JPH11124731A - ポリエステルフィラメントの製造方法 - Google Patents
ポリエステルフィラメントの製造方法Info
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- JPH11124731A JPH11124731A JP28338697A JP28338697A JPH11124731A JP H11124731 A JPH11124731 A JP H11124731A JP 28338697 A JP28338697 A JP 28338697A JP 28338697 A JP28338697 A JP 28338697A JP H11124731 A JPH11124731 A JP H11124731A
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Abstract
にわたって保持することができ、産業資材用途に好適に
使用できるポリエステルフィラメントの製造方法を提供
する。 【解決手段】 次の1〜4の工程を順次行うポリエステ
ルフィラメントの製造方法。 1.固相重合反応を経て相対粘度1.4以上のポリエス
テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタ
クリル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂
(C)90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィ
ン混合物(D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
ィン混合物(D)1.0〜20重量%を混練し、さら
に、カルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.
1〜5.0重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル
末端基量が10eq/t以下のフィラメントを得る工
程、 4.フィラメントを延伸する工程。
Description
抄紙用カンバス糸、ベルト布、フィルター等に好適な優
れた性能を有するポリエステルフィラメントの製造方法
に関するものである。
チレンテレフタレートのフィラメントは優れた諸物理的
性質と化学的性質を有し、産業資材用フィラメントとし
て広く使用されている。しかし、産業資材用フィラメン
トの中でも、抄紙用カンバス糸、ベルト布、フィルター
等に使用されるフィラメントは、使用される環境が過酷
であり、比較的短期間にフィラメントの劣化が起こり、
使用できなくなることがある。例えば、ポリエステルフ
ィラメントを用いた抄紙用カンバスは、抄紙プレスゾー
ン並びにその後の乾燥ゾーン等の工程において高温多湿
状態にさらされる。そのため、水、熱、水蒸気の影響に
より、ポリエステルが熱及び加水分解劣化を起こし、短
期間で使用できなくなる。
は、水分子のエステル結合部分への攻撃によってこの部
分が分解し、カルボキシル基と水酸基が形成され、ポリ
マー鎖の分裂が起こり加水分解劣化が進行していく。さ
らに、これにより形成されたカルボキシル末端基は、ポ
リエステルの加水分解反応の触媒的な役割を担い、カル
ボキシル末端基量の増加に伴い、その加水分解速度は加
速され、また、熱が加わることによっても加水分解反応
は促進される。
カルボキシル末端基量の少ないポリエステルとすること
により、フィラメントの耐湿熱性能を改良する方法が採
用されている。例えば、特公平1−15604 号公報、特開
平4−289221号公報には、カルボジイミド化合物を添加
し、カルボキシル末端基の封鎖を行うことによって、耐
湿熱性が改善されたポリエステルフィラメントを得る方
法が開示されている。しかし、ポリエステルフィラメン
ト中のカルボキシル末端基量を低減させるだけでは、耐
湿熱性能を長期間にわたって持続させることは不可能で
あった。
る方法として、特開平7−258524号公報には、ポリエス
テルにポリオレフィンとカルボジイミド化合物を添加す
る方法が開示されている。しかし、含有させるポリオレ
フィンが官能基を有していないため、ポリエステルとの
相分離を起こしやすく、フィラメントがフィブリル化し
たり、糸質物性が低下したりするという問題があった。
良好で、優れた耐湿熱性を長期間にわたって保持するこ
とができ、産業資材用途に好適に使用できるポリエステ
ルフィラメントの製造方法を提供しようとするものであ
る。
題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の1〜4の工程を順次行う
ことを特徴とするポリエステルフィラメントの製造方法
を要旨とするものである。 1.固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタクリ
ル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混合物
(D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
ィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カ
ルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.1〜5.0
重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が
10eq/t以下のフィラメントを得る工程、 4.フィラメントを延伸する工程。
シル末端基量及びカルボジイミド化合物含有量は、次の
方法で測定して得られる値である。 〔相対粘度〕フェノールと四塩化エタンとの等重量混合
物を溶媒とし、濃度0.5g/dl、温度20℃の条件でウベロ
ーデ型粘度計を用いて測定する。 〔カルボキシル末端基量〕ポリエステルをベンジルアル
コールに溶解し、0.1 規定の水酸化カリウムメタノール
溶液で滴定して求める。 〔カルボジイミド化合物含有量〕フィラメントをヘキサ
フロロイソプロパノールとトリクロロメタンとの等容量
混合溶媒に溶解し、トリクロロメタンで希釈した後、ア
セトニトリルを添加してポリマー分を沈殿させ、濾過し
た溶液について液体クロマトグラフ法で定量して求め
る。
する。本発明におけるポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)が好適であるが、これを
主体とし、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、2,
6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサン
ジメタノール等を少量共重合したものを用いることもで
きる。
て、固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
テル(A)を得る。具体的には、通常の溶融重合法によ
って相対粘度が1.2 〜1.4 のプレポリマーを得て、この
プレポリマーのペレットを固相状態で減圧下又は不活性
ガス流通下に加熱して固相重合反応を行い、相対粘度1.
