JPH11111422A - 嵌合型接続端子の製造方法 - Google Patents

嵌合型接続端子の製造方法

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JPH11111422A
JPH11111422A JP27598397A JP27598397A JPH11111422A JP H11111422 A JPH11111422 A JP H11111422A JP 27598397 A JP27598397 A JP 27598397A JP 27598397 A JP27598397 A JP 27598397A JP H11111422 A JPH11111422 A JP H11111422A
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plating layer
tin plating
terminal
fitting
heat treatment
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JP27598397A
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English (en)
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Jun Shiotani
準 塩谷
Atsuhiko Fujii
淳彦 藤井
Yoshifumi Saka
喜文 坂
Atsushi Nakamura
篤 中村
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Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Harness System Technologies Research Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入
力を低下できる嵌合型接続端子の製造方法を提供する。 【解決手段】 銅または銅合金の母材に錫めっきを施し
た後、端子の形状に加工し、炉体30内において熱処理
を行う。炉体30には赤外線ランプ31が備えられてお
り、当該赤外線ランプ31からの赤外線照射によって雄
端子10の加熱を行う。雄端子10のうち電線との圧着
を行う圧着部11は、その上方が遮蔽板32によって覆
われるとともに、冷却板33によって冷却されており、
嵌合部分であるタブ12のみが昇温される。タブ12の
温度条件は150℃以上170℃以下となるようにして
いる。この温度域では、表面と平行に均一に成長するC
6Sn5層が銅錫界面に形成され、錫めっき層を薄く残
留させるような時間条件とすれば、安定した接触抵抗を
維持したまま端子の挿入力を低下することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、産業機器
などの電気配線に用いられる嵌合型接続端子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般に、自動車、産業機器な
どの電気配線において電線同士の接続に用いられる嵌合
型接続端子には、錫めっきが施されてきた。これは、端
子の接続時に、錫めっきの表面酸化皮膜を摩擦によって
破壊し、新鮮な錫を凝着させることにより、低い接触抵
抗を安定して得ることを目的としたものである。
【0003】また、自動車のABS(アンチロックブレ
ーキシステム)やエアバックなど、特に重要な信号回路
に用いられる電気配線には、接続端子に金めっきを施し
て使用していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記錫めっきの凝着
は、錫の硬度が低い(ビッカース硬度40〜80)こと
に起因するものである。しかし、錫の硬度が低いこと
は、接続時の挿入力を上昇させるという問題の原因とも
なっている。すなわち、端子の嵌合接続時には錫めっき
の凝着磨耗が発生し、錫の変形抵抗に逆らって嵌合させ
るため、挿入力が上昇することとなる。
【0005】ところで、自動車などの電気配線では複数
の電線の束(以下、「ワイヤーハーネス」と称する)を
1つのコネクタで接続するのが一般的であり、コネクタ
