JPH11116785A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

成形体及びその製造方法

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JPH11116785A
JPH11116785A JP27763897A JP27763897A JPH11116785A JP H11116785 A JPH11116785 A JP H11116785A JP 27763897 A JP27763897 A JP 27763897A JP 27763897 A JP27763897 A JP 27763897A JP H11116785 A JPH11116785 A JP H11116785A
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省二 大淵
Takayuki Watanabe
孝行 渡辺
Tomoyuki Nakada
智之 中田
Hisashi Aihara
久 相原
Yasuhiro Kitahara
泰広 北原
Kazuhiko Suzuki
和彦 鈴木
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】 ポリ乳酸系樹脂と動植物油を含有するポ
リ乳酸系樹脂組成物からなる、耐衝撃性と耐熱性を併有
するポリ乳酸系樹脂成形体、及び、その製造方法。 【効果】 耐衝撃性と結晶性(耐熱性)とを同時に有す
る、ポリ乳酸系樹脂成形体を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ乳酸系樹脂と
動植物油を含有するポリ乳酸系樹脂組成物からなる、耐
衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体、及
び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、汎用プラスチックは使用後廃棄す
る際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解さ
れないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留
し、また投棄されたプラスチック類により、景観が損な
われ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こ
っている。
【0003】これに対し、熱可塑性で分解性を有するポ
リマーとして、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプ
ロン酸、3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ吉草酸と
のコポリマー、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレ
ンサクシネート等のような脂肪族ポリエステルが開発さ
れている。これらのポリマーの中には、動物の体内で数
カ月からl年以内に100%分解し、また、土壌や海水
中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始
め、約1年から数年で消滅し、さらに分解生成物は、人
体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有
していることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物とし
て注目をあびつつある。
【0004】このような背景の中、生分解性ポリマー
は、汎用樹脂の代替樹脂として期待されている。しか
し、一般に汎用樹脂が使用されている用途には、例え
ば、ボトル、耐衝撃性フィルムやシート、杭、食器、ト
レー等が挙げられるが、特に耐熱性や耐衝撃性が要求さ
れ、上記に示した生分解性ポリマーの中には、これらの
物性を併有するものは無く、用途が制限されているのが
実情である。
【0005】本発明者らは、生分解性を有する脂肪族ポ
リエステルに耐衝撃性と耐熱性を併有せしめることは、
極めて有意義な解決課題であると想到し、特にポリ乳酸
系樹脂について、耐熱性と耐衝撃性を付与する技術の開
発に着目した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐衝撃性と
耐熱性とを同時に有する、ポリ乳酸系樹脂成形体の製造
方法の開発を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、ある特定の化合物を
ポリ乳酸系樹脂に添加し、成形時又は成形後に、成形体
を結晶化させることにより、耐衝撃性と耐熱性を併有す
る成形体が得られることを見い出だし、本発明を完成す
るに至った。本発明は、以下の[1]〜[12]に記載
した事項により特定される。
【0008】[1] ポリ乳酸系樹脂と動植物油を含有
するポリ乳酸系樹脂組成物からなる、耐衝撃性と耐熱性
を併有するポリ乳酸系樹脂成形体。 [2] ポリ乳酸系樹脂が、ポリ乳酸、ポリ乳酸ブロッ
クとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合
体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロックを有す
る共重合体からなる群から選択された少なくとも一種で
ある、[1]に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有する
ポリ乳酸系樹脂成形体。 [3] 動植物油が、エポキシ化大豆油である、[1]
又は[2]に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポ
リ乳酸系樹脂成形体。
【0009】[4] ポリ乳酸系樹脂と動植物油の合計
重量を基準として、ポリ乳酸系樹脂を70〜99重量
%、及び、動植物油を30〜1%含有するポリ乳酸系樹
脂組成物からなる、[1]乃至[3]の何れかに記載し
た、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形
