JPH11119768A - 鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置 - Google Patents

鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置

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JPH11119768A
JPH11119768A JP10222735A JP22273598A JPH11119768A JP H11119768 A JPH11119768 A JP H11119768A JP 10222735 A JP10222735 A JP 10222735A JP 22273598 A JP22273598 A JP 22273598A JP H11119768 A JPH11119768 A JP H11119768A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鍵盤蓋の自重による急激な回動を制動し、閉
蓋操作時の操作性と安全性を向上させる。 【解決手段】 腕木4の内側面に回動軸を有する回転型
の緩衝装置17を設ける。緩衝装置17は、流体の粘性
抵抗を利用したもので、内部にダンピングオイルが封入
されている。連結部材40と、ずれ吸収部材41とから
なるずれ吸収装置19を鍵盤蓋12の側面後端部に固定
する。ずれ吸収部材41は、連結部材40の円筒部40
B内に嵌合部47と51との嵌合により上下方向に移動
可能に嵌着される。また、長溝により緩衝装置17の回
動軸の突出端部21aに対して、前後方向に移動可能に
嵌着され、鍵盤蓋12の回動を緩衝装置17に伝達す
る。製造時に生じるダンパーの回転中心位置のばらつき
によるずれにより鍵盤蓋12と緩衝装置17の回転中心
が一致しない場合、ずれ吸収部材41は上下方向および
前後方向に移動してずれを吸収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鍵盤蓋の急激な落
下を阻止し、閉蓋操作時における安全性を向上させるよ
うにした鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般のピアノ、電子ピアノなどの鍵盤楽
器においては、非演奏時に鍵盤部の上部を覆う開閉自在
な鍵盤蓋を備えている。この鍵盤蓋は、長尺で重く、後
端側が蝶番を介して楽器本体側または鍵盤蓋奥に回動自
在に枢着されているため、開閉操作時、特に閉蓋操作時
にその途中から重心位置が前方へ移動することにより急
激に落下するようになる。そのため、口棒に激しく当た
って大きな衝撃音を発したり、誤って指を口棒と鍵盤蓋
との間に挟むことがあった。
【0003】そこで、このような不都合を解決するため
に従来から種々の開閉装置を設け、鍵盤蓋が急激に落下
しないようにしている。例えば、実公平5−48238
号公報には、グランドピアノの鍵盤蓋に適用した鍵盤蓋
の開閉装置が記載されている。この開閉装置は、図7に
示すように楽器本体の構成部材である腕木50の内側面
に流体の粘性抵抗を利用した回転式のオイルダンパー5
1を埋設し、鍵盤蓋52の側面で回転中心位置に連結具
53を設け、この連結具53に設けたスリット54をオ
イルダンパー51の回動軸に設けた角形端部55aに係
合させている。このような開閉装置によれば、鍵盤蓋5
2を開くときにはオイルダンパー51内の流体の粘性抵
抗が小さく、開閉装置を備えない鍵盤蓋と同程度の操作
力で楽にかつ速やかに開くことができ、反対に閉じると
きには下降するにしたがい流体の粘性抵抗が徐々に大き
くなり鍵盤蓋52を制動することができる。したがっ
て、ゆっくりと回動させて徐々に閉じることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の開閉装
置は、グランドピアノに適用した場合、オイルダンパー
51の回転軸で鍵盤蓋52を回動自在に軸支することに
なるので、これらの軸ずれという問題は生じないが、ア
ップライトピアノに適用した場合は、鍵盤蓋が蝶番によ
って鍵盤蓋奥に開閉自在に取付けられ、鍵盤蓋と鍵盤蓋
奥と連結された状態で楽器本体に取付けられるため、蝶
番の軸線上にダンパーを配設しようとする場合、ダンパ
ーと蝶番の回転中心が正確に一致しないと、雑音が発生
したり、部品が摩耗あるいはダンパー自体または楽器本
体が破損するおそれがあり、組立、調整作業に時間を要
し困難をきわめるという問題があった。蝶番とダンパー
