JPH11120907A - プラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法

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JPH11120907A
JPH11120907A JP9285887A JP28588797A JPH11120907A JP H11120907 A JPH11120907 A JP H11120907A JP 9285887 A JP9285887 A JP 9285887A JP 28588797 A JP28588797 A JP 28588797A JP H11120907 A JPH11120907 A JP H11120907A
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芳徳 小坂
Giichi Matsubara
義一 松原
Katsumi Nakayashiki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プラスマディスプレイパネル(以
下PDP)において放電空間を区画するための隔壁の形
成方法に関し、面倒な研磨処理を行なうことなく、隣接
する放電空間での放電結合による誤点灯のない高品質表
示を可能とする隔壁の形成方法を提供することを目的と
している。 【解決手段】 プラズマディスプレイパネルの放電空間
を区画する帯状の隔壁を形成する方法において、固形粒
子12がバインダー13によって結合される材料からな
り、平面視帯状でその両端部が先細る傾斜部2を有する
所定高さの乾燥膜を形成した後、該乾燥膜の焼成処理を
行なって、当該帯状隔壁を形成することを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスマディスプ
レイパネル(以下PDP)において放電空間を画定する
ための隔壁の形成方法に関する。
【0002】PDPは、大型の表示装置として注目され
ており、その表示品質を高めることが求められている。
隔壁は、高精細化に伴いその幅やピッチが微細となって
いるが、表示品質を高めるためにはこのような隔壁を精
度良く形成することが必要である。
【0003】
【従来の技術】PDPは、ガラス等からなる一対の基板
を微小間隔を設けて対向配置し、放電用のガスを導入し
た状態で周囲を封止することによって、内部に放電空間
を形成した自己発光型の表示パネルである。
【0004】AC駆動で3電極構造の面放電型PDPの
構造を図8(一部を切り出した状態の斜視図)を参照し
ながら説明する。ガラスからなる前面基板30の内面に
は、基板面に沿った面放電を生じさせるための平行な直
線状の表示電極X,Yが、マトリクス表示のラインL毎
に一対ずつ配列されている。表示電極X,Yは、フォト
リソグラフィ技術によって形成されるもので、それぞれ
がITO(Indium Tin Oxide)薄膜からなる幅の広い直
線状の透明電極32とその端縁部に積層された3層構造
(Cr/Cu/Cr)の金属薄膜からなる幅の狭い直線状のバス電
極33とから構成されている。
【0005】また、表示電極X,Yを放電空間に対して
被覆するように、AC駆動のための誘電体層(PbO系
低融点ガラス層)34がスクリーン印刷などにより設け
られている。そして、誘電体層34の表面にはMgO
(酸化マグネシウム)からなる保護膜35が蒸着されて
いる。
【0006】一方、背面基板31の内面には、複数のア
ドレス電極36が表示電極X,Yと直交するように一定
ピッチで配列されている。このアドレス電極36もフォ
トリソグラフィ技術により形成されるもので、バス電極
33同様、多層構造(Cr/Cu/Cr)の金属薄膜により構成さ
れている。
【0007】アドレス電極36上を含む背面基板31の
ほぼ全面には、スクリーン印刷などにより誘電体層37
が形成され、その上層には、高さが150μm程度の直
線帯状の複数の隔壁38が、各アドレス電極36を挟む
ようにつ設けられている。
【0008】そして、この隔壁間の細長い放電空間39
内にはアドレス電極36の上部を含めた誘電体層37の
表面及び隔壁38の側面を被覆するように、フルカラー
表示のためのR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の
蛍光体40がスクリーン印刷などにより設けられてい
る。
【0009】また、放電空間39中には、放電時に紫外
線を照射して蛍光体励起するNe−Xe(NeとXeの
