JP4653974B2 - 群管理制御装置及びこれを具えたエレベータシステム - Google Patents
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Description
この種のエレベータシステムにおいては、ニューラルネットワークの重み係数を初期値に設定した状態で、学習用サンプルデータを用いて、例えばバックプロパゲーションと称される自律的学習アルゴリズムに従い該ニューラルネットワークの学習が行なわれ、これによって、ニューラルネットワークの重み係数が最適値に設定されることになる。該エレベータシステムによれば、人手によらず自動的に最適なニューラルネットワークを作成することが出来る。
一方、ニューラルネットの出力結果に基づいてかご割当てを行なうエレベータシステムにおいては、図8に示す複数のニューロン間のつながりに意味がないので、かご呼び操作に応じて適切なかごが割り当てられなかった場合に、どのような処理が行なわれて、そのような事態が発生するに至ったのかを究明することが出来ず、該事態の発生に対処することが出来ない問題があった。
そこで本発明の目的は、人手によらず自動的に最適なかご割当てプログラムを作成することが出来、然も、かご呼び操作に応じて適切なかごが割り当てられなかった場合に、そのような事態の発生に対処することが出来る群管理制御装置及びこれを具えたエレベータシステムを提供することである。
前記かご呼び操作が行なわれたとき、エレベータ群の状態を表わす状態情報を作成する情報作成手段と、
進化的計算法によって作成され、所定の処理を実行する複数のノードを互いに接続することによってかご割当て規則が表現されており、前記情報作成手段によって作成された状態情報を参照して実行を行なうかご割当てプログラムを動作させるかご割当て手段
とを具えている。
又、GNPプログラムは、所定の処理を実行する複数のノードを互いに接続することによってかご割当て規則を表現しているので、かご呼び操作に応じて適切なかごが割り当てられなかった場合に、プログラムの構成を見れば、何れのノードによる処理が実行されて、そのような事態が発生するに至ったのかを究明することが出来、かご割当てプログラムの該ノードを含む部分を改良することによって該事態の発生に対処することが出来る。一般的ではないが、GPプログラムについても、同様にして、そのような事態の発生に対処することが出来る。
そこで、上記具体的構成においては、かご呼び操作が行なわれた後、所定時間内に処理ノードによるかご割当て処理が実行されないときには、かご割当てプログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させる。これによって、エレベータ利用者の待ち時間を所定時間内に制限することが出来る。
複数のかご割当てプログラムを生成する手段と、
エレベータ群の利用状況を表わす交通情報を用いて、生成された複数のかご割当てプログラムをそれぞれ実行してエレベータ群の運行をシミュレートするシミュレーション手段と、
前記生成された複数のかご割当てプログラムについて夫々、シミュレーション結果に基づきエレベータ群の運行に関する1或いは複数種類の評価値を導出する評価値導出手段と、
導出された評価値に基づいて、前記生成された複数のかご割当てプログラムの中から最適なかご割当てプログラムを選択する選択手段
とを具えている。
又、エレベータ群の利用状況を表わす交通情報を用いてシミュレーションを行ない、その結果に基づいて選択した最適なかご割当てプログラムによってかご割当てを行なうので、エレベータ群の利用状況に応じた最適な運行制御を行なうことが出来る。
そこで、上記具体的構成においては、シミュレーションの実行中にかご割当てプログラムがループ状態に陥ったときには、該プログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させる。かご割当てプログラムがループ状態に陥ったことを検知する方法としては、例えば、かご割当てプログラムの起動からの経過時間が所定のスレッショルド時間を超えたことをもって検知する方法や、かご割当てプログラムの起動後に処理が実行された判定ノードの数が所定数を超えたことをもって検知する方法を採用することが出来る。
上記具体的構成によれば、かご割当てプログラムがループ状態に陥った場合に、上述の如く処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させることによってシミュレーションを強制的に終了させることが出来る。
本発明に係るエレベータシステムにおいては、図示の如く、3台のエレベータ(2)(2)(2)と、複数階の乗り場にそれぞれ設けられている複数の乗り場呼び装置(図示省略)とが、通信ネットワーク網(3)を介して、前記3台のエレベータの動作を制御する群管理制御装置(1)に繋がっている。
