JPH11110118A - ペン型入力装置 - Google Patents

ペン型入力装置

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JPH11110118A
JPH11110118A JP28763897A JP28763897A JPH11110118A JP H11110118 A JPH11110118 A JP H11110118A JP 28763897 A JP28763897 A JP 28763897A JP 28763897 A JP28763897 A JP 28763897A JP H11110118 A JPH11110118 A JP H11110118A
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Yasuhiro Sato
康弘 佐藤
Hirotoshi Eguchi
裕俊 江口
Mitsuru Shingyouchi
充 新行内
Takao Inoue
隆夫 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小型の入力装置が求められている。そこで、ペ
ン型入力装置で正確な筆記入力を行なうようにする。 【解決手段】初期傾斜角演算部56と筆記中傾斜角演算
部58とで筆記中の傾斜角を算出する。座標変換演算部
61は筆記中の傾斜角を基に加速度の座標系をペン軸座
標系から重力座標系(Xg,Yg,Zg)に変換する。速
度演算部63は座標変換した加速度を基に速度を算出す
る。速度ゼロ検出部54は流速を基にXs軸方向又はYs
軸方向に停止状態であるか否かを検出する。速度補正部
64は停止状態であることを検出した方向に対する重力
座標系の速度をゼロに補正する。移動量演算部65は補
正した速度を基に移動方向及び移動距離を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は図形及び文字を入
力するペン型入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ装置等の入力装置としては
キーボード、マウス、デジタイザ、ライトペン及びタブ
レット等が用いられている。コンピュータ装置の小型化
に伴い、携帯端末装置のニーズが高まり利用者も年々増
加している。そこで、小型の入力装置が求められるよう
になった。
【0003】キーボードの小型化にはヒューマンインタ
ーフェイスの点で限界があり、携帯端末装置の入力装置
としては実用性が低い。また、マウスはポインティング
デバイスとしては小型化が可能であるが、図形及び文字
等の入力には適さない。
【0004】このため、携帯端末装置の入力装置として
はタブレットとペンを用いたペン型の入力装置が多く採
用されている。このタブレットを用いたペン型の入力装
置をさらに小型化しようとした場合にはタブレットの大
きさが問題となる。そこで、例えば特開平9-16320号公
報に掲載されたペン型入力装置、特開平8-76914号公報
に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16321号公報に
掲載されたペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲
載されたペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲
載されたペン型入力装置のようなタブレットレスの入力
装置が開発された。
【0005】特開平9-16320号公報に掲載されたペン型
入力装置では、ペン先近傍のペン内部にペンの芯部が動
く際の支点を設け、支点の上方にペン芯の動きを静電容
量の変化として検出し、検出した静電容量の変化を基に
ペン先部の移動方向及び移動量を検出している。
【0006】また、特開平8-76914号公報に掲載された
ペン型入力装置では、静電容量型力覚センサをペン芯の
端部に設け、静電容量型力覚センサからの信号を基に文
字及び図形の筆記入力を行なっている。
【0007】また、特開平9-16321号公報に掲載された
ペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペ
ン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペ
ン型入力装置では、ペン芯に静電容量型力覚センサを設
け、ペン先部が筆記面上を移動する場合はこの静電容量
型力覚センサからの力信号を基にペン先部の軌跡を検出
し、ペン先部が筆記面から離れて移動する際にはこの静
電容量型力覚センサを加速度センサとして用いて、ペン
先部の空中での軌跡を検出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9-16320号公報に掲載されたペン型入力装置では、支点
を中心としてペン芯がスムーズに動くような構成にする
ことは困難であり、検出精度を高くすることが困難であ
る。
【0009】また、特開平8-76914号公報に掲載された
ペン型入力装置では、ペン芯にセンサを固定しているの
で、ペン先部又はペン芯だけを取り変えることが困難で
あり、シャープペンシルのように芯が消耗する場合には
不便である。
【0010】また、特開平9-16321号公報に掲載された
ペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペ
ン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペ
