JP4232416B2 - 中空成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性に優れた中空成形品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲料、調味料、薬品、化粧品等に使用する中空成形品には、ガラスやプラスチックを加工した成形品が用いられている。特にプラスチックは軽量であり、透明性、耐水性、強度、熱成形性、低コスト性等に優れた特徴を持っているためガラスビンに代わり近年は多量に使用されるようになった。
【0003】
一般にこれらに使用される汎用樹脂と言われるプラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の石油から作られる樹脂であり、今後の石油枯渇問題の観点から石油に依存しないプラスチックが求められている。
【0004】
ポリ乳酸樹脂は、生分解性樹脂として知られているが、モノマーである乳酸が、トウモロコシやさつまいもなどの植物から微生物を利用した発酵法により製造されるバイオ原料由来の樹脂としても近年注目されている。しかし、従来のポリ乳酸樹脂は耐熱性が低いため、ポリ乳酸樹脂から得られた中空成形品は、内容物等の荷重により変形を起こし外観を損ね、更には収納目的を果たせなくなる問題点がある。また、ガスバリアー性や耐衝撃性が低いため、容器として用いる場合、長期の保存で内容物の減量や変質などの問題や運搬時や使用時の落下での破損などの問題が生じた。
【0005】
一方、ポリアセタール樹脂は、天然ガスやバイオ原料から作られるメタノールを原料とした、機械特性や成形性などバランスに優れたエンジニアリングプラスチックであり、射出成形品として広く用いられている。しかしながら、結晶化速度が速いために、中空成形品、特に延伸ブロー成形体への加工が難しく利用は限定されたものであった。
【0006】
2種またはそれ以上のポリマーを配合して用い、材料の特性を改良する技術は、ポリマーアロイとして広く知られているが、2種以上のポリマーを混合した場合、多くはポリマー同士の分散性が悪く、ペレットや成形品の形状に加工できなかったり、劣った特性を示す傾向となる。
【0007】
しかし、まれに2種のポリマーが均一な非晶相を形成する場合があり、この種のものは一般に相溶性ポリマーアロイとして優れた特性を示すことが期待されているが、その例は少ない。
【0008】
ポリ乳酸と相溶性のあるポリマーとしては、ポリエチレングリコール(例えば、Polymer 37(26),5849−5857(1996))やポリメチルメタクリレート(例えば、Polymer 39(26),6891−6897(1998))など数例が知られているのみである。また、ポリアセタールと相溶性のあるポリマーとしては、ポリビニルフェノール(例えば、Polymer 33(4),760−766(1992))など数例が知られているのみである。
【0009】
特開平5−43772号公報には、ポリアセタールに生分解性を付与する目的で、脂肪族ポリエステルと微量のホルムアルデヒドを含有させた樹脂組成物が開示され、その中で脂肪族ポリエステルの1例として、他の種々の脂肪族ポリエステルとともにポリ乳酸の使用例が開示されている。また、上記樹脂組成物を成形するにあたり、ブロー成形法も採用し得ることも開示されているが、具体的にブロー成形した例はない。本発明者らの検討によればポリアセタールに脂肪族ポリエステルを配合した組成物をブロー成形した場合の中空成形品の特性は用いる脂肪族ポリエステルの種類により大きく異なることが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0011】
したがって、本発明は、機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性に優れた中空成形品を得ることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリ乳酸樹脂及びポリアセタール樹脂からなる樹脂組成物からなる中空成形品が上記の目的に合致する優れた特性を有することを見い出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物を用いてプリフォームを成形し、それを延伸ブロー成形することにより中空成形品を製造する中空成形品の製造方法であって、延伸ブロー成形に供するプリフォームを、下記式を満たす温度(T℃)とすることを特徴とする中空成形品の製造方法であり、
LOG(C)×50+15<T<LOG(C)×50+35
T:プリフォームの温度(℃)、ただし、Tは60℃未満にはならないものとする。
C:ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときのポリアセタール含有量(重量部)
さらに、
ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂99.5重量部以下60重量部超及びポリアセタール樹脂0.5重量部以上40重量部未満を配合してなる樹脂組成物である上記記載の中空成形品の製造方法、
ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂60重量部以下40重量部以上及びポリアセタール樹脂40重量部以上60重量部以下を配合してなる樹脂組成物である上記記載の中空成形品の製造方法、
ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂40重量部未満0.5重量部以上及びポリアセタール樹脂60重量部超99.5重量部以下を配合してなる樹脂組成物である上記記載の中空成形品の製造方法、
樹脂組成物中でポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂が相溶化していることを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、
前記ポリ乳酸樹脂が、同樹脂中に含まれる総乳酸成分の内、L体が92%以上99%以下含まれるか、又はD体が92%以上99%以下含まれるものである上記記載の中空成形品の製造方法、
前記ポリアセタール樹脂がポリアセタールコポリマーである上記記載の中空成形品の製造方法、
前記樹脂組成物が生分解性樹脂組成物であることを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、
樹脂組成物が、さらにポリ乳酸以外の熱可塑性ポリエステル樹脂を配合してなるものである上記記載の中空成形品の製造方法、
