JPH11120594A - 光ディスクの初期化方法及び光ディスクの初期化装置 - Google Patents

光ディスクの初期化方法及び光ディスクの初期化装置

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JPH11120594A
JPH11120594A JP27602697A JP27602697A JPH11120594A JP H11120594 A JPH11120594 A JP H11120594A JP 27602697 A JP27602697 A JP 27602697A JP 27602697 A JP27602697 A JP 27602697A JP H11120594 A JPH11120594 A JP H11120594A
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JP
Japan
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optical disk
objective lens
layer
flat plate
light
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Withdrawn
Application number
JP27602697A
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English (en)
Inventor
Yutaka Kasami
裕 笠見
Shigeki Takagawa
繁樹 高川
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明基板上に、少なくとも反射層、記録層、
光透過層が形成されてなる光ディスクを、光透過層側か
らレーザ光を照射して初期化するに際して、初期化用光
学系の対物レンズと光ディスクとの間に十分な距離を確
保しながら、ディスク面全面で確実に初期化が行えるよ
うにする。 【解決手段】 初期化用光学系25の対物レンズ21と
光ディスク22の間に透明な平行平坦板23を設置し、
対物レンズ21を通過した光L1が平行平坦板23を通
過した後に光ディスク22の光透過層5に入射し記録層
3上に集光されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ光の照射によ
って情報の記録再生を行う光ディスクの初期化方法及び
初期化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報の書き換えが可能な光ディスクとし
ては、結晶と非晶質の間で可逆的な相変化を生じる相変
化材料よりなる記録層が形成された相変化型光ディスク
や、磁気光学効果を示す記録磁性層が形成された光磁気
ディスクが知られている。このうち相変化型光ディスク
は、光磁気ディスクのように記録に外部磁界を必要とし
ないので磁気ヘッドが不要であり、光ヘッドだけで記録
再生が可能であること、また反射率変動を検出して信号
を再生するので偏光角の回転を検出する光磁気ディスク
に比べて光学系が簡単で信号量が大きいこと等の利点が
ある。
【0003】この相変化型光ディスクには、通常、Ge
−Sb−Teのようなカルコゲナイト等よりなる記録層
とともに誘電体層や反射層が設けられ、多重干渉による
信号変調度の増大が図れる。例えば、透明基板上に、記
録層と反射層よりなる2層構成の記録部、あるいは第1
の誘電体層、記録層、第2の誘電体層、反射層がこの順
に積層された4層構成の記録部が設けられ、この記録部
を覆うように保護膜が形成されて構成される。
【0004】このような光ディスクには、透明基板側か
らレーザ光が照射されることによって情報信号の記録再
生が行われる。
【0005】すなわち、記録層は初期状態で結晶状態を
呈しており、レーザ光が集光されることによって、この
レーザスポット内の相変化材料が融点以上に加熱昇温す
る。そして、レーザスポットが移動し急冷されることに
よって溶融部分が非晶質状態に相変化し、ピットが形成
される。また、このようにして形成されたピットは、非
晶質化したピット部分とピットが形成されていない結晶
部分とで反射率が異なるので、この反射率変化を観測す
