JPH11124542A - 水系塗料組成物、その製造方法及びそれから得られる塗膜 - Google Patents

水系塗料組成物、その製造方法及びそれから得られる塗膜

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JPH11124542A
JPH11124542A JP9290710A JP29071097A JPH11124542A JP H11124542 A JPH11124542 A JP H11124542A JP 9290710 A JP9290710 A JP 9290710A JP 29071097 A JP29071097 A JP 29071097A JP H11124542 A JPH11124542 A JP H11124542A
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賢人 志波
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静華 徐
Kiyomi Hata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れている水系塗料組成物及び
その製造方法の提供、さらに加工性、耐傷付き性、耐水
性等の性能に優れた塗膜を提供する。 【解決手段】 (A)特定のポリエステル樹脂、(B)
疎水性のアミノ樹脂、(C)アンモニア及び/又は沸点
が250℃以下の有機アミン化合物、(D)ポリエステ
ル樹脂に対して可塑化能力を有する特定量の両親媒性の
有機溶剤、(E)保護コロイド作用を有する特定量の化
合物及び(F)水よりなり、(A)特定のポリエステル
樹脂と(B)疎水性のアミノ樹脂が特定割合で含まれて
いる水系塗料組成物。分散工程、加熱工程、水性化工程
及び冷却工程を経て前記(A)〜(F)成分から水系塗
料組成物を製造する。前記水系塗料組成物から得られる
60゜グロスが85%以上である塗膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系塗料組成物及
びその製造方法、さらには該水系塗料組成物よりえられ
る塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実質的に多塩基酸成分と多価アルコール
成分より成る高分子量のポリエステル樹脂(いわゆる、
オイルフリーアルキド樹脂)は、繊維、フィルムや各種
成形材料として使用されているばかりでなく、塗料、イ
ンキ、接着剤、各種コーティング剤等の分野において
も、良好な顔料分散性、形成される塗膜の優れた加工
性、耐薬品性、耐候性、各種基材への密着性等により、
各種のバインダー成分として大量に使用されている。そ
の中でも、缶用塗料やプレコートメタル(PCM)用塗
料としては、ポリエステル樹脂/アミノ樹脂、ポリエス
テル樹脂/多官能イソシアネート化合物等の焼付け塗料
が種々提案されており、実用化されている。しかしなが
ら、これらの塗料は、有機溶剤を含むため、消防法等に
規定された危険物であり、作業環境の悪化を招くばかり
か、焼付け時に多量の有機溶剤が揮発することから、環
境汚染や省資源の点からも好ましくない。この観点か
ら、塗料業界でも従来の溶剤型塗料から、粉体塗料、ハ
イソリッド塗料、水系塗料、紫外線・電子線硬化(UV
・EB)塗料への移行が進みつつある。その中でも、水
系塗料は、溶剤型塗料と同様に液状であり、現行の塗料
製造及び塗装ラインをほぼそのまま使用できるといった
長所を有するため、代替技術のうちで最も有望視されて
いる。
【0003】飲料缶、食缶をはじめとする金属缶に用い
られる缶用塗料や建築内外装材、家電製品等に使用され
るPCM用塗料に要求される代表的な性能としては、塗
料の貯蔵安定性及び塗膜の金属板への密着性、耐薬品
性、耐水性、耐候性は勿論のことながら、塗装、焼付け
後に施される種々の成形、加工に耐え得る塗膜の加工性
(可撓性)及び成形時、或いは輸送時の摩擦等により傷
が付かない塗膜硬度(耐傷付き性)を必要とする。しか
しながら、塗膜の加工性と硬度は一般に相反する性能で
あり、両者を両立させることは困難であり、ましてや水
系塗料で前述の塗料の安定性や塗膜性能を兼ね備えてこ
れを達成することは極めて困難であった。
【0004】これに対して本発明者等は、特定のポリエ
ステル樹脂水分散体に特定の親水性のアミノ樹脂を適当
量を配合することによって、これらの問題を解決できる
ことを先に見いだした。しかし、この発明によって得ら
れた水系塗料組成物から形成される塗膜は、焼き付け条
件を最適化しても尚、その耐水性が十分でないという問
題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状を
鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、塗料の
貯蔵安定性に優れ、かつ金属板への密着性、耐薬品性、
耐候性、加工性や硬度等の性能だけでなく、特に光沢や
耐水性に優れた塗膜を形成し得る水系塗料組成物を提供
すること、第二の目的は、このような水系塗料組成物
を、特殊な設備や煩雑な操作を必要とせずに容易に、し
かも安価に製造できる製造方法を提供すること、第三の
目的は、前記のように優れた性能を有する塗膜を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために硬化剤であるアミノ樹脂に注目し、塗
膜の耐水性向上のために、水に対して実質的に不溶であ
る疎水性のアミノ樹脂を用いることを考えた。しかし、
親水性のアミノ樹脂に替えてポリエステル樹脂水分散体
に疎水性のアミノ樹脂を配合すると、ポリエステル樹脂
水分散体が破壊され、配合後の塗料組成物の貯蔵安定性
が著しく劣り、さらには得られた塗膜の表面が荒れ、実
用に供することができないという問題が発生した。疎水
性のアミノ樹脂は汎用の有機溶剤に溶解することから、
ポリエステル樹脂と該アミノ樹脂とを有機溶剤に高濃度
で溶解しておき、これを撹拌しながら水を徐々に添加し
て水分散体を形成させ、必要に応じて、有機溶剤をその
後に除去(ストリッピング)するという、いわゆる、転
相乳化法が有効であると考えられた。しかし、形成され
る塗膜のその他の性能を確保するためには、ポリエステ
ル樹脂を構成する芳香族多塩基酸(特にテレフタル酸)
の含有率がある程度以上に高くなければならず、しか
も、その分子量もある程度以上でなければならないこと
が判明したが、その場合、該ポリエステル樹脂は汎用の
有機溶剤には溶解し難いことから、特に有機溶剤の含有
率の低い水系塗料組成物を製造することは不可能という
ことになる。
【0007】このような問題に対して、本発明者等は、
該ポリエステル樹脂から水分散体を得る場合に、該樹脂
を有機溶剤に溶解しなくても、均一で安定な水分散体を
得る方法を先に見いだしているが(特願平8−5136
2号公報)、該方法に従ってポリエステル樹脂水分散体
を製造する際に、疎水性のアミノ樹脂を特定の条件下で
系に添加することによって上記問題を一挙に解決できる
ことを見いだし、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
成分(A)〜(F)を少なくとも含有し、成分(A)と
(B)の重量比(A)/(B)が94/6〜60/40
であることを特徴とする水系塗料組成物である。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
基酸であり、多価アルコール成分の50モル%以上がエ
チレングリコール及び/又はネオペンチルグリコールで
あり、酸価が10〜40mgKOH/gであり、かつ重
量平均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20
以上であるポリエステル樹脂。 (B)疎水性のアミノ樹脂 (C)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
アミン化合物 (D)成分(A)に対して可塑化能力を有する両親媒性
の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重量%。 (E)保護コロイド作用を有する化合物が成分(A)及
び(B)の合計に対して0.01〜2重量%。 (F)水
【0009】第2に、分散工程、加熱工程、水性化工程
及び冷却工程から成り、前記分散工程では、撹拌下に下
記成分(A)の全部と成分(B)〜(E)の全部または
一部を水媒体中に粗分散させ、加熱工程及び水性化工程
においては、水性化工程が終了する前までに、撹拌下に
残りの成分を加え、或いは加えつつ、60℃及び成分
(A)のガラス転移温度のうちの高い方の温度〜90℃
に加熱し、粗大粒子が系内になくなるまで継続して撹拌
することを特徴とする水系塗料組成物の製造方法であ
る。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
基酸であり、多価アルコール成分の50モル%以上がエ
チレングリコール及び/又はネオペンチルグリコールで
あり、酸価が10〜40mgKOH/gであり、かつ重
量平均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20
以上であるポリエステル樹脂。 (B)疎水性のアミノ樹脂 (C)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
アミン化合物 (D)成分(A)に対して可塑化能力を有する両親媒性