樹脂組成物が、さらに結晶核剤を配合してなるものである上記記載の中空成形品の製造方法、
樹脂組成物が、さらに有機変性層状珪酸塩を配合してなるものである上記記載の中空成形品の製造方法、
中空成形品の内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に、ガスバリアー性被膜を形成させたことを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、
ガスバリアー性被膜が金属酸化物被膜または炭素被膜であることを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、
中空成形品がボトルであることを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、 中空成形品が延伸ブローにより成形されるボトルであることを特徴とする上記記載の中空成形品の製造方法、
が、いずれも好ましい態様である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、およびカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。このような共重合成分としては、全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることが好ましい。
【0017】
本発明においては、相溶性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂中に含まれる総乳酸成分の内、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが好ましく、L体が92%以上含まれるかあるいはD体が92%以上含まれることが特に好ましく、L体が97%以上含まれるかあるいはD体が97%以上含まれることが更に好ましい。さらに、中空成形品の成形性の点から、L体が92%以上99%以下含まれるかあるいはD体が92%以上99%以下含まれることが好ましく、L体が97%以上99%以下含まれるかあるいはD体が97%以上99%以下含まれることがさらに好ましい。
【0018】
また、ポリ乳酸樹脂としては、L乳酸を主成分とするポリL乳酸とD乳酸を主成分とするポリD乳酸の混合物を用いることも可能である。
【0019】
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
【0020】
ポリ乳酸樹脂の融点については、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
【0021】
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるポリアセタール樹脂は、オキシメチレン単位を主たる繰り返し単位とするポリマーであり、ホルムアルデヒドもしくはトリオキサンを主原料として、重合反応によって得られる、いわゆるポリアセタールホモポリマー、および主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン単位を15重量%以下含有するいわゆるポリアセタールコポリマーのいずれであってもよく、また他の構成単位を含有するコポリマー、つまりブロックコポリマー、ターポリマーおよび架橋ポリマーのいずれであってもよく、これらは1種または2種以上で用いることができるが、熱安定性、成形性の観点からポリアセタールコポリマーであることが好ましく、さらにオキシアルキレン単位を10重量%以下0.5重量%以上含有するポリアセタールコポリマーであることが好ましい。
【0023】
本発明におけるポリアセタール樹脂の製造方法については特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。ポリアセタールホモポリマーの代表的な製造方法の例としては、高純度のホルムアルデヒドを有機アミン、有機あるいは無機の錫化合物、金属水酸化物のような塩基性重合触媒を含有する有機溶媒中に導入して重合し、重合体を濾別した後、無水酢酸中、酢酸ナトリウムの存在下で加熱してポリマー末端をアセチル化することにより製造する方法などが挙げられる。
【0024】
また、代表的なポリアセタールコポリマーの製造方法の例としては、高純度のトリオキサンおよびエチレンオキシドや1,3−ジオキソランなどの共重合成分をシクロヘキサンのような有機溶媒中に導入し、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体のようなルイス酸触媒を用いてカチオン重合した後、触媒の失活と末端基の安定化を行うことによる製造する方法、あるいは溶媒を全く使用せずに、セルフクリーニング型撹拌機の中へトリオキサン、共重合成分および触媒を導入して塊状重合した後、さらに不安定末端を分解除去することにより製造する方法などが挙げられる。
【0025】
これらポリアセタール樹脂の粘度は、成形材料として使用できる程度のものであれば特に制限はないが、ASTMD1238法によるメルトフローレート(MFR)が測定可能であり、MFRが1.0〜50g/10分の範囲のものであることが好ましく、1.5〜35g/10分のものであることが特に好ましい。
【0026】
また、ポリアセタール樹脂としては、あらかじめ熱安定剤や発生ガス補足剤を含有しているものを用いることが好ましい。
【0027】
このようなポリアセタール樹脂としては通常、市販されているものから選択して用いることができる。
【0028】
なお、ポリアセタール樹脂の分解が促進されることにより組成物の耐久性を損なうなど、組成物自体の特性に強い影響を与える可能性の高いホルムアルデヒドは、配合しないことが好ましい。ポリアセタール樹脂自体に含まれるホルムアルデヒドを考慮しても、樹脂組成物中にホルムアルデヒドはポリアセタール樹脂に対して、多くとも500ppm未満にとどめておくのが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。このようなホルムアルデヒド含有量を達成するには、前述したようにポリアセタールホモポリマーの重合後、ポリマー末端をアセチル化したり、ポリアセタールコポリマーの重合後、不安定末端を分解除去するなどの方法により安定化処理を行ったポリアセタール樹脂を用いればよい。上記樹脂組成物中のホルムアルデヒド含有量は、樹脂組成物を粉砕して得られる粉体を、水中、50℃で6時間撹拌して、ホルムアルデヒドを抽出し、アセチルアセトン法で定量し、測定することができる。またMBTH(3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン)法で定量することにより測定することもできる。
