JP3810194B2 - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系樹脂と有機ポリシロキサンからなる、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体、及び、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、汎用プラスチックは使用後廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留し、また投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
これに対し、熱可塑性で分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン酸、3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等のような脂肪族ポリエステルが開発されている。これらのポリマーの中には、動物の体内で数カ月からl年以内に100%分解し、また、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅し、さらに分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有していることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物として注目をあびつつある。
【0003】
このような背景の中、生分解性ポリマーは、汎用樹脂の代替樹脂として期待されている。しかし、一般に汎用樹脂が使用されている用途には、例えば、ボトル、耐衝撃性フィルムやシート、杭、食器、トレー等が挙げられるが、特に耐熱性や耐衝撃性が要求され、上記に示した生分解性ポリマーの中には、これらの物性を併有するものは無く、用途が制限されているのが実情である。
【0004】
本発明者らは、生分解性を有する脂肪族ポリエステルに耐衝撃性と耐熱性を併有せしめることは、極めて有意義な解決課題であると想到し、特にポリ乳酸系樹脂について、耐熱性と耐衝撃性を付与する技術の開発に着目した。
【0005】
ポリ乳酸系樹脂の性質を改良する方法としては、すでに、特開平3−157422号に、生体吸収性ポリエステル樹脂を特定の変性有機ポリシロキサンで物理的または化学的に変性することにより当該樹脂に柔軟性を付与する方法が開示されている。また特開平8−333507号には、安定剤、可塑剤、特定の変性シリコーン、ポリ乳酸樹脂からなる樹脂組成物が、ポリ乳酸樹脂の強度を減少させることなく、離型性、引張破断伸び、耐衝撃強度を改良する方法が開示されている。
【0006】
上記2例では、ポリ乳酸系樹脂の性質を改良するためには、特定の変性シリコーンまたは特定の変性シリコーン、可塑剤、安定剤の組み合わせが必須であるのに対して、本発明においては、シリコーン(有機ポリシロキサン)の種類には特に制限がなく、シリコーン(有機ポリシロキサン)が添加された樹脂組成物と、該組成物から得られた成形体の熱処理との組み合わせによってのみ、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃強度を改良するものであり、本発明における構成要件とは別のものである。
【0007】
さらに特開平8−183899号では、乳酸系ポリマーの分解性を抑制する目的で、特定の変性シリコーンを用いる方法が開示されているが、これは本発明における目的・構成要件とは全く別のものである。
しかしながら、上記の従来の技術の何れにおいても、耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体に関する技術や、成形体に耐衝撃性と耐熱性を併有せしめる技術については、一切開示及び示唆はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題、耐衝撃性と耐熱性とを同時に有する、ポリ乳酸系樹脂成形体、及び、その製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ある特定の化合物をポリ乳酸系樹脂に添加し、成形時又は成形後に、成形体を結晶化させることにより、耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体が得られることを見い出だし、本発明を完成するに至った。本発明は、以下の[1]〜[14]に記載した事項により特定される。
【0010】
[1]ポリ乳酸系樹脂(A)と有機ポリシロキサン(B)を含有するポリ乳酸系樹脂成形体であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記有機ポリシロキサン(B)の合計重量を基準として、前記ポリ乳酸系樹脂(A)を85.0〜99.9重量%、及び、前記有機ポリシロキサン(B)を15.0〜0.1重量%含有し、かつ、衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜30kgfcm/cm 2 であることと等価である耐衝撃性及び耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜160℃であることと等価である耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
【0011】
[2] ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸、ポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロックを有する共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である、[1]に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
[3] 有機ポリシロキサン(B)が、一般式(1)(化5)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、[1]乃至[2]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
【0012】
【化5】
Figure 0003810194
(一般式(1)において、R 1 、R 2 は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものであり、mは、1〜2000の整数である。)
[4] 有機ポリシロキサン(B)が、一般式(2)(化6)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、[1]乃至[2]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
【0013】
【化6】
Figure 0003810194
(一般式(2)において、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。それらの組み合わせは、R 3 及びR 4 が含まれる繰り返し単位と、R 5 及びR 6 が含まれる繰り返し単位では、相互に異なる。m及びnは、整数でm+n=1〜2000)
[5] 有機ポリシロキサン(B)が、10〜10000mm 2 ・s -1 の25℃における動粘度を有するものである、[1]乃至[4]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
【0014】
