JP2016112606A - 温間成形方法 - Google Patents

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【課題】高強度かつ優れた成形性を具備し、ストレッチャーストレインマークの発生が抑制されたAl合金の温間成形品を提供する方法に関する。【解決手段】本発明の温間成形品は、質量%にてMg:2.0〜5.0%を含有するアルミニウム合金の冷間圧延材を温間成形する温間成形方法であって、前記冷間圧延材の一部もしくは全部を温間成形前または温間成形中に150℃以上300℃以下に加熱してから5分以内に温間成形することによりストレッチャーストレインの発生を無くした温間成形品を得ることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、高い強度と優れた成形性を有し、ストレッチャーストレイを生じない温間成形品の製造方法に関する。
近年、自動車パネル用材料として鋼板に代わりアルミニウム合金板が使用され、車体軽量化のニーズを受けてその使用量は増大する傾向にある。自動車用パネル材料に要求される特性は主として強度と成形性である。このうち、パネル用材料の成形性に関し、アルミニウム合金の延性は、従来使用されてきた軟鋼板の延性に比べて低いことが知られている。
例えば、パネル用材料への採用実績がある5000系のアルミニウム合金の規格であるA5052合金の場合、焼鈍材の引張試験での全伸びは25%程度であり、軟鋼板(JAC270D)の40〜49%に比べて極めて低い値となっている。
このようにアルミニウム合金は、軟鋼板に比べて成形性が劣るため、アルミニウム合金板を自動車用パネルに適用する場合、適用するパネル形状に制約を設ける必要性が生じるため、アルミニウム合金の自動車用材料としての適用範囲は限定されてきた。
そこで、アルミニウム合金の適用範囲拡大のための成形方法の改善方法として、通常の冷間成形に代わる成形方法の検討がなされ、温間成形法が注目されている。
温間成形法は、事前に材料を加熱せず、代わりに加熱した金型を用いる深絞り成形方法の1種であり、高温ブロー成形法などのような高い張り出し性を得ることは難しいが、汎用のアルミニウム合金を使用して冷間成形よりも高い深絞り性を得ることが可能となる。
以上説明のように、アルミニウム合金の温間成形品を自動車パネル材料に適用しようとする試みは種々なされているが、アルミニウム合金を深絞り成形する場合の課題として従来、ストレッチャーストレインマークと称される模様が室温成形に限らず温間成形品にも生じるという懸念がある。このストレッチャーストレインマークは深絞り加工を行った場合においてアルミニウム合金が延ばされた部分あるいはその周囲部分に発生することが知られ、表面を滑らかに仕上げる必要のある自動車パネルにおいて美観を損なうため、製造時の問題となっている。
従来、ストレッチャーストレインマークの発生を抑制するために、Mgを重量比で2.5〜10%含むAl−Mg系合金板に対し、材料のMg量(%)、成形歪み速度SR(/s)により下記式で規定される温度Tc(℃)以上、150℃未満の温度域で成形する技術が知られている(特許文献1参照)。
前記アルミニウム合金板に対し温間成形法を適用して自動車用パネルを製造する技術に関し、ヒーター加熱方式を採用したダイスおよびホルダーと水冷方式を採用したパンチを備えた金型を用い、ブランク温度の金型温度依存性、スプリングバックの解析、潤滑油の解析、成形速度の解析などがなされている(非特許文献1参照)。
特開平8−90091号公報
大上哲郎、高田健、佐賀誠、菊池正夫 軽金属 第50巻、P451〜455(2000)
アルミニウム合金板を自動車パネル用途として利用するために、従来から種々の技術改良がなされているが、自動車パネルとして必要な強度を確保できる5000系のアルミニウム合金に対し、上述したダイスとホルダーおよびパンチを利用した深絞り成形を行うと、ストレッチャーストレインマークの発生が避けられない問題があった。
自動車用パネルには、強度を確保し、成形性も加味した上でストレッチャーストレインマークの発生も抑制することが要求されるが、成形性と強度を確保した上にストレッチャーストレインマークの抑制を達成できる技術について従来は提供されていなかった。
本発明者は上述の問題を解決するため、自動車用パネルに好適な強度を得ることができるJIS5000系のアルミニウム合金を用い、この系のアルミニウム合金を温間成形する技術についてダイスとホルダーおよびパンチを用いて繰り返し温間成形条件について試験した結果、本願発明に到達した。