【0029】
本発明においては、機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性に優れた中空成形品が得られることを特徴とするが、ポリ乳酸とポリアセタール樹脂との配合組成によって特に効果を奏する特性が異なる。
【0030】
すなわち、ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂99.5重量部以下60重量部超及びポリアセタール樹脂0.5重量部以上40重量部未満を配合してなる樹脂組成物からなる中空成形品においては、ポリ乳酸樹脂を中空成形品とした場合よりも改良された特性を発揮する点で有用であり、特に耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性の改良効果が特に顕著である。また、この組成においては、ポリ乳酸樹脂が有する特性を活かして、生分解性であることが好ましい。この組成における生分解性を達成するには、生分解性の高いポリ乳酸樹脂を用いればよい。例えば、ポリ乳酸樹脂は末端封鎖剤などで末端封鎖することにより、生分解性が低下するので、このような末端封鎖がされていないポリ乳酸樹脂を、生分解性の高いポリ乳酸樹脂の具体例として挙げることができる。
【0031】
また、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂60〜40重量部及びポリアセタール樹脂40〜60重量部を配合してなる樹脂組成物からなる中空成形品の場合には、ポリ乳酸樹脂中空成形品並びにポリアセタール樹脂中空成形品の両者の特性を併せ持つ中空成形品を得ることができ、機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性に優れた中空成形品が得られる。
【0032】
ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂40重量部未満0.5重量部以上及びポリアセタール樹脂60重量部超99.5重量部以下を配合した樹脂組成物からなる中空成形品の場合には、ポリアセタール樹脂中空成形品の特性を改良することが可能であり、特に成形性、機械特性、透明性の改良に効果がある。
【0033】
本発明の中空成形品においては、通常該成形体を構成する樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂とが「相溶化」している。ここでいう「相溶化」とは、分子レベルで非晶相内に均一相を形成する重合体の混合物を説明するために用いられる。つまり、配合物の一方または両方が結晶相および非晶相の両方を形成する場合、相溶化とは、非晶相が分子レベルで混合していることを意味する。
【0034】
成形品を構成する組成物中の相溶化の判断は、いくつかの方法で行うことができる。相溶化について判断する最も一般的な方法は、ガラス転移温度で判断する方法である。相溶化した組成物中では、ガラス転移温度が各々単独のものより変化し、多くの場合単一のガラス転移温度を示す。ポリ乳酸とポリアセタールを配合した組成物でもこの方法を用いることができ、その組成物で観測されるガラス転移温度は、通常、ポリ乳酸樹脂単独のガラス転移温度よりも低い温度を示す。ガラス転移温度の測定方法としては、差動走査熱量計(DSC)で測定する方法、および動的粘弾性試験により測定する方法のいずれも用いることができる。
【0035】
しかしながら、ポリアセタール樹脂は高結晶性であるために、ポリアセタール樹脂の含有量が多い場合には、ガラス転移温度が不明確になるという問題がある。この場合の相溶化の判断としては、ポリアセタール樹脂の結晶化温度を用いることができる。すなわち、ポリアセタール樹脂がそれ自体よりも結晶化速度の遅い樹脂と相溶性配合物を形成した場合には、ポリアセタール樹脂の結晶化速度が単体の場合よりも低下するからである。したがって、この結晶化速度の低下を、DSCで測定した降温時の結晶化温度で判断することができる。
【0036】
本発明で用いる樹脂組成物にはさらに熱可塑性ポリエステル樹脂を配合することができる。かかる熱可塑性ポリエステル樹脂は、(イ)ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体とジオールあるいはそのエステル形成性誘導体、(ロ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ラクトンから選択された一種以上を重縮合してなる重合体または共重合体であり、ポリ乳酸樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂である。
【0037】
上記ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0038】
また、上記ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなど、あるいは分子量200〜100000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、芳香族ジオキシ化合物すなわち、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど、及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0039】
また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。上記ラクトンとしてはカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどを挙げることができる。
【0040】