[6] ポリ乳酸系樹脂(A)と有機ポリシロキサン(B)を含有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記有機ポリシロキサン(B)の合計重量を基準として、前記ポリ乳酸系樹脂(A)を85.0〜99.9重量%、及び、前記有機ポリシロキサン(B)を15.0〜0.1重量%含有するポリ乳酸系樹脂組成物を成形するに際し、成形時又は成形後に熱処理することを特徴とする、衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜30kgfcm/cm 2 であることと等価である耐衝撃性及び耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜160℃であることと等価である耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【0015】
[7]熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物を一旦溶融した後、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化開始温度から結晶化終了温度迄の温度範囲に保温された金型内に充填し結晶化させることを特徴とする、[6]に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
[8] 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融物を、金型内で冷却固化して非晶性成形体を得た後、その成形体をポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、[6]に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
[9] 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の非晶性成形体を得た後、その成形体をポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、[6]に記載した耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。[10]ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸、ポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロックを有する共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である、[6]乃至[9]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
[11]有機ポリシロキサンが、一般式(1)(化7)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、[6]乃至[10]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【0016】
【化7】
Figure 0003810194
(一般式(1)において、R 1 、R 2 は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものであり、mは、1〜2000の整数である。)
[12] 有機ポリシロキサンが、一般式(2)(化8)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、[6]乃至[11]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【0017】
【化8】
Figure 0003810194
(一般式(2)において、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。それらの組み合わせは、R 3 及びR 4 が含まれる繰り返し単位と、R 5 及びR 6 が含まれる繰り返し単位では、相互に異なる。m及びnは、整数でm+n=1〜2000)
【0018】
[13]有機ポリシロキサン(B)が、10〜10000mm 2 ・s -1 の25℃における動粘度を有するものである、[6]乃至[12]の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
[14] [6]乃至[13]の何れかに記載した製造方法により得られた、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリ乳酸系樹脂]
本発明において、ポリ乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸、乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸のコポリマー、乳酸とカプロン酸のコポリマー、ポリ乳酸とポリカプロン酸のブロックコポリマー等)、乳酸及び脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸のコポリマー(例えば、乳酸とブタンジオールとコハク酸及びアジピン酸のコポリマー、乳酸とエチレングリコール及びブタンジオールとコハク酸のコポリマー、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマー等)、及びそれらの混合物を包含する。又、混合物の場合、相溶化剤を含有してもよい。ポリ乳酸系樹脂がコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。さらに、これらは少なくとも一部が、キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネートやセルロース、アセチルセルロースやエチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋されたものでもよく、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造、等のいずれの構造をとってもよく、何ら制限はない。
【0020】
本発明のポリ乳酸系樹脂において、ポリ乳酸、特にポリ−L−乳酸、ポリカプロン酸、特にポリ−ε−カプロン酸、ポリ乳酸とポリ−6−ヒドロキシカプロン酸のブロックコポリマー、特にポリ−L−乳酸とポリ−6−ヒドロキシカプ口ン酸のブロックコポリマー、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマー、特にポリ−L−乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマーが好ましい。
【0021】
[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]
本発明においてポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酪、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。また脂肪族ヒドロキシカルボン酸が不斉炭素を有する場合、L体、D体、及びその混合物、すなわち、ラセミ体であってもよい。
【0022】
[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物]
本発明においてポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族多価カルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等及びその無水物等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。
【0023】
[脂肪族多価アルコール]
本発明においてポリ乳酸系樹脂を構成する脂肪族多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、l,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。
【0024】
[多糖類]