体。 [5] 耐衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜30k
gfcm/cm2であることと等価である、[1]乃至
[4]の何れかに記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有す
るポリ乳酸系樹脂成形体。 [6] 耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜160
℃であることと等価である、[1]乃至[5]の何れか
に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹
脂成形体。
【0010】[7] ポリ乳酸系樹脂と動植物油を含有
するポリ乳酸系樹脂組成物を成形するに際し、成形時又
は成形後に熱処理することを特徴とする、耐衝撃性と耐
熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。 [8] 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物を一旦溶
融した後、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化開始温度から
結晶化終了温度迄の温度範囲に保温された金型内に充填
し結晶化させることを特徴とする、[7]に記載した、
耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製
造方法。 [9] 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融物
を、金型内で冷却固化して非晶性成形体を得た後、その
成形体をポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度から融
点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、[7]
に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹
脂成形体の製造方法。
【0011】[10] ポリ乳酸系樹脂が、ポリ乳酸、
ポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロック
を有する共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸
ブロックを有する共重合体からなる群から選択された少
なくとも一種である、[7]乃至[9]の何れかに記載
した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形
体の製造方法。 [11] 動植物油が、エポキシ化大豆油である、
[7]乃至[10]の何れかに記載した、耐衝撃性と耐
熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。 [12] [7]乃至[11]の何れかに記載した製造
方法により得られた、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ
乳酸系樹脂成形体。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [ポリ乳酸系樹脂]本発明において、ポリ乳酸系樹脂と
は、ポリ乳酸、乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマ
ー(例えば、乳酸とグリコール酸のコポリマー、乳酸と
カプロン酸のコポリマー、ポリ乳酸とポリカプロン酸の
ブロックコポリマー等)、乳酸及び脂肪族多価アルコー
ルと脂肪族多価カルボン酸のコポリマー(例えば、乳酸
とブタンジオールとコハク酸及びアジピン酸のコポリマ
ー、乳酸とエチレングリコール及びブタンジオールとコ
ハク酸のコポリマー、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネ
ートのブロックコポリマー等)、及びそれらの混合物を
包含する。又、混合物の場合、相溶化剤を含有してもよ
い。ポリ乳酸系樹脂がコポリマーの場合、コポリマーの
配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロ
ック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でも
よい。さらに、これらは少なくとも一部が、キシリレン
ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート
等のような多価イソシアネートやセルロース、アセチル
セルロースやエチルセルロース等のような多糖類等の架
橋剤で架橋されたものでもよく、少なくとも一部が、線
状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造、等のいずれ
の構造をとってもよく、何ら制限はない。
【0013】本発明のポリ乳酸系樹脂において、ポリ乳
酸、特にポリ−L−乳酸、ポリカプロン酸、特にポリ−
ε−カプロン酸、ポリ乳酸とポリ−6−ヒドロキシカプ
ロン酸のブロックコポリマー、特にポリ−L−乳酸とポ
リ−6−ヒドロキシカプ口ン酸のブロックコポリマー、
ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリ
マー、特にポリ−L−乳酸とポリブチレンサクシネート
のブロックコポリマーが好ましい。
【0014】[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]本発明に
おいてポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族ヒドロキシカル
ボン酸の具体例としては、例えば、グリコール酸、乳
酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ酩酸、4−ヒ
ドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酪、6−ヒドロキ
シカプロン酸等が挙げられる。これらは一種類又は二種
類以上の混合物であってもよい。また脂肪族ヒドロキシ