4 以上のポリエステルとする。プレポリマーの相対粘度
が適当でないと、溶融重合および固相重合の時間が著し
く長くなったり、固相重合後のカルボキシル末端基量を
低くすることができなかったりするので、プレポリマー
の相対粘度を上記の範囲とすることが望ましい。
1.4 以上のものであることが必要である。この条件が満
たされないと製糸性が悪化したり、溶融紡糸して得られ
るフィラメントの相対粘度も低くなり、強伸度等の糸質
物性に劣ったものとなる。
マーよりも0.10〜0.40程度高くなるように固相重合の条
件を選定することが好ましい。この固相重合によりポリ
エステルのカルボキシル末端基量が減少するとともに、
オリゴマー等の不純物が除去される。
ボキシル末端基量が20.0eq/t以下であることが好まし
い。この条件が満たされないと、溶融紡糸して得られる
フィラメントのカルボキシル末端基量を10.0eq/t以下
にすることが困難になり、仮に、カルボキシル末端基量
を低減させる末端封鎖剤としてのカルボジイミド化合物
を多量に添加することにより、カルボキシル末端基量を
低減させることができるとしても、カルボジイミド化合
物を多量に添加すると製糸性の悪化等の問題を引き起こ
す。
樹脂(B)10〜90重量%と、メタクリル酸グリシジル成
分(以下、GMAとする)を有するポリオレフィン樹脂
(C)90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混
合物(D)を得る。GMA成分を有するポリオレフィン
樹脂(C)としては、ポリオレフィン主鎖中にGMA成
分を共重合成分として1〜35重量%含有するのものが好
ましい。また、その他の成分として、酢酸ビニル成分、
スチレン成分、アクリル酸エステル成分等が共重合され
ていてもよい。ポリオレフィン成分としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4- メチルペ
ンテン等が挙げられるが工業的に生産が容易であるポリ
エチレンが最も好ましい。
脂(C)を用いる理由は、ポリエステル主鎖中にポリオ
レフィン成分を含有させることでエステル結合部分の加
水分解反応を抑制し、耐湿熱性能を向上させることがで
きるが、ポリエステルとオレフィン系ポリマーの相溶性
は一般的に悪いため相分離を起こし、糸質性能の低下を
引き起こす。そこで、ポリエステル末端基と反応するG
MA成分を導入することで、得られるフィラメント中で
のポリエステルとポリオレフィンの相分離を低減させ、
糸質物性を向上させることが可能となる。
%未満であると、ポリエステルとの反応が少ないため相
分離が起こり目的の耐湿熱性能が得られないとともに、
糸質物性が低いものとなる。一方、GMA成分の含有量
(共重合比)が35重量%を超えると、ポリエステルとの
反応が進行しすぎる結果、溶融粘度上昇が顕著となり、
製糸性が悪化するとともにポリオレフィン成分の効果が
発現され難くなる。
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
-4- メチルペンテン等が挙げられるが、以下に述べるよ
うに、ポリオレフィン樹脂(C)との相溶性がよいもの
がよいため、GMA成分を含有するポリオレフィン樹脂
(C)のポリオレフィン成分と同じものとすることが好
ましく、ポリオレフィン樹脂(C)で最も好ましく用い
られるポリエチレンを採用することが好ましい。
と、GMAを有するポリオレフィン樹脂(C)とを溶融
混練することによって、本発明で目的とする優れた耐湿
熱性を有するフィラメントを得ることができる。すなわ
ち、ポリオレフィン樹脂(B)をGMA成分を含有する
ポリオレフィン樹脂(C)に添加し、溶融混練すること
で、ポリオレフィン樹脂(C)の相溶性を良好にするこ
とができ、かつ、GMA成分を含有するポリオレフィン
樹脂(C)をミクロ分散させるとともに、ドメインとな
るポリオレフィン樹脂の表層にGMA成分を局在させ、
ポリエステルとの混和性をより良好にすることができ
る。
は10〜90重量%、GMA成分を含有するポリオレフィン