ることによって検出される。
【0006】ここで、このようにしてピットが形成され
る光ディスクの記録密度は、記録層上に集光されたレー
ザ光のスポット径によって決まる。つまり、このレーザ
スポット径が小さい程、高密度記録が可能になる。この
レーザスポット径は、記録再生光学系のλ/NA(λ:
レーザ光の波長、NA:対物レンズの開口数)に比例す
るので、光ディスクの高密度記録化を図るためには、レ
ーザ光の波長λを短くし、対物レンズの開口数NAを上
げることが必要となる。
【0007】しかし、対物レンズの開口数NAを上げる
とコマ収差が問題になってくる。コマ収差は[光ディス
クの光軸に対する傾き角(スキュー角)]×NA3×
[レーザ光が通過する光ディスクの厚さ]に比例し、対
物レンズの開口数NAを上げると光ディスクの傾きによ
って生じるコマ収差が大きくなり、光ディスクの傾きに
対する許容度が小さくなる。
【0008】そこで、このようなコマ収差の問題に対し
ては透明基板の厚さを薄くする方法が採られている。上
記の式で示されるように対物レンズの開口数NAを上げ
ても光が通過する透明基板の厚さを薄くすれば、コマ収
差は小さくなり光ディスクのスキューに対する許容度を
広げることができる。例えば現行での対物レンズの開口
数NA:0.45、基板厚:1.2mmに対してレンズ
の開口数NAを0.8に上げた場合、原理的には透明基
板の厚さを0.1mmとすればスキューマージンを現行
レベルに確保することができる。
【0009】ところが、光ディスクの透明基板としては
インジェクション法等で成形されたプラスチック製の射
出成形基板が多用されるが、この射出成形基板は厚さ
0.1mm程度の薄さで精度良く作製するのは非常に困
難である。仮に、そのような薄型の透明基板が作製でき
たとしても、薄く反り易いので、記録部を形成するため
の成膜プロセスや保護膜を形成するための紫外線硬化樹
脂の塗布工程で取り扱いに多大な注意を要する。このよ
うな問題を避けるためには、透明基板の厚さは0.3m
m以上でなければならない。
【0010】そこで、透明基板としては0.3mm以上
(例えば0.6mmや1.2mm)のものを用い、この
透明基板の上に上述の光ディスクとは逆の順番で、すな
わち反射層、記録層の順で積層された2層構成の記録
部、あるいは反射層、第2の誘電体層、記録層、第1の
誘電体層がこの順で積層された4層構成の記録部を設
け、さらにこの上に光透過層を形成することで光ディス
クを構成し、前記光透過層側からレーザ光を照射するよ
うにした光ディスクが提案されている。上記光透過層
は、レーザ光を透過する透明な層であり、紫外線硬化樹
脂を塗布、紫外線照射することで形成される紫外線硬化
樹脂層として設けられたり、高分子シートを記録部上に
接着することで設けられる。そして、この光透過層は特
に厚さが0.3mm以下(例えば0.1mm)とされ
る。
【0011】このような光ディスクでは、透明基板の厚
さが0.3mm以上であるので上述のような基板の形状
精度の低下や製造プロセスでの反りの問題が回避され
る。また、厚さが0.3mm以下の光透過層側からレー
ザ光が照射されるので、対物レンズの開口数NAを現行
以上に上げた場合でも光ディスクの傾きに対して十分な
許容度を得ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、相変化型光
ディスクの製造工程では、透明基板上に記録層等の各種
機能膜を形成した後、最後に記録層を一様に非晶質状態
から結晶状態に相変化させる初期化工程を行う。
【0013】この初期化工程には、レーザ光による方法
やフラッシュランプによる方法等が用いられ、前者につ
いては図8に示すような初期化用光学系によって初期化
が行われる。
【0014】この初期化用光学系は、一様な強度分布を
有する平行光L0を出射するレーザ光源と、この平行光
を集光する対物レンズ31によって構成されている。こ
の初期化用光学系によって透明基板側からレーザ光が照
射されるタイプの光ディスク30を初期化するには、透
明基板32を対物レンズ31と対向するようにターンテ
ーブル上に載置し、対物レンズ31を通過した光線L1
を透明基板32側から入射させ、記録層33上に集光さ
せる。光スポット内では相変化材料が結晶化温度以上に
昇温され、その後光スポットが移動することで徐冷され