ン型入力装置では、特開平8-76914号公報に掲載された
ペン型入力装置と同様にペン芯にセンサを固定している
ので、ペン先部又はペン芯だけを取り変えることが困難
であり、シャープペンシルのように芯が消耗する場合に
は不便である。
【0011】さらに、特開平9-16321号公報に掲載され
たペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載された
ペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載された
ペン型入力装置では、空中を移動する場合に加速度のみ
を基にして移動量を検出しているが、ペンがダイナミッ
クな傾斜を伴う場合には検出結果に誤差が生じる。
【0012】この発明はかかる短所を解消するためにな
されたものであり、筆記入力を簡単な構成で正確に検出
する小型なペン型入力装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係るペン型入
力装置は、ペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周
に切欠きを設けて、切欠きの上部の面と下部の面がペン
先部にペン軸に直行する方向の力が加わっていない状態
で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先
部にペン軸に直行する方向の力が加わると切欠きの上部
の面と下部の面とが平行でなくなるように構成し、切欠
きを挟んだ上部の面と下部の面との成す角度からペン先
部に加わった力の方向及び大きさを検出できるようにし
た。
【0014】さらに、ペン動作検出部と平行度検出部と
補正部を有し、ペン動作検出部は重力加速度方向をZg
軸とした重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるXg軸方
向及びYg軸方向の移動量を検出し、平行度検出部は切
欠きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先部に
加わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、補正部
は平行度検出部が検出したXg軸方向及びYg軸方向の力
がXg軸方向、Yg軸方向のいずれか一方向又は両方向に
対して停止状態であることを示していると、その停止状
態であることをしてしている検出した方向のペン動作検
出部が検出した移動量がゼロになるように補正して、累
積誤差の発生を防止する。
【0015】さらに、上記平行度検出部は、ペン筐体の
切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の感圧セ
ンサを備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角
度に応じて感圧センサに加わる力を検出してペン先部に
加わった力を検出する。
【0016】また、上記平行度検出部は、ペン筐体の切
欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の力覚セン
サ備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に
応じて力覚センサに加わる力を検出してペン先部に加わ
った力を検出する。
【0017】また、上記平行度検出部は、ペン筐体部の
切欠きの上部の面又は下部の面に少なくとも1個の反射
型の光センサを備え、反射型の光センサが出力した反射
光の強度を基にペン筐体の上部の面と下部の面との距離
を検出し、検出した距離を基にペン筐体の上部の面と下
部の面とがなす傾きを求め、求めた傾きからペン先部に
加わった力を検出する。
【0018】また、上記平行度検出部は、ペン筐体の上
部と下部との間にペン筐体の切欠きの上部の面と下部の
面との傾きに応じてオンオフする少なくとも1個のスイ
ッチを備え、このスイッチのオンオフによりペン筐体の
上部と下部とがなす角度を検出し、検出した角度からペ
ン先部に加わった力を検出する。
【0019】さらに、上記ペン筐体の切欠きの中心の支
柱部をペン芯材が入るように空洞にして、ペン芯材の交
換等を容易にできるようにした。
【0020】さらに、上記平行度検出部をペン軸を対象
軸とした少なくとも2か所に備え、両平行度検出部が出
力した信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン
先部に加わった力を検出して、差動増幅を用いた正確な
検出を行なうようにする。
【0021】さらに、上記ペン動作検出部は検出した信
号から低周波数成分を抽出し、抽出した低周波数成分を
基にペン先部の移動方向を検出する。
【0022】さらに、上記ペン動作検出部はペン軸方向
をZs軸としたペン座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸方向
の加速度及びペン座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸周り
の回転角速度を検出し、検出したペン座標系(Xs,Y
s,Zs)の各軸周りの回転角速度を基にペンの傾斜角度
を求め、求めたペンの傾斜角度を基に(Xs,Ys,Z
s)の各軸方向の加速度を重力座標系(Xg,Yg,Zg)
の各軸方向の加速度に変換し、重力座標系(Xg,Yg,
Zg)の各軸方向の加速度を基にペン先部のXg軸方向及
びYg軸方向の移動量を求めて、ペンの傾斜の変化の影
響のない正確な移動方向及び移動量の検出を行なう。
【0023】
