JP2001336088A - 低密度印刷用紙 - Google Patents
低密度印刷用紙Info
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Abstract
低密度印刷用紙の提供。 【解決手段】全パルプ成分中の30〜80重量%が機械
パルプであり、JISK 5101に規定される吸油量
が100ml/100g以上のゼオライトを填料として
全パルプに対して2〜15重量%含有し、密度が0.4
0〜0.60g/cm3であり、不透明度が88%以上
である低密度印刷用紙。
Description
し、さらに詳しくは柔軟な紙質と、オフセット印刷適性
を兼ね備えた低密度印刷用紙に関する。
れ、用いられる紙の品質は、密度として0.9〜1.0
g/cm3の高密度であり、平滑性の高いものが主として使
用されていた。このような用途に用いられる紙には、パ
ルプとしてクラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化
学パルプが主として使用され、内添される填料の量も多
く、不透明度も必然的に高い紙であり、且つ、紙表面に
ピグメント塗工されたものが多く、オフセット印刷にも
問題なく対応できる品質のものであった。しかし、最近
の本は、時代的な背景もあり、活字離れが深刻な問題と
なっており、出版される本の数、ページ数の減少を伴っ
てきている。本のページ数減に伴い使用される紙の品質
も、手肉感、高級感、見栄え等の要求により、学術系以
外の本文用紙としては、低密度用紙への依存の傾向が強
くなっている。
するためには、表面への顔料・ピグメント塗工を無く
す、或いは少なくし、澱粉・サイズ剤主体のサイズプレ
ス液を塗布する、且つ、比重の高い内添填料の配合を少
なくする、等の対応をせざるを得ないが、これに伴い、
オフセット印刷適性の低下、不透明度の低下などの問題
が生じる。
-204790号公報にはカナダ標準フリーネスが500ml
CSF以上のフタバガキ類広葉樹漂白パルプを使用する
方法が開示されている。しかしながら、密度は0.60
〜0.65g/cm3の範囲にとどまっており、解決には至
っていない。また、特開平10−226982号公報に
は、嵩比重0.3g/ml以下の無定形シリカ若しくは
無定形シリケートを紙重量当たり4〜15重量%配合し
た原紙上に塗布層を設けた印刷用紙が開示されている。
さらに、特開平8−246390号公報には、パルプと
して機械パルプを含有し、且つ澱粉にて表面処理を施し
た坪量が70g/m2以下の薄葉書籍用紙が開示されてい
る。しかしながら、いずれも紙密度は0.60g/cm3を
超えたものであり、0.60g/cm3以下の、腰の柔らか
い柔軟で低密度な紙の開発に至っていないのが現状であ
る。
その他の用途に使用される印刷用紙において、低密度
で、柔軟な紙質と、オフセット印刷適性を兼ね備えた低
密度印刷用紙を提供する。
点を解決すべく、柔軟な紙質を有する低密度の印刷用紙
を得るべく鋭意検討した結果、原料パルプとして機械パ
ルプを30〜80重量%配合することにより嵩高な紙が
得られること、並びに、JIS K 5101に規定され
る吸油量が100ml/100g以上のゼオライトを填
料として使用するとオフセット印刷に適した紙となるこ
とに着眼し、これらを組み合わせることによって、密度
が0.40〜0.60g/cm3の範囲にある腰の柔らかい
低密度印刷用紙となることを見出し、本発明を完成する
に至った。
であり、JIS K 5101に規定される吸油量が10
0ml/100g以上のゼオライトを填料として全パル
プに対して2〜15重量%含有し、密度が0.40〜
0.60g/cm3であり不透明度が88%以上であること
を特徴とする低密度印刷用紙である。
ある(1)記載の低密度印刷用紙である。
度の最小値(抄紙機による紙であれば通常CD方向の剛
度)が70cm3/100以下である(1)又は(2)に記
載の低密度印刷用紙である。
は、特に限定されるものではないが、書籍として使用さ
れる印刷用紙を例に挙げるならば、50〜90g/m2の
坪量のものが通常使用されている。本発明の低密度印刷
用紙の重要な特徴の一つは腰の柔らかさであるが、この
特性を代表する紙物性として剛度(JIS P 814
