JPH11124279A - エレベータ群に乗り場コールを割り当てる遺伝的方法 - Google Patents

エレベータ群に乗り場コールを割り当てる遺伝的方法

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JPH11124279A JP10229686A JP22968698A JPH11124279A JP H11124279 A JPH11124279 A JP H11124279A JP 10229686 A JP10229686 A JP 10229686A JP 22968698 A JP22968698 A JP 22968698A JP H11124279 A JPH11124279 A JP H11124279A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術の方法よりも実質的に迅速で正確な
エレベータ群に含まれるエレベータのコールの割当ての
ための遺伝的方法を提供し、例えば現在入手可能な処理
装置の計算能力によってもリアルタイム修正を可能にす
る。 【解決手段】 複数の割当選択肢、すなわち染色体(33)
を作り、各染色体は各乗り場コールに関するコールデー
タ項目およびエレベータデータ項目を含み、これらのデ
ータ、すなわち遺伝子は全体として、その乗り場コール
に対して働くエレベータを決定する。適合度関数値(34)
をそれぞれの染色体(33)に対して決定し、染色体(33)の
1つ以上のものを修正し、適合度関数値に基づいて最良
の染色体(33)を選択し、この染色体に従ってエレベータ
群を制御する。本発明によれば、染色体(33)およびそれ
らに対応する適合度関数値(34)をファイル、すなわち遺
伝子バンクに集め、生成した各染色体(33)を遺伝子バン
ク内の染色体(33)と比較し、新しい染色体(33)について
のみ、適合度関数値(34)を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ群に含
まれるエレベータの乗り場コール装置を介して入力され
るコールを割り当てるための遺伝的方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】乗客がエレベータに乗りたい時、乗客は
当該階に取り付けられている乗り場コールボタンを押し
てエレベータを呼ぶ。エレベータ制御装置はそのコール
を受信し、エレベータのうちのどれをそのコールに供す
るのが最善であるかを決めようとする。ここで行われる
作業はコール割当と言われる。割当によって解決すべき
問題は、エレベータのうちのどれが、事前に選択した費
用関数を最小限にするかを発見することである。
【0003】従来は、エレベータのうちのどれをコール
に供するのが適しているかを決めるために、個々の場合
において複雑な条件構造を用いて推論を別個に行なって
いる。エレベータ群においては、起こり得る状態が複雑
な変化に富むので、条件構造も複雑になり、それらには
しばしば不一致が残される。このことが、制御が最善の
可能な手順で機能しない状態を生んでいる。さらに、エ
レベータ群全体をまるごと考慮に入れることは困難であ
る。
【0004】フィンランド特許出願第951925号はエレベ
ータ群における乗り場コールの割当方法を開示してお
り、そこでは上述の問題のいくつかが解消されている。
この方法は、多数の割当選択肢を作ることを基本として
おり、各選択肢が、生起した各乗り場コールに関するコ
ールデータ項目とエレベータデータ項目とを有してお
り、これらのデータが全体として、それぞれの乗り場コ
ールに供するエレベータを決定している。この後、費用
関数の値をそれぞれの割当選択肢毎に計算し、割当選択
肢のうち1つ以上を、それに含まれているデータ項目の
うちの少なくとも1つに関して繰り返し変更し、このよ
うにして得られた新しい割当選択肢の費用関数の値を算
出する。これらの費用関数の値に基づいて、最善の割当
選択肢を選択し、それに応じて、生起したエレベータコ
ールをエレベータ群内のエレベータに割り当てる。
【0005】上記の出願に開示されている方式は、すべ
ての可能な経路候補を計算しなければならない場合と比
べて、必要な計算作業を実質的に軽減する。この方法に
おいて、これは遺伝的アルゴリズムに基づいているが、
エレベータ群は全体として取り扱われるため、費用関数
は群レベルで最適化される。この最適化処理は個々の状
態およびそれらに対処する方法を考慮する必要はない。
費用関数を修正することによって所望の運転を達成する
ことができる。例えば、乗客の待ち時間、コール時間、
出発回数、走行時間、エネルギー消費量、ロープの摩