本発明者の研究によれば、ストレッチャーストレインマークの発生はアルミニウム合金の加工の際に材料温度を向上させると抑制できることを知見した。ところが、アルミニウム合金の加工温度を上昇させると、材料自体を焼鈍することとなり、アルミニウム合金が軟化するので、自動車パネル用途に必要な強度が得られなくなり、上述した全ての条件を満足する温間成形品を提供することは難しい問題がある。
本発明は、自動車用パネルとして好適な強度を有し、成形性に優れ、ストレッチャーストレインマークの発生も抑制できる技術の提供を目的とする。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は次のとおりである。
(1)本発明の温間成形方法は、質量%にてMg:2.0〜5.0%を含有するアルミニウム合金の焼鈍材を温間成形する温間成形方法であって、前記焼鈍材の一部もしくは全部を温間成形前または温間成形中に150℃以上300℃以下に加熱してから5分以内に温間成形することによりストレッチャーストレインの発生を無くした温間成形品を得ることを特徴とする。
(2)本発明において、温間成形に用いるパンチと接する部分の材料温度を150℃以上300℃以下に保持しながら5分以内に温間成形することが好ましい。
(3)本発明において、前記焼鈍材をダイスとホルダーの間に挟持した状態からパンチによって温間成形する場合、前記ダイスとホルダーに接する部分の材料温度を120℃以上300℃以下に保持しながら5分以内に成形することが好ましい。
本発明により、自動車用パネルなどとして好適な強度を有し、温間成形性に優れ、深絞りが可能であり、温間成形後であってもストレッチャーストレインマークの発生が抑制された成形品を得ることができる。
Mgを2.0〜5.0%含有するアルミニウム合金からなり、温間成形により5分以内に加工し、加工時あるいは加工前に焼鈍材の一部または全部を150〜300℃の範囲に加熱しておくことで、ストレッチャーストレインマークの発生を抑制できる。
焼鈍材の一部または全部を150〜300℃の範囲に加熱しておくことでストレッチャーストレインマークの発生を抑制できるとともに、5分以内に温間加工を終了することで焼鈍材の硬度を低下させることなく温間成形品を得ることができる。
焼鈍材を加熱するには、ダイスとホルダに接触した部分をダイスとホルダで120〜300℃に加熱する方法、150〜300℃に加熱したパンチで温間成形を行う方法を採用することが好ましい。
本発明に係る温間成形品を製造する方法に用いる温間成形装置の一例を示す説明図。 実施例と比較例において温間成形方法を実施して得られた温間成形品の一例を示す斜視図。 実施例と比較例の試料においてパンチ温度およびホルダー温度とストレッチャーストレインマーク発生との相関関係を示すグラフ。 実施例と比較例の試料においてパンチ温度およびホルダー温度とストレッチャーストレインマーク発生との相関関係を示すもので、(a)はホルダー温度とパンチ温度を室温に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真、(b)はホルダー温度を250℃にパンチ温度を室温に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真、(c)はホルダー温度を250℃にパンチ温度を100℃に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真、(d)はホルダー温度を250℃にパンチ温度を150℃に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真、(e)はホルダー温度を250℃にパンチ温度を200℃に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真、(f)はホルダー温度を250℃にパンチ温度を250℃に設定した場合に得られた温間成形品のコーナー部を示す写真。 実施例と比較例の試料において試験温度と引張速度に関連してストレッチャーストレインマークの発生状況を判定した結果を示すグラフ。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本実施形態に係る温間成形方法では、質量%において、Mgを2.0%以上、5.0%以下含有し、残部Alと不可避不純物の組成を有するJIS5000系のAl合金を用いることができる。
Mgは5000系のAl合金において、強度および延性に寄与する必須の添加元素であるが、Mg含有量が2.0%未満では、強度不足となり易く、温間成形性も不良となり易い。Mg含有量が5.0%を超える組成では板材とする場合に行う熱間圧延工程において圧延割れが生じ易くなる。