混合ガス)等の放電ガスが数百torr程度の圧力で封入さ
れている。
【0010】上記隔壁38は、放電空間39をライン方
向(表示電極X,Yと平行な画素配列方向)に区画する
と共に、上下方向の放電ギャップを規定するものであ
り、次の手順で形成される。
【0011】図9は、従来技術に係るマスクパターンを
示す図であり、サンドブラストと呼ばれる研削処理を経
て隔壁を形成する工程を説明するものである。従来の隔
壁は、図9(a)の断面図に示すように、アドレス電極
43及び誘電体層44を形成したガラス基板41上に隔
壁となるガラスペースト45をスクリーン印刷等によっ
て被着させた後、このガラスペースト45にマスク42
を介して砥粒49を高速で噴射させて、マスクの存在し
ない領域を研削することにより形成する。
【0012】マスク42は、フィルム状の感光性レジス
トを露光及び現像することにより所定パターンに形成し
たものであり、軟質で弾力性を有しているため、砥粒4
9により研削されない。
【0013】このマスク42を介して微細な砥粒49を
ガラスペースト45に向けて高速で噴射(サンドブラス
ト)すると、ガラスペースト45のマスク42のない部
分が砥粒49により削り取られて残った部分が隔壁とな
る。
【0014】従来の隔壁形成に使用していたマスク42
は、図9(b)の上面図に示すように、隔壁形状と同様
な平面視帯状(ストライプ状)をしている。このよう
に、サンドブラスト処理によりガラスペーストを隔壁の
パターンに形成した後、ガラスペースト中のバインダー
(結合材)を燃焼除去させる焼成処理を施すことによ
り、ガラス製の隔壁を完成させる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】図10は、上述した焼
成処理を行なう前と後の隔壁の状態を示す図であり、そ
れぞれ異なる方向の断面図を示している。
【0016】図10(a−1)(a−2)は、焼成前の
状態を示しており、サンドブラスト処理によって均等に
研削され、表面は平坦で角部においてもほぼ直角の状態
になっている。尚、図10(a−2)は図10(a−
1)の直角方向の断面図であり、隔壁50の長手方向の
端部を示している。
【0017】図10(b−1)(b−2)は、焼成後の
状態を示しており、ガラスペースト45(図9参照)中
のバインダーの燃焼等により収縮して隔壁51の形状が
焼成前に対して変化している。
【0018】図10(b−1)に示す断面図のように、
その形状は高さ方向の中間部において内側に入り込む形
状である。また長手方向の端部においては、図10(b
−2)に示すように盛り上がり部60が形成される状態
となっている。この盛り上がり部60の発生により後述
する致命的な欠陥を引き起こすことになる。
【0019】盛り上がり部60は、焼成中における隔壁
表面の張力の違い等によって生ずるものと考えられ、そ
の現象を以下に説明する。図10(b−2)において、
破線で焼成前の隔壁を示しているが、焼成処理中の隔壁
上面に発生する張力は、まず長手方向の中央部側のA点
では、矢印で示すように左右両方向に同様な力となって
いる。これに対して最端部のC点では、一方向のみ、即
ち図では左方向のみにしか張力が加わらない。
【0020】そして、最端部に近いB点では、一方向で
はないものの左右に引っ張られる張力に差を生じてい
る。焼成処理により隔壁50は、全体的に収縮しようと
するが、長手方向の端部においては、外側(図では右
側)に引っ張られる張力が弱いことから、内側(図では
左側)への収縮が大きくなる。また、焼成前に下層の誘
電体層44に固着されている部分はその状態を維持する
ため、上部のみが収縮することになる。
【0021】このように、隔壁50の大部分が均等に収
縮するのに対して、隔壁50の端部は内側へ偏って収縮
するため、その分の歪みが上方へ押し上げられ盛り上が
り部60を形成することになる。
【0022】図11は、隔壁51の盛り上がり部60に
よる課題を説明するためのPDPの部分断面図である。
アドレス電極43と誘電体層44及び上記隔壁51が形
成された背面側のガラス基板41は、表示電極X,Y、
誘電体層53及び保護膜54を備える表示面側のガラス
基板52にシール材55により放電空間56を有するよ
うに貼り合わせられてPDPを構成する。
【0023】本来、隔壁51は、表示面側ガラス基板上
の保護膜54に密着することにより、隣接する隔壁間に
細長い放電空間を区画するものであるが、端部に盛り上
がり部60が存在することにより、密着せずに隙間57
を形成することになる。
【0024】このため、放電空間が確実に区画されず