の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重量%。 (E)保護コロイド作用を有する化合物が成分(A)及
び(B)の合計に対して0.01〜2重量%。
【0010】第3に、前記水系塗料組成物から得られ、
60゜グロスが85%以上である塗膜である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (ポリエステル樹脂)本発明において、ポリエステル樹
脂は、本来それ自身で水に分散又は溶解しない本質的に
疎水性のものであり、多塩基酸成分と多価アルコール成
分より実質的に構成されるものであって、多塩基酸、多
価アルコール類より実質的に合成されるものである。以
下に該ポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
【0012】ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸とし
ては、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基
酸が挙げられ、芳香族多塩基酸のうちの芳香族ジカルボ
ン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン
酸等をあげることができ、必要に応じて耐水性を損なわ
ない範囲で少量の5−ナトリウムスルホイソフタル酸や
5−ヒドロキシイソフタル酸を用いることができる。脂
肪族多塩基酸のうちの脂肪族ジカルボン酸としては、シ
ュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸等の飽
和ジカルボン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、(無
水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、ダイマー酸等
の不飽和ジカルボン酸等を挙げることができ、脂環族多
塩基酸のうちの脂環族ジカルボン酸としては、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
2,5−ノルボルネンジカルボン酸(無水物)、テトラ
ヒドロフタル酸(無水物)等を挙げることができる。
【0013】全多塩基酸成分に占める芳香族多塩基酸成
分の含有率の合計は、50モル%以上である必要があ
る。この値が50モル%未満の場合には、脂肪族多塩基
酸及び脂環族多塩基酸に由来する構造が樹脂骨格中の過
半を占めるため、形成される塗膜の硬度、耐汚染性、耐
薬品性、耐水性が低下する傾向にあり、脂肪族及び脂環
族のエステル結合は芳香族エステル結合に比して耐加水
分解性が低いために、水系塗料組成物の貯蔵安定性が低
下することがある。水系塗料組成物の貯蔵安定性及び優
れた塗膜性能(特に塗膜硬度)を確保するためには、全
多塩基酸成分に占める芳香族多塩基酸成分の含有率は6
0モル%以上、さらには70モル%以上が好ましく、形
成される塗膜の他の性能とバランスをとりながらその加
工性、耐水性、耐汚染性、耐薬品性、耐候性を向上させ
ることができる点において、ポリエステル樹脂を構成す
る全多塩基酸成分の65モル%以上がテレフタル酸であ
ることは、本発明の目的を達成するうえで特に好ましい
態様である。
【0014】ポリエステル樹脂を構成する多価アルコー
ル成分としては、グリコールが好ましいものとして挙げ
られ、グリコールとしては、炭素数2〜10の脂肪族グ
リコール、炭素数が6〜12の脂環族グリコール、エー
テル結合含有グリコールを挙げることができる。炭素数
2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−
ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオ
ール等、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることが
できる。エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール等を挙げることができる。さらにビスフェ
ノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサ
イド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付
加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4
−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を挙げるこ
とができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要によ
り使用し得る。ただし、エーテル構造は塗膜の耐水性、
耐候性を低下させることから、その使用量は全多価アル
コール成分の10重量%以下、さらには5重量%以下に
とどめるべきである。
【0015】本発明においては、ポリエステル樹脂を構
成する全多価アルコール成分の50モル%以上、さらに
は65モル%以上がエチレングリコール及び/又はネオ
ペンチルグリコールからなるグリコール成分で構成され
ていることが好ましい。エチレングリコール及びネオペ
ンチルグリコールは工業的に多量に生産されていること
から安価であり、しかも形成される塗膜の諸性能のバラ
ンスがとれ、エチレングリコール成分は特に耐薬品性
を、ネオペンチルグリコール成分は特に耐候性を向上さ
せるという長所を有する。
【0016】本発明で使用されるポリエステル樹脂は、
必要に応じて3官能以上の多塩基酸及び/又は多価アル
コールを共重合することができる。3官能以上の多塩基
酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリ
ット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ト
リメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリ
メリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメ
リテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
等が挙げられ、3官能以上の多価アルコールとしては、
グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。3官能
以上の多塩基酸及び/又は多価アルコールは、全多塩基
酸成分あるいは全多価アルコール成分に対し10モル%
以内、好ましくは5モル%以内で共重合することが好ま
しい。10モル%を越えるとポリエステル樹脂の長所で
ある塗膜の高加工性の発現に難を有する。
【0017】また、本発明で使用されるポリエステル樹
脂には、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安
息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサ
ン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点
のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノ
キシエタノール等の高沸点のモノアルコール、ε−カプ
ロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やそのエステル形
成性誘導体を使用してもよい。
【0018】かかるポリエステル樹脂は、前記のモノマ
ー類より公知の各種の方法を用いて合成される。例え
ば、(a)全モノマー成分及び/又はその低重合体を不
活性雰囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程
度反応させてエステル化反応を行い、引き続いて触媒の
存在下、1Torr以下の減圧下に220〜280℃の
温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポ
リエステル樹脂を得る方法、(b)前記重縮合反応を、
目標とする分子量に達する以前の段階で終了し、反応生
成物を次工程で多官能のエポキシ系化合物、イソシアネ
ート系化合物、オキサゾリン系化合物等から選ばれる鎖
長延長剤と混合し、短時間反応させることにより高分子
量化を図る方法、(c)前記重縮合反応を目標とする分
子量以上の段階まで進めておき、モノマー成分をさらに
添加し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を行うこ
とで目標とする分子量のポリエステル樹脂を得る方法等
を挙げることができる。
【0019】ポリエステル樹脂の酸価としてその含有量
が表されるカルボキシル基は、ポリエステル樹脂の微粒
子の形成(水性化)に必要な官能基であり、樹脂骨格中
に存在するよりも樹脂分子鎖の末端に偏在している方
が、得られる水系塗料組成物の安定性及び形成される塗
膜の耐水性の面から好ましい。副反応やゲル化等を伴わ
ずに、高分子量のポリエステル樹脂の分子鎖末端に特定
量のカルボキシル基を導入する方法としては、前記の方
法(a)において、重縮合反応の開始時以降に3官能以
上の多塩基酸成分を添加するか、あるいは、重縮合反応
