JPH10219589A - 断熱材 - Google Patents

断熱材

Info

Publication number
JPH10219589A
JPH10219589A JP2075897A JP2075897A JPH10219589A JP H10219589 A JPH10219589 A JP H10219589A JP 2075897 A JP2075897 A JP 2075897A JP 2075897 A JP2075897 A JP 2075897A JP H10219589 A JPH10219589 A JP H10219589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
insulating material
fibers
heat insulating
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2075897A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisao Ishikawa
久夫 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP2075897A priority Critical patent/JPH10219589A/ja
Publication of JPH10219589A publication Critical patent/JPH10219589A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で強度も強く、しかも主たる材料が生分
解性を有するため廃棄処理が容易な建築用断熱材または
畳床を提供する。 【解決手段】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
の範囲にあるカールドファイバーと、結合強化ファクタ
ーが0.15以上の微細繊維を原料として含有するスラ
リーを脱液、乾燥して得られ、密度が0.05〜0.4
5g/cm3 であり、かつJIS A 1412に基づ
く熱伝導率が0.140kcal/m・hr・℃以下で
ある断熱材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物や構造物の
内外、即ち、天井、壁、床類、プラントの配管、塔槽類
に施す断熱性能に優れた建築用断熱材及び畳床に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より屋根、壁等の建築物の外囲体の
下地材、または内装用の建築用断熱材としては、グラス
ウール、ロックウール等の無機繊維系、またはフェノー
ルフォーム、ウレタンフォーム等の合成樹脂系の断熱材
が利用されている。そのうちの樹脂系のものは、不燃
性、耐火性の面で無機繊維系のものに劣るもの、耐折特
性等の強度特性が優れている。グラスウール、ロックウ
ール等、無機系繊維をフェノール系樹脂等の熱硬化性樹
脂で結合させた断熱板は、不燃性、耐火性、断熱性に優
れており、一定密度以上、一定厚さ以上を有している場
合は、それ自体で一定形状を維持することができるが、
その材質が低密度、かつ厚さが薄くなると容易に屈曲、
折れを生じ、一定形状を保持できない。そのため天井部
のように隣接する支持材間に載置したときには、その中
心部がたわみ、良好な施工仕上がりが得られにくい。ま
た、一定密度以上、一定厚さ以上を有していても、その
長尺の長さが一定値を超えると、施工者の取り扱い時に
おいて屈曲、折れが生じたり、衝撃、接触等によって角
欠け、つぶれが生じ使用できなくなったり、複数の施工
者によって取り扱う必要が生じるといったように施工能
率が著しく悪化する欠点がある。
【0003】また、畳は和室に欠くことのできない床材
として古くから使用されている。古くからの畳に用いる
畳床の芯は主としてわらを用いていたが、米作の省力化
により稲わらは短く刈り取られ、良質のわらの入手が困
難になってきている。また、天然わらの畳床は、重量が
重いこと、虫が発生し易いこと並びに吸湿性等のため、
わらの使用量を少なくしたり、発泡スチロール、ポリス
チレン等の合成樹脂、無機質繊維、木質材料等をわらの
代替品として使用することが研究され、一部で実施され
ている。例えば、実開昭55−99338号公報では、
難燃性形質材層、ソフトボード層、防水紙層等を積層し
た無縫合畳が開示されている。また、実公昭62−37
890号公報では、軟質繊維板間に呼吸性粉末、ほう
酸、ケイ酸等を混合した合成樹脂発泡層を軟質繊維板間
に介在させた畳床が開示されている。
【0004】上記従来の建築用断熱材および畳床として
合成樹脂系のものを使用しているものは、軽量のものが
得られるが、火気例えば火災等により有毒ガスを発生し
生命に少なざる悪影響を及ぼし、耐熱温度が低いため1
00℃以下の温度で変形してしまう。また最近問題とな
ってきている産業廃棄物として、廃棄後の処理が環境破
壊に繋がるものである。無機系繊維の場合は、軽量化が
難しく合成樹脂と混合した場合は合成樹脂系のものと同
じ問題を有する。また、従来の畳床としてわらを使用し
ているものは、重量並びに吸湿性が大きく、取り扱い、
居住性に難があり、虫の発生などの欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、湿潤カールファクタ
ーが0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイバー
と、該カールドファイバーより繊維間結合の強い微細繊
維の二成分を含有せしめたスラリーを脱液、乾燥して得
られる断熱材、或いはその表面に無機質層、天然繊維
層、合成繊維層を設けたものが、軽量で耐久性や強度に
優れ、しかも環境に優しく、優れた建築用断熱材或いは
畳床となりうることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。本発明の成功の原因は、湿潤カールファクターが
0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイバーは繊維
間の結合強度が極めて劣るが、空隙を多く保持できるの
で低密度になりやすく、通常のパルプ繊維と比較して熱
伝導率が低くなりやすいことに着目し、これと繊維間結
合強化のための他の繊維を組み合わせた点にある。尚、
繊維間結合強化のための他の繊維の代わりにデンプン、
CMC、PVA、PAMなどの水溶性高分子、或いはス
チレン−ブタジエン、酢酸ビニル等のラテックスを組み
合わせる方法が考えられるが、その場合には歩留りが悪
くかなり多量に配合しても層間強度が出にくい。更に本
発明の成功の別の原因としては、カールドファイバーが
パルプの架橋処理品で、セルロース分子の水酸基(−O
H)が通常のパルプと比較して少ないために、得られた
断熱材を温度30℃、湿度90%の環境下に24時間放
置しても、ほとんど吸湿せず、形状も変形しないため吸
湿による断熱性の低下は起こりにくいことを見出した点
にある。本発明の目的は、軽量で強度も強く、しかも主
たる材料が生分解性を有するため廃棄処理が容易な建築
用断熱材および畳床を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の断熱材は、湿潤
カールファクターが0.4〜1.0の範囲にあるカール
ドファイバーと、結合強化ファクターが0.15以上の
微細繊維を原料として含有するスラリーを脱液、乾燥し
て得られ、密度が0.05〜0.45g/cm 3 であ
り、かつJIS A 1412に基づく熱伝導率が0.
