JPH11124790A - ヘルメット用緩衝材 - Google Patents

ヘルメット用緩衝材

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JPH11124790A
JPH11124790A JP28390697A JP28390697A JPH11124790A JP H11124790 A JPH11124790 A JP H11124790A JP 28390697 A JP28390697 A JP 28390697A JP 28390697 A JP28390697 A JP 28390697A JP H11124790 A JPH11124790 A JP H11124790A
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JP
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fiber
fibers
water
density
cushioning material
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JP28390697A
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English (en)
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Chitose Yoshimura
千登勢 吉村
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Hisao Ishikawa
久夫 石川
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境問題に最も好ましい天然パルプ繊維を主
原料として、かつ、軽量性(低密度)、通気性、透湿
性、緩衝性に優れた、生分解性のヘルメット用緩衝材を
提供する。 【解決手段】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
の範囲にあるカールドファイバーを主原料として含有す
る水性スラリーを脱液・乾燥して得られる、密度が0.
05〜0.40g/cm3の低密度体からなるヘルメッ
ト用緩衝材。この際に、水性スラリーが、結合強化ファ
クターが0.15以上の微細繊維を含有することが好ま
しく、また、緩衝材は耐水化処理および/または、撥水
化処理されることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自転車や自動二輪
車の運転時、スポーツ時、工事現場あるいは各種工場で
の作業時等に着用される安全ヘルメットの内部に使用さ
れる、ヘルメット用緩衝材に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、安全ヘルメットは人間の頭部を
衝撃から保護する目的で、自転車や自動二輪車の運転
時、スポーツ時、工事現場あるいは各種工場での作業時
等に着用され、危険の種類に応じて構造の異なるものが
使用される。例えば、外部から受ける衝撃や貫通等の危
険性が高スピードを伴うことにより最も高いと思われる
自動二輪車の運転時、スポーツ時に着用される場合、そ
のヘルメットは、通常、外部からの衝撃に対して内部を
保護するための帽体と、その帽体に受けた衝撃を吸収す
るための緩衝材等から形成され、外部からの衝撃を二段
階に受け止めるよう構成されている。更にヘルメットを
頭部にフィットさせるための内装クッション材、ヘルメ
ットが衝撃によって脱げないように帽体に固定するため
の顎ひも、必要によっては顔面を覆うシールド等が設置
されている。
【0003】一方、自らの転倒や高所からの落下もしく
は上部からの貫通等の危険性がある自転車の運転時や工
事現場あるいは工場での作業時に着用されるヘルメット
は、前記タイプのヘルメットとは異なり、スピードを伴
うことが少ないため、外部、特に上からの衝撃に耐えう
る構造をとる。つまり、外側の帽体部分、内側には頭部
を固定するための着装体、顎ひも等が存在し、帽体と着
装体の間には外部からの衝撃を吸収出来るように一定の
空間が保持され、更に必要によっては顔面を覆うシール
ド等が設置されている。しかし、近年このタイプのヘル
メットは、より一層の衝撃吸収性能を付与するため、帽
体と着装体の間の一定空間部分に前記タイプのヘルメッ
ト構造に使用される緩衝材等を充填させるものが多くな
ってきている。
【0004】ヘルメットの緩衝材に求められる特性は、
外部からの衝撃を吸収して緩和し、発生加速度を低下さ
せる緩衝性の他に、着用者の疲労を低減し、快適な装着
性を出すための軽量性、断熱性等があり、これらの特性
を満たし、現在最も汎用的に使われているのがポリスチ
レン、ポリウレタン、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡
体である。しかし、これらの合成樹脂発泡体は上記のよ
うな優れた特性を有する反面、生分解性がなく、自然環
境に放置された場合にそのままの形状を維持し続けるた
めに、長期間にわたってその場の美観を損ね、環境を汚
染する問題を持つ。又、埋立によってその廃棄物を処理
した場合、生分解性がないことと更には原料の10〜7
0倍に膨張して嵩張っていることも災いして、埋立処分
場の寿命の短命化の原因ともなっている。又、この素材
は、高い燃焼カロリーを有するために、焼却炉で処分す
る場合に、燃焼温度が高くなり、焼却炉を傷めて炉の寿
命を縮めるといった問題を有する。
【0005】また、現在ヘルメット用緩衝材として使用
されている合成樹脂発泡体は、通気性、透湿性が殆ど無
い為に、汗によって長時間着用していると頭部が蒸れ易
くて不快であり、衛生的にも好ましくないといった問題
も有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
のような環境問題に最も好ましい天然パルプ繊維を主原
料として、かつ、軽量性(低密度)、通気性、透湿性、
緩衝性に優れた、生分解性のヘルメット用緩衝材を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は下記の(1)〜(5)の構成を採用する。 (1) 湿潤カールファクターが0.4〜1.0の範囲
にあるカールドファイバーを主原料として含有する水性
スラリーを脱液・乾燥して得られる、密度が0.05〜
0.40g/cm3の低密度体からなるヘルメット用緩
衝材。 (2) 該水性スラリーが、結合強化ファクターが0.
15以上の微細繊維を含有する上記(1)に記載のヘル
メット用緩衝材。 (3) 該微細繊維が天然パルプ繊維を湿式で機械的に
処理して得られた微細繊維である上記(2)に記載のヘ
ルメット用緩衝材。 (4) 乾燥重量で、該カールドファイバーが60〜9
7重量部、該微細繊維が3〜40重量部の割合で含有さ
れる、上記(2)〜(3)のいずれかに記載のヘルメッ
ト用緩衝材。 (5) 耐水化処理および/または、撥水化処理された
ことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載
のヘルメット用緩衝材。
【0008】
【発明の実施の形態】カールドファイバーは、架橋反応
による化学結合によってカールやネジレのような変形を
固定化した、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小
さくなったパルプ繊維であり、本発明では湿潤カールフ
ァクターが0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイ
バーが用いられる。本発明で云う湿潤カールファクター
とは、湿潤状態での繊維の変形の程度を示す指標で、カ
ールドファイバーを室温下、24時間純水に浸漬した後
の繊維の実際の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊
維を囲む長方形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用い
て測定し、〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、
直線的な元の繊維の長さからどれだけ曲線化しているか
を数値化したものである。湿潤カールファクターが0.
