JPH11123327A - 吸・脱着性材料およびその製造方法 - Google Patents

吸・脱着性材料およびその製造方法

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JPH11123327A
JPH11123327A JP30650297A JP30650297A JPH11123327A JP H11123327 A JPH11123327 A JP H11123327A JP 30650297 A JP30650297 A JP 30650297A JP 30650297 A JP30650297 A JP 30650297A JP H11123327 A JPH11123327 A JP H11123327A
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adsorbent
polyvinylidene fluoride
porous
resin
fluoride resin
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JP30650297A
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Yoshiyuki Miyaki
義行 宮木
Kuniyuki Goto
邦之 後藤
Kazuhiko Morio
和彦 森尾
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Adeka Corp
Arkema KK
Original Assignee
Elf Atochem Japan KK
Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉体状吸着剤と比較したときに吸・脱着性能
の低下がなく、しかも、密着性、耐水性、耐溶剤性およ
び熱的安定性を兼ね備え、製造・取扱いが容易な嵩密度
の低い吸・脱着材料と、その製造方法。 【解決手段】 吸着剤をポリフッ化ビニリデン系樹脂か
らなる多孔質体中に分散させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な吸・脱着材料と、
その製造方法とに関するものである。本発明の吸・脱着
材料は加速された吸着・脱着性能を有し、吸着材料、脱
臭材料、湿度調節材料、分離材料、触媒材料等として使
用することができる。
【0002】
【従来の技術】活性炭をはじめとする嵩密度が高い粉体
の吸着剤は取り扱いが難しいためバインダーを用いてこ
れらの吸着剤を固形化することが行われている。しか
し、バインダーを使用すると吸着剤の細孔が遮断、閉塞
されるため、吸着剤の見かけの表面積が低下し、吸着能
が著しく損なわれてしまう。
【0003】特開平7-41596 には、懸濁重合法で得られ
る多孔質なポリマーゲルを用いて、吸着性能を損なわず
に、活性炭を多孔質ポリマー粒子で被覆した活性炭粒子
を製造する方法が開示されている。しかし、この方法で
調製された活性炭のBET法による表面積は約3分の1
に低下する。しかも、重合反応と同時に活性炭を包摂す
る必要があるため、十分な量の活性炭を添加することが
できず、収率も良くなく、得られた粒子状活性炭からの
粉落ちもみられる。
【0004】特開平02-17989には、活性炭の粒径より大
きい粒径の熱可塑性樹脂粉体を混合して成形する方法が
開示されている。しかし、この方法では多孔性を損なわ
ずに樹脂粉体を成形する必要があるため、成形条件の設
定が難しく、また、この方法で成型された成形物の使用
上の強度は十分とはいえない。
【0005】特開63-109046 には、活性炭と多孔質ウレ
タンとを組合せた結露防止シートが提案されている。し
かし、この方法で作られたシートが十分な性能を発揮す
るためには、粒径の大きな活性炭を用いる必要がある。
そのため、活性炭の離脱を防止するためにポーラスウレ
タン層を多層にオーバーコートする必要がある。さら
に、ウレタン樹脂の性質上、耐水性、耐熱性におとる。
【0006】特開53-28094には、活性炭を含むポリアク
リロニトリル共重合体溶液中の不純物をゾル・ゲル転移
法によって除去する方法が開示されている。しかし、こ
の方法で得られた膜は多孔度が十分でなく、吸着剤の孔
をポリアクリロニトリルが著しく塞いでしまうため気体
の吸着速度が遅く、吸着量が少ない。また、基材に対す
る密着性や耐溶剤性に劣るため、その使用範囲は限定さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、密着
性、耐水性、耐溶剤性および熱的安定性を兼ね備え、公
知の粉体状吸着剤と比較した場合に吸・脱着性能が低下
しない、嵩密度が低く、製造・取扱いが容易な吸・脱着
材料とその製造方法とを提供することにある。