140kcal/m・hr・℃以下であることを特徴と
するものである。本発明の断熱材は、前記カールドファ
イバーを全繊維重量当り35〜97重量%と、前記微細
繊維を全繊維重量当り3〜65重量%の割合で含有する
のが好ましい。前記断熱材の片面または両面に無機質層
を設けてなる建築用断熱材が好ましい。また、前記の断
熱材の表面を天然または合成繊維シートで被覆してなる
畳床が好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の成功は、カールドファイ
バーと該カールドファイバーより繊維間結合の強い微細
繊維を組み合わせることによって、カールドファイバー
と他の結着材の組合せでは到底成しえなかった低密度と
強度のバランスのとれた材料となり得ることを見出した
ことにある。
【0008】カールドファイバーは、架橋反応による化
学結合によってカールやネジレのような変形を固定化し
た、元の繊維の長さと比べて見掛けの長さが小さくなっ
たパルプ繊維であり、本発明では湿潤カールファクター
が0.4〜1.0の範囲にあるカールドファイバーが用
いられる。因みに、湿潤カールファクターとは、湿潤状
態での繊維の変形の程度を示す指標で、カールドファイ
バーを室温下、24時間純水に浸漬した後の繊維の実際
の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長方
形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、
〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元
の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化し
たものである。湿潤状態でのカールの状態を示す湿潤カ
ールファクターが重要となるのは、乾燥状態でのカール
ファクターがいくら高くても湿潤カールファクターが小
さければ湿潤することでカールが戻ってしまい、低密度
に成り難いためである。湿潤カールファクターが0.4
〜1.0の範囲のカールドファイバーは、パルプ繊維に
相当量変形が付与されて屈曲しており、しかも架橋結合
が施されているので繊維は剛直であり、そのためカール
ドファイバー単独からなる水スラリーを脱水・乾燥して
得たものは断熱材になる。しかし、この材料は繊維同士
の絡み合いが弱く、又、架橋処理によりセルロース分子
の水酸基(−OH)が減少しているために、水酸基によ
る水素結合も生成し難くなっており、得られたものは層
間強度が弱く、単独系は実用に供することができない。
【0009】カールドファイバーとしては公知のものが
本発明に使用できる。例えば、C2〜C8のジアルデヒ
ド並びに酸官能基を有するC2〜C8のモノアルデヒド
を使用してセルロース系繊維の内部を架橋させた平均保
水度28%〜50%の架橋繊維(特公平5−71702
号公報)、C2〜C9のポリカルボン酸を用いてセルロ
ース系繊維を内部架橋させた保水度25%〜60%の架
橋繊維(特開平3−206174号公報、特開平3−2
06175号公報、特開平3−206176号公報参
照)、更には市販のもの(例えば、米国ウェアハウザー
社製、商品名:HBA−FF、NHB405、NHB4
16等)が挙げられ、適宜選択して用いられる。
【0010】架橋繊維を製造する際に、パルプ繊維に架
橋剤を添加した後、機械的攪拌を施し、次いでフラッフ
化と加熱処理を行い、繊維に変形を付与したまま固定す
ると湿潤カールファクターの大きなカールドファイバー
が得られる。
【0011】カールドファイバーとしては、水を保持す
る能力を示す保水度の値が10〜80%の範囲のものが
好ましい。中でも、25〜60%の範囲のものがより好
ましい。保水度が10%未満のものは、セルロース表面
の水酸基(−OH)が少な過ぎて繊維間結合が弱くな
り、得られる断熱材は保形性の悪いものに成りがちであ
る。また、保水度が80%を超えたものを使用すると、
湿潤状態で短時間にカールが戻ってしまうために、安定
して断熱材が得られないといった問題を有する。しか
し、この範囲以外のものを使用しても、用途によっては
実用可能なものと成り得るため、本発明のカールドファ
イバーの保水度はこの範囲に限定されるものではない。
因みに、保水度は、湿潤状態にある繊維を15分間30
00Gの遠心力で脱水した後のその繊維が保持している
水の量を絶乾繊維1g当りの量として表示した値(%)
と定義されるもので、その測定方法はJAPAN TA
PPI No,26−78に規定されている。
【0012】本発明の断熱材を構成する微細繊維は、通
常天然高分子繊維或いは合成高分子繊維或いは半合成高
分子繊維或いはそれらを処理して得られるものである。
天然高分子繊維としては、例えば、針葉樹、広葉樹をク
ラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパル
プ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、或いはG
P、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パル
プ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パル
プ等のパルプ繊維、及びバクテリアセルロース等のセル
ロース系繊維、ウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋白
系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複
合糖鎖系繊維等が挙げられる。合成高分子繊維として
は、例えば、脂肪族ポリエステル系繊維、ポリエチレン
繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維のように単量
体から合成される繊維が挙げられる。また、半合成高分
子繊維としては、例えば、アセチルセルロ−ス系繊維等
のように、天然物を化学修飾して得られる繊維繊維が挙
げられる。これらの中でも、セルロース系繊維、脂肪族
ポリエステル系繊維、アセチルセルロース系繊維等のよ
うに生分解性を有するものが好ましく用いられる。さら
に、原料供給の安定性及び価格の面から、セルロース系
繊維或いはそれを処理して得られるものが、より好まし
い。中でも、パルプ繊維を湿式で機械的処理して得られ
る微細繊維は枝分かれした形状になりやすく、層間強度
アップの効果が特に大きく好ましい。
【0013】機械的処理としては、例えば、媒体攪拌ミ
ル処理(特開平4−18186号公報)、振動ミル処理