4〜1.0の範囲のカールドファイバーは、湿潤状態に
おいてもパルプ繊維の変形が大きく、剛直性が強いため
に、これを主原料とする水性スラリーを脱液・乾燥して
得られたものは多くの空隙を有し、優れた緩衝性、通気
性、透湿性を有する低密度体となる。カールドファイバ
ーとしては、水を保持する能力を示す保水度の値が10
〜80%の範囲のものが好ましい。中でも、25〜60
%の範囲のものが好ましい。保水度が10%未満のもの
は、セルロース表面の水酸基(−OH)が少なすぎて、
低密度体の保形性の悪いものになりがちである。又、保
水度が80%を超えたものを使用すると湿潤状態で短時
間にその形状が変形処理前の状態に変化していくため
に、品質の安定した低密度体を得ることができない、と
いった問題を有する。しかし、この範囲以外のものを使
用しても、用途によっては実用可能なものと成り得るた
め、本発明のカールドファイバーの保水度は必ずしも上
記範囲に限定されない。保水度は、湿潤状態にある繊維
を15分間3000Gの遠心力で脱水した後のその繊維
が保持している水の量を絶乾重量1g当たりの量で表示
した値(%)と定義されるもので、その測定方法はJA
PAN TAPPI No.26−78に規定されてい
る。
【0009】カールドファイバーとしては公知のものが
本発明に使用できる。例えば、C2〜C8のジアルデヒ
ド並びに酸官能基を有するC2〜C8のモノアルデヒド
を使用してセルロース系繊維の内部を架橋させた平均保
水度28%〜50%の架橋繊維(特公平5−71702
号公報)、C2〜C9のポリカルボン酸を用いてセルロ
ース系繊維を内部架橋させた保水度25%〜60%の架
橋繊維(特開平3−206174号公報、特開平3−2
06175号公報、特開平3−206176号公報参
照)、更には市販のもの(例えば、米国ウェアハウザー
社製、商品名:HBA−FF、NHB405、NHB4
16等)が挙げられ、適宜選択して用いられる。架橋繊
維を製造する際に、パルプ繊維に架橋剤を添加した後、
機械的撹拌を施し、次いでフラッフ化と加熱処理を行
い、繊維に変形を付与したまま固定すると湿潤カールフ
ァクターの大きなカールドファイバーが得られる。上記
で、C2は炭素数2、C8は炭素数8、C9は炭素数9
を各々示す。
【0010】本発明に使用されるカールドファイバー
は、その形状のために繊維同士の絡み合いが弱く、ま
た、架橋処理されてセルロース分子の水酸基が減少して
いるために、水酸基により水素結合も生成し難くなって
おり、得られたものは層間強度が弱い。そのため、バイ
ンダーもしくは他の繊維を必要とする。バインダーは水
性スラリーに添加したり、半湿潤状態で、または乾燥後
にスプレー等の手段で供給しても良い。バインダーのか
わりに結合性のある他の繊維を使用する方法が特に好ま
しく、その場合、少量で強い結合性を示す微細繊維が好
ましい。
【0011】本発明に使用される微細繊維は、通常天然
高分子繊維あるいは合成高分子繊維あるいは半合成高分
子繊維あるいはそれらを処理して得られるものである
が、カールドファイバーより繊維間結合が強い微細繊維
であれば、如何なる素材でも構わない。中でも、結合強
化ファクター0.15以上の繊維は、層間強度アップに
対する効果が特に顕著で好ましい。微細繊維の大きさ
は、本発明においては特に限定されるものではないが、
通常、数平均繊維長が0.01〜0.80mmの範囲の
ものが使用される。中でも歩留まり及び分解性の面で
0.05〜0.60mmの範囲のものが好ましい。
【0012】天然高分子繊維としては、例えば、針葉
樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ
化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パ
ルプ、あるいはGP、TMP(サーモメカニカルパル
プ)等の機械パルプ、あるいはコットンパルプ、リンタ
ーパルプ、古紙パルプ、バクテリアセルロース等のセル
ロース系繊維、ウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋白
系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複
合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成高分子繊維として
は、例えば、脂肪族ポリエステル系繊維、ポリエチレン
繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維のように単量
体から合成される繊維が挙げられる。又、半合成高分子
繊維としては、例えば、アセチルセルロース系繊維等の
ように、天然物を化学修飾して得られる繊維が挙げられ
る。
【0013】これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪
族ポリエステル系繊維、アセチルセルロース系繊維等の
ように生分解性を有するものが好ましく用いられる。更
に、原料供給の安定性及び価格の面から、セルロース系
繊維あるいはそれを処理して得られるものが、より好ま
しい。中でも、パルプ繊維を湿式で機械的処理して得ら
れる微細繊維は枝分かれした形状になり易く、層間強度
アップの効果が特に大きく好ましい。
【0014】機械的処理としては、例えば、媒体撹拌ミ
ル処理(特開平4−18186号公報)、振動ミル処理
(特開平6−10286号公報)、高圧均質化装置での
処理、コロイドミル処理、叩解機処理等が挙げられる
が、本発明では特に処理装置を限定するものではない。
前記処理装置のうちで、媒体撹拌ミルや振動ミルによっ
て得られる微細繊維パルプは、他の処理装置で得られる
パルプ繊維より柔軟性に富んだものが得易く、繊維の長
さ方向だけでなく3次元的に微細繊維化が施されるため
に、本発明で用いるカールドファイバー同士を効率よ
く、又強固に結合することが出来るため特に好ましい。
【0015】因みに、媒体撹拌ミルは、ガラスビーズあ
るいはアルミナビーズを充填した粉砕容器に撹拌機を挿
入して高速で回転させて、剪断応力によってスラリー中
の分散物を粉砕する装置で、塔式、槽式、流通管式、ア
ニュラー式等がある。又、振動ミルは、粉砕容器を高速
振動させ、容器内に充填されたビーズ、ボール、ロッド
等によってスラリー中の分散物に衝撃力、剪断力等の力
を作用させて粉砕する装置である。又、高圧均質化装置
は、高い圧力をかけて小径オリフィス間を通過させて、
スラリー中の分散物を粉砕する装置である。
【0016】本発明で言う結合強化ファクター(BF)
は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E1
は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉樹晒クラ
フトパルプ50重量%とを混合して水性スラリーとし、
カナダ標準フリーネス(CSF)450mlまで叩解
し、手抄きマシンにて脱水・風乾し、その後130℃で
2分間熱処理して坪量60g/m2のシートを作製し、
20℃、65%RHに調湿した後測定された超音波弾性
