JPH11124642A - イリジウム含有金属材料及びその製造方法 - Google Patents

イリジウム含有金属材料及びその製造方法

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JPH11124642A
JPH11124642A JP10216526A JP21652698A JPH11124642A JP H11124642 A JPH11124642 A JP H11124642A JP 10216526 A JP10216526 A JP 10216526A JP 21652698 A JP21652698 A JP 21652698A JP H11124642 A JPH11124642 A JP H11124642A
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JP
Japan
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iridium
containing metal
metal material
powder
less
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Application number
JP10216526A
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English (en)
Inventor
Kenichi Okamoto
謙一 岡本
Narimitsu Tanabe
成光 田辺
Yoshihiro Wada
吉弘 和田
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Tokyo Tungsten Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Tungsten Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 理論密度比96%以上の高密度を有し、室
温、高温下での延性が高く、高温下での結晶成長が生じ
にくいイリジウム含有金属材料とその製造方法と、イリ
ジウム含有金属板、イリジウム含有金属線材、及び棒材
と、それを用いたスパークプラグとを提供すること。 【解決手段】 イリジウム材又はイリジウム基合金材か
らなるイリジウム含有金属材料であって、室温における
引張強度が30kg/mm2以上で延び0.5%以上で
あり、1000℃における引張強度が5kg/mm2
上で延び2%以上の機械的特性を有する。このイリジウ
ム含有金属材料は、ルテニウム(Ru)、ロジウム(R
h)、及びオスミウム(Os)のうち少なくとも一種を
5〜40wt%含有することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高延性を備えたイ
リジウム材又はイリジウム基合金材からなるイリジウム
含有金属材料及びその製造方法、及びそれを用いたスパ
ークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】高融点(2723K)を有するイリジウ
ム(Ir)は、耐酸化性、及び耐蝕性に優れた白金族の
金属であり、1000℃前後においても、これらの特性
の低下がなく、白金(Pt)よりも安価であるところか
ら高温酸化、腐食雰囲気下における機能性材料として着
目され、実用化研究が進められている。このIrは、弾
性率が570GPaと、タングステン(W)のもつ弾性
率403GPaより高く、塑性加工が非常に困難な材料
であるため、実用化のための材料評価は全て溶解後の鋳
塊を機械加工により形状付与した製品、又は部品を利用
する場合と粉末を焼結(特開平3−1475号公報参
照)した状態の製品又は部品を利用する場合に限られて
いる。
【0003】また、還元性雰囲気、例えば、高温水素、
高温一酸化炭素ガス、雰囲気においても健全な状況を保
つ。
【0004】すなわち、イリジウム又はイリジウム基合
金は、高温における酸化、還元雰囲気下の両者におい
て、機械的強度が良好であり、低温、高温が繰り返され
る。
【0005】冷熱環境下においても、機能を損なうこと
がない有望な材料である。
【0006】また、内燃機関等の点火プラグ用電極材料
は、1000℃前後の酸化還元雰囲気に交互にさらされ
ながら、放電を繰り返す役割を担っており、吸気・排気
により生じる冷熱サイクルにも常時さらされており、イ
リジウム又はイリジウム含有合金は、これらの環境下に
おいて機能を発揮できる優れた材料である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在用
いられているIrの鋳塊材及び焼結材は、次に示す欠点
を有し、実用化の妨げとなっている。
【0008】まず、鋳塊材の場合では、(イ)室温にお
ける引張強度が20kg/mm2 前後であり、伸び0%
と非常に脆いこと、(ロ)結晶粒が大きく機械加工の
際、欠け不良や面精度不良など障害となること、(ハ)
結晶粒が大きく、伸びがないため塑性加工が非常に困難
であることなどである。