の接続に必要な力は、端子1個当たりの挿入力に電線の
本数(従来は、一般に10極〜20極)を乗じた値とし
て概算することができる。従って、端子1個当たりの挿
入力が高いと、コネクタの接続に必要な力はワイヤーハ
ーネスの電線数に応じた大きな値となる。
【0006】特に、近年のカーエレクトロニクスの著し
い進歩・発展は、自動車に搭載する電子機器やCPUの
数を飛躍的に増加させ、それに伴ってワイヤーハーネス
の電線本数を増加し、コネクタの多極化(30極〜40
極)を図りたいとの要望も強まっている。
【0007】しかしながら、上述の如く、コネクタを多
極化すると当該コネクタの接続に必要な力も電線本数に
比例して上昇し、ボルトやてこなどの補助機構なしで
は、コネクタの接続ができなくなる。このため、端子を
小型化しても、補助機構がコネクタの小型化・軽量化を
阻害することとなる。
【0008】端子の挿入力を低減するには、接点圧力
(嵌合部で接点に与える押しつけ力)を低下させること
が考えられるが、この場合は、安定した低い接触抵抗が
得られなくなる。換言すれば、安定した接触抵抗を維持
したまま端子の挿入力を低下させることが困難であるた
め、コネクタを多極化する際に補助機構が不可欠とな
り、コネクタの小型化・軽量化を阻害する要因となって
いる。
【0009】なお、接続端子に金めっきを使用すれば、
低い接点圧力でも低い接触抵抗が安定して得られるた
め、端子の挿入力を低くすることができ、コネクタを多
極化してもその接続に要する力が著しく上昇することは
ないが、金めっきは錫めっきに比較して数倍〜数十倍の
コストを要するため、特に多極化したコネクタには適し
ない。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、安定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入力
を低下できる嵌合型接続端子の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は、雄部品および雌部品の嵌合によ
って電気的接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であっ
て、(a)前記雄部品または前記雌部品のうち少なくとも
一方の銅母材の表面に錫めっき層を形成するめっき工程
と、(b)前記錫めっき層が形成された前記銅母材のうち
前記嵌合における嵌合部分のみに熱処理を行って、前記
嵌合部分における前記錫めっき層のうち前記銅母材との
界面近傍のみをCu6Sn5に合金化する熱処理工程と、
を備えている。
【0012】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
に係る嵌合型接続端子の製造方法において、前記熱処理
を赤外線ランプによる赤外線照射としている。
【0013】また、請求項3の発明は、請求項1または
請求項2の発明に係る嵌合型接続端子の製造方法におい
て、(c)前記錫めっき層が形成された前記銅母材のうち
電線と圧着を行う圧着部分のみを冷却する冷却工程、を
さらに備え、前記冷却工程と前記熱処理工程とを並行し
て行わせている。
【0014】また、請求項4の発明は、請求項1ないし
請求項3のいずれかの発明に係る嵌合型接続端子の製造
方法において、前記熱処理を150℃以上170℃以下
で行わせている。
【0015】また、請求項5の発明は、請求項1ないし
請求項4のいずれかに記載の嵌合型接続端子の製造方法
において、前記熱処理工程に、前記雄部品または前記雌
部品のうちの一方の前記嵌合部分のみに0.1μm〜
0.3μmの厚さの錫めっき層を残留させ、他方の前記
嵌合部分のみに0.1μm以上の厚さの錫めっき層を残
留させる工程を含ませている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について詳細に説明する。
【0017】<A.嵌合型接続端子の形態>図1は本発
明に係る製造方法によって製造された嵌合型接続端子の
側面図であり、また、図2は当該嵌合型接続端子の接続
部分の一部切欠平面図である。
【0018】図示のように、本発明に係る嵌合型接続端
子は雄端子10と雌端子20とで構成されている。雄端
子10は、電線との圧着を行う圧着部分である圧着部1