又、最適化処理回路(12)は、エレベータ群の運行中に前記情報処理部(112)から運行データを収集してエレベータシステムの利用状況を表わす交通データを作成する交通データ作成部(123)と、該交通データを用いて、前記GNP最適化処理部(122)から供給されるGNPプログラムを実行して前記3台のエレベータの昇降動作をシミュレートするエレベータシステムシミュレーション部(124)とを具えている。
上記エレベータシステムにおいては、乗り場呼び装置に対し操作が行なわれたとき、該乗り場呼び装置から乗り場呼び情報信号が群管理制御装置(1)の通信管理部(111)に供給される。通信管理部(111)は、該信号を受けて、各エレベータ(2)から、かごの現在位置、かごの走行方向、ドアの開閉状態、荷重量、かご内で乗客に指定されている行き先階などを表わすかご状態情報信号を取得した後、前記乗り場呼び情報信号を割当て管理部(114)に供給する一方、前記かご状態情報信号を情報処理部(112)に供給する。
一方、情報処理部(112)は、上述の如く供給されたかご状態情報信号からシステム状態データを作成する。システム状態データとしては、例えば後述の情報を表わすデータが作成される。
・乗り場呼び装置に対する操作のあった乗り場への到着予想時刻が最も近いエレベータ
・乗り場呼び装置に対する操作のあった乗り場への到着予想時刻が2番目に近いエレベータ
・かご内で登録されている行き先階ボタンの数(乗り場への到着予定回数)が最も少ないエレベータ
・かご内で登録されている行き先階ボタンの数(乗り場への到着予定回数)が2番目に少ないエレベータ
・乗客数が最も少ないエレベータ
・乗客数が2番目に少ないエレベータ
・待機時間が最も長いエレベータ
・何れかの乗り場への移動が既に指令されているエレベータの中で、乗り場呼び装置に対する操作のあった乗り場への到着予想時刻が最も近いエレベータ
・乗り場呼び装置に対する操作のあった乗り場への到着予想時刻が最も近いエレベータと2番目に近いエレベータとの間の時間差が所定時間以上であるか否か
GNPかご割当て部(113)は、割当て管理部(114)からの前記割当て動作指令を受けて、後述の如く、該システム状態データに基づいてGNPプログラムを実行する。
図3は、GNPかご割当て部(113)の内部の挙動を表わしている。尚、図3に示すGNPプログラムの構成は一例であり、以下の説明では、2つの判定ノードによる判定処理が実行された後、1つの処理ノードによるかご割当て処理が実行されるものとする。
割当て管理部(114)から前記割当て動作指令が発せられると、GNPプログラムは前回のかご割当て時にかご割当て処理を実行した処理ノードから起動され、先ず、該処理ノードに接続されている判定ノードが、情報処理部(112)から供給された複数のシステム状態データに含まれる1或いは複数のシステム状態データを参照して所定の判定処理を実行する。尚、エレベータ群の運行開始後、初回のかご割当て時においては、GNPプログラムは起動ノードから起動される。
その後、判定処理を実行した判定ノードに接続されている複数のノードの内、該判定結果に応じた他の判定ノードが、情報処理部(112)から供給された複数のシステム状態データに含まれる1或いは複数のシステム状態データを参照して所定の判定処理を実行する。最後に、該判定ノードに接続されている複数のノードの内、前記判定結果に応じた処理ノードが、所定のかご割当て処理を実行する。該かご割当て結果は、図1に示す割当て管理部(114)に出力される。
割当て管理部(114)は、該割当て結果に基づいて、3台のエレベータ(2)(2)(2)の内、1台のエレベータのかごを乗り場呼び装置に対し操作のあった乗り場へ移動させるべき旨のかご割当て信号を作成する。作成されたかご割当て信号は、通信管理部(111)を介して前記1台のエレベータ(2)に供給される。この結果、該エレベータ(2)のかごが乗り場呼び装置に対し操作のあった乗り場に移動することになる。
乗り場呼び装置に対し操作が行なわれると、先ずステップS1にて、その操作が該乗り場呼び装置に対する新規な操作であるか否かを判断し、ノーと判断された場合には、ステップS7に移行して、既に得られているかご割当て処理の結果に基づいてかご割当て信号を作成する。その後、該かご割当て信号がエレベータに供給されて、該エレベータのかごが乗り場呼び装置に対し操作のあった乗り場に移動することになる。
一方、ステップS1にてイエスと判断された場合には、ステップS2にて、3台のエレベータからかご状態情報信号を取得して、該信号に基づきシステム状態データを作成する。次にステップS3では、GNPプログラムを前回のかご割当て時にかご割当て処理を実行した処理ノードから起動し、ステップS4では、該処理ノードに接続されている判定ノードによる判定処理を実行した後、該判定ノードに接続されている複数のノードの中から該判定結果に応じたノードを選択する。