(特開平6−10286号公報)、高圧均質化装置での
処理、コロイドミル処理、叩解機処理等が挙げられる
が、本発明では特に処理装置を限定するものではない。
前記処理装置のうちで、媒体攪拌ミルや振動ミルによっ
て得られる微細繊維パルプは、他の処理装置で得られる
パルプ繊維より柔軟性に富んだものが得やすく、繊維の
長さ方向だけでなく3次元的に微細繊維化が施されるた
めに、本発明で用いるカールドファイバー同士を効率よ
く、また強固に結合することができるため特に好まし
い。
【0014】因みに、媒体攪拌ミルは、ガラスビーズ或
いはアルミナビーズ等を充填した粉砕容器に攪拌機を挿
入して高速で回転させて、剪断応力によってスラリー中
の分散物を粉砕する装置で、塔式、槽式、流通管式、ア
ニュラー式等がある。又、振動ミルは、粉砕容器を高速
振動させ、容器内に充填されたビーズ、ボール、ロッド
等によってスラリー中の分散物に衝撃力、剪断力等の力
を作用させて粉砕する装置である。又、高圧均質化装置
は、高い圧力をかけて小径オリフィス間を通過させて、
スラリー中の分散物を粉砕する装置である。
【0015】本発明に使用される天然パルプ繊維の機械
的処理によって得られた微細繊維の大きさについては、
特に限定するものではないが、数平均繊維長が0.01
〜0.80mmの範囲のものが好ましく使用される。中
でも歩留り及び分散性の面で0.05〜0.60mmの
範囲のものがより好ましい。繊維形態としては、その大
部分が細い繊維でできたものや、パルプ繊維の一部がフ
ィブリル化してその部分だけ細い繊維状となって分散し
ているもの等、いろいろな形態がある。そのため、繊維
幅については、パルプ繊維の種類、処理方法によって異
なり一概には言えないが、通常0.1〜30μmの幅の
ものが好ましく使用される。しかし、本発明は特にこれ
により限定されるわけではない。
【0016】本発明では、結合強化ファクターが0.1
5以上の微細繊維を使用することを特徴とするが、結合
強化ファクターが0.15以上の微細繊維を使用するこ
とにより、層間剥離や紙粉の発生などが著しく改善され
所望の断熱材が得られる。結合強化ファクターが0.1
5未満の微細繊維を使用した場合、カールドファイバー
同士の結合が不充分となり、得られる断熱材は層間剥離
を生じやすく紙粉が発生しやすいものとなり実用的でな
い。好ましくは結合強化ファクターが0.15〜1.5
の範囲の微細繊維が使用され、より好ましくは0.20
〜1.5の範囲のものが使用される。1.5を超える微
細繊維も、本発明において、品質的には十分使用するこ
とが可能であるが、該微細繊維の製造コストがアップす
る。
【0017】本発明における結合強化ファクター(B
F)は、(E2−E1)/E1で計算される。但し、E
1は、広葉樹晒クラフトパルプ50重量%と針葉樹晒ク
ラフトパルプ50重量%とを混合して水性スラリーと
し、カナダ標準フリーネス(CSF)500mlまで叩
解し、JIS P 8209に従って手抄マシンにて脱
水・風乾して坪量60g/m2 のシートを作製した後、
130℃で2分間熱処理して、20℃、65%RHに調
湿した後測定された超音波弾性率を示す。E2は上記パ
ルプ繊維の50%を微細繊維で置き換えて水性スラリー
を調製し、E1を測定するのと同じ方法でシート作製、
測定した場合の超音波弾性率を示す。因みに、超音波弾
性率は、動的ヤング率測定器(野村商事(株)製、型
式:SST−210A)を用いて測定した超音波伝播速
度の値から、下記式に従って計算して求めた。 E(GPa)=ρ(g/cm3 )×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3 )、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。
【0018】本発明に使用される微細繊維パルプとして
は、保水度の値が150〜500%の範囲にあるものが
好ましい。又、より好ましくは165〜500%の範囲
のもので、特に好ましくは210〜450%の範囲のも
のである。因みに、保水度が150%未満の場合には、
繊維の結合能力が不充分なために、カールドファイバー
同士を結び付ける力が十分でなく、この様な微細繊維と
カールドファイバーの組合せで得られる断熱材は、層間
強度が不充分で紙粉を発生しやすい傾向にある。特に、
断熱材がシートの場合には、紙力が不充分で、用途によ
っては実用不可となる。一方、保水度が500%を超え
ると、その微細繊維の製造コストがアップする。本発明
においては、微細繊維は、単独使用或いは二種以上併用
することが出来る。
【0019】本発明の断熱材を構成するカールドファイ
バーと微細繊維の混合比率は、その比率を変えることで
密度と層間強度及び熱伝導率のバランスをコントロール
することが出来るので、目的に応じて適宜選択すること
ができる。即ち、密度よりも層間強度を重視する場合に
は、微細繊維の配合を増やし、逆に層間強度よりも熱伝
導率や密度を重視する場合には、カールドファイバーを
増やした配合を選択すればよい。中でも、微細繊維を全
繊維絶乾重量当たり3〜65重量%、カールドファイバ
ーを全繊維絶乾重量当たり35〜97重量%の割合で混
合して用いた場合、密度と層間強度および熱伝導率のバ
ランスが特に優れ好ましい。
【0020】本発明の断熱材としては、熱伝導率が0〜
0.140kcal/m・hr・℃の領域のものが用い
られ、暖房・冷房の省エネのために十分な効果が得られ
る。好ましくは、熱伝導率は0.02〜0.140kc
al/m・hr・℃の範囲であり、0.02kcal/
m・hr・℃未満では、断熱材としての強度が不十分に
なる場合がある。断熱材の熱伝導率は、カールドファイ
バーと微細繊維の種類とその配合比率、及び他の添加物
の種類とその配合量を変えることによって、或いは製造
段階での断熱材にかかる圧力を調節することで、容易に
コントロールすることが出来る。例えば、カールドファ
イバーの配合量を増やすと断熱材の密度は下がり熱伝導
率も小さくなる。従来、通常の紙パルプシートの熱伝導
率は種類によって差はあるが、概ね0.14〜0.2k
cal/m・hr・℃の範囲であり、0.140kca
l/m・hr・℃以下の紙パルプシートを得ることは困
難であった。
【0021】本発明の断熱材には、目的に応じて上記繊
維以外に適宜、有機合成繊維、無機繊維、紙力増強剤、
耐水化剤、撥水剤、発泡性マイクロカプセル、サイズ
剤、染料、顔料、歩留向上剤、填料、PH調整剤、スラ
イムコントロール剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌
剤、難燃剤、防腐剤、殺鼠剤、防虫剤、保湿剤、マイク
ロカプセル、発泡剤、界面活性剤、電磁シールド材、帯
電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を選択し配合する
ことができる。これらは複数種併用することも出来る。
【0022】有機合成繊維としては、例えば、ポリエチ
レン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル
繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊
維等が挙げられるが、中でも、脂肪族ポリエステル、ア
セチルセルロースの様な生分解性繊維が特に好ましい。
また、該繊維の形状としては、直線的な繊維よりもカー
ル等の曲がりを有する繊維が低密度化への効果が期待で
きるので好ましい。これらは、単独で或いは適宜選択さ
れて2種以上が併用される。この有機合成繊維の配合量
は、断熱材の用途によって変わるが、通常全固形分の0
〜30重量%の範囲で添加される。有機合成繊維の添加
は一般的に水湿潤状態での強度向上等に効果がある。
【0023】無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、
炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、シリカ・アル
ミナシリケート繊維、ロックウール繊維等を挙げること
が出来る。これらは、単独で或いは適宜選択されて2種
以上が併用される。この無機繊維の配合量は、断熱材の
用途によって変わるが、通常全固形分の0〜30重量%
の範囲で添加される。無機繊維の添加は一般的に耐熱性
向上等に効果がある。
【0024】発泡性マイクロカプセルとしては、樹脂微
粒子中に低沸点溶剤を内包したもので、70〜150℃
の温度で直径が3〜5倍、体積で30〜120倍に膨張
する平均粒径が5〜30μmの粒子が通常用いられる。
樹脂材料としては、通常塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の
共重合体からなる熱可塑性樹脂が使用され、低沸点溶剤
としては通常イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘ
キサン、低沸点ハロゲン化炭化水素等が通常用いられて
いる。この発泡性マイクロカプセルは、単独で或いは適
宜選択されて2種以上が併用される。配合量は断熱材の
用途によって変わるが、通常全固形分の0〜30重量%
の範囲で添加される。発泡性マイクロカプセルは乾燥工
程での熱によって発泡し、密度をさらに低下させる効果
が有る。
【0025】紙力増強剤としては、例えば、尿素ホルム
アルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリ
アミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリア
ミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエ
ピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジルエ
ーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等を挙げることが
できる。これらは、単独で或いは適宜選択されて2種以
上が併用される。紙力増強剤の配合量は、断熱材の用途
によって変わるが、通常全固形分の0〜10重量%の範
囲で添加される。紙力増強剤の添加は一般的に強度向上
等に効果があるため、低密度を維持して高い強度が要求
される場合には大きな効果がある。
【0026】難燃性を向上させるための難燃剤として
は、各種難燃剤、例えば水酸化アルミニウム、リン化合
物、硫黄化合物、ホウ素化合物、ハロゲン化合物、アン
チモン化合物、ケイ素化合物またはグアニジン化合物等
が用いられる。リン化合物としては、リン酸、亜リン
酸、次亜リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリ
ン酸等の縮合リン酸、あるいはリン酸アンモニウム、ポ
リリン酸アンモニウム等のフェニル酸等の有機リン酸お
よび酸性リン酸エステル等が挙げられる。硫黄化合物と
しては硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム
等が挙げられる。ホウ素化合物としてはオルトホウ酸、
メタホウ酸等のホウ酸類、あるいはホウ酸マグネシウ
ム、ホウ酸亜鉛等の塩、ホウ酸エステル等が挙げられ
る。これらは単独で或いは適宜選択して2種以上を併用
して用いてもよい。難燃剤の配合量は、断熱材の用途に
よって変わるが、通常全固形分の0〜10重量%の範囲
で添加される。
【0027】耐水化剤としては、上記紙力増強剤を耐水
化剤として使用できる他、アルデヒド基を有するホルム
アルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、多価
金属化合物である炭酸アンモニウムジルコニウム等が挙
げられる。撥水剤としては、各種ワックス(天然ワック
ス、石油系ワックス、塩素化ワックス、ワックスエマル
ジョン等)、高級脂肪酸誘導体、合成樹脂類、クロム錯
塩、ジルコニウム塩、シリコン樹脂等が挙げられる。耐
水化剤及び撥水剤の配合量は、断熱材の用途によって変
わるが、それぞれ通常全固形分の0〜10重量%の範囲
で添加される。
【0028】本発明に使用されるスラリーは、通常攪拌
機を有する装置でバッチ式あるいは連続的に調製され
る。カールドファイバーは長時間水湿潤状態で放置せ
ず、できるだけ断熱材製造の直前に離解し、微細繊維と
混合するのが望ましい。その理由は、カールドファイバ
ーが通常のパルプよりも親水性が下がっているものの長
時間水中につけて置くと、水を含んで繊維自体も柔軟と
なり、同じプレス圧で製造しても密度が上がりやすくな
り、嵩が出にくいからである。従って、水系でのスラリ
ーの調製はバッチ式よりも断熱材の製造に合わせて調製
出来る連続式が好ましい。スラリーを形成するのに用い
られる媒体としては通常水が使用されるが、他に水とア
ルコール(メタノール或いはエタノール或いはグリセリ
ン等)の混和液、アルコール、アセトン、酢酸エチル、
グリセリン等の有機溶媒を使用することができる。スラ
リーの濃度は、製造装置によって異なるが、通常乾燥固
形分量が0.05〜10重量%の範囲に調製される。一
般的には抄紙機の場合には、乾燥固形分量が0.05〜
2重量%となるように調製される。あまりに濃度が高い