3)が挙げられる。通常、紙を抄紙機にて抄造した場
合、紙の走行方向(MD方向)と、MD方向と垂直な方
向(CD方向)とで紙の物性に差が出る。紙の剛度は、
一般にMD方向(縦方向とも呼ばれる)の方がCD方向
(横方向とも呼ばれる)より大きいため、このような抄
紙機により抄造された印刷用紙が書籍として実際に使用
される場合には、紙のめくりやすさから、通常はCD方
向がめくる方向となるように使用される。そのため、機
械抄の印刷用紙の場合、CD剛度(または横剛度)が重
要な特性となる。紙のめくりやすさとしては剛度が小さ
いほどよいが、指標として剛度70cm3/100以下
であることが好ましい。但し、30cm3/100を下
回ると紙に腰がなくなり、めくりづらくなるため30〜
70cm3/100が好ましい。
質として、不透明度(ISO−2471)が挙げられ
る。不透明度は紙の坪量、厚さ、その他の条件により影
響を受けるが、一般に、紙に内添される填料を多くすれ
ばするほど、また、紙表面に塗布される塗布液の量が多
い程、不透明度は高くなる。しかしながら、内添填料を
多くすれば紙の強度、特に表面強度が弱くなり、また、
塗布量を多くすればする程、密度が高くなり、紙の剛度
は大きくなるため、書籍用紙としての用途には不適のも
のとなる。書籍用紙としては、不透明度は88%未満で
あると印刷後に裏写りが見られ印刷された文字が読みづ
らくなることがある。裏写りがなく読みやすい不透明度
としては88%以上のものが好ましい。
パルプとしては、グラインダー内で急速に回転している
砥石面に木材(丸太)を押しつけてシャワーで水をかけ
ながら木材を摩砕してつくるグランドパルプ(GP)・
チップを蒸気で軟化した後、加圧型リファイナーで解繊
し、さらに常圧型リファイナーにて精碎されて生成され
るサーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカ
ニカルパルプ(CTMP)、レファイナーグランドパル
プ(RGP)などが挙げられる。
(KP)やサルファイトパルプ(SP)等の化学パルプ
繊維に比べ剛直であり、フィブリル化しにくく、微細繊
維、結束繊維の割合が多く、シートにした場合結合力が
弱い傾向がある。反面、シートにした場合繊維間に空隙
を作りやすいため低密度になりやすい。
漂白機械パルプ、いずれも使用できる。未漂白のものは
リグニン分が多く含まれているため、表面が疎水化され
ており、シートにした場合繊維同士の結合強度が弱い反
面、嵩高になりやすい。一方漂白した機械パルプは、未
漂白パルプより繊維同士の結合強度が強く、紙の内部強
度、及び表面強度が強くなる反面、より密度が上がりや
すい傾向となる。実際の配合には、使用目的・必要な表
面強度・密度に応じて適宜選択して使用される。
葉樹または広葉樹が使用されるが、特に限定されるもの
ではない。White Spruce, Black Spruce, Hemlock等の
とうひ・つが類樹木, White Fir, Douglas Fir, Balsam
Fir等のもみ類樹木、Aspen等のポプラ類樹木, Souther
n Pine, Radiata Pine,Lodgepole Pine , Elliot Pine
等のまつ類樹木、Red Ceder等の杉類樹木等の針葉樹樹
木が通常好ましく使用されるが、特に限定されるわけで
はない。
サルファイト、過酸化水素等の薬品が用いられるが、そ
の他、酸素、過酸化水素、塩素、二酸化塩素、次亜塩素
酸ソーダ、等の紙パルプ業界周知の漂白薬品を用いるこ
とも可能である。また、機械パルプ漂白時、特に過酸化
水素やソジウムハイドロサルファイト等の漂白薬品使用
時には重金属による分解防止剤として、トリポリリン酸
ソーダ(STPP)、ジエチレン・トリアミン五酢酸
(DTPA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDT
A)、ジエチレン・トリアミン・ペンタメチレンリン酸
(DTPMPA)等の漂白助剤を適宜使用できる。これ
らの漂白薬品に処理され、本発明の低密度印刷用紙に使
用されるパルプの白色度は特に限定されるものではない
が、白色度(ISO-2470)50〜90%のものが使用され
る。
パルプのフリーネスは、特に限定されるものではない