【0009】一方、焼結体の場合では、(ニ)密度が高
々90%の孔質体であること、(ホ)強度が低く伸びが
0%であり、脆いことなどである。
【0010】したがって、鋳塊材及び焼結材ともに、I
r本来の特性が発現せず特長を生かし切れていないのが
実情である。
【0011】そこで、本発明の技術的課題は、理論密度
比96%以上の高密度を有し、室温、及び高温下での延
性が高く、高温下での結晶成長が生じにくいイリジウム
含有金属材料とその製造方法と、イリジウム含有金属
板、イリジウム含有金属線材、及び棒材と、それを用い
たスパークプラグとを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】イリジウム含有金属材料
を、実用材料として使用するには、(i)理論密度比9
6%以上の高密度を有していること、(ii) 結晶粒が細
かいこと、(iii)室温、高温における強度、伸びがある
こと、(iv) 高温下での使用時における粒成長の結果と
して結晶粒の形状が等軸状にあっては細径で、繊維状に
あっては短径が小さく抑制されること、(v)究極的に
は高温下での粒成長が生じぬことなどが、材料として必
要とされる。
【0013】そこで、Ir鋳塊材について考慮すると、
上記(i)を満足できるが、(ii)乃至(iv) を達成で
きず、これに対して焼結材は、(ii) を満足するが、
(i)及び(iii)乃至(v)の達成は不可能である。従
って、上記要件(i)乃至(v)の全てを満足させるに
は、素材に塑性加工を加えて延性を付与させながら結晶
粒を細粒に制御する技術手法を導入する方法しか考えら
れない。また、粗大化した脆い結晶粒を健全な状態のま
ま、細粒に変貌させることは通常の塑性加工技術では困
難である。
【0014】そこで、本発明者らは、細かな結晶粒の素
材に塑性加工を施す手法がタングステン、及びモリブデ
ンの業界において導入経験が多く、この手法で溶解材並
びに焼結素材に塑性加工を加えながら延性を持たせ、粒
成長を抑制させ得る開発手法を採ることとした。
【0015】また、本発明者らは、焼結体の塑性加工性
を支配する要因を列挙し、最適な焼結体の作製を目指し
た。焼結密度、焼結粒径、焼結温度、焼結時
間、焼結雰囲気、原料粉末の粒径に着眼し検討を重
ねた。更に、強度と延性とを付与させるために、ある種
の金属元素を添加し合金化による特性向上を図り、その
添加物の種類と量について検討した。具体的に、本発明
者らは、粒成長抑制効果を狙って、金属酸化物の添加に
よる改善を図り、特に稀土類金属酸化物に着目し、種類
と量について検討した。同様の検討を溶解体についても
検討した。その結果、本発明を為すに至ったものであ
る。
【0016】即ち、本発明によれば、イリジウム材又は
イリジウム基合金材からなるイリジウム含有金属材料で
あって、室温における引張強度が30kg/mm2 以上
で、延び0.5%以上であり、1000℃における引張
強度が5kg/mm2 以上で延び2%以上の機械的特性
を有し、大気中における1000℃以下の加熱により生
じる消耗重量減量が8%以下であることを特徴とするイ
リジウム含有金属材料が得られる。
【0017】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属材料において、ルテニウム(Ru)、ロジウム
(Rh)、及びオスミウム(Os)の内の少なくとも一
種を40%、残りが実質的にイリジウム(Ir)により
構成されていることを特徴とするイリジウム含有金属材
料が得られる。
【0018】また、本発明によれば、前記いずれかのイ
リジウム含有金属材料において、さらに、周期律表の3
A族元素の酸化物及び4A族の元素の酸化物の内の少な
くとも一種を0.5〜5wt%含有することを特徴とす
るイリジウム含有金属材料が得られる。
【0019】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属材料において、前記3A族の酸化物は、Sc
23、Y23、La23、及びCeO2であり、前記4
A族の元素の酸化物はTiO2、ZrO2、及びHfO2
であることを特徴とするイリジウム含有金属材料が得ら
れる。
【0020】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属材料を先端部に備えた発火部電極及び対向電極の
内の少なくと一方を備えたスパークプラグであって、前
記発火部電極は、電極母材の発火部側に設けられ、前記
対向電極は、前記発火部電極部電極に対向して設けら
れ、前記発火部電極と前記対向電極とによって火花放電
ギャップを構成していることを特徴とするスパークプラ
グが得られる。
【0021】また、本発明によれば、前記いずれかのイ
リジウム含有金属材料において、850℃以上で1時間
保持した後の結晶粒の大きさは、石垣状等軸粒形状のも
のは、平均粒径100μm以下、繊維状形状のものは、
長径/短径の比が1.2以上、平均粒径が30μm以下
であることを特徴とするイリジム含有金属材料が得られ
る。
【0022】また、本発明によれば、前記いずれかのイ
リジウム含有金属材料からなるイリジウム含有金属板で
あって、60%以上の圧延率で加工され、96%以上の