に、特定の放電空間内の任意放電セルを放電させようと
しても、隙間57を介して放電が隣接する放電空間にま
で及ぶ放電結合が発生して、表示に不要な放電セルの点
灯を引き起こす。
【0025】盛り上がり部が形成される端部の研磨を行
なうことも考えられるが、部分的に研磨するという面倒
な工程が増えると共に、研磨時のストレスによって隔壁
が損傷される恐れが生じる。
【0026】本発明は、上記課題を解決して、面倒な研
磨処理を行なうことなく、放電結合による誤点灯のない
高品質表示を可能とする隔壁の形成方法を提供すること
を目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、プラズマディスプレイパネルの放電空間を
区画する帯状の隔壁を形成する方法において、固形粒子
がバインダーによって結合される材料からなり、平面視
帯状でその両端部が先細る傾斜部を有する所定高さの乾
燥膜を形成した後、該乾燥膜の焼成処理を行って、当該
帯状の隔壁を形成することを特徴としている。
【0028】上記本発明のプラズマディスプレイパネル
の隔壁形成方法によれば、工程を増やすことなく帯状隔
壁の端部の盛り上がりを防止することができ、一対の基
板を貼り合わせた状態で放電領域を確実に画定すること
ができる。
【0029】そのため、放電結合による乱れのない高精
細表示が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施例に係
るマスクパターンを示す平面図であり、図1(a)は全
体図、図1(b)は部分拡大図である。
【0031】本実施例は、全面均等な膜(ベタ膜とも呼
ばれる)の所定領域を研削する、所謂サンドブラスト処
理を経て隔壁を形成するものであり、予めガラス基板1
上の隔壁材料膜(ガラスペースト膜)表面に図1に示す
如きパターン形状のマスク2を形成する。隔壁はガラス
基板1に縞(ストライプ)状に形成されるため、マスク
2もガラス基板1に対してストライプ状に設けるもので
あり、本実施例においてはその両端部形状に特徴を有し
ている。
【0032】つまり、図1(b)に示すように、両端部
は先端に向かって細くなるように傾斜部3を有するとと
もに、この傾斜部3の近傍にくびれ部4が備えられてい
る。このような端部形状のパターンを介してサンドブラ
スト処理、更に焼成処理を行なうことにより、詳細は後
で述べるが、精度良く隔壁を形成することが可能とな
る。
【0033】尚、図1では省略しているが、ガラス基板
1上にはアドレス電極や誘電体層、及び隔壁となるガラ
スペースト膜が順次形成され、その上にマスク2が設け
られている。また、サンドブラスト後の隔壁形状はマス
ク2と実質同じであるため、後の隔壁形状の説明におい
て図1を参照する。
【0034】図2は、本発明の実施例に係る隔壁形成工
程を説明するための断面図である。尚、図2においても
アドレス電極及び誘電体層は省略している。まず、ガラ
ス基板1上に、図で示していないアドレス電極と誘電体
層を形成した後、図2(a)に示すように、誘電体層上
のほぼ全面に隔壁の材料である膜厚150μm程度のガ
ラスペースト5とマスクとなるドライフィルム6とを順
次形成する。
【0035】ガラスペースト5は、ガラスの微粒子をバ
インダーによって結合し有機溶剤によりペースト状にし
た材料をスクリーン印刷やスロットコータ法などによっ
て形成した後、乾燥させることで有機溶剤を蒸発させて
乾燥膜としている。このようにガラスペースト5は、乾
燥後はペースト状ではないが、以降の説明においても便
宜上ガラスペーストと称する。
【0036】また、ドライフィルム6は、感光性レジス
トからなるフィルム状のもので接着材を介してガラスペ
ースト5上に貼着されている。次に、図2(b)に示す
ように、ドライフィルム6上にストライプ状の開口部を
有する露光用マスク7を載置した状態で、紫外線8を照
射する。紫外線8は、露光用マスク7の開口部を通過し
て、この開口部に対応するドライフィルム6の所定領域
を感光させる。
【0037】この後現像を行なうが、本実施例で用いる
ドライフィルム6は、ネガティブ型のレジストからなる
ものであるため、上記露光により感光した領域が残って
パターンとなる。現像後、露光用マスク7を除去するこ
とにより、図2(c)に示す如くガラスペースト5上に
ストライプ状のマスク2が形成された状態となる。この
状態が図1に対応している。なお、マスクの長さは50
〜60μm、幅は100〜120μmである。
【0038】本実施例では、露光用マスク7を用いて全
面露光を行なっているが、レーザ描写によるレーザ露光