結晶状態に相変化する。このような結晶状態への相変化
をディスク全面に対して行うことにより初期化が行われ
る。
【0015】ここで、このような製造工程の後に行われ
る初期化は、光透過層側からレーザ光が照射される光デ
ィスクに対しても、透明基板側からレーザ光が照射され
る光ディスクの場合と同様のメカニズムで行われるの
で、従来用いられている初期化装置が光透過層側からレ
ーザ光が照射される光ディスクにも用いることができれ
ば非常に便利である。
【0016】しかし、透明基板側からレーザ光が照射さ
れる光ディスクに用いられている初期化装置は、これま
での透明基板の厚さ、すなわち1.2mmや0.6mm
に合わせて設計され、例えば厚さが1.2mmの透明基
板を用いる場合には開口数NAが0.5程度の対物レン
ズが用いられる。このような初期化装置によって、図9
に示すように、厚さが0.1mmの光透過層34側から
光線L1を照射して記録層35の初期化を行おうとする
と、球面収差が大きくなる。球面収差が大きい場合、光
線L1の光軸からの距離によって像点が大きく変化する
ので良い結像が得られなくなり、初期化が不十分にな
る。
【0017】一方、厚さが0.3mm以下の光透過層3
4に合わせて光学設計をした場合、対物レンズとして開
口数NAが非常に大きいものを用いなければならず、ま
た光ディスクに対して対物レンズが近接して配置される
ことになり、光ディスクの面ブレによる当該光ディスク
と対物レンズとの衝突の問題が生じる。
【0018】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、透明基板側とは反対側、
すなわち光透過層側からレーザ光を照射する光ディスク
に対して確実に初期化が行える初期化方法及び初期化装
置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の初期化方法は、厚さ0.3mm以上の透
明基板上に、少なくとも反射層、記録層及び厚さ0.3
mm以下の光透過層が形成されてなる光ディスクに、対
物レンズを通過したレーザ光を光透過層側から入射させ
記録層に集光させることによって当該光ディスクを初期
化するに際して、対物レンズと光ディスクとの間に、デ
ィスク面に対して平行に透明な平行平坦板を配置するこ
とを特徴とするものである。
【0020】また、本発明の初期化装置は、レーザ光を
出射する光源と、光源から出射したレーザ光を集光する
対物レンズと、対物レンズと光ディスクとの間にディス
ク面に対して平行に配置された平行平坦板を有すること
を特徴とするものである。
【0021】この初期化方法では、対物レンズを通過し
たレーザ光が、平行平坦板を通過した後、光ディスクの
光透過層側から入射し、記録層上に集光される。
【0022】この場合、例えば厚さ1.2mmあるいは
0.6mmの透明基板側からレーザ光を照射するタイプ
の光ディスクに合わせて対物レンズが設計されている場
合でも、平行平坦板によって球面収差が補正され、記録
層上で良好なスポット像が得られる。したがって、ディ
スク全面で初期化が確実に行われる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0024】本発明の初期化方法は、図1に示すように
透明基板1上に、少なくとも反射層2及び記録層3がこ
の順に積層された記録部4上に、光透過層5が形成され
てなり、光透過層5側からレーザ光を照射することで記
録再生が行われる光ディスクを初期化するのに用いられ
る。
【0025】まず、この初期化方法によって初期化され
る光ディスクについて説明する。
【0026】上記光ディスクにおいて透明基板1として
は、アクリル系樹脂,ポリオレフィン系樹脂等の樹脂材
料よりなる基板の他、ガラス基板等も使用される。
【0027】この透明基板1上には、必要に応じて、グ
ルーブ1aやアドレス情報に対応したアドレスピットが
凹凸形状として形成される。この凹凸形状の形成方法と
しては、基板材料にプラスチック材料を用いる場合には
スタンパを用いる射出成形法が使用され、ガラス板を用
いる場合には、2P(photo−polymeriz
ation)法が使用される。
【0028】ここで、この初期化方法では、特に透明基
板1の厚さが0.3mm以上に規制される。厚さが0.