の終了直前に多塩基酸の酸無水物を添加する方法、前記
の方法(b)において、大部分の分子鎖末端がカルボキ
シル基である低分子量ポリエステル樹脂を鎖長延長剤に
より高分子量化させる方法、前記の方法(c)におい
て、解重合剤として多塩基酸成分を使用する方法等が好
ましい態様である。
【0020】本発明において、ポリエステル樹脂の酸価
は10〜40mgKOH/gである。特に10〜35m
gKOH/gが好ましい。この酸価が40mgKOH/
gを越えると、形成される塗膜の耐水性が劣る場合があ
る。一方、酸価が10mgKOH/g未満の場合は、水
性化に寄与するカルボキシル基量が十分でなく、良好な
水系塗料組成物を得ることができない。また、かかるポ
リエステル樹脂は、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー,ポリスチレン換算)で測定される重量
平均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20以
上でなければならない。このいずれの条件をも満たさな
い場合には、水系塗料組成物から形成される塗膜に十分
な加工性が付与されない。ポリエステル樹脂の重量平均
分子量は10,000以上、さらには12,000以上
が特に好ましい。上限については、45,000以下が
好ましい。45,000を越えると、ポリエステル樹脂
の製造時の作業性を悪化させる恐れがあるばかりでな
く、このようなポリエステル樹脂を使用した水系塗料組
成物では粘度が異常に高くなる場合がある。また、相対
粘度は1.22以上が好ましく、1.24以上がより好
ましい。相対粘度の上限については、1.95以下が好
ましく、この値を越えると、ポリエステル樹脂の製造時
の作業性を悪化させる恐れがあるばかりでなく、このよ
うなポリエステル樹脂を使用した水系塗料組成物では粘
度が異常に高くなることがある。
【0021】本発明において、水系塗料組成物中のポリ
エステル樹脂の含有率は、アミノ樹脂との固形分重量
比、用途、乾燥膜厚、成形方法等によって適宜選択され
るべきであるが、一般的には10〜60重量%、さらに
は20〜40重量%であることが好ましい。後述するよ
うな製造方法によって得られた水系塗料組成物は、ポリ
エステル樹脂の含有率が20重量%以上といった高固形
分濃度であっても、貯蔵安定性に優れ、他の成分を添加
してゆく際にも極めて安定であるという長所を有する。
しかし、ポリエステル樹脂の含有率が60重量%を越え
ると、該水系塗料組成物の粘度が著しく高くなり、実質
的に他成分の配合や成形が困難となってしまうことがあ
る。
【0022】(アミノ樹脂)本発明の水系塗料組成物に
は、硬化剤として以下に規定される疎水性のアミノ樹脂
を用いる必要がある。アミノ樹脂は、尿素、メラミン、
アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリ
ル等の含アミノ化合物にホルムアルデヒドとアルコール
(ROH)が付加縮合したものの総称である。通常は、
基本骨格を形成するこれら含アミノ化合物に対して、全
アミノ基の2倍当量のホルムアルデヒド及びアルコール
を付加縮合させる必要はなく、また、これらの反応の際
にはある程度の自己縮合を伴うことから、アミノ樹脂と
は、上記の含アミノ化合物のアミノ基が、(1)そのま
ま残存しているか(−NH2 )、(2)イミノメチロー
ル基(−NHCH2 OH)、(3)イミノアルキルエー
テル基(−NHCH2 OR)、(4)ジメチロールアミ
ノ基〔−N(CH2 OH)2 〕、(5)部分アルキルエ
ーテル化ジメチロールアミノ基〔−N(CH2 OH)C
2 OR〕、(6)完全アルキルエーテル化ジメチロー
ルアミノ基〔−N(CH2 OR)2 〕のいずれかの構造
に変換され、しかもこれら(1)〜(6)が縮合して数
量体〜数十量体に高分子量化した複雑で様々な構造を含
有する化合物の総称である。このうちのアルキルエーテ
ル基(−OR)としては、使用されるアルコールによっ
て、メチルエーテル基、エチルエーテル基、n−プロピ
ルエーテル基、イソプロピルエーテル基、n−ブチルエ
ーテル基、イソブチルエーテル基、tert−ブチルエ
ーテル基等を挙げることができる。
【0023】本発明でいう疎水性のアミノ樹脂とは、本
来それ自身で水に安定に分散したり、溶解するものでは
なく、20〜60℃の水100gに対する溶解度の最高
値が5gに達しないものであり、さら3gに達しないも
のであることが好ましい。本来それ自身で水に安定に分
散したり、溶解する、いわゆる、親水性のアミノ樹脂を
用いた場合、塗膜の耐水性を十分なものとすることがで
きない。また、本発明でいう疎水性のアミノ樹脂は、そ
の平均重合度が5以下であることが好ましい。5を越え
ると、後述する水系塗料組成物の製造の際に、系が著し
く増粘するか、該アミノ樹脂由来の粗粒子を含むものし
か得られないことがある。平均重合度としては1.2〜
3.5、さらには1.2〜3が好ましい。かかる疎水性
のアミノ樹脂としては次に述べる(ア)〜(ウ)を例示
することができ、これらは単独、もしくはその2種以上
を併用することができる。 (ア)全骨格構造の70モル%以上が、アセトグアナミ
ン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルから選ばれる
一種類以上の疎水性の骨格構造であるアミノ樹脂 (イ)全骨格構造の30モル%を越えて70モル%未満
が、尿素及び/又はメラミンであり、しかも骨格構造に
対して平均1.5個以上のアルキルエーテル基(−O
R)を有し、その50モル%以下がメチルエーテル基で
あるアミノ樹脂。 (ウ)全骨格構造の70モル%以上が、尿素及び/又は
メラミンであり、しかも骨格構造に対して平均1.5個
以上のアルキルエーテル基(−OR)を有し、そ30モ
ル%以下がメチルエーテル基であるアミノ樹脂。
【0024】本発明の水系塗料組成物の樹脂固形分濃度
は特に限定されるないが、通常、10〜60重量%の範
囲が好ましい。樹脂固形分において、ポリエステル樹脂
(A)及び疎水性のアミノ樹脂(B)の重量比(A)/
(B)は94/6〜60/40である。90/10〜6
5/35が好ましく、85/15〜70/30がより好
ましい。該重量比(A)/(B)が94/6を越える場
合には、どのような乾燥、焼き付け条件を採用しても、
塗膜の耐傷付き性、耐薬品性、耐水性等は十分ではな
い。一方、該重量比(A)/(B)が60/40未満の
場合には、安定な水系塗料組成物が得られないか、塗膜
の加工性が低下する場合がある。
【0025】(アンモニア及び/又は沸点が250℃以
下の有機アミン化合物)本発明の水系塗料組成物には、
樹脂微粒子間の凝集を防ぐために、塩基性化合物を使用
することが必要である。この塩基性化合物は水性化に際
して使用され、ポリエステル樹脂中のカルボキシル基を
中和することに消費されることが好ましく、中和反応で
生成したカルボキシアニオン間の電気反発力によって、
或いは、後述のごく少量の特定の保護コロイド作用を有
する化合物との併用により、特にポリエステル樹脂微粒
子間の凝集を防ぎ、水系塗料組成物として優れた貯蔵安
定性を発現することができる。塩基性化合物としては塗
膜形成時、或いは焼き付け時に揮散する化合物が好まし
く、アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機ア
ミン化合物を使用する。望ましい有機アミン化合物の例
としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノ
ールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミ
ノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノー
ルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルア
ミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプ
ロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、s
ec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプ
ロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチル
イミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリ
ン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。塩
基性化合物は、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキ
シル基に応じて、少なくとも部分中和し得る量、すなわ
ち、カルボキシル基に対して0.5〜1.5倍当量を添
加することが望ましい。0.5倍当量未満では塩基性化
合物添加の効果が認められない恐れがあり、1.5倍当
量を越えると、水系塗料組成物が著しく増粘する場合が
あり、また貯蔵安定性にも劣る場合がある。
【0026】(両親媒性の有機溶剤)本発明において
は、生成した水系塗料組成物の安定性を確保する目的
で、或いは、後述の水性化処理速度を加速させる目的
で、両親媒性の有機溶媒を必要とする。但し、沸点が2
50℃を越えるものは、あまりに蒸発速度がおそく、塗
膜の焼き付け時にもこれを十分に取り除くことができな
いため、沸点が250℃以下であり、しかも毒性、爆発