によってドライフィルムを感光させることも可能であ
る。以上のように形成したマスク2を介してガラスペー
スト5に砥粒9を衝突させることで、サンドブラスト処
理を行なう。
【0039】砥粒9は硬質の微粒子からなるものであ
り、図示せぬ噴射ノズルから高速に噴射され、軟質なマ
スク2を研削することなく、硬質なガラスペースト5の
みを研削する。
【0040】所定時間、砥粒9の噴射を行なうと、マス
ク2の存在しない領域のガラスペースト5が研削され、
図2(d)に示すガラスペーストからなる帯状の隔壁1
0が形成される。この時の隔壁10の平面視形状は、図
1に示すマスク2の形状とほぼ同一となる。
【0041】その後、マスク2を除去して焼成処理を行
なうことにより、図2(e)に示すように、強固な状態
の隔壁11を完成させる。焼成処理は、ガラスペースト
中のバインダーを燃焼させると共に、ガラスの固形粒子
表面を溶解させることで、固形粒子同士を強固に固着さ
せるための処理である。以下に焼成処理のメカニズムを
説明する。
【0042】図3は、焼成工程における隔壁内部の状態
を模式的に示す図である。図3(a)はサンドブラスト
後の隔壁の状態を示すものであり、ガラスの固形粒子1
2がバインダー13によって結合されている。
【0043】この状態からまず、バインダー13を燃焼
除去させる脱バインダー処理を300度程度の温度によ
り行なう。図3(b)にその状態を示しているが、バイ
ンダー13が燃焼除去され固形粒子12同士が若干近接
した状態となっている。
【0044】その後、更に高温、例えば500度程度の
温度により固形粒子12の表面を溶解させるメルト処理
を行なうことにより、図3(c)に示す如くそれぞれの
固形粒子12同士を固着して強固な状態となす。
【0045】図3からわかるように、脱バインダー処理
及びメルト処理による焼成工程において、隔壁は収縮さ
れた状態で完成する。この焼成工程における収縮が不均
一となることで、盛り上がり部が形成される従来のよう
な不都合が生じるが、本実施例では、焼成前の隔壁形状
を考慮することにより、不均一な収縮を防止している。
【0046】図4は、本発明の実施例に係る焼成処理を
行なう前と後の隔壁の状態を示す断面図である。本実施
例において、焼成前の隔壁10の平面視形状は、図1に
示すマスク2と同様な形状であり、焼成を行なう際の隔
壁10表面の張力は、図4(a)に矢印で示すようにほ
ぼ均等となる。
【0047】つまり、焼成前の隔壁10には、端部に傾
斜部3が形成されていることから、最先端における表面
の張力は全く均等にはならないものの、先端から徐々に
張力の変化が生じる状態となっており、異なる方向に大
きく異なる張力が加わることはない。また、若干強くな
る中央部(図では左側)への張力をくびれ部4にて吸収
する構造にしていることから、従来の如き盛り上がり部
の発生は抑えられる。
【0048】このような張力を有する状態で、焼成処理
を行なうことにより、隔壁10は全体にほぼ均一に収縮
し、図4(b)の如き平坦な状態でガラス化した帯状の
隔壁11が完成する。図4(b)における破線は焼成前
の隔壁を示すものであり、この図からわかるように、ガ
ラス基板1(実際は誘電体層)との接触面は収縮しな
い。
【0049】更に、隔壁表面における張力を平面視形状
に対応させて分かり易く説明する。図5(a)(b)
は、平面視形状で傾斜部を有する本発明の隔壁と、従来
の隔壁との隔壁表面における焼成時の張力を示す図であ
り、それぞれ上図が平面図、下図が断面図である。
【0050】図5(a)は、本発明の隔壁15を示すも
のであり、平行で幅の広いA点、傾斜部中間のB点、先
端のC点の張力をそれぞれ矢印で示している。図5
(a)からわかるように、その張力は徐々に小さくなる
が、それぞれの地点における張力は左右両方向で大きく
異なることなくほぼ均等に発生している。
【0051】そのため、焼成時の収縮が不均一になるこ
とがなく、上述したように平坦な隔壁の形成が可能とな
る。一方、図5(b)は、従来の隔壁16を示すもので
あり、上図に示すように平面視はどの地点においても幅
は平行な状態である。従って、図5(a)のA点及びB
点に対応するA’点及びB’点については、大きな張力
が左右両方向に発生しているが、図5(a)のC点に対
応するC先端のC’点は、幅の広いパターンが途切れた
状態であるため、左側のみに大きな張力が発生してい
る。
【0052】そのため、課題の項で説明したとおり、焼
成時に不均一な収縮が起こり、当該先端部に盛り上がり
部が形成されることになる。尚、図5では理解を容易に