とカールドファイバーと微細繊維の混合がうまく行われ
ないため好ましくない。本発明の断熱材は媒体を使うス
ラリー方式、所謂ウエット方式で得られるが、媒体を使
わないドライ方式に比べて、繊維の混合が均一に成りや
すく、繊維間の水素結合による結合が強くなるので、強
度の強いものが得られる。
【0029】本発明の断熱材の形状としては、具体的に
は、シート或いはボード或いは成形体が挙げられる。シ
ートの場合には、円網抄紙機、長網抄紙機、傾斜型抄紙
機、ツインワイヤー抄紙機等、一般に製紙用の抄紙機を
使って製造することができる。これらの抄紙機によって
得られるシートの厚みは、通常0.2mm〜5mmであ
る。得られるシートの密度は、カールドファイバーや微
細繊維の種類或いはその配合比率、又他の添加物の種類
或いは配合量に影響されるが、それ以外に、製造段階で
のシートにかかる圧力が重要で、出来るだけ低密度にす
るためには、ワイヤー部での脱水圧を弱めるためサクシ
ョンロールの真空度を抑える、ダンディロールの圧力を
出来るだけ下げる、プレス圧を下げる、ドライヤーのカ
ンバスの張り及びサイズプレスのプレス圧を弱める、オ
ンマシンのカレンダーを使わない等の工夫が重要とな
る。本発明では、スラリーの配合と製造上の工夫を行う
ことで0.05〜0.45g/cm3 の範囲のものを得
ることができる。
【0030】ボードは通常、5mm〜数cmの厚みのも
ので、シートの場合と同様な上記の如き抄紙機を使用し
て製造することが出来るが、装置によっては湿紙の状態
で薄いシートを積層して厚物とすることができる。ボー
ドの場合もシートの場合と同様、スラリーの配合と製造
上の工夫を行うことで0.05〜0.45g/cm3
範囲のものを得ることができる。又、特殊な製造方法と
しては、インジェクション方式で、スラリーを高温高圧
下ボード状に押し出す方法も有効である。その際、スラ
リー中に高アミロース含有澱粉も添加しておくと、より
低密度のものが得られる。尚、上記の方法によって得ら
れたシート或いはボードは、複数枚貼り合わせて更に厚
いシートやボードにすることができる。
【0031】成形体は、パルプモールド方式やインジェ
クション方式で所望の形態のものを得ることができる。
これは、スラリーの配合を選択することによって0.0
5〜0.45g/cm3 の範囲のものを得ることができ
る。
【0032】抄紙機或いはパルプモールド製造機等でス
ラリーを脱水するために用いられる網としては、例えば
一般に使用されている60、80等のメッシュサイズの
ものが使用できるが、微細繊維が極めて細かい或いはス
ラリー濃度が低い場合には150メッシュ以上の細かな
網目のものなどが適宜用いられる。尚、本発明で使用さ
れる断熱材の製造装置は、上記のものに限定されるもの
ではない。
【0033】本発明の断熱材は加工が容易なため、従来
の建築材料の表面に貼り合わせてもよいし、建築材料の
間にサンドイッチ状に挟んで使用することもできる。ま
た、成形体として半円筒状にすれば配管の断熱カバー等
に使用できるが、これにより形状を規定するものではな
い。
【0034】本発明者らは、更に上記断熱材の耐熱性、
難燃性を高める方法について鋭意研究した結果、上記断
熱材表面の片面或いは両面に無機質層を設けることによ
り著しく耐熱性、難燃性を向上できることがわかった。
一般に軽量断熱材として使用されている発泡合成樹脂系
のものは、耐熱温度が低く100℃以下の温度、高いも
のでも150℃の耐熱性しかないのに対し、この断熱材
は、200℃の温度にも十分耐えうる天然繊維が主原料
である上に、断熱材表面に無機質層を設けているので耐
熱性が大幅に向上している。
【0035】この無機質層には、不燃性或いは難燃性の
ある無機繊維或いは無機粉体が使用できる。無機繊維と
しては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、
炭化珪素繊維、シリカ繊維、アルミノシリケート繊維、
ロックウール繊維等を挙げることができる、また、無機
粉体としては、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、けいそう土、硫酸カルシ
ウム、炭酸カルシウム、アルミノシリケート等を挙げる
ことができる。これらを単独で或いは適宜選択して2種
以上を併用して用いてもよい。無機繊維或いは無機粉体
の配合量は、通常無機質層中の全固形分の70〜95重
量%の範囲である。
【0036】ガラス繊維等の繊維材料を使用する場合
は、繊維を積層しシート状に加工したものを断熱材表面
に貼り合せることにより製造できる。無機繊維シート
は、無機繊維と接着剤を主成分とした原料を抄紙機によ
りシート化する湿式法や水を使用しない乾式法にて製造
することができるが、製法を特に限定するものではな
い。また、無機粉体を使用する場合は、無機粉体に接着
剤を混ぜて塗料として断熱材表面に塗工或いは吹き付け
てもよいし、上記無機繊維シートと同様な方法により予
め製造した無機質シート又は無機質ボードを断熱材表面
に貼り合せてもよい。断熱材表面に無機質層を設ける方
法は、これらの方法により限定するものではなく、また
無機質層の材質は使用条件により選択すればよい。また
無機質層の厚みは、これに限定されるものではないが、
通常0.05〜50μmの範囲である。
【0037】尚、上記接着剤としては、例えばスチレン
−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合ラテック
ス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エ
ステル重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテ
ックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス等の
ラテックス、各種澱粉、化工澱粉、カゼイン、ゼラチ
ン、大豆蛋白等の蛋白類、各種ポリビニルアルコール、
各種ポリアクリルアミド、メラミン樹脂等の合成樹脂系
接着剤、各種セルロース誘導体、水ガラス等の無機系接
着剤等が、適宜選択して使用される。接着剤の配合量
は、通常無機質層中の全固形分の5〜30重量%の範囲
である。紙料、塗料には、他に必要に応じて、分散剤、
可塑剤、PH調整剤、消泡剤、流動変性剤、耐水化剤、
着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤が適宜配合され
る。上記のように断熱材表面に無機質層を設けることに
より、防火性、難燃性を高めた建築用断熱材とすること
ができる。