が、カナダ標準フリーネス(CSF)で100〜500
mlのものが使用される。機械パルプの配合量にもよる
が、CSF100ml未満では得られる印刷用紙の密度
が0.60g/cm3を超えてしまう、またCSF500m
lを超えたものは、得られる印刷用紙の表面強度が弱く
なるため、あまり好ましくない。
ルプが、全パルプに対し、30〜80重量%配合され
る。30%未満では所望の低密度が得られず、また80
%を超えて配合すると、印刷用紙の内部結合強度、表面
強度が低下し、印刷時に紙表面付近に存在する微細繊
維、結束繊維の剥がれ、印刷時に白い点が生じ印刷不良
の原因となる。上記印刷時のトラブル解決の一手法とし
て、サイズプレス澱粉濃度を上げ澱粉塗布量を増やす方
法が挙げられるが、あまりサイズプレス澱粉濃度を上げ
塗布量を増やしすぎると、サイズプレスの液性悪化によ
り、操業時に紙切れ等のトラブルの原因となる、又、紙
質としては、剛度が強くなり、所望の柔軟な紙質を有す
る低密度印刷用紙が得られない。以上の点でも機械パル
プを全パルプ中80重量%を超えて配合することは好ま
しくない。
としては、JIS K 5101に規定される吸油量が1
00ml/100g以上のゼオライトが填料として使用
される。
り、天然には方沸石、菱沸石、ソーダ沸石などとして産
出するが、乾式法(カオリン、珪石、ソーダ灰、大谷石
の焙焼)または湿式法(アルミン酸ソーダ、苛性ソー
ダ、珪酸ソーダの湿式反応)により合成品も製造され
る。本発明に使用されるものは、特に限定されるもので
はないが合成ゼオライトが好ましい。その理由として、
形状を球形にしやすく、粒径を小さくコントロールしや
すいことが挙げられ、紙の平滑性向上に効果がある、ま
た微粒子がブドウの房状に集合したフロックを形成した
ものであれば、さらに嵩比重が小さくバルキー性が大き
くなるため好ましい。合成ゼオライトは天然ゼオライト
に比べて白色度が高く、紙の白色度向上に効果がある。
5101に規定される吸油量が100ml/100g以
上のゼオライトが、全パルプに対して2〜15重量%配
合される。吸油量が大きいほどオフセット印刷インクを
吸収しやすく印刷適性が向上する。また、吸油量が大き
いことは即ち比表面積が大きく、粒子或いはフロックの
嵩高性の指標となり、このような吸油量の大きい填料を
配合すると、嵩高な低密度印刷用紙を得ることができ
る。配合量が2%未満であると、印刷用紙が0.60g/
cm3を超えて本発明の低密度の紙が得られないと共に、
印刷時に十分なオフセット適性が得られない。また、1
5%を超えて配合を行うと、十分な印刷時の表面強度が
得られず、またコストが高いものとなり実用的でない。
ライト以外の填料も、併せて使用することが可能であ
る。これら以外の填料としては、一般に製紙用に使用さ
れる、チョーク・重質炭酸カルシウム・軽質炭酸カルシ
ウム等の炭酸カルシウム類、炭酸マグネシウム類、ドロ
マイト等のカルシウム・マグネシウム炭酸塩類、カオリ
ン・焼成クレー・ろう石・ベントナイト・長石・タルク
(滑石)・ワラストナイト・合成珪酸アルミ・合成珪酸
カルシウム等の珪酸塩、珪藻土・珪石粉、含水微粉珪酸
(ホワイトカーボン)、無水微粉珪酸、等の珪酸類、合
成水酸化アルミ等のアルミニウム水和物、バライト・ブ
ランクフィンクス等の硫酸バリウム類、石膏・合成亜硫
酸カルシウム等の硫酸カルシウム・亜硫酸カルシウム
類、アナターゼ型二酸化チタン・ルチル型二酸化チタン
等の二酸化チタン類、リチウムアルミニウムカーボネー
ト、等が挙げられる。
スラリーに、目的に応じて上記機械パルプ、内添填料以
外に適宜、該機械パルプ以外の天然パルプ繊維、有機合
成繊維、無機繊維、紙力増強剤、発泡性マイクロカプセ
ル、サイズ剤、耐水化剤、撥水剤、歩留向上剤、PH調
整剤、スライムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、難燃
剤、抗菌剤等を選択し配合することができる。これらは
複数種併用することも出来る。
は、例えば、針葉樹化学パルプや広葉樹化学パルプ、或
いは古紙パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ等の
漂白又は未漂白で、未叩解、又は叩解したもの、或いは