1と、雌端子20との嵌合部分であるタブ12とを形成
している。また、タブ12の上面および下面は平滑な摺
動面としている。
【0019】雌端子20は、電線との圧着を行う圧着部
分である圧着部24と、雄端子10との嵌合部分である
嵌合部25とを形成している。嵌合部25は、中空の箱
形状であり、舌片21、エンボス22およびビード23
とをその内部に備えている。なお、図2は、嵌合部25
の内部を示した一部切欠平面図である。
【0020】エンボス22は、舌片21の上部に設けら
れた凸状の部材であり、雄端子10との嵌合時には、タ
ブ12の摺動面と点接触する。舌片21は、接点圧力す
なわちエンボス22をタブ12に押しつける圧力を作用
させるバネとしての機能を有している。また、ビード2
3も凸状の部材であり、タブ12とエンボス22が接触
する面と反対側の摺動面で接触し、当該エンボス22が
タブ12に及ぼす接点圧力を受ける。
【0021】雄端子10を雌端子20に嵌合させる際に
は、タブ12をエンボス22とビード23との間隙に挿
入する。そして、このときにタブ12の上下面のうちの
一方はエンボス22と、他方はビード23と摺動する。
エンボス22はタブ12と点接触しているため、エンボ
ス22の摺動部分は点であり、また、タブ12の摺動部
分は線である。また、ビード23についてはタブ12と
の接触部分がそのまま摺動部分となり、タブ12側の摺
動部分は上記同様線となる。
【0022】なお、圧着部11、24のうち厳密な意味
で電線との接続に供されるのはワイヤバレル11a、2
4aであるが、以降の説明の都合上、本明細書では圧着
部11、24を圧着部分とする。
【0023】<B.嵌合型接続端子の製造方法>次に、
嵌合型接続端子の製造方法について説明する。本実施形
態における嵌合型接続端子は、まず板状の条材に錫めっ
き処理を行った後、その条材を上記形態に加工し、さら
に加工後の端子に熱処理を施して製造する。そして、製
造された嵌合型接続端子は電線と圧着によって接続され
る。
【0024】<B−1.錫めっき工程>本実施形態で
は、嵌合型接続端子の母材として銅または銅合金を使用
する。これは、本発明に係る嵌合型接続端子において
は、後述する錫との合金化工程が重要であり、銅または
銅合金は錫と金属間化合物を形成しやすいためである。
【0025】まず、錫めっき層の密着性を高めるために
銅または銅合金の板状条材表面の洗浄や酸化皮膜の除去
などの前処理を行う。そして、次に、条材の表面に錫め
っき処理を施し、錫めっき層を形成する。なお、錫めっ
き層は条材の両面の表面全面に形成する。このときの錫
めっき層の厚さは0.5μm以上2.0μm以下であれ
ばよく、0.8μm以上1.2μm以下とするのが望ま
しい。本実施形態では錫めっき層の厚さを1.0μmと
している。
【0026】錫めっき処理後、条材を加工して図1およ
び図2に示すような形態の雄端子10および雌端子20
に成形する。熱処理前に成形加工を行うのは、後述する
ように熱処理後は錫めっき層の一部が金属間化合物に合
金化されて硬化し、成形性が劣化するからである。
【0027】<B−2.熱処理工程>次に、上記錫めっ
き処理が施された条材の熱処理を行う。図3は、本発明
に係る嵌合型接続端子に熱処理を施すための熱処理炉を
示す概略構成図である。炉体30の内部には、赤外線ラ
ンプ31と、遮蔽板32と、支持部材34と、冷却板3
3とが設けられている。なお、同図では、雄端子10に
熱処理を行うときの状態を示している。
【0028】赤外線ランプ31は、炉体30内の天井部
分に設けられており、下方に赤外線を照射して、被照射
体に光化学反応を起こさせることなく、当該被照射体を
加熱することができる。
【0029】本実施形態では、雄端子10が被照射体と
なるが、後述する理由により、雄端子10の全体を加熱
しないようにしている。すなわち、図示のように、雄端
子10は支持部材34および冷却板33によって水平姿
勢に支持されているが、雄端子10のうち圧着部11は
冷却板33に接触して支持されるとともに、遮蔽板32
によってその上方が覆われ、赤外線が照射されないよう
にされている。冷却板33は、水冷銅で構成されてお
り、当該冷却板33に接触する圧着部11を冷却するこ
とができる。なお、冷却板33はペルチェ素子などの冷
却機能を備えた他の部材であってもよい。また、遮蔽板
32は、赤外線を透過しない板であればよい。