理論密度を有することを特徴とするイリジウム含有金属
板が得られる。ここで、本発明において、圧延率は、次
式、圧延率=(焼結体板厚−圧延板厚)÷焼結体板厚×
100で示される。
【0023】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属板において、850℃以上で1時間保持した後の
結晶粒の大きさが石垣状の等軸粒形状のものは平均粒径
100μm以下、繊維状形状のものは長径/短径の比が
1.2以上、平均短径が30μm以下であることを特徴
とするイリジウム含有金属板が得られる。
【0024】また、本発明によれば、前記いずれかのイ
リジウム含有金属材料からなるイリジウム含有金属線材
又は棒材であって、87%以上の断面減少率で加工さ
れ、96%以上の理論密度を有することを特徴とするイ
リジウム含有金属線材又は棒材が得られる。ここで、本
発明において、断面減少率は、次式、断面減少率=
[(焼結体外径)2 −(線・棒外径)2 ]÷(焼結体外
径)2 ×100で示される。
【0025】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属線材又は棒材において、850℃以上で1時間保
持した後の結晶粒の大きさが石垣状の等軸粒形状のもの
は平均粒径100μm以下、繊維状形状のものは長径/
短径の比が1.2以上、平均短径が30μm以下である
ことを特徴とするイリジウム含有金属線材又は棒材が得
られる。
【0026】また、本発明によれば、イリジウム材又は
イリジウム基合金材からなるイリジウム含有金属の焼結
体であって、結晶粒径1μm以上50μm以下で密度が
90%以上であることを特徴とするイリジウム含有金属
焼結体が得られる。
【0027】また、本発明によれば、イリジウム粉、又
はイリジウム粉にRu粉、Rh粉、Os粉、3A族の元
素の酸化物、及び4A族の元素の酸化物のうち少なくと
も一種を添加した粉末を成形後、水素、アルゴン、窒素
又は真空雰囲気の内のいずれかで焼結し、塑性加工によ
り理論密度比96%以上の真密度材を含む高密度材を製
造することを特徴とするイリジウム含有金属材料の製造
方法が得られる。ここで、本発明において、塑性加工と
は、圧延加工、伸線加工等の加工を呼ぶ。
【0028】また、本発明によれば、前記イリジウム含
有金属材料の製造方法において、前記イリジウム粉が溶
解材を粉砕したものであることを特徴とするイリジウム
含有金属材料の製造方法が得られる。
【0029】更に、本発明によれば、前記いずれかのイ
リジウム含有金属材料の製造方法において、前記イリジ
ウム粉、前記Ru粉、前記Rh粉及び前記Os粉の粒径
が0.5μm〜35μmの範囲内であることを特徴とす
るイリジウム含有金属材料の製造方法が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0031】本発明の実施の形態においては、塑性加工
に適したイリジウム(Ir)焼結体について検討した。
市販のIr粉末を各種の粒度[空気透過法(Fsss
法)により測定]に調製し、プレス成型し、焼結したと
き焼結体密度(理論密度比%)と焼結体粒径(μm)の
測定結果を下記表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】また、焼結密度、焼結粒径に及ぼす焼結雰
囲気の影響を下記表2に、理論密度比%で焼結体密度及
び焼結体粒径(μm)として示した。
【0034】
【表2】
【0035】上記表2から、アルゴン焼結後、又は窒素
焼結後の密度及び粒径は、水素焼結体に較べると若干低
い値を示すことがわかる。これは、水素によるIr粒子
表面の吸着物の清浄化や還元作用などがアルゴンや窒素
に比べ強いためと考えられる。また、真空焼結は、水素
焼結体とほぼ同等か同等以上の値が得られた。
【0036】また、焼結時間を20時間及び30時間に
各々延長すると10時間焼結の焼結体に比較し、焼結密
度で0乃至2%の向上、焼結粒径で0乃至4%の向上が
各々認められた。
【0037】このように検討、配慮しながら、圧延材に
ついては焼結体板厚15mmから厚さ0.5mmの板材
に加工を試みた。又、溶解材は10mmから0.5mm
板を得た。一方、伸線材については焼結体外径25mm
から直径0.5mmの線材にまで塑性加工を試みた。さ
らに、溶解材については外径7mmから直径0.5mm
の線材を得た。下記表3に焼結体の塑性加工結果を示
す。
【0038】
【表3】
【0039】図1及び図2は、得られたIr板材(板厚
0.5mm)並びに線材(線径0.5mm)の代表的な
金属組織を夫々示す金属顕微鏡写真である。このような
金属組織を有する板材並びに線材の引張試験結果を下記
表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】また、塑性加工量、即ち、圧延率又は断面
減少率が特性、特に、室温引張強度に及ぼす影響を検討
したところ次の表5に示す結果が得られた。
【0042】
【表5】
【0043】これらの焼結体について、塑性加工の可否
を圧延加工並びに伸線加工によって調べた。
【0044】まず、塑性加工については、Irは変形抵