多糖類の具体例としては、例えば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビスコースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベルグ、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、等、及びこれらの誘導体が挙げられるが、特にアセチルセルロース、エチルセルロースが好的に用いられる。これらは、一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。
【0025】
[ポリ乳酸系樹脂の分子量]
本発明において使用する脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸系樹脂の分子量は、目的とする用途、例えば包装材及び容器などの成形体にした場合に、実質的に充分な機械物性を示すものであれば、その分子量は、特に制限されない。
ポリ乳酸系樹脂の分子量としては、一般的には、重量平均分子量として、1〜500万が好ましく、3〜300万がより好ましく、5〜200万がより好ましく、7〜100万がさらに好ましく、9〜50万が最も好ましい。
一般的には、重量平均分子量がl万より小さい場合、機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が500万より大きい場合、取扱いが困難となったり不経済となったりする場合がある。
【0026】
本発明において使用するポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量及び分子量分布は、その製造方法において、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処埋方法、反応系の溶媒の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することにより所望のものに制御することができる。
【0027】
[ポリ乳酸系樹脂の製造方法]
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法は、特に制限されない。
例えば、ポリ乳酸及び構造単位に乳酸を有するポリ乳酸系樹脂の製造方法の具体例としては、特開平6−65360号に開示されている方法を参考した、後述の製造例2に示すような方法が挙げられる。
すなわち、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、あるいは脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を、有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。
【0028】
構造単位に乳酸を有するポリ乳酸系樹脂の製造方法の他の参考例としては、例えば、特開平7−173266号に開示されている方法を参考した、後述の製造例3〜6に示すような方法が挙げられる。
すなわち、少なくとも2種類のポリ乳酸系樹脂のホモポリマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法である。
ポリ乳酸の製造方法の他の具体例としては、例えば、米国特許第2,703,316号に開示されている方法を参考にした、後述の製造例1に示すような方法が挙げられる。
すなわち、乳酸及び/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
【0029】
[有機ポリシロキサンの定義]
一般の高分子化合物の分子骨格は炭素−炭素結合(C−C)から構成されているが、一般にシリコーンといわれている有機ポリシロキサンは、無機質のシロキサン結合(−Si−O−Si−)を骨格としている。天然には存在しない高分子化合物で、その骨格構造、重合度や側鎖の有機基を変えることにより、無色透明なオイル状物、弾性を示すゴム状物、加熱により硬化するレジンが得られる。それぞれがシリコーン100%の高分子としてだけでなく、使用目的に応じて溶剤、充填剤、架橋剤や乳化剤を配合した複合物として製品化されており、その製品の種類は数千種にもなる。
【0030】
シリコーンの主な特徴としては、例えば、
(1) 耐熱性に優れ([例]耐熱温度=200〜250℃)、
(2) 耐寒性に優れ([例]耐寒温度=−70〜−50℃)、
(3) 耐光性に優れ([例]屋外20年暴露でも劣化が少ない。)、
(4) 離型性に優れ([用途例]プラスチック用や剥離紙用離型剤等)、
(5) 泡消し作用に優れ([用途例]泡消剤等)、
(6) 撥水性に優れ、
(7) 電気絶縁性に優れる:温度や周波数による特性変化少なく、
(8) 化学的に不活性であり、
(9) 難燃性であり、
(10) 低毒性であり、
(11) 気体透過性が大きく、
(12) オイルの温度による粘度変化が少ない、
などが挙げられる。
【0031】
有機ポリシロキサン(またはシリコーン)の製造業者としては、信越化学工業、東レ・ダウコーニング・シリコーン、東芝シリコーン、日本ユニカー、ダウコーニングアジア、チッソ、ローヌ・プーランシリコーン、バイエルなどがある。有機ポリシロキサン(またはシリコーン)の中でも、常温での粘度がおおむね0.65〜1,000,000mm2・s-1または0.65〜1,000,000cSt(センチストークス)の範囲にある液体状のものをシリコーンオイルという。
【0032】
本発明においては、有機ポリシロキサンのなかでも、このシリコーンオイルが好ましく使用される。
市販の有機ポリシロキサン(シリコーンオイル)として代表的なものを例示すると、ジメチルシリコーンオイル:KF−96、KF−69、KF−965、KF−968(信越化学工業)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン)、L−45(日本ユニカー)、メチルフェニルシリコーンオイル:KF−50、KF−54、KF−56(信越化学工業)、SH510、SH550、SH710(東レ・ダウコーニング・シリコーン)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル:KF−99(信越化学工業)、SH1107(東レ・ダウコーニング・シリコーン)などが挙げられ、これらは本発明において好ましく使用することができる。
【0033】
また、有機ポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、アルコキシ、フッ素、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などで変性した変性シリコンオイルについても、本発明において良好に使用することができる。
【0034】
市販の変性有機ポリシロキサン(変性シリコーンオイル)を例示すると、KF−100、KF−102、KF−103、KF−105、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354、KF−355、KF−393、KF−410、KF−412、KF−413、KF−414、KF−615、KF−618、KF−851、KF−857、KF−858、KF−859、KF−860、KF−861、KF−862、KF−864、KF−865、KF−867、KF−868、KF−869、KF−880、KF−905、KF−910、KF−945、KF−6001、KF−6002、KF−6003、KF−3935、KF−8001、KF−8002、KF−8003、KF−8004、KF−8005、X−22−160、X−22−161、X−22−162、X−22−163、X−22−165、X−22−167、X−22−169、X−22−170、X−22−173、X−22−174、X−22−176、X−22−715、X−22−800、X−22−801、X−22−819、X−22−820、X−22−821、X−22−822、X−22−904、X−22−980、X−22−3367、X−22−3701、X−22−3710、X−22−3939、X−22−4015、X−22−5002、X−22−6008、FL−100(信越化学工業)、SF8410、SF8411、SF8413、SF8416、SF8417、SF8418、SF8419、SF8421、SF8427、SF8428、SH203、SH230、SH3746、SH3749、SH3771、SH8400、SH8700、FS1265(東レ・ダウコーニング・シリコーン)などが挙げられ、これらは本発明において好ましく使用することができる。