するために、くびれ部のない先端の尖った形状を例に説
明した。
【0053】図6は、本実施例に係る隔壁端部の盛り上
がり量を示すグラフであり、傾斜部の長さを変えて製作
した4種類の隔壁を有するガラス基板について、それぞ
れガラス基板内に形成される複数の隔壁のなかで、中央
部及び周辺部を含む6箇所の平均値を示すものである。
【0054】なお、図6中の符号Aが、傾斜部3とくび
れ部4とを有する本実施例の隔壁端部の盛り上がり量で
ある。図6に示すように、ストライプ状隔壁パターンに
何ら工夫を加えていない端部形状が方形となる従来の隔
壁では盛り上がり量(傾斜部の長さが0の点)が20μ
m程度であったのに対して、本実施例の隔壁パターンの
如く端部に傾斜部を有する形状にすると盛り上がり量は
小さくなる。特に傾斜部を1000μm以上にすると、
端部の盛り上がり量は他方のガラス基板(表示面側ガラ
ス基板)との貼り合わせ時に影響を及ぼさない5μm程
度になる。
【0055】なお、傾斜部を5000μm以上にした場
合、傾斜部が表示領域にかかると共に、先端部が細くな
りすぎて、焼成後にかけを生じる可能性があるため、好
ましくない。
【0056】従って、焼成前の隔壁を1000μm〜5
000μmの長さを有する傾斜部を端部に形成する形状
にすると、盛り上がり部の発生を抑えることができ、2
枚の基板の貼り合わせ後、隔壁は対向するガラス基板上
の保護膜部分に密着し、放電空間を確実に区画すること
ができる。
【0057】以上説明した実施例では、サンドブラスト
により隔壁を形成し、これを焼成するものであったが、
焼成前の隔壁は、サンドブラストによるものでなく、例
えば溝にガラスペーストを埋め込んで、乾燥後に溝を除
去する埋め込み処理によるものでも同様の効果を有す
る。
【0058】図7は、本発明の他の実施例に係るマスク
パターン、即ち焼成前の隔壁形状を示す図である。前述
した実施例は、傾斜部とくびれ部を備えた構成であった
が、傾斜部及びくびれ部は、隔壁端部における張力のバ
ラツキをそれぞれ抑える効果を有しているため、一方の
みを備える形状であっても効果は得られる。
【0059】図7(a)に示すマスク21は、先端に向
かってパターンが細くなるような傾斜部22を有する形
状である。図7(b)に示すマスク23は、先端に近い
部分にくびれ部24を有する形状である。
【0060】更に図7(b)に示すマスク25は、先端
に向かって徐々にパターンが細くなるような第1傾斜部
26と第2傾斜部27を有する形状である。以上のよう
なマスク21,23,25を用いて、それぞれサンドブ
ラスト処理を行なった後、焼成処理することで隔壁を完
成させる。
【0061】図6のグラフ中の符号Bは、くびれ部を形
成しない傾斜部22のみの隔壁における端部の盛り上が
り量を示している。傾斜部及びくびれ部の両方を備える
隔壁に比べて盛り上がり量(図6の符号A参照)は若干
大きくなるが、2枚の基板を貼り合わせる時の影響のな
い程度の盛り上がりに抑えられている。また、グラフに
は示していないが、くびれ部24のみの隔壁、第1,第
2の傾斜部26,27を有する隔壁においても、その盛
り上がり量を10μm以下にすることができる。
【0062】さらに図示していないが、隔壁の端部形状
は膜厚(隔壁の高さ)が先端部で薄く(低く)なるよう
に形成することも可能で、その場合にも上記実施例と同
じような効果が得られる。
【0063】
【発明の効果】本発明のプラズマディスプレイパネルの
隔壁形成方法によれば、焼成前の形状を変える、つまり
マスクのパターンを変えるのみで、特に工程を追加する
ことなく、隔壁端部の盛り上がりを防止することがで
き、一対の基板を貼り合わせた状態で空間領域を確実に
区画することができる。
【0064】そのため、隣接放電空間(放電セル)相互
間での放電結合による誤点灯のない高品質表示が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るマスクパターンを示す図
である。
【図2】本発明の実施例に係る隔壁形成工程を示す断面
図である。
【図3】焼成工程おける隔壁内部の状態を模式的に示す
図である。
【図4】本発明の実施例に係る隔壁の完成状態を示す断
面図である。
【図5】焼成時における隔壁表面に発生する張力を説明
するための図である。
【図6】本発明の実施例に係る隔壁端部の盛り上がり量
を示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施例に係るマスクパターンを示
す図である。
【図8】プラズマディスプレイパネルの構造を説明する