これらの重合体ないしは共重合体の具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ビスフェノールA(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレ−ト)、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)/ビスフェノールA、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)/ビスフェノールAなどの芳香族ポリエステルや、ポリブチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバテート)、ポリエチレン(テレフタレート/セバテート)、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンアジペートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ−ε−カプロラクトン共重合体などポリエーテルあるいは脂肪族ポリエステルを芳香族ポリエステルに共重合した共重合体や、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリネオペンチルグリコールオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレン(サクシネート/アジペート)、ポリエチレン(サクシネート/アジペート)、ポリヒドロキシ酪酸及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル、ポリブチレンサクシネート・カーボネートなどの脂肪族ポリエステルカーボネート、p−オキシ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p−オキシ安息香酸/6−オキシ−2−ナフトエ酸などの共重合ポリエステルなどの液晶性ポリエステルが挙げられる。
【0041】
これらの中で、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体が好ましく、具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールのポリエーテルエステル共重合体、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/アジペート)を好ましく挙げることができる。上記芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体において、重縮合に供する全ジカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が50モル%以上であることがさらに好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましい。
【0042】
また、本発明で用いる熱可塑性ポリエステル樹脂の好ましい例としては、芳香族脂肪族ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリヒドロキシアルカノエートをあげることができ、具体的にはポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/アジペート)など、ポリブチレンサクシネート・カーボネート、ポリヒドロキシ酪酸及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマーを好ましく挙げることができる。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
【0043】
熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は、ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、100重量部以下0.1重量部以上であることが好ましく、50重量部以下0.5重量部以上であることがさらに好ましく、30重量部以下1重量部以上であることが特に好ましい。
【0044】
本発明で用いる樹脂組成物にはさらに結晶核剤を配合することができる。かかる結晶核剤とは、ポリマーの結晶核の形成を促進する化合物であり、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、カップリング剤で修飾されていることが好ましい。
【0045】
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを挙げることができる。
【0046】
本発明で使用する結晶核剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にタルク、有機酸アミドおよび有機カルボン酸金属塩から選択された少なくとも1種が好ましい。本発明で使用する結晶核剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。
【0047】
また、結晶核剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲が好ましく、0.03〜10重量部の範囲がより好ましく、0.05〜3重量部の範囲がさらに好ましい。
【0048】
本発明で用いる樹脂組成物にはさらに有機変性層状珪酸塩を配合することができる。かかる有機変性層状珪酸塩とは、層間に存在する交換性陽イオンまたは陰イオンが有機オニウムイオンまたは有機アニオンで交換された層状珪酸塩であり、特に交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩が好ましい。
【0049】
交換性のイオンを層間に有する層状珪酸塩は、幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームの板状物が積層した構造を持ち、その板状物の層間に交換性のイオンを有している。そのイオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはイオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0050】
層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母、ハイドロタルサイト等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成雲母が好ましい。
【0051】
有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
【0052】
1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0053】
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0054】