【0035】
[有機ポリシロキサンの粘度の表示方法]
ポリシロキサンの粘度は一般に、動粘度(単位:[cm2・s-1]=[St(ストークス)])で表され、これは、絶対粘度(単位:[g・cm-1・s-1]=[poise(ポアズ)])を密度(単位:[g・cm-3])で除した値である。
【0036】
絶対粘度[g・cm-1・s-1]/密度[g・cm-3]=動粘度[cm2・s-1]=動粘度[St]
または
絶対粘度[poise]/密度[g・cm-3]=動粘度[cm2・s-1]=動粘度[St]
上記の関係は、SI単位系においては次のように表される。
絶対粘度[kg・m-1・s-1]/密度[kg・m-3]=動粘度[m2/s]
一般的なポリシロキサンの粘度表示方法は、ある温度(例えば、25℃)における動粘度(単位:[cSt(センチストークス)]=[mm2・s-1])を用いる場合が多い。
[本発明に用いられる有機ポリシロキサン]
本発明で用いる有機ポリシロキサンは一般式(1)[化9]
【0037】
【化9】
Figure 0003810194
(一般式(1)において、R1、R2は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものであり、mは、1〜2000の整数である。)
で示される構造単位の繰り返しを骨格に含む重合体であり、その骨格、重合度、有機基の種類の異なる多種の特徴あるものが知られており、本発明での使用が可能である。
【0038】
本発明で用いるポリシロキサンを例示すれば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、繰り返し単位が、一般式(2)[化10]
【0039】
【化10】
Figure 0003810194
(一般式(2)において、R3、R4、R5、R6は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。
それらの組み合わせは、R3及びR4が含まれる繰り返し単位と、R5及びR6が含まれる繰り返し単位では、相互に異なる。
m及びnは、整数でm+n=1〜2000)
【0040】
よりなるランダムまたはブロックまたはグラフト共重合体、あるいはこれらの有機ポリシロキサンの末端あるいは分子鎖中にポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、アルコキシ、フッ素、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基、水酸基、ビニル基を導入した重合体があげられる。
【0041】
これらの有機ポリシロキサンは単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。なかでもポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが好ましく、ポリジメチルシロキサンが特に好ましく用いられる。これらの有機ポリシロキサンの重量平均分子量は特に限定するものではないが、おおむね100〜100000程度の液状の有機ポリシロキサンが適しており、その中でも25℃における動粘度が1〜10000mm2・s-1のものが好ましく用いられ、特に好ましくは10〜5000mm2・s-1の動粘度のものが用いられる。この範囲よりも低粘度の有機ポリシロキサンを用いる場合は成形物とした時、外観不良を生じやすくなり好ましくない。この範囲より高粘度の場合は、樹脂組成物中に均一に混合するのが困難となり好ましくない。
【0042】
[高分子の結晶化]
熱可塑性樹脂(または樹脂)などの高分子(ポリマー、重合体)は多数のモノマー(単量体)が共有結合で連結して構成された構造(高分子鎖)をもち、これは、その構造が3次元的に種々の存在状態をとりうる、ということを意味している。
それゆえに、低分子化合物について観察される物質の2つの状態、すなわち液体(または非晶)状態と結晶状態は、高分子においても観察される。
非晶状態で高分子が集合体として存在するときには、個々の高分子鎖は無秩序に配置し相互の間に相間はない。しかし、温度、圧力、張力(いわゆる延伸)、あるいは周囲の溶媒など、外的な要因が適当な条件にある場合には、高分子鎖の一部分が自発的に配向することがある。
このような場合には、非晶ないし液体状態の高分子の場合と異なって、個々の分子は形態的に秩序のある状態におかれる。個々の高分子鎖の幾何学的構造は、環境に従い、充分引き伸ばされた形態であったり、らせん状形態であったり、またある場合には折り畳み形態であったりする。こういった構造的配置状態を高分子の結晶状態と呼ぶ。
【0043】
また、外的な要因を加えても結晶状態をとらないものを非晶性高分子、結晶状態をとりうる高分子のことを結晶性高分子といい、非晶状態から結晶状態に状態変化させることを、高分子の結晶化という。
一般に結晶化された高分子は、非晶状態に比べ、耐熱性、耐薬品性などの特性が改良される。
【0044】
[結晶化した高分子の評価]
結晶した高分子の評価方法としては、引張試験、曲げ試験、耐衝撃性試験などの一般的な機械的強度の測定に加えて、ビカット軟化点(VSP)(JIS K7206、ASTM D1525)や荷重たわみ温度(HDT)(JIS K7207、ASTM D648)などの耐熱性の測定、密度(JIS K7112、ASTM D792)の測定、X線回折装置による結晶化度の測定、示差走査熱量分析装置による、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、結晶化開始温度、結晶化終了温度、融点(Tm)、結晶化熱(ΔHc)、融解熱(ΔHm)、結晶化度の測定などが挙げられる。
【0045】
[結晶化した高分子の耐熱性]
非晶状態の高分子は、ガラス転移温度(Tg)以上では軟化あるい溶融するため、使用する温度上限、すなわち耐熱性はガラス転移温度(Tg)より下の温度に限定されるのに対し、結晶化した高分子はその融点(Tm)近くまで溶融せずに使用可能となる。あらゆる物質についてTg<Tmの関係があることから、非晶状態から結晶状態へ変化させることによって、高分子の耐熱性を向上させることが可能となる。
【0046】
高分子の耐熱性の評価方法の代表的なものとしては、一般にビカット軟化点(VSP)(JIS K7206、ASTM D1525)や荷重たわみ温度(HDT)(JIS K7207、ASTM D648)などが挙げられる。
【0047】
[配合]
本発明の「耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂組成物」において、一般的には、ポリ乳酸、有機ポリシロキサンは、以下の使用範囲で用いられる。
本乳酸系ポリマー樹脂組成物に用いられるL−乳酸系ポリマー、有機ポリシロキサンは以下の使用範囲で用いられる。
ポリ乳酸系樹脂(A)を85.0〜99.9重量%、及び、
有機ポリシロキサン(B)を15.0〜0.1重量%が、
好ましく使用される。
一般的には、有機ポリシロキサンが上記範囲に満たない場合は耐衝撃性と耐熱性の改良効果が不十分であり、また同様に上記範囲を越える場合は、耐衝撃性の改良効果が頭打ちとなり、また、過剰の有機ポリシロキサンが成形品表面へブリードアウトし、外観不良やべとつきの原因となり、好ましくない場合が多い。
【0048】
[無機添加剤]
本発明の製造方法により製造する成形体には、成形体の耐衝撃性を損なわない限り、結晶化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向上、耐ブロッキング性の向上等の諸物性を改善するために無機添加剤を添加することもできる。