抗が大きく、弾性率が高い金属のため溶解材及び焼結材
の加工は、ともに熱間において行わなければならない。
さらに高温加熱による再結晶を避けるため、過度の高温
および高温保持時間は短かくしなければならない。
【0045】また、溶解材の塑性加工については、前記
のとおり溶解材を構成する個々の結晶粒が大きく結晶粒
界が脆弱になっているため、加熱温度を高く(800℃
以上)、一回当りの塑性加工量は小さく(15%以下)
配慮する必要がある。
【0046】さらに、粉末焼結体の塑性加工について
は、粉末焼結体は、溶解材に比べ結晶粒が小さく、粒界
強度が低いため、加熱温度を高く(800℃以上)、塑
性加工量は大きく(10%以上)する必要がある。
【0047】次に、純Ir板材並びに線材と同様の工程
によって作製した、Ru、RhならびにOs、添加Ir
合金板材について室温、1000℃高温強度を測定した
例を、下記表6に示す。
【0048】
【表6】
【0049】上記表6から明らかなように、Ru、Rh
ならびにOsをIrに添加すると室温強度及び高温強度
の向上に効果がある。伸びもOs添加Ir合金以外は向
上が認められた。しかし、Osが塑性変形能が乏しく、
伸びに悪影響を及ぼすと考えられる。
【0050】また、高温における結晶粒成長による粗大
結晶粒化がIr合金の高温特性の低下に継がっているこ
とは、他の高融点金属と同様である。そこで、本発明の
塑性加工を付与したIr合金の高温における結晶粒の形
状について観察した。
【0051】図3乃至5は純Ir伸線加工材の高温下に
おける結晶粒成長した金属組織を示す金属顕微鏡写真で
あり、図3は伸線加工後、図4は850℃×60分高温
大気保持後、図5は1000℃×60分高温大気保持後
の各々の形状変化である。図3乃至5に示すように、伸
線加工により形成された繊維状の組織が加熱温度の上昇
とともに繊維径が太くなり、繊維長が短くなっている。
さらに、高温では石垣状の丸味を帯びた結晶粒に変化す
る状況が認められる。このように結晶粒が形状変化を開
始する温度を高温側に移動させることにより、高温域に
おける材料特性の改善が可能である。このことを可能な
らしめる手段として、酸化物の添加並びに高度の塑性加
工を付与することが効果的であることが、次のようにた
しかめられた。この酸化物添加による方法について検討
したところ下記表7の結果が得られた。
【0052】
【表7】
【0053】上記表7に示すように、純Ir及びIr基
合金にLa23を添加すると高温強度の向上が認められ
た。しかし、La23の添加効果は、5%添加までであ
り、5%を越える範囲においてはその効果は見られな
い。その理由は、La23粒子の均一分散、及び微粒子
化が困難となるためと考えられる。
【0054】また、酸化物としてLa23の他に、Sc
23、Y23、CeO2、TiO2、ZrO2、及びHf
2にも、La23と同様の効果が認められた。
【0055】また、5%La23添加の材料は850℃
以上の高温加熱した後、平均100μm以下の石垣状結
晶粒に成長していたが、高温強度は無添加材に比べ向上
していた。これは添加した酸化物粒子が結晶粒成長を抑
制しているためと考えられる。塑性加工量の増加により
形成される繊維状組織の繊維長と径は小さくなるが、こ
の繊維状組織変化にも酸化物添加効果があった。
【0056】また、850℃以上の加熱においても長径
/短径の比が1.2以上で、且つ平均短径が30μm以
下の繊維状組織で構成された材料であった。このような
組織の材料は高温強度、伸びともに高く延性に富んだ従
来にない材料である。
【0057】図6は本発明の実施の形態によるスパーク
プラグの要部を示す断面図である。図6に示すように、
スパークプラグの発火部10は、L字形状の発火部電極
1と、この発火部電極1の一端に対向して設けられた対
向電極2と、この対向電極を保持する発火部電極保持体
3と、発火部電極保持体3を支持するようにこの発火部
電極保持体3の周囲に設けられた絶縁硝子4とを備えた
いる。
【0058】対向電極2、発火部電極保持体3、及び絶
縁硝子4は、発火部電極1と結合された筐体5内に収容
されている。この発火部電極1及び対向電極2が、上記
Ir含有金属材料によって形成されている。
【0059】次に、本発明の実施の形態によるスパーク
プラグを上記Ir含有材料を用いて作製し、点火プラグ
用の採否の可能性を高温大気暴露試験により探り、スパ
ークプラグ耐久実験により評価した。
【0060】(1)高温大気暴露試験は次の通りである 材料を850℃、1000℃、高温大気中に各々200
時間保持し、重量の増減、形状の変化を評価した。
【0061】(2)スパークプラグ耐久実験は、次の通
りである 発火部電極、対向電極とも同じ材質のスパークプラグを
作製し、4気筒、2000ccエンジンに取り付け、5
000rpm、400時間連続運転後の電極間隙の拡大
を測定することで、消耗量を比較した。
【0062】下表8に、従来材料の白金と比較した高温
大気暴露試験の結果を示す。
【0063】
【表8】
【0064】試験に供した各々の材料は、粉末成形、焼
結後、塑性加工によって線径4.5mmに仕上げられた
ものである。これらは、高さ3mmの円板状に成形し、
使用した。
【0065】本発明材は、Ptに比較し、半分以下の重