樹脂(C)の混合量は90〜10重量%であることが必要で
ある。ポリオレフィン樹脂(B)の混合量が10重量%未
満であると、ポリオレフィン樹脂(B)の上記の効果を
発揮することが困難となり、90重量%を超えると、GM
A成分が少なくなりすぎ、GMA成分の効果が発揮され
ず、ポリエステルとポリオレフィンとの相分離を低減さ
せることができなくなる。
(A)に2.の工程で溶融混練したポリオレフィン混合
物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カルボジイ
ミド化合物(E)を全重量に対して0.1 〜5.0 重量%添
加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が10eq/t
以下のフィラメントを得る。
テル(A)に1.0 〜20重量%添加し、混練することが必
要である。ポリオレフィン混合物(D)の添加量が1.0
重量%未満であるとポリオレフィン成分やGMA成分の
効果が発現され難く、20重量%を超えると、操業性が悪
化するとともに得られるフィラメントの糸質物性が劣っ
たものとなる。
ィン混合物(D)を混練したものにカルボジイミド化合
物(以下、CDIとする)を添加する。カルボジイミド
化合物の具体例としては、N,N' −ビス(2,6- ジメチ
ルフェニル) カルボジイミド、N,N' −ビス(2,6- ジ
エチルフェニル) カルボジイミド、N,N' −ビス(2,6
- ジイソプロピルフェニル) カルボジイミド、N,N'
−ビス(2- イソプロピルフェニル) カルボジイミド等が
挙げられるが、中でも、耐熱性に優れ、工業レベルでの
使用が可能であるためN,N' −ビス(2,6- ジイソプロ
ピルフェニル)カルボジイミドが最も好ましい。
ることが必要である。添加量が0.1重量%未満である
と、カルボキシル末端基の封鎖が不十分となり、フィラ
メントの耐湿熱性能が十分なものとならず、5.0 重量%
を超えると製糸性が悪化する。
して得られるフィラメントのカルボキシル末端基量が10
eq/t以下となるようにすることが必要であり、さらに
は、5eq/t以下とすることが好ましい。得られるフィ
ラメントのカルボキシル末端基量が10eq/tを超える
と、末端基の封鎖が不十分となり、優れた耐湿熱性能が
得られない。
態のCDIが20〜20000ppm程度残存する量とすることが
好ましい。活性状態とは、カルボキシル基や水分子と反
応可能な状態のことをいい、この含有量が20ppm 未満で
あるとCDIの効果が発現され難く、20000ppmを超える
ようにすることは、多量のCDIの添加が必要となり、
好ましくない。
テル(A)にポリオレフィン混合物(D)を混練し、C
DIを添加した後、溶融紡糸を行うが、このとき、エク
ストルーダー型紡糸装置を用い、スクリュウ部せん断速
度20s-1以上で混練し、ノズル孔の長さ/ノズル孔の直
径(L/D)が1.5 以上の条件を満たすノズル細孔を通
過させて溶融紡糸を行うことが好ましい。
は、次式で算出するものである。 スクリュウ部せん断速度 r=(πSN)/H S:スクリュウ径 (cm) N:スクリュウ回転数 (回転
数/sec) H:スクリュウ溝深さ (cm)
ると、ポリオレフィン成分とポリエステル成分の混練が
不十分となりやすく、溶融混練斑が生じたり、GMAと
の反応が不足し、目的とするフィラメントを得ることが
困難となる場合がある。また、相分離を抑制する目的で
紡糸ライン中、あるいはノズルパック中にスタティック
ミキサーを含有させることが好ましい。
孔は、L/Dが1.5 以上であることが好ましい。この条
件を満たさないと、工業的な操業性に問題が生じやす
く、得られるフィラメント径の変動等が生じ、品質が悪
化したり、糸質物性が低下しやすくなる。
ができるが、紡糸温度は350 ℃以下、好ましくは310 ℃
以下とすることが望ましい。紡糸温度が高すぎるとポリ
エステル及び添加物が熱分解を起こし、円滑な紡糸が困
難になるとともに得られるフィラメントの物性が劣った
ものとなる。また、ポリエステルの熱分解反応に伴って