無機添加剤の具体例としては、例えば、タルク、カオリナイト、SiO2 、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられるが、成形体の耐衝撃性を損なわないように適宜、条件(添加量、粒子サイズ)を選択する必要がある。
本発明の製造方法において、成形時の金型内での結晶化や生成した成形体の熱処理による結晶化などの成形加工時の結晶化速度をさらに向上させることを目的とした場合、SiO2成分を10重量%以上含む結晶性の無機物が好ましく、具体的には、タルクTM−30(富士タルク社製)、カオリンJP−100(土屋カオリン社製)、NNカオリンクレー(土屋カオリン社製)、カオリナイトASP一170(富士タルク社製)、カオリンUW(エンゲルハード社製)、タルクRF(富士タルク社製)等が挙げられる。この場合、粒径が小さく、樹脂と溶融混練した場合に凝集することなく良好に分散するものが好適に用いられる。
【0049】
[無機添加剤の添加量]
無機添加剤の添加量は、添加剤の種類にもよるが、一般に成形体の耐熱性と耐衝撃性を極端に損なわない量を添加する事ができる。
本発明の製造方法により製造する成形体には、さらに、成形体の耐衝撃性を損なわない限り、各種エラストマー(SBR、NBR、SBS型3元ブロック共重合体熱可塑性エラストマー等)や添加剤(可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤)、フィラー(耐衝撃性コア/シェル型粒子、インパクトモディフアイアー等)、顔料(メタリック顔料、パール顔料)を目的や用途に応じて適宜使用することができる。
【0050】
[成形加工法]
< 混合・混練・捏和>
本発明において、ポリ乳酸系樹脂と有機ポリシロキサンを、混合・混練・捏和してポリ乳酸系樹脂組成物を製造する方法は、公知公用の混練技術、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で各原料を混合させたり、又、さらに押出機等を用いて溶融したポリマーに液注入させながら混練させる方法を採用することができる。
【0051】
< 成形 >
以下に、本発明の目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を製造する方法について説明する。
本発明は、前述したポリ乳酸系樹脂樹脂組成物を成形時、又は成形後に結晶化させることで、耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を製造する方法である。
成形方法としては、一般に射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等の通常の方法が挙げられるが、本発明で示す樹脂組成物においては、いずれの成形方法にも適応でき、何ら制限はない。
【0052】
本発明では、ポリ乳酸系樹脂組成物を、成形時、又は成形後において、成形体を何らかの方法(例えば、熱処理)で結晶化させる必要がある。その具体例としては、例えば、成形時に該組成物の溶融物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方法(以下、金型内結晶化法という)、及び該組成物の非晶性の成形体を熱処理する方法(以下、後結晶化法という)を挙げることができる。この金型内結晶化法及び後結晶化法では、成形体を結晶化する際の最適の温度条件は異なる。
【0053】
▲1▼ 金型内結晶化法における結晶化の温度条件
金型内結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組成物の示差走査熱量分析における降温時の結晶化開始温度から、結晶化終了温度までの温度範囲が好ましく、結晶化ピークの頂点付近の温度がより好ましい。結晶化開始温度より高い温度では、結晶化速度が著しく小さくなり、生産性、操作性が悪くなったり、さらには結晶化しなくなり、目的とする成形体が得られない場合があり、逆に結晶化終了温度より低い温度では結晶化速度が著しく小さく、目的とする成形体が得られない場合がある。この方法では、金型内の保持時間は、該組成物によっても異なるが、金型内で、成形体が十分に結晶化するにたる時間以上であれば、特に制限はない。
【0054】
▲2▼ 後結晶化法における結晶化の温度条件
一方、後結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組成物のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲、より好ましくは(Tg+5℃)から(Tm−20℃)、さらに好ましくは(Tg+l0℃)から(Tm−30℃)最も好ましくは(Tg+15℃)から(Tm−40℃)までの温度範囲がよい。設定温度がTmより高い場合は、短時間で結晶化させても耐衝撃性を損ねたり、形状が歪んだりする場合があり、さらに長時間加熱すると融解する場合がある。逆にTgより低い温度では、結晶化速度が著しく小さく、目的とする耐熱性の成形体が得られない場合がある。この方法では成形体を熱処理する時間は、組成物により異なるが、成形体が十分に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限されない。
【0055】
< 耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を製造する方法の態様 >
以下に、本発明に係る、成形体に耐衝撃性と耐熱性を同時に付与することができる成形体の成形方法の態様を説明する。
【0056】
▲1▼ 射出成形 (金型内結晶化法)
射出成形(金型内結晶化法)においては、例えば、後述する製造例2で得られたポリ乳酸に有機ポリシロキサンを添加した組成物のペレットの溶融物を、結晶化開始温度から結晶化終了温度の温度範囲内に保持された金型内に充填し保持することにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を成形することができる。
【0057】
▲2▼ 射出成形 (後結晶化法)
射出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記▲1▼に示したペレットを用いて金型温度20℃で成形して得られた非晶性な成形体を、Tg(58℃)からTm(165℃)の温度範囲内の雰囲気下に保持したり、又は適当な熱媒体と接触させることにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有する射出成形体を成形することができる。
【0058】
▲3▼ 押出成形 (後結晶化法)
押出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記▲1▼に示したペレットを、一般的なTダイ押出成形機で成形した非晶性のフィルムやシートを、Tg(58℃)からTm(165℃)の範囲内に保持されたオーブン(加熱炉)中や温水中に連続的に通過させ熱処理したり、あるいはバッチ的に熱処理したりすることにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有するシートやフィルムを成形することができる。
【0059】
▲4▼ ブロー成形(後結晶化法)
ブロー成形(後結晶化法)においては、上記▲1▼に示したペレットを、一般的なブロー成形機で溶融して金型に充填することにより非晶性な予備成形体を得た後、得られた予備成形体をオーブン(加熱炉)中で加熱した後に、Tg(58℃)からTm(165℃)の範囲内に保持された金型内に入れて、圧力空気を送出してブローすることにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有するブローボトルを成形することができる。
ここで、圧力空気として、高温[例えば、室温(25℃)以上からTm(165℃以下の温度]のものを用いると、成形体の結晶化に要する時間を短縮することができる。
【0060】
▲5▼ 真空成形・真空圧空成形(金型内結晶化法)