率を示す。E2は上記混合叩解パルプ繊維の50重量%
を微細繊維で置き換えて水性スラリーを調製し、E1を
測定するのと同じ方法でシート作製し、測定した場合の
超音波弾性率を示す。
【0017】本発明に使用される微細繊維パルプとして
は、保水度の値が150〜500%の範囲にあるものが
好ましい。又、より好ましくは165〜500%の範囲
のもので、特に好ましくは210〜450%の範囲のも
のである。因みに、保水度が150%未満の場合には、
繊維の結合能力が不十分なために、カールドファイバー
同士を結び付ける力が十分でなく、このような微細繊維
とカールドファイバーの組み合わせで得られる低密度体
は、層間強度が不十分で紙粉を発生し易い傾向にある。
一方、保水度が500%を越えると、その微細繊維の製
造コストが大幅アップする。本発明においては、上記の
如き微細繊維を、単独使用あるいは二種以上併用するこ
とが出来る。
【0018】本発明のヘルメット用緩衝材におけるカー
ルドファイバーと微細繊維の混合比率は、その比率を変
えることで密度と層間強度のバランスをコントロールす
ることが出来るので、目的に応じて適宜選択することが
出来る。即ち、密度よりも層間強度を重視する場合に
は、微細繊維の配合を増やし、逆に層間強度よりも密度
を重視する場合には、カールドファイバーを増やした配
合を選択すればよい。中でも、微細繊維を全繊維絶乾重
量当たり3〜40重量%、カールドファイバーを全繊維
絶乾重量当たり60〜97重量%の割合で混合して用い
た場合、密度と層間強度のバランスが特に優れ好まし
い。
【0019】本発明に用いられる水性スラリーには、目
的に応じて上記繊維以外に適宜、有機合成繊維、無機繊
維、紙力増強剤、耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカ
プセル、サイズ剤、染料、顔料、歩留向上剤、填料、P
H調整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、
防黴剤、抗菌剤、難燃剤、マイクロカプセル、発泡剤、
界面活性剤、電磁シールド材、帯電防止剤、芳香剤、消
臭材等を選択し配合することが出来る。これらは複数種
併用することも出来る。有機合成繊維としては、例え
ば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアク
リロニトリル繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリ
エステル繊維、ポリアミド繊維等が挙げられるが、中で
も、脂肪族ポリエステル、アセチルセルロースのような
生分解性繊維が特に好ましい。又、該繊維の形状として
は、直線的な繊維よりもカール等の曲がりを有する繊維
が低密度化への効果が期待できるので好ましい。これら
は、単独であるいは適宜選択されて2種以上が併用され
る。この有機合成繊維の配合量は、通常全固形分の0〜
30重量%の範囲で添加される。有機合成繊維の添加は
一般的に水湿潤状態での強度向上等に効果がある。無機
繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミ
ナ繊維、炭化珪素繊維、シリカ・アルミナシリケート繊
維、ロックウール繊維等を挙げることが出来る。これら
は、単独であるいは適宜選択されて2種以上が併用され
る。この無機繊維の配合量は、通常全固形分の0〜30
重量%の範囲で添加される。無機繊維の添加は一般的に
耐熱性向上等に効果がある。
【0020】紙力増強剤としては、例えば、澱粉、加工
澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増強剤、尿素ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポ
リアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジル
エーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増
強剤を挙げることが出来る。これらは、単独であるいは
適宜選択されて2種以上が併用される。紙力増強剤の配
合量は、通常全固形分の0〜10重量%の範囲で添加さ
れる。紙力増強剤の添加は一般的に強度向上等に効果が
ある。特に湿潤紙力増強剤を用いると、水湿潤状態での
強度向上に大きな効果がある。耐水化剤としては、上記
湿潤紙力増強剤を耐水化剤として使用できる他、アルデ
ヒド基を有するホルムアルデヒド、グリオキザール、ジ
アルデヒド澱粉、多価金属化合物である炭酸アンモニウ
ムジルコニウム等が挙げられる。撥水剤としては、各種
ワックス(天然ワックス、石油系ワックス、塩素化パラ
フィン、ワックスエマルジョン等)、高級脂肪酸誘導
体、合成樹脂類、クロム錯塩、ジルコニウム塩、シリコ
ン樹脂等が挙げられるが特にこれにより限定されるわけ
ではない。これらは、単独であるいは適宜選択されて2
種以上が併用される。耐水化剤、撥水剤の添加は、緩衝
材の耐水性アップに効果がある。配合量は、通常全固形
分の0〜10重量%の範囲で添加される。
【0021】発泡性マイクロカプセルとしては、樹脂微
粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70〜150℃
の温度で直径が3〜5倍、体積で30〜120倍に膨張
する平均粒径が5〜30μmの粒子が通常用いられる。
樹脂材料としては、通常塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用され、低沸点溶剤
としては通常イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘ
キサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等が通常用いられて
いる。この発泡性マイクロカプセルは、単独であるいは
適宜選択されて2種以上が併用される。配合量は、通常
全固形分の0〜30重量%の範囲で添加される。発泡性
マイクロカプセルは乾燥工程での熱によって発泡し、密
度を更に低下させる効果がある。
【0022】本発明に使用されるスラリーは、通常撹拌
機を有する装置でバッチあるいは連続的に調製される。
スラリーは通常水系で調製されるが、水に相溶性のある
メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒との混
合系も可能である。スラリーの濃度は、用いる緩衝材製
造装置等によって異なるが、通常乾燥固形分量が0.0
5〜10重量%の範囲に調製される。あまり濃度が高い
とカールドファイバーと微細繊維の混合がうまく行われ
ないため、0.05〜1.5重量%の範囲で調製される
のが好ましい。
【0023】本発明の低密度体は媒体を使うスラリー方
式、所謂ウェット方式で作られるので、媒体を使わない
ドライ方式のものより繊維間の水素結合が生じ易く、よ
り強度の強いものが得られる。低密度体は、スラリーの
配合を選択することによって密度の異なるものを得るこ
とが出来るが、本発明の目的から、密度0.05〜0.