【0030】一方、雄端子10のうちタブ12は、冷却
機能を有しない支持部材34によって支持されている。
また、タブ12の上方には、赤外線を遮蔽する部材が存
在しないため、赤外線ランプ31からの赤外線照射を受
けることができる。
【0031】したがって、炉体30内において、雄端子
10のタブ12には赤外線照射による加熱処理を行える
一方、圧着部11には遮蔽板32により赤外線が照射さ
れないようにするとともに冷却板33によって冷却し、
タブ12からの伝熱によって昇温するのを防止すること
ができる。また、タブ12の熱処理温度は150℃以上
170℃以下となるようにしている。
【0032】図1に示す雌端子20に熱処理を施すとき
も上記雄端子10と同様に、雌端子20の嵌合部25に
は赤外線ランプ31からの赤外線照射による加熱処理を
行い、圧着部24には遮蔽板32によって赤外線が照射
されないようにするとともに冷却板33によって冷却
し、嵌合部25からの伝熱によって昇温するのを防止し
ている。また、嵌合部25の熱処理温度も150℃以上
170℃以下となるようにしている。
【0033】<B−2−1.嵌合部分における合金化>
以上のように、雄端子10および雌端子20の嵌合部分
(タブ12および嵌合部25)は加熱されて温度が上昇
し、当該嵌合部分に形成された錫めっき層と母材との間
で合金化が促進される。このときの錫めっき層の変化に
ついて図4を用いて説明する。
【0034】熱処理前においては、図4(a)に示す如
く、銅または銅合金の母材1の表面に錫めっき層2が形
成された状態となっている。そして、この状態で150
℃以上170℃以下の温度条件において熱処理を施す。
錫中における銅の拡散係数は常温においても比較的大き
いが、150℃以上170℃以下の温度条件ではさらに
大きくなり、銅は錫中を容易に拡散して錫めっき層2が
母材1との界面近傍から順にCu6Sn5層3に変換さ
れ、合金化が促進される(図4(b)の状態)。ここ
で、熱処理の温度条件を150℃以上170℃以下にし
ているのは、150℃未満では錫中における銅の拡散速
度が著しく遅く合金化に長時間を要し、また170℃よ
り大きいと錫めっき層2がCu3Snに変換されるから
である。
【0035】金属間化合物Cu3Snは170℃よりも
大きい温度領域では、金属間化合物Cu6Sn5よりも安
定して成長するのであるが、この金属間化合物Cu3
n層4は柱状に成長し、やがてその先端が錫めっき層2
の表面に現出する(図4(c)の状態)。このような状
態になると、嵌合部分の錫めっき層2の表面の凹凸が激
しくなるため、端子の接触抵抗が上昇する。また、当該
嵌合部分の錫めっき層2の表面では異種金属が接触した
状態となるため腐食が進行しやすくなり、耐食性が低下
する。
【0036】これに対して、Cu6Sn5層3は錫めっき
層2の表面と平行に均一に成長するため、嵌合部分の錫
めっき層2の表面が凹凸になることもなく、また、錫め
っき層2の表面は純錫のみであるため耐食性が低下する
こともない。
【0037】熱処理中、金属間化合物Cu6Sn5層3は
時間とともに成長し、それに従って残留錫めっき層2の
厚さが薄くなる。嵌合部分の錫めっき層2が完全に金属
間化合物Cu6Sn5層3に変化すると、当該金属間化合
物Cu6Sn5層3は硬度が高いため、端子の接触抵抗が
高くなることもある。そこで、本実施形態では、熱処理
温度と時間とを調節して嵌合部分の錫めっき層2を残留
させるとともに、端子挿入力の低下を目的としてその残
留厚さを制御している。以下この技術について説明す
る。
【0038】<B−2−2.嵌合部分における残留錫め
っき層の厚さ制御>嵌合部分における残留錫めっき層2
の厚さ制御は、主として端子の挿入力低下の観点から行
われる。すなわち、安定して低い接触抵抗を得るために
は錫めっき層2を残留させる必要があるが、当該錫めっ
き層2が厚いと既述したように錫の凝着に起因して挿入
力が上昇する。
【0039】そこで本実施形態においては、嵌合部分の
錫めっき層2を厚さ0.1μm〜1.0μmの範囲内で
残留させることによって端子の接触部分の見かけの硬度
を高くし、挿入力を低減させている。このことを以下に
示す実験結果を使用して説明する。
【0040】実験は、雄端子10および雌端子20の嵌
合部分における残留錫めっき層2の厚さをそれぞれ0.