耗、あるエレベータを使用すると費用高になる場合の別
のエレベータの運転、エレベータの均一な使用、その
他、またはこれらの所望の組み合わせを最適化すること
ができる。
【0006】上記の出願による方式は、すべての可能な
割当選択肢およびそれらのそれぞれの適合度を算出しな
ければならない場合に比べて、必要な計算作業を実質的
に軽減する。問題によって、所定の割当選択肢の適合度
の決定には、数分の1秒から、数秒の時間を要する。こ
のことは、遺伝的アルゴリズムが、さらに生成される多
数の別な解決策を、終了判断基準を満たすまで操作する
ため、問題解決に費やす時間がかなりの程度になること
を意味する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法に
はいくつかの欠点がある。コールの割当はそのコールを
発する人が事実上気が付かないほどの短い時間内に行な
う必要がある。したがって、割当選択肢を作り、それに
対応する適合度関数値を計算し、最適な結果を選択する
作業を、これら一連の作業は比較的多くを要求しすぎる
操作であるが、例えば1/2 秒以内に行なわなければなら
ない。
【0008】本発明は上述の欠点を解消することを目的
とする。本発明は、従来技術の方法よりも実質的に迅速
かつ正確であり、例えば、現在入手可能なプロセッサの
処理能力によってもリアルタイム修正を可能とする、新
種の遺伝的方法を提供することを具体的な目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明が特徴とする構成
要件に関しては、特許請求の範囲を参照されたい。
【0010】本発明の遺伝的方法は、候補となるすべて
の解法について適合度関数値を算定する必要はないが、
とくに本方法の最終段階において、適合度関数値が事前
に明確にされた解法候補を主として作成し、かかる明確
化を、複雑で時間のかかる適合度関数値の算定を回避す
るために利用することができるとの洞察に基づいてい
る。
【0011】本発明の遺伝的方法では、複数の割当選択
肢すなわち染色体が作られ、そのそれぞれが生起したす
べての乗り場コールに関するコールデータ項目とエレベ
ータデータ項目とを含んでおり、これらのデータ、すな
わち遺伝子が全体として、各乗り場コールに供するエレ
ベータを決定している。このようにして作られたそれぞ
れの染色体毎に適合度関数値を決定する。この後、1つ
以上の染色体を少なくとも1つの遺伝子に関して突然変
異させ、新しく得られた染色体に対して適合度関数値を
決定する。再生、すなわち新規の染色体を作る処理を、
所定の終了判断基準を満たすまで続け、そこで最良の染
色体を適合度関数値に基づいて選択し、各コールをこの
解法に従ってエレベータ群内のエレベータに割り当て
る。本発明によれば、染色体およびそれらに対応する適
合度関数値をファイル、いわゆる遺伝子バンクに集め
る。作られた各染色体は遺伝子バンク内の染色体と比較
し、遺伝子バンク内には発見されない新しい染色体に対
してのみ、適合度関数値を決定する。この後、その新し
い染色体およびそれに対応する適合度関数値を遺伝子バ
ンクへ追加する。したがって本発明によれば、本方法に
おいて作られたすべての新しい染色体に対しては、適合
度関数値を一度だけ計算し、本方法において以前に出現
した染色体が作られた場合は常に、それに対応する適合
度関数値を、計算による時間のかかる操作をせずに、遺
伝子バンクから得る。
【0012】本発明の方法において、割当選択肢の集
合、すなわち各染色体は1つの世代を構成するが、一般
に、それらのうち最良のものを再生のために選び、染色
体の新世代を作る。新世代は、選択された染色体をもと
に、遺伝的アルゴリズムを用いて、淘汰、交叉および/
または突然変異によって作る。
【0013】本発明の方法は、所望の目標に到達するま
で、例えば一定の適合度関数値に到達するまで、もしく
は所定の新世代数が作られるまで続けることができ、ま
たは手続を所定の処理時間後に中断することができる。
終了判断基準と見なすことができる他の条件としては、
個体群の充分な同質性がある。
【0014】本方法を適用すると、時間の経過とともに
非常に大量のデータ、すなわち染色体およびそれらに対
応する適合度関数値を、遺伝子バンクに蓄積することが
できるため、遺伝子バンクを一連のアドレスを用いて提
供し、遺伝子バンクに格納される各染色体に、遺伝子バ
ンク内での位置を決定するホームアドレスを割り当てる
のが望ましい。染色体のホームアドレスを望ましくはそ
の1つ以上の遺伝子から、可能であればいわゆるランダ
ム化関数を用いて決める。それらの遺伝子もしくは遺伝
子連続体は、したがって、遺伝子バンクおよびその中の