量減に止まり、Ru、Rhなどの金属元素の合金化並び
にLa23の添加によりより一層の耐酸化性の向上が認
められる。尚、酸化物としてのSc23、Y23、Ce
2、TiO2、ZnO2及びHfO2にも、La23同様
の効果が認められた。
【0066】曝露試験後の形状変化は、重量減の増加と
ともに材料平坦部表面に小さな窪みがいくつか表れ、重
量減少の進行とともに、窪みの大きさ、深さが大きくな
ることが観察された。Ptは重量減少が大きいために、
シャープエッジの角部の消失も併発し、大きな減少に結
び付いている。形状変化の進行を遅らせる重量減少抑制
の効果が、Ruなどの金属元素の合金化並びに酸化物
(La23、Sc23、…HfO2)の添加によって認
められた。
【0067】スパークプラグ耐久実験結果を下表に示
す。
【0068】線径1.0mmの線材(高さ2.5mm)
を準備し、スパークプラグを作製した後、火花放電チッ
プの拡大を測定した。その結果を表9に示す。
【0069】
【表9】
【0070】IRはPtに比べ、放電消耗が少ないが、
IrにRh金属の合金化あるいは、酸化物の添加によっ
てさらに消耗、抑制の効果があることが分かる。
【0071】スパークプラグ耐久実験後の形状は、大気
曝露の際に生じた窪みの発生が認められ、同様の表面変
化によって、消耗が進行することが分かった。
【0072】尚、Rh以外の金属元素の合金化並びにC
eO2以外の酸化物添加によっても、消耗抑制効果が認
められた。
【0073】上記2種類の試験(高温大気曝露、耐久試
験)後の材料の金属的組織を観察したところ、本発明材
は、長径/短径の比が1.2以上で、平均短径が30μ
m以下の繊維状組織を呈していた。
【0074】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、理論
密度比96%以上の高密度を有し、室温、高温下での延
性が高く、高温下での結晶成長が生じにくいイリジウム
含有金属材料とその製造方法と、イリジウム含有金属
板、イリジウム含有金属線材、及び棒材と、それを用い
たスパークプラグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるイリジウム板の金属
組織を示す金属顕微鏡写真である。
【図2】本発明の実施の形態によるイリジウム線の金属
組織を示す金属顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施の形態によるイリジウム線の伸線
加工のままの再結晶粒成長した金属組織を示す金属顕微
鏡写真である。
【図4】本発明の実施の形態によるイリジウム線の伸線
加工後、大気中で850℃×60分加熱後の再結晶粒成
長した金属組織を示す金属顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施の形態によるイリジウム線の伸線
加工後、大気中で1000℃×60分加熱後の再結晶粒
成長した金属組織を示す金属顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施の形態によるスパークプラグの要
部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発火部電極 2 対向電極 3 発火部電極保持体 4 絶縁硝子 5 筐体 10 発火部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01T 13/39 H01T 13/39 // C22F 1/00 628 C22F 1/00 628 630 630A 630K 650 650A 651 651B 683 683 687 687

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イリジウム材又はイリジウム基合金材か
    らなるイリジウム含有金属材料であって、室温における
    引張強度が30kg/mm2以上で、延び0.5%以上
    であり、1000℃における引張強度が5kg/mm2
    以上で延び2%以上の機械的特性を有し、大気中におけ
    る1000℃以下の加熱により生じる消耗重量減量が8
    %以下であることを特徴とするイリジウム含有金属材
    料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のイリジウム含有金属材料
    において、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、及
    びオスミウム(Os)の内の少なくとも一種を40%、
    残りが実質的にイリジウム(Ir)により構成されてい
    ることを特徴とするイリジウム含有金属材料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のイリジウム含有金
    属材料において、さらに、周期律表の3A族元素の酸化
    物及び4A族の元素の酸化物の内の少なくとも一種を
    0.5〜5wt%含有することを特徴とするイリジウム