3mm以上の透明基板1は、例えばインジェクション法
等の射出成形法によって精度良く作製することができ
る。また、機械的に強く、反射層2や記録層3、光透過
層5の形成工程で反りや破損を生じ難い。
【0029】反射層2は、記録層を透過した光を反射す
る反射層として機能するとともに記録層に過度に熱が篭
もるのを防止するヒートシンク層としても作用する。こ
れらの作用を得るために、反射層2には、熱伝導率が
0.0004〜2.2J/(cm・K・s)の金属元
素、半金属元素、半導体元素及びそれらの化合物を単独
あるいは複合させて用いるのが望ましい。
【0030】上記記録層3は、レーザ光の照射によって
情報信号の書き込み・消去が可能な光記録層である。こ
の記録層には、結晶と非晶質の間で可逆的に相変化する
相変化材料層や、キュリー温度を越えた温度上昇によっ
て保磁力がなくなり外部磁界の方向に磁化反転する光磁
気記録層等が設けられる。
【0031】相変化材料層には、単体のカルコゲンやカ
ルコゲン化合物が用いられる。具体的には、Te、Se
の各単体、Ge−Sb−Te、Ge−Te、In−Sb
−Te、In−Se−Te−Ag、In−Se、In−
Se−Tl−Co、In−Sb−Se、Bi2Te3、B
iSe、Sb2Se3、Sb2Te3等のカルコゲナイト系
材料が使用される。
【0032】また、光磁気記録層には、Tb−Fe−C
o等の非晶質合金薄膜等の、磁気光学特性(カー効果や
ファラデー効果)を有する垂直磁化膜等が用いられる。
【0033】光透過層5は、反射層2や記録層3を外部
の衝撃から保護するとともに、これら各層2,3が湿気
等の腐食因子と接触するのを防止する保護層として機能
する。この光透過層5はレーザ光を透過する材料によっ
て構成され、例えばアクリル系樹脂,ポリオレフィン系
樹脂等の樹脂材料よりなるシートやガラス板等の透明材
6を、紫外線硬化樹脂等の透明接着剤7によって記録部
4上に接着することで設けられる。この他、図2に示す
ように記録部4上に紫外線硬化樹脂をスピンコート等の
手法によって塗布し、紫外線照射することで光透過層5
を形成しても良い。
【0034】光透過層5は、ここでは厚さが0.3mm
以下に規制される。この光ディスクは、光透過層5側か
らレーザ光が照射されることによって記録再生が行われ
るが、この光透過層5の厚さが0.3mm以下になされ
ていると、記録再生用光学系の対物レンズの開口数NA
を0.8にまで上げたとしても、光ディスクの傾きによ
って生じるコマ収差は小さく抑えられる。したがって、
光ディスクの傾きに対して大きな許容度が得られる。
【0035】以上が光ディスクの基本的な構成である
が、この構成に加えて誘電体層を設け、光学的特性や熱
的特性を制御しても良い。この場合、例えば図3に示す
ように透明基板1上に、反射層2、第2の誘電体層8、
記録層3、第1の誘電体層9を積層することで記録部4
が設けられ、この記録部4上に光透過層5が形成される
ことで光ディスクが構成される。このような光ディスク
では、記録層3、反射層2、誘電体層8,9の多重干渉
効果によって反射率等の光学的特性が制御され、また特
に反射層2、第2の誘電体層8により熱的特性が制御さ
れる。
【0036】誘電体層8,9は、Al、Si等の金属や
半金属元素の窒化物、酸化物、硫化物等によって構成さ
れ、このうち半導体レーザ波長領域において吸収がほと
んど無いものを選択する必要がある。そのような誘電体
層の材料としてはAlN、Si34、SiO2、Al2
3、ZnS、MgF2等が挙げられる。
【0037】このような光ディスクの初期化は、光透過
層5側から光線を入射させて記録層3上に集光し、その
光スポットを記録層3全面に走査させることによって行
われる。
【0038】この初期化を行うための初期化装置の構成
を図4に示す。この初期化装置では、平行光L0を出射
するレーザ光源と、レーザ光源から出射された平行光を
集光する対物レンズ21よりなる初期化用光学系25を
有し、初期化される光ディスク22は、光透過層5側が
対物レンズ21と対向するようにディスクテーブル上に
載置される。
【0039】また、この初期化装置では特に、この初期
化用光学系の対物レンズ21と光ディスク22の間、す
なわち対物レンズ21の焦点距離f内に、ディスク面に
対して平行に平行平坦板23が配置される。この平行平
坦板23は、対物レンズ21を通過した光線L1を透過
する透明な板材であり、例えばガラス板やプラスチック
板等が用いられ、上記初期化用光学系25によって直接
光線を照射した場合に生ずる球面収差を補正するような