ホームアドレスへのキーとして機能する。理想的なラン
ダム化関数は迅速な算出ができ、遺伝子バンク内の各ホ
ームアドレスに対して均一に確定性のある値を提供す
る。しかし実際は、染色体の遺伝子から算出されたホー
ムアドレスの分布状態は事前には分からないため、同一
のホームアドレスに属する相異なる染色体の数は、さま
ざまになり得る。ホームアドレスの決定は、例えばその
染色体中の遺伝子の内容、遺伝子数、遺伝子バンクの
幅、またはその他の類似する簡便な数値であって、それ
らからホームアドレスを、適当な計算または他の操作に
よって決めることができるものを基礎とすることができ
る。
【0015】例えば、染色体の遺伝子または遺伝子連続
体から、遺伝子バンクのホームアドレスを、各染色体毎
に算定することができ、染色体に関する望ましいデータ
をこのアドレスに格納し、それによってデータの迅速な
探索を可能とする。各染色体は1つ以上の遺伝子を含む
ことができ、原則として、各遺伝子を1つ以上のビット
で構成することができる。したがって、変換法にもよる
が、遺伝子を例えば2進数、または整数とすることがで
きる。
【0016】ある染色体についてのホームアドレスを、
例えば、まずその個々の遺伝子の値の合計を算出し、算
出値の剰余をとることで、最終的なホームアドレスを算
定することができる。換言すれば、染色体の遺伝子から
算出した値を遺伝子バンクの幅により割り算して、その
結果、0から(遺伝子バンク幅−1)の範囲の値をとる
剰余を得て、この値をその染色体のホームアドレスとし
てその遺伝子バンクへ付与する。
【0017】同一のホームアドレスを有する染色体を連
結して無限の長さの連鎖を作ることができるが、その場
合、その遺伝子バンクの最大深さは無限になる。他方、
同一のホームアドレスを有する染色体で作られた連鎖を
一定の長さの固定表として実行することができる。その
結果、その表が、新しい染色体がそれに格納される時に
満杯である場合、染色体のうちの1つがその表から除去
される。その表が満杯になった時、除去される染色体は
望ましくはその表中の最後のものであるが、他の判断基
準も用いることができる。例えば、その表中の最も古い
染色体、または最も低い適合度関数値を有する染色体を
除去することができる。
【0018】本発明の方法において、複数世代を経るに
従い、典型的には、検索されるアドレス範囲の一定の区
域に、次第に検索が集中する。したがって、1つの解法
の検索初期に出現した染色体は変化し始め、それと同時
に、遺伝的アルゴリズムが初期に出現した染色体とはか
なり異なるであろう染色体を生成し始める。新しい染色
体が遺伝子バンクに格納される時に、その新しい染色体
をそのホームアドレスから始まる連鎖内の第1の位置に
格納することにより、かかる状況を利用することができ
る。このようにして、古い染色体はその連鎖の先頭から
次第に遠くへ自動的に移動する。新しい染色体は、遺伝
子バンク内のそのホームアドレスの古い染色体よりも、
新しい染色体に近似している可能性が高いので、既に出
現し、再度生成された染色体を、遺伝子バンクのホーム
アドレスの先頭の部分において、迅速に発見することが
できる。
【0019】遺伝子バンクへ染色体を格納するのに用い
られる技法において、融通のきく遺伝子バンク構造を用
いることもできる。ある染色体が検索中に他のものより
も明らかに頻繁に現われる場合、それらの染色体を連鎖
の先頭またはその近くに置いて、迅速な検索を可能にす
ることは有利なこととなる。ある染色体が連鎖内で検索
されて発見された時、望ましくは、それを同時にその連
鎖の先頭近くに移動する。このように、所定のホームア
ドレスで見付かった染色体をその連鎖内の第1の場所へ
移動することができ、またはそれを一定量だけ、例えば
数個分の位置だけ、その連鎖の先頭方向へ移動させるこ
とができる。
【0020】遺伝子バンクを、2方向に連結したエレメ
ントから成るリング状のリスト構造を用いて作ることも
できる。その場合、参照はこのリングに対応するホーム
アドレスからエレメントのうちの1つへ行われる。各エ
レメントは、遺伝子データ項目、適合度データ項目、お
よび有効性データ項目、すなわちそのエレメントがデー
タを含んでいるか空かを示す状態データ項目のための場
所を有している。
【0021】このリング状リスト構造を、例えば所望の
遺伝子に出会うまで、右回りの方向に読み出す。検索対
象の遺伝子データがそのリストに無い場合、一巡後その
リストの先頭の部分に再到達すると、読み出しは終了す
る。そのリストが満杯でない場合は、読み出しは有効性
データが、空のエレメントを示してデータの終端に到達
したことを表すまで、継続する。