化学的処理により繊維の剛性を強化したものを挙げるこ
とができる。因みに化学的処理により繊維の剛性を強化
したものとしては、具体的にはマーセル化パルプ、液体
アンモニア処理パルプ等の膨潤パルプが挙げられる。該
繊維は化学的処理を施さない繊維よりも低密度化への効
果がある。これらは、単独で或いは適宜選択されて2種
以上が併用される。このパルプ繊維の配合量は、用途に
よって変わるが、パルプ分の20〜70重量%の範囲で
添加される。
レン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル
繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊
維、ポリアミド繊維等が挙げられるが、中でも、脂肪族
ポリエステル、アセチルセルロースの様な生分解性繊維
が特に好ましい。また、該繊維の形状としては、直線的
な繊維よりもカール等の曲がりを有する繊維が低密度化
への効果が期待できるので好ましい。これらは、単独で
或いは適宜選択されて2種以上が併用される。この有機
合成繊維の配合量は、用途によって変わるが、全固形分
の0〜30重量%の範囲で添加される。有機合成繊維の
添加は一般的に水湿潤状態での強度向上等に効果があ
る。
炭素繊維、活性炭繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、
シリカ・アルミナシリケート繊維、ロックウール繊維等
を挙げることが出来る。これらは、単独で或いは適宜選
択されて2種以上が併用される。この無機繊維の配合量
は、用途によって変わるが、パルプ分の0〜30重量%
の範囲で添加される。無機繊維の添加は一般的に耐熱性
向上等に効果がある。
澱粉、植物ガム、PVA等の乾燥紙力増強剤、尿素ホル
ムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポ
リアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン
エピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジル
エーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の湿潤紙力増
強剤を挙げることができる。これらは、単独で或いは適
宜選択されて2種以上が併用される。紙力増強剤の配合
量は、用途によって変わるが、全パルプ分に対し0〜5
重量%の範囲で添加される。紙力増強剤の添加は一般的
に強度向上等に効果がある。しかし5%を越えて添加を
行うと、剛度が強くなり、所望の腰の柔らかい低密度印
刷用紙を得ることができないため好ましくない。
性マイクロカプセルは、樹脂微粒子中に低沸点溶剤を内
包したもので、70〜150℃の温度で直径が3〜5
倍、体積で30〜120倍に膨張する平均粒径が5〜3
0μmの粒子である。樹脂としては、塩化ビニリデン、
アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル等の共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用さ
れ、低沸点溶剤としてはイソブタン、ペンタン、石油エ
ーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等の低沸
点溶剤を用いて製造されたものが使用される。これら
は、単独で或いは適宜選択されて2種以上が併用され
る。この発泡性マイクロカプセルの配合量は、用途によ
って変わるが、全固形分の0〜30重量%の範囲で添加
される。発泡性マイクロカプセルは乾燥工程での熱によ
って発泡し、密度をさらに低下させる効果が有る。
ルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、無水
ステアリン酸、澱粉、化工澱粉、カゼイン、ポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ
るが、特にこれにより限定されるわけではない。耐水化
剤、撥水剤等としては、上記湿潤紙力増強剤を耐水化剤
として使用できる他、アルデヒド基を有するホルムアル
デヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、多価金属
化合物である炭酸アンモニウムジルコニウム等が挙げら
れる。撥水剤としては、各種ワックス(天然ワックス、
石油系ワックス、塩素化パラフィン、ワックスエマルジ
ョンなど)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、クロム錯
塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂などが挙げられる
が、特にこれにより限定されるわけではない。
あるいは難燃剤、抗菌剤のような薬品類は、紙料調成中
に混合、つまり内添してもよいし、あるいはシートを製
造した後に表面塗工、つまり外添してもよい。外添の具
体的な方法としては、抄紙機のオンマシンでサイズプレ
スやスプレーにて塗工してもよいし、オフマシンで塗工
してもよい。特にこれによって限定されるわけではな
い。勿論内添・外添を併用しても構わない。
ラリーは、攪拌機を有する装置でバッチ式或いは連続的
に調製される。スラリーを形成するのに用いられる媒体
としては水が使用される。
長網抄紙機、傾斜型抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等、
一般に製紙用として使用されている抄紙機を使って製造
することができる。これらの抄紙機によって得られるシ
ートの厚みは60〜250μmである。得られるシート
の密度は、機械パルプ、その他繊維分の種類或いはその
配合比率、又他の添加物の種類或いは配合量に影響され
るが、それ以外に、製造段階でのシートにかかる圧力が
重要で、出来るだけ低密度にするためには、ワイヤー部
での脱水圧を弱めるためサクションロールの真空度を抑
える、ダンディロールの圧力を出来るだけ下げる、プレ
ス圧を下げる、ドライヤーのカンバスの張り及びサイズ
プレスのプレス圧を弱める、オンマシンのカレンダーを
使わない等の工夫が重要となる。本発明では、密度が
0.40〜0.60g/cm3 の範囲のシートが製造さ
れる。密度が0.40g/cm3 未満のものは、強度的
にも十分なものを得ることが困難である。又、0.60
g/cm3を越えるものは、所望の風合い・柔らかさが
得られず適しない。
て、オンマシン・オフマシンの塗工を行うことができ
る。使用される塗工液は、顔料を含む、ピグメント塗料
よりも、顔料を含まないクリアー塗料の方が好ましい。
その理由は、ピグメント塗工を行うと、クリア塗工と比
較して、原紙表面を完全にカバーできる最低塗工量が大
きくなり、得られる印刷用紙の密度が大きくなるととも
に厚さも大きくなりさらに剛度が強くなる傾向となるた
め、クリアー塗工の方がより好ましい。
種接着剤、表面サイズ剤、耐水化剤、等により構成され
る。接着剤としては、澱粉、加工澱粉が通常使用される
が、それ以外に、ラテックス類(スチレン−ブタジエン
共重合体等の共役ジエン系重合ラテックス、アクリル酸
エステルおよび/またはメタクリル酸エステル重合体ま
たは共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ラテックス等)、カゼイン、ゼ
ラチン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコー
ル、各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹
脂系接着剤、CMC等各種セルロース誘導体、等が挙げ
られ、これら接着剤から1種或いは適宜2種以上選択し
て使用される。中でも、ポリビニルアルコールは強力な
接着力と優れた成膜性を持つため、本発明の書籍用紙に
おいて、澱粉、加工澱粉とともに使用した場合、微細な
機械パルプ繊維、填料、その他微細成分を効率良く被覆
する効果があり好ましい。但し、ポリビニルアルコール
を多量に配合すると粘度が上がり塗工性に悪影響を及ぼ
すことがあるため、配合の際には少量の配合が好まし
い。表面サイズ剤、耐水化剤の配合は、本発明の書籍用
紙をオフセット印刷に使用する場合に湿し水適性を向上
させることができる等、紙の湿潤状態での表面強度を上
げることができるため好ましいが、本発明はこれにより