厚さとされている。例えば厚さが1.2mmあるいは
0.6mmの透明基板を有し、この透明基板側からレー
ザ光を照射するタイプの光ディスクに合わせて初期化用
光学系が設計されている場合には、平行平坦板23は、
透明基板の厚さに対して光透過層5が不足する厚さを補
うような板厚、具体的には0.3〜1.2mmの範囲に
選択される。
【0040】このような初期化装置では、初期化が行わ
れる光ディスク22はターンテーブル上に載置され、こ
のターンテーブルの回転走査によって回転される。一
方、初期化用光学系25と平行平坦板23とは、同調し
て光ディスクの径方向に移動走査される。したがって、
この初期化装置では初期化用光学系25から出射し、平
行平坦板23を通過した光線L1はディスク上を螺旋状
に走査され、ディスク面全面に亘って照射される。
【0041】この初期化装置の初期化のメカニズムは以
下の通りである。
【0042】まず、初期化用光学系25の光源から平行
光L0を出射させると、出射された平行光L0は対物レン
ズ21、平行平坦板23を通過した後、光透過層5側か
ら入射して記録層3上に集光される。
【0043】初期化される光ディスクが相変化型である
場合には、記録層3上に集光された光スポット内で相変
化材料が結晶化温度以上に昇温され、その後光スポット
が移動することで徐冷され結晶状態に相変化する。この
このような結晶状態への相変化をディスク全面に対して
行うことにより初期化が行われる。
【0044】ここで、この初期化装置では、平行平坦板
23によって球面収差が低減するので、記録層3上で良
好なスポット像が得られる。したがって、ディスク全面
で初期化が確実に行われる。
【0045】また、厚さが0.3mm以下の光透過層5
側から光線L1を照射する場合に、平行平坦板23を用
いずに、対物レンズの開口数NAや位置のみの制御によ
って良好なスポット像を得ようとした場合、対物レンズ
21の位置を光ディスク22に対して非常に近接させな
ければならず、光ディスク22の面ブレによる対物レン
ズとの衝突が問題になる。これに対して、平行平坦板2
3を用いれば対物レンズ21の鏡枠と光ディスク22表
面との距離を長くとりながら良好なスポット像が得られ
る。したがって、光ディスク22と対物レンズ21との
衝突の問題を考慮する必要がなく、アクチュエータの設
計自由度が高まる。
【0046】なお、球面収差は、平行平坦板23の厚さ
や屈折率とともに、対物レンズ21の開口数NA、厚
さ、形状、さらに光透過層5の厚さによっても制御さ
れ、これらを相互に調整することで球面収差がより低減
されるようにするのが望ましい。このうち対物レンズ2
1の開口数NAは0.4〜0.7とするのが実用的であ
る。
【0047】また、この図4では対物レンズ21と光デ
ィスク22の間の中途部に平行平坦板23が配置されて
いるが、平行平坦板23は対物レンズ21と光ディスク
22の間に在ればよく、例えば図5に示すようにレンズ
ホルダー24によって対物レンズ21に接するように平
行平坦板23を取り付け、対物レンズ21と平行平坦板
23が一体で移動走査されるようにしても良い。また、
図6に示すようなディスク形状の平行平坦板23を用
い、図7に示すように、初期化に際してこの平行平坦板
23を光ディスク22の光透過層5側に被せるようにし
ても良い。この場合、平行平坦板23の移動操作が不要
になり、装置構成が簡易化する。
【0048】以上、相変化型光ディスクを初期化する場
合を例にして初期化方法を説明したが、初期化される光
ディスクは、光透過層5側からレーザ光を照射すること
によって情報信号の書き込み・消去が行われるものであ
れば、いずれも平行平坦板23を用いることによって同
様の効果が得られる。
【0049】例えばこの他の例として光磁気ディスクを
初期化する場合には、上述の初期化装置に、さらに光磁
気ディスクに外部磁界を印加する磁界発生手段を配置す
れば良い。
【0050】この場合には、初期化用光学系から出射さ
れ、平行平坦板を通過したレーザ光は、光透過層側から
入射して光磁気記録層上に集光される。そして、レーザ
光のスポット内で光磁気記録層がキュリー温度を越えて
昇温することによって保磁力が低減し、外部磁化の一方
向に磁化反転する。このような磁化反転をディスク全面
に対して行うことにより初期化が行われる。この場合に
も、光ディスクと対物レンズの間に、ディスク面に対し
て平行に平行平坦板を設けることによって、対物レンズ
と光ディスクとの間に十分な距離を確保しながら球面収
差を低減することができ、ディスク全面で確実に初期化
が行われる。
