10に供し、ポンチ2に接触させて
からの保持時間を5〜60秒とすることが好ましい。保
持時間をこの範囲内にすることにより、マグネシウム合
金薄板4を180〜260℃の範囲内に容易に加温する
ことができる。保持時間が5秒未満の場合には、マグネ
シウム合金薄板4を所定の温度にまで均一に加温するこ
とができないことがあり、プレス成形性に劣ることがあ
る。また、保持時間が60秒を超えても、プレス成形性
にあまり変化が無いことから、生産性を考慮して60秒
以下とすることが好ましい。 【0037】次に、マグネシウム合金薄板について説明
する。 【0038】本発明のプレス成形方法に適用されるマグ
ネシウム合金薄板は、従来よりプレス成形用に用いられ
ているマグネシウム合金薄板を採用することができ、例
えば、重量%で、Al:1〜6.5%、Zn:0.2〜
2.5%、Mn:0.1〜0.5%、残部:Mgおよび
不可避的不純物からなる成分組成を有するものを挙げる
ことができる。 【0039】Alは、1〜6.5%の範囲内で添加され
ていることが好ましく、2〜4%の範囲内で添加されて
いることがより好ましい。Alは、強度等の機械的性質
の向上および耐食性の向上を目的として積極的に添加さ
れるものであるが、Alの添加量が6.5%を超える
と、プレス成形性が低下することがある。また、Alの
添加量が1%未満では、耐食性が低下する場合があるほ
か、強度が低下することがありその結果としてプレス成
形性が低下することがある。 【0040】Znは、0.2〜2.5%の範囲内で添加
されていることが好ましい。Znは、Alと同様に、強
度等の機械的性質の向上に寄与するものであるが、Zn
の添加量が2.5%を超えると、耐食性が低下すること
がある。また、Znの添加量が0.2%未満では、強度
が低下することがあり、その結果としてプレス成形性が
低下することがある。 【0041】Mnは、0.1〜0.5%の範囲内で添加
されていることが好ましい。Mnは、耐食性を低下させ
る元素の影響を緩和する効果を有するものである。すな
わち、Mnを添加することによって、耐食性を低下させ
る不純物元素であるFeの影響を緩和することができ、
上記の範囲内で添加することによって、その効果を最も
発揮することができる。 【0042】また、マグネシウム合金薄板4の厚さは、
0.2〜2.0mmであることが好ましい。この範囲の
厚さのマグネシウム合金薄板4は、本発明のマグネシウ
ム合金薄板のプレス成形方法が好適に適用され、割れ等
のない成形品を製造することができる。 【0043】次に、マグネシウム合金薄板が深絞り加工
される際の具体的態様について説明する。 【0044】マグネシウム合金薄板4のフランジ部分8
は、所定の温度に制御されたダイ1とブランクホルダー
3とにより所定のしわ押さえ力で挟持される。次いで、
所定の温度に加温されたポンチ2をマグネシウム合金薄
板4に接触させ、一定の保持時間経過させた後、ポンチ
2によりプレス成形が開始される。 【0045】このプレス成形の初期段階において、マグ
ネシウム合金薄板4のフランジ部分8は、所定のしわ押
さえ力に基づく摩擦抵抗(以下、「摺動抵抗」とい
う。)を持って挟持されている。深絞り加工は、挟持さ
れたフランジ部分8にその摺動抵抗よりも大きなプレス
張力を加え、マグネシウム合金薄板4のフランジ部分8
をダイ1の肩部11からダイ1の凹部内方に引っ張るよ
うに流入させることによって行われる。従って、マグネ
シウム合金薄板4は、上述の摺動抵抗よりも大きな引張
強さを有し且つ上述のプレス張力により塑性変形を起こ
すことができる機械的特性(引張強さおよび伸び率)を
有するものでなければならない。本発明においては、こ
うした機械的特性(引張強さおよび伸び率)を、上述し
た温度に制御したポンチ2でマグネシウム合金薄板4を
加温することによって達成している。 【0046】プレス成形が進んだ中間段階においては、
ダイ1の凹部内方の下死点13に至るまで、マグネシウ
ム合金薄板4はポンチ肩部12により圧縮変形または引
張変形する。さらに、上述したプレス成形の初期段階と
同様に、マグネシウム合金薄板4が引っ張られて塑性変
形しつつダイ1の凹部内方に流入する。本発明において
は、流入するマグネシウム合金薄板4がポンチ2と同じ
温度に加温されているので、上述の摺動抵抗よりも大き
なある程度の強さの引張強さと、上述のプレス張力によ
り塑性変形を起こすことができる伸び率とを有している
ので、プレス成形中に割れが生じることはない。さら
に、下死点13付近に到達したマグネシウム合金薄板4
の変形部分は、その一部において、温度制御されたダイ
1およびノックアウト14に接触し、マグネシウム合金
薄板4に十分な変形能を与える温度に近づくので、プレ
ス成形中の割れを防ぐことができる。 【0047】プレス成形の最終段階において、下死点1
3に到達したマグネシウム合金薄板4は、複雑な形状を
有する特定部分や小さいコーナーrを有するコーナー部
