JPH11124153A - 容器用キャップ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁体のスリットから切り裂けが延びるのを確
実に防止できる容器用キャップ装置を提供する。 【解決手段】 キャップ装置３は、天頂部５ａ内側の凹
部５ｄにスリット４が形成されたシリコーン樹脂等の柔
軟な樹脂壁製であって容器１内圧力に対応して該スリッ
ト４が開閉する弁体５と、該弁体５の天頂部５ａを開口
部６から外部に露出させた状態で保持すると共に容器１
の口元部２に固定されるキャップ本体７と、該開口部６
を着脱自在に覆うオーバーキャップ８とを有し、前記弁
体５のスリット形成部９ａは、その周囲部９ｂの弁体５
高さ方向に下方に位置して形成され、スリット形成部９
ａの中心線２０と段部中心線同士の角度θが４５゜〜１
３５゜の範囲内に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、台所洗剤、シャン
プー、リンス、液体洗剤、歯磨きなどの液体製品全般を
収容する容器の口元部に設けたキャップ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、台所洗剤などの液体製品は容器に
収容された状態でユーザーは購入する。そして、ユーザ
ーは、液体製品の使用時に容器の上端口元部のキャップ
を開け、次いで、容器口元を下方に向けた状態で容器を
絞る等して液体製品を使用箇所に注出させていた。この
キャップは、容器口元部に設けたキャップ本体の液体通
路を開閉するタイプのものが通常であったが、液切れが
悪かったり、容器を逆さにして容器口元部を下方に向け
ただけで液体製品が漏出してしまったり、不用意に容器
を倒すと液が漏れたりする等、使いにくかった。

【０００３】そこで、上記キャップ本体に、スリットが
形成された柔軟なシリコーンゴム壁製であって容器内圧
力に対応して該スリットが開閉する弁体を設け、この弁
体のスリットはある程度の圧力が加わらないと開かない
ように設計して、容器を逆さにした際に液体製品が漏出
しないようにしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
弁体を使用した容器に液体製品を収容して商品とするた
めには、次の問題点があった。つまり、弁体はシリコー
ンゴムを型成形した後に、頂部をカッター等で切り開い
て容器に装着する。しかるに、前記容器においては液体
製品の注出に際して弁体スリットが開閉作動することに
より該スリットの切り込む端部に応力が加わる。これに
より、スリットには切り込み端部から切り裂けが延びて
しまい、スリットが大きくなることが場合があり、した
がって、前記容器では、経時により液体製品が予期せぬ
以上に注出される等、弁体には設計した性能が得られな
い恐れが生じる。

【０００５】これに対して、スリットからの切り裂けを
防止するべく、単に弁体の壁厚さを厚く設計するだけで
は、弁体を開閉させるために容器を強く押圧しその内圧
を高くしなければならず、使用者は快適に使用できなく
なる。とくに握力の小さな使用者では液体製品の出が悪
く、必要量の注出ができなかったり、時間がかかったり
する等の欠点が生じる。

【０００６】本発明は、弁体のスリットから切り裂けが
延びるのを確実に防止できる容器用キャップ装置を提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、次の構成を有する。請求項１の発明は、
液体製品を収容する容器の口元部に設けたキャップ装置
において、一部にスリットが形成された柔軟な樹脂壁製
であって容器内圧力に対応して該スリットが開閉する弁
体と、該弁体のスリット形成部を開口部から外部に露出
させた状態で保持すると共に容器の口元部に固定される
キャップ本体と、該開口部を着脱自在に覆うオーバーキ
ャップとを有し、前記弁体のスリット形成部は、その周
囲部と弁体高さ方向に異なる位置に形成され、スリット
形成部の端部に高さ方向の段部が形成されこの段部は周
囲部に連結されていることを特徴とする容器用キャップ
装置である。請求項２の発明は、弁体のスリット形成部
の中心線と段部の中心線との角度θが４５゜〜１３５゜
の範囲内になっていることを特徴とする請求項１に記載
の容器用キャップ装置である。

【０００８】本発明によれば、前記弁体のスリット形成
部は、その周囲部と弁体高さ方向に位置が変位し、スリ
ット形成部と周囲部とは、壁状の段部で連結されている
ので、弁体がスリットの開閉をしてスリットの切り裂け
が延びようとしても、切り裂けは弁体高さ方向の段部の
壁で止まる。したがって、スリットから切り裂けが延び
るのを確実に防止できる。なお、弁体のスリット形成部
の中心線と段部の中心線との角度θは４５゜〜１３５゜
の範囲内にするとスリットからの切り裂けを確実に防止
できる。好ましくは６０゜〜１２０゜の範囲内にすると
より一層切り裂けを防止できる。つまり前記角度θが大
きいと平面に近くなり、段部が壁状にならないので切り
避け防止の作用効果が得られないからである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。図１〜図３は、実施形態にか
かる液体製品を収容する容器１の口元部２に設けたキャ
ップ装置３の説明図である。

