JPH11124731A - ポリエステルフィラメントの製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィラメントの製造方法

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JPH11124731A
JPH11124731A JP28338697A JP28338697A JPH11124731A JP H11124731 A JPH11124731 A JP H11124731A JP 28338697 A JP28338697 A JP 28338697A JP 28338697 A JP28338697 A JP 28338697A JP H11124731 A JPH11124731 A JP H11124731A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸質物性が良好で、優れた耐湿熱性を長期間
にわたって保持することができ、産業資材用途に好適に
使用できるポリエステルフィラメントの製造方法を提供
する。 【解決手段】 次の1〜4の工程を順次行うポリエステ
ルフィラメントの製造方法。 1.固相重合反応を経て相対粘度1.4以上のポリエス
テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタ
クリル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂
(C)90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィ
ン混合物(D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
ィン混合物(D)1.0〜20重量%を混練し、さら
に、カルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.
1〜5.0重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル
末端基量が10eq/t以下のフィラメントを得る工
程、 4.フィラメントを延伸する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業資材用、特に
抄紙用カンバス糸、ベルト布、フィルター等に好適な優
れた性能を有するポリエステルフィラメントの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィラメント、特にポリエ
チレンテレフタレートのフィラメントは優れた諸物理的
性質と化学的性質を有し、産業資材用フィラメントとし
て広く使用されている。しかし、産業資材用フィラメン
トの中でも、抄紙用カンバス糸、ベルト布、フィルター
等に使用されるフィラメントは、使用される環境が過酷
であり、比較的短期間にフィラメントの劣化が起こり、
使用できなくなることがある。例えば、ポリエステルフ
ィラメントを用いた抄紙用カンバスは、抄紙プレスゾー
ン並びにその後の乾燥ゾーン等の工程において高温多湿
状態にさらされる。そのため、水、熱、水蒸気の影響に
より、ポリエステルが熱及び加水分解劣化を起こし、短
期間で使用できなくなる。
【0003】水、水蒸気によるポリエステルの加水分解
は、水分子のエステル結合部分への攻撃によってこの部
分が分解し、カルボキシル基と水酸基が形成され、ポリ
マー鎖の分裂が起こり加水分解劣化が進行していく。さ
らに、これにより形成されたカルボキシル末端基は、ポ
リエステルの加水分解反応の触媒的な役割を担い、カル
ボキシル末端基量の増加に伴い、その加水分解速度は加
速され、また、熱が加わることによっても加水分解反応
は促進される。
【0004】そこで、熱加水分解に対する対応策として
カルボキシル末端基量の少ないポリエステルとすること
により、フィラメントの耐湿熱性能を改良する方法が採
用されている。例えば、特公平1−15604 号公報、特開
平4−289221号公報には、カルボジイミド化合物を添加
し、カルボキシル末端基の封鎖を行うことによって、耐
湿熱性が改善されたポリエステルフィラメントを得る方
法が開示されている。しかし、ポリエステルフィラメン
ト中のカルボキシル末端基量を低減させるだけでは、耐
湿熱性能を長期間にわたって持続させることは不可能で
あった。
【0005】また、耐湿熱性に優れたフィラメントを得
る方法として、特開平7−258524号公報には、ポリエス
テルにポリオレフィンとカルボジイミド化合物を添加す
る方法が開示されている。しかし、含有させるポリオレ
フィンが官能基を有していないため、ポリエステルとの
相分離を起こしやすく、フィラメントがフィブリル化し
たり、糸質物性が低下したりするという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、糸質物性が
良好で、優れた耐湿熱性を長期間にわたって保持するこ
とができ、産業資材用途に好適に使用できるポリエステ
ルフィラメントの製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の1〜4の工程を順次行う
ことを特徴とするポリエステルフィラメントの製造方法
を要旨とするものである。 1.固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタクリ
ル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混合物
(D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
ィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カ
ルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.1〜5.0
重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が
10eq/t以下のフィラメントを得る工程、 4.フィラメントを延伸する工程。
【0008】なお、本発明における相対粘度、カルボキ
シル末端基量及びカルボジイミド化合物含有量は、次の
方法で測定して得られる値である。 〔相対粘度〕フェノールと四塩化エタンとの等重量混合
物を溶媒とし、濃度0.5g/dl、温度20℃の条件でウベロ
ーデ型粘度計を用いて測定する。 〔カルボキシル末端基量〕ポリエステルをベンジルアル
コールに溶解し、0.1 規定の水酸化カリウムメタノール
溶液で滴定して求める。 〔カルボジイミド化合物含有量〕フィラメントをヘキサ
フロロイソプロパノールとトリクロロメタンとの等容量
混合溶媒に溶解し、トリクロロメタンで希釈した後、ア
セトニトリルを添加してポリマー分を沈殿させ、濾過し
た溶液について液体クロマトグラフ法で定量して求め
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明におけるポリエステルとしては、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)が好適であるが、これを
主体とし、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、2,
6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサン
ジメタノール等を少量共重合したものを用いることもで
きる。
【0010】まず、本発明においては、1.の工程とし
て、固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
テル(A)を得る。具体的には、通常の溶融重合法によ
って相対粘度が1.2 〜1.4 のプレポリマーを得て、この
プレポリマーのペレットを固相状態で減圧下又は不活性
ガス流通下に加熱して固相重合反応を行い、相対粘度1.