その後、ステップS4にて処理ノードが選択されると、ステップS6に移行して、該処理ノードによるかご割当て処理を実行し、該割当て結果に基づいてかご割当て信号を作成する。その後、該かご割当て信号がエレベータに供給されて、該エレベータのかごが乗り場呼び装置に対し操作のあった乗り場に移動することになる。
但し、乗り場呼び装置に対して操作が行なわれた後、所定時間内に処理ノードによるかご割当て処理が実行されないときには、GNPプログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させる。これによって、エレベータ利用者の待ち時間を所定時間内に制限することが出来る。
上記エレベータシステムにおいては、エレベータ群の運行開始後、図1に示す群管理制御装置(1)のGNPかご割当て部(113)に設定されているGNPプログラムを最適なGNPプログラムに更新する処理が繰り返される。
GNPプログラムの更新時には、先ず、最適化処理回路(12)のGNP最適化処理部(122)は、予め内蔵メモリ(図示省略)に格納されている複数の判定ノード及び複数の処理ノードから複数のGNPプログラムを生成し、生成したGNPプログラムを順次、エレベータシステムシミュレーション部(124)に供給する。又、交通データ作成部(123)は、上述の如くエレベータ群の運行中に収集した運行データに対し統計処理などの周知のデータ加工処理を施して交通データを作成し、該交通データを前記エレベータシステムシミュレーション部(124)に供給する。
通信管理部(111)は、該シミュレーション結果を情報処理部(112)に供給し、情報処理部(112)は、該シミュレーション結果から評価値を導出して最適化処理回路(12)のGNP性能評価部(121)に供給する。評価値としては、例えば、乗客が乗り場呼び装置に対し操作を行なってからかごが到着するまでの平均待ち時間、乗客の最長待ち時間、乗客が乗り場呼び装置に対し操作を行なってから目的階に到着するまでの平均サービス完了時間、3台のエレベータの昇降動作の頻度のばらつき等が導出される。
GNP性能評価部(121)は、上述の如く最適化処理部(122)によって作成された全てのGNPプログラムについての評価値が供給されると、該評価値に基づいてそれらのGNPプログラムの性能をランク付けし、その結果をGNP最適化処理部(122)に供給する。
この様にして、GNPプログラムの作成・選択処理、エレベータシステムのシミュレーション処理、GNPプログラムの評価値導出処理、及びGNPプログラムの性能評価処理からなる一連の処理が繰り返され、該処理が所定回数だけ繰り返された時点で、GNP最適化処理部(122)は、複数のGNPプログラムの中から最も性能の高いGNPプログラムを選択し、該GNPプログラムをかご割当て処理回路(11)のGNPかご割当て部(113)に供給する。この結果、該GNPかご割当て部(113)のGNPプログラムが最適なGNPプログラムに更新されることになる。
先ずステップS11にて、複数の初期個体として、予め準備されている複数の判定ノード及び複数の処理ノードからn個(例えば数十個)のGNPプログラムを生成し、ステップS12では、個体の世代を表わす世代変数iを1に設定した後、ステップS13にて、個体を表わす個体変数jを1に設定する。
続いてステップS14では、個体jのGNPプログラムをエレベータシステムシミュレーション部(124)に設定し、ステップS15では、交通データ作成部(123)から得られた交通データを用いて3台のエレベータの昇降動作をシミュレートし、その結果に基づいて評価値を導出する。但し、シミュレーションの実行中に、GNPプログラムが処理ノードに遷移しないループ状態に陥ったときには、該プログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させると共に、導出した評価値に評価を低下させるための演算処理を施す。GNPプログラムがループ状態に陥ったことを検知する方法としては、例えば、かご割当てプログラムの起動後に処理が実行された判定ノードの数が所定数を超えたことをもって検知する方法が採用される。
次にステップS23では、前記生成した複数の子個体及び前記選択した複数のエリート個体を次世代のn個の個体として設定し、ステップS24にて前記世代変数iを1だけカウントアップする。続いてステップS25では、世代変数iが所定値(例えば数百)を上回るか否かを判断し、ノーと判断された場合は図5のステップS13に戻って、新世代のn個の個体についてシミュレーション、性能評価、及び次世代の個体の生成を繰り返す。
上記手続きによって、GNPかご割当て部(113)に設定されているGNPプログラムが最適化されることになる。
又、GNPプログラムは、図2に示す如く所定の処理を実行する複数のノードを互いに接続することによってかご割当て規則を表現しているので、乗り場呼び装置に対する操作に応じて適切なかごが割り当てられなかった場合に、プログラムの構成を見れば、何れのノードによる処理が実行されて、そのような事態が発生するに至ったのかを究明することが出来、GNPプログラムの該ノードを含む部分を改良することによって該事態の発生に対処することが出来る。
