JPH11123384A - 防汚方法および防汚装置 - Google Patents

防汚方法および防汚装置

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JPH11123384A
JPH11123384A JP9289444A JP28944497A JPH11123384A JP H11123384 A JPH11123384 A JP H11123384A JP 9289444 A JP9289444 A JP 9289444A JP 28944497 A JP28944497 A JP 28944497A JP H11123384 A JPH11123384 A JP H11123384A
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成興 中村
Tomomasa Murayama
智正 村山
Noritake Takahashi
勘丈 高橋
Toshihiko Maeda
敏彦 前田
Shuichi Honda
修一 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却水として海水を使用する場合の取水路に
海洋生物が付着することを防止する方法および装置にお
いて、環境を汚染する心配がなく、かつ消費エネルギー
が少なくランニングコストが低いものを提供する。 【解決手段】 導電性の物質からなる被防汚体の表面に
導電性シートをライニングし、これを陽極とし別に設け
た電極材を陰極として、塩素の発生しない微弱な電流を
流し、導電性シートに触れた微生物に電気的なショック
を与えてその付着を防止することからなり、通電を、最
長48時間に及ぶ一単位の時間内で少なくとも1/6の
長さの時間にわたり、かつ1回の通電が1時間を下回ら
ないように、間欠的に行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋構造物、船
舶、海水輸送用の配管または水路、魚網またはいけす
網、あるいは海水取水口のスクリーンに生物が付着して
汚染することを防止する防汚方法と、その方法を実施す
るための装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、発電所の冷却水用の海水を輸
送する配管のような海洋構造物において、常に海水に接
している部分には、種々の海草やフジツボそのほかの貝
のような海洋生物が付着し、それによって取水量の減少
などの問題が生じる。 このため、付着した海洋生物を
定期的に取り除かなければならないが、これは困難な作
業である。
【0003】海洋生物の付着のメカニズムは、まず赤潮
菌などの微生物が付着して生物皮膜が形成され、それに
フジツボなどの大型生物の幼生が付着する、という順序
に従う。 従って、微生物の付着を防止して、大型生物
の幼生が付着し成長するのを防止することが、上記の問
題の効果的な解決策であり、そのための手法が種々提案
されている。 こうした防汚方法は、有害な物質を使用
したり発生させたりして環境を汚染するものであっては
ならず、かつ比較的低額な設備費と低廉なランニングコ
ストとをもって実施できるものでなければならない。
【0004】発明者らは、環境を汚染することなく、か
つ比較的低額の設備費と低廉なランニングコストとをも
って、効果的に防汚を行なうことを企てて研究し、その
成果として、微弱な電流が海洋微生物に与えるショック
を利用して海洋生物の付着を防止する技術を開発し、す
でに提案した(特公平7−24822号)。 その防汚
方法は、代表的な態様としては、海水に接触する構造
物、船舶または配管への海洋生物の付着による汚染を防
止する方法であって、基本的には被防汚体の防汚を必要
とする部分に導電性のシートを直接、すなわち絶縁材を
介さずにライニングし、この導電性シートと接触しない
ように海水中に電極材を配置し、導電性シ−トを陽極と
し電極材を陰極として直流電圧を印加し、照合電極と陽
極との電位差を測定して、それが0.5〜1.5V(S
CE基準)の範囲であって塩素の生成しない電位差の範
囲にあるように制御しながら微弱な電流を流し、導電性
シートに触れた微生物に電気的なショックを与えて、そ
の付着を防止することからなる。
【0005】上記の技術により、効果的な防汚が実現し
た。 流す電流は微弱であるから、消費電力は僅少で済
む。 しかし、防汚を行なうべき海洋構造物の表面積が
大きい場合には、設備の建設費もさることながら、やは
り消費電力が軽視できない量に達し、ランニングコスト
がかかる。 たとえば、電流密度が平均して100mA/
2であり、面積が10,000m2に及ぶときは、電流
量は1,000Aになり、消費電力は1日につき24kw
H に達する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の防汚技術において、防汚効果を低下させることなく消
費電力を低減させた防汚方法、およびその実施に使用す
る装置を提供し、それによって防汚のコストをいっそう
低下させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の防汚方法は、海
水に接触する構造物・船舶もしくは配管、または網への
海洋微生物の付着による汚染を防止する防汚方法であっ
て、(1)導電性の物質からなる被防汚体の、防汚を必
要とする部分に導電性シートを直接ライニングするか、
(2)導電性の物質からなる被防汚体である網に導電性
被膜を形成するか、または、(3)非導電性の物質から
なる被防汚体の防汚を必要とする部分に近接して、導電
性シートをライニングした給電体または導電性被膜で覆
われた給電体を配置し、この導電性シートまたは導電性
被膜と接触しないように海水中に電極材と照合電極とを
配置し、導電性シートまたは導電性被膜を陽極、電極材
を陰極とし、直流電圧を印加することからなる方法にお
いて、照合電極と陽極との電位差を測定してそれが0.