4 以上のポリエステルとする。プレポリマーの相対粘度
が適当でないと、溶融重合および固相重合の時間が著し
く長くなったり、固相重合後のカルボキシル末端基量を
低くすることができなかったりするので、プレポリマー
の相対粘度を上記の範囲とすることが望ましい。
【0011】固相重合後のポリエステルは、相対粘度が
1.4 以上のものであることが必要である。この条件が満
たされないと製糸性が悪化したり、溶融紡糸して得られ
るフィラメントの相対粘度も低くなり、強伸度等の糸質
物性に劣ったものとなる。
【0012】なお、固相重合により相対粘度がプレポリ
マーよりも0.10〜0.40程度高くなるように固相重合の条
件を選定することが好ましい。この固相重合によりポリ
エステルのカルボキシル末端基量が減少するとともに、
オリゴマー等の不純物が除去される。
【0013】また、固相重合後のポリエステルは、カル
ボキシル末端基量が20.0eq/t以下であることが好まし
い。この条件が満たされないと、溶融紡糸して得られる
フィラメントのカルボキシル末端基量を10.0eq/t以下
にすることが困難になり、仮に、カルボキシル末端基量
を低減させる末端封鎖剤としてのカルボジイミド化合物
を多量に添加することにより、カルボキシル末端基量を
低減させることができるとしても、カルボジイミド化合
物を多量に添加すると製糸性の悪化等の問題を引き起こ
す。
【0014】次に、2.の工程として、ポリオレフィン
樹脂(B)10〜90重量%と、メタクリル酸グリシジル成
分(以下、GMAとする)を有するポリオレフィン樹脂
(C)90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混
合物(D)を得る。GMA成分を有するポリオレフィン
樹脂(C)としては、ポリオレフィン主鎖中にGMA成
分を共重合成分として1〜35重量%含有するのものが好
ましい。また、その他の成分として、酢酸ビニル成分、
スチレン成分、アクリル酸エステル成分等が共重合され
ていてもよい。ポリオレフィン成分としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4- メチルペ
ンテン等が挙げられるが工業的に生産が容易であるポリ
エチレンが最も好ましい。
【0015】このGMA成分を有するポリオレフィン樹
脂(C)を用いる理由は、ポリエステル主鎖中にポリオ
レフィン成分を含有させることでエステル結合部分の加
水分解反応を抑制し、耐湿熱性能を向上させることがで
きるが、ポリエステルとオレフィン系ポリマーの相溶性
は一般的に悪いため相分離を起こし、糸質性能の低下を
引き起こす。そこで、ポリエステル末端基と反応するG
MA成分を導入することで、得られるフィラメント中で
のポリエステルとポリオレフィンの相分離を低減させ、
糸質物性を向上させることが可能となる。
【0016】GMA成分の含有量(共重合比)が1重量
%未満であると、ポリエステルとの反応が少ないため相
分離が起こり目的の耐湿熱性能が得られないとともに、
糸質物性が低いものとなる。一方、GMA成分の含有量
(共重合比)が35重量%を超えると、ポリエステルとの
反応が進行しすぎる結果、溶融粘度上昇が顕著となり、
製糸性が悪化するとともにポリオレフィン成分の効果が
発現され難くなる。
【0017】また、ポリオレフィン樹脂(B)として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
-4- メチルペンテン等が挙げられるが、以下に述べるよ
うに、ポリオレフィン樹脂(C)との相溶性がよいもの
がよいため、GMA成分を含有するポリオレフィン樹脂
(C)のポリオレフィン成分と同じものとすることが好