分で圧縮変形または引張変形を起こす。このとき、ダイ
1は、マグネシウム合金薄板4に十分な伸びを発揮させ
ることができる温度に制御されているので、そのダイ1
により加温されたマグネシウム合金薄板4は、上述の特
定部分やコーナー部分での成形性が確保される。その結
果、複雑な形状からなる割れのない成形品を高速でプレ
ス成形することができる。 【0048】なお、プレス成形速度は、20〜2000
mm/分の範囲で行うことができ、マグネシウム合金薄
板4の深絞り加工効率を向上させることができ、従来に
比べて、生産性を向上させることができる。また、深絞
り加工等のプレス成形時には、潤滑剤または潤滑油を用
いてマグネシウム合金薄板4を滑り易くさせることが好
ましい。 【0049】以上説明したように、本発明に係るマグネ
シウム合金薄板のプレス成形方法は、加温された際のマ
グネシウム合金薄板4の引張強さや伸び率などに基づく
特性を利用することにより、マグネシウム合金薄板のプ
レス成形性と局部的な変形性能を向上させたものであ
る。本発明に係るマグネシウム合金薄板のプレス成形方
法によれば、複雑な形状からなる割れのない成形品を高
速でプレス成形することができる。その結果、プレス成
形時間の著しい短縮を図ることができ、生産効率を高め
ることができる。 【0050】 【実施例】以下、本発明を実施例と比較例により具体的
に説明する。 【0051】(実施例1)マグネシウム合金薄板4とし
ては、厚さ0.4mmに圧延したAZ31合金(AST
M規格)を用いた。そのマグネシウム合金薄板4を、長
さ87.0mm×幅84.0mmの形状に加工した試験
試料を作製した。 【0052】ダイ1は、ヒーター5の埋め込み部分を含
め、幅180mm×長さ180mmの大きさで、コーナ
ーr:2mm、成形深さ:7mmの角型のものを用い
た。ポンチ2は、幅79mm×長さ76mmの大きさ
で、コーナーr:0.2mm、先端の中心部分に深さ
0.5mmのエンボス文字を有するMDディスク用のも
のを用いた。なお、ダイ1、ポンチ2およびブランクホ
ルダー3の各部材は、SS400材を用い、ダイ1には
1kWのヒーターを4本、ブランクホルダーには1kW
のヒーターを4本、ポンチには0.4kWのヒーターを
一本、それぞれ埋め込んだ。各部材の温度は、各部材内
に設置した熱電対によりモニターした。また、成形する
マグネシウム合金薄板4の温度は、ポンチ2の表面近傍
に埋め込んだ熱電対により測定した。 【0053】以上の条件下で深絞り加工を行った。先
ず、各部材を所定の温度に加温した後、ポンチ2を試験
試料に所定時間接触させ、その後、プレス成形を行って
深絞り加工を行った。プレス成形速度を120mm/分
とし、しわ押さえ力はスペーサーを入れて限りなく0に
近い条件とした。なお、絞り加工の際には、40℃で3
80mm2 /秒の動粘度を持つ潤滑油を、マグネシウム
合金薄板4に予め塗布して行った。 【0054】こうして深絞り加工を行い、得られた成形
品のプレス成形性について評価した。その結果を表1に
示す。 【0055】(実施例2〜14)実施例1と同様な方法
により、実施例2〜14における深絞り加工を行った。
実施例2〜14における深絞り加工の条件および得られ
た成形品のプレス成形性についての評価結果を表1に示
した。 【0056】(比較例1〜5)実施例1と同様な方法に
より、比較例1〜5における深絞り加工を行った。比較
例1〜5における深絞り加工の条件および得られた成形
品のプレス成形性についての評価結果を表1に示した。 【0057】(評価方法)プレス成形性の評価は、コー
ナー部分の割れの発生を観察して行った。コーナー部分
に割れが発生しないものを○、割れが発生したものを×
とした。 【0058】(評価結果)実施例1〜14の深絞り加工
においては、得られた成形品のコーナー部分に割れがみ
られなかった。さらに、エンボス文字も良好に成形され
ていた。一方、比較例1〜5の深絞り加工においては、
得られた成形品のコーナー部分に割れがみられた。 【0059】 【表1】 【0060】 【発明の効果】本発明のマグネシウム合金薄板のプレス
成形方法によれば、複雑な形状からなる特定部分や小さ
いコーナーrからなるコーナー部分を有する製品を、そ
の製品の特定部分やコーナー部分にくびれや割れを発生
させることなく成形することができる。本発明は、特に
絞り加工において好ましい変形形態を発揮することがで
き、プレス成形速度の向上とプレス成形の効率化を図る
ことができる。また、本発明によれば、従来複数の部品
を組み合わせて製造されていた複雑な形状からなる電子
部品ケースなども、一枚のマグネシウム合金薄板をプレ
ス成形することによって製造することが可能になるの
で、製造コストを削減できると共に、部品の軽量化に大
きく貢献できる。更に、電子部品ケースなどの製品を連
続生産することが容易となり、安価で量産性に優れたプ