性や引火性の低い、汎用の有機溶剤が対象となる。両親
媒性の有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性
が少なくとも5g/L以上、望ましくは10g/L以上
であり、ポリエステル樹脂に対して可塑化能力を有する
有機溶剤をいう。この水に対する溶解性が5g/L未満
のものは、水性化処理速度を加速させる効果に乏しく、
安定性が十分ではない水系塗料組成物しか提供できな
い。また、有機溶剤のポリエステル樹脂に対する可塑化
能力は、次のような簡便な試験によって判断することが
できる。すなわち、対象とするポリエステル樹脂から3
cm×3cm×0.5cm(厚さ)の角板を試作し、こ
れを50mlの有機溶剤に浸漬して25〜30℃の雰囲
気で静置する。3時間後に角板の形状が明らかに変形し
ているか、或いは、厚さ方向に対して1kg/cm2
力を静的に加えながら0.2cm径のステンレス製の丸
棒を接触させた際に、丸棒の0.3cm以上が角板に侵
入する場合、その有機溶剤の可塑化能力はあると判断さ
れる。可塑化能力が無いと判断される有機溶剤は、水性
化処理速度を加速させる効果及び水媒体中に分散してい
る樹脂微粒子を安定化させる効果に乏しい。
【0027】かかる有機溶剤としては、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタ
ノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコ
ール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノー
ル、シクロヘキノール等のアルコール類、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n
−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢
酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピ
オン酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等のエステ
ル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール
エチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル
アセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メト
キシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノー
ル、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチ
ル等を例示することができる。これらの溶剤は単一で
も、また2種以上を混合しても使用できる。
【0028】これら例示した有機溶剤のうち、以下の2
条件を満足する化合物を単一で使用するか、また2種以
上を混合して使用する場合、水性化処理速度を加速させ
る効果が特に優れるばかりでなく、水系塗料組成物の安
定性に優れ、しかも塗膜形成性に優れる等の長所を有
し、特に好ましい態様である。 (条件1)分子中に、炭素原子が直接4個以上結合した
疎水性構造を有すること (条件2)分子末端に、ポーリング(Pauling)
の電気陰性度が3.0以上の原子を1個以上含有する置
換基を有し、該置換基中の電気陰性度が3.0以上の原
子と直接結合している炭素原子の13C−NMR(核磁気
共鳴)スペクトルのケミカルシフトが、室温、CDCl
3 中で測定した場合に50ppm以上であるような極性
の置換基を有すること
【0029】(条件2)で規定される置換基としては、
アルコール性ヒドロキシル基、メチルエーテル基、ケト
ン基、アセチル基、メチルエステル基等を例示でき、前
記2条件を満足する化合物のうち、特に好適な有機溶剤
としては、n−ブタノール、イソブタノール、sec−
ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコ
ール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコー
ル、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、
シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸
−3−メトキシブチル等のエステル類、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3
−メチルブタノール、3−メトキシブタノール等を例示
することができる。
【0030】かかる有機溶剤は、沸点が100℃以下で
あったり、水と共沸可能であれば、後述の水性化工程
中、あるいはその後の工程でその一部又はその全てを系
外に除去(ストリッピング)することができるが、最終
的には水系塗料組成物に対して3〜12重量%、好まし
くは5〜12重量%、さらに好ましくは5〜10重量%
含有する必要がある。3重量%未満の場合には、水性化
処理速度を加速させる効果に乏しく、安定性が十分でな
い水系塗料組成物しか提供できないばかりか、塗膜形成
性に劣り、具体的にはハジキ、ワキ等の塗膜欠陥が発生
し易くなる。一方、水系塗料組成物に対して該有機溶剤
の含有率が12重量%を越えると、水系塗料本来の目的
が損なわれるだけでなく、水系塗料組成物の粘度が異常
に高くなったり、貯蔵安定性に劣ったりするという不具
合を生じる場合がある。
【0031】(保護コロイド作用を有する化合物)本発
明では、前述した有機溶剤を系外に除去(ストリッピン
グ)する工程での安定性、そして水系塗料組成物の貯蔵
安定性や他成分との混合安定性を確保する目的で、保護
コロイド作用を有する化合物を使用することが必要であ
る。本発明でいう保護コロイド作用を有する化合物(以
下単に、保護コロイド)とは、水媒体中の樹脂微粒子の
表面に吸着し、いわゆる、「混合効果」、「浸透圧効
果」、或いは「容積制限効果」と呼ばれる安定化効果を
示して樹脂微粒子間の凝集を防ぐ作用を有するものであ
り、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポ
リアクリル酸、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を一
成分とするビニル単量体の重合物、ポリイタコン酸、ゼ
ラチン、アラビアゴム、カゼイン、膨潤性雲母等を例示
することができる。かかる化合物は水溶性、或いは、塩
基性化合物で部分的に中和することによって水溶化する
が、形成される塗膜の耐水性を損なわないためには、該
塩基性化合物はアンモニア及び/又は前記の有機アミン
化合物でなければならない。また、少量添加で保護コロ
イドとしての作用を発現し、形成される塗膜の耐水性、
耐薬品性等を損なわないためには、該保護コロイド作用
を有する化合物の数平均分子量は2,000以上が好ま
しく、2,500以上がより好ましく、さらには3,0
00以上が好ましい。
【0032】かかる保護コロイド作用を有する化合物
は、ポリエステル樹脂及び疎水性のアミノ樹脂の合計に
対して2重量%以下、好ましくは1重量%以下で使用す
れば、形成される塗膜の諸性能を低下させること無く、
上述の各種安定性を著しく向上させることができ、0.
01重量%未満では添加効果が発揮されない。また、か
かる保護コロイド作用を有する化合物を使用することに
より、ポリエステル樹脂の酸価及び前記有機溶剤の含有
量を低減できることから、これを0.01〜2重量%、
さらには0.01〜1重量%の範囲で使用することは好
ましい態様である。
【0033】(水系塗料組成物の製造方法)本発明で
は、上述の各成分を用いて以下の方法により、特殊な設
備や煩雑な操作を必要とせず容易にしかも安価に目的と
する水系塗料組成物を製造することができる。すなわ
ち、この製造方法は、分散工程、加熱工程、水性化工程
及び冷却工程の実質的に4つの工程より成っており、分
散工程においては、撹拌下に前記ポリエステル樹脂であ
る成分(A)の全部と成分(B)〜(E)の全部又は一
部を水媒体中に粗分散させ、加熱工程及び水性化工程に
おいては、水性化工程が終了する前までに(本発明の実
施例の条件では水性化工程終了より20分前までに)、
撹拌下に残りの成分を加え、或いは加えつつ、60℃及
びポリエステル樹脂のガラス転移温度のうちの高い方の
温度〜90℃に加熱し、粗大粒子が系内になくなるまで
(本発明の実施例の条件ではこの温度で20〜100分
間)継続して撹拌を行うことにより、樹脂の微粒子化を
達成し、冷却工程においては、得られた水分散体を室温
付近まで冷却するというものである。本発明の目的とす
る水系塗料組成物を得るためには、これらはいずれも不
可欠の工程であり、連続して実施されなければならな
い。
【0034】処理装置としては、槽内に投入された水媒
体と樹脂粉末ないしは粒状物等から成る混合物を適度に
撹拌でき、槽内を60〜90℃に加熱できればよく、固
/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている
装置を使用することができる。かかる装置として、プロ
ペラミキサー、タービンミキサーのような一軸の撹拌
機、タービン・ステータ型高速回転式撹拌機(特殊機化
工業社製:「T.K.Homo−Mixer」、「T.