本実施形態に適用するAl合金における他の添加元素として、Mgの他に、MnあるいはCrを添加しても良い。MnおよびCrはアルミニウム合金の結晶粒の粗大化を防止する元素であるが、Mnを1.5%超、Crを0.5%超添加すると、製造時の熱間加工性が劣化する。
従って、MnとCrの添加量の上限は、それぞれ、1.5%および0.5%である。また、アルミニウム合金板の結晶粒が粗大化すると成形品の表面性状が劣化して美観を損ない、強度が低下することもあるため、Mnを0.05%以上1.5%以下、Crを0.05%以上0.5%以下含有していても良い。
上記したAl合金において、Mg、Mn、Crの残部は、Al及び不可避的不純物とすれば良いが、これらの他に、質量%で、Fe:0.5%以下、Si:0.5%以下、Cu:1.0%以下、Zn:0.6%以下、Ti:0.9%以下、B:0.1%以下の1種又は2以上を含有しても良い。
(アルミニウム合金板の製造)
本実施形態で温間成形に用いるAl合金板は、通常方法で製造される。
代表的には、DC鋳造法(半連続鋳造法)によって鋳造したのち、必要に応じて均熱処理を施してから熱間圧延し、さらに必要により冷間圧延した後の焼鈍材を用いればよい。この際、熱間圧延と冷間圧延との間もしくは冷間圧延の途中で1回または複数回の中間焼鈍を施すことができる。
ただし、温間成形に用いるアルミニウム合金板は、冷間圧延後の焼鈍材とすることが必要であり、硬度としてHv=65〜86、好ましくは70〜86の範囲の焼鈍材からなる目的の厚さのアルミニウム合金板を以下の温間成形装置により加工することが好ましい。なお、ビッカース硬度65〜86のAl合金の焼鈍材として、一例としてJIS規定T4相当の焼鈍材を用いることができる。
温間成形後の強度確保のため、成形加工時の歪を成形品内に残存させることで強度確保が可能であり、歪残存のためには、温間成形時の熱により歪除去を最小限とするために、5分以内に温間成形を完了させることが好ましい。この条件により焼鈍材を用いて温間成形を行ってもHv=65〜86の範囲の温間成形品を得ることができる。
図1は本実施形態において使用する温間成形装置の一例を示すもので、この例の温間成形装置1は、ホルダー2およびその上に設置されたダイス3と、加工用のパンチ5を備えている。ホルダー2およびダイス3にはそれぞれ加熱ヒーター2a、3aが備えられ、ホルダー2、ダイス3の温度を目的の温度範囲、例えば、室温〜300℃程度までの任意の温度に調節することができる。また、パンチ5には冷却用の水冷配管5aと加熱ヒーター5bが備えられ、パンチ5の温度を室温〜300℃程度まで任意の温度に調節できる。
ホルダー2とダイス3は、それらの中央部に成形用の空間部を備えた中空の環状構造とされ、ホルダー2とダイス3の間に加工目的のアルミニウム合金板6を水平に挟持した状態において、上方からパンチ5を下降させてアルミニウム合金板6を絞り成形することができ、図1、図2に示す温間成形品7を得ることができる。
温間成形時のホルダー2、ダイス3の温度は、ヒーター装置の加熱によれば350℃を超える温度に制御することもできるが、温間成形を行う場合に用いる潤滑油の使用温度上限が一般には350℃であるため、350℃より高い温度には加熱しないことが好ましい。
温間成形方法は、一般には金型の温度差によって材料間に温度差を生じさせ、この温度差による材料内の強度差を利用し、高い成形性を得るものである。即ち、ダイス3とホルダー2に接するアルミニウム合金板の周辺部分は高温になるために変形し易くなり、深絞りの流入抵抗が低下する。一方、パンチ5に接する材料部分は周辺部分よりも低温であるためその強度は高温部のそれよりも高く、これにより流入力が高くなる。そのため、温間成形では、高い成形性が得られる。
しかし、パンチ5の温度をホルダー2やダイス3の温度より低い温度に設定し、アルミニウム合金板6の深絞り成形を行うと、成形後に得られた温間成形品7の例えばコーナー部の内側にストレッチャーストレインマークを称されるしわが生成する場合がある。
このため、本実施形態ではホルダー2とダイス3の温度は120℃以上300℃以下に設定した上に、パンチ5の温度を150℃以上、300℃以下の温度に加熱しながら温間成形を行う。しかし、パンチ5の温度を従来方法とは異なり、高温に設定しているので、温間成形に長い時間がかかるとアルミニウム合金板6に焼鈍が入り材料強度が低下するおそれがある。
そこで、ホルダー2、ダイス3の間にアルミニウム合金板6を挟んでからパンチ5により加圧してアルミニウム合金板6に絞り成形を施し、温間成形を終了させるまでの時間を5分以内として温間成形を終了させる。