5〜1.5V(SCE基準)の範囲であって塩素の生成
しない電位差の範囲にあるように制御しながら微弱な電
流を流し、導電性シートに触れた微生物に電気的なショ
ックを与えてその付着を防止すること、および、この通
電を、最長48時間までの任意の時間を一単位とする範
囲内で少なくとも1/6の長さの時間にわたり、かつ1
回の通電が1時間を下回らないように、間欠的に行なう
ことを特徴とする。
【0008】この方法を実施するための本発明の防汚装
置は、海水に接触する構造物・船舶もしくは配管または
網への生物の付着による汚染を防止する防汚装置であっ
て、(1)導電性の物質からなる被防汚体の、防汚を必
要とする部分に直接ライニングした導電性シート、
(2)被防汚体である網を被覆した導電性の被膜、また
は(3)非導電性の物質からなる被防汚体の防汚を必要
とする部分に近接して配置した給電体と、この給電体の
表面にライニングした導電性シートまたは被膜形成した
導電性被膜、のいずれか、この導電性シートまたは導電
性被膜と接触しないように海水中に配置した電極材、直
流電源ならびにタイマーから本質的に構成され、導電性
シートまたは導電性被膜を陽極、電極材を陰極とするよ
う直流電源に接続し、直流電源が照合電極と陽極との電
位差を0.5〜1.5V(SCE基準)の範囲であって
塩素の生成しない電位差の範囲に制御する機能を有し、
かつ、タイマーは、通電を、最長48時間までの任意の
時間を一単位とする範囲内で少なくとも1/6の長さの
時間にわたり、かつ1回の通電が1時間を下回らないよ
うに、間欠的に行なうように構成してなる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の防汚は、基本的には前掲
の特公平7−24882号公報に開示した防汚技術に従
って行なうから、そこに記載の事項はすべて本発明に適
用される。
【0010】導電性シートを被防汚体に設ける簡単な方
法は、ゴムに不溶性の導電性物質を混練しシートにした
ものを貼りつける、ゴムライニング法である。 ゴムと
しては、たとえばクロロプレンゴム、ブチルゴム、エチ
レンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポ
リエチレンゴムなどが好適である。 ゴムに代えて熱可
塑性樹脂たとえばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ
アミドなどを使用し、それらの粉末と導電性物質の粉末
との混合物を用意し、粉体ライニングの方法で導電性シ
ートにしてもよい。
【0011】不溶性の導電性物質の例をあげれば、T
i,Ni,Taなどバルブメタル、白金族の金属または
その酸化物、PbO2,MnO2,Fe23などの金属酸
化物、グラファイトやカーボンブラックなどの炭素系材
料、銀鉛合金である。
【0012】導電性シート材料として好適なものは、ゴ
ムとくにブチルゴムと、カーボンブラックおよびグラフ
ァイト粉末との組み合わせである。 代表的な配合例
は、つぎのとおりである。(重量部) No. 1 2 3 ブチルゴム 100 100 − クロロプレンゴム − − 100 カーボンブラック 50 40 30 グラファイト粉末 50 45 40 体積固有抵抗(Ωcm) 5 20 10 導電性シートの厚さは、耐久性をもたせるために500
μm以上、とくに3mm以上10mmまで、好ましくは5mm
以下にする。
【0013】電極材は陰極であるので種々の金属が使用
できるが、加工性、コストの点で、鉄またはステンレス