カルボキシル末端基が生成し、溶融紡糸時に末端基封鎖
剤が多量に消費されてしまい、所望の性能が発揮されな
い。また、溶融紡糸に際しては、得られるフィラメント
の相対粘度が1.40未満とならないように、紡糸温度や滞
留時間を調整することが好ましい。
〜100 ℃、好ましくは20〜90℃の液体、または、0 〜10
0 ℃、好ましくは10〜40℃の空気中で冷却する。冷却温
度をあまり低くすると温度管理及び作業性等に困難をき
たし、高すぎると冷却不足となり最終的に得られるフィ
ラメントの糸質性能が劣ったものとなりやすい。
フィラメントを一旦巻き取った後又は巻き取ることなく
延伸する。延伸は一段又は二段以上の多段で行うことが
できるが、多段で行うことが好ましい。まず、延伸点の
移動を起こさない65〜95℃の温度の液体中又は70〜200
℃の気体中で、3.0 〜6.5 倍の第一段延伸を行い、続い
て第一段延伸よりも高温の130 〜300 ℃の液体又は気体
中で全延伸倍率が5.0 〜8.0 倍となるように第二段目以
降の延伸を行うことが好ましい。
加熱不足となり、延伸斑及び糸切れが発生し、一方、延
伸温度が高すぎるとフィラメントの融解及び熱劣化が起
こり、好ましくない。全延伸倍率が5.0 倍未満であると
得られるフィラメントの糸質特性、特に直線強度が低く
なりやすい。一方、全延伸倍率を8.0 倍より大きくする
と繊維内での塑性変形に分子配向が対応できなくなるた
め、繊維中にミクロボイドが発生し、満足な性能を示す
フィラメントが得られないことがある。
0 〜15.0%の弛緩熱処理を行うのが好ましい。熱処理温
度が150 ℃より低いとフィラメントに対する熱処理効果
が不十分となりやすく、熱処理時間にも関係するが500
℃より高くすると繊維表面でポリエステルの熱分解反応
が起こり、目標とする性能を示すフィラメントが得られ
にくい。また、弛緩率を1.0 %未満にすると得られるフ
ィラメントは、熱収縮率の高いものとなり、場合によっ
ては実用に適さなくなり、15.0%を超える弛緩熱処理を
行うと、弛緩熱処理段階で糸のたるみが発生し、操業性
が悪化するとともに、目標の糸質性能が得られにくくな
る。
性に優れたポリエステルフィラメントとして、モノフィ
ラメント及びマルチフィラメントを製造することが可能
である。
るポリエステルを用い、これに予め溶融混練したポリオ
レフィン樹脂(B)とGMA成分を含有するポリオレフ
ィン樹脂(C)の混合物を混練させるので、GMA成分
を含有するポリオレフィン樹脂(C)の相溶性を良好に
することができ、ポリオレフィン成分がポリエステル末
端基と化学的に結合しやすく、かつ、ミクロ分散するた
め、相分離が十分に抑制され、フィラメントを安定して
生産することが可能となる。さらにCDIを添加するこ
とで、カルボキシル末端基の封鎖が良好に行われ、GM
A成分とポリオレフィン成分とCDIとの相乗効果で、
長期間にわたり優れた耐湿熱性能と糸質物性を示すフィ
ラメントを得ることが可能となる。
する。実施例中における各種の測定、評価は次のとおり
に行った。なお、相対粘度、カルボキシル末端基量、カ
ルボジイミド化合物含有量は前記の方法で行った。 〔強伸度〕JIS L 1013に準じて測定した。 〔耐湿熱性〕フィラメントを120 ℃の飽和水蒸気で10日
間処理した後、未処理フィラメントに対する強力保持率
で評価した。 〔操業性(製糸性)〕8時間連続して操業を行い、この
間に糸切れ、ノズルパック内圧力の上昇等の問題が発生
しなかった場合を○、発生した場合を×とした。 〔品質〕得られたフィラメントを目視及び触感で判断
し、糸斑や表面荒れ等の欠点が生じていないものを○、
いずれかの欠点が生じているものを×とした。
る重縮合反応を行い、相対粘度1.34、カルボキシル末端
基量30.9eq/tのプレポリマーペレットを得た後、固相
重合反応を行い、相対粘度1.55、カルボキシル末端基量
15.8eq/tの固相重合ペレット〔ポリエステル(A)〕
を得た。ポリオレフィン樹脂(B)としてポリエチレン