ましく、ポリオレフィン樹脂(C)で最も好ましく用い
られるポリエチレンを採用することが好ましい。
【0018】このように、ポリオレフィン樹脂(B)
と、GMAを有するポリオレフィン樹脂(C)とを溶融
混練することによって、本発明で目的とする優れた耐湿
熱性を有するフィラメントを得ることができる。すなわ
ち、ポリオレフィン樹脂(B)をGMA成分を含有する
ポリオレフィン樹脂(C)に添加し、溶融混練すること
で、ポリオレフィン樹脂(C)の相溶性を良好にするこ
とができ、かつ、GMA成分を含有するポリオレフィン
樹脂(C)をミクロ分散させるとともに、ドメインとな
るポリオレフィン樹脂の表層にGMA成分を局在させ、
ポリエステルとの混和性をより良好にすることができ
る。
【0019】また、ポリオレフィン樹脂(B)の混合量
は10〜90重量%、GMA成分を含有するポリオレフィン
樹脂(C)の混合量は90〜10重量%であることが必要で
ある。ポリオレフィン樹脂(B)の混合量が10重量%未
満であると、ポリオレフィン樹脂(B)の上記の効果を
発揮することが困難となり、90重量%を超えると、GM
A成分が少なくなりすぎ、GMA成分の効果が発揮され
ず、ポリエステルとポリオレフィンとの相分離を低減さ
せることができなくなる。
【0020】次に、3.の工程として、ポリエステル
(A)に2.の工程で溶融混練したポリオレフィン混合
物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カルボジイ
ミド化合物(E)を全重量に対して0.1 〜5.0 重量%添
加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が10eq/t
以下のフィラメントを得る。
【0021】ポリオレフィン混合物(D)は、ポリエス
テル(A)に1.0 〜20重量%添加し、混練することが必
要である。ポリオレフィン混合物(D)の添加量が1.0
重量%未満であるとポリオレフィン成分やGMA成分の
効果が発現され難く、20重量%を超えると、操業性が悪
化するとともに得られるフィラメントの糸質物性が劣っ
たものとなる。
【0022】そして、ポリエステル(A)とポリオレフ
ィン混合物(D)を混練したものにカルボジイミド化合
物(以下、CDIとする)を添加する。カルボジイミド
化合物の具体例としては、N,N' −ビス(2,6- ジメチ
ルフェニル) カルボジイミド、N,N' −ビス(2,6- ジ
エチルフェニル) カルボジイミド、N,N' −ビス(2,6
- ジイソプロピルフェニル) カルボジイミド、N,N'
−ビス(2- イソプロピルフェニル) カルボジイミド等が
挙げられるが、中でも、耐熱性に優れ、工業レベルでの
使用が可能であるためN,N' −ビス(2,6- ジイソプロ
ピルフェニル)カルボジイミドが最も好ましい。
【0023】CDIの添加量は、0.1 〜5.0 重量%とす
ることが必要である。添加量が0.1重量%未満である
と、カルボキシル末端基の封鎖が不十分となり、フィラ
メントの耐湿熱性能が十分なものとならず、5.0 重量%
を超えると製糸性が悪化する。
【0024】CDIを添加することによって、溶融紡糸
して得られるフィラメントのカルボキシル末端基量が10
eq/t以下となるようにすることが必要であり、さらに
は、5eq/t以下とすることが好ましい。得られるフィ
ラメントのカルボキシル末端基量が10eq/tを超える
と、末端基の封鎖が不十分となり、優れた耐湿熱性能が
得られない。
【0025】さらに、CDIを添加する際には、活性状
態のCDIが20〜20000ppm程度残存する量とすることが
好ましい。活性状態とは、カルボキシル基や水分子と反