【0008】本発明者達は、吸着剤と多孔質フィルムを
形成し得る耐熱性、耐薬品性の高分子化合物との複合材
料の性能を幅広く研究する過程で、フッ化ビニリデン系
の高分子と吸着剤とを複合することによって基材密着性
と多孔性とに優れた塗膜が得られ、しかも、驚くべきこ
とに、その吸・脱着性能を相当する原料の吸着剤よりも
優れているということを見出し、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明が提供する吸・脱
着性材料は、吸着剤がポリフッ化ビニリデン系樹脂から
なる多孔質体中に分散していることを特徴としている。
本発明はさらに、上記吸・脱着性材料の製造方法を提供
する。本発明方法は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶
媒に溶かした溶液中に吸着剤を分散させ、得られた分散
溶液をポリフッ化ビニリデン系樹脂に対する非溶媒と接
触させることを特徴とする。本発明のさらに他の対象
は、吸着剤をポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔
質体中に分散させた複合材料の吸・脱着性材料としての
使用にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるポリフッ化ビ
ニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデンの単独重合体お
よびフッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデンと共重合可
能な他のモノマーとの共重合体を意味する。共重合体で
は2種以上のコモノマーを混合して用いることができる
が、フッ化ビニリデン成分を50重量%以上、望ましくは
75重量%以上にするのが好ましい。共重合可能なコモノ
マーとしては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレ
ン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニルなどのフッ素
系モノマーが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用
いることができる。
【0011】このポリフッ化ビニリデン系樹脂は例えば
フッ化ビニリデンモノマーを、必要に応じて用いられる
他のモノマーと一緒に、公知の重合法、例えば懸濁重合
法または乳化重合法で重合することによって得られる。
このポリフッ化ビニリデン系樹脂のメルトフローレート
(MFR、230 ℃、2.16kgの荷重下) は 0.01 〜300g
/10分であることが望ましく、好ましい範囲は0.02〜30
g/10分である。
【0012】吸着剤の形態は特に問題ではないが、分散
性の観点からは微粉末状のものが好ましく、直径が 100
μm以下であるのが望ましい。吸着剤の種類も特に限定
されないが、活性炭、グラファイト、木炭、ゼオライ
ト、アルミノシリケート、フライポンタイト、酸化マグ
ネシウム、金属フタロシアニン、セピオライト、ベント
ナイト、多孔質シリカ、カオリナイト、珪酸カルシウ
ム、モンモリロナイト、ハロサイト、ヒドロキシアパタ
イト、アロフェン、珪藻土、その他の粘土鉱物、金属酸
化物などを例ですることができる。また、これらの吸着
剤は表面を修飾し、変成し、他の性能を付加し、向上さ
れたものを使用することもできる。
【0013】ポリフッ化ビニリデン樹脂中に分散させる
吸着剤の量はポリフッ化ビニリデン樹脂 100重量部に対
して 10 〜200 重量部が好ましい。10重量部未満の場合
には吸着性能が不十分であるだけでなく、得られた塗膜
の密着性、平滑性が乏しく、200 重量部を越えると粉落
ちが起こり、得られた吸着剤含有高分子多孔体の機械的
強度が低下する。
【0014】本発明の吸・脱着材料は上記の吸着剤をポ
リフッ化ビニリデン系樹脂溶液に均一に分散させた溶液
から、所謂ゾル−ゲル法によって得ることができる。ポ
リフッ化ビニリデン系樹脂を溶解させる溶媒は特に限定
をしないが、その代表的なものとしてはN−メチルピロ
リドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラ
クトン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロ
フラン、テトラメチルウレア、トリメチルホスフェ−ト
等を挙げることができる。混合溶媒を使用することもで
きる。一般にはフッ化ビニリデンポリマーをこれら溶媒
に5〜40重量%溶解させる。一方、ポリフッ化ビニリデ
ン系樹脂を溶解しない溶媒である非溶媒の例としては水
およびアルコール類が挙げられる。
【0015】塗膜を得る場合には、塗膜の強度、密着性