【００１０】キャップ装置３は、天頂部５ａ中央の凹部
５ｄにスリット４が形成されたシリコーン樹脂等の柔軟
な樹脂壁製であって容器１内圧力に対応して該スリット
４が開閉する弁体５と、該弁体５の天頂部５ａを開口部
６から外部に露出させた状態で保持すると共に容器１の
口元部２に固定されるキャップ本体７と、該開口部６を
着脱自在に覆うオーバーキャップ８とを有する。前記弁
体５のスリット形成部９ａは、その周囲部９ｂと弁体５
高さ方向に異なる位置に形成され、スリット形成部９ｃ
の端部に高さ方向の段部９ｃが形成されこの段部９ｃは
周囲部９ｂに連結されている。

【００１１】すなわち、前記弁体５は、図３に示すよう
に、全体が伏せた概略椀形状を呈し、底部５ｂ周縁には
環状にフランジ部５ｃが形成される。そして、天頂部５
ａはその中央部の凹状に窪んだ凹部５ｄの中心付近に＋
形状のスリット４が切開される。そして、図３（ｂ）に
示されるように、実施形態の弁体５では、スリット４が
切開された部分（スリット形成部９ａ）はその周囲部９
ｂよりも下方に位置し、かつ、スリット形成部９ａと周
囲部９ｂとの肉厚は、ほぼ同一厚に形成されている。ま
た、段部９ｃはスリット形成部９ａからほぼ垂直に立ち
上がってほぼ垂直に周囲部９ｂに結合しており、この壁
部９ｃの肉厚もスリット形成部９ａと周囲部９ｂとほぼ
同一厚さに形成されていることが好ましい。なお、弁体
５のスリット形成部９ａの中心線２０と段部９ｃの中心
線２１との角度θは４５゜〜１３５゜の範囲内にする。
好ましくは６０゜〜１２０゜の範囲内にする。弁体５の
材質としては、シリコーンゴムやエラストマーなどのゴ
ム状の樹脂が好適である。なお、フランジ部５ｃ底部側
には、凹部５ｆが形成されている。

【００１２】前記容器１は上部が肩部から段状に細くな
って概略筒状の口元部２を有し、この口元部２の外周面
部に雄ネジのネジ山２ａが形成されている。キャップ本
体７は、図２に示すように、大径部７ａ、中径部７ｂ、
小径部７ｃからなり大径部７ａは内周の雌ネジのネジ山
７ａ₁が形成される。この大径部７ａを前記口元部２に
被せてネジ山２ａおよび７ａ₁同士を螺着することで、
口元部２にキャップ本体７を固定する。大径部７ａの内
側には、容器口元部２内周に向けて壁状に垂下して大径
部７ａと共に口元部２をはさむ壁部１０が一体形成され
る。また、中径部７ｂと小径部７ｃとの段状内周部に
は、弁体５のフランジ部５ｃが当接し、下方からリング
状のストッパー１１で押圧されて固定される。ストッパ
ー１１の上面部の突起１２が弁体５の凹部５ｆに嵌入し
て、弁体５の脱落を防止する。また、ストッパー１１は
中径部７ｂ内周壁の突起１３により中径部７ｂ内部に嵌
合して固定される。そして、小径部７ｃ内周部は、弁体
５上部の外周との間に隙間を設けて、弁体５の作動を確
保できる寸法に形成される。

【００１３】オーバーキャップ８は、外周上部に使用者
が持ち易くするため傘状にフランジ８ｂが形成された全
体概略キノコ形状を呈している。そして、オーバーキャ
ップ８の底面８ａ中央部周囲には、前記口元部２先端に
嵌合するための内側、外側のリブ８ｃ、８ｄが突出形成
されている。また、オーバーキャップ８の底面８ａは平
坦に形成されても、弁体５の凹部５ｄに沿うように形成
されてもよい。また、外側リブ８ｄの内周とキャップ本
体７小径部７ｃ外周に互いに対応する係止用突起１４、
１５が形成されており、オーバーキャップ８がキャップ
本体７に対して経時によっても嵌合が緩まないようにし
ている。