レス成形製品の成形を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のマグネシウム合金薄板のプレス成形方
法の一例を示す概略断面図である。 【図2】所定温度のマグネシウム合金薄板の引張試験結
果のグラフである。 【符号の説明】 1 ダイ 2 ポンチ 3 ブランクホルダー 4 マグネシウム合金薄板 5、6、7 ヒーター 8 フランジ部分 10 プレス成形装置 11 ダイ肩部 12 ポンチ肩部 13 下死点 14 ノックアウト 21 フランジ面

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 190〜300℃のダイと、当該ダイの
    温度よりも低く且つ当該ダイとの温度差が60℃以内の
    ポンチとによりマグネシウム合金薄板をプレス成形する
    ことを特徴とするマグネシウム合金薄板のプレス成形方
    法。
JP2001295914A 2001-09-27 2001-09-27 マグネシウム合金薄板のプレス成形方法 Pending JP2003103311A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001295914A JP2003103311A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 マグネシウム合金薄板のプレス成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001295914A JP2003103311A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 マグネシウム合金薄板のプレス成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003103311A true JP2003103311A (ja) 2003-04-08

Family

ID=19117263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001295914A Pending JP2003103311A (ja) 2001-09-27 2001-09-27 マグネシウム合金薄板のプレス成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003103311A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100382911C (zh) * 2006-10-26 2008-04-23 上海交通大学 镁合金板材变压边力差温拉延方法
WO2008053604A1 (en) * 2006-10-31 2008-05-08 Jfe Steel Corporation Method of metal sheet press forming and skeletal part for vehicle produced thereby
JP2008126246A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Niigata Prefecture マグネシウム合金板の塑性加工方法
CN100444982C (zh) * 2006-10-26 2008-12-24 上海交通大学 镁合金板材差温拉延模具
CN102350456A (zh) * 2011-08-05 2012-02-15 北京广灵精华科技有限公司 一种镁合金板材加工方法
CN102397929A (zh) * 2011-08-05 2012-04-04 北京广灵精华科技有限公司 一种镁合金板材加工方法
KR101171005B1 (ko) * 2009-12-29 2012-08-08 재단법인 포항산업과학연구원 딥드로잉 금형 및 이를 사용한 프레스 성형 방법
CN103286182A (zh) * 2013-05-09 2013-09-11 重庆大学 一种镁合金冲压工艺
EP2727665A1 (de) * 2012-10-31 2014-05-07 EADS Deutschland GmbH Verfahren zur Herstellung eines Formbauteils, Verwendung des Verfahrens zur Herstellung eines Formbauteils und solcher Formbauteil

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100444982C (zh) * 2006-10-26 2008-12-24 上海交通大学 镁合金板材差温拉延模具
CN100382911C (zh) * 2006-10-26 2008-04-23 上海交通大学 镁合金板材变压边力差温拉延方法