応可能な状態のことをいい、この含有量が20ppm 未満で
あるとCDIの効果が発現され難く、20000ppmを超える
ようにすることは、多量のCDIの添加が必要となり、
好ましくない。
【0026】そして、3.の工程においては、ポリエス
テル(A)にポリオレフィン混合物(D)を混練し、C
DIを添加した後、溶融紡糸を行うが、このとき、エク
ストルーダー型紡糸装置を用い、スクリュウ部せん断速
度20s-1以上で混練し、ノズル孔の長さ/ノズル孔の直
径(L/D)が1.5 以上の条件を満たすノズル細孔を通
過させて溶融紡糸を行うことが好ましい。
【0027】本発明におけるスクリュウ部せん断速度と
は、次式で算出するものである。 スクリュウ部せん断速度 r=(πSN)/H S:スクリュウ径 (cm) N:スクリュウ回転数 (回転
数/sec) H:スクリュウ溝深さ (cm)
【0028】スクリュウ部せん断速度が20s-1未満であ
ると、ポリオレフィン成分とポリエステル成分の混練が
不十分となりやすく、溶融混練斑が生じたり、GMAと
の反応が不足し、目的とするフィラメントを得ることが
困難となる場合がある。また、相分離を抑制する目的で
紡糸ライン中、あるいはノズルパック中にスタティック
ミキサーを含有させることが好ましい。
【0029】さらに、ポリマーを紡出させる紡糸ノズル
孔は、L/Dが1.5 以上であることが好ましい。この条
件を満たさないと、工業的な操業性に問題が生じやす
く、得られるフィラメント径の変動等が生じ、品質が悪
化したり、糸質物性が低下しやすくなる。
【0030】そして、溶融紡糸は常法によって行うこと
ができるが、紡糸温度は350 ℃以下、好ましくは310 ℃
以下とすることが望ましい。紡糸温度が高すぎるとポリ
エステル及び添加物が熱分解を起こし、円滑な紡糸が困
難になるとともに得られるフィラメントの物性が劣った
ものとなる。また、ポリエステルの熱分解反応に伴って
カルボキシル末端基が生成し、溶融紡糸時に末端基封鎖
剤が多量に消費されてしまい、所望の性能が発揮されな
い。また、溶融紡糸に際しては、得られるフィラメント
の相対粘度が1.40未満とならないように、紡糸温度や滞
留時間を調整することが好ましい。
【0031】このように紡出されたフィラメントは、0
〜100 ℃、好ましくは20〜90℃の液体、または、0 〜10
0 ℃、好ましくは10〜40℃の空気中で冷却する。冷却温
度をあまり低くすると温度管理及び作業性等に困難をき
たし、高すぎると冷却不足となり最終的に得られるフィ
ラメントの糸質性能が劣ったものとなりやすい。
【0032】次いで、4.の工程として、冷却固化した
フィラメントを一旦巻き取った後又は巻き取ることなく
延伸する。延伸は一段又は二段以上の多段で行うことが
できるが、多段で行うことが好ましい。まず、延伸点の
移動を起こさない65〜95℃の温度の液体中又は70〜200
℃の気体中で、3.0 〜6.5 倍の第一段延伸を行い、続い
て第一段延伸よりも高温の130 〜300 ℃の液体又は気体
中で全延伸倍率が5.0 〜8.0 倍となるように第二段目以
降の延伸を行うことが好ましい。
【0033】この際、延伸温度が上記の範囲より低いと
加熱不足となり、延伸斑及び糸切れが発生し、一方、延
伸温度が高すぎるとフィラメントの融解及び熱劣化が起
こり、好ましくない。全延伸倍率が5.0 倍未満であると
得られるフィラメントの糸質特性、特に直線強度が低く
なりやすい。一方、全延伸倍率を8.0 倍より大きくする
と繊維内での塑性変形に分子配向が対応できなくなるた
め、繊維中にミクロボイドが発生し、満足な性能を示す
フィラメントが得られないことがある。
【0034】また、延伸後、150 〜500 ℃の気体中で1.