又、GNPプログラムは一部の構成を固定して最適化することが出来るので、所望の運行規則を表わす構成をその時点でのGNPプログラムに追加し、該追加部分を固定して最適化処理を行なえば、容易に該運行規則をその時点でのかご割当て規則に追加することが出来る。
更に、GNPかご割当て部(113)に設定されているGNPプログラムの最適化処理が繰り返されるので、常に最適な運行制御を行なうことが出来る。
例えば上記実施の形態においては、図1に示すエレベータシステムシミュレーション部(124)によりエレベータシステムのシミュレーションを行なった結果に基づいて評価値を導出しているが、GNP最適化処理部(122)によって生成されたGNPプログラムをGNPかご割当て部(113)に設定して、実際にエレベータ(2)の運行を行なった結果に基づいて評価値を導出することも可能である。かかる構成によれば、エレベータシステムシミュレーション部が不要となる。
(11) かご割当て処理回路
(111) 通信管理部
(112) 情報処理部
(113) GNPかご割当て部
(114) 割当て管理部
(12) 最適化処理回路
(121) GNP性能評価部
(122) GNP最適化処理部
(123) 交通データ作成部
(124) エレベータシステムシミュレーション部
(2) エレベータ
Claims (6)
- 複数のかごを具えたエレベータ群に接続され、乗り場にてかごを呼ぶためのかご呼び操作が行なわれたときに前記複数のかごの中から乗り場へ移動させるべき1つのかごを選択するかご割当て動作を行なう群管理制御装置において、
前記かご呼び操作が行なわれたとき、エレベータ群の状態を表わす状態情報を作成する情報作成手段と、
進化的計算法によって作成され、所定の処理を実行する複数のノードを互いに接続することによってかご割当て規則が表現されており、前記情報作成手段によって作成された状態情報を参照して実行を行なうかご割当てプログラムを動作させるかご割当て手段
とを具え、
前記かご割当てプログラムは、前記複数のかごの中から1つのかごを選択するかご割当て処理を実行する複数の処理ノードとエレベータ群の状態に関する判定処理を行なう複数の判定ノードとをネットワーク状に互いに接続してなるGNPプログラムであることを特徴とする群管理制御装置。 - 前記かご割当て手段は、かご呼び操作が行なわれた後、所定時間内に処理ノードによるかご割当て処理が実行されないときに、かご割当てプログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させる請求項1に記載の群管理制御装置。
- 前記かご割当てプログラムを進化させて最適化する処理を繰り返す最適化処理手段を具えている請求項1又は請求項2に記載の群管理制御装置。
- 前記最適化処理手段は、
複数のかご割当てプログラムを生成する手段と、
エレベータ群の利用状況を表わす交通情報を用いて、生成された複数のかご割当てプログラムをそれぞれ実行してエレベータ群の運行をシミュレートするシミュレーション手段と、
前記生成された複数のかご割当てプログラムについて夫々、シミュレーション結果に基づきエレベータ群の運行に関する1或いは複数種類の評価値を導出する評価値導出手段と、
導出された評価値に基づいて、前記生成された複数のかご割当てプログラムの中から最適なかご割当てプログラムを選択する選択手段
とを具えている請求項3に記載の群管理制御装置。 - 前記シミュレーション手段は、シミュレーションの実行中にかご割当てプログラムが処理ノードに遷移しないループ状態に陥ったときに、該プログラムを構成する複数の処理ノードの内、何れかの処理ノードによるかご割当て処理を強制的に実行させる請求項4に記載の群管理制御装置。
- 複数のかごを具えたエレベータ群と、該エレベータ群に接続され、乗り場にてかごを呼ぶためのかご呼び操作が行なわれたときに前記複数のかごの中から乗り場へ移動させるべき1つのかごを選択するかご割当て動作を行なう群管理制御装置とを具えているエレベータシステムにおいて、該群管理制御装置は、
前記かご呼び操作が行なわれたとき、エレベータ群の状態を表わす状態情報を作成する情報作成手段と、
進化的計算法に従って作成され、所定の処理を実行する複数のノードを互いに接続することによってかご割当て規則が表現されており、前記情報作成手段によって作成された状態情報を参照して実行を行なうかご割当てプログラムを動作させるかご割当て手段
とを具え、
前記かご割当てプログラムは、前記複数のかごの中から1つのかごを選択するかご割当て処理を実行する複数の処理ノードとエレベータ群の状態に関する判定処理を行なう複数の判定ノードとをネットワーク状に互いに接続してなるGNPプログラムであることを特徴とするエレベータシステム。
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