【0038】本発明の第三である畳床については、断熱
材の表面にイグサ等の天然繊維シート又は合成繊維シー
トからなる畳表を断熱材に縫いつけたり、また貼り合わ
せたりすることにより優れた断熱性の軽量で弾力性のあ
る畳として使用することができる。断熱性及び弾力性
は、断熱材の原料であるカールドファイバーと微細繊維
の配合率、添加剤等により調節することができる。ま
た、断熱材製造の原料スラリーに防ダニ剤、防虫剤を添
加すること、又に断熱材に防ダニ剤、防虫剤を塗布する
ことによりダニ等の害虫の発生を積極的に防止すること
もできる。本発明の畳床は軽量であるため持ち運びが容
易であり、各種競技用マットとして使用してもよい。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明する
が、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例および比較例において「部」および「%」と
あるのは特に断らない限り「固形分重量部」および「重
量%」を示す。
【0040】実施例1 針葉樹晒クラフトパルプ絶乾50gに、エピクロルヒド
リン(和光純薬(株)製)2gをイソプロパノール20
mlに溶かした溶液、5%濃度の水酸化ナトリウム溶液
20ml、及び水を加えて全量を250gとして、よく
混合した。この混合物を容量1リットルの双腕型ニーダ
ー(型式:S1−1、森山製作所製)に入れ、室温にて
双腕をそれぞれ60rpmと100rpmで回転させ、
20分間撹拌処理を施した。続いて、この混合物を耐熱
性のビニール袋に入れて密閉したまま80℃下で2時間
加熱処理を行い架橋させた。次に、パルプ中に残ったア
ルカリを水洗してよく洗浄した後、ブフナー漏斗にて固
形分20%まで濃縮し、その繊維をよくほぐして150
℃の送風乾燥器に入れ2時間処理して乾燥させた。この
乾燥パルプを乾燥器から取り出して冷却した後、実験用
ワーブルグブレンダーによりパルプ塊を離解してフラッ
フ化した。このようにして得られたカールドファイバー
の湿潤カールファクターは0.70、保水度は33%で
あった。
【0041】また、固形分濃度1%の広葉樹晒クラフト
パルプの水スラリーを、平均粒径2mmφのガラスビー
ズを80%充填した1.5リットル容のダイノミル(型
式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタープライ
ゼス社製)装置に350ml/分で導入、通過させるこ
とにより数平均繊維長0.26mm、結合強化ファクタ
ー0.53の微細繊維を得た。この微細繊維の保水度を
測定したところ、285%であった。以上のようにして
得られたカールドファイバー90部、及び、微細繊維1
0部を混合したものに水を加えて固形分濃度2%に調製
し、十分に攪拌して繊維スラリーを得た。このスラリー
から絶乾300g分の原料をとり、80メッシュブロン
ズワイヤーを備えた角型(25cm×25cm)手抄き
シートマシンにて脱水させ、ワイヤー上に湿潤ボードを
形成させた。この湿潤ボードをワイヤーから、3mmの
穴の無数に空いたステンレス板に濾紙を敷いたものの上
に移し、そのまま送風乾燥器中で105℃にて乾燥させ
た。乾燥終了後、20℃、65%RHにて調湿した後の
ボードの重量は305g、厚さは4.9cmであった。
次に、ワイヤー面側から厚さ1.5cm、縦20cm、
横20cmの大きさのものを、このボードから切取り、
熱伝導率測定用試料とした。結果を表1に示す。
【0042】以下に、用いた微細繊維、カールドファイ
バー、及び得られたボードについての評価方法を示す。評価方法 [結合強化ファクターの測定方法]広葉樹晒クラフトパ
ルプ50部、針葉樹晒クラフトパルプ50部を混合し、
2%濃度に調製して、実験用ナイアガラビーター(容量
23L)にて、カナダ標準フリーネス(CSF)500
mlとなるまで叩解した。この試料絶乾3.7g分をと
り薬品を加えることなく、150メッシュのワイヤーを
用いて、角型(25cm×25cm)手抄マシンにてシ
ートを形成させ、コーチング処理の後、常法に従って
3.5kg/cm2 の圧力にて5分間(第一プレス)と
2分間(第二プレス)のウェットプレスを施した後、枠
に挟んで送風乾燥機により常温にて乾燥を行った。その
後130℃で2分間熱処理して坪量60g/m2 のシー
ト1を作製し、20℃、65%RHに調湿した。一方、
上記NL混合叩解パルプ50部と微細繊維50部をよく
混合した原料から絶乾3.7g分をとり、同様の方法に
てシート2を作製し、20℃、65%RHにて調湿し
た。シート1及び2の密度を測定した後、動的ヤング率
測定器(野村商事(株)製、型式:SST−210A)
を用いて超音波伝播速度を測定し、シート1及び2の弾
性率(E)を以下の式で計算した。 E(GPa)=ρ(g/cm3 )×{S(km/s)}2 但し、ρはシートの調湿後の密度(g/cm3 )、Sは
超音波伝播速度(km/s)を示す。シート1の弾性率
をE1(GPa)、シート2の弾性率をE2(GPa)
とした場合、結合強化ファクターは{(E2/E1)−
1}で算出される。
【0043】[数平均繊維長の測定法]カヤーニ繊維長
測定器(型式:FS−200)により測定した。
【0044】[保水度の測定法]保水度は、JAPAN
TAPPI No.26−78に準じて測定した。カ
ールドファイバーが乾燥状態にある場合は、次のように
した。試料を絶乾0.5g分採取し、蒸留水100ml
中に十分分散させ、そのまま24時間室温下で放置して
十分水を含浸させた。その後、紙料を濾過器上で捕集
し、次いでG2のガラスフィルターを有する遠心分離機
(型式:H−103N、国産遠心器社製)の遠心管に入
れ、遠心力3000Gで15分間遠心脱水した。遠心脱
水処理した試料を遠心管より取り出し、湿潤状態の重量
を測定し、その後105℃の乾燥器で恒量になるまで乾
燥し、乾燥重量を測定し、下記式により保水度を算出し
た。また微細繊維の場合は、固形分濃度を6〜9%の範
囲に調製し、試料を絶乾重量で0.7gとなるように採
取し、G3のガラスフィルターを有する遠心管に入れ、
前記と同様にして遠心脱水処理を行い、湿潤重量と乾燥
重量から下記式によって保水度を算出した。 保水度(%)={(W−D)/D}×100 但し、Wは遠心脱水後の試料湿潤重量(g)、Dはその
試料の乾燥重量(g)である。
【0045】[湿潤カールファクターの測定法]蒸留水
に室温で24時間浸漬した後の100本のカールドファ
イバーを顕微鏡用スライドガラス上に置き、画像解析装
置を利用して、繊維1本ごとの実際の(直線状の)長さ
LA(μm)及び最大投影長さ(繊維を囲む長方形の最