3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0055】
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、ベンザルコニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオン、ベンゼン環を2個有するベンゼトニウムイオンなどが挙げられる。
【0056】
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、末端にアミノ基を有するポリアルキレングリコールなどから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
【0057】
これらのアンモニウムイオンの中でも、好ましい化合物としては、トリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、ベンザルコニウムなどが挙げられる。これらのアンモニウムイオンは、一般的には、混合物として入手可能であり、前記の化合物名称は少量の類縁体を含む代表化合物の名称である。これらは、1種類で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0058】
また、反応性の官能基を持つものや親和性の高いものが好ましく、12−アミノドデカン酸、末端にアミノ基を有するポリアルキレングリコールなどから誘導されるアンモニウムイオンなども好ましい。
【0059】
有機アニオンとしては、長鎖のカルボン酸などがあり、ラウリン酸、デカン酸、ステアリン酸、ドデカジカルボン酸、ダイマー酸などをあげることができる。
【0060】
本発明で用いられる有機変性層状珪酸塩は、交換性の陽イオンまたは陰イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニウムイオンまたは有機アニオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させた有機塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
【0061】
本発明において、層状珪酸塩に対する有機イオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
【0062】
また、有機変性層状珪酸塩を反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかる反応性官能基を有するカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0063】
本発明において、有機変性層状珪酸塩の量は、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部となる範囲である。
【0064】
有機変性層状珪酸塩は、樹脂組成物中に均一に分散していることが好ましい。ここでいう均一な分散とは、層状珪酸塩が5層以下の積層状態で局所的な固まりを持たずに分散していることをいい、分散状態は電子顕微鏡で観察できる。
【0065】
また、本発明の樹脂組成物からなる中空成形品に対しては、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)および熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)及び軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などの軟質ポリオレフィン系ポリマー、各種コアシェル型エラストマー、ポリアミドエラストマーなど)などの1種以上をさらに含有させることができるが、バリアー性の観点からエチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物、メタキシリレンアジパミド(MXD6)、環状オレフィン共重合体などが好ましい。
【0066】
本発明の中空成形品に用いる樹脂組成物に対しては、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、天然繊維、有機繊維、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、マイカ、セリサイト、ドロマイト、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土など)、安定剤(酸化防止剤、光安定剤など)、難燃剤、滑剤、離形剤、染料や顔料を含む着色剤、可塑剤(ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤など)、レベリング剤、界面活性剤、増粘剤、減粘剤、防錆剤、酸素吸収剤(遷移金属錯体など)などを添加することができる。
【0067】
本発明の中空成形品に用いる樹脂組成物の製造方法については特に限定されるものではないが、例えばポリ乳酸樹脂、ポリアセタール樹脂および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、樹脂の融点以上において、1軸または2軸押出機を用いて均一に溶融混練する方法を好ましくあげることができる。また、予めポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂を溶融混練した後に、必要に応じてその他の添加剤を溶融混練する方法も用いることができる。
【0068】
本発明の中空成形品を得る方法は、射出延伸ブロー成形法、押出延伸ブロー成形法などの延伸ブロー成形法であり、中でも射出延伸ブロー成形法が好ましい。
【0071】
延伸ブロー成形法では、プリフォームを成形し(プリフォーム成形工程)、それを延伸ブロー成形する(延伸ブロー成形工程)ことにより容器などの中空成形品を成形するが、その方法としては、プリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程を分けて2工程で行うコールドパリソン方式でも、プリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程を一連の工程にて行うホットパリソン方式でもいずれでも使用できる。
【0072】