【発明の実施の形態】この発明のペン型入力装置は、コ
ンピュータ装置等に文字、記号、図形及び姿勢等を入力
するものある。ペン型入力装置は、例えば静止状態にお
いて加速度センサを用いて検出したペン軸座標系(X
s,Ys,Zs)における加速度を基に装置の初期傾斜角
を算出し、算出した初期傾斜角とジャイロを用いて検出
した回転角速度を基に筆記中の傾斜角を算出し、算出し
た筆記中の傾斜角を基に各加速度センサを用いて検出し
たペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を重
力加速度方向に伸びる軸をZg軸にした重力座標系(X
g,Yg,Zg)における加速度に変換し、変換した加速
度を基にペン先部の移動方向及び移動距離を算出して、
正確に筆跡の検出を行なう。
【0024】ここで、上記処理には積分処理が含まれ、
誤差を生じる場合がある。また、ペン軸の傾斜角の検出
誤差が生じ、重力加速度の成分を正確に除去できない場
合もある。そこでこれらの影響をなくし、正確な移動量
及び移動距離の算出を行なうものである。
【0025】ペン型入力装置は、例えば3個の加速度セ
ンサと3個のジャイロと平行度検出部とA/D変換部と
演算部を有する。ここで、ペン型入力装置の筐体はペン
先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きが設け
られていて、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部に
ペン軸に直行する方向の力が加わっていない状態で切欠
きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペ
ン軸に直行する方向の力が加わると切欠きの上部の面と
下部の面とが平行でなくなるように構成されている。ま
た、ペン筐体の切欠きの中心の支柱部はペン芯材が入る
ように空洞になっていて、ペン芯材の交換等を容易に行
なうことができるようになっている。
【0026】3個の加速度センサはそれぞれペン軸座標
系(Xs,Ys,Zs)のXs軸方向,Ys軸方向及びZs軸
方向の加速度を示す信号を出力する。3個のジャイロは
それぞれペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)のXs軸周り,
Ys軸周り及びZs軸周りの回転角速度を示す信号を出力
する。
【0027】平行度検出部は、例えばペン筐体の切欠き
の上部と下部に挟まれた2個の感圧センサを備え、ペン
筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧セ
ンサに加わる力を示す信号を出力する。
【0028】A/D変換部は、加速度センサとジャイロ
と感圧センサが出力した信号をデジタル変換する。演算
部は、ペン先部の動作を検出するペン動作検出部として
例えば静止判別部と初期傾斜演算部と傾斜角変化演算部
と筆記中傾斜角演算部と角加速度演算部と加速度補正部
と座標変換演算部と重力加速度除去部と速度演算部と移
動量演算部を備え、補正部として例えばXs軸速度ゼロ
検出部とXs軸速度ゼロ検出部と速度補正部を備える。
静止判別部は、例えば各加速度センサ及び各ジャイロか
らの信号を基に静止状態か否かを判別する。初期傾斜演
算部は静止状態において加速度センサを用いて検出した
ペン座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を基に装
置の初期傾斜角を求める。筆記中傾斜角演算部は初期傾
斜角演算部が算出した初期傾斜角とジャイロを用いて検
出した回転角速度を基に筆記中の傾斜角を算出する。座
標変換演算部は筆記中傾斜角演算部が算出した筆記中の
傾斜角を基に各加速度センサを用いて検出したペン座標
系(Xs,Ys,Zs)における加速度を重力座標系(X
g,Yg,Zg)における加速度に変換する。重力加速度
除去部は座標変換演算部が変換して得た重力座標系(X
g,Yg,Zg)における加速度から重力加速度成分を除
去する。
【0029】速度演算部は重力加速度除去部が重力加速
度成分を除去して得た加速度を積分して、重力座標系
(Xg,Yg,Zg)における速度を算出する。Xs軸速度
ゼロ検出部はペン筐体の上部の面と下部の面とがなすX
s軸方向の角度を基にペン先部がXs軸方向に対して停止
状態であるか否かを検出する。同様に、Ys軸速度ゼロ
検出部はペン筐体の上部の面と下部の面とがなすYs軸
方向の角度を基にペン先部がYs軸方向に対して停止状
態であるか否かを検出する。速度補正部はXs軸速度ゼ
ロ検出部又はYs軸速度ゼロ検出部がXs軸方向又はYs
軸方向に対して停止状態であることを検出すると、その
検出した際における速度演算部が算出した速度と筆記中
傾斜角演算部が算出した筆記中の傾斜角を基に停止状態
を検出した方向に対する速度がゼロになるように速度演
算部が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における
速度を補正する。ここで、速度補正部が停止状態を検出
した方向に対する速度がゼロになるように速度演算部が
算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を
補正する補正の方法としては、例えば静止状態を検出し
た方向の速度をゼロにリセットし、ゼロにリセットした
ことによって生じた誤差分を重力座標系(Xg,Yg,Z
g)における速度から引いたり、静止状態を検出した方
向の速度がゼロになるように前回静止状態を検出してか
ら今回静止状態を検出するまでの重力座標系における速