鋼が適している。
【0014】本発明の防汚方法および防汚装置は、被防
汚体の種類に応じて、若干の態様があり得る。 たとえ
ば被防汚体が鋼管を用いた海水流路である場合、図1に
示すように、被防汚体(1)である鋼管に導電性被膜
(3)を形成し、この被膜を陽極として利用し、絶縁材
(8)により鋼管と絶縁した電極材(4)を、フランジ
の間に挟んで管路を形成する。 図1において、(5)
は対照電極、(9)は海水である。 いうまでもなく、
この態様では、電気の良導体である鋼管を、給電体とし
て利用することができる。
【0015】被防汚体がコンクリート製の水路のよう
に、直接導電性シートをライニングできないものである
場合には、図2に示すように、被防汚体(1)に近接し
て導電性の支持構造体として給電体(2)を設け、その
上に陽極とする導電性シート(3)をライニングすると
いう手法をとることができる。 給電体には、鋼やステ
ンレス鋼をはじめとする金属の板や網を使用すればよ
い。
【0016】本発明の防汚技術の特徴は、前記のように
電流を流す時間の配分にあり、最長48時間までの任意
の時間を一単位とする範囲内で少なくとも1/6の長
さ、好ましくは1/4の長さの時間にわたり、かつ1回
の通電が1時間を下回らないように間欠的に行なうこと
にある。
【0017】このような条件をみたす間欠通電には、さ
まざまな形態があり、たとえば1/6の時間通電する場
合は、1時間通電したのち5時間休止することを繰り
返すという順からはじまって、2時間の通電ののち1
0時間の休止、4時間の通電ののち20時間の間休
止、または8時間の通電ののち40時間の休止などの
組み合わせが可能である。 同様に1/4の時間通電す
る場合は、1時間の通電ののち3時間の休止にはじまっ
て、上記に対応する関係を繰り返せばよい。 もちろ
ん、規則的な繰り返しである必要はない。
【0018】ただし、1回の通電が1時間に満たない短
時間であるときと、1回の休止が40時間を超える長期
にわたるときは、防汚効果が低くなる。 その理由は、
前者については海洋微生物の駆逐が不十分なうち休止時
間に入ること、また後者については、いったん微生物が
駆逐されても次の通電までの間に再び多量に付着するに
至ること、が考えられる。
【0019】上記のような間欠放電の最も効果的な実施
は、上記の時間の単位を24時間とし、その中で4時間
ないし6時間を通電にあて、その通電時間帯を深夜間電
力料金の適用される時間帯の中に置くことである。 い
うまでもなく、電力需要の変化に対応し、課せられる料
金が低率となってランニングコストの削減に役立つ。い
まひとつの有利な態様としては、太陽電池の利用が挙げ
られる。 太陽光に恵まれた地域であれば、太陽電池の
電力を使用して、日中の4時間以上6時間程度の時間、
通電をすればよい。 発電量が不足する場合にそなえ
て、過剰な電力を蓄えておく蓄電池を併用すべきこと
は、いうまでもない。
【0020】消費電力を最小限に抑えるという観点から
は、電極電位としてどの程度の値を確保すべきかが、ま
ず問題になる。 そこで、後記する実施例1の実験と同
様にして、海水の流路に置いた導電性シートの表面に付
着した総菌数が、SCE基準で1.0Vまたは1.2V
の電位を与えられたとき、通電開始から1日、2日、4
日および7日後にどのように変化したかをしらべ、無通
電の場合と比較した。
【0021】その結果は図3のグラフに示すとおりであ
って、無通電の場合は日数の経過に伴って次第に付着菌
数が増加して行ったのに対し、「1.0V vs SCE」