40g/cm3の範囲のものが選択される。
【0024】ヘルメット用緩衝材の形状・厚みは、ヘル
メットの種類或いは他の素材との組合せ方によって異な
る。成型物を得る方法としては、例えば、低密度体
(シート或いはボード)を形状に打ち抜いた後に、プレ
ス加工(場合によっては加湿及び/又は加熱しながら)
して成形する、低密度体(シート或いはボード)を貼
り合わせて得られるブロックを切削する、或いはシート
(或いはボード)を先に切削して貼り合わせる、パル
プモールド法等の湿式の成形機を使って低密度体の成形
物を得る等の方法が挙げられる。中でも、の方法は強
度或いは低密度性等の点で最も性能の良いものが得られ
特に好ましい。しかし、本発明に用いられる成形法は上
記方法に限定されるものではない。ヘルメット用緩衝材
は、パルプモールド方式やインジェクション方式で所望
の形態のものを得ることが出来、ヘルメットの種類によ
って厚さを自由に変えることが可能である。又、スラリ
ーの配合を選択することによって密度0.05〜0.3
0g/cm3の範囲のものを得ることが出来る。パルプ
モールド製造機等でスラリーを脱水するために用いられ
る網としては、一般に使用されている60、80等のメ
ッシュサイズのものが使用できるが、微細繊維が極めて
細かいあるいはスラリー濃度が低い場合には150メッ
シュ以上の細かな網目のものが好ましい場合もある。
尚、本発明に使用されるヘルメット用緩衝材の製造装置
は、上記のものに限定されるものではない。
【0025】本発明の低密度体の製造方法としては、シ
ートの場合には、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙
機、ツインワイヤー抄紙機等、一般の製紙用抄紙機を使
って製造することができる。これらの抄紙機によって得
られるシートの厚みは、通常30μm〜5mmである。
得られるシートの密度は、カールドファイバーの種類や
配合量、又他の添加物の種類或いは配合量に影響される
が、それ以外に、製造段階でのシートにかかる圧力が重
要で、出来るだけ低密度にするためには、ワイヤー部で
の脱水圧を弱めるためサクションロールの真空度を抑え
る、ダンディロールの圧力を出来るだけ下げる、プレス
圧を下げる、ドライヤーのカンバスの張り及びサイズプ
レスのプレス圧を弱める、オンマシンのカレンダーを使
わない等の工夫を行う必要がある。目的とする密度0.
05〜0.40g/cm3の低密度体は、上記の如くス
ラリーの配合選択と製造上の工夫を行うことによって得
ることが出来る。
【0026】ボードは通常、5mm〜数cmの厚みのも
ので、シートの場合と同様な上記の如き抄紙機を使用し
て製造することが出来るが、特に厚いものを得たい場合
には、薄いシートを湿紙の状態で積層できる装置を有す
るボード製造機が有効である。ボードの場合もシートの
場合と同様、スラリーの配合選択と製造上の工夫を行う
ことで0.05〜0.45g/cm3の低密度体を得る
ことができる。又、上記の方法によって得られたシート
或いはボードは、複数枚貼り合わせて更に厚いシートや
ボードにすることができる。成形物を直接作る方法とし
ては、パルプモールド法が最も一般的である。この方式
の場合もスラリーの配合選択を行うことによって、目的
とする密度0.05〜0.40g/cm3の低密度体を
得ることが出来る。尚、本発明の低密度体の製造装置は
上記のものに限定されるものではない。抄紙機或いはパ
ルプモールド製造機等でスラリーを脱水するために用い
られる網としては、一般に使用されている60、80等
のメッシュサイズのものが使用できるが、微細繊維が極
めて細かい或いはスラリー濃度が低い場合には150メ
ッシュ以上の細かな網目のものが好ましい場合もある。
【0027】本発明のヘルメット用緩衝材は、必要に応
じて、上記の如くして得られた低密度体の表面に耐水化
処理及び/又は撥水化処理を施し、透湿性を残したまま
耐水性及び/または撥水性を付与することが好ましい。
その場合、例えば、耐水化液又は撥水化液を含浸又は塗
工する方法、或いは耐水・透湿性シートを貼り合わせる
方法等を選択することによって製造される。耐水・撥水
化処理の前に、低密度体の表面を平滑にするための研磨
或いはプレス加工を施す場合もある。耐水化液又は撥水
化液による処理には、大きく分けて、低密度体の表層の
みの処理と、低密度体全体の処理の二つがあるが、一般
には、表層のみの処理の方が、低密度で低廉となるので
好ましい。一般に、塗工法は含浸法より基材への液の浸
透が少なく表面に残り易いので好ましい。液の浸透を抑
えるには、液の粘度を挙げて浸透し難い液にする方法、
或いは低密度体製造用スラリー中にサイズ剤、紙力増強
剤を通常より多く添加して浸透し難い基材にする方法が
有効である。
【0028】含浸法としては、低密度体がシート或いは
ボードの場合には、通常、製紙業界公知の、プレウェッ
ト法、フロート法、ドクタバー法等の含浸機を用いて液
含浸を行った後に、エアーフローティングシステム等に
より乾燥させる方式で連続的に生産するのが一般的であ
る。低密度体が成形物或いは枚葉シート或いは枚葉ボー
ドの場合には、液を満たしたバット中に低密度体を浸漬
処理した後に、引き上げて乾燥する方法をとることがで
きる。しかし、本発明は含浸処理方法を特に限定するも
のではない。
【0029】塗工法としては、低密度体がシート或いは
ボードの場合には、オンマシンでサイズプレスで行う方
法、オンマシンまたはオフマシンコーターで塗工する方
法で連続的に生産するのが一般的である。その際用いら
れるコーティングヘッドとしては、製紙業界公知の、例
えば、エアードクタコーター、ブレードコーター、トラ
ンスファロールコーター、バーコーター、リバースロー