【0022】リストを右回り方向に読み出す場合は、デ
ータを左回り方向にそのリング状リスト構造に書き込
み、そのホームアドレスへの参照は変更されて、新しく
書き込まれたエレメントを指し示し、そこから次の書き
込みまたは読み出し操作を始める。
【0023】遺伝子バンクに格納されたデータは望まし
くは、その染色体に関する、例えば世代または現在番号
などの追加情報をも有する。
【0024】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明を
詳細に説明する。
【0025】図4は本発明による方法の様々な段階を示
す。エレベータ制御装置は、少なくとも1つの乗り場コ
ールがエレベータに割り当てられる時、開始ブロック1
において、コール割当を開始する。エレベータ染色体の
長さは、その時に生起した乗り場コールの数や、利用可
能なエレベータの台数などの要因によって決まる。ブロ
ック2において、割当選択肢すなわち染色体の第1世代
を、初期データに基づき、例えば確率過程によって生成
する。染色体の第1世代を、例えば確率過程によって、
部分的には早期の割当結果に基づき、または直接集団制
御を開始点として用いることによって作ることができ
る。
【0026】この後、この世代の染色体が1つ1つ検査
され、したがってブロック3においてはその世代の染色
体のうちの1つが取り出される。ブロック4において、
その染色体のためのホームアドレスが作られる。図5
は、後でさらに詳細に説明するが、ホームアドレスを決
定する手順を図示するブロック図である。ブロック5に
おいて、本方法は、一致する染色体が遺伝子バンクに既
に存在するか否かを確認する。そのような染色体が見付
からない場合は、その染色体は新規のものであり、その
適合度をブロック6で計算し、そのデータをその遺伝子
バンクに格納する。
【0027】染色体が遺伝子バンク内に見付かった場合
は、その適合度をブロック7において遺伝子バンクから
取り出し、この適合度をその染色体に割り当てる。さら
に、その染色体が遺伝子バンク内で発見された場合は、
遺伝子バンク内のそのデータのみを当該染色体に関して
再配列することができる。
【0028】その世代の染色体のすべてがまだ検査され
ていない場合は、本方法はブロック8からブロック3へ
戻り、そこで次の染色体を検査のために取り上げる。そ
の世代全体が検査された後、本方法はブロック8からブ
ロック9へ進み、そこでは終了判断基準が満たされてい
るか否かを決定するための試験を行う。
【0029】ブロック9において、例えば適合度、消費
された処理時間、もしくは実行された処理サイクルの回
数に基づいて判断が行われ、本方法を続行すべきか、も
しくは最後に得られた最良の値を採用すべきかを決定す
る。割当処理を終了するための判断基準が満たされた場
合、本方法はブロック10へ進み、乗り場コールを最良の
染色体に従ってエレベータに割り当て、そこで終了ブロ
ック11を介して制御をエレベータ制御装置に渡す。
【0030】終了判断基準がブロック9でまだ満たされ
ていない場合、本方法はブロック12へ進み、そこで、適
合度関数値に基づき、最高の、さもなければ最も成功し
そうな、もしくは該当する染色体/染色体群を選択し、
少なくとも次の世代のために保存する。そのようにして
選択されたこれらの染色体から、新規の染色体世代を遺
伝的アルゴリズムに従って作り出す。すなわち適切な染
色体をさらなる最適化のために選択し、2つの古い染色
体からそれぞれの遺伝子のうちのいくつかを選択するこ
とにより新しい染色体を作り出し、および/または1つ
の古い染色体の遺伝子をいくつかの点についてランダム
な突然異変によって変化させる。例えば遺伝子の値を、
一定の数値範囲内において、与えられた確率で変化させ
ることができる。
【0031】得られた新規の染色体世代をブロック3に
おいて、1染色体毎に試験し、この処理を終了判断基準
が満たされるまで、世代から世代へと継続する。
【0032】添付のブロック図から分かるように、遺伝
子バンクは適合度関数値を決めるのに必要な計算の回数
を大幅に減らしている。実際に削減される時間は、計算
の回数に直接比例はしない。遺伝子バンクの操作によっ
て消費される時間も考慮する必要がある。遺伝子バンク
は、その遺伝子バンクの処理によって消費される時間
が、適合度関数値の計算を回避することによって削減さ
れる時間よりも短い時にのみ、生産性を有する。したが
って、非常に単純な適合度関数の場合、遺伝子バンクは
計算速度に関して何ら利点を生じない。遺伝的アルゴリ
ズムにおける遺伝子バンクの使用は、検索および書き込
みの作業と、生じ得る動的メモリ割当とから成る平均遺
伝子バンク処理時間が、1つの適合度関数値の計算に要