KR101128314B1 (ko) * 2006-10-31 2012-03-23 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 금속판의 프레스 성형 방법 및 그것에 의해 제조된 차량용 골격 부품
CN101522333A (zh) * 2006-10-31 2009-09-02 杰富意钢铁株式会社 金属板的冲压成形方法及通过该方法制造的车辆用骨架构件
WO2008053604A1 (en) * 2006-10-31 2008-05-08 Jfe Steel Corporation Method of metal sheet press forming and skeletal part for vehicle produced thereby
US8511129B2 (en) 2006-10-31 2013-08-20 Jfe Steel Corporation Press forming method for metal sheet and frame part for automotive body manufactured thereby
JP2008126246A (ja) * 2006-11-17 2008-06-05 Niigata Prefecture マグネシウム合金板の塑性加工方法
KR101171005B1 (ko) * 2009-12-29 2012-08-08 재단법인 포항산업과학연구원 딥드로잉 금형 및 이를 사용한 프레스 성형 방법
CN102350456A (zh) * 2011-08-05 2012-02-15 北京广灵精华科技有限公司 一种镁合金板材加工方法
CN102397929A (zh) * 2011-08-05 2012-04-04 北京广灵精华科技有限公司 一种镁合金板材加工方法
EP2727665A1 (de) * 2012-10-31 2014-05-07 EADS Deutschland GmbH Verfahren zur Herstellung eines Formbauteils, Verwendung des Verfahrens zur Herstellung eines Formbauteils und solcher Formbauteil
CN103286182A (zh) * 2013-05-09 2013-09-11 重庆大学 一种镁合金冲压工艺
CN103286182B (zh) * 2013-05-09 2014-12-24 重庆大学 一种镁合金冲压工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4551694B2 (ja) 温熱間成形品の製造方法および成形品
JP3816937B1 (ja) 熱間成形品用鋼板およびその製造方法並びに熱間成形品
JP5695381B2 (ja) プレス成形品の製造方法
JP4780601B2 (ja) プレス成形性に優れたマグネシウム合金板およびその製造方法
US20160047021A1 (en) Aluminum alloy sheet for press forming, process for manufacturing same, and press-formed product thereof
JP5671422B2 (ja) 高強度7000系アルミニウム合金部材の製造方法および高強度7000系アルミニウム合金部材
JP5611922B2 (ja) プレス成形品およびその製造方法
TW201014661A (en) Pressed product
JP4041774B2 (ja) β型チタン合金材の製造方法
JP2004124151A (ja) アルミニウム合金の熱処理方法
JP2010227954A (ja) アルミニウム合金板のプレス成形方法
CN110088313A (zh) α+β型钛合金挤出型材
JP4476787B2 (ja) プレス成形性に優れたマグネシウム合金板の製造方法
JP2003103311A (ja) マグネシウム合金薄板のプレス成形方法
JP4012845B2 (ja) 結晶粒を微細化した70/30黄銅とその製造方法
JP4780600B2 (ja) 深絞り性に優れたマグネシウム合金板およびその製造方法
JP2009148823A (ja) アルミニウム合金冷延板の温間プレス成形方法
JP2005138111A (ja) 鋼板の熱間プレス成形方法及び装置
JPH06328155A (ja) マグネシウム薄板のプレス成形方法
WO2005113842A1 (ja) 熱間絞り成形品の製造方法
JP2011063868A (ja) アルミ成形部品およびこれを含む金属構造体の製造方法
JP2002266057A (ja) プレス成形性に優れたマグネシウム合金板の製造方法
JP2016112606A (ja) 温間成形方法
JP2009256706A (ja) 成形加工用マグネシウム合金板およびその製造方法
CN101314840B (zh) 容器箔的制造方法