K.Homo−Jettor」、IKA−MASCHI
NENBAU社製:「Ultra−Turrax」)、
高速剪断型ミキサと槽壁面を掻き取るスクレーパ付き低
速摺動型の混練パドルやアンカーミキサを併設したよう
な複合型撹拌機(特殊機化工業社製:「T.K.Agi
−Homo−Mixer」、「T.K.Combimi
x」)等を例示することができる。処理装置は、バッチ
式であってもよく、原料投入と処理物の取り出しを連続
で行うような連続生産式のものであってもよい。また処
理槽は密閉できるものが好ましいが、使用する有機溶剤
の沸点が100℃以上であれば開放型のものであっても
作業に支障を生じることはない。
【0035】(分散工程)かかる処理装置に原料を投入
する方法としては、全原料を一括して槽内に投入する方
法、原料の一部をまず投入して、ある段階で残りの原料
を投入する方法、原料を分割するか、或は、連続して投
入する方法が考えられる。また、分散工程以降の工程で
一部の原料を投入することも考えられる。本発明ではこ
れらの何れの方法も基本的には採用できる。しかし、粉
末、粒状又はペレット状で供給されるポリエステル樹脂
は無撹拌、或いは撹拌速度が十分でない状態でガラス転
移温度以上に加熱されると、粉末、粒状又はペレットが
互いにくっついて塊状となり、これをいくら高速撹拌し
ても完全な水性化は達成されなくなることから、少なく
ともポリエステル樹脂は分散工程中に、その全てを槽内
に投入すべきである。その他の原料(B)〜(E)につ
いては、分散工程〜水性化工程の何れの段階でも槽内に
投入することができるが、後述の水性化工程が終了する
前までに(本発明の実施例の条件では水性化工程終了よ
り20分前までに)、その全てを槽内に投入する必要が
ある。もしこの条件が満足されない場合は、得られた水
系塗料組成物の貯蔵安定性が劣ったり、高光沢の塗膜が
得られない場合がある。また、保護コロイドは、これを
添加する目的から、水性化が始まる以前に水媒体中に溶
解、或は均一分散しておく必要がある。特に水媒体に難
溶性のものは分散工程以前に投入するか、或いは、保護
コロイドの水溶液を予め調整しておき、これを槽内に投
入することが好ましい。
【0036】ポリエステル樹脂の塊状化を防ぐ目的で実
施される分散工程は、通常、室温下での撹拌によって行
われるが、次工程の加熱工程に時間を要する場合には、
槽内を加熱しながら分散工程を実施してもよい。その
際、槽内温度が40℃に達するまでにポリエステル樹脂
粉末ないし粒状物を水媒体に均一分散しておく必要があ
る。なお、本発明でいう水媒体とは、水又は水と前記有
機溶剤及び/又は塩基性化合物及び/又は保護コロイド
との混合物である。分散工程の終点、すなわち、ポリエ
ステル樹脂粉末ないし粒状物が水媒体に均一分散してい
る状態とは、T.N.Zwietering(Chem
ical Engineering Science,
8巻,244頁,1958年)が定義した「完全浮遊状
態」、すなわち、粒子が一個も槽底に1〜2秒間以上留
まってない状態のことであり、槽内はこの「完全浮遊状
態」を達成する完全浮遊撹拌速度NJS以上で撹拌される
ことが好ましい。槽内の撹拌状態は、通常、目視によっ
て簡便に判断できる。完全浮遊撹拌速度は、使用する撹
拌羽根の種類、大きさや槽内の位置、ポリエステル樹脂
の投入量やその形状等の多数の因子によって左右される
ため、実際の処理装置を用いた試験によって決定されな
ければならない。また、槽内の撹拌速度をNJSよりも更
に高くしていくと、ある速度NSA以上で自由表面からの
気体の巻き込みが始まる。この現象は、市販の消泡剤に
よって解消、或いは低減されるが、槽内の撹拌速度は、
JS〜NSAの範囲であるのが好ましい。槽内がこの状態
に達したならば、この状態を保って速やかに加熱工程に
移るべきである。「完全浮遊状態」に達する以前に槽内
を加熱すると前記の塊状化が起こる場合がある。
【0037】(加熱工程)加熱工程は、水性化工程に要
する温度に槽内を加熱する工程であり、槽内に前記有機
溶剤及び塩基性化合物が存在しておれば、この工程で既
に樹脂微粒子の形成は始まっている。但し、その速度は
十分でないため、できるだけ短時間で所定の温度まで槽
内を加熱することが好ましい。槽内を加熱する方法とし
ては、槽壁にジャケットを備え付けるか、槽内に螺旋コ
イル管を挿入する、或いは、両者を併用する方法があ
る。本発明においては何れの方法も採用できるが、加熱
工程に要する時間を短縮し、しかも、槽内温度を均一に
し、高精度で制御できる方法が望ましい。また、本工程
中に系の粘度が異常に増加する場合があるが、そのよう
な場合には、前記有機溶剤及び塩基性化合物の何れかを
水性化工程で槽内に投入することでこの問題を解決する
ことができる。
【0038】(水性化工程)槽内温度が、ポリエステル
樹脂のガラス転移温度もしくは60℃のうちの高い方の
温度に到達した時点をもって、本発明では「水性化工
程」に移行したと捉える。これは、低温でも進行する水
性化(樹脂微粒子の形成)が、該温度以上に槽内を加熱
することにより、驚くほどの速さで進行するようになる
という事実だけでなく、低温で処理を行った場合には、
前述した「系の異常な増粘現象」が発生して、実質的に
槽内を撹拌することが不可能になり、目的とする水分散
体が得られなくなる場合があるのに対して、前記温度以
上で水性化を進める場合にはこのような問題が一切、発
生しないという事実からも、前述した槽内温度に関する
条件は、本発明の目的とする水系塗料組成物を得るため
の重要な条件であると理解すべきである。但し、槽内温
度を90℃以下に制御することが好ましい。90℃を越
えると、水の蒸発が著しくなり、これにより生成した樹
脂微粒子の凝集が助長される場合がある。
【0039】水性化工程では、水媒体の粘度が幾分かは
上昇するため、前記NSAよりも高い撹拌速度N’SAで自
由表面からの気体の巻き込みが始まる。従って、NJS
N’SAの範囲で撹拌を行うのが好ましい。撹拌速度がN
JS未満では、水性化が進行しているポリエステル樹脂粉
末ないし粒状物の表面の更新が十分ではないため、水性
化に要する時間が長くなってしまうし、また、アミノ樹
脂の微粒子化が不可能なためか、貯蔵安定性に優れる水
系塗料組成物が得られない場合がある。一方、N’SA
越えても、発泡という作業性の問題だけでなく、気体の
巻き込みにより樹脂と水媒体との接触面積が小さくな
り、水性化工程に時間を要することになる。
【0040】水性化工程の終点は、粗大粒子が系内にな
くなった時点とする。粗大粒子の有無は次のようにして
判断される。すなわち、系から系を代表する一部をサン
プリングしてこれをフィルター等でろ過し、フィルター
上の残存物の固形分重量によって、粗大粒子を定量する
ことができ、本発明でいう粗大粒子とは、635メッシ
ュ、線径0.02mm、平織のステンレス製フィルター
を加圧下でも通過しない樹脂粒子のことであり、該フィ
ルターを用いてろ過した際のフィルター上に残存するも
のの固形分重量が成分(A)及び(B)の合計に対して
1重量%以下の場合に、粗大粒子は系内になくなったと
判断する。該固形分重量が1重量%を越える場合には、
さらに目開きの小さいフィルターでろ過を繰り返しても
樹脂粒子の粒径分布が広く、粒子の凝集・沈殿を招き、
優れた貯蔵安定性を有する水系塗料組成物は得られな
い。系内に粗大粒子が認められなくなるまで、攪拌を継
続した時点で次の冷却工程に移行してもよいが、有機溶
剤の系外への除去(ストリッピング)を行ってもよい。
【0041】水性化工程は、通常、上述の条件に従って
粗大粒子が系内になくなるまで撹拌を継続することによ
って達成される。それ以上攪拌をつづけると、ポリエス
テル樹脂及び疎水性のアミノ樹脂が加水分解を受け、優
れた性能を有する塗膜が形成されないだけでなく、得ら
れた水系塗料組成物の貯蔵安定性に劣る場合がある。
(本発明の実施例の条件では水性化工程の終点は、この
温度で20〜100分間撹拌を継続することによって達
成され、この工程が20分間未満の場合には、粗大粒子
が系内に多く残存しており、得られた水系塗料組成物の
貯蔵安定性に劣る場合があり、100分間を越えると、
ポリエステル樹脂及び疎水性のアミノ樹脂が加水分解を
受け、優れた性能を有する塗膜が形成されないだけでな
く、得られた水系塗料組成物の貯蔵安定性が劣るものと
なった。)
【0042】(冷却工程)この工程では生成した水分散
体を室温付近まで冷却するための工程であり、自然冷却
してもよいし、前記ジャケットやコイル管に冷媒を通し
て強制冷却してもよい。その際には、形成された水分散
体表面の水のみが蒸発して固形分濃度の高い被膜を形成
する、いわゆる、「皮張り」を防ぐため、また生成した
水分散体は高温ほど貯蔵安定性に劣ることから、該水分
散体が40℃以下に冷却されるまでは撹拌することが好
ましい。但し、撹拌は前記目的を達するためのものであ
ればよく、その速度はNJS以下で行うのが好ましい。
尚、冷却工程で、後述するような他の物質を添加、混合
することも可能である。
【0043】(水系塗料組成物の特性)かかる方法によ
って得られた水分散体は、必要に応じて硬化助剤として