の回動中心がずれる原因としては、次に列記する事項を
挙げることができる。 鍵盤蓋は蝶番で鍵盤蓋奥と連結されており、楽器本体
に取付けられ固定されてしまうので、一旦組込むと蝶番
軸は動かせない。 鍵盤蓋奥の楽器本体への取付け方は、水平、垂直方向
の精度が出る方法ではなく、装着位置に誤差が出る可能
性がある。 上記の結果により蝶番に合わせて後からダンパーの
装着位置を左右の腕木で調整することは難しい。
【0005】本発明は上記した従来の問題点を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、鍵盤
楽器の製造工程において生じるダンパーの回転中心位置
のばらつきによる回転中心のずれを吸収し組立、調整作
業が容易で、雑音、部品の摩耗、破損等を軽減し得るよ
うにした鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置を提供することにあ
る。さらに、本発明は、緩衝装置を備えない通常の鍵盤
楽器と同様に鍵盤蓋または鍵盤蓋と鍵盤蓋奥を楽器本体
から容易に脱着することができる鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、閉蓋操作時に流体の粘性抵抗により鍵盤蓋
を制動する鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、楽器本
体側に取付けられた回転型緩衝装置と、前記鍵盤蓋に取
付けられ、鍵盤蓋の回動を前記回転型緩衝装置の回動軸
に伝達するとともに、前記鍵盤蓋と前記回動軸の回転中
心のずれを吸収するずれ吸収装置とを備えたことを特徴
とする。また、本発明は、上記発明において、ずれ吸収
装置は、鍵盤蓋の側面後端部に固定された連結部材と、
この連結部材と回転型緩衝装置の回動軸の双方に対して
移動自在に嵌合するずれ吸収部材とからなり、このずれ
吸収部材の連結部材に対する移動方向と、回動軸に対す
る移動方向が直交することを特徴とする。さらに、本発
明は、上記発明において、連結部材は、内部に嵌合部が
設けられた円筒部と、鍵盤蓋に固定される固定部とを有
し、前記円筒部の中心が鍵盤蓋の回転中心と略一致する
ように前記鍵盤蓋の側面に固定され、ずれ吸収部材は、
表面側に径方向に長い長溝が形成され、裏面側には前記
連結部材の嵌合部に対して前記長溝の長手方向と直交す
る方向に摺動自在に嵌合する嵌合部が形成され、回転型
緩衝装置のダンパーケースから突出する回動軸の突出端
部を径方向に長く形成して前記ずれ吸収部材の長溝内に
嵌挿したことを特徴とする。
【0007】鍵盤蓋の開閉動作中において、鍵盤蓋と鍵
盤蓋奥間の蝶番の回動軸と回転型緩衝装置の回動軸の回
転中心が一致している場合、ずれ吸収部材は連結部材と
回動軸の双方に対して移動しないが、製造上に生じる回
転型緩衝装置の取付位置のばらつきによるずれにより回
転中心が一致していない場合は、連結部材と回動軸の双
方に対して移動することにより、鍵盤蓋と回動軸の回転
中心のずれを吸収する。したがって、回動軸に無理な力
が加わって部品が摩耗したり、緩衝装置自体または楽器
本体が破損したり、あるいは雑音が発生するのを防止す
ることができる。また、回動軸をずれ吸収部材の長溝に
嵌挿すればよいので、鍵盤蓋または鍵盤蓋と鍵盤蓋奥の
脱着が容易である。すなわち、鍵盤蓋を略垂直に立て、
真上に引き上げて長溝内の回動軸を抜き出すと、緩衝装
置とずれ吸収部材との結合関係が解除されるので、通常
の鍵盤蓋と同様に鍵盤蓋または鍵盤蓋と鍵盤蓋奥を楽器
本体から容易に取外すことができる。緩衝装置は、開蓋
動作時において流体の粘性抵抗が小さい。したがって、
鍵盤蓋を通常の鍵盤蓋と同程度の操作力で開くことがで
きる。一方、閉蓋操作時において鍵盤蓋が回動すると、
流体の粘性抵抗が徐々に大きくなることにより鍵盤蓋を
制動する。したがって、鍵盤蓋は自重により加速され
ず、静かに閉じる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る鍵
盤蓋開閉装置を備えたアップライトピアノの外観斜視
図、図2は鍵盤蓋奥に取付けられた鍵盤蓋を楽器本体に
組込むときの様子を示す斜視図、図3は同装置の分解斜
視図、図4は同装置の側面図、図5は同装置の断面図、
図6(a)は緩衝装置の閉蓋時における断面図、(b)
は開蓋途中における断面図、(c)は開蓋時における断
面図である。図1および図2において、アップライトピ
アノ1は、楽器本体2を構成する左右一対の親板3,
3、各親板3,3に突設された一対の腕木4,4、これ