【0051】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0052】光ディスクの構成 本実施例で初期化する光ディスクは図3に示すタイプの
光ディスクである。
【0053】この光ディスクは、透明基板上にAl合金
反射層、第2のZnS−SiO2誘電体層、GeーSb
ーTe相変化材料層、第1のZnS−SiO2誘電体層
がこの順に積層されることで記録部が設けられ、この記
録部上に紫外線硬化樹脂よりなる光透過層が形成されて
構成されている。
【0054】この光ディスクは次のようにして作製し
た。
【0055】まず、ポリカーボネートを基板形状に射出
成形することによって厚さ1.2mmの透明基板を作製
した。なお、この透明基板には、深さ約70nmのグル
ーブを1μmのトラックピッチで形成した。
【0056】次に、この透明基板のグルーブが形成され
た側の面に、スパッタリング法によってAl合金よりな
る反射層、ZnSとSiO2の混成体(ZnS−Si
2)よりなる第2の誘電体層、Ge−Sb−Te合金
よりなる相変化材料層、ZnSとSiO2の混成体より
なる第1の誘電体層を順次被着形成した。なお、膜厚構
成は以下の通りである。
【0057】 Al合金反射層 :厚さ150nm 第2のZnS−SiO2誘電体層 :厚さ20nm Ge−Sb−Te相変化材料層 :厚さ25nm 第1のZnS−SiO2誘電体層 :厚さ100nm そして、第1のZnS−SiO2誘電体層上に、スピン
コート法によって紫外線硬化樹脂を塗布、紫外線照射す
ることによって厚さ0.1mmの光透過層を形成し、光
ディスクを作製した。
【0058】実施例1 上記光ディスクに対して、図5に示す初期化装置、すな
わち初期化用光学系の対物レンズに平行平坦板が取り付
けられた初期化装置によって初期化を行った。光学系の
条件を以下に示す。
【0059】光学系の条件 対物レンズの開口数NA:0.5 平行平坦板 :厚さ1.1mmのガラス板 レーザ波長 :780nm レーザパワー :6mW ディスク線速 :4m/秒 このような条件で光ディスクに初期化操作を行ったとこ
ろディスク全面で完全に初期化を行うことができた。ま
た、この初期化が行われた光ディスクにビット長0.2
5μmで情報信号を記録し、再生を行ったところC/N
比が50dB以上であり、良好な信号特性が得られた。
【0060】実施例2 上記光ディスクに対して、図7に示す初期化装置、すな
わち光ディスクの光透過層側にディスク状の平行平坦板
を被せた状態で初期化を行う初期化装置によって初期化
を行った。光学系の条件を以下に示す。
【0061】 光学系の条件 対物レンズの開口数NA :0.5 平行平坦板 :厚さ1.1mmのディスク状ガラス板 レーザ波長 :780nm レーザパワー :6mW ディスク線速 :4m/秒 このような条件で光ディスクに初期化操作を行ったとこ
ろディスク全面で完全に初期化を行うことができた。ま
た、この初期化が行われた光ディスクにビット長0.2
5μmで情報信号を記録し、再生を行ったところC/N
比が50dB以上であり、良好な信号特性が得られた。
【0062】比較例1 上記光ディスクに対して、平行平坦板が配置されていな
い初期化装置によって初期化を行った。光学系の条件を
以下に示す。
【0063】光学系の条件 対物レンズの開口数NA :0.5 レーザ波長 :780nm レーザパワー :6mW ディスク線速 :4m/秒 このような条件で光ディスクに初期化操作を行ったとこ
ろ、記録層に焦点が合わず、初期化が不十分であった。
この初期化操作後の光ディスクにビット長0.25μm
で情報信号を記録し、再生を行ったところC/N比が3
0dB以下であり、良好な信号特性が得られなかった。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、厚さ0.3mm以上の透明基板上に、少なくと
も反射層、記録層及び厚さ0.3mm以下の光透過層が
形成されてなる光ディスクに、対物レンズを通過したレ
ーザ光を光透過層側から入射させ記録層に集光させるこ
とによって当該光ディスクを初期化するに際して、対物
レンズと光ディスクとの間に、ディスク面に対して平行
に透明な平行平坦板を配置するので、例えば厚さ1.2
mmあるいは0.6mmの透明基板側からレーザ光を照
射するタイプの光ディスクに合わせて対物レンズが設計
されている場合でも、平行平坦板によって球面収差が補
正され、ディスク全面で確実に初期化を行うことが可能
である。また、平行平坦板を用いることによって、対物