有機アミン化合物でブロックした酸触媒、例えば、p−
トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等を
樹脂固形分に対して0.01〜3重量%添加してもよ
い。また、同様にレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、
レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、滑剤等の各種
添加剤を添加してもよい。また酸化チタンや亜鉛華、カ
ーボンブラック等の顔料や染料、或いは他の水性樹脂と
混合使用することができる。本発明でいう水系塗料組成
物とは、上述のような方法で得られる水分散体及びこれ
にかかる他成分を配合したものの総称である。
【0044】本発明における水系塗料組成物において
は、750nmの光透過率が1〜80%であることが好
ましい。かかる光透過率は、水系塗料組成物をなんら希
釈すること無く測定されるものであり、1%未満の場合
には、粗粒子を含むため、該水系塗料組成物の貯蔵中に
凝集や沈澱を生成し易く、これより得られる塗膜の光沢
や各種耐性に劣る場合がある。一方、80%を越える
と、水媒体中に分散して存在する樹脂微粒子の粒径が細
かすぎるために、ポリエステル樹脂及びアミノ樹脂が加
水分解を受け易く、その結果として該水系塗料組成物の
貯蔵安定性が劣り、これより形成される塗膜の耐水性や
耐薬品性、加工性等が十分でない場合がある。かかる光
透過率は、上記水分散体の製造において、ポリエステル
樹脂の酸価及び分子量、疎水性のアミノ樹脂の組成、塩
基性化合物の添加量、有機溶剤の種類及び添加量等によ
って主に制御できるが、水系塗料組成物の固形分濃度や
成形方法、さらにはこれより形成される塗膜に対する要
求性能等を勘案して制御すべきである。好ましくは、2
〜75%、3〜70%がさらに好ましい態様である。
【0045】なお、光の吸収や散乱等により、光の透過
を妨げる顔料や染料等を含む水系塗料組成物について
は、以下の2法のいずれかにより光透過率を測定するこ
とができる。 (1)ポリエステル樹脂やアミノ樹脂に対して比重差の
大きい顔料を含む場合は、遠心分離を行い、固形分に対
する顔料の含有率が1重量%未満でかつ、顔料以外の固
形分濃度が計算値の98%以上を満たす上澄液を調整
し、これを分析に供する。 (2)前記の方法(1)の方法が使えない染料等を含む
場合は、該染料に由来する透過率の低下分(吸光度)を
予め測定しておき、水系塗料組成物で得られた結果より
この寄与を除去する。
【0046】(水系塗料組成物より形成される塗膜)本
発明の水系塗料組成物は、ディップコート法、はけ塗り
法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコー
ト法、カーテンフローコート法、各種印刷法等により、
金属、樹脂成形体、紙、ガラス等の各種基材上に均一に
塗装することができ、必要に応じて室温付近でのセッテ
ィングや低温での乾燥工程を経た後、焼き付けを行うこ
とで、均一で光沢度が高く、しかも各種の性能に優れた
塗膜を得ることができる。焼き付けは、通常、熱風循環
型のオーブンや赤外線加熱ヒーター等により、120〜
250℃で30秒〜30分間加熱することで達成され
る。得られる塗膜は、塗装方法や用途、要求性能等によ
っても異なるが、通常は0.1〜100μmの厚みを有
し、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂とが化学結合を介し
て架橋構造を形成している。
【0047】本発明では、かかる塗膜の60゜グロスが
85%以上であることが好ましい。85%未満の場合に
は、少なくとも前記(A)、(B)及び(E)の3成分
を含有し、しかもポリエステル樹脂とアミノ樹脂との硬
化反応が十分に進んでいても、優れた塗膜性能を発現す
ることができないケースがある。塗膜の60゜グロス
は、88%以上、さらには90%以上が特に好ましい。
上述の塗膜の光沢が低いことの原因について、本発明者
等が検討したところ、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂と
の硬化反応が進行している場合であっても、両者がミク
ロなレベルで分離していることが判明した。この問題を
解決するためには、通常、(a)塗装〜焼き付け条件を
工夫する、(b)ポリエステル樹脂とアミノ樹脂とを一
部反応させた後に塗料組成物を作成するという方法が採
られる。しかし、(a)ではその用途や使用条件を制限
することになり、(b)についても、両者の反応が必要
なことから、更に一工程が必要であり、しかも該反応を
高度に制御しなければ、特にゲル化が起こり、その結果
として水性化が不可能となったり、均一な塗膜が得られ
ないといった様々な問題が発生する。これに対して本発
明では、このような問題や制限が一切なく、しかも容易
に水系塗料組成物及び塗膜を提供できる点において、明
らかに従来の技術とは区別されるものである。
【0048】
【実施例】以下に実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。各分析項目は以下の方法に従って行った。
【0049】(1)ポリエステル樹脂の組成1 H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)より
求めた。また、 1H−NMRスペクトル上に帰属・定量
可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂に
ついては、封管中230℃で3時間メタノール分解を行
った後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析を
行った。 (2)ポリエステル樹脂の重量平均分子量、相対粘度 前述したように、GPC分析(島津製作所製,溶媒:テ
トラヒドロフラン,紫外−可視分光光度計、検出波長2
54nmにより検出,ポリスチレン換算)より求めた。
また、相対粘度はポリエステル樹脂をフェノール/1,
1,2,2−テトラクロロエタンの等重量混合溶媒に1
重量%の濃度で溶解し、ウベローデ粘度管を用いて、2
0℃で測定した。
【0050】(3)ポリエステル樹脂の酸価 ポリエステル樹脂1gを30mlのクロロホルム又はジ
メチルホルムアミド(DMF)に溶解し、フェノールフ
タレインを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消
費されたKOHのmg数を酸価として求めた。 (4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度 ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示
差走査熱量測定)装置(パーキン エルマー社製 DS
C7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行
い、求めた。
【0051】(5)水系塗料組成物の固形分濃度 作成された水系塗料組成物を適量秤量し、これを該水系
塗料組成物中に含まれる有機溶剤の沸点以上の温度で残
存物(固形分)の重量が恒量に達するまで加熱し、固形
分濃度を求めた。 (6)水系塗料組成物の光透過率 作成された水系塗料組成物をなんら希釈すること無く、
セル長0.2cmの石英製セルに入れ、25℃で750
nmの光透過率を測定した。尚、ブランクとして蒸留水
を用いた。
【0052】(7)水系塗料組成物の粘度 コーン・プレート型の回転粘度計((株)レオロジ製,
MR−3ソリキッドメータ)を用い、剪断速度10se
-1、30℃での粘度を測定した。但し、水系塗料組成
物のチキソ性を考慮して、回転を始めて定常状態になっ
た時点での粘度を求めた。 (8)水系塗料組成物の貯蔵安定性 調製した水系塗料組成物について、その塗料粘度をフォ
ードカップ#4を用いて、調製時及び室温、1カ月貯蔵
後に25℃の条件で測定し、以下の基準に従って評価し
た。 ○:外観の変化が認められず、調整時及び貯蔵後の塗料
粘度の差が10秒以内におさまっている。 △:外観の変化は認められないが、調整時及び貯蔵後の
塗料粘度の差が10秒を越えてしまう。 ×:相分離、沈殿、固化等の明らかな外観変化が認めら
れる。
【0053】(9)塗膜の厚み 厚み計(ユニオンツール(株)製、「MICROFIN
E Σ」)を用いて、スチール板及びアルミ板の厚みを
予め測定しておき、硬化後の塗装板の厚みを同様に測定
してその差の平均値を塗膜の厚みとした。 (10)塗膜の光沢 グロスメーター(堀場製作所、グロスチェッカIG−3
10)で60゜グロスを測定した。
【0054】(11)塗膜の加工性 塗装金属板を塗装面が外面になるように、しかも折り曲
げ部に同じ板厚のものを挟んだ状態で折り曲げ、屈曲部
に発生する割れを40倍の蛍光顕微鏡で観察し判定し
た。表2〜4中の「nT」とは、折り曲げ部に同じ板厚
のものをn枚挟んだ場合でも屈曲部に割れを発生しない