らの腕木4,4間に横架された棚板5、この棚板5の上
面前端部に設けられた口棒6、上前板7、下前板8、天
板9、図示しない底板等を備え、棚板5上に例えば88
鍵からなる鍵盤10と、左右一対の拍子木11,11が
配設されている。また、棚板5の上方には鍵盤部を覆う
開閉自在な鍵盤蓋12が設けられている。この鍵盤蓋1
2は、図3に示すように後端が蝶番13により鍵盤蓋奥
14に上下方向に回動自在に枢着されることにより開閉
角度が例えば120°〜130°程度で、閉蓋状態にお
いて前端部下面が口棒6の上面に当接することにより図
4に示すように略水平な状態に保持され、最大角度開く
と、前端部表面が前記上前板7に当接して支持される。
そして、このような鍵盤蓋12は図2に示すように90
°開いた状態で腕木4に、また鍵盤蓋奥14はともに楽
器本体2に対して着脱可能に組み込まれる。
【0009】前記各腕木4の内側面と、前記鍵盤蓋12
との間には、図3および図4に示すように閉蓋動作時に
鍵盤蓋12を制動する鍵盤蓋開閉装置(以下、開閉装置
という)15が配設されている。この開閉装置15は、
前記腕木4の内側面に埋め込まれ複数個のねじ16によ
って固定された回転型の緩衝装置17と、前記鍵盤蓋1
2の側面後端部に複数個のねじ18によって固定され、
前記鍵盤蓋12と緩衝装置17の回転中心のずれを吸収
するずれ吸収装置19とを備えている。
【0010】前記緩衝装置17は、流体の粘性抵抗を利
用したもので、図6に示すように円筒状のダンパーケー
ス20と、このダンパーケース20内に回動自在に配設
された回動軸21とを備えている。
【0011】ダンパーケース20の内部は、2つの室、
すなわち第1、第2の緩衝室23A,23Bに仕切られ
るとともに、非圧縮性のダンピングオイル24が封入さ
れている。第1、第2の緩衝室23A,23Bは、ダン
パーケース20の内周面に中心に向かって設けた半径方
向の仕切壁25と、回動軸21の周面に設けられ前記仕
切壁25が挿入されるV字状の溝26によって形成され
ている。
【0012】また、第1の緩衝室23Aと第2の緩衝室
23Bは、仕切壁25に設けた連通孔27を介して互い
に連通しダンピングオイル24の流通を可能にしてい
る。ただし、ダンピングオイル24は、連通孔27に設
けた逆止弁28によって第1の緩衝室23Aから第2の
緩衝室23Bへの流通のみを許容され、第2の緩衝室2
3Bから第1の緩衝室23Aへの流通を阻止されてい
る。なお、鍵盤蓋12が完全に閉じた状態においては、
図6(a)に示すように溝26を形成する2つの側壁2
6a,26bのうち、一方の側壁26aが仕切壁25か
ら最大角度離間し、他方の側壁26bが仕切壁25と近
接して対向し、ダンピングオイル24はその殆どが第1
の緩衝室23A内に満たされている。このため、第2の
緩衝室23Bの容積は殆ど零となる。反対に鍵盤蓋12
が開いた状態においては、図6(c)に示すようにダン
ピングオイル24が第2の緩衝室23B内に移動し、第
1の緩衝室23Aの容積は殆ど零となる。
【0013】なお、前記溝26の底部には、回動軸21
の中心Oを中心とする円弧状の突部30が一体に突設さ
れており、この突部30と前記仕切壁25の先端面との
間に絞り通路31が形成されている。
【0014】前記回動軸21は、ダンパーケース20内
に水密性を保って嵌挿され、内端部がダンパーケース2
0の内径より僅かに小さい外径を有している。回動軸2
1の一端部は、前記ダンパーケース20から外部に突出
し、その突出端部21aが緩衝装置17の径方向に長い
矩形の突状体を形成している。
【0015】前記ずれ吸収装置19は、鍵盤蓋12の側
面後端部に形成された切欠部42内に2本のねじ43に
よって固定された連結部材40と、この連結部材40に
嵌着され鍵盤蓋12の回動を前記回動軸21に伝達する
ずれ吸収部材41の2部材で構成されている。また、こ
のずれ吸収部材41は、連結部材40と回動軸21の突
出端部21aの双方に対して移動自在に嵌合することに
より鍵盤蓋12と緩衝装置17の回転中心のずれを吸収
する。ずれ吸収部材41の連結部材40に対する移動方
向と、回動軸21に対する移動方向は互いに直交してい
る。ここでは、回動軸21に対する移動方向をX方向と
し(突出端部21aの長手方向)、連結部材40に対す
る移動方向をY方向とする。
【0016】さらに、連結部材40とずれ吸収部材41
の詳細を説明する。連結部材40は、角棒状体からなる
固定部40Aと、この固定部40Aの後端に一体に設け
た有底の円筒部40Bとからなり、固定部40Aに前記
ねじ43が挿通されるねじ取付孔44が形成されてい