1μm〜1.0μmまで変化させ、当該雄端子10を雌
端子20に嵌合させるときの挿入力を測定して行った。
次の表1はその実験結果である。
【0041】
【表1】
【0042】従来における端子への錫めっき厚さを1.
0μmとすると、端子挿入力は0.74kgfである。
以下、この従来の挿入力を基準値として説明を続ける。
【0043】実験結果が示すように、雄端子10または
雌端子20のうちの一方の嵌合部分の錫めっき層2の厚
さを0.1μm〜0.3μmとし、他方の錫めっき層2
の厚さを0.1μm以上とすると、基準値と比較して挿
入力を少なくとも10%以上低減(0.67kgf以
下)できる。これは、錫めっき層2が薄くなるにしたが
って、金属間化合物Cu6Sn5層3の硬度が嵌合部分の
硬度に影響するようになり、当該嵌合部分の見かけの硬
度が高くなる。そして、嵌合部分の見かけの硬度が高く
なることによって、錫めっきの凝着が抑制され、挿入力
が低くなったものである。
【0044】また、発明者等は、錫めっき層2の厚さが
0.1μm以上あれば、耐食性および接触抵抗について
端子に要求される条件を満たすことを実験によって確認
している。
【0045】従って、必要な挿入力低減効果を得るため
には、雄端子10および雌端子20の嵌合部分の錫めっ
き層2を所定の厚さだけ残留させるように熱処理の温度
および時間を制御すればよい。以下、一例として、雌端
子20の嵌合部25の錫めっき層2の厚さを1.0μm
としたとき(雌端子20についてはめっき処理のままで
熱処理を行わない)に、雄端子10の熱処理条件を変化
させてタブ12に所定の厚さの錫めっき層2を残留さ
せ、必要な挿入力低減効果を得る手法について説明す
る。
【0046】図5は、雌端子20の嵌合部25の錫めっ
き層2の厚さを1.0μmとしたときの、雄端子10の
タブ12の残留錫めっき層2の厚さと端子挿入力との相
関を示す図である。なお、この図は表1の結果の一部を
示したものである。
【0047】図5より、端子挿入力を10%低減するた
めには雄端子10の錫めっき層2の厚さを0.40μ
m、また、20%低減するためには0.23μm、30
%低減するためには0.16μmそれぞれ残留させれば
よいことが分かる。
【0048】次に、図6は、熱処理時間と残留錫めっき
層2の厚さとの相関を示す図である。なお、この図は初
期の錫めっき層2の厚さを1.0μmとして予め行った
実験から求められた結果である。
【0049】図6によれば、雄端子10のタブ12の残
留錫めっき層2の厚さを0.40μmに(端子挿入力を
10%低減)するためには、温度150℃で2.7時
間、温度160℃では1.6時間、温度170℃では
0.8時間それぞれ熱処理を行えばよい。また、雄端子
10の残留錫めっき層2の厚さを0.23μmに(端子
挿入力を20%低減)するためには、温度160℃で
3.8時間、温度170℃で2時間熱処理を行えばよ
い。さらに、雄端子10の残留錫めっき層2の厚さを
0.16μmに(端子挿入力を30%低減)するために
は、温度170℃で3.5時間熱処理を行えばよい。
【0050】なお、上記熱処理パターンは一例であり、
雄端子10または雌端子20のうちの一方または両方に
ついて同様の熱処理を行い、所定の錫めっき層2の厚さ
を残留させるようにして、必要な挿入力低減効果を得れ
ばよい。
【0051】<B−3.圧着工程>以上のようにして赤
外線照射による熱処理が終了すると、雄端子10および
雌端子20の嵌合部分については適度に錫めっき層を残
留させることにより安定した接触抵抗を維持したまま端
子の挿入力を低下させることができる。一方、雄端子1
0および雌端子20の圧着部分(圧着部11、24)に
ついては、熱処理時に昇温させないようにしているた
め、錫めっき層と母材との間で合金化が促進されること
もない。
【0052】このようにしているのは、 圧着部分については嵌合させることがないため、挿入
力を低減させたいという要望もなく、錫めっき層と母材
との間で合金化を促進させる必要性に乏しいという消極
的理由、 圧着部分は電線との圧着を行う部分であり、圧着に際
しては錫めっき層を厚くする必要があるという積極的理
由、に基づくものである。