の場合は菌数の増加度合は低いものの、抑制しきれず、
「1.2V vs SCE」ならば低いレベルに抑えられる
ことがわかった。
【0022】付着した菌は、長さ2〜3μmで径0.5
〜1μmの桿菌と、径1〜2μm程度の球菌が多かっ
た。 単純化のため代表的に長さ2μm×径1μmの桿
菌を考えると、これがある表面を単層で覆いつくしたと
きの菌数は1×105個/mm2である。 この数字を超え
ると菌は多層に付着し、爆発的に増殖してバイオフィル
ムを形成するに至る。 このバイオフィルムの形成が海
洋生物の付着を招くことは、前述したとおりである。
従って、1×105個/mm2に達しない条件を与えること
が必要である。 図3のデータからいえば、1.0Vを
超えなるべく1.2Vに近い電位、好ましくは1.1〜
1.2Vを、陽極である導電性シートに与えるべきこと
になる。 1.2Vの場合には菌数1〜103個/mm2
止まり、これは上記した単層形成の1×105個/mm2
くらべて、著しくまばらな付着でしかない。
【0023】上述の試験を継続して、50日後に再度付
着菌数を測定するとともに、付着した大型の海洋生物の
湿重量を測定した。 結果は次のとおりであって、 付着菌数 大型生物湿重量 無通電 3×105個/mm2 150g 1.0V vs SCE 5×104 110 1.2V vs SCE 1.5×103 3 7日間の試験で菌の付着阻止が可能であれば、長期間経
過してもその効果は変わらないことが確認できた。
【0024】次に、通電を間欠的に行なっても微生物の
付着を防止できることは、図4のグラフから明らかであ
る。 このグラフは、上記と同様に後記する実施例1に
従って、海水の流路に置いた導電性シートの表面に存在
する総菌数が、通電開始後1日、2日、4日および7日
の後にどのように変化したかを示すグラフである。通電
は、上記の結果にかんがみ、いずれも照合電極に対する
導電性シートの電位が1.16V(SCE基準)となる
ように行なった。
【0025】このグラフにみるように、通電しない場合
は次第に付着菌数が増加して行くのに対し、「間欠4時
間」すなわち4時間通電−20時間休止の繰り返しで
も、7日後の菌数は当初から増加していないし、「間欠
6時間」すなわち6時間通電−18時間休止の繰り返し
の場合には、「連続通電」とほぼ同等の微生物付着防止
効果が得られている。
【0026】間欠通電の条件を定めるいまひとつの因子
として、通電による微生物付着防止の効果は、通電をど
の程度の時間継続したら得られるか、ということが問題
である。 これまで微生物「付着」防止の語を用いてき
たが、海水に接触した物の表面には直ちに微生物が付着
することが避けられないのであるから、本発明でいう付
着防止とは、付着した微生物に電気的ショックを与え
て、殺すかまたは駆逐することにほかならない。 この
作用は、電流が微弱であるから、短時間では得られな
い。 つまり、表面に存在する微生物の数を次第に減少
させて行き、ある限界を超えるのに要する時間は、通電
を開始してからどのくらいであるか、という問題であ
る。
【0027】上記した実験と同様にして、通電開始後の
時間経過に伴う導電性シート表面の総菌数の変化をしら
べて、図5のデータを得た。 図5のグラフは、導電性
シートにSCE基準で1.1Vの電位を与えたとき、約
5時間までは総菌数が変化せず、1×104個/mm2以上
のレベルを保っているが、その時点から急激に減少に向
い、5〜7×102個/mm2という低い値になること、ま
た1.2Vの電位を与えたときは、当初は1.1Vの場