【００１４】実施形態のキャップ装置では、弁体５のス
リット形成部９ａは、その周囲部９ｂと弁体５高さ方向
に異なる位置に形成され、かつ、スリット形成部９ａの
端部に高さ方向の段部９ｃが形成されこの段部９ｃは周
囲部９ｂに連結されているので、弁体５がスリット４の
開閉をしてスリット４の切り裂けが延びようとしても、
切り裂けは弁体高さ方向に沿う段部９ｃの壁で止まる。
したがって、スリット４から切り裂けが延びるのを確実
に防止できる。

【００１５】よって、前記容器１では液体製品を注出す
るときに、弁体５を使用してスリット４を何度開閉して
も切り裂けが大きくなることがなく、当初の設計どおり
の量の液体製品を毎回注出して対象箇所に供給すること
ができる。

【００１６】なお、前記実施形態は本発明の実施の一態
様を示しているものに過ぎず、本発明の範囲内で種々に
変形実施できる。例えば、弁体５のスリット形成部９ａ
が周囲部９ｂよりも下方に位置して形成されることに限
定されず、例えば図４の変形例に示すように、スリット
形成部９ａが周囲部９ｂより上方に位置して形成するこ
とも本発明の範囲内である。なお、図４では図１〜３と
同様部分に同一符号を付してその説明を略する。この変
形例でも壁状の段部９ｃで連結されているので、弁体５
がスリット４の開閉をしてスリット４の切り裂けが延び
ようとしても、切り裂けは弁体高さ方向に沿う段部９ｃ
の壁で止まる。

【００１７】また、図５の第２実施形態に示すように、
弁体５Ａの天頂部５ａよりも下方位置の側壁部５ｇから
スリット形成部９ａが延びるようにし、弁体５高さ方向
に沿う側壁部５ｇとスリット形成部９ａとの連結箇所を
段部９ｃとすることができる。この場合、スリット形成
部９ａの中心線２０と側壁部の中心線２１同士の角度θ
を４５゜〜１３５゜の範囲内にすることができる。この
第２実施形態でも壁状の段部９ｃで連結されているの
で、弁体５Ａがスリット４の開閉をしてスリット４の切
り裂けが延びようとしても、切り裂けは弁体段部９ｃ
（側壁部５ｇ内面部）で確実に止めることができる。

【００１８】また、スリット形成部９ａのスリット切開
端部４ａは壁部９ｃと同一位置となることに限定され
ず、切り裂けによるスリット４の拡大が生じても液体製
品注出量が許容範囲内であればスリット切開端部４ａと
壁部９ｃ壁面はある程度離隔して形成することができ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した通り、請求項１の発明によ
れば、弁体がスリットの開閉をしてもスリットの切り裂
けは段部で止まるので、スリットから切り裂けが延びる
のを確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る容器用キャップ装置の
容器使用状態の説明図である。

【図２】キャップ装置の要部半断面図である。

【図３】弁体の詳細説明図であって、（ａ）は平面図、
（ｂ）は半断面を含む側面図である。

【図４】実施形態の変形例にかかる弁体の詳細説明図で
ある。

【図５】本発明の第２実施形態にかかる弁体の要部説明
図である。

【符号の説明】

１ 容器 ２ 口元部 ３ キャップ装置 ４ スリット ５、５Ａ 弁体 ９ａ スリット形成部 ９ｂ 周囲部 ９ｃ 段部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 洋平 東京都墨田区本所１丁目３番７号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 松本 曄 東京都墨田区本所１丁目３番７号 ライオ ン株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体製品を収容する容器の口元部に設け
   たキャップ装置において、一部にスリットが形成された
   柔軟な樹脂壁製であって容器内圧力に対応して該スリッ
   トが開閉する弁体と、該弁体のスリット形成部を開口部
   から外部に露出させた状態で保持すると共に容器の口元
   部に固定されるキャップ本体と、該開口部を着脱自在に
   覆うオーバーキャップとを有し、前記弁体のスリット形
   成部は、その周囲部と弁体高さ方向に異なる位置に形成
   され、スリット形成部の端部に高さ方向の段部が形成さ
   れこの段部は周囲部に連結されていることを特徴とする
   容器用キャップ装置。
2. 【請求項２】 弁体のスリット形成部の中心線と段部の
   中心線との角度θが４５゜〜１３５゜の範囲内になって
   いることを特徴とする請求項１に記載の容器用キャップ
   装置。