を用い、GMA成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
として、エチレンにGMAを8重量%共重合した共重合
体〔ELF ATOCHEM 社製「LOTADER AX- 8840」〕を用い、
これらをポリエチレン:エチレン−GMA共重合体を重
量比60:40の割合で二軸混練機を使用し、溶融混練し、
ポリエチレン混合物〔ポリオレフィン混合物(D)〕を
得た。エクストルーダー型紡糸装置を用い、固相重合ペ
レットにポリエチレン混合物5.0 重量%を混練し、さら
に、N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カ
ルボジイミド1.8 重量%を添加して、スクリュウ部せん
断速度23s-1で混練し、溶融紡糸した。溶融紡糸は、紡
糸温度295 ℃、ノズル孔の長さ 4.0mm、ノズル孔の直径
2.0mm(L/D=2)の紡糸孔を有する紡糸口金を使用
して行った。紡出糸条を70℃の水浴中で冷却し、未延伸
糸を得た。この未延伸糸を90℃の水浴中で延伸倍率3.3
倍で第一段階目の延伸を行い、次いで250 ℃の熱風雰囲
気下で延伸倍率1.7 倍の第二段階目の延伸を行い、全延
伸倍率を5.7 倍とした。引き続いて300 ℃の熱風雰囲気
下で弛緩率12%で弛緩熱処理を行い、ポリエステルモノ
フィラメントを得た。得られたモノフィラメントの糸質
性能や評価等を表1に示す。
−GMA共重合体〔ポリオレフィン樹脂(C)〕とを溶
融混練する比率、これらからなるポリエチレン混合物と
N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル) カルボ
ジイミドをポリエステル(A)に添加する量を表1に示
すように変更し、溶融紡糸時のエクストルーダー型紡糸
装置のスクリュウ部せん断速度、ノズル孔の長さ/ノズ
ル孔の直径(L/D)も表1に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にして行った。得られたモノフィラ
メントの糸質性能や評価等を表1に示す。
粘度1.41、カルボキシル末端基量17.5eq/tの固相重合
ペレットを用い、N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピル
フェニル) カルボジイミドの添加量を1.0 重量%とし、
ノズル孔の長さ0.8 mm、ノズル孔の直径 0.4mm(L/D
=2)の紡糸孔を48個有する紡糸口金を使用した以外
は、実施例1と同様にして溶融紡糸を行った。そして、
紡出糸条を20℃の空気で冷却し、未延伸糸を得た。この
未延伸糸を90℃に加熱し、第一ローラと230 ℃に加熱し
た第二ローラとの間で延伸倍率6.35倍で延伸を行い、次
いで170 ℃に加熱して弛緩率6%で弛緩熱処理を行い、
ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマル
チフィラメントの糸質性能や評価等を表1に示す。
粘度1.35、カルボキシル末端基量23.4eq/tの固相重合
ペレットを用いた以外は、実施例7と同様にして行っ
た。得られたマルチフィラメントの糸質性能や評価等を
表1に示す。
得られたフィラメントは、耐湿熱性能、強伸度等の糸質
物性に優れ、繊維表面にざらつきや糸斑もない品位の高
いものであり、操業性にも優れていた。一方、比較例1
は、ポリエチレン混合物中のエチレン−GMA共重合体
の割合が少なすぎたため、ポリエステルとの反応が少な
く、相分離が起こり、得られたフィラメントは耐湿熱性
能に劣ったものであった。比較例2は、ポリエチレン混
合物中のポリエチレンの割合が少なすぎたため、エチレ
ン−GMA共重合体の相溶性を良好にし、ミクロ分散さ
せることができず、溶融混練斑が生じ、操業性が悪く、
得られたフィラメントは糸質物性の低いフィラメントと
なった。比較例3は、CDI化合物の添加量が少なすぎ
たため、得られたフィラメントはカルボキシル末端基量
が多く、また、活性状態のCDIの量が少なく、耐湿熱
性能に劣ったものであった。比較例4は、CDI化合物