合と同様な経過をたどるが、約2時間で総菌数が急激に
減少して、到達するレベルも上記5×102より低い2
×102個/mm2であることを示している。
【0028】1.2Vより高い電位たとえば1.25V
を導電性シートに与えれば、より短い時間すなわち約1
時間で、表面の総菌数が急激な減少に向う。 従って、
通電開始から少なくとも1時間の通電を行なうこと、つ
まり間欠通電における1回の時間は最低1時間とすべき
ことが、以上の事実から結論される。 ただし、高い電
位の採用は消費電力の増大を招くから、経済的観点から
は、有利であるとは限らない。
【0029】陽極となる導電性シートの電位の選択は、
海水の温度の上下によって生じる電導率の変化、結果と
して生じる電流の増加を考慮に入れて行なわなければな
らない。 代表的な海水の組成にシミュレートさせて合
成した水溶液中で、導電性シートを陽極とする電解を行
なったときの状況を、図6および図7に示す。 図6
は、電流を一定に保ったとき温度の上昇に伴って電位が
低下する関係を、また図7は、電位を一定に保ったとき
に、温度の上昇に伴って電流が増大する関係を、それぞ
れあらわしている。
【0030】導電性シート表面において微生物に与える
電気的なショックの大きさに対しては、電位が最大の因
子であると発明者らは考えている。 電流密度も当然に
影響するはずであるが、その程度を把握するに至ってい
ない。
【0031】そこで当面は、ある程度の電位を保つこと
を前提にして考えを進め、いま、間欠通電の一単位の中
で通電を行なう時間の割合を「通電時間率」とよぶこと
とすると、間欠通電のあり方としては、比較的高い電
位を採用し、電流密度は高くなっても、短い一通電時間
および低い通電時間率を実現するタイプ、および、比
較的低い電位を採用し、一通電時間が多少長くなり通電
時間率が若干高くなっても電流密度を下げて実施するタ
イプ、の二典型があり、実際の操業はこれらの間で、防
汚装置の実状と海水温度そのほかの運転上の因子を考え
合わせて、最適の、すなわち電力消費が最小になる条件
を見出して操業すべきことになる。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕両端にフランジを有する鋼管(口径「10
0A」長さ1m)を、10本用意した。 それぞれの内
面に、導電性ゴムシートをライニングした。 この導電
性ゴムは、クロロプレンゴム100重量部にカーボンブ
ラック30重量部およびグラファイト40重量部を混練
して押し出したものである。 加硫後のシートの厚さは
5mmである。 鋼管のフランジ面や外周面など、導電性
シートのライニングのないすべての部分を、絶縁材で被
覆した。
【0033】銀の円柱を、その先端面の一部が露出する
ように絶縁材で被覆し、後端にリードを接続して、照合
電極を用意した。 被覆鋼管それぞれの中ほどに孔をあ
け、そこにこの照合電極を挿入し、先端が管内部にわず
か突き出るように固定した。フランジ部分と同じ形状寸
法の面をもつチタン製のドーナツ状板に白金をメッキし
て、電極材とした。
【0034】上記の鋼管を、図1に示すように、電極材
(4)をはさんでフランジ接合して、試験用の配管とし
た。 電流電源(6)の陽極端子、陰極端子および照合
電極端子は、各鋼管に設けた接続端子、電極材、照合電
極(5)と接続ケーブルで配線した。 図1において、
(8)は絶縁材である。
【0035】この配管に、海水を0.5m/sec の流速で
流した。 鋼管1本あたり40〜100mAの直流電流を
通電し、陽極と照合電極との電位差(SCE基準)が1.