る。円筒部40Bの後方側解放端面には溝46が形成さ
れ、内部には上下に対向する2つの突起からなる嵌合部
47が一体に突設されている。ただし、2つの突起は連
続した1つの突起であってもよい。溝46の溝幅は、前
記回動軸21の突出端部21aの幅より大きく設定され
ている。そして、この円筒部40Bの中心は、前記鍵盤
蓋12の回動中心と略一致している。
【0017】前記ずれ吸収部材41は、前記円筒部40
Bの内径より小さい外径を有する円柱状に形成され、表
面側には前記溝46に対応して前記長溝50が水平方向
に形成され、裏面側には前記嵌合部47に対して上下方
向に摺動自在に嵌合する嵌合部51が形成されている。
この嵌合部51は、2つの凹部で構成されている。長溝
50の溝幅は、前記突出端部21aの相対移動を可能に
するため、突出端部21aの長手方向の幅より大きく設
定されている。なお、図4において、52は鍵盤蓋12
に埋設されたナットである。
【0018】鍵盤蓋奥14に連結された鍵盤蓋12を楽
器本体2の腕木4に組み込むには、予め緩衝装置17を
腕木4の内側面に設けた凹部53内に嵌合してねじ16
により固定する。また、連結部材40を鍵盤蓋12の凹
部42に嵌合してねじ43で固定し、ずれ吸収部材41
を円筒部40B内に嵌挿し、嵌合部47と51を嵌合さ
せることで、ずれ吸収装置19を鍵盤蓋12に取付けて
おく。次に、鍵盤蓋12を図2に示すように垂直に立て
て左右の腕木4,4間に上方から挿入して回動軸21の
突出端部21aを溝46から長溝50内に嵌挿すればよ
い。
【0019】次に、上記した開閉装置15の動作につい
て説明する。鍵盤蓋12は、開閉角度が略120°〜1
30°で、閉蓋時において口棒6に当接し略水平な状態
に保持されている。緩衝装置17は閉蓋時において、図
6(a)の状態に保持されている。この状態より鍵盤蓋
12を徐々に開いていくと、その回動がずれ吸収装置4
0を介して緩衝装置17の回動軸21に伝達される。
【0020】緩衝装置17は鍵盤蓋12の閉蓋時におい
て、図6(a)の状態に保持されており、この状態より
回動軸21が回動すると、第1の緩衝室23A内のダン
ピングオイル24は、主として連通孔27を通って第2
の緩衝室23Bに流入する。したがって、このときのオ
イルの粘性抵抗は小さく、鍵盤蓋12に対する緩衝装置
17の制動力は小さい。そのため、開閉装置15を備え
ない従来のピアノの鍵盤蓋と同様な操作力で回動させる
ことができる。そして、鍵盤蓋12が所定角度回動して
上前板7に当接して停止すると、回動軸21を同角度回
動し、第1の緩衝室23A内のダンピングオイル24は
その殆どが第2の緩衝室23B内に移動する。
【0021】次に、開蓋状態の鍵盤蓋12を閉じるとき
には、回動軸12は図6(c)の状態より反時計方向に
回動する。このとき、緩衝装置17が機能し鍵盤蓋12
を制動する。すなわち、回動軸21が図6(c)の状態
より反時計方向に回動すると、第2の緩衝室23B内の
ダンピングオイル24はその殆どが絞り通路31を通っ
て第1の緩衝室23Aに流入する。このときの粘性抵抗
は絞り通路31の断面積がきわめて小さいことから大き
く、鍵盤蓋12に対して大きな制動力として作用し、鍵
盤蓋12をゆっくりと回動させる。したがって、鍵盤蓋
12は自重によって加速されず、静かに閉じ口棒6に当
接したとき大きな衝撃音を発することがない。
【0022】ここで、鍵盤蓋12の開閉動作時におい
て、鍵盤蓋12と回動軸21の回転中心が一致している
と、ずれ吸収部材41は連結部材40と回動軸21の双
方に対して移動しないが、回転中心が一致していない場
合は、連結部材40と回動軸21の双方に対して直交す
る2方向、すなわち連結部材40に対してはY方向に、
突出端部21aに対してはX方向に移動することによ
り、鍵盤蓋12と回動軸21の回転中心のずれを吸収す
る。したがって、回動軸21には無理な力が加わらず、
部品が摩耗したり、緩衝装置17自体が破損したり、あ
るいは雑音が発生するのを防止することができる。した
がって、特に鍵盤蓋と鍵盤蓋奥とを蝶番で連結した状態
で楽器本体に着脱するアップライトピアノに適用する
と、蝶番の回転軸と緩衝装置の回動軸のずれを吸収する
ことができるので好適である。
【0023】また、回動軸21の突出端部21aを連結
部材40の溝46からずれ吸収部材41の長溝50に嵌
挿すればよいので、鍵盤蓋12の脱着作業が容易であ
る。すなわち、鍵盤蓋12を略垂直に立てて上方に引き
上げ長溝50内の突出端部21aを溝46から抜き出す
と、緩衝装置17とずれ吸収装置19の結合関係が解除