カルボン酸が不斉炭素を有する場合、L体、D体、及び
その混合物、すなわち、ラセミ体であってもよい。
【0015】[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物]
本発明においてポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族多価カ
ルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、コハク
酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等及びその無
水物等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の
混合物であってもよい。
【0016】[脂肪族多価アルコール]本発明において
ポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族多価アルコールの具体
例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオ
ール、l,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9
−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメ
チレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混
合物であってもよい。
【0017】[多糖類]多糖類の具体例としては、例え
ば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビス
コースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプ
ラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベル
グ、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキ
ストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キ
チン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカス
トビーンガム、アカシアガム、等、及びこれらの誘導体
が挙げられるが、特にアセチルセルロース、エチルセル
ロースが好的に用いられる。これらは、一種類又は二種
類以上の混合物であってもよい。
【0018】[ポリ乳酸系樹脂の分子量]本発明におい
て使用する脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸系樹脂の分子
量は、目的とする用途、例えば包装材及び容器などの成
形体にした場合に、実質的に充分な機械物性を示すもの
であれば、その分子量は、特に制限されない。ポリ乳酸
系樹脂の分子量としては、一般的には、重量平均分子量
として、1〜500万が好ましく、3〜300万がより
好ましく、5〜200万がより好ましく、7〜100万
がさらに好ましく、9〜50万が最も好ましい。一般的
には、重量平均分子量がl万より小さい場合、機械物性
が充分でなかったり、逆に分子量が500万より大きい
場合、取扱いが困難となったり不経済となったりする場
合がある。本発明において使用するポリ乳酸系樹脂の重
量平均分子量及び分子量分布は、その製造方法におい
て、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時
間、共沸により留出した溶媒の処埋方法、反応系の溶媒
の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することにより所
望のものに制御することができる。
【0019】[ポリ乳酸系樹脂の製造方法]本発明の脂
肪族ポリエステルの製造方法は、特に制限されない。例
えば、ポリ乳酸及び構造単位に乳酸を有するポリ乳酸系
樹脂の製造方法の具体例としては、特開平6−6536
0号に開示されている方法を参考した、後述の製造例2
に示すような方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/
又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、あるいは脂肪
族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を、有機溶媒及び触媒
の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法であ
る。構造単位に乳酸を有するポリ乳酸系樹脂の製造方法
の他の参考例としては、例えば、特開平7−17326
6号に開示されている方法を参考した、後述の製造例3
〜6に示すような方法が挙げられる。すなわち、少なく
とも2種類のポリ乳酸系樹脂のホモポリマーを重合触媒
の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法で
ある。ポリ乳酸の製造方法の他の具体例としては、例え
ば、米国特許第2,703,316号に開示されている
方法を参考にした、後述の製造例1に示すような方法が
挙げられる。すなわち、乳酸及び/又は乳酸以外のヒド
ロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環状二量体とした後
に、開環重合する間接重合法である。
【0020】[動植物油]本発明で用いられる動植物油
としては、例えば、ヤシ油、パーム油、アマニ油、エポ
キシ化アマニ油、大豆油、エポキシ化大豆油、綿実油、
ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、牛脂、スクワラン、ラノ
リン、硬化油等が挙げられ、特に、エポキシ化大豆油が
好ましい。これらは、一種又は二種以上の混合物であっ
てもよい。
【0021】[動植物油の添加量]本発明方法における
動植物油の添加量は、ポリ乳酸系樹脂に対し1〜30重
量%になるように添加でき、好ましくは、2〜25重量
%、さらに好ましくは3〜20重量%、最も好ましくは