限定されるものではない。
外に、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、流動変性
剤、保水剤、防腐剤、接着剤、着色染料、紫外線防止剤
等の各種助剤が適宜配合される。クリアー塗工液の固形
分濃度は塗工液組成・塗工方式等により異なるが、通常
5〜50重量%の範囲に調整されるが、操業性を考慮す
ると5〜30重量%の範囲が好ましい。
2g/m2の範囲が好ましい。塗工量が0.3g/m2未満
の場合には、シートの表面の粗さを充分に被覆するのが
困難となり、印刷時の表面強度が弱くなる結果となりが
ちである。また、2g/m2を超える場合は、シート全体
の低密度性が損なわれる。中でも、低密度性と表面の平
滑性のバランス上、片面0.5〜1.5g/m2 の範囲の
塗工量が特に好ましい。塗工層は、支持体の片面或いは
両面に設けられる。また、その層は単に一層だけのもの
だけでなく、二層或いは多層の重ね塗工をしてもよい。
重ね塗りの塗工液は必ずしも同一である必要はなく、又
同一塗工液でなくてもよい。又塗工機械は同一である必
要はない。
の製造に用いられる塗工装置、例えばブレードコータ
ー、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバース
ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダ
イスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレッ
クスコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコ
ーター等の塗工装置を設けたオンマシンあるいはオフマ
シンコーターによって塗工することができるが、塗工装
置はこれらに限定されるものではない。
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、「部」及び「%」とあ
るのは特に断らない限り「固形分重量部」及び「重量
%」を示す。
以下に示す。 1)填料の嵩比重: 填料1リットルあたりの重量
(g)を実測して密度(g/cm3)に換算して求め
た。 2)填料の吸油量: JIS K 5101に準じて測定
した。 3)紙の灰分: JIS P 8128により55
0℃にて焼成し、測定した。 4)紙の密度: JIS P 8118に準じ測定
した。 5)紙の不透明度: ISO−2470に準じ、スガ式
不透明度測定器により測定した。 6)紙の剛度: JIS P 8143(クラーク
剛度)により測定した。 7)紙の表面強度: 実際にオフセット印刷用紙として
使用されている(王子製紙社製)クリーム書籍F76.
6g/m2を比較サンプル(ブランク)として、通常状態
(DRY)及び紙を若干湿らせた状態(WET)でRI
印刷機により印刷を行うことにより表面強度を比較し、
ブランクと同等またはそれ以上を○、ブランクより若干
劣るものの印刷用紙として使用可能なものを△、ブラン
クより劣り印刷用紙として不適なものを×と3段階で評
価した。
度74.3%、フリーネス203mlCSF) B(脱墨古紙パルプの調製) 古紙として、タイプA(コンピューターのアウトプット
済上質古紙、カーホ゛ン印字)とタイプC(コピー済上質古
紙、トナー印字)を各々絶乾25g分とり、ディスイン
テグレータ−(容積:2リットル、東西精機社製)に水95
0gと共に入れ、5分間離解した。この固形分濃度5%
の離解スラリーを150meshの篩上で固形分濃度25%
まで濃縮した後、この脱水パルプに、パルプ絶乾固形分
に対する薬品の純固形分濃度で、苛性ソーダ0.4%、
珪酸ソーダ0.8%、過酸化水素0.15%、脱墨剤
(FW−235、東邦化学社製)0.2%を加えて十分
に攪拌し、PFIミル(熊谷理機社製)にて1000回
転処理することによりディスパージング処理を施した。
PFIミルから取り出したパルプを、耐熱性ビニール袋
に入れ手で揉んで再度攪拌した後、60℃の温水に、中
に温水が入らないように2時間浸せきしてソーキング処
理を行った。このソーキング処理したパルプに水を加え
固形分濃度5%とした後ディスインテグレーターにて2
分間離解した。このスラリーに水を加え固形分濃度0.