長辺の長さに等しい)LB(μm)を測定し、湿潤カー
ルファクターを下記式から求め、その平均値を用いた。 湿潤カールファクター=(LA/LB)−1
【0046】[層間剥離強度の測定法]ボードのワイヤ
ー面側から厚さ5mm、縦2.5cm、横2.5cmの
大きさにカッターナイフで切取ったものを試料にし、T
APPI UM403に従い測定を行った。
【0047】[熱伝導率の測定法]作製したボードのワ
イヤー面側から厚さ1.5cm、縦20cm、横20c
mの大きさのものを切取り、105℃で恒量になるまで
乾燥させJIS A1412に準じて測定した。
【0048】[シート・成形体切断時の紙粉の発生状
況]シート・成形体を市販のカッターナイフ(商品名:
NTカッターL−500)にて切断し、その際の紙粉の
発生状況を以下の通り目視にて判定した。 ◎・・・紙粉の発生は、ほとんどない。 ○・・・紙粉は僅かにあるが、実用上問題はない。 △・・・紙粉がかなりあり、実用上問題がある。 ×・・・紙粉が多く、実用に適さない。
【0049】実施例2 固形分濃度3%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を12インチリファイナー(熊谷理機工業社製)にて繰
り返し処理し、CSF207mlの微細繊維を得た。こ
の微細繊維の数平均繊維長は0.34mm、結合強化フ
ァクターは0.17、及び保水度は163%であった。
この微細繊維10部と、実施例1と同様にして得られた
カールドファイバー90部とを混合したスラリーを用い
た以外は実施例1と同様にしてボードを作製した。調湿
後のこのボードの重量は310g、厚さは5.5cmで
あった。評価結果を表1に示す。
【0050】実施例3 湿潤カールファクター0.65、保水度60%の市販の
カールドファイバー(商品名:NHB416、米国ウェ
アーハウザー社製)60部と、実施例1で用いた数平均
繊維長0.26mm、結合強化ファクター0.53、保
水度285%の微細繊維20部、更にCSF610ml
まで実験室ナイアガラビーター(容量23L)で叩解し
た針葉樹晒クラフトパルプ20部を混合したスラリーを
用いた以外は実施例1と同様にしてボードを作製した。
調湿後のこのボードの重量は390g、厚さは1.9c
mであった。評価結果を表1に示す。また、ガラス繊維
(平均直径6μm、平均長6mm)85%、ポリビニル
アルコールのバインダー繊維15%からなるスラリーを
実施例1の角形手抄きマシンにて紙抄し、ドラム型乾燥
機に湿紙を通して乾燥させ、坪量75g/m2 、密度
0.28g/cm3 、厚さ0.27mmのガラス不織布
を得た。このガラス不織布を上記ボード表面に貼り合わ
せ、ガラス不織布表面側にブンゼンガスバーナーを使用
して温度1000〜1200℃のフレームの先端から約
3cm離したところに試料を置いたところ、フレームを
あててから14秒でガラス不織布に接している側のボー
ド表面が焦げ始めた。また、同様にガラス不織布を貼り
合わせていないボードを用いて、試験したところ10秒
で表面が焦げ始めた。
【0051】実施例4 固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を、平均粒径2mmφのガラスビーズを80%充填した
1.5リットル容のダイノミル(型式:KDL−PIL
OT型、シンマル・エンタープライゼス社製)装置に4
50ml/分で導入、通過させることにより数平均繊維
長0.32mm、結合強化ファクター0.45、及び保
水度225%の微細繊維を得た。この微細繊維25部
と、実施例3で用いた市販のカールドファイバー(商品
名:NHB416、米国ウェアーハウザー社製)75部
とを混合し水を加えて固形分濃度2%に希釈して撹拌に
より十分に分散した後、このスラリーに紙力増強剤とし
てポリアクリルアミド樹脂(商品名:AF−100、荒
川化学工業社製)を絶乾換算で繊維重量当り0.5%添
加した。このスラリーを用いた以外は実施例1と同様に
してボードを作製した。調湿後のこのボードの重量は4
20g、厚さは3.1cmであった。評価結果を表1に
示す。このボードの表面にイグサの畳表を縫合して本発
明の畳床とした。図1は本発明の実施例4の畳床の断面
図である。
【0052】比較例1 湿潤カールファクター0.35、保水度135%の変形
を付与していない未処理の針葉樹晒クラフトパルプ60
部と、固形分濃度3%の広葉樹晒クラフトパルプの水ス
ラリーを12インチリファイナーにて繰り返し処理して
得たCSF121ml、数平均繊維長0.31mm、結
合強化ファクター0.23、及び保水度172%の微細
繊維40部を混合したものを原料とした以外は実施例1
と同様にしてボードを作製した。調湿後のこのボードの
重量は680g、厚さは2.1cmであった。評価結果
を表1に示す。
【0053】比較例2 固形分濃度3%の広葉樹晒クラフトパルプをリファイナ
ーにて繰り返し叩解してCSF352ml、数平均繊維
長0.45mm、結合強化ファクター0.13、及び保
水度128%の繊維を得た。この繊維10部と実施例3
で使用した市販のカールドファイバー90部を混合した
ものを原料とした以外は実施例1と同様にしてボードを
作製した。調湿後のこのボードの重量は330g、厚さ
は5.8cmであった。評価結果を表1に示す。
【0054】比較例3 密度0.037g/cm3 の市販の建材用発泡ポリスチ
レンフォームを縦25cm、横25cm、厚さ5cmの
大きさにカッターナイフで切り出し、この表面に実施例
3で作製したガラス不織布を貼り合わせ、実施例3と同
様にガスバーナーのフレームにガラス不織布面を当てた
ところ2秒で発泡ポリスチレンフォームは収縮、変形し
た。
【0055】
【表1】
【0056】上記実施例と比較例からわかるように湿潤
カールファクターが0.4〜1.0の範囲にあるカール
ドファイバーと、該カールドファイバーより繊維間結合
の強い微細繊維の二成分を主として含有する断熱材は、
断熱性もよく、紙粉の発生もほとんどなく、実用に適し
ている。中でも、該微細繊維として結合強化ファクター
が0.15以上の微細繊維を使用した場合には、紙粉の
発生がすくないが(実施例1〜2)、結合強化ファクタ
ーが0.15未満の微細繊維を使用すると熱伝導率が小
さく、断熱性のよいボードが得られるが、紙粉の発生が
大きく実用に適さない(比較例2)。ガスバーナーのフ
レームをあてた耐熱性試験では、本発明の断熱材は、市
販発泡合成樹脂断熱材より耐熱性があり、断熱材表面に
無機質層を設けることにより更に耐熱性が向上できる
(実施例3、比較例3)。低密度断熱材を畳床として使
用した場合も、軽量で強度があり、断熱性に優れた居住