4〜15重量%である。1重量%未満だと、耐衝撃性の
改善効果が不十分となる場合があり、逆に30重量%を
超えると、耐熱温度が低下したり軟らかくなったりする
等、外観や物性(剛性)に著しい変化を来す場合があ
る。
【0022】[無機添加剤]本発明の製造方法により製
造する成形体には、成形体の耐衝撃性を損なわない限
り、結晶化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向
上、耐ブロッキング性の向上等の諸物性を改善するため
に無機添加剤を添加することもできる。無機添加剤の具
体例としては、例えば、タルク、カオリナイト、SiO
2、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、
硫酸バリウム等が挙げられるが、成形体の耐衝撃性を損
なわないように適宜、条件(添加量、粒子サイズ)を選
択する必要がある。
【0023】本発明の製造方法において、成形時の金型
内での結晶化や生成した成形体の熱処理による結晶化な
どの成形加工時の結晶化速度をさらに向上させることを
目的とした場合、SiO2成分を10重量%以上含む結
晶性の無機物が好ましく、具体的には、タルクTM−3
0(富士タルク社製)、カオリンJP−100(土屋カ
オリン社製)、NNカオリンクレー(土屋カオリン社
製)、カオリナイトASP一170(富士タルク社
製)、カオリンUW(エンゲルハード社製)、タルクR
F(富士タルク社製)等が挙げられる。この場合、粒径
が小さく、樹脂と溶融混練した場合に凝集することなく
良好に分散するものが好適に用いられる。
【0024】[無機添加剤の添加量]無機添加剤の添加
量は、添加剤の種類にもよるが、一般に成形体の耐熱性
と耐衝撃性を極端に損なわない量を添加する事ができ
る。本発明の製造方法により製造する成形体には、さら
に、成形体の耐衝撃性を損なわない限り、各種エラスト
マー(SBR、NBR、SBS型3元ブロック共重合体
熱可塑性エラストマー等)や添加剤(可塑剤、顔料、安
定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃
剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤)、フィラー(耐衝撃
性コア/シェル型粒子、インパクトモディフアイアー
等)、顔料(メタリック顔料、パール顔料)を目的や用
途に応じて適宜使用することができる。
【0025】[成形加工法] < 混合・混練・捏和>本発明において、ポリ乳酸系樹脂
と動植物油を、混合・混練・捏和してポリ乳酸系樹脂組
成物を製造する方法は、公知公用の混練技術、例えば、
ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で各原料を混
合させたり、又、さらに押出機等を用いて溶融したポリ
マーに液注入させながら混練させる方法を採用すること
ができる。 < 成形 >以下に、本発明の目的とする耐衝撃性と耐熱性
を併有する成形体を製造する方法について説明する。本
発明は、前述したポリ乳酸系樹脂樹脂組成物を成形時、
又は成形後に結晶化させる事で、耐衝撃性と耐熱性を併
有する成形体を製造する方法である。成形方法として
は、一般に射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレ
ーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧
空成形、紡糸等の通常の方法が挙げられるが、本発明で
示す樹脂組成物においては、いずれの成形方法にも適応
でき、何ら制限はない。本発明では、ポリ乳酸系樹脂組
成物を、成形時、又は成形後において、成形体を何らか
の方法(例えば、熱処理)で結晶化させる必要がある。
その具体例としては、例えば、成形時に該組成物の溶融
物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方
法(以下、金型内結晶化法という)、及び該組成物の非
晶性の成形体を熱処理する方法(以下、後結晶化法とい
う)を挙げることができる。この金型内結晶化法及び後
結晶化法では、成形体を結晶化する際の最適の温度条件
は異なる。
【0026】 金型内結晶化法における結晶化の温度
条件 金型内結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組成
物の示差走査熱量分析における降温時の結晶化開始温度
から、結晶化終了温度までの温度範囲が好ましく、結晶
化ピークの頂点付近の温度がより好ましい。結晶化開始
温度より高い温度では、結晶化速度が著しく小さくな
り、生産性、操作性が悪くなったり、さらには結晶化し
なくなり、目的とする成形体が得られない場合があり、
逆に結晶化終了温度より低い温度では結晶化速度が著し
く小さく、目的とする成形体が得られない場合がある。
この方法では、金型内の保持時間は、該組成物によって
も異なるが、金型内で、成形体が十分に結晶化するにた
る時間以上であれば、特に制限はない。
【0027】 後結晶化法における結晶化の温度条件 一方、後結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組
成物のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの
温度範囲、より好ましくは(Tg+5℃)から(Tm−
20℃)、さらに好ましくは(Tg+l0℃)から(T
m−30℃)最も好ましくは(Tg+15℃)から(T
m−40℃)までの温度範囲がよい。設定温度がTmよ
り高い場合は、短時間で結晶化させても耐衝撃性を損ね
たり、形状が歪んだりする場合があり、さらに長時間加
熱すると融解する場合がある。逆にTgより低い温度で
は、結晶化速度が著しく小さく、目的とする耐熱性の成
形体が得られない場合がある。この方法では成形体を熱
処理する時間は、組成物により異なるが、成形体が十分
に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限されな
い。 < 耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を製造する方法の