【0053】これらのうち理由については上記記載の
通りであり、以下理由について説明する。図7は、電
線Lとワイヤバレル11a(図1)との圧着の様子を説
明する図である。
【0054】図示のように、ワイヤバレル11aの内側
には電線Lが置かれ、当該ワイヤバレル11aは下金型
45にはめ込まれている。そして、上金型40が降下す
ることによってワイヤバレル11aが内側に曲げられ
て、電線Lとの圧着が行われる。
【0055】圧着に際し、ワイヤバレル11aは変形を
受けつつその外面が上金型40に対して摺動することに
なるが、ワイヤバレル11aの錫めっき層が厚いと軟ら
かい錫がワイヤバレル11aの外面と上金型40との間
に薄く延び潤滑剤としての役割を果たすこととなる。し
たがって、硬い金属間化合物によって上金型40が磨耗
されることはなくなり、その寿命を縮める懸念はない。
【0056】また、ワイヤバレル11aの曲げ加工にと
もなって、ワイヤバレル11aの外面の錫めっき層に割
れが生じることもあるが、軟らかい錫めっき層が厚けれ
ばき裂が伝播して、母材表面に達することはない。その
結果、母材の露出にともなう耐食性の低下や母材自身に
割れが伝播するおそれもない。
【0057】さらに、ワイヤバレル11aの内面の錫め
っき層が厚ければ、電線Lと錫めっき層とが密に凝着す
るため、圧着部分における接触抵抗は十分に低いものと
なる。
【0058】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、この発明は上記の例に限定されるものではなく、
例えば、初期の錫めっき層2の厚さを0.5μm以上
2.0μm以下としてもよい。勿論、初期の錫めっき層
2の厚さが1.0μm以外の場合は、図5の相関関係が
異なるため、それに応じた熱処理時間とする必要があ
る。
【0059】また、雄端子10および雌端子20の形態
も図1および図2に記載した形態に限定されるものでは
なく、雄端子および雌端子の嵌合によって電気的接触を
得る嵌合型接続端子であればよい。
【0060】また、上記実施形態では銅または銅合金の
母材上に直接錫めっき層を形成していたが、母材の影響
を防止するとともに残留錫めっき層の厚さの制御性を向
上させるため、母材上にニッケルまたは銀の下地めっき
を行った後、その上に錫めっき層を形成するようにして
もよい。これらの場合は、錫銅金属間化合物の代わりに
錫ニッケル金属間化合物または錫銀金属間化合物が生成
して錫銅金属間化合物と同様の役割を果たすこととな
る。
【0061】また、熱処理方法は、赤外線ランプ31に
よる赤外線照射に限られるものではなく、被熱処理物の
一部のみを安定して昇温できるような熱処理方法であれ
ばよい。
【0062】さらに、上記実施形態では、錫めっき後の
条材を端子形状に加工した後に熱処理を行っていたが、
熱処理後に雄端子10および雌端子20の形状に加工す
るようにしてもよい。もっとも、熱処理後は母材と錫め
っき層との界面に金属間化合物Cu6Sn5が生成されて
硬化するため、熱処理前に端子形状に加工する方が好ま
しい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、雄部品または雌部品のうち少なくとも一方の銅
母材の表面に錫めっき層を形成するめっき工程と、錫め
っき層が形成された銅母材のうち嵌合における嵌合部分
のみに熱処理を行って、嵌合部分における錫めっき層の
うち銅母材との界面近傍のみをCu6Sn5に合金化する
熱処理工程と、を備えているため、当該嵌合部分におい
ては厚さの薄い錫めっき層を残留させることができ、安
定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入力を低下する
ことができる。
【0064】また、請求項2の発明によれば、熱処理を
赤外線ランプによる赤外線照射としているため、雄部品
または雌部品のうちの嵌合部分のみを熱処理するのに適
している。
【0065】また、請求項3の発明によれば、錫めっき
層が形成された銅母材のうち電線と圧着を行う圧着部分
のみを冷却する冷却工程を備えているため、当該圧着部
分には硬い金属間化合物が生成せず軟らかい錫めっき層
が厚く残留することとなり、その結果、圧着用の金型を