上記▲3▼と同様な方法により成形した非晶性なフイルムを、一般的な真空成形機により、結晶化開始温度から結晶化終了温度の範囲内に保持された金型内で真空成形又は真空圧空成形することにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐衝撃を併有する成形体を成形することができる。
ここで、圧力空気として、高温[例えば、室温(25℃)以上からTm(165℃以下の温度]のものを用いると、成形体の結晶化に要する時間を短縮することができる。
【0061】
▲6▼ 真空成形・真空圧空成形(耐熱性フィルムの真空成形)
上記▲3▼と同様な方法により成形した耐熱性のフィルムを、真空圧空成形することにより、本発明で目的とする耐衝撃性と耐熱性を併有する成形体を成形することができる。
以上のような成形方法により成形して得られた本発明のポリ乳酸系樹脂成形体は、耐衝撃性と耐熱性を併有する。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂成形体が耐衝撃性であるということは、アイゾット衝撃試験(JIS K7110)における測定値が、4〜30kgf cm/cm2であることを意味する。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂成形体が耐熱性であるということは、ビカット軟化点測定(JIS K7206)において、測定温度が100〜160℃であることを意味する。
【0062】
本発明の製造方法により、アイゾット衝撃強度撃度が4〜30kgf cm/cm2、且つビカット軟化点が100〜160℃である、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体が得られる。
本発明の耐衝撃性と耐熱性及び分解性を有する脂肪族ポリエステル、特にポリ乳酸やポリ乳酸系樹脂成形体は、公知、公用の成形法で得られる射出成形品、フィルム、袋、チューブ、シート、カップ、ボトル、トレー、糸等を包含し、その形状、大きさ、厚み、意匠等に関して何ら制限はない。
具体的には、本発明の成形体は、食品包装用袋、食器やフォーク及びスプーン等の食品用の容器やトレイ、乳製品や清涼飲料水及び酒類等用のボトル、ラップフィルム、化粧品容器、ゴミ袋、かさ、テント、防水シート、(粘着)テープ、エアーマット、漂白剤用の容器、液体洗剤類用のボトル、医療器具や医療材料用の容器や包装材、医薬品用容器や包装材、つり糸、魚網、農業用品の容器や包装材及びカプセル、肥料用の容器や包装材及びカプセル、種苗用の容器や包装材及びカプセル、農園芸用フィルム、製品包装用フィルム、等に用いることができる。
【0063】
【実施例】
以下に製造例、実施例及び比較例等を示し、本発明を詳述する。
なお、本出願の明細書における合成例、実施例、比較例、態様等の記載は、本発明の内容の理解を支援するための説明であって、その記載は本発明の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものではない。
【0064】
A.製造例
実施例及び比較例において使用するポリ乳酸系樹脂の製造方法を以下に示す。なお、文中に部とあるのはいずれも重量基準である。
また、重合体の平均分子量(重量平均分子量Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定した。
▲1▼ 装 置:島津LC−IOAD
▲2▼ 検出器:島津RID−6A
▲3▼ カラム:日立化成GL−S350DT−5、GL−S370DT−5
▲4▼ 溶 媒:クロロホルム
▲5▼ 濃 度:l%
▲6▼ 注入量:20μl
[製造例1] < ポリマーA(ポリL−ラクタイド)の製造>
L−ラタタイド100重量部及びオクタン酸第一錫0.01部と、ラウリルアルコール0.03部を、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で3時間加熱した。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を3mmHgまで減圧にした。脱気開始からl時間後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容器内を窒素置換し、容器下部からポリマーをストランド状に抜き出してペレット化し、L−ラクタイドのホモポリマー(ポリマーA)を得た。収率は78%、重量平均分子量Mwは、13.6万であった。
【0065】
[製造例2] <ポリマーB(ポリL−乳酸)の製造>
Dien−Starkトラップを設置した100リットルの反応器に、90%Lー乳酸10kgを150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫末6.2gを加え、150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻した。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を46kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間反応を行い、重量平均分子量14.6万のポリ乳酸の溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44kgを加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過し、l0kg(7) n−ヘキサンで3回洗浄して60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−HCl12kgとエタノール12kgを加え、35℃でl時間攪拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、白色粉末のポリ乳酸6.lkg(収率85%)を得た。このポリ乳酸(ポリマーB)の重量平均分子量Mwは、14.5万であった。
【0066】
[製造例3]
< コポリマーC(ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造>
1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5gにジフェニルエーテル293.0g)金属錫2.02gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水を留出しながら加熱攪拌しオリゴマー化した。これに、Dean−Stark trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17mmHgで49時間攪拌した。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶かし、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HClのイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(HCl濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジングし(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略す)を得た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、11.8万であった。
得られたポリブチレンサクシネート80.0gに、製造例2と同様な方法で得られたポリ乳酸120.0g(重量平均分子量Mwは2.0万)、ジフェニルエーテル800g)金属錫0.7gを混合し、再び130℃/17mmHgで20時間脱水縮合反応を行った。反応終了後、製造例2と同様に後処理を行い、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー188g(収率94%)を得た。このポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーC)の重量平均分子量Mwは14.0万であった。