最少枚数を意味する。 (12)塗膜の鉛筆硬度 塗面をJIS S−6006に規定された高級鉛筆を用
い、JIS K−5400に従って測定した。
【0055】(13)塗膜の耐傷付き性 塗装金属板の塗装面に、市販のティン・フリー・スチー
ル板(TFS、0.2mm厚、テンパーT4)を載せ、
50g/cm2 の荷重を加えながらTFSの圧延方向に
対して直角方向に室温でそれぞれ往復50回擦り合せ
た。そして、以下の基準に従って評価を行った。 ○:塗膜に全く損傷が認められない。 △:塗膜表面に傷が認められるが、金属が露出するには
至っていない。 ×:金属が露出している。
【0056】(14)塗膜の耐溶剤性 キシレンを含浸させたガーゼを用いて塗膜をこすり、金
属面が現れるまでの往復回数を記録した。 (15)塗膜の耐熱水性 塗装金属板を80℃の熱水浴中で1時間処理し、風乾後
に上記(10)に従って塗膜の光沢を測定し、次式で表
される光沢保持率(%)を求めた。 光沢保持率(%)=(処理後の光沢/処理前の光沢)×
100
【0057】(ポリエステル樹脂の製造例) ポリエステル樹脂A−1 テレフタル酸1,578g、イソフタル酸83g、エチ
レングリコール374g、ネオペンチルグリコール73
0gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃で
2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで二
酸化ゲルマニウムを触媒として0.262g添加し、系
の温度を30分間で280℃に昇温し、系の圧力を徐々
に減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下
で更に重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガス
で常圧にし、系の温度を下げ、260℃になったところ
でイソフタル酸50g、無水トリメリット酸38gを添
加し、255℃で30分間撹拌し、シート状に払い出し
た。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシ
ャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画をポ
リエステル樹脂A−1として得た。ポリエステル樹脂A
−1の分析結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】ポリエステル樹脂A−2〜A−6 ポエステル樹脂A−1と同様な方法で種々のポリエステ
ル樹脂A−2〜A−6を製造した。各樹脂の分析結果を
表1に示す。
【0060】ポリエステル樹脂A−7 テレフタル酸1,973g,イソフタル酸104g、エ
チレングリコール430g、ネオペンチルグリコール9
80gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃
で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで
二酸化ゲルマニウム0.329gを添加し、系の温度を
30分間で280℃に昇温し、その後、系の圧力を徐々
に減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下
で更に重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガス
で常圧に戻し、系の温度を下げ、250℃になったとこ
ろでネオペンチルグリコール52gを添加し、245℃
で30分撹拌を続け、更に系を200℃まで降温し、無
水フタル酸56gを添加して10分反応をさせた後に、
ポリエステル樹脂A−1と同様な方法で粒状のポリエス
テル樹脂A−7を得た。樹脂の分析結果を表1に示す。
【0061】ポリエステル樹脂A−8 テレフタル酸1,417g、イソフタル酸244g、エ
チレングリコール344g、ネオペンチルグリコール7
84gからなる混合物をオートクレープ中で、260℃
で2.5時間加熱してエステル化反応を行った。次いで
二酸化ゲルマニウム0.273gを添加し、系の温度を
30分間で280℃に昇温し、その後、系の圧力を徐々
に減じて1時間後に0.1Torrとした。この条件下
で更に重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガス
で常圧に戻し、系の温度を下げ、250℃になったとこ
ろで無水トリメリット酸57.5gを添加し、245℃
で10分間攪拌を続け(第1段階の解重合)、更に系を
210℃まで降温し、2,2−ビス(4−ヒドロキシエ
トキシフェニル)プロパン31.5gを添加して60分
間反応させた(第2段階の解重合)。そして、ポリエス
テル樹脂A−1と同様な方法で粒状のポリエステル樹脂
A−8を得た。樹脂の分析結果を表1に示す。
【0062】ポリエステル樹脂A−9 ポリエステル樹脂A−8と同様に、酸無水物を添加して
第1段階の解重合を行った後、多価アルコール成分を添
加して第2段階の解重合を行い、ポリエステル樹脂A−
9を製造した。解重合剤の種類、添加量及び得られた樹
脂の分析結果を表1に示す。
【0063】(アミノ樹脂)実施例に使用したアミノ樹
脂は次のとおりである。 アミノ樹脂B−1:三井サイテック(株)製、マイコー
ト106 (メチルエーテル型タイプのベンゾグアナミ
ン樹脂、エチレングリコールブチルエーテル77重量%
溶液) アミノ樹脂B−2:三井サイテック(株)製、サイメル
1123 (メチル/エチル混合エーテル型タイプのベ
ンゾグアナミン樹脂、固形分濃度100%) アミノ樹脂B−3:三井サイテック(株)製、マイコー
ト106/同、マイコート508(ブチルエーテル型タ
イプのメラミン樹脂、n−ブタノール80重量%溶液)
の等重量混合溶液 アミノ樹脂B−4:三井サイテック(株)製、サイメル
325 (メチルエーテル型タイプのメラミン樹脂、イ
ソブタノール80重量%溶液)
【0064】(水系塗料組成物の製造及び塗膜の形成,
評価) 実施例1〜11及び比較例1〜5 後述する方法によって水系塗料組成物を得た。いずれの
場合も、ろ過時に粗大粒子は認められなかった。得られ
た水系塗料組成物はそれぞれ特性評価を行うと共に、市
販のTFS(0.2mm厚、テンパーT4)上に安田精
機(株)製、フィルムアプリケータNo.542−AB
(バーコータ)を用いて塗布し、70℃で30秒間予備
乾燥を行った後、170℃で10分間焼付けを行い、硬
化塗膜を得た。水系塗料組成物の原料及び水性化条件、
得られた水系塗料組成物の分析結果及び硬化塗膜の評価
結果を表2〜3に示す。
【0065】水性化条件C−1:ジャケット付きの2L
ガラス容器を備え、しかも装着時にはこれが密閉状態と
なる卓上型ホモディスパー(特殊機化工業(株)製,T
Kロボミックス)を用いて、ガラス容器に、ポリエステ
ル樹脂 240g、所定量のアミノ樹脂、エチレングリ
コール−n−ブチルエーテル 70g、ポリビニルアル
コール(ユニチカ(株)「ユニチカポバール」050
G)0.015重量%水溶液 600g及び該ポリエス
テル樹脂中に含まれる全カルボキシル基量の1.0倍当
量に相当するN,N−ジメチルエタノールアミン(以
下、DMEA)を投入し、6,000rpmで撹拌した
ところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、
完全浮遊状態となっていることが確認された。そこでこ
の状態を保った10分後にジャケットに熱水を通し、加
熱した。そして系内温度が60℃、或いは該ポリエステ
ル樹脂のガラス転移温度のうちの高い方の温度に達した
ところで撹拌を7,000rpmとし、系内温度を70
〜72℃に保って更に25分間撹拌し、乳白色の均一な
水分散体を得た。そしてジャケット内に冷水を流して3
500rpmで撹拌しながら室温まで冷却し、ステンレ
ス製フィルター(635メッシュ、線径0.02mm平
織)を用いて濾過して水系塗料組成物を得た。
【0066】水性化条件C−2:水性化条件C−1にお
いて、冷却工程を経て、系内温度が室温になったところ
で、該水系塗料組成物の全固形分に対して1重量%のp
−トルエンスルホン酸(実際には、等モルのトリエチル
アミンとの中和塩として)を、3500rpmで撹拌し
ながら系に添加し、10分間撹拌を続けた後に、上記の
濾過を行って水系塗料組成物を得た。 水性化条件C−3:ポリエステル樹脂 300g、所定
量のアミノ樹脂、n−ブタノール 70g、保護コロイ
ド水溶液としてポリイタコン酸(磐田化学工業(株)
製、PIA−728)の0.015重量%水溶液600
g及び該ポリエステル樹脂中に含まれる全カルボキシル
基量の1.2倍当量に相当するトリエチルアミンを用い
る以外はC−1と同様な操作を行って水系塗料組成物を
得た。
【0067】水性化条件C−4:ポリエステル樹脂 2
50g、n−ブタノール 40g、保護コロイド水溶液
としてヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学工業
(株)製、「HECダイセル」SP800)の0.03