15〜1.20Vの範囲となるように電位を制御し、か
つ6時間通電し18時間休止(通電時間率25%)の繰
り返しを行なうよう電源のタイマーを設定し、配管の防
汚を行なった。
【0036】1年後に配管内部を調べたところ、海洋生
物の幼生がまばらに付着しただけであった。 比較のた
め、同じ口径のポリ塩化ビニルパイプの配管に、上記と
同様に海水を流したところ、この配管内部には海洋生物
が付着し、1年後にはその厚さが10mmに達していた。
【0037】〔実施例2〕図2に示すようにして、海水
が0.3m/sec の速さで流れている、コンクリート水路
の防汚試験を行なった。 縦1m,横1m,厚さ3mmの
ステンレス板を給電体(2)とし、その一方の面に、実
施例1のクロロプレンゴムに代えてブチルゴム100重
量部およびグラファイト粉末50重量部を使用し、実施
例1と同様な導電性シート(3)をライニングし、他の
部分を絶縁材(8)で被覆した防汚壁を用意した。
【0038】水路側面に防汚壁を、導電性シートの側が
海水に向くように配置し、防汚壁と対向する位置に白金
メッキしたチタン棒の電極材(4)を、それぞれ水路側
面に設けた支持部材で固定した。 直流電源(6)の陽
極端子と陰極端子とを、それぞれ給電体(2)と、電極
材(4)とに配線した。
【0039】直流電源と接続してある照合電極(5)を
水路に投げ込んで、陽極との電位差が1.1〜1.2V
の範囲となるように制御しながら、直流電流を通電し
た。通電は、午前0時から4時間行ない、20時間休止
する(通電時間率17%)ように電源のタイマーを設定
した。 1年経過後も、防汚壁の表面に海洋生物の付着
はみられなかった。
【0040】同じ大きさのステンレス板の一方の面にポ
リ塩化ビニルで被覆を施し、他方の面に塗装を施したも
のを、水路の同様な位置に浸漬しておいたところ、そこ
に海洋生物が付着して、1年後には厚さが約15mmに達
するほど成長していた。 しかも、ポリ塩化ビニルとの
継ぎ目付近の塗装が剥離していた。
【0041】
【発明の効果】本発明の防汚方法は、さきに発明者らが
開示した(特公平7−24822号)防汚方法がもたら
した利益、すなわち環境を汚染する有害物質を発生する
ことなく海洋生物の付着を効果的に防止する、という利
益を享受した上で、通電時間率を高くとも25%、最も
低い場合は17%にまで短縮した間欠通電によって同等
の防汚効果を得ることにより、消費電力を著しく低減で
きるという新たな効果をこれに加えた。
【0042】この防汚方法を実施するための本発明の防
汚装置は、さきに開示した装置に対して、電源装置の稼
動時間を設定するためのタイマーを付加しただけで構成
できるから、設備費の増加はとるにたらないものであ
る。 通電時間の減少は、当然に設備とくに陽極となる
導電性シートの耐久力を増し、その交換のインターバル
を長くする。 導電性シートの劣化は通電の休止中もあ
る程度は進むから、単純な比較はできないが、連続的に
通電する場合にくらべて、寿命が2〜3倍に延びること
は確かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の防汚方法の一適用例について、装置
の構成を示す図。
【図2】 本発明の防汚方法の別の適用例について、装
置の構成を示す図。
【図3】 導電性シートに与える電位と微生物付着防止
効果との関係を示す、時間の経過に伴う菌数の変化をあ
らわしたグラフ。
【図4】 間欠通電による海洋微生物の駆逐状況を示
す、時間の経過に伴う菌数の変化をあらわしたグラフ。
【図5】 通電開始からの時間の経過に伴う菌数の変化
を示したグラフ。
【図6】 電流を一定にした場合の、海水温度の変化に
伴う電極電位の変化をあらわしたグラフ。
【図7】 電位を一定にした場合の、海水温度の変化に
伴う電流の変化をあらわしたグラフ。
【符号の説明】
1 被防汚体 2 給電体 3 導電性シート 4 電極材 5 照合電極 6 直流電源 8 絶縁物 9 海水
フロントページの続き (72)発明者 高橋 勘丈 福岡県福岡市西区横浜1−27−24−1 (72)発明者 前田 敏彦 福岡県福岡市中央区鳥飼1−3−48 (72)発明者 本田 修一 福岡県春日市春日原南町1−47

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海水に接触する構造物・船舶もしくは配