    含有金属材料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のイリジウム含有金属材料
    において、前記3A族の酸化物は、Sc23、Y23
    La23、及びCeO2であり、前記4A族の元素の酸
    化物はTiO2、ZrO2、及びHfO2であることを特
    徴とするイリジウム含有金属材料。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のイリジウム含有金属材料
    を先端部に備えた発火部電極及び対向電極の内の少なく
    と一方を備えたスパークプラグであって、前記発火部電
    極は、電極母材の発火部側に設けられ、前記対向電極
    は、前記発火部電極部電極に対向して設けられ、前記発
    火部電極と前記対向電極とによって火花放電ギャップを
    構成していることを特徴とするスパークプラグ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4の内のいずれかに記載の
    イリジウム含有金属材料において、850℃以上で1時
    間保持した後の結晶粒の大きさは、石垣状等軸粒形状の
    ものは、平均粒径100μm以下、繊維状形状のもの
    は、長径/短径の比が1.2以上、平均粒径が30μm
    以下であることを特徴とするイリジム含有金属材料。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載
    のイリジウム含有金属材料からなるイリジウム含有金属
    板であって、60%以上の圧延率で加工され、96%以
    上の理論密度を有することを特徴とするイリジウム含有
    金属板。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のイリジウム含有金属板に
    おいて、850℃以上で1時間保持した後の結晶粒の大
    きさが石垣状の等軸粒形状のものは平均粒径100μm
    以下、繊維状形状のものは長径/短径の比が1.2以
    上、平均短径が30μm以下であることを特徴とするイ
    リジウム含有金属板。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載
    のイリジウム含有金属材料からなるイリジウム含有金属
    線材又は棒材であって、87%以上の断面減少率で加工
    され、96%以上の理論密度を有することを特徴とする
    イリジウム含有金属線材又は棒材。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のイリジウム含有金属線
    材又は棒材において、850℃以上で1時間保持した後
    の結晶粒の大きさが石垣状の等軸粒形状のものは平均粒
    径100μm以下、繊維状形状のものは長径/短径の比
    が1.2以上、平均短径が30μm以下であることを特
    徴とするイリジウム含有金属線材又は棒材。
  11. 【請求項11】 イリジウム材又はイリジウム基合金材
    からなるイリジウム含有金属の焼結体であって、結晶粒
    径1μm以上50μm以下で密度が90%以上であるこ
    とを特徴とするイリジウム含有金属焼結体。
  12. 【請求項12】 イリジウム粉、又はイリジウム粉にR
    u粉、Rh粉、Os粉、3A族の元素の酸化物、及び4
    A族の元素の酸化物のうち少なくとも一種を添加した粉
    末を成形後、水素、アルゴン、窒素又は真空雰囲気の内
    のいずれかで焼結し、塑性加工により理論密度比96%
    以上の真密度材を含む高密度材を製造することを特徴と
    するイリジウム含有金属材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のイリジウム含有金属
    材料の製造方法において、前記イリジウム粉が溶解材を
    粉砕したものであることを特徴とするイリジウム含有金
    属材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13記載のイリジウム
    含有金属材料の製造方法において、前記イリジウム粉、
    前記Ru粉、前記Rh粉及び前記Os粉の粒径が0.5
    μm〜35μmの範囲内であることを特徴とするイリジ
    ウム含有金属材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007237259A (ja) * 2006-03-09 2007-09-20 Furuya Kinzoku:Kk 摩擦攪拌接合用工具、その製造方法、その工具を用いた接合法及びそれにより得た加工物
JP4652621B2 (ja) * 2001-06-26 2011-03-16 日本特殊陶業株式会社 スパークプラグの製造方法及びスパークプラグ
JP4927955B2 (ja) * 2007-01-31 2012-05-09 ユラ・テック・カンパニー・リミテッド 点火プラグ

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