7%としたスラリーから4.5リットルを取り、テストフロ
ーテーター(容量:4.5リットル、極東振興社製)に入
れ、30秒毎にフロスを板で掻き出しながら4分間フロ
ーテーション処理を施した。その後、フローテーターの
下部抜き出し口から2リットルを抜き出し脱墨古紙パル
プサンプルとして供した。このパルプのフリーネスは3
30mlCSF、白色度は87.3%であった。上記A
(BCTMP)とB(脱墨古紙パルプ)を絶乾重量で6
0:40の割合で配合し、パルプスラリーを得た。
ーに内添填料として合成ゼオライト(商品名:TIXO
LEX17、KOFRAN社製、嵩比重0.31、吸油
量130ml/100g)をパルプ絶乾重量に対し10
%、硫酸バンドを対パルプ0.5%、内添紙力剤として
熱水にて溶解したカチオン化澱粉(エースK100、王
子コーンスターチ社製)を対パルプ0.5%、ポリアク
リルアミド系高分子(ポリストロン117、荒川化学工
業社製)を対パルプ0.5%添加し、固形分濃度2%の
原料スラリーを得た。
として80メッシュブロンズワイヤーを備えた角形(2
5cm×25cm)手抄シートマシンのワイヤー上に坪
量68g/m2のシートを形成させ、金属製ロールにてコ
ーチング処理を行った後、厚濾紙に挟み、プレス処理を
施した。プレス処理は、3.5kgf/cm2で、第一
プレス5分間、第二プレス2分間の処理を行い、得られ
たシートを角形リングに挟み、送風乾燥機にて完全に乾
燥させた。
308−S、荒川化学工業社製)5部、PVA(クラレ
ポバール117、クラレ社製)15部、酸化澱粉(エー
スA、王子コーンスターチ社製)80部を熱水に溶解
し、水を加えて濃度8%の塗工液を得た。この塗工液を
メイヤーバー(#0)を用いて絶乾塗工量が片面1.0
g/m2となるように塗工を行い、1分間105℃乾燥機中
に入れることにより乾燥させた後、残りの面にも同様に
塗工を行い、坪量70g/ m2のシートを得た。その後、
23℃、60%RHの条件にて24HR調湿を行い、紙
質の測定に供した。物性の測定結果を表に示す。
フトパルプをPFIミルにてフリーネス450mlCS
Fまで叩解したパルプ40部を上質脱墨古紙40部の代
わりに使用した以外は実施例1と同様にして、針葉樹晒
クラフトパルプ:BCTMP=40:60のパルプスラ
リーを作製した。次に、填料として、実施例1で使用し
たTIXOLEX17を対パルプ4%、吸油量53ml
/100gの軽質炭酸カルシウム(TP−121、奥多
摩工業社製)を対パルプ12%添加し、よく撹拌して原
料スラリーを調製した。
は実施例1と同様にして坪量68g/m2の手抄シートを作
製し、両面塗工して坪量70g/ m2の両面塗工シートを
得た。調湿後の物性の測定結果を表に示す。
フトパルプをPFIミルにてフリーネス450mlCS
Fまで叩解したパルプ30部、及び実施例1で使用した
BCTMP70部を混合しパルプスラリーを作製した。
このパルプスラリーに内添填料としてTIXOLEX1
7を使用せず、代わりに合成ゼオライト(商品名:TI
XOLEX17S、KOFRAN社製、嵩比重0.3
0、吸油量148ml/100g)をパルプ絶乾重量に
対し10%使用すること以外は実施例1と同様にして固
形分濃度2%の原料スラリーを得た。この原料スラリー
をパルプスラリーとして使用した以外は実施例1と全く
同様にして坪量68g/ m2の手抄シートを作製し、両面
塗工して坪量70g/ m2の両面塗工シートを得た。調湿
後の物性の測定結果を表に示す。
例1で使用した上質脱墨古紙90部と、実施例1で使用
したBCTMP10部との混合スラリーを使用したこと
以外は、実施例1と全く同様にして坪量70g/ m2の両
面塗工シートを作製した。調湿後の物性の測定結果を表
に示す。
例1で使用した上質脱墨古紙10部と、実施例1で使用
したBCTMP90部との混合スラリーを使用したこと
以外は、実施例1と全く同様にして坪量70g/ m2の両
面塗工シートを作製した。調湿後の物性の測定結果を表
に示す。
EX17を使用する代わりに、吸油量198ml/10
0gの合成非晶質シリカ微粒子(商品名:トクシールG
u−N(P)、トクヤマ社製)を対パルプ10%使用す
ること以外は実施例1と全く同様にして坪量70g/ m2
の両面塗工シートを作製した。調湿後の物性の測定結果
を表に示す。
EX17を使用する代わりに、吸油量58ml/100