プリフォームの製造は、押出延伸ブロー成形法では公知の押出成形法により製造することができ、例えば溶融樹脂をリングダイを通して押し出しすることにより、パイプ状プリフォームを成形することができ、溶融樹脂のパリソンをキャビティ金型とコア金型で圧縮することでもプリフォームが得られる。射出延伸ブロー成形法では公知の射出成形法によりプリフォームを製造することができ、例えば、溶融樹脂をスクリュー或いはプランジャーにより、金型中に射出成形することで、ボトルなどの容器用のプリフォームが成形される。さらに圧縮成形法によりプリフォームを製造することもできる。更に得られたプリフォームは、延伸ブローの前に、パリソンの口頸部の結晶化処理を行っても良い。なお、この結晶化処理は、口頸部を赤外線ヒーターで加熱する等公知の方法で行うことができる。
【0073】
ホットパリソン法での延伸ブロー成形では、射出成形により有底パリソンを成形した後、ガラス転移温度+80℃以下の樹脂温度を有する固化していないプリフォームとし、次いでプリフォームをブロー成形用金型に移動し、延伸ロッドによって延伸しつつ、エアノズルから圧縮空気を供給して中空成形品を成形する。
【0074】
延伸ブロー成形方法においてプリフォームを延伸ブロー成形する温度としては、まず、プリフォームを、延伸ブローの前に、赤外線ヒータによる赤外線輻射、オーブン中の加熱、金型中での加熱または射出成形時の余熱により加熱し、プリフォームの温度を均一に65℃〜150℃にする。この場合、プリフォームの温度は、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときの、ポリアセタール樹脂の含有量に対して、下記式の温度範囲とすることで、延伸性やボトル特性が良好になる。なお、ホットパリソン法、コールドパリソン法のいずれにおいても延伸ブロー成形の際にプリフォームが下記温度範囲にあるよう制御する。
【0075】
LOG(C)×50+15<T<LOG(C)×50+35
T:プリフォームの温度(℃)、ただし、Tは60℃未満にはならないものとする。
C:ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときのポリアセタール含有量(重量部)
一般に、樹脂の延伸ブロー成形は、ガラス転移温度と結晶化温度の間の温度範囲で行われるが、本発明においては、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の両方が延伸される必要があるため、延伸ブロー成形する際のプリフォームの最適温度も各成分の含有量に依存することが判明した。本発明においては、ポリアセタール樹脂の含有量に着目してプリフォームの最適温度を実験に基づき検討し、上記式を導出したものである。すなわち、プリフォーム温度が上記式のTより高い場合には、ポリ乳酸樹脂の結晶化の進行のため延伸が困難で成形性不良となり、上記式のTより低い場合には、ポリアセタール樹脂が延伸されないため成形性が不良となる。上記式温度にある場合に、ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の両者が十分に延伸されるため、成形性が良好である。
【0076】
延伸可能な温度となったプリフォームは、金型にセットし、延伸ロッドによって延伸しつつ、エアノズルから圧縮空気を供給して中空成形品を成形する。延伸ロッドの圧力及びスピードは、延伸させるプリフォームの形状及び最終成形品の形状にも依存するが、通常0.3〜3MPa(約3〜約30kgf/cm2)の圧力及び2〜50cm/sのスピードで移動させる。圧縮空気は、1次ブロー圧力及び2次ブロー圧力を設定し、1次ブロー圧力は0.1〜2MPa(約1〜約20kgf/cm2)、二次ブロー圧力は0.5〜4MPa(約5〜約40kgf/cm2)程度の圧力が好ましい。なお、1次ブロー圧力及び2次ブロー圧力は必ずしも分ける必要はなく、単一圧力による延伸ブロー成形も行うことができる。なお、上記延伸ロッドの圧力及びスピードは、ホットパリソン法、コールドパリソン法のいずれにおいても好ましく適用できるものである。
【0077】
延伸ブロー成形する際の延伸倍率は、前容器軸方向の縦延伸倍率が1.4〜4倍、横断方向(容器周方向)の横延伸倍率が1.4〜4倍で、好適には面積延伸倍率が2〜16倍となるようなものである。
【0078】
ブロー成形する際の、金型温度は、特に限定するものではないが、10℃〜150℃が好ましく、特に熱セットを行う場合には、80℃〜150℃が好ましい。
【0079】
本発明の中空成形品におけるポリ乳酸樹脂の結晶化度は10%以上であることが好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが特に好ましい。また、中空成形品におけるポリアセタール樹脂の結晶化度は30%以上であることが好ましく、40%以上であることがさらに好ましく、50%以上であることが特に好ましい。このような結晶化度を有する中空成形体は1.4倍以上の延伸倍率で、ブロー成形することなどにより得ることができる。
【0080】
本発明の中空成形品の透明性は、透明成形品として使用する場合には、ヘイズ値で30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0081】
また、本発明の中空成形品は、その一部または全部が多層構造を有するものであってもよく、その少なくとも一層が、上記ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物からなるものであってもかまわない。多層構造を形成する他の層を構成する樹脂としては、特に制限はないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物などの水酸基含有熱可塑性樹脂、メタキシリレンアジパミド(MXD6)、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12などのナイロン樹脂、ハイニトリル樹脂や、、ポリオレフィン、環状オレフィン共重合体、PVC、PVDC、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル等を好ましく挙げることができる。
【0082】
このような多層構造を形成するには、公知の積層技術が使用され、押出成形法、射出成形法や圧縮成形法で多層プリフォームを形成する方法が好ましく用いることができる。
【0083】
本発明による中空成形品は、種々の特性にも優れているが、ガスバリアー性をさらに改善するために、中空成形体の内壁、外壁の少なくとも一方の表面にガスバリアー性被膜を形成することが好ましく、かかるガスバリアー性被膜としては金属酸化物被膜や炭素被膜とすることが好ましい。