【0067】
[製造例4]
< コポリマーD(ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造>
ポリブチレンサクシネート20.0g(重量平均分子量Mwは11.8万)、ポリ乳酸160.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用いた他は、製造例3と同様な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーD)を得た。収率は94%、重量平均分子量Mwは14.2万であった。
【0068】
[製造例5]<コポリマーE(ポリカプロン酸/ポリ乳酸共重合体)の製造> 乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用いた他は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリカプロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得た。次に得られたポリカプロン酸20.0gとポリ乳酸180.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用い製造例4と同様な方法で行い、ポリカプロン酸とポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーE)を得た。収率は92%、重量平均分子量Mwは15.3万であった。
【0069】
B.評価方法
[物性の評価]
製造例1〜5で得たポリ乳酸系樹脂組成物を用いて製造した成形体の物性の評価条件は、以下のとおりである。
【0070】
▲1▼ 耐衝撃性
JIS K7110に従い、衝撃強度を測定した。
▲2▼ ボトルの実用耐衝撃試験
容器の80容量%迄水を入れたボトルを、床上に置いた厚さ1cmの鉄板に、1.2mの高さから垂直に落下させた時の、ボトルの破損状態を観察した。
▲3▼ 落球衝撃強度
JIS K−7124に従い、鉄球をフィルムに落下させ、フィルムの破壊する確率が50%になった時の衝撃エネルギー値[鉄球の重さ(kgf)×高さ(cm)]を求めた。
【0071】
▲4▼ 結晶化度
X線回折装置(理学電機製、Rint1500型)にて成形後の試験片を測定し、得られたチャートの結晶ピーク面積の総面積に対する比率を求めた。
▲5▼ 耐熱性 [ビカット軟化温度(JIS K7206)]
荷重1kgfの条件で成形後の試験片を測定。
▲6▼ 結晶化開始温度、結晶化終了温度
示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)にて成形体を一旦溶融した後、10℃/minの条件下で降温した時の結晶化ピークが認められた温度を結晶化開始温度、結晶化ピークが認められなくなった温度を結晶化終了温度とした。
【0072】
▲7▼ ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)
示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)にて成形体を10℃/minの条件下で昇温した時のゴム状に変わる点をガラス転移点(Tg)、融解ピークの頂点を融点(Tm)とした。
【0073】
C.実施例及び比較例
以下の実施例において、成形体を熱処理している場合、金型内結晶化操作で降温時に結晶化している場合は、降温時の結晶化開始温度以下から結晶化終了温度以上である範囲内に設定し、又成形後熱処理操作で昇温時に結晶化している場合は、ガラス転移温度以上から融点以下である温度範囲内に設定した。
【0074】
[実施例1〔射出成形〕]
製造例2で得られたポリ乳酸100重量部、耐衝撃性改良剤としてジメチルシリコンオイル(25℃における動粘度100mm2 s-1)[信越化学工業株式会社製]0.5重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の条件にてペレット化した。該ペレットを日本製鋼所製J100S射出成形機、シリンダー設定温度180〜200℃の条件にて溶融し、設定温度30℃の金型に充填し、冷却時間は30秒としてl.0mm厚の透明なJIS準拠の試験片を得た。得られた試験片の耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)は3kgf cm/cm2、結晶化度は0%、耐熱性(ビカット軟化点)は58℃であった。この試験片を乾燥機中で120℃×10minで熱処理した。得られた試験片の耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)は13kgf cm/cm2、結晶化度42%、耐熱性は150℃であった。結果を表−1[表1]に示す。
【0075】
[実施例1−2〜1−6〔射出成形〕]
ポリマーの種類、有機ポリシロキサンの種類と添加量を表−1[表1]に示すように変更した以外は、実施例1−1と同様にして行い、それぞれ得られた試験片の耐衝撃性、結晶化度、耐熱性を測定した。結果を表−1[表1]に示す。
【0076】
[比較例1−1〜1−6〔射出成形〕]
ポリマーの種類、有機ポリシロキサンの添加量を変更した他は、実施例1と同様な方法で行った。得られた試験片の耐衝撃性は3kgf cm/cm2、結晶化度は0%、耐熱性は59℃であった。
この試験片を乾燥機中で120℃×10minで熱処理した時の耐衝撃性は3kgf・cm/cm2、結晶化度は43%、ビカット軟化点は150℃であった。
結果を表−2[表2]に示す。
【0077】
[実施例2−1〔ブロー成形〕]
ポリマーとして製造例2で得られたポリ乳酸100重量部、有機ポリシロキサンとしてメチルフェニルシリコンオイル(25℃における動粘度400mm2・s-1)[信越化学工業株式会社製]0.8重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の条件にてペレット化した。該ペレットを射出ブロー成形機(日精ASB機械製、ASB−50)、シリンダー設定温度180〜200℃の条件にて溶融し、設定温度20℃の金型(A)に充填、冷却時間は30秒、2.0mm肉厚の予備成形体(有底パリソン)を得た。得られたパリソンを加熱炉中にてパリソン温度を120℃に加熱し、さらに温度を120℃に保持した金型(B) に入れ、圧力空気の圧力4kgf/cm2の条件下で、縦倍率2倍、横倍率2倍にし、内容積500mlの容器を得た。結晶化度は45%、耐熱性は150℃であった。また、得られた容器(厚み0.5mm)の実用耐衝撃試験を行ったが、割れることなく何の変化はなかった。
【0078】
[比較例2−1〔ブロー成形〕]
有機ポリシロキサン(メチルフェニルシリコンオイル)を除いた以外は、実施例2と同様な方法で行った。結晶化度は43%、耐熱性は150℃であった。
また、得られた容器(厚み0.5mm)の実用耐衝撃試験を行った結果、破損した。
【0079】
[実施例3−1〔押出成形〕]
ポリマーとして製造例1で携られたポリ乳酸100重量部、有機ポリシロキサンとしてメチルハイドロジェンシリコンオイル(25℃における動粘度20mm2・s-1)[信越化学工業株式会社製]0.3重量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の条件にてペレット化した。該ペレットをTダイφ50mm押出機(フロンティア製、ダイ幅400mm)シリンダー設定温度180〜200℃の条件にて溶融し、ダイ温度185℃にて透明な0.1mm厚のフィルムを得た。このフィルムの落球衝撃強度は2kgf cm、結晶化度は0%であった。さらに、このフィルムを熱風乾燥機(温度100℃、滞留時間2min)に連続して通過させて熱処埋した。結晶化度は40%であった。
得られたシートの落球撃性強度は、14kgf・cmであった。
【0080】
[比較例3−1〔押出成形〕]
有機ポリシロキサン(メチルハイドロジェンシリコンオイル)を除いた他は、実施例3−1と同様な方法で行った。結晶化度は38%であった。また、得られたシートの落球衝撃強度は2kgf cmであった。