態様 >以下に、本発明に係る、成形体に耐衝撃性と耐熱
性を同時に付与することができる成形体の成形方法の態
様を説明する。
【0028】 射出成形 (金型内結晶化法) 射出成形(金型内結晶化法)においては、例えば、後述
する製造例2で得られたポリ乳酸に動植物油を添加した
組成物のペレットの溶融物を、結晶化開始温度から結晶
化終了温度の温度範囲内に保持された金型内に充填し保
持することにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱
性を併有する成形体を成形することができる。
【0029】 射出成形 (後結晶化法) 射出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記に
示したペレットを用いて金型温度20℃で成形して得ら
れた非晶性な成形体を、Tg(58℃)からTm(16
5℃)の温度範囲内の雰囲気下に保持したり、又は適当
な熱媒体と接触させることにより、本発明で目的とする
耐衝撃性と耐熱性を併有する射出成形体を成形すること
ができる。
【0030】 押出成形 (後結晶化法) 押出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記に
示したペレットを、一般的なTダイ押出成形機で成形し
た非晶性のフィルムやシートを、Tg(58℃)からT
m(165℃)の範囲内に保持されたオーブン(加熱
炉)中や温水中に連続的に通過させ熱処理したり、ある
いはバッチ的に熱処理したりすることにより、本発明で
目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有するシートやフィル
ムを成形することができる。
【0031】 ブロー成形(後結晶化法) ブロー成形(後結晶化法)においては、上記に示した
ペレットを、一般的なブロー成形機で溶融して金型に充
填することにより非晶性な予備成形体を得た後、得られ
た予備成形体をオーブン(加熱炉)中で加熱した後に、
Tg(58℃)からTm(165℃)の範囲内に保持さ
れた金型内に入れて、圧力空気を送出してブローするこ
とにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有
するブローボトルを成形することができる。ここで、圧
力空気として、高温[例えば、室温(25℃)以上から
Tm(165℃以下の温度]のものを用いると、成形体
の結晶化に要する時間を短縮することができる。
【0032】 真空成形・真空圧空成形(金型内結晶
化法) 上記と同様な方法により成形した非晶性なフイルム
を、一般的な真空成形機により、結晶化開始温度から結
晶化終了温度の範囲内に保持された金型内で真空成形又
は真空圧空成形することにより、本発明で目的とする耐
衝撃性と耐衝撃を併有する成形体を成形することができ
る。ここで、圧力空気として、高温[例えば、室温(2
5℃)以上からTm(165℃以下の温度]のものを用
いると、成形体の結晶化に要する時間を短縮することが
できる。
【0033】 真空成形・真空圧空成形(耐熱性フィ
ルムの真空成形) 上記と同様な方法により成形した耐熱性のフィルム
を、真空圧空成形することにより、本発明で目的とする
耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を成形することがで
きる。以上のような成形方法により成形して得られた本
発明のポリ乳酸系樹脂成形体は、耐衝撃性と耐熱性を併
有する。
【0034】本発明において、ポリ乳酸系樹脂成形体が
耐衝撃性であるということは、アイゾット衝撃試験(A
STM D256)における測定値が、4〜30kgf
cm/cm2であることを意味する。本発明において、
ポリ乳酸系樹脂成形体が耐熱性であるということは、ビ
カット軟化点測定(ASTM D1525)において、
測定温度が100〜160℃であることを意味する。本
発明の製造方法により、アイゾット衝撃強度撃度が4〜
30kgfcm/cm 2、且つビカット軟化点が100
〜160℃である、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳
酸系樹脂成形体が得られる。
【0035】本発明の耐衝撃性と耐熱性及び分解性を有
する脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸やポリ乳酸系樹
脂成形体は、公知、公用の成形法で得られる射出成形
品、フィルム、袋、チューブ、シート、カップ、ボト
ル、トレー、糸等を包含し、その形状、大きさ、厚み、
意匠等に関して何ら制限はない。具体的には、本発明の
成形体は、食品包装用袋、食器やフォーク及びスプーン
等の食品用の容器やトレイ、乳製品や清涼飲料水及び酒
類等用のボトル、ラップフィルム、化粧品容器、ゴミ
袋、かさ、テント、防水シート、(粘着)テープ、エア
ーマット、漂白剤用の容器、液体洗剤類用のボトル、医
療器具や医療材料用の容器や包装材、医薬品用容器や包
装材、つり糸、魚網、農業用品の容器や包装材及びカプ
セル、肥料用の容器や包装材及びカプセル、種苗用の容
器や包装材及びカプセル、農園芸用フィルム、製品包装
用フィルム、等に用いることができる。
【0036】
【実施例】以下に製造例、実施例及び比較例等を示し、
本発明を詳述する。なお、本出願の明細書における合成
例、実施例、比較例、態様等の記載は、本発明の内容の
理解を支援するための説明であって、その記載は本発明
の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものでは
ない。
【0037】A.製造例 実施例及び比較例において使用するポリ乳酸系樹脂の製
造方法を以下に示す。なお、文中に部とあるのはいずれ
も重量基準である。また、重合体の平均分子量(重量平
均分子量Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定
した。 装置 :島津LC−IOAD 検出器:島津RID−6A カラム:日立化成GL−S350DT−5、GL−
S370DT−5 溶 媒:クロロホルム 濃 度:l% 注入量:20μl [製造例1] < ポリマーA(ポリL−ラクタイド)の
製造> L−ラタタイド100重量部及びオクタン酸第一錫0.