性のよいものが得られる(実施例4)。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、生分解
性を有し、軽量で高い層間強度を有し、熱伝導率が小さ
い高性能の建築用断熱材及び畳床を提供するという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明の畳床の断面図である。
【符号の説明】
1・・・ボード状断熱材 2・・・畳表

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿潤カールファクターが0.4〜1.0
    の範囲にあるカールドファイバーと、結合強化ファクタ
    ーが0.15以上の微細繊維を原料として含有するスラ
    リーを脱液、乾燥して得られ、密度が0.05〜0.4
    5g/cm3であり、かつJIS A 1412に基づ
    く熱伝導率が0.140kcal/m・hr・℃以下で
    あることを特徴とする断熱材。
  2. 【請求項2】 前記カールドファイバーを全繊維重量当
    り35〜97重量%と、前記微細繊維を全繊維重量当り
    3〜65重量%の割合で含有する請求項1記載の断熱
    材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の断熱材の片面または両面
    に無機質層を設けてなる建築用断熱材。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の断熱材の表面を天然また
    は合成繊維シートで被覆してなる畳床。
JP2075897A 1997-02-03 1997-02-03 断熱材 Pending JPH10219589A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2075897A JPH10219589A (ja) 1997-02-03 1997-02-03 断熱材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2075897A JPH10219589A (ja) 1997-02-03 1997-02-03 断熱材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10219589A true JPH10219589A (ja) 1998-08-18

Family

ID=12036102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2075897A Pending JPH10219589A (ja) 1997-02-03 1997-02-03 断熱材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10219589A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008519174A (ja) * 2004-11-08 2008-06-05 アズデル,インコーポレイティド 天然繊維を含む複合熱可塑性シート
JP2009228138A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Mitsubishi Paper Mills Ltd 裏打ち用ガラス繊維不織布
JP2010019026A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Fujita Corp 断熱パネル

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008519174A (ja) * 2004-11-08 2008-06-05 アズデル,インコーポレイティド 天然繊維を含む複合熱可塑性シート
JP2009228138A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Mitsubishi Paper Mills Ltd 裏打ち用ガラス繊維不織布
JP2010019026A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Fujita Corp 断熱パネル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6133170A (en) Low density body
US2634207A (en) Building board
RU2524105C2 (ru) Нетканый материал низкой плотности, применимый с продуктами акустической потолочной плитки
JP3558638B2 (ja) 嵩高いセルロース繊維を用いているマルチプライセルロース製品
JPH10311000A (ja) パルプモールド及びその製造方法
JPH11189999A (ja) 全熱交換器用紙及びそれを使用した全熱交換器用エレメント
JPH10245792A (ja) 低密度体
JPH10219589A (ja) 断熱材
RU2735609C1 (ru) Вспененные волокнистые листы с извитыми штапельными волокнами
JP2010196220A (ja) 低密度不織布
JPH10217415A (ja) 複合構造体
JPH10216435A (ja) 濾過材
JPH11229289A (ja) 古紙を原料とする低密度体
EP0296233B1 (en) Low density frothed mineral wool panel and method
JPH10219585A (ja) 耐水性低密度構造体
JP2000220099A (ja) 古紙を原料とするボード及びその製造方法
JP2000256986A (ja) 低密度紙
JPH10218245A (ja) パルプモールド包装材料
JP2000045497A (ja) 畳床用芯板及びその製造方法
JPH11124790A (ja) ヘルメット用緩衝材
JP2000119999A (ja) 古紙を原料とする低密度体
JPH10337791A (ja) 成形体の製造方法
JP2000211672A (ja) 紙箱用シ―ト
JP2000224934A (ja) 水耕栽培用マット
RU2045599C1 (ru) Изоляционный волокнистый пеноматериал и способ его изготовления