の観点から非溶媒として水を用いるのが好ましい。ポリ
フッ化ビニリデン系樹脂を非溶媒に浸漬後、直ちにゾル
・ゲル転移が開始するが、ゲル化を十分に進行させるた
めには10秒以上の浸漬時間をとるのが好ましい。十分な
浸漬時間と乾燥の後に、撥水性の吸着性塗膜が得られ
る。糸を得る場合も、機械的強度の観点から非溶媒とし
て水を用いるのが好ましい。
【0016】実際の操作では、例えば吸着剤をポリフッ
化ビニリデン系樹脂溶液に分散させた溶液を基材上に塗
布した後、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に対して溶解性
が乏しく且つポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解するの
に用いた溶媒と親和性のある溶媒中 (非溶媒) に浸漬す
ることによって、ポリフッ化ビニリデン系樹脂多孔体中
に吸着剤粒子が凝集せずに微粒子として均一に分散した
塗膜が得られる。
【0017】基材としては、多孔質基材のみならず非多
孔質基材も用いることができ、いずれの場合も密着性が
強く、膜強度の高い吸着性材料が得られる。多孔質基材
の例としてはステンレス、紙、木材、ガラスまたはプラ
スチックの織布/不織布、多孔質ガラス/セラミックス
などをあげることができる。また、非多孔質基材として
は各種金属箔やシート、プラスチックフィルム・シー
ト、セラミックなどを挙げることができる。
【0018】塗布量は塗膜の厚さが10μm 〜1,000 μm
となるような量が好ましい。塗布量が10μm より少ない
と得られる多孔質膜の空隙率が小さくなり、吸着性能が
低下する。逆に厚さが 1,000μm を越えると、良溶媒、
非溶媒の交換が十分行えず、良好な多孔質膜を得るのが
困難になる。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂溶液を
基材上に塗布する代わりに、その溶液を紡糸した後、非
溶媒中に浸漬することによって糸状の吸・脱着材料にす
ることもできる。
【0019】こうして得られた材料では、吸着剤が多孔
質フッ化ビニリデン系樹脂によってほとんど覆われず、
吸着剤の1次粒子が高分子マトリックスに形成された細
孔中にそのまま独立して存在するという特異な構造を有
している。そのため、有機高分子マトリックスがアセチ
ルセルロース、アクリロニトリル、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリエステル等である場合に比べて、吸着速度に
優れた材料を得ることができる。また、ゲル化時に吸着
剤が溶媒とともに脱離することはなく、ほぼ全量の吸着
剤が多孔質高分子マトリックス中に取り込まれるので、
得られた吸着剤含有多孔体からの吸着剤の粉落ちもみら
れない。なお、基材上に形成された塗膜を基材から剥離
して膜を得ることもできる。
【0020】本発明の吸着性材料は、マトリックス材料
がアセチルセルロース、アクリロニトリル、ポリスルフ
ォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等である
場合よりも基材に対する密着性が優れている。ポリエス
テルフィルム等の極性を有する非多孔質の有機高分子の
基材に対しても優れた密着性を示す。密着性が不十分な
場合でも、適当なプライマーを下塗りした基材に塗布す
ることによって密着性は容易に改善できる。
【0021】本発明の吸着性材料には、その性能を損な
わない範囲で、他の高分子化合物や添加剤を加えること
ができる。他の高分子化合物はゾル・ゲル転移法によっ
て多孔質体を形成するものにすることができ、また、多
孔質体のモルフォロジーを制御するための化合物にする
こともできる。添加剤としては各種界面活性剤、分散
剤、顔料、染料、充填剤、水溶性化合物、殺菌剤、その
他の機能性化合物を使用することができる。膜の機械的
強度をさらに向上する目的でガラス、プラスチック、繊
維、金属、金属酸化物のウィスカー等を混合して用いる
こともできる。本発明の吸着性材料はその優れた吸・脱
着性能から、吸着材料、脱臭材料、湿度調節材料、分離
材料、触媒材料として使用することができる。以下、本
発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定
されるものではない。
【0022】
【実施例】実施例1 15重量部のカイナー 740〔エルフアトケム社のポリフッ
化ビニリデン樹脂で、溶解粘度1700〜2300 Pa.s (230
℃、100/秒)、ISO 1133規格で測定したMFRは 0.3g
/10分(230 ℃、2.16kg) 、11g/10分 (230 ℃、12.5
kg)〕を、85重量部のN−メチルピロリドンに溶解し
た、この溶液に15重量部のNK−10(セカ社のゼオライ