0 〜15.0%の弛緩熱処理を行うのが好ましい。熱処理温
度が150 ℃より低いとフィラメントに対する熱処理効果
が不十分となりやすく、熱処理時間にも関係するが500
℃より高くすると繊維表面でポリエステルの熱分解反応
が起こり、目標とする性能を示すフィラメントが得られ
にくい。また、弛緩率を1.0 %未満にすると得られるフ
ィラメントは、熱収縮率の高いものとなり、場合によっ
ては実用に適さなくなり、15.0%を超える弛緩熱処理を
行うと、弛緩熱処理段階で糸のたるみが発生し、操業性
が悪化するとともに、目標の糸質性能が得られにくくな
る。
【0035】なお、本発明の製造方法によれば、耐湿熱
性に優れたポリエステルフィラメントとして、モノフィ
ラメント及びマルチフィラメントを製造することが可能
である。
【0036】
【作用】本発明においては、特定以上の相対粘度を有す
るポリエステルを用い、これに予め溶融混練したポリオ
レフィン樹脂(B)とGMA成分を含有するポリオレフ
ィン樹脂(C)の混合物を混練させるので、GMA成分
を含有するポリオレフィン樹脂(C)の相溶性を良好に
することができ、ポリオレフィン成分がポリエステル末
端基と化学的に結合しやすく、かつ、ミクロ分散するた
め、相分離が十分に抑制され、フィラメントを安定して
生産することが可能となる。さらにCDIを添加するこ
とで、カルボキシル末端基の封鎖が良好に行われ、GM
A成分とポリオレフィン成分とCDIとの相乗効果で、
長期間にわたり優れた耐湿熱性能と糸質物性を示すフィ
ラメントを得ることが可能となる。
【0037】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。実施例中における各種の測定、評価は次のとおり
に行った。なお、相対粘度、カルボキシル末端基量、カ
ルボジイミド化合物含有量は前記の方法で行った。 〔強伸度〕JIS L 1013に準じて測定した。 〔耐湿熱性〕フィラメントを120 ℃の飽和水蒸気で10日
間処理した後、未処理フィラメントに対する強力保持率
で評価した。 〔操業性(製糸性)〕8時間連続して操業を行い、この
間に糸切れ、ノズルパック内圧力の上昇等の問題が発生
しなかった場合を○、発生した場合を×とした。 〔品質〕得られたフィラメントを目視及び触感で判断
し、糸斑や表面荒れ等の欠点が生じていないものを○、
いずれかの欠点が生じているものを×とした。
【0038】実施例1 PETオリゴマーとエチレングリコールを出発物質とす
る重縮合反応を行い、相対粘度1.34、カルボキシル末端
基量30.9eq/tのプレポリマーペレットを得た後、固相
重合反応を行い、相対粘度1.55、カルボキシル末端基量
15.8eq/tの固相重合ペレット〔ポリエステル(A)〕
を得た。ポリオレフィン樹脂(B)としてポリエチレン
を用い、GMA成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
として、エチレンにGMAを8重量%共重合した共重合
体〔ELF ATOCHEM 社製「LOTADER AX- 8840」〕を用い、
これらをポリエチレン:エチレン−GMA共重合体を重
量比60:40の割合で二軸混練機を使用し、溶融混練し、
ポリエチレン混合物〔ポリオレフィン混合物(D)〕を
得た。エクストルーダー型紡糸装置を用い、固相重合ペ
レットにポリエチレン混合物5.0 重量%を混練し、さら
に、N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カ
ルボジイミド1.8 重量%を添加して、スクリュウ部せん
断速度23s-1で混練し、溶融紡糸した。溶融紡糸は、紡
糸温度295 ℃、ノズル孔の長さ 4.0mm、ノズル孔の直径
2.0mm(L/D=2)の紡糸孔を有する紡糸口金を使用
して行った。紡出糸条を70℃の水浴中で冷却し、未延伸
糸を得た。この未延伸糸を90℃の水浴中で延伸倍率3.3
倍で第一段階目の延伸を行い、次いで250 ℃の熱風雰囲
気下で延伸倍率1.7 倍の第二段階目の延伸を行い、全延
伸倍率を5.7 倍とした。引き続いて300 ℃の熱風雰囲気
下で弛緩率12%で弛緩熱処理を行い、ポリエステルモノ
フィラメントを得た。得られたモノフィラメントの糸質
性能や評価等を表1に示す。
【0039】実施例2〜6、比較例1〜6 ポリエチレン〔ポリオレフィン樹脂(B)〕とエチレン
−GMA共重合体〔ポリオレフィン樹脂(C)〕とを溶
融混練する比率、これらからなるポリエチレン混合物と
N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル) カルボ
ジイミドをポリエステル(A)に添加する量を表1に示
すように変更し、溶融紡糸時のエクストルーダー型紡糸
装置のスクリュウ部せん断速度、ノズル孔の長さ/ノズ
ル孔の直径(L/D)も表1に示すように変更した以外
は、実施例1と同様にして行った。得られたモノフィラ
メントの糸質性能や評価等を表1に示す。
【0040】実施例7 ポリエステル(A)として、固相重合によって得た相対
粘度1.41、カルボキシル末端基量17.5eq/tの固相重合
ペレットを用い、N,N' −ビス(2,6−ジイソプロピル
フェニル) カルボジイミドの添加量を1.0 重量%とし、
ノズル孔の長さ0.8 mm、ノズル孔の直径 0.4mm(L/D
=2)の紡糸孔を48個有する紡糸口金を使用した以外
は、実施例1と同様にして溶融紡糸を行った。そして、
紡出糸条を20℃の空気で冷却し、未延伸糸を得た。この