gの軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多
摩工業社製)を対パルプ10%使用すること以外は実施
例1と全く同様にして坪量70g/ m2の両面塗工シート
を作成した。調湿後の物性の測定結果を表に示す。
EX17を使用する代わりに、吸油量58ml/100
gの軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多
摩工業社製)を対パルプ22%使用すること以外は実施
例1と全く同様にして坪量70g/ m2の両面塗工シート
を作製した。調湿後の物性の測定結果を表に示す。
EX17を使用する代わりに、吸油量43ml/100
gのタルク(イライト、日本タルク社製)を対パルプ1
0%使用すること以外は実施例1と全く同様にして坪量
70g/ m2の両面塗工シートを作製した。調湿後の物性
の測定結果を表に示す。
EX17を対パルプ1%使用すること以外は実施例1と
全く同様にして坪量70g/ m2の両面塗工シートを作製
した。調湿後の物性の測定結果を表に示す。
17を対パルプ18%使用すること以外は実施例1と全
く同様にして坪量70g/ m2の両面塗工シートを作製し
た。調湿後の物性の測定結果を表1に示す。
パルプを全パルプに対し30〜80重量%配合し、か
つ、吸油量が100ml/100g以上の填料を全パル
プに対し2〜15重量%配合することにより、密度が
0.40〜0.60g/cm3の低密度で、腰の柔らかい低
密度印刷用紙を得ることができる。実施例2を見ると明
らかな通り、炭酸カルシウムのような吸油量が100m
l/100g以下の填料も同時に配合することが可能で
ある。また、実施例1〜3を見るとわかるように、機械
パルプ以外のパルプとして使用される針葉樹クラフトパ
ルプ(実施例2)や広葉樹クラフトパルプ(実施例
3)、更に古紙パルプ(実施例1)も使用することがで
きる。
に、機械パルプを全パルプに対し、30重量%未満、あ
るいは80重量%を越えて配合すると、密度が0.60
を越えてしまったり(比較例1)、表面強度が弱くなっ
てしまうため(比較例2)好ましくない。また、吸油量
が100ml/100g以上の填料でも、ゼオライト以
外のものを使用した場合、印刷用紙に必要な不透明度が
得られないため好ましくない(比較例3)。
100ml/100g未満の填料のみを使用した場合、
印刷用紙として必要な不透明度が得られずまた剛度も大
きくなるため好ましくない。また、不透明度を高くしよ
うとして多く配合すると表面強度が弱くなり印刷用紙と
しての性能が落ち、好ましくない(比較例5)。
100ml/100g未満の填料のみを使用した場合、
密度が0.60を越えてしまい、所望の嵩高な低密度印
刷用紙が得られない(比較例6)。また、填料として合
成ゼオライトを使用する場合でも、配合量が対パルプ3
%未満では期待される効果が得られず(比較例7)、ま
た、15%を越えて添加した場合表面強度が弱くなり印
刷用紙としての性能を保つことができないため好ましく
ない(比較例8)。
ルプ中30〜80重量%配合し、吸油量100ml/1
00g以上のゼオライトを全パルプに対して2〜15重
量%配合することにより、印刷適性に優れ、嵩高で、腰
の柔らかい、柔軟性に富んだ低密度印刷用紙を提供する
という効を奏する。
Claims (3)
- 【請求項1】 全パルプ成分中の30〜80重量%が機
械パルプであり、JISK 5101に規定される吸油
量が100ml/100g以上のゼオライトを全パルプ
に対して2〜15重量%含有し、密度が0.40〜0.
60g/cm3でありISO−2470に規定される不透明
度が88%以上であることを特徴とする低密度印刷用
紙。 - 【請求項2】前記ゼオライトが、合成ゼオライトである
請求項1に記載の低密度印刷用紙。 - 【請求項3】 JIS P 8143に規定される剛度の
最小値が70cm3/100以下である請求項1または2に
記載の低密度印刷用紙。
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2000
- 2000-05-24 JP JP2000153258A patent/JP3738668B2/ja not_active Expired - Fee Related
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