ルコーター、グラビアロールコーター等が挙げられる。
低密度体が成形物或いは枚葉シート或いは枚葉ボードの
場合には、液をスプレーで噴霧する方法、刷毛で塗る方
法等を用いることが出来る。しかし、本発明は塗工方法
を特に限定するものではない。
【0030】含浸或いは塗工処理に使われる耐水化液又
は撥水化液には、ゴム系ラテックス、樹脂系ラテック
ス、ポリブタジエンラテックス、ポリビニルピリジンラ
テックス、ポリエチレンラテックス、尿素ホルムアルデ
ヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド
尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエ
ピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロ
ルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジルエーテル
樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒド澱粉、炭
酸アンモニアジルコニウム、ワックス類、高級脂肪酸誘
導体、シリコン類、フッ素化合物等が用いられる。これ
らは複数種併用することもできる。
【0031】ゴム系ラテックスとしては、例えばスチレ
ン−ブタジエン系(SB、SBR)、アクリロニトリル
−ブタジエン系(NBR)、メチルメタクリレート−ブ
タジエン系(MBR)、クロロプレン(CR)、ポリイ
ソプレン(PIR)、天然ゴム(NR)、ポリウレタン
(PU)等が挙げられる。樹脂系ラテックスとしては、
例えばアクリレート(ACL)、酢酸ビニル(PVA
c)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、塩化ビニリデ
ン(PVDc)等が挙げられる。またワックス類として
は、例えば天然ワックス、石油系ワックス、塩素化パラ
フィン等が挙げられる。
【0032】上記化合物以外に、必要に応じて、分散
剤、界面活性剤、増粘剤、バインダー、染料、顔料、防
腐剤、抗菌剤、難燃剤、防虫剤、電磁シールド剤、帯電
防止剤、芳香剤、消臭剤等を選択して配合することが出
来る。バインダー、増粘剤の添加は、液が低密度体内部
に過度に浸透するのを防ぐことができ耐水性向上に効果
がある。該耐水化液又は撥水化液は、水系、溶剤系、無
溶剤系、ホットメルト系液として使われる。尚、該耐水
化液又は撥水化液に、架橋反応型のものが配合されてい
る場合には、乾燥工程後に、更に架橋促進のための熱処
理を行うのが好ましい。
【0033】また、特殊な含浸或いは塗工方法として、
紫外線或いは電子線硬化型樹脂を使用する方法がある。
紫外線硬化の場合には、塗料はプレモノマー(モノマー
またはオリゴマー)、光反応開始剤、光増感剤、着色
剤、顔料、撥水剤、貯蔵安定剤、酸化帽資材、分散剤な
どにより構成される。電子線硬化の場合には、塗料はプ
レモノマー(モノマーまたはオリゴマー)、着色剤、顔
料、撥水剤、貯蔵安定剤、酸化防止剤、分散剤等により
構成される。プレモノマーとしては一般的にポリエステ
ルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリウレタン
アクリレート、ポリオールアクリレートなどのアクリレ
ート系が多く用いられる。上記耐水化液及び撥水化液の
含浸量或いは塗工量は、通常固形分量で5〜10g/m
2の範囲であるが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0034】低密度体に耐水・透湿性シートを貼合せる
方法によって得られるものも、上記含浸法、塗工法によ
って得られるものと同等または性能が良い場合もある。
耐水・透湿性シートとしては、例えば非多孔質透湿フィ
ルム或いは多孔質透湿フィルムが挙げられる。具体的に
は、非多孔質透湿フィルムとしては芳香族ポリエステル
に脂肪族ポリエーテルをブロック共重合させて得られる
ポリエステル系エラストマーフィルム(例えば、商品
名:フレクロン、日合フィルム社製等)、アセチルセル
ロース系フィルムが挙げられる。多孔質透湿フィルムと
しては、無機質非含有系ポリオレフィン(例えば、商品
名:MPフィルム、日産丸善ポリエチレン社製等)等が
挙げられる。中でも、アセチルセルロース系フィルムの
ように生分解性を有する素材は特に好ましい。また、撥
水性繊維不織布、撥水化処理された不織布なども使用で
きる。
【0035】貼合せとしては、低密度体がシート或いは
ボードの場合には、ウェット・ラミネーター、ドライ・
ラミネーター、ソルベントレス・ラミネーター、ホット
メルト・ラミネーター、エクストルージョン・ラミネー
ター等の貼合機で連続的に生産するのが一般的である。
低密度体が成形物或いは枚葉シート或いは枚葉ボードの
場合には、手貼り法等を用いることが出来る。しかし、
本発明は貼合せ方法を特に限定するものではない。
【0036】貼合せに接着剤を必要とする場合には、例
えば水系接着剤である澱粉、澱粉誘導体、カルボキシメ
チルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン等の蛋
白質、ポリビニルアルコールや酢酸ビニル、酢酸ビニル
ーアクリル酸エステル、エチレンー酢酸ビニル、アクリ
ル酸エステル類のエマルジョンやブタジエン−スチレ
ン、ブタジエン−アクリロニトリル、ブタジエン−メチ
ルメタクリレート類のラテックスや尿素樹脂、目ら明樹
脂などの樹脂接着剤等を挙げることが出来る。また、溶
剤系接着剤である酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポ
リウレタンイソシアネート等が用いられる。これら接着
剤の塗布量は、通常2〜50g/m2である。
【0037】上記の耐水・撥水加工は通常低密度体の全
面に施されるが、頭部と接する面、或いは部分に局部的
に施すことも可能である。
【0038】ヘルメット用緩衝材に、耐水化剤、撥水
剤、染料、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、芳香剤、
消臭剤、界面活性剤、帯電防止剤、電磁シールド材等を
含有せしめる方法としては、前記の如くスラリー中にこ
れらを混合する内添法以外に、ヘルメット用緩衝材を成
形した後に表面塗工する方法、つまり外添法をとること
も出来る。勿論内添・外添を併用しても構わない。
【0039】本発明のヘルメット用緩衝材は、通常、帽
体と組み合わせて使われるが、簡易型ヘルメットとして
単独でも使用できる。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明する
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において「部」及び「%」とある
のは特に断らない限り「固形分重量部」及び「重量%」
を示す。 <実施例1>固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプ
の水スラリーを、平均粒径2mmφのガラスビーズを充
填した1.5リットル容のダイノミル(型式:KDL−
PILOT型、シンマル・エンタープライゼス社製)装
置に300ml/分で導入、通過させることにより、保
水度285%、数平均繊維長0.26mm、結合強化フ
ァクター0.58の微細繊維を得た。この微細繊維10
部と、湿潤カールファクター0.65で保水度55%を
有する市販のカールドファイバー(商品名:HBA−F
F、米国ウェアーハウザー社製)90部を混合したもの
に水を加えて固形分濃度を1%に調製し、十分に撹拌し
てパルプスラリーを得た。次に、このパルプスラリーを
原料にして椀状金型を有する小型パルプモールド成型器
(型式:SDM型、ノリタケカンパニー製)により湿潤
状態の成形体を作製し、続いて、熱圧プレスをかけなが
ら乾燥させ、直径180mm、高さ120mm、厚さ2
0mmの椀状成形体を得た。さらに、この椀状成形体
に、スプレーガンを用いて、シリコーン系撥水剤(商品
名:TSW831、東芝シリコーン社製)及びこの触媒
(商品名:CW80、東芝シリコーン社製)を体積比で
1:1に混合したものを、50ml/m2の塗布量とな
るように、椀状成形体の内側・外側全面に均一に噴霧し
た。次に、この成形体を105℃の送風乾燥器に入れ、
10分間予備乾燥を行った後、160℃のオーブンに2
分間入れ加熱処理を行い撥水化処理を行った。。この椀
状成形体の反りが少ない側面部より20mm×20mm
×20mmの立方体をカッターナイフにて切取り密度を
測定したところ、0.09g/cm3であった。この立
方体を用いて圧縮試験を行い、圧縮特性を評価した。更
に、椀状成形体より、厚さ5mm×縦30mm×横30
mmのシートを切り取り、その際の紙粉の発生状況の評
価及び層間強度の測定を行った。また、椀状成形体の表
面の撥水性試験を行い評価を行った。結果を表1に示
す。
【0041】以下に結合強化ファクター、数平均繊維
長、保水度、湿潤カールファクター、圧縮試験、紙粉及
び層間強度、及び撥水性試験の評価方法を示す。 <結合強化ファクターの測定法>広葉樹晒クラフトパル
プを50部、針葉樹晒クラフトパルプを50部混合し、
2%濃度に調製して、実験用ナイアガラビーター(容量
23リットル)にて、カナダ標準フリーネス(CSF)
450mlとなるまで叩解し、この紙料絶乾3.7g分
をとり薬品を加えることなく、150メッシュのワイヤ
ーを用いて、角型(250mm×250mm)手抄マシ
ンにてシートを形成させ、コーチング処理の後、常法に
従って3.5kg/cm2の圧力にて5分間(第一プレ
ス)、2分間(第二プレス)のウェットプレスを施した
後、枠に挟んで送風乾燥機により常温にて乾燥を行っ
た。その後130℃で2分間熱処理して坪量60g/m
2のシート1を作製し、20℃、65%RHに調湿し
た。一方、上記NL混合パルプ50部と微細繊維50部
をよく混合した原料から絶乾3.7g分をとり、同様の
方法にてシート2を作製し、20℃、65%RHにて調
湿した。シート1及び2の密度を測定した後、動的ヤン
グ率測定器(野村商事(株)製、型式:SST−210
A)を用いて超音波伝播速度を測定することにより、シ
ート1及び2の弾性率(GPa)を求めた。弾性率
(E)は以下の式で計算した。 E(GPa)=ρ(g/cm3)×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3)、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。シート1の弾性率
をE1(GPa)、シート2の弾性率をE2(GPa)
とした場合、結合強化ファクターは{(E2/E1)−
1}で表される。
【0042】<数平均繊維長の測定法>カヤーニ繊維長
測定器(型式:FS−200)により測定した。
【0043】<保水度の測定法>保水度は、JAPAN
TAPPI No.26−78に準じて測定した。カ
ールドファイバーが乾燥状態にある場合は、次のように
した。紙料を絶乾0.5g分採取し、蒸留水100ml
中に十分分散させ、そのまま24時間室温で放置して十
分水を含浸させ、その後紙料を濾過器上で捕集し、次い
でG2のガラスフィルターを有する遠心分離機(型式:
H−103N、国産遠心機社製)の遠心管に入れ、遠心