ホルダー2とダイス3を120〜300℃に加熱し、パンチ5を150〜300℃に加熱して温間成形を行う場合、温間成形の所要時間が5分を超えるようであると、用いるアルミニウム合金板6が焼鈍が進行されて硬度(ビッカース硬度:Hv)が低下する。アルミニウム合金板6の硬度が低下すると得られた温間成形品7の強度も低下する。
前述の組成の5000系のアルミニウム合金板6において焼鈍材のビッカース硬度Hvが65以上、例えばHvが65〜86であるので、硬度を低下させないために5分以内の加工時間が好ましい。
5分を超える温間成形時間にすると、加工後の温間成形品7のビッカース硬度Hvが65未満に低下するなどが原因となり、強度が低下する。ビッカース硬度Hvが65未満になると、上述の5000系のAl合金の板材であっても自動車用パネルとしては強度不足となる。
以上説明のように、ホルダー2とダイス3に加えてパンチ5の温度を150〜300℃の範囲に設定し、5分以内に温間成形を終了させるならば、アルミニウム合金板6として保有するビッカース硬度Hv65〜86の範囲を維持したまま、好ましくは70〜86を維持したままストレッチャーストレインマークの生じていない温間成形品7を得ることができる。
本実施形態の温間成形品7は、図2に示すように周壁7aと底壁7bからなる目的の形状に成形されているが、周壁7aの周辺部分には耳部8が残留する。
本実施形態の温間成形品7において、特にストレッチャーストレインマークと称される模様が生成し易いのは、底壁7bのコーナー部7cの部分であるが、上述の如くパンチ5の温度を150〜300℃に調整することで、コーナー部7cにおいて変形抵抗を小さくして材料の流れを円滑にすることができ、コーナー部7cの部分並びにその周辺部分におけるストレッチャーストレインマークの発生を抑制できる。
本実施形態ではアルミニウム合金板6に温間成形加工を施す際、ホルダー2とダイス3に加えてパンチ5の温度を150〜300℃の範囲に設定して温間成形したが、アルミニウム合金板6の一部または全体を事前に150℃以上300℃以下に加熱してから温間成形を行ってもよい。
また、ホルダー2およびダイス3に接する部分のアルミニウム合金板6を120℃以上300℃以下に温間成形前に加熱してから上述の条件で温間成形しても良い。
温間成形の前にアルミニウム合金板6を加熱する場合、上述の温度範囲に加熱後、温間成形終了までの合計時間が5分を超えるとアルミニウム合金板6が軟化するので、温間成形前に加熱する場合は温間成形前の加熱時間と温間成形中の加熱時間の合計が5分を超えないように加工する必要がある。
また、上述の温間成形の場合、事前に前記温度範囲(150〜300℃)に予熱したホルダー2とダイス3およびパンチ5を用いて温間成形しても良い。この場合、アルミニウム合金板6をホルダー2とダイス3の間に設置する前にホルダー2とダイス3およびパンチ5を予熱するならば、アルミニウム合金板6を加熱する訳ではないので、ホルダー2とダイス3の予熱時間に特に制限はない。
なお、予熱のみ行ってもホルダー2とダイス3とパンチ5が規定の温度になっていない場合は冷間圧延材が低温のホルダー2とダイス3とパンチ5によって冷やされてしまうので、ホルダー2とダイス3とパンチ5を上述の温度に制御しながら温間成形を行うことが好ましい。
「角筒成形試験」
厚さ1mmのJIS5182合金(Mg:4.5%、Mn:0.35%、残部Al)の焼鈍材を用い、角筒型のパンチ金型(200×300mm)、頭頂部R500mm、成形高さ25mm、成形速度70mm/s、特開2008-274256号公報の表1のNo.1に記載の潤滑油を用い、ダイス・ホルダーの温度を以下のように200℃と250℃に、パンチの温度を室温〜250℃の範囲の特定の温度に規定して温間成形の予備実験を行った。
温間成形に要する時間は、成形開始から終了まで1分としている。
以上の試験結果を図3に示す。
得られた温間成形品の底壁コーナー部とその近傍を目視し、ストレッチャーストレインマークが生じているか否か目視判定した。ストレッチャーストレインマークは、表面粗さなどの計測では認識できない模様であり、目視観察により模様の有無を判定することができる。
この試験結果において、ストレッチャーストレインマークの発生は、目視検査により認められる場合×印、目視検査により認められない場合に○印を付している。
図3に示す結果から、ストレッチャーストレインマークの抑制は、パンチの温度を水冷により室温に保持し、ホルダー温度を250℃に調整するのみでは解決できないが、パンチの温度を室温よりも高い温度範囲、例えば、150℃〜250℃の範囲に設定することで改善できることが判った。
図4にホルダーの温度とパンチの温度をそれぞれの温度(室温〜250℃)に設定した場合について、温間成形品のコーナー部分の表面を撮影した写真を示す。