未延伸糸を90℃に加熱し、第一ローラと230 ℃に加熱し
た第二ローラとの間で延伸倍率6.35倍で延伸を行い、次
いで170 ℃に加熱して弛緩率6%で弛緩熱処理を行い、
ポリエステルマルチフィラメントを得た。得られたマル
チフィラメントの糸質性能や評価等を表1に示す。
【0041】比較例7 ポリエステル(A)として、固相重合によって得た相対
粘度1.35、カルボキシル末端基量23.4eq/tの固相重合
ペレットを用いた以外は、実施例7と同様にして行っ
た。得られたマルチフィラメントの糸質性能や評価等を
表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1より明らかなように、実施例1〜7で
得られたフィラメントは、耐湿熱性能、強伸度等の糸質
物性に優れ、繊維表面にざらつきや糸斑もない品位の高
いものであり、操業性にも優れていた。一方、比較例1
は、ポリエチレン混合物中のエチレン−GMA共重合体
の割合が少なすぎたため、ポリエステルとの反応が少な
く、相分離が起こり、得られたフィラメントは耐湿熱性
能に劣ったものであった。比較例2は、ポリエチレン混
合物中のポリエチレンの割合が少なすぎたため、エチレ
ン−GMA共重合体の相溶性を良好にし、ミクロ分散さ
せることができず、溶融混練斑が生じ、操業性が悪く、
得られたフィラメントは糸質物性の低いフィラメントと
なった。比較例3は、CDI化合物の添加量が少なすぎ
たため、得られたフィラメントはカルボキシル末端基量
が多く、また、活性状態のCDIの量が少なく、耐湿熱
性能に劣ったものであった。比較例4は、CDI化合物
の添加量が多すぎたため、操業性が悪化し、フィラメン
トを得ることができなかった。比較例5は、ポリエチレ
ン混合物の添加量が少なすぎたため、ポリオレフィン成
分やGMA成分の効果が発現されず、相分離が起こり、
得られたフィラメントは耐湿熱性能に劣るものであっ
た。比較例6は、ポリエチレン混合物の添加量が多すぎ
たため、比較例7は、ポリエステル(A)の相対粘度が
低すぎたため、ともに操業性が悪化し、フィラメントを
得ることができなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、産業資材用フィラメン
ト、特に工業用織物である抄紙用カンバス糸、ベルト
布、フィルター等として好適な、優れた耐湿熱性能を長
期間にわたって保持することができ、かつ糸質物性が良
好なポリエステルフィラメントを操業性よく得ることが
可能となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の1〜4の工程を順次行うことを特徴
    とするポリエステルフィラメントの製造方法。 1.固相重合反応を経て、相対粘度1.4 以上のポリエス
    テル(A)を得る工程、 2.ポリオレフィン樹脂(B)10〜90重量%とメタクリ
    ル酸グリシジル成分を有するポリオレフィン樹脂(C)
    90〜10重量%とを溶融混練し、ポリオレフィン混合物
    (D)を得る工程、 3.ポリエステル(A)に予め溶融混練したポリオレフ
    ィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さらに、カ
    ルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.1〜5.0
    重量%添加した後溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が
    10eq/t以下のフィラメントを得る工程、 4.フィラメントを延伸する工程。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン樹脂(B)がポリエチレ
    ンである請求項1記載のポリエステルフィラメントの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 メタクリル酸グリシジル成分を有するポ
    リオレフィン樹脂(C)のポリオレフィン成分がポリエ
    チレン成分である請求項1又は2記載のポリエステルフ
    ィラメントの製造方法。
  4. 【請求項4】 カルボジイミド化合物(E)がN,N'
    −ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル) カルボジイミド
    である請求項1、2又は3に記載のポリエステルフィラ
    メントの製造方法。
  5. 【請求項5】 3.の工程が、エクストルーダー型紡糸
    装置を用い、ポリエステル(A)に予め溶融混練したポ
    リオレフィン混合物(D)1.0 〜20重量%を混練し、さ
    らに、カルボジイミド化合物(E)を全重量に対して0.
    1 〜5.0 重量%添加した後、スクリュウ部せん断速度20
    -1以上で混練し、ノズル孔の長さ/ノズル孔の直径
    (L/D)が1.5 以上の条件を満たすノズル細孔を通過
    させて溶融紡糸し、カルボキシル末端基量が10eq/t以
    下のフィラメントを得る工程である請求項1、2、3又
    は4に記載のポリエステルフィラメントの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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