されるので、鍵盤蓋12を楽器本体2から容易に取外す
ことができる。したがって、調整、調律時のメンテナン
スをする際は、通常のアップライトピアノのように楽器
本体から鍵盤蓋12と鍵盤蓋奥14を互いに連結した状
態で外せばよい。
【0024】なお、上記した実施の形態においては、連
結部材40の嵌合部47を突起とし、ずれ吸収部材41
の嵌合部51を凹部としたが、この逆であってもよい。
また、緩衝装置17に用いられる流体としてダンピング
オイル24を用いた例を示したが、これに限らず鍵盤蓋
12が軽い場合は空気を用いてもよい。また、鍵盤蓋1
2の取付に際しては、ずれ吸収部材41が連結部材40
から落下するのを防止するため、ずれ吸収部材41を円
筒部40B内に嵌挿した後、カバーで円筒部40Bを覆
うようにするとよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る鍵盤楽
器の鍵盤蓋開閉装置によれば、鍵盤蓋と緩衝装置の回転
中心のずれをずれ吸収装置によって吸収するように構成
したので、回動軸に無理な力が加わらず、部品が摩耗し
たり、緩衝装置自体が破損したり、あるいは雑音が発生
するのを防止することができ、特に鍵盤蓋と鍵盤蓋奥が
長蝶番によって連結されて楽器本体に組付けられ固定さ
れて蝶番の回転軸を動かせないアップライトピアノの鍵
盤蓋に適用して好適である。また、通常の鍵盤楽器と同
様に楽器本体に対する鍵盤蓋の脱着作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る鍵盤蓋開閉装置を備えたアップ
ライトピアノの外観斜視図である。
【図2】 鍵盤蓋奥に取付けられた鍵盤蓋を楽器本体に
組込むときの様子を示す斜視図である。
【図3】 同装置の分解斜視図である。
【図4】 同装置の側面図である。
【図5】 同装置の断面図である。
【図6】 (a)は緩衝装置の閉蓋時における断面図、
(b)は開蓋途中における断面図、(c)は開蓋時にお
ける断面図である。
【図7】 従来の緩衝装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
1…アップライトピアノ、2…楽器本体、3…親板、4
…腕木、5…棚板、6…口棒、10…鍵盤、12…鍵盤
蓋、14…鍵盤蓋奥、15…開閉装置、17…緩衝装
置、19…ずれ吸収装置、20…ダンパーケース、21
…回動軸、21a…回動軸の突出端部、24…ダンピン
グオイル、40…連結部材、41…ずれ吸収部材、46
…溝、47…嵌合部、51…嵌合部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉蓋操作時に流体の粘性抵抗により鍵盤
    蓋を制動する鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置において、 楽器本体側に取付けられた回転型緩衝装置と、 前記鍵盤蓋に取付けられ、鍵盤蓋の回動を前記回転型緩
    衝装置の回動軸に伝達するとともに、前記鍵盤蓋と前記
    回動軸の回転中心のずれを吸収するずれ吸収装置とを備
    えたことを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装
    置において、 ずれ吸収装置は、鍵盤蓋の側面後端部に固定された連結
    部材と、この連結部材と回転型緩衝装置の回動軸の双方
    に対して移動自在に嵌合するずれ吸収部材とからなり、
    このずれ吸収部材の連結部材に対する移動方向と、回動
    軸に対する移動方向が直交することを特徴とする鍵盤楽
    器の鍵盤蓋開閉装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉装
    置において、 連結部材は、内部に嵌合部が設けられた円筒部と、鍵盤
    蓋に固定される固定部とを有し、前記円筒部の中心が鍵
    盤蓋の回転中心と略一致するように前記鍵盤蓋の側面に
    固定され、 ずれ吸収部材は、表面側に径方向に長い長溝が形成さ
    れ、裏面側には前記連結部材の嵌合部に対して前記長溝
    の長手方向と直交する方向に摺動自在に嵌合する嵌合部
    が形成され、 回転型緩衝装置のダンパーケースから突出する回動軸の
    突出端部を径方向に長く形成して前記ずれ吸収部材の長
    溝内に嵌挿したことを特徴とする鍵盤楽器の鍵盤蓋開閉
    装置。
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