力3000Gで15分間遠心脱水した。遠心脱水処理し
た試料を遠心管より取り出し、湿潤状態の重量を測定
し、その後105℃の乾燥機で恒量になるまで乾燥し、
乾燥重量を測定し、下記式により保水度を算出した。 保水度(%)={(W−D)/D}×100 但し、Wは遠心脱水後の試料湿潤重量(g)、Dはその
試料の乾燥重量(g)である。また微細繊維の場合は、
固形分濃度を6〜9%の範囲に調製し、試料を絶乾重量
で0.7gとなるように採取し、G3のガラスフィルタ
ーを有する遠心管に入れ、前記と同様にして遠心脱水処
理を行い、湿潤重量と乾燥重量から上記式によって保水
度を算出した。
【0044】<湿潤カールファクターの測定法>蒸留水
に室温で24時間浸漬した後の100本のカールドファ
イバーを顕微鏡用スライドガラス上に置き、画像解析装
置を利用して、繊維1本ごとの実際の(直線状の)長さ
LA(μm)及び最大投影長さ(繊維を囲む長方形の最
長辺の長さに等しい)LB(μm)を測定し、湿潤カー
ルファクターを下記式から求め、その平均値を用いた。 湿潤カールファクター=(LA/LB)−1
【0045】<圧縮試験の評価法>成形体より市販のカ
ッターナイフ(商品名:NTカッターl−500)を用
いて切取り、20mm×20mm×20mmの立方体を
得た。この立方体の圧縮特性をストローグラフ引張試験
機(型式:M2、東洋精機製作所製)にて測定した。ロ
ードセルとして100kg用のもの、圧縮速度として2
0mm/分を用いて試験を行った。試験体の圧縮特性と
しては、歪み(%)をx軸とし、圧縮応力をy軸として
グラフ化し、曲線のはじめの直線部分の傾きからヤング
率を計算で求めた。又、歪みを60%(12mm)与え
た時の圧縮応力を求め、更に歪みを75%(15mm)
与えた後、24時間経過させた時の歪みの元の高さ(2
0mm)に対する割合を永久歪みと定義し、下記式より
求めた。 永久歪み(%)={歪み(mm)/元の高さ(mm)}
×100
【0046】<紙粉の発生状況の評価法>成形体を市販
のカッターナイフ(商品名:NTカッターL−500)
にて切断した時の紙粉の発生状況を以下の通り目視にて
判定した。 ○・・・紙粉の発生は、ほとんどない。 △・・・紙粉が少しある。 ×・・・紙粉がかなりある。
【0047】<層間剥離強度の測定法>層間剥離強度
は、TAPPI UM 403に基づいて測定した。
【0048】<撥水性試験の測定法>椀状成形体の凸面
が上になるように靜置させ、その上部表面に純水を数滴
落し、その水滴の撥水状況を以下の通り3段階で評価し
た。 ○・・・水滴がすぐ転がり落ち、成形体表面に吸収され
ない △・・・水滴が転がり落ちるが、落ちるまでに若干吸収
される ×・・・水滴が転がり落ちる間にすべて成形体表面に吸
収される
【0049】<実施例2>実施例1で使用したカールド
ファイバーを80部、微細繊維を20部とを混合した原
料を使用すること以外は実施例1と同様にして固形分濃
度1%のパルプスラリーを得、椀状成形体を作製した。
次に、スプレーガンを用いて、フッソ系コーティング剤
(商品名:AG−530、固形分濃度15%、旭硝子社
製)を70ml/m2の塗布量となるように椀状成形体
の内側・外側全面に噴霧した後、105℃の乾燥器に入
れ、成形体を完全に乾燥・加熱し撥水化処理を行った。
成形体の密度は0.12g/cm3であった。得られた
成形体の物性を測定した結果を表1に示す。
【0050】<実施例3>固形分濃度1%の広葉樹晒ク
ラフトパルプの水スラリーを、平均粒径2mmφのガラ
スビーズを充填した1.5リットル容のダイノミル(型
式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタープライ
ゼス社製)装置に470ml/分で導入・通過させるこ
とにより、数平均繊維長0.31mm、結合強化ファク
ター0.43、保水度220%の微細繊維を得た。この
微細繊維を35部と、実施例1で使用したカールドファ
イバーを65部とを混合して得られた原料スラリーに対
パルプ1.0%の硫酸バンドを加え、重曹にてpHを
6.5に調整した後、熱水で溶解したカチオン化澱粉
(商品名:エースK100、王子コーンスターチ社製)
を対パルプ1%、中性サイズ剤(商品名:WS−26
2、日本PMC社製)を順に添加しながら攪拌した。こ
のスラリーを使用すること、また表面の撥水処理を行わ
ないこと以外は実施例1と同様にして椀状成形体を作製
した。成形体の密度は0.18g/cm3であった。得
られた成形体の物性を測定した結果を表1に示す。
【0051】<実施例4>実施例1で使用したカールド
ファイバー60部と、固形分濃度3%の広葉樹晒クラフ
トパルプの水スラリーを12インチリファイナー(熊谷
理機工業社製)にて繰り返し処理して得た、CSF12
0ml、数平均繊維長0.33mm、結合強化ファクタ
ー0.23、保水度160%の微細繊維40部とを混合
して用いたこと以外は実施例1と全く同様にして椀状成
形体を作製し、表面の撥水化処理を行った。成形体の密
度は0.28g/cm3であった。得られた成形体の物
性を測定した結果を表1に示す。
【0052】<実施例5>実施例1で使用したカールド
ファイバーを98部と、微細繊維を2部とを混合した原
料スラリーを用いること以外は実施例1と全く同様にし
て椀状成形体を作製し、表面の撥水化処理を行った。成
形体の密度は0.08g/cm3であった。得られた成
形体の物性を測定した結果を表1に示す。
【0053】<実施例6>広葉樹晒クラフトパルプを固
形分濃度2%に調整し実験用ナイアガラビーター(容量
23L)にてCSF350mlとなるまで叩解して得ら
れた、結合強化ファクター0.13、数平均繊維長0.