    管、または網への海洋微生物の付着による汚染を防止す
    る防汚方法であって、(1)導電性の物質からなる被防
    汚体の、防汚を必要とする部分に導電性シートを直接ラ
    イニングするか、(2)導電性の物質からなる被防汚体
    である網に導電性被膜を形成するか、または、(3)非
    導電性の物質からなる被防汚体の防汚を必要とする部分
    に近接して、導電性シートをライニングした給電体また
    は導電性被膜で覆われた給電体を配置し、この導電性シ
    ートまたは導電性被膜と接触しないように海水中に電極
    材と照合電極とを配置し、導電性シートまたは導電性被
    膜を陽極、電極材を陰極とし、直流電圧を印加すること
    からなる方法において、照合電極と陽極との電位差を測
    定してそれが0.5〜1.5V(SCE基準)の範囲で
    あって塩素の生成しない電位差の範囲にあるように制御
    しながら微弱な電流を流し、導電性シートに触れた微生
    物に電気的なショックを与えてその付着を防止するこ
    と、および、この通電を最長48時間までの任意の時間
    を一単位とする範囲内で少なくとも1/6の長さの時間
    にわたり、かつ1回の通電が1時間を下回らないよう
    に、間欠的に行なうことを特徴とする防汚方法。
  2. 【請求項2】 間欠的な通電を行なう時間の単位を24
    時間とし、深夜間電力料金の適用される時間帯の中にお
    いて4〜6時間にわたって通電し、残りの時間は休止す
    る請求項1の防汚方法。
  3. 【請求項3】 太陽電池により電力を供給するととも
    に、間欠的な通電を行なう時間の単位を24時間とし、
    太陽光による発電の可能な時間帯において少なくとも4
    時間通電し、残りの時間は休止する請求項1の防汚方
    法。
  4. 【請求項4】 電位差を、海水の温度の上下に応じて増
    減するその電導率の変化にかかわらず、1.10〜1.
    20V(SCE基準)の範囲内にコントロールして実施
    する請求項1または2の防汚方法。
  5. 【請求項5】 海水に接触する構造物・船舶もしくは配
    管または網への生物の付着による汚染を防止する防汚装
    置であって、(1)導電性の物質からなる被防汚体の、
    防汚を必要とする部分に直接ライニングした導電性シー
    ト、(2)被防汚体である網を被覆した導電性の被膜、
    または(3)非導電性の物質からなる被防汚体の防汚を
    必要とする部分に近接して配置した給電体と、この給電
    体の表面にライニングした導電性シートまたは被膜形成
    した導電性被膜、のいずれか、この導電性シートまたは
    導電性被膜と接触しないように海水中に配置した電極
    材、直流電源ならびにタイマーから本質的に構成され、
    導電性シートまたは導電性被膜を陽極、電極材を陰極と
    するよう直流電源に接続し、直流電源が照合電極と陽極
    との電位差を0.5〜1.5V(SCE基準)の範囲で
    あって塩素の生成しない電位差の範囲に制御する機能を
    有し、かつ、タイマーは、通電を、最長48時間までの
    任意の時間を一単位とする範囲内で少なくとも1/6の
    長さの時間にわたり、かつ1回の通電が1時間を下回ら
    ないように、間欠的に行なうように構成してなる防汚装
    置。
  6. 【請求項6】 直流電源として、太陽電池および太陽光
    により発電した電力を蓄える蓄電池をそなえた請求項5
    の防汚装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007177449A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Toshiba Corp 構造物の防汚装置
JP2019535512A (ja) * 2016-11-01 2019-12-12 イーピーエフエフ エレクトリカル パイプ フォア フルーイド トランスポート アーベーEpff Electrical Pipe For Fluid Transport Ab 管内の微生物増殖の低減

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