【0084】
金属酸化物被膜とは、シリカ、アルミナ、マグネシアなどの金属酸化物からなる被膜であり、珪素、アルミ、マグネシウムの有機物の酸化蒸着やゾルゲルコーティングにより形成させることができる。金属酸化物膜の厚みは、ガスバリアー性の向上と、プラスチックとの密着性、耐久性および透明性等との見地から、0.005〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0085】
炭素被膜とは、一般にDLC(diamond like carbon)膜、iカーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜と呼ばれるのものであり、アモルファスな炭素膜から成っている。この炭素膜は、香味成分などの低分子有機化合物の収着抑制効果およぴガスバリア性に優れている。炭素膜の厚みは、これらの特性の向上と、プラスチックとの密着性、耐久性および透明性等との見地から、0.01〜10μmの範囲にあることが好ましい。硬質炭素膜の形成は、それ自体公知の化学蒸着法(CVD)、特にプラズマCVD法を好ましく用いることができる。
【0086】
本発明の中空成形品においては、その外壁および内壁の少なくとも一方の表面に樹脂被膜を形成しても良い。樹脂被膜としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコールが好ましい。樹脂被膜は中空成形品の段階でコーティングにより形成させても良いし、プリフォームに形成させた後にブロー成形しても良い。
【0087】
本発明の中空成形品の形状は、特に限定されるものではなく、内容積は使用目的に応じて適宜決めることができ、形状は円筒状でも角状でも良く、底部も丸底でもフラットでも良く、また各種模様や形態を有していても良い。
【0088】
本発明の中空成形品は、包装材料、日用品、農業資材、電気・電子部品、建築土木部材、自動車部品など各種用途に利用することができ、炭酸飲料水、清涼飲料水、お茶、果汁、乳飲料、野菜飲料、醤油、食用油、酒類、飲料水、米類、洗剤、シャンプー、化粧品、医薬品などを収納するボトル、プラスチック缶、タンク、コンテナ、ケース、チューブなどの容器として特に有用である。
【0089】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0090】
[実施例1〜13、比較例1〜13]
D体の含有量並びに、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したPMMA換算の重量平均分子量が表1に記載した値であるポリ乳酸樹脂、ASTMD1238法に準じて190℃で測定したメルトインデックス値が9g/10分であり融点が170℃であるポリアセタールコポリマー(東レ株式会社製“アミラス”S761)、さらに以下に示した各種ポリマーや化合物を、表1に示した割合で混合し、30mm径の2軸押出機により、シリンダー温度200℃、回転数150rpmの条件で溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。
【0091】
A−1:ポリヒドロキシブチレート(三菱瓦斯化学社製“ビオグリーン”)
A−2:共重合ポリエチレンテレフタレート(デュポン社製“バイオマックス”)
A−3:ポリカプロラクトン(ダイセル化学社製“プラクセル”)
B−1:エチレンビスラウリン酸アミド(日本化成社製“スリパックスL”)
C−1:12−アミノドデカン酸塩酸塩で交換されたモンモリロナイト
なお、C−1の12−アミノドデカン酸塩酸塩で交換されたモンモリロナイトは、Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:“クニピアF”、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここに12−アミノドデカン酸塩酸塩30.2g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌し、生じた沈殿の濾別、温水洗浄を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥することで得た。
【0092】
得られた樹脂組成物をシリンダ温度200℃、金型温度10℃で射出成形し、直径26mmのフランジ部、直径26mmの胴部、長さ85mm、厚さ4.1mm、重量29gのプリフォーム(有底パリソン)を得た。
【0093】
次に、2軸延伸ブロー成形機を用い、プリフォームを赤外線ヒーターで再加熱しプリフォーム温度を表1に示した温度(延伸温度)とし、一次ブロー;0.59MPa(6kgf/cm2 )、二次ブロー;3.43MPa(35kgf/cm2)、金型温度60℃で延伸ブロー成形して、ボトル高さ205mm、1辺50mm、厚さ0.25mmの500mlの角型中空ボトルを得た。得られた中空ボトルの特性を以下の方法で測定した。
【0094】
・ブロー成形性:ブロー成形性を下記の3段階で評価した。
◎:5回の成形ですべて成形品の破損がない、○:5回の成形で1〜2回は成形品の破損がある、△:5回の成形で3〜4回は成形品の破損がある、×:5回の成形ですべて成形品が破損する。
【0095】
・熱特性:差動走査熱量計(DSC)を用い、胴体胴部から切り出した試験片の、ガラス転移温度(Tg)およびポリアセタール樹脂の降温時の結晶化温度(Tc)を、昇降温速度20℃/分で測定した。
【0096】
・機械特性:容器胴部から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、東洋精機製作所製テンシロン100を用いて5mm/分の引張速度で引張試験を行った。
【0097】
・耐熱性:容器胴部から幅10mm、長さ50mmの試験片を切り出し、この試験片を片方を固定し水平に保持した後、オーブン中で30℃から5℃/分で昇温し、試験片が垂れ下がる温度を測定した。
【0098】
・耐衝撃性:ボトルに水を500cm3充填し、2mの高さより容器底部からコンクリート上に落下させ、落下衝撃における容器の破損までの回数を調べた。
【0099】
・水蒸気透過性:ボトルに水500cm3を充填し口を密閉した後、40℃、50%に7日間保持し、重量減少を測定し、水蒸気透過率を求めた。
【0100】
・酸素透過性:ボトルを真空グローブボックス内に入れ、真空減圧と高純度窒素ガスを流入操作を3回行い、ボトル内を窒素ガス置換した後、テフロン(登録商標)栓で密封した。このボトルを空気中、温度25℃、湿度80%の条件に保存し、10日後に、ボトル内から気体を採取し、ガスクロマトグラフィーで酸素量を測定し、酸素透過率を求めた。