の添加量が多すぎたため、操業性が悪化し、フィラメン
トを得ることができなかった。比較例5は、ポリエチレ
ン混合物の添加量が少なすぎたため、ポリオレフィン成
分やGMA成分の効果が発現されず、相分離が起こり、
得られたフィラメントは耐湿熱性能に劣るものであっ
た。比較例6は、ポリエチレン混合物の添加量が多すぎ
たため、比較例7は、ポリエステル(A)の相対粘度が
低すぎたため、ともに操業性が悪化し、フィラメントを
得ることができなかった。
ト、特に工業用織物である抄紙用カンバス糸、ベルト
布、フィルター等として好適な、優れた耐湿熱性能を長
期間にわたって保持することができ、かつ糸質物性が良
好なポリエステルフィラメントを操業性よく得ることが
可能となる。
Claims (5)
- 【請求項1】 次の1〜4の工程を順次行うことを特徴
とするポリエステルフィラメントの製造方法。 1.固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタクリ
ル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混合物
(D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
ィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カ
ルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.1〜5.0
重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が
10eq/t以下のフィラメントを得る工程、 4.フィラメントを延伸する工程。 - 【請求項2】 ポリオレフィン樹脂(B)がポリエチレ
ンである請求項1記載のポリエステルフィラメントの製
造方法。 - 【請求項3】 メタクリル酸グリシジル成分を有するポ
リオレフィン樹脂(C)のポリオレフィン成分がポリエ
チレン成分である請求項1又は2記載のポリエステルフ
ィラメントの製造方法。 - 【請求項4】 カルボジイミド化合物(E)がN,N'
−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル) カルボジイミド
である請求項1、2又は3に記載のポリエステルフィラ
メントの製造方法。 - 【請求項5】 3.の工程が、エクストルーダー型紡糸
装置を用い、ポリエステル(A)に予め溶融混練したポ
リオレフィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さ
らに、カルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.
1 〜5.0 重量%添加した後、スクリュウ部せん断速度20
s-1以上で混練し、ノズル孔の長さ/ノズル孔の直径
(L/D)が1.5 以上の条件を満たすノズル細孔を通過
させて溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が10eq/t以
下のフィラメントを得る工程である請求項1、2、3又
は4に記載のポリエステルフィラメントの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28338697A JP3814062B2 (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | ポリエステルフィラメントの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28338697A JP3814062B2 (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | ポリエステルフィラメントの製造方法 |
Publications (2)
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