01部と、ラウリルアルコール0.03部を、攪拌機を
備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真
空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物
を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で3時間加熱し
た。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製受
器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を
3mmHgまで減圧にした。脱気開始からl時間後、モ
ノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容器
内を窒素置換し、容器下部からポリマーをストランド状
に抜き出してペレット化し、L−ラクタイドのホモポリ
マー(ポリマーA)を得た。収率は78%、重量平均分
子量Mwは、13.6万であった。
【0038】[製造例2] < ポリマーB(ポリL−乳
酸)の製造> Dien−Starkトラップを設置した100リット
ルの反応器に、90%Lー乳酸10kgを150℃/5
0mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫
末6.2gを加え、150℃/30mmHgでさらに2
時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末
28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、
150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した
水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻し
た。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を46kgのモレ
キュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器
に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間
反応を行い、重量平均分子量14.6万のポリ乳酸の溶
液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44
kgを加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した
結晶を瀘過し、l0kg(7) n−ヘキサンで3回洗浄し
て60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5
N−HCl12kgとエタノール12kgを加え、35
℃でl時間攪拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで
乾燥して、白色粉末のポリ乳酸6.lkg(収率85
%)を得た。このポリ乳酸(ポリマーB)の重量平均分
子量Mwは、14.5万であった。
【0039】[製造例3]< コポリマーC(ポリブチレ
ンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造> 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.0g)金属錫2.02
gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水
を留出しながら加熱攪拌しオリゴマー化した。これに、
Dean−Stark trapを取り付け、140℃
/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキ
ュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留出
した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻
るようにし、130℃/17mmHgで49時間攪拌し
た。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶か
し、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HCIの
イソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(H
Cl濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジングし
(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間
乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略
す)を得た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、1
1.8万であった。得られたポリブチレンサクシネート
80.0gに、製造例2と同様な方法で得られたポリ乳
酸120.0g(重量平均分子量Mwは2.0万)、ジ
フェニルエーテル800g)金属錫0.7gを混合し、
再び130℃/17mmHgで20時間脱水縮合反応を
行った。反応終了後、製造例2と同様に後処理を行い、
ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー1
88g(収率94%)を得た。このポリブチレンサクシ
ネートとポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーC)の重
量平均分子量Mwは14.0万であった。
【0040】[製造例4] < コポリマーD(ポリブチ
レンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造> ポリブチレンサクシネート20.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸160.0g(重量平均
分子量Mwは10.0万)を用いた他は、製造例3と同
様な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポ
リ乳酸とのコポリマー(コポリマーD)を得た。収率は
94%、重量平均分子量Mwは14.2万であった。
【0041】[製造例5]<コポリマーE(ポリカプロ
ン酸/ポリ乳酸共重合体)の製造> 乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用いた他
は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリカプ
ロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得た。次
に得られたポリカプロン酸20.0gとポリ乳酸18
0.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用い製
造例4と同様な方法で行い、ポリカプロン酸とポリ乳酸
とのコポリマー(コポリマーE)を得た。収率は92
%、重量平均分子量Mwは15.3万であった。
【0042】B.評価方法 [物性の評価]製造例1〜5で得たポリ乳酸系樹脂組成
物を用いて製造した成形体の物性の評価条件は、以下の
とおりである。 耐衝撃性 ASTM D−256に従い、衝撃強度を測定した。 ボトルの実用耐衝撃試験 容器の80容量%迄水を入れたボトルを、床上に置いた
厚さ1cmの鉄板に、1.2mの高さから垂直に落下さ
せた時の、ボトルの破損状態を観察した。 落球衝撃強度 JIS K−7124に従い、鉄球をフィルムに落下さ
せ、フィルムの破壊する確率が50%になった時の衝撃
エネルギー値[鉄球の重さ(kg)*高さ(cm)]を
求めた。
【0043】 結晶化度 X線回折装置(理学電機製、Rint1500型)にて
成形後の試験片を測定し、得られたチャートの結晶ピー
ク面積の総面積に対する比率を求めた。 耐熱性 [ビカット軟化温度(ASTM−D152
5)] 荷重1kgfの条件で成形後の試験片を測定。 結晶化開始温度、結晶化終了温度 示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)
にて成形体を一旦溶融した後、10℃/minの条件下
で降温した時の結晶化ピークが認められた温度を結晶化
開始温度、結晶化ピークが認められなくなった温度を結
晶化終了温度とした。 ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm) 示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)
にて成形体を10℃/minの条件下で昇温した時のゴ
ム状に変わる点をガラス転移点(Tg)、融解ピークの
頂点を融点(Tm)とした。
【0044】C.実施例及び比較例 以下の実施例において、成形体を熱処理している場合、
金型内結晶化操作で降温時に結晶化している場合は、降
温時の結晶化開始温度以下から結晶化終了温度以上であ
る範囲内に設定し、又成形後熱処理操作で昇温時に結晶
化している場合は、ガラス転移温度以上から融点以下で
ある温度範囲内に設定した。
【0045】[実施例1〔射出成形〕]製造例2で得ら
れたポリ乳酸93重量部、耐衝撃性改良剤としてエポキ
シ化大豆油7重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合
した後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の
条件にてペレット化した。該ペレットを日本製鋼所製J
SW−75射出成形機、シリンダー設定温度180〜2
00℃の条件にて溶融し、設定温度30℃の金型に充填
し、冷却時間は30秒としてl.0mm厚の透明なAS
TMの試験片を得た。得られた試験片の耐衝撃性(アイ
ゾット衝撃強度)は3kgfcm/cm2、結晶化度は
0%、耐熱性(ビカット軟化点)は58℃であった。
又、この試験片のガラス転移温度(Tg)は58℃、降
温時の結晶化開始温度は120℃、降温時の結晶化終了
温度は65℃、融点(Tm)は165℃であった。この
試験片を乾燥機中で120℃/10minで熱処理し
た。得られた試験片の耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)
は23kgfcm/cm2、結晶化度42%、耐熱性は
150℃であった。結果を表−1[表1]に示す。
【0046】[実施例1−2〜1−5〔射出成形〕]ポ
リマーの種類、耐衝撃性改良剤の種類と添加量を表−1
[表1]に示すように変更した以外は、実施例1−1と
同様にして行い、それぞれ得られた試験片の耐衝撃性、
結晶化度、耐熱性を測定した。結果を表−1[表1]に
示す。
【0047】[比較例1−1〜1−5〔射出成形〕]ポ
リマーの種類、耐衝撃性改良剤の添加量を変更した他
は、実施例1と同様な方法で行った。得られた試験片の
耐衝撃性は3kgfcm/cm2、結晶化度は0%、耐
熱性は59℃であった。この試験片を乾燥機中で120
℃/10minで熱処理した時の耐衝撃性は3kgfc
m/cm2、結晶化度は43%、ビカット軟化点は15
0℃であった。結果を表−2[表2]に示す。
【0048】[実施例2−1〔ブロー成形〕]ポリマー
として製造例2で得られたポリ乳酸、耐衝撃性改良剤と
してエポキシ化大豆油7重量%をヘンシェルミキサーで
充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170〜
210℃の条件にてペレット化した。該ペレットを射出
ブロー成形機(日精ASB機械製、ASB−50)、シ
リンダー設定温度180〜200℃の条件にて溶融し、
設定温度20℃の金型(A)に充填、冷却時間は30
秒、2.0mm肉厚の予備成形体(有底パリソン)を得
た。得られたパリソンを加熱炉中にてパリソン温度を1
20℃に加熱し、さらに温度を120℃に保持した金型
(B) に入れ、圧力空気の圧力4kgf/cm2の条件下
で、たて倍率2倍、よこ倍率2倍にし、内容積500m
lの容器を得た。結晶化度は45%、耐熱性は150℃
であった。また、得られた容器(厚み0.5mm)の実
用耐衝撃試験を行ったが、割れることなく何の変化もな
かった。
【0049】[比較例2−1〔ブロー成形〕]耐衝撃性
改良剤(エポキシ化大豆油)を除いた以外は、実施例2
と同様な方法で行った。結晶化度は43%、耐熱性は1
50℃であった。また、得られた容器(厚み0.5m
m)の実用耐衝撃試験を行った結果、破損した。
【0050】[実施例3−1〔押出成形〕]ポリマーと
して製造例1で得られたポリ乳酸、耐衝撃性改良剤とし