レンズと光ディスクとの距離を長くとることができるの
で、アクチュエータの設計自由度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の初期化方法によって初期化される光デ
ィスクの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の初期化方法によって初期化される光デ
ィスクの他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の初期化方法によって初期化される光デ
ィスクのさらに他の例を示す概略断面図である。
【図4】初期化装置において、平行平坦板を対物レンズ
と光ディスクの間の中途部に配置した場合を示す模式図
である。
【図5】初期化装置において、平行平坦板を対物レンズ
に取り付けた場合を示す模式図である。
【図6】ディスク状の平行平坦板を示す斜視図である。
【図7】初期化装置において、ディスク状の平行平坦板
を光ディスクに被せた場合を示す模式図である。
【図8】透明基板側からレーザ光が照射される光ディス
クを初期化するための初期化装置を示す模式図である。
【図9】透明基板側からレーザ光が照射される光ディス
クの初期化装置によって、光透過層側からレーザ光が照
射される光ディスクに初期化を行う様子を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1 透明基板、2 反射層、3 記録層、4 記録部、
5 光透過層、6 透明材、7 透明接着剤、8,9
誘電体層、21 対物レンズ、22 光ディスク、23
平行平坦板、24 レンズホルダー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ0.3mm以上の透明基板上に、少
    なくとも反射層、記録層及び厚さ0.3mm以下の光透
    過層が形成されてなる光ディスクに、対物レンズを通過
    したレーザ光を光透過層側から入射させ記録層に集光さ
    せることによって当該光ディスクを初期化するに際し
    て、 対物レンズと光ディスクとの間に、ディスク面に対して
    平行に透明な平行平坦板を配置することを特徴とする光
    ディスクの初期化方法。
  2. 【請求項2】 平行平坦板の厚さは、対物レンズと光透
    過層に対して球面収差を補正するような厚さとされてい
    ることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの初期化
    方法。
  3. 【請求項3】 平行平坦板を、光ディスクの対物レンズ
    側の面に接して配置することを特徴とする請求項1記載
    の光ディスクの初期化方法。
  4. 【請求項4】 平行平坦板を、対物レンズの光ディスク
    側の面に接して配置することを特徴とする請求項1記載
    の光ディスクの初期化方法。
  5. 【請求項5】 対物レンズの開口数NAが、0.7以下
    であることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの初
    期化方法。
  6. 【請求項6】 光ディスクの記録層は、相変化材料より
    なることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの初期
    化方法。
  7. 【請求項7】 光ディスクは、記録層と反射層の間及び
    記録層と光透過層の間に誘電体層が設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の光ディスクの初期化方法。
  8. 【請求項8】 レーザ光を出射する光源と、光源から出
    射したレーザ光を集光する対物レンズと、対物レンズと
    光ディスクとの間にディスク面に対して平行に配置され
    た平行平坦板を有することを特徴とする初期化装置。
JP27602697A 1997-10-08 1997-10-08 光ディスクの初期化方法及び光ディスクの初期化装置 Withdrawn JPH11120594A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007089041A1 (ja) 2006-02-02 2007-08-09 Taiyo Yuden Co., Ltd. 光情報記録媒体、並びにその製造方法及び記録方法

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