ト粉末) を分散させ、ポリエチレンテレフタレートのフ
ィルム上に流延し、その後、水中に浸漬して、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムに密着した 200μmの厚さ
の本発明の吸・脱着材料を得た(基材フィルムを含め、
多孔質膜Aという)。
【0023】水中にはゼオライト粉末は観測されなかっ
た。得られた本発明の吸・脱着材料部分の乾燥後の密度
は0.80g/cm3 であった。乾燥後の多孔質膜Aを室温、
90%の湿度を有する雰囲気内に5分間静置し重量増を測
定した。重量増はゼオライトの重量に対し15%であっ
た。すなわち、ゼオライト重量の15%量の水分を5分間
で吸着した。
【0024】実施例2 カイナー 740の代わりに同じ量のカイナー2850〔エルフ
アトケム社のフッ化ビニリデン/6-フッ化プロピレン共
重合体、溶解粘度は1700〜2700 Pa.s (230℃、100/
秒)、ISO 規格 1133 法によって測定したMFRは0.11
g/10分(230 ℃、2.16kg)、5g/10分(230 ℃、1
2.5kg)〕を使用して、実施例1と同様の方法で吸着性
膜を作成した。得られた膜の厚さおよび密度は、それぞ
れ 200μm、0.76g/cm3 であった。120 ℃30分乾燥
後、室温、相対湿度95%の雰囲気下に5分間放置した後
の吸水量は含有ゼオライト重量に対し15%であった。
【0025】比較例1 実施例1と同じ湿度条件下、実施例1と同量のNK−10
粉体を使用して30分後の重量増を測定した。重量増はゼ
オライトの重量に対して5%であった。一方、同じゼオ
ライト粉体をビーズ状に成形した市販品の吸着剤の重量
増は30分後で1%であった。このように、本発明多孔質
膜はビーズ状成形品のみならず、ゼオライト粉体そのも
のよりも水分の吸着速度に優れている。
【0026】比較例2 ポリフッ化ビニリデン樹脂に代えてアクリロニトリル−
メタクリル酸共重合体(90:10)を多孔質高分子前駆体
として使用した他は実施例1と同様にゾル・ゲル転移を
行った。水中に浸漬後、直ちに膜の剥離が観測された。
剥離した塗膜の水蒸気吸収能は10分後で1%であった。
【0027】比較例3 実施例1のポリフッ化ビニリデン系樹脂の代わりに、20
0 重量部のポリエチレンアジペートジオール(分子量=
2,000)と、98重量部の4, 4'-ジフェニルメタンジイソシ
アネートと、16重量部のエチレングリコールとから合成
した固形分が15%のポリウレタンDMF溶液を用いた。
塗布後、水中に浸浸して得られた多孔質膜の水蒸気吸収
能は10分後に1%であった。このように、本発明の多孔
質膜は、非耐熱性樹脂であるアクリロニトリル−メタク
リル酸共重合体やポリウレタンを使用した多孔質膜より
も基材への密着性に優れ、また、水分の吸着速度が優れ
ている。
【0028】実施例3 10重量部のENO(エルフアトケム社の活性炭微粉末)
を実施例1の高分子溶液に分散し、実施例と同様に水中
に浸漬して活性炭を含む厚さ 200μm(ポリエチレンテ
レフタレートフィルムの厚さを除く)の本発明の吸・脱
着材料の層をポリエチレンテレフタレートフィルム上に
形成した(基材フィルムを含めて多孔質膜Bという)。
得られた本発明吸・脱着材料部分の乾燥後の密度は0.59
g/cm3 であった。この多孔質膜Bを室温、相対湿度90
%雰囲気下に静置して水分吸収能を測定した。30分後に
対活性炭重量比で15%の水分を吸収し、18時間後には対
活性炭重量比で35%の水分を吸収した。また、18時間後
のサンプルを室温、相対湿度50%の雰囲気下に1時間静
置したところ、対活性炭重量比22%の水分を放出した。
すなわち、水分吸収による重量増は13%に減少してい
た。
【0029】比較例4 ポリフッ化ビニリデン樹脂の代わりに多孔質高分子前駆
体としてアクリロニトリル−メタクリル酸共重合体(9
0:10)を使用した他は実施例3と同様に操作して、
ゾル・ゲル転移を行った。水中に浸漬後、直ちに膜の剥
離が観測された。剥離した塗膜の水蒸気吸収能は50時間
後に対活性炭重量比で20%であった。
【0030】実施例4 実施例3の活性炭分散高分子溶液をガラス板上に塗布
し、水中に浸漬し、基材から分離して 100μmの本発明
吸・脱着材料(多孔質膜Cという)を得た。水中には活
性炭の残存は観測されなかった。この多孔質膜Cを室温
で乾燥後、室温下で飽和ベンゼン蒸気雰囲気中に10分間
静置した。対含有活性炭重量で45%のベンゼンを吸収し
ていた。その後、室内に放置したところ10分後には吸収
した90%のベンゼンが脱着されていた。
【0031】また、この室温乾燥した多孔質膜Cを 150
℃で 500時間静置した後、室温下で飽和ベンゼン蒸気雰
囲気中に10分間静置した。対含有活性炭重量で45%のベ
ンゼンを吸収していた。その後、室内に放置したところ