する時間よりも短い場合に、考慮に値する。これらの処
理作業は迅速で、かつ効果的に行うことができる。
【0033】ブロック4におけるホームアドレスは、例
えば図5のブロック図に従って算定することができる。
この実施例の原理は、調査中の染色体の個々の遺伝子の
値をまずまとめて加算し、そのようにして得られた値か
ら剰余を取り出すことによって、最終的なホームアドレ
スを算定することができる。例えば、あるエレベータの
適用例では、遺伝子の値を、乗り場コールに供するエレ
ベータの数にすることができる。換言すれば、染色体の
遺伝子から算出された値を遺伝子バンクの幅で除算し、
その結果、その剰余は0から(遺伝子バンク幅−1)の
範囲の値になり、この値を遺伝子バンクへ、その染色体
のホームアドレスとして付与する。本方法はホームアド
レス算出段階に達すると、開始ブロック20を介してブロ
ック21へ進み、そこでは一時的ホームアドレスの開始値
を0に設定し、変数gを1に設定する。ブロック22にお
いて、変数gが調査中の染色体の遺伝子の数よりも大き
いか否かを決める試験を行う。否定の場合、遺伝子番号
gの値を一時的ホームアドレスへ加算することによっ
て、新規の一時的ホームアドレス値を算定し、gをブロ
ック23において1だけ増加し、作業をブロック22から再
開する。肯定の場合、本手順はブロック22からブロック
24へ進み、そこで、一時的ホームアドレス値を遺伝子バ
ンク幅で剰余演算した値に、ホームアドレスを設定す
る。
【0034】図1は遺伝子バンクの構造を示し、そこで
は遺伝子バンクの幅30はホームアドレスの数31によって
決められるが、遺伝子バンクの深さ32は無限である。こ
のように、各ホームアドレスにおいては、無限の数の染
色体33およびそれに対応する算出された適合度関数値34
を、そのホームアドレスから始まる連結した連鎖として
格納することができる。したがって、各ホームアドレス
31はゼロ以上の染色体を含むことができ、それらの遺伝
子バンク内の位置、すなわちホームアドレスを、その染
色体の遺伝子のうちの1つ以上から、適切なランダム化
関数を用いて算出することができる。新規の染色体およ
びそれに対応する適合度を、常にその連鎖内の第1の位
置に格納するため、その連鎖内に既にある染色体は後方
に動かされる。
【0035】図2は遺伝子バンクの適用例を示すが、そ
こでは遺伝子バンク幅40はホームアドレスの数41によっ
て決められ、遺伝子バンクの深さ42は有限になってい
る。この場合、各ホームアドレス41において別個に、一
定量のデータ、すなわち一定数の染色体43およびそれに
対応する適合度関数値のみを格納することができる。新
規の染色体およびその適合度を、表の第1の位置に所定
のホームアドレスにおいて格納すると、その表の終端の
最後のものを、その表が満杯の場合は、除外する。表か
ら除外したこの染色体およびそれに対応する適合度は、
当該ホームアドレスにおいては最も古いデータであり、
かなりの確率で、その表において本方法の所望の最終結
果に最も関連性の少ない染色体の1つである。したがっ
て、このデータを除去することは、本方法において最適
の結果を達成することを阻害しない。ホームアドレスの
深さが有限であるので、作り出された新しい染色体に対
応する染色体を見付けるための検索において、迅速に調
査ができる。さらに、作り出されたその新規の染色体
を、比較的短いホームアドレスであっても、見付けるこ
とができる可能性が高い。なぜなら新しい染色体は、遺
伝子バンクおよび連鎖内の新しい染色体に、古いものよ
りも近似しているからである。
【0036】図3は第3の遺伝子バンクの適用例を示す
が、そこでは遺伝子バンクの幅がホームアドレスの数51
によって決められている。ランダム化表の各ホームアド
レスからは、2方向へ連結されたエレメント52から成
り、リング上に配されているリスト構造への参照があ
る。リング内のエレメント数がその遺伝子バンクの深さ
を決める。
【0037】各エレメント52は遺伝子データ、適合度デ
ータ、および有効性データ、すなわちそのエレメントが
空か、または遺伝子データを含んでいるかを表示する状
態データのための場所を有している。この連結リストを
所望の遺伝子に出会うまで、もしくはそのリストの最初
の部分に一巡後に再到達するまで、右回りの方向53に読
み出す。とくに本方法の初期段階では、このリストは部
分的にしか満杯でないことがしばしばあるため、処理を
加速させるためには、毎回リスト全体にわたって検索す
ることは合理的ではない。この理由により、エレメント
は有効性データ項目を有し、リストの検索を、空のエレ
メントを示す最初の有効性データ項目に出会った時に終
了することができる。