【0101】
・透明性:ボトルの胴体部の透明性を目視で観察し、三段階で評価した。
A:透明、B:曇りや濁りが見られる、C:不透明
得られた結果を表1、2に示す。
【0102】
なお、実施例で得られた中空成形品を粉砕して得られた粉体1gを、水100ml中、50℃で6時間攪拌し、ホルムアルデヒドを抽出し、これをアセチルアセトン法で定量した結果、いずれの成形品中のホルムアルデヒド量もポリアセタール樹脂に対して50ppm未満であった。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
[実施例14、比較例14]
実施例1並びに比較例1と同様にして得た中空ボトルを、CVD蒸着装置を用いて、ボトル内を減圧にした後、テトラメチルジシロキサン、酸素、ヘリウムの混合ガスを原料として、シリカ膜蒸着を行った。得られたボトルの特性を表1、2に示す。
【0106】
[実施例15、比較例15]
実施例1並びに比較例1と同様にして得た中空ボトルを、CVD蒸着装置を用いて、ボトル内を減圧にした後、アセチレン・アルゴン混合ガスを原料として、炭素膜蒸着を行った。得られたボトルの特性を表1、2に示す。
【0107】
[実施例16]
実施例3と同様にして得た中空ボトルを用い、株式会社斎田鉄工所製の微生物酸化分解装置(MODA)を用い、以下の実験条件でサンプル由来の二酸化炭素発生量をモニターし、生分解性の評価を行った。そして、サンプルの全炭素量から予測される二酸化炭素の理論発生量とモニターされた二酸化炭素発生量の比を生分解度とした。その結果、生分解度が85%に達する日数は、73日であった。
【0108】
【0109】
[比較例16]
比較例4と同様にして得た中空ボトルを用い、実施例16と同様にして、生分解度が85%に達する日数を測定したところ、90日であった。
【0110】
以上の実施例から、本発明の中空成形品は、従来のポリ乳酸樹脂やポリアセタール樹脂からなる中空成形品に比較して、優れた機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性を有し、また、優れた生分解性を有していることもわかる。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の中空成形品は、優れた機械特性、耐熱性、耐衝撃性、ガスバリアー性、透明性を有するものであり、上記の特性を生かして、各種用途に有効に利用することができる。
Claims (15)
- ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物を用いてプリフォームを成形し、それを延伸ブロー成形することにより中空成形品を製造する中空成形品の製造方法であって、延伸ブロー成形に供するプリフォームを、下記式を満たす温度(T℃)とすることを特徴とする中空成形品の製造方法。
LOG(C)×50+15<T<LOG(C)×50+35
T:プリフォームの温度(℃)、ただし、Tは60℃未満にはならないものとする。
C:ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときのポリアセタール含有量(重量部) - ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂99.5重量部以下60重量部超及びポリアセタール樹脂0.5重量部以上40重量部未満を配合してなる樹脂組成物である請求項1に記載の中空成形品の製造方法。
- ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂60重量部以下40重量部以上及びポリアセタール樹脂40重量部以上60重量部以下を配合してなる樹脂組成物である請求項1に記載の中空成形品の製造方法。
- ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂を配合してなる樹脂組成物が、前記ポリ乳酸樹脂およびポリアセタール樹脂の合計を100重量部としたときに、ポリ乳酸樹脂40重量部未満0.5重量部以上及びポリアセタール樹脂60重量部超99.5重量部以下を配合してなる樹脂組成物である請求項1に記載の中空成形品の製造方法。
- 樹脂組成物中でポリ乳酸樹脂とポリアセタール樹脂が相溶化していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 前記ポリ乳酸樹脂が、同樹脂中に含まれる総乳酸成分の内、L体が92%以上99%以下含まれるか、又はD体が92%以上99%以下含まれるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 前記ポリアセタール樹脂がポリアセタールコポリマーである請求項1〜6のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 前記樹脂組成物が生分解性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 樹脂組成物が、さらにポリ乳酸以外の熱可塑性ポリエステル樹脂を配合してなるものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 樹脂組成物が、さらに結晶核剤を配合してなるものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 樹脂組成物が、さらに有機変性層状珪酸塩を配合してなるものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 中空成形品の内壁及び外壁の少なくとも一方の表面に、ガスバリアー性被膜を形成させたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- ガスバリアー性被膜が金属酸化物被膜または炭素被膜であることを特徴とする請求項12に記載の中空成形品の製造方法。
- 中空成形品がボトルであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
- 中空成形品が延伸ブローにより成形されるボトルであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の中空成形品の製造方法。
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