10分後には吸収した90%のベンゼンが脱着されていた。
このように、本発明の多孔質膜は熱安定性にも優れてい
る。さらに、室温乾燥した多孔質膜Cを〔表1〕に示す
各種薬品に各温度で24時間浸漬した後に、外観の変化を
肉眼で観察した。その結果を〔表1〕に示す。このよう
に、本発明の多孔質膜は耐溶剤性にも優れていた。
【0032】
【表1】
【0033】比較例5 実施例4で使用した微粉末状活性炭に実施例4と同じベ
ンゼン蒸気を10分間吸収させたところ対活性炭重量で35
%のベンゼンを吸収していた。その後、室内に放置した
後、10分後の脱着量は20%であった。このように、本発
明の多孔質膜は活性炭粉体そのものよりもベンゼンの吸
着速度・脱着速度が優れている。
【0034】実施例5 15重量部のカイナー720 〔エルフアトケム社のポリフッ
化ビニリデン樹脂で、溶解粘度が 750〜1200 Pa.s(230
℃、100/秒)、ISO 規格 1133 法によって測定したMF
Rは4g/10分(230 ℃、2.16kg) 、70g/10分(230
℃、12.5kg)〕を、85重量部のN−メチルピロリドンに
溶解した。この溶液に15重量部のライナイトSF(ライ
オン社の珪酸塩鉱物系吸着剤)を分散させ、硝子繊維上
に流延した。その後、水中に浸漬して硝子繊維に密着性
した 500μmの厚さを有する本発明の吸・脱着材料(基
材を含め多孔質膜Dという)を得た。水中に脱落した珪
酸塩鉱物は観測されなかった。この塗膜の50cm2 のサン
プルを 250 ppmのアンモニアを収容した 1.8リットルの
容器に入れ、検知管(北川式SD型)でアンモニア濃度を
測定した。1.5 時間後にアンモニア濃度は10ppm 以下に
なっていた。このように、本発明の吸・脱着材料はアン
モニアを吸着することが示された。
【0035】比較例6 実施例5で使用したライナイトSFの同量を 1.8リット
ルの容器に入れて、実施例4と同様に操作してアンモニ
アの減少速度を測定した。10ppm 以下に達するには4時
間を要した。
【0036】
【発明の効果】以上の通り、本発明が提供する嵩密度の
低い吸・脱着材料は、粉体状吸着剤と比較したときに吸
・脱着性能の低下がなく、しかも、密着性、耐水性、耐
溶剤性および熱的安定性を兼ね備え、製造・取扱いが容
易であるという利点を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 邦之 東京都千代田区紀尾井町3番23号 エル フ・アトケム・ジャパン株式会社内 (72)発明者 森尾 和彦 東京都荒川区東尾久7丁目2番35 旭電化 工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸着剤がポリフッ化ビニリデン系樹脂か
    らなる多孔質体中に分散していることを特徴とする吸・
    脱着性材料。
  2. 【請求項2】 ポリフッ化ビニリデン系樹脂がフッ化ビ
    ニリデンの単独重合体である請求項1記載の吸・脱着性
    材料。
  3. 【請求項3】 ポリフッ化ビニリデン系樹脂が四フッ化
    エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレンおよ
    び三フッ化塩化エチレンからなる群の中から選択される
    少なくとも1種のモノマーとフッ化ビニリデンとの共重
    合体であり、この共重合体中のフッ化ビニリデンの比率
    が50重量%以上である請求項1記載の吸・脱着性材
    料。
  4. 【請求項4】 吸着剤が活性炭、グラファイト、木炭、
    ゼオライト、アルミノシリケート、多孔質シリカ、金属
    酸化物および粘度鉱物からなる群の中から選択される少
    なくとも1種の吸着剤である請求項1〜3のいずれか一
    項に記載の吸・脱着性材料。
  5. 【請求項5】 多孔質基材上または非多孔質基材上に形
    成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸・
    脱着性材料。
  6. 【請求項6】 ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶
    かした溶液中に吸着剤を分散させ、得られた分散溶液を
    ポリフッ化ビニリデン系樹脂に対する非溶媒と接触させ
    ることを特徴とする吸着剤がポリフッ化ビニリデン系樹
    脂からなる多孔質体中に分散した吸・脱着性材料の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 吸着剤をポリフッ化ビニリデン系樹脂か
    らなる多孔質体中に分散させた複合材料の吸・脱着性材
    料としての使用。
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