【0038】データは連結リストへ、読み出し方向53と
反対の方向、すなわち反時計回り方向54に書き込む。そ
のようにするため、ホームアドレス参照55の前にあるエ
レメントを選択し、遺伝子および適合度ならびにその有
効性データをそれへ書き込む。さらに、そのホームアド
レス参照55がその書き込まれたばかりの新しいエレメン
トを指示するようにする。このように、新しいデータを
常にリング内の最古のデータに上書きし、リングを、最
新のデータから始めて、その次に新しいデータへ進み、
最古のデータの方向へ読み出す。もちろん、連結リング
を逆の順序で用いることもできるが、その場合、読み出
しは反時計回りに、書き込みは時計回りに進む。
【0039】以上、本発明を添付の図面により実施例を
利用して説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の
概念の範囲内で、異なる実施例を実現可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明の方法は従来技術に比べてかなり
の利点を有している。本方法によれば、とくに解決され
る問題の目標機能が複雑なものであり、かつ充分な処理
能力が必要な場合に、遺伝的アルゴリズムによる実質的
に迅速な処理が可能となる。最適化を加速させることに
加えて、他の利点は、遺伝的アルゴリズムが、事前に与
えられている一定の固定時間が用いられる場合、より良
好な解法を提供するということである。より迅速な最適
化によって削減される時間を、検索範囲のより慎重な分
析に費やすこともできるため、解法が優良なものである
という高い確信と、解法がより良好な品質のものでもあ
るという蓋然性とを生む。
【0041】以上、本発明の方法をエレベータ群制御へ
の適用として説明したが、本発明はより迅速、より効果
的な遺伝的計算および最適化のための汎用方法である。
本発明は、遺伝的並列計算および分散計算機環境に用い
ることもできる。本発明の方法によるより効果的な処理
は、とくにリアルタイム制御の場合(問題をリアルタイ
ムで解決することが目的のとき)や、大量の計算および
/またはシミュレーションを必要とする問題の場合に、
重要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遺伝子バンクの構造を示す図である。
【図2】他の遺伝子バンクの構造を示す図である。
【図3】第3の遺伝子バンクの構造を示す図である。
【図4】本発明の方法を示すブロック図である。
【図5】ホームアドレス決定のためのブロック図であ
る。
【符号の説明】
30、40 遺伝子バンクの幅 31、41 ホームアドレス 32、42 遺伝子バンクの深さ 33、43 遺伝子 34、44 適合度

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレベータ群に含まれるエレベータの乗
    り場コール装置を介して入力されるコールを割り当てる
    ための遺伝的方法であって、 複数の割当選択肢、すなわち染色体を作り、該染色体
    は、生起した各乗り場コールについてのコールデータ項
    目とエレベータデータ項目とを含み、これらのデータ、
    すなわち各遺伝子は全体として、前記各乗り場コールに
    対してサービスするエレベータを決定しており、 適合度関数値を前記染色体毎に決定し、 該染色体のうち1つ以上を、少なくとも1つの遺伝子に
    関して修正して得られた染色体の適合度関数値を決定
    し、 染色体の該修正を所定の終了判断基準が満たされるまで
    反復し、 適合度関数値に基づいて、最良の染色体を選択し、前記
    コールをこの解法に従って前記エレベータ群内のエレベ
    ータに対して割り当てる方法において、 染色体およびそれらに対応する適合度関数値をファイ
    ル、すなわち遺伝子バンクに集め、生成された各染色体
    を該遺伝子バンク内の染色体と比較し、該遺伝子バンク
    内で発見されなかった新しい染色体のみに対して適合度
    関数値を決定し、該新しい染色体およびそれに対応する
    適合度関数値を該遺伝子バンクへ追加することを特徴と
    するエレベータ群に乗り場コールを割り当てる遺伝的方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記染
    色体は世代を構成し、該世代から新世代を、遺伝的アル
    ゴリズムを用いて、淘汰、交叉および/または突然変異
    によって作ることを特徴とする遺伝的方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、前記終