図4(a)〜(c)に示すように、ホルダー温度RT(室温)かつパンチ温度RT、ホルダー温度250℃かつパンチ温度RT、ホルダー温度250℃かつパンチ温度100℃ではストレッチャーストレインマークが発生した。照明光が反射する部分の隣接位置に模様のようにストレッチャーストレインマークが確認できる。
図4(d)に示すようにホルダー温度250℃、パンチ温度150℃の場合にストレッチャーストレインマークの発生を無くすることができた。そして、ホルダー温度250℃、パンチ温度200℃の場合にもストレッチャーストレインマークの発生を無くすることができ、ホルダー温度250℃、パンチ温度250℃の場合にもストレッチャーストレインマークの発生を無くすることができた。
「引張試験」
上述のAl合金板について、引張速度を1、10、300mm/分のそれぞれに設定し、試験温度RT、100℃、150℃、200℃、250℃にそれぞれ設定して高温引張試験を行った。その結果を図5に示す。
図5に示す引張試験結果からも、先の角筒成形時の試験結果と同様に、ストレッチャーストレインマークの発生は試験温度を150℃以上に上げることで改善できる傾向があると判った。
次に、温間成形時の保持持間について試験した。
5052合金(2.5%Mg)の焼鈍材について、3s、60s、120s、300s、600sの各時間で300℃に保持した時の引張試験を行ってみたが、YS(降伏強度)とTS(引張強度)の測定値から、保持時間が長くなるにつれて、YS、TS共に徐々に低下するが300秒(5分)までは高いレベルでYS、TS共に維持できることがわかった。また、5分以内の成形時間では、歪は完全に除去されず、冷間成形後の硬さ(Hv≒70)と同程度の硬さを維持できることも分かった。
この結果から判るように、5分以下の加工であれば十分な引張強度が確保される。自動車用部品として必要な強度は素材のYSになる。硬度の増大はTSやYSの増大を意味する。
なお、5052合金の冷間圧延率を上げると、硬度は上昇できる。また、冷間圧延率0%(焼鈍材)の硬度Hvは65にできる。
このため、自動車用パネルなどの用途としてみると、Al合金を保持時間5分(300s)以下で温間成形することで目的の硬度、換言すると自動車用パネルなどの目的に適用できる温間成形品を得ることができると判る。
次に、5052合金(2.5%Mg)の焼鈍材(板厚1mm)について、300℃に加熱した場合、φ75mmの球頭張出し試験を実施した。
この試験片の最大張出し高さは32mmを大きく超える値(35mm)を示し、優れた温間成形性を示すことが判った。
5000系のAl合金板の張出し成形性はMg添加量の増加に従い向上することが判明している。従って、2.0%を越えたMgを添加すれば35mm以上の成形高さが得られると推定できる。自動車パネル用途などのように35mm以上の張出し高さを得るための条件としてMg添加量を2.0%以上とすることが好ましい。
5000系のAl合金においてMg添加量を増やすと、製造時の熱間圧延にて、熱間加工割れ(素材幅方向割れ)が発生し易くなる。このような熱間加工割れが発生すると、材料の生産性(歩留まり)が著しく低下する。
つまり、続く工程でこの割れが進展し、この割れの部分を最終的に切り取る必要が生じる。熱間加工割れを抑制できるMg量の上限は4.5%であるが、特殊な製造条件が必要であるため、汎用技術として熱間加工割れを起こすことなく製造できるMg量の上限は5.0%である。
以上のことから、5000系のAl合金であっても、自動車用途などにおいて、Mgを2.0%以上、5.0%以下含むAl合金を本発明に適用することに意義を有する。
1…温間成形装置、2…ホルダー、3…ダイス、5…パンチ、6…アルミニウム合金板、7…温間成形品。

Claims (3)

  1. 質量%にてMg:2.0〜5.0%を含有するアルミニウム合金の冷間圧延材を温間成形する温間成形方法であって、前記冷間圧延材の一部もしくは全部を温間成形前または温間成形中に150℃以上300℃以下に加熱してから5分以内に温間成形することによりストレッチャーストレインの発生を無くした温間成形品を得ることを特徴とする温間成形方法。
  2. 温間成形に用いるパンチと接する部分の材料温度を150℃以上300℃以下に保持しながら5分以内に温間成形することを特徴とする請求項1に記載の温間成形方法。
  3. 前記冷間圧延材をダイスとホルダーの間に挟持した状態からパンチによって温間成形する場合、前記ダイスとホルダーに接する部分の材料温度を120℃以上300℃以下に保持しながら5分以内に成形することを特徴とする請求項1または2に記載の温間成形方法。
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