磨耗させることがなくなるとともに圧着部分に割れが生
じることもない。
【0066】また、請求項4の発明によれば、熱処理を
150℃以上170℃以下で行っているため、Cu6
5を安定して成長させることができる。
【0067】また、請求項5の発明によれば、雄部品ま
たは雌部品のうちの一方の嵌合部分に0.1μm〜0.
3μmの厚さの錫めっき層を残留させ、他方の嵌合部分
に0.1μm以上の厚さの錫めっき層を残留させている
ため、従来と比較して挿入力を少なくとも10%以上低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法によって製造された嵌合
型接続端子の側面図である。
【図2】図1の嵌合型接続端子の接続部分の一部切欠平
面図である。
【図3】本発明に係る嵌合型接続端子に熱処理を施すた
めの熱処理炉を示す概略構成図である。
【図4】熱処理時の嵌合部分の錫めっき層の変化を説明
するための図である。
【図5】雄端子の嵌合部分の残留錫めっき層厚さと端子
挿入力との相関を示す図である。
【図6】熱処理時間と残留錫めっき層の厚さとの相関を
示す図である。
【図7】電線とワイヤバレルとの圧着の様子を説明する
図である。
【符号の説明】
10 雄端子 11、24 圧着部 11a、24a ワイヤバレル 12 タブ 20 雌端子 21 舌片 22 エンボス 23 ビード 25 嵌合部 31 赤外線ランプ 32 遮蔽板 33 冷却板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 淳彦 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 坂 喜文 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 中村 篤 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄部品および雌部品の嵌合によって電気
    的接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であって、 (a) 前記雄部品または前記雌部品のうち少なくとも一方
    の銅母材の表面に錫めっき層を形成するめっき工程と、 (b) 前記錫めっき層が形成された前記銅母材のうち前記
    嵌合における嵌合部分のみに熱処理を行って、前記嵌合
    部分における前記錫めっき層のうち前記銅母材との界面
    近傍のみをCu6Sn5に合金化する熱処理工程と、を備
    えることを特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の嵌合型接続端子の製造方
    法において、 前記熱処理は、赤外線ランプによる赤外線照射であるこ
    とを特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の嵌合型接
    続端子の製造方法において、 (c) 前記錫めっき層が形成された前記銅母材のうち電線
    と圧着を行う圧着部分のみを冷却する冷却工程、をさら
    に備え、前記冷却工程と前記熱処理工程とは並行して行
    われることを特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の嵌合型接続端子の製造方法において、 前記熱処理は150℃以上170℃以下で行うことを特
    徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の嵌合型接続端子の製造方法において、 前記熱処理工程は、前記雄部品または前記雌部品のうち
    の一方の前記嵌合部分のみに0.1μm〜0.3μmの
    厚さの錫めっき層を残留させ、他方の前記嵌合部分のみ
    に0.1μm以上の厚さの錫めっき層を残留させる工程
    を含むことを特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
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