【0081】
【表1】
Figure 0003810194
【0082】
【表2】
Figure 0003810194
【0083】
【発明の効果】
本発明により、耐衝撃性と結晶性(耐熱性)とを同時に有する、ポリ乳酸系樹脂成形体を提供することができる。

Claims (14)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)と有機ポリシロキサン(B)を含有するポリ乳酸系樹脂成形体であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記有機ポリシロキサン(B)の合計重量を基準として、前記ポリ乳酸系樹脂(A)を85.0〜99.9重量%、及び、前記有機ポリシロキサン(B)を15.0〜0.1重量%含有し、かつ、衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜30kgfcm/cm 2 であることと等価である耐衝撃性及び耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜160℃であることと等価である耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
  2. ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸、ポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロックを有する共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である、請求項1に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
  3. 有機ポリシロキサン(B)が、一般式(1)(化1)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、請求項1乃至2の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
    Figure 0003810194
    (一般式(1)において、R1、R2は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものであり、mは、1〜2000の整数である。)
  4. 有機ポリシロキサン(B)が、一般式(2)(化2)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、請求項1乃至2の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
    Figure 0003810194
    (一般式(2)において、R3、R4、R5、R6は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。それらの組み合わせは、R3及びR4が含まれる繰り返し単位と、R5及びR6が含まれる繰り返し単位では、相互に異なる。m及びnは、整数でm+n=1〜2000)
  5. 有機ポリシロキサン(B)が、10〜10000mm2・s-1の25℃における動粘度を有するものである、請求項1乃至4の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂成形体。
  6. ポリ乳酸系樹脂(A)と有機ポリシロキサン(B)を含有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法であって、前記ポリ乳酸系樹脂(A)と前記有機ポリシロキサン(B)の合計重量を基準として、前記ポリ乳酸系樹脂(A)を85.0〜99.9重量%、及び、前記有機ポリシロキサン(B)を15.0〜0.1重量%含有するポリ乳酸系樹脂組成物を成形するに際し、成形時又は成形後に熱処理することを特徴とする、衝撃性が、アイゾット衝撃強度が4〜30kgfcm/cm 2 であることと等価である耐衝撃性及び 耐熱性が、ビカット軟化温度が100〜160℃であることと等価である耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  7. 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物を一旦溶融した後、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化開始温度から結晶化終了温度迄の温度範囲に保温された金型内に充填し結晶化させることを特徴とする、請求項6に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  8. 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融物を、金型内で冷却固化して非晶性成形体を得た後、その成形体をポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、請求項6に記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  9. 熱処理方法が、ポリ乳酸系樹脂組成物の非晶性成形体を得た後、その成形体をポリ乳酸系樹脂(A)のガラス転移温度から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、請求項6に記載した耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  10. ポリ乳酸系樹脂(A)が、ポリ乳酸、ポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体、ポリ乳酸ブロックとポリカプロン酸ブロックを有する共重合体からなる群から選択された少なくとも一種である、請求項6乃至9の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  11. 有機ポリシロキサンが、一般式(1)(化3)で表される繰り返しを主鎖
    骨格に有する重合体である、請求項6乃至10の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
    Figure 0003810194
    (一般式(1)において、R1、R2は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものであり、mは、1〜2000の整数である。)
  12. 有機ポリシロキサンが、一般式(2)(化4)で表される繰り返しを主鎖骨格に有する重合体である、請求項6乃至11の何れかに記載した、
    耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
    Figure 0003810194
    (一般式(2)において、R3、R4、R5、R6は、水素原子、並びに、アルキル基、フェニル基、及び、アラルキル基を包含する炭素原子数1〜50の飽和、不飽和炭化水素で、直鎖状、分岐状の炭化水素基からなる群から選択されたものである。それらの組み合わせは、R3及びR4が含まれる繰り返し単位と、R5及びR6が含まれる繰り返し単位では、相互に異なる。m及びnは、整数でm+n=1〜2000)
  13. 有機ポリシロキサン(B)が、10〜10000mm2・s-1の25℃における動粘度を有するものである、請求項6乃至12の何れかに記載した、耐衝撃性及び耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
  14. 請求項6乃至13の何れかに記載した製造方法により得られた、耐衝撃性と耐熱性を併有するポリ乳酸系樹脂成形体。
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