重量%水溶液650g及び該ポリエステル樹脂中に含ま
れる全カルボキシル基量の1.15倍当量に相当するD
MEAを上記ガラス容器に仕込み、C−1と同様に分散
工程〜水性化工程を行った。そして、水性化工程開始2
0分後に、所定のアミノ樹脂を5g/分の速度で系に添
加し、引き続いて撹拌を20分行い、C−1と同様の冷
却工程を行った後に、C−2と同様な操作で硬化触媒を
系に添加した。 水性化条件C−5:C−1において、DMEA以外の原
料を仕込んで同様な操作を行い、水性化工程開始直後に
DMEAを5g/分の速度で系に添加して水性化を行っ
た。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】比較例6 転相乳化を試みるため、ポリエステル樹脂A−1 24
0g、アミノ樹脂B−1 77.9g(固形分重量比8
0/20)及びエチレングリコール−n−ブチルエーテ
ル 70gを上記のガラス容器に仕込み、80℃で1時
間撹拌したが、樹脂はほとんど溶解しなかった。
【0071】比較例7〜8 水性化工程を15分に短縮した以外は実施例1と同様に
水性化を行ったが(比較例7)、系内に粗大粒子が多く
残存していたため、濾過を行わなかった。該水分散体を
室温で貯蔵したところ、経時で沈澱量が増加してゆき、
実用に供し難いものであった。一方、水性化工程を12
0分実施したところ(比較例8)、750nmの光透過
率が87%の水系塗料組成物が得られた。該水分散体を
室温で貯蔵したところ、20日後には固化していた。
【0072】比較例9 実施例1において、アミノ樹脂B−1以外の原料を用い
て水性化を行い、水性化工程終了時に、アミノ樹脂を5
g/分の速度で系に添加し、添加後すぐに冷却工程に移
行したが、冷却に伴い、系は増粘し、室温では固化し
た。
【0073】比較例10 実施例6において、アミノ樹脂B−2以外の原料を用い
て水性化を行い、水性化工程終了時に、アミノ樹脂B−
2を5g/分の速度で系に添加し、添加後すぐに冷却工
程に移行した。得られた水系塗料組成物X−17より実
施例6と同様にして硬化塗膜を得た。塗膜の評価結果を
表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】比較例11 アミノ樹脂B−1の仕込み量を255g(ポリエステル
樹脂との固形分重量比55/45)とする以外は実施例
1と同様に水性化を試みたが、水性化工程中で著しく増
粘し、撹拌が困難となった。
【0076】比較例12〜13 実施例1において、エチレングリコール−n−ブチルエ
ーテルの仕込み量を200g(co-sol.19.3%total)に変
更する以外は同様な操作で水性化を行い、750nmの
光透過率が83.4%の水系塗料組成物を得た(比較例
12)。該水系塗料組成物を室温で貯蔵したところ、2
5日後には固化していた。一方、エチレングリコール−
n−ブチルエーテルを全く仕込まない場合(co-sol.1.9
%total)には、前記透過率が0.1%の水系塗料組成物
が得られたが、粗粒子のために、どのような条件でも均
一な塗膜を得ることはできなかった(比較例13)。
【0077】実施例12〜14 前記の各種水系塗料組成物を用いて、市販のアルミ(3
004H19材、リン酸−クロム酸塩系化成処理品、
0.26mm厚)板上に実施例1と同様にして硬化塗膜
を形成した。使用した水系塗料組成物及び塗膜の評価結
果を表4に示す。
【0078】比較例14 実施例4において、アミノ樹脂B−1を添加することな
く水系塗料組成物を作成した。そして該水系塗料組成物
を室温で前記の卓上型ホモディスパーを用いて3500
rpmで撹拌しながら、アミノ樹脂B−4 75g(ポ
リエステル樹脂との固形分重量比80/20)を3g/
分の速度で注意深く添加してゆき、水系塗料組成物X−
18を得た。これを用いて実施例4と同様にして塗膜を
作成した。塗膜の評価結果を表4に示す。
【0079】
【発明の効果】本発明の水系塗料組成物は、ポリエステ
ルを構成する酸成分として芳香族多塩基酸(特にテレフ
タル酸)の含有率が高く、しかも重量平均分子量が9,
000以上又は相対粘度が1.20以上という高分子量
のポリエステル樹脂と特定の疎水性のアミノ樹脂とを含
有しながらも、有機溶剤の含有率が低く、しかも優れた
貯蔵安定性を有する。また、この水系塗料組成物から形
成される硬化塗膜は、優れた光沢、金属板への密着性、
加工性、耐傷付き性、耐薬品性、耐候性、硬度等を兼ね
備えているだけでなく、特に耐水性に優れる(ポリエス
テルを構成する酸成分としてテレフタル酸を用いたもの
は、これらの性質がより優れる)。したがって、本発明
の水系塗料組成物は、缶用塗料やPCM塗料として好適
に用いることができる。さらに、本発明の製造方法によ
れば、このような水系塗料組成物を、特殊な設備や煩雑
な操作を必要とせずに容易に製造でき、この方法に従え
ば、樹脂の水性化と塗料化を一工程で行えることから、
生産コストの面からも非常に有利である。特に水系塗料
は、従来の溶剤型塗料に比べ、樹脂を水性化させる分、
生産コストが上昇することが問題となっていたが、この
製造方法は、この問題を解決することができる点におい
ても画期的ということができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徐 静華 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 畑 喜代美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(A)〜(F)を少なくとも含
    有し、成分(A)と(B)の重量比(A)/(B)が9
    4/6〜60/40であることを特徴とする水系塗料組
    成物。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
    構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
    基酸であり、多価アルコール成分の50モル%以上がエ
    チレングリコール及び/又はネオペンチルグリコールで
    あり、酸価が10〜40mgKOH/gであり、かつ重
    量平均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20
    以上であるポリエステル樹脂。 (B)疎水性のアミノ樹脂 (C)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
    アミン化合物 (D)成分(A)に対して可塑化能力を有する両親媒性
    の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重量%。 (E)保護コロイド作用を有する化合物が成分(A)及
    び(B)の合計に対して0.01〜2重量%。 (F)水
  2. 【請求項2】 750nmの光に対する透過率が1〜8
    0%であることを特徴とする請求項1記載の水系塗料組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成
    分の65モル%以上がテレフタル酸である請求項1又は
    2記載の水系塗料組成物。
  4. 【請求項4】 分散工程、加熱工程、水性化工程及び冷
    却工程から成り、前記分散工程では、撹拌下に下記成分
    (A)の全部と成分(B)〜(E)の全部または一部を
    水媒体中に粗分散させ、加熱工程及び水性化工程におい
    ては、水性化工程が終了する前までに、撹拌下に残りの
    成分を加え、或いは加えつつ、60℃及び成分(A)の
    ガラス転移温度のうちの高い方の温度〜90℃に加熱
    し、粗大粒子が系内になくなるまで継続して撹拌するこ
    とを特徴とする水系塗料組成物の製造方法。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分より実質的に
    構成され、多塩基酸成分の50モル%以上が芳香族多塩
    基酸であり、多価アルコール成分の50モル%以上がエ
    チレングリコール及び/又はネオペンチルグリコールで
    あり、酸価が10〜40mgKOH/gであり、かつ重
    量平均分子量が9,000以上又は相対粘度が1.20
    以上であるポリエステル樹脂。 (B)疎水性のアミノ樹脂 (C)アンモニア及び/又は沸点が250℃以下の有機
    アミン化合物 (D)成分(A)に対して可塑化能力を有する両親媒性
    の有機溶剤が水系塗料組成物に対して3〜12重量%。 (E)保護コロイド作用を有する化合物が成分(A)及
    び(B)の合計に対して0.01〜2重量%。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3記載の水系塗料組成物から
    得られ、60゜グロスが85%以上である塗膜。
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