ための斜視図である。
【図9】従来技術に係るマスクパターンを示す図であ
る。
【図10】従来技術に係る隔壁の完成状態を示す図であ
る。
【図11】従来技術に係るプラズマディスプレイパネル
の部分断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 マスク 3 くびれ部 4 傾斜部 5 ガラスペースト 6 ドライフィルム 7 露光用マスク 8 紫外線 9 砥粒 10 隔壁(焼成前) 11 隔壁(焼成後) 12 固形粒子 13 バインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 義一 鹿児島県薩摩郡入来町副田5950番地 株式 会社九州富士通エレクトロニクス内 (72)発明者 中屋敷 勝美 鹿児島県薩摩郡入来町副田5950番地 株式 会社九州富士通エレクトロニクス内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマディスプレイパネルの放電空間
    を区画する帯状の隔壁を形成する方法において、 固形粒子がバインダーによって結合される材料からな
    り、平面視帯状でその両端部が先細る傾斜部を有する所
    定高さの乾燥膜を形成した後、該乾燥膜の焼成処理を行
    って、当該帯状の隔壁を形成することを特徴とするプラ
    ズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
  2. 【請求項2】 プラズマディスプレイパネルの放電空間
    を区画する帯状の隔壁を形成する方法において、 固形粒子がバインダーによって結合される材料からな
    り、平面視帯状でその両端部の近傍にくびれ部を有する
    所定高さの乾燥膜を形成した後、該乾燥膜の焼成処理を
    行って、当該帯状の隔壁を形成することを特徴とするプ
    ラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
  3. 【請求項3】 プラズマディスプレイパネルの放電空間
    を区画する帯状の隔壁を形成する方法において、 固形粒子がバインダーによって結合される材料からな
    り、平面視帯状でその先端部が他の部分より低い所定厚
    さの乾燥膜を形成した後、該乾燥膜の焼成処理を行っ
    て、当該帯状の隔壁を形成することを特徴とするプラズ
    マディスプレイパネルの隔壁形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の傾斜部と、請求項2記載
    のくびれ部を併せ持つ縞状乾燥膜を形成した後、該乾燥
    膜の焼成処理を行なうことを特徴とするプラズマディス
    プレイパネルの隔壁形成方法。
  5. 【請求項5】 前記傾斜部は、先端までの長さが100
    0〜5000μmであることを特徴とする請求項1又は
    4記載のプラズマディスプレイパネルの隔壁形成方法。
  6. 【請求項6】 前記乾燥膜は、全面均等膜に対して、所
    定パターンを有するマスクを介してサンドブラスト処理
    を行なうことにより不要部を研削除去して形成すること
    を特徴とする請求項1〜5記載のプラズマディスプレイ
    パネルの隔壁形成方法。
  7. 【請求項7】 前記焼成処理は、前記乾燥膜中のバイン
    ダーを燃焼除去する脱バインダー処理と、前記固形粒子
    表面を溶解させて個々の固形粒子を接続するメルト処理
    からなることを特徴とする請求項1〜6記載のプラズマ
    ディスプレイパネルの隔壁形成方法。
  8. 【請求項8】 放電空間を区画する平行な帯状隔壁が複
    数設けられた基板の該隔壁を形成する方法であって、 基板上のほぼ全面にガラスペースト膜を形成する工程
    と、 前記ガラスぺースト膜上に、前記隔壁形状に対応する帯
    状でかつ両端部が尖ったパターンのマスクを形成する工
    程と、 前記マスクの存在しない表面の露出した前記ガラスペー
    スト膜をサンドブラスト処理により研削除去する工程
    と、 前記基板上に残存する両端部が尖った帯状のガラスペー
    スト膜を焼成して、当該帯状の隔壁を形成する工程と、 を含んでなることを特徴とする隔壁形成方法。
  9. 【請求項9】 前記マスクは尖った両端部にさらにくび
    れ部を有することを特徴とする請求項8記載の隔壁形成
    方法。
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