てエポキシ化大豆油5重量%をヘンシェルミキサーで充
分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170〜2
10℃の条件にてペレット化した。該ペレットをTダイ
50mmΦ押出機(フロンティア製、ダイ幅400m
m)シリンダー設定温度180〜200℃の条件にて溶
融し、ダイ温度185℃にて透明な0.1mm厚のフィ
ルムを得た。このフィルムの落球衝撃強度は2cm・k
g、結晶化度は0%であった。さらに、このフィルムを
熱風乾燥機(温度100℃、滞留時間2min)に連続
して通過させて熱処埋した。結晶化度は40%であっ
た。得られたシートの落球撃性強度は、27cm・kg
であった。
【0051】[比較例3−1〔押出成形〕]耐衝撃性改
良剤のエポキシ化大豆油を除いた他は、実施例3−1と
同様な方法で行った。結晶化度は38%であった。ま
た、得られたシートの落球衝撃強度は2cm・kgであ
った。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明により、耐衝撃性と結晶性(耐熱
性)とを同時に有する、ポリ乳酸系樹脂成形体を提供す
ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 相原 久 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 北原 泰広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 鈴木 和彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系樹脂と動植物油を含有するポ
    リ乳酸系樹脂組成物からなる、耐衝撃性と耐熱性を併有
    するポリ乳酸系樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸系樹脂が、ポリ乳酸、ポリ乳酸
    ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する
    共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロック
    を有する共重合体からなる群から選択された少なくとも
    一種である、請求項1に記載した、耐衝撃性と耐熱性を
    併有するポリ乳酸系樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 動植物油が、エポキシ化大豆油である、
    請求項1又は2に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有す
    るポリ乳酸系樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 ポリ乳酸系樹脂と動植物油の合計重量を
    基準として、ポリ乳酸系樹脂を70〜99重量%、及
    び、動植物油を30〜1%含有するポリ乳酸系樹脂組成
    物からなる、請求項1乃至3の何れかに記載した、耐衝
    撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体。
  5. 【請求項5】 耐衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜
    30kgfcm/cm2であることと等価である、請求
    項1乃至4の何れかに記載した、耐衝撃性と耐熱性を併
    有するポリ乳酸系樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜
    160℃であることと等価である、請求項1乃至5の何
    れかに記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸
    系樹脂成形体。
  7. 【請求項7】 ポリ乳酸系樹脂と動植物油を含有するポ
    リ乳酸系樹脂組成物を成形するに際し、成形時又は成形
    後に熱処理することを特徴とする、耐衝撃性と耐熱性を
    併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物を
    一旦溶融した後、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化開始温
    度から結晶化終了温度迄の温度範囲に保温された金型内
    に充填し結晶化させることを特徴とする、請求項7に記
    載した、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成
    形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の
    溶融物を、金型内で冷却固化して非晶性成形体を得た
    後、その成形体をポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温
    度から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とす
    る、請求項7に記載した、耐衝撃性と耐熱性を併有する
    ポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリ乳酸系樹脂が、ポリ乳酸、ポリ乳
    酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有す
    る共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロッ
    クを有する共重合体からなる群から選択された少なくと
    も一種である、請求項7乃至9の何れかに記載した、耐
    衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 動植物油が、エポキシ化大豆油であ
    る、請求項7乃至10の何れかに記載した、耐衝撃性と
    耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項7乃至11の何れかに記載した
    製造方法により得られた、耐衝撃性と耐熱性を併有する
    ポリ乳酸系樹脂成形体。
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