    了判断基準は、所定の適合度関数値、世代数もしくは処
    理時間、または個体群の充分な同質性が達成された時に
    満たされることを特徴とする遺伝的方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法において、前記遺
    伝子バンクは一連のアドレスを有しており、各染色体
    に、該染色体の位置を前記遺伝子バンク内に決定するホ
    ームアドレスを割り当てることを特徴とする遺伝的方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、前記染
    色体のホームアドレスを、該染色体の1つ以上の遺伝子
    から、例えば該遺伝子の内容、遺伝子数、または前記遺
    伝子バンクの幅に基づいて決めることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の方法において、複数の
    染色体を同一のホームアドレスに配置することを特徴と
    する遺伝的方法。
  7. 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかに記載の方
    法において、同一のホームアドレスを有する染色体を連
    結して、無限の長さの連鎖を作ることを特徴とする遺伝
    的方法。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし6のいずれかに記載の方
    法において、同一のホームアドレスを有する染色体の連
    鎖を、有限の長さの固定した表として実行することを特
    徴とする遺伝的方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の方法におい
    て、新しい染色体を前記ホームアドレスから始まる連鎖
    または表における、第1の位置に格納することを特徴と
    する遺伝的方法。
  10. 【請求項10】 請求項7または8に記載の方法におい
    て、前記連鎖または表において検索され、発見された染
    色体を、該連鎖または表の先頭へ移すことを特徴とする
    遺伝的方法。
  11. 【請求項11】 請求項7または8に記載の方法におい
    て、前記連鎖または表において検索され、発見された染
    色体を、該連鎖または表の先頭へ向けて移動させること
    を特徴とする遺伝的方法。
  12. 【請求項12】 請求項8ないし11のいずれかに記載の
    方法において、染色体を満杯の表に格納する時、該表中
    の染色体のうち最古のものを除去することを特徴とする
    遺伝的方法。
  13. 【請求項13】 請求項8ないし11のいずれかに記載の
    方法において、染色体を満杯の表に格納する時、該表中
    の染色体のうち最も低い適合度関数値を有するものを除
    去することを特徴とする遺伝的方法。
  14. 【請求項14】 請求項8ないし11のいずれかに記載の
    方法において、染色体を満杯の表に格納する時、該表中
    の染色体のうち最後のものを除去することを特徴とする
    遺伝的方法。
  15. 【請求項15】 請求項4ないし6のいずれかに記載の
    方法において、各ホームアドレスからは、2方向に連結
    され、リング状に配されているリスト構造への参照があ
    ることを特徴とする遺伝的方法。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の方法において、前記
    リング状リスト構成を、所望の遺伝子に出会うか、デー
    タの読み取りが有効でなくなるか、または一巡後に該リ
    ストの最初の部分に再度到達するまで、時計回りの方向
    に読み取ることを特徴とする遺伝的方法。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の方法において、デー
    タを前記リング状リスト構成へ反時計回りの方向に書き
    込み、前記ホームアドレス参照に、該書き込まれたばか
    りの新規のエレメントを指し示させることを特徴とする
    遺伝的方法。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし17のいずれかに記載の
    方法において、染色体を説明する追加情報を前記遺伝子
    バンクに格納することを特徴とする遺伝的方法。
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