45mm、保水度130%の繊維を微細繊維10部の代
わりに使用すること以外は実施例1と全く同様にして椀
状成形体を作製し、表面の撥水化処理を行った。成形体
の密度は0.09g/cm3であった。得られた成形体
の物性を測定した結果を表1に示す。
【0054】<実施例7>針葉樹晒クラフトパルプ絶乾
100g分を容量が1リットルの双腕型ニーダー(型
式:S1−1、森山製作所製)に入れ、更に非ホルムア
ルデヒド系架橋剤(商標:スミテックスNF−500
K、住友化学工業社製)とその架橋助剤(商標:スミテ
ックスACCELERATOR X−60、住友化学工
業社製)をそれぞれ絶乾パルプ重量当たり3.0%と
0.25%を添加し、次いで水を添加して固形分濃度3
5%に調製した後、27℃で双椀をそれぞれ60rpm
と100rpmで回転させ、60分間撹拌処理を施し
た。その後パルプを前記ニーダーから取り出し、パルプ
を手でほぐしてから実験用ワーレンブレンダーによりパ
ルプ塊を離解してフラッフ化し、次いでこのフラッフ化
したパルプを温度150℃の送風乾燥機に入れ、無拘束
の状態で2時間乾燥させ、この乾燥パルプを乾燥機から
取り出し、冷却した。これら一連の操作を繰り返し、絶
乾500g分のカールドファイバーを得た。このカール
ドファイバーの湿潤カールファクターは0.75、保水
度は37%であった。このカールドファイバー90部
と、固形分濃度3%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラ
リーを12インチリファイナー(熊谷理機工業社製)に
て繰り返し処理して得た、CSF120ml、数平均繊
維長0.33mm、結合強化ファクター0.23、保水
度160%の微細繊維10部とを混合した原料を用いた
こと以外は実施例1と全く同様にして椀状成形体を作製
し、表面の撥水化処理を行った。成形体の密度は0.0
9g/cm3であった。得られた成形体の物性を測定し
た結果を表1に示す。
【0055】<比較例1>架橋剤及び架橋助剤の添加率
をそれぞれ0.2%と0.1%とし、ニーダーでの処理
時間を5分間としたこと以外は実施例7と同様にして湿
潤カールファクター0.38、保水度78%のカールド
ファイバーを作製した。このカールドファイバーを90
部を実施例1で使用したカールドファイバーの代わりに
使用すること以外は実施例1と全く同様にして椀状成形
体を作製し、表面の撥水化処理を行った。成形体の密度
は0.38g/cm3であった。得られた成形体の物性
の測定結果を表1に示す。
【0056】<比較例2>湿潤カールファクター0.2
9と保水度130%の未処理の針葉樹晒クラフトパルプ
90部と、実施例1で使用した数平均繊維長0.26m
m、結合強化ファクター0.58、保水度285%の微
細繊維10部を混合したものを原料として使用すること
以外は実施例1と同様にして椀状成形体を作製し、表面
の撥水化処理を行った。成形体の密度は0.42g/c
3であった。得られた成形体の物性の測定結果を表1
に示す。
【0057】<比較例3>市販の発泡スチロール(密度
0.02g/cm3)から20mm角の立方体をカッタ
ーナイフで切り取り、これを試料として圧縮特性を評価
した。
【0058】実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた
成形体についての物性の評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1より分かるように、実施例1〜2にお
いて得られた椀状成形体は密度と層間強度のバランスが
とれたもので、低密度で嵩高性があるので汗等を吸収・
放出することが出来、市販の発泡スチロール(比較例
3)と比べて密度はやや大きいものの圧縮応力及び永久
歪みが小さいため、ヘルメット用緩衝材として実用に適
しているものであった。また、実施例1と実施例5を比
較するとわかるように、結合強化ファクターが0.15
以上の繊維の割合が3%以上である方が紙粉抑制効果、
及び層間強度の面でより好ましい。カールドファイバー
と微細繊維の配合比が本発明における条件から逸脱して
いる場合、密度が高くヤング率が高すぎるため、ヘルメ
ット用緩衝材として成り得ない(比較例1)。カールド
ファイバーの代わりにカールファクターが0.4未満の
針葉樹晒クラフトパルプを用いると、所望の低密度成形
体を得ることが出来ない(比較例2)。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、天然パ
ルプ繊維を主原料として、軽量性(低密度)で通気、透
湿性、緩衝性に優れた、生分解性のヘルメット用緩衝材
を提供するという効果を奏する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
    の範囲にあるカールドファイバーを主原料として含有す
    る水性スラリーを脱液・乾燥して得られる、密度が0.
    05〜0.40g/cm3の低密度体からなるヘルメッ
    ト用緩衝材。
  2. 【請求項2】 該水性スラリーが、結合強化ファクター
    が0.15以上の微細繊維を含有する請求項1に記載の
    ヘルメット用緩衝材。
  3. 【請求項3】 該微細繊維が天然パルプ繊維を湿式で機
    械的に処理して得られた微細繊維である請求項2に記載
    のヘルメット用緩衝材。
  4. 【請求項4】 乾燥重量で、該カールドファイバーが6
    0〜97重量部、該微細繊維が3〜40重量部の割合で
    含有する、請求項2〜請求項3のいずれかに記載のヘル
    メット用緩衝材。
  5. 【請求項5】 耐水化処理および/または、撥水化処理
    されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか
    に記載のヘルメット用緩衝材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002069877A (ja) * 2000-08-31 2002-03-08 Nippon Paper Industries Co Ltd 再生パルプの製造方法
JP2012111063A (ja) * 2010-11-22 2012-06-14 Eidai Co Ltd 木質繊維板の製造方法及び木質繊維板

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