度を補正したりする。また、速度補正部は速度を補正す
る代わりに静止状態を検出した方向の速度がゼロになる
ように初期傾斜角を補正しても良い。
【0030】移動量演算部は重力座標系(Xg,Yg,Z
g)における各軸方向の速度を基に装置の移動方向及び
移動距離を算出して、装置の筆跡を正確に検出する。
【0031】
【実施例】図1はこの発明の一実施例のペン型入力装置
1の構成図である。図2はペン型入力装置1の断面図で
あり、図3は演算部の構成図である。以下の説明では、
図に示すようにペン芯11の先端部を原点としペン軸を
Zs軸とした座標系をペン座標系(Xs,Ys,Zs)とい
い、ペン軸と直交する2軸をXs軸及びYs軸として説明
する。また、重力加速度方向に伸びる軸をZg軸とする
座標系を重力座標系(Xg,Yg,Zg)といい、Zg軸と
直交する2軸をXg軸及びYg軸という。さらに、筆記面
とXg軸及びYg軸が成す面とは一致しているものとす
る。
【0032】図1、図2及び図3に示すように、ペン型
入力装置1は加速度センサ2a,2b,2c、ジャイロ
3a,3b,3c、平行度検出部4、A/D変換部5、
演算部6、記憶部7及び電源部8を有する。加速度セン
サ2a,2b,2cは、それぞれXs軸に平行なXsa軸
方向,Ys軸に平行なYsa軸方向及びZs軸方向に向けて
設けられ、Xsa軸方向,Ysa軸方向及びZsa軸方向の加
速度(Axs,Ays,Azs)を示す信号を出力する。加速
度センサ2a,2b,2cは、小型且つ高感度で加速度
検出に対する直線性が良好なものであれば良く、ピエゾ
抵抗方式のもの、圧電方式のもの又は静電容量方式のも
ののいずれでも良い。ジャイロ3a,3b,3cはそれ
ぞれXs軸及びXsa軸に平行なXsb軸周り,Ys軸及びY
sa軸に平行なYsb軸周り及びZs軸周りの回転角速度
(ωxs,ωys,ωzs)を示す信号を出力する。ジャイロ
3a,3b,3cはスケールファクタ(回転運動検出の
正確さ)とドリフトレート(出力オフセットの安定度)
が良好で小型なものであれば良く、回転ジャイロ、振動
ジャイロ又は光学式ジャイロ等のいずれでも良い。
【0033】平行度検出部4は感圧センサ41a,41
b,41c,41dと差動増幅部42a、42b備え
る。感圧センサ41a,41b,41c,41dは、例
えばペン筐体の切欠きの上部1aと下部1bとに挟ま
れ、ペン筐体の上部1aの面と下部1bの面とがなす角
度に応じて加わる力を示す信号を出力する。ここで、感
圧センサ41aと感圧センサ41cとはペン軸を対象軸
とした対象位置にペン筐体の上部1aと下部1bに接着
されている。同様に感圧センサ41bと感圧センサ41
dとはペン軸を対象軸とした対象位置にペン筐体の上部
1aと下部1bに接着されている。例えばXs軸方向に
力が加わった場合は感圧センサ41aは正の圧力を受
け、感圧センサ41cは負の圧力を受ける。感圧センサ
41a,41b,41c,41dとしては感圧導電性ゴ
ム又はPVDF等がある。差動増幅部42aはホイートスト
ンブリッジ回路からなり、感圧センサ41a,41cか
らの信号の差を取り増幅する。同様に、差動増幅部42
bは感圧センサ41b,41dからの信号の差を取り増
幅する。
【0034】A/D変換部5はAD変換器51a〜51
hを備え、平行度検出部4と加速度センサ2a,2b,
2cとジャイロ3a,3b,3cからの信号を増幅す
る。
【0035】演算部6は、ペン先部10の動作を検出す
るペン動作検出部として図3に示すようにローパスフィ
ルタ(以後「LPF」という。)61a〜61fと静止
判別部63と初期傾斜角演算部64と傾斜角変化演算部
65と筆記中傾斜角度演算部66と角加速度演算部67
と加速度補正部68と座標変換演算部69と重力加速度
除去部70と速度演算部71と移動量演算部73を備
え、ペン動作検出部が検出した移動量を補正する補正部
としてXs軸速度ゼロ検出部62aとYs軸速度ゼロ検出
部62bと速度補正部72を備える。
【0036】LPF61a〜61fは、カットオフ周波
数10Hz程度でペン先部8と筆記面との摩擦力により生じ
る加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3
b,3cからの信号の高周波成分を遮断する。これは、
ペン先部10と筆記面との摩擦により加速度センサ2
a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信
号に高周波成分が発生するからである。
【0037】Xs軸速度ゼロ検出部62a及びYs軸速度
ゼロ検出部62bはそれぞれ平行度検出部4からのペン
筐体の上部1aと下部1bとの傾斜に応じて感圧センサ
に加わった力を示す信号を基にペン先部10がXs軸方
向及びYs軸方向に対して停止状態か否かを検出する。
【0038】静止判別部63は加速度センサ2a,2
b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信号を基
に静止中か否かを判別する。初期傾斜角演算部64は、
筆記開始の際に各加速度センサ2a,2b,2cを用い
て検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度Ax
so,Ayso,Azsoを基に初期傾斜角(φo,θo,Ψo)
を算出する。傾斜角変化演算部65はジャイロ3a,3
b,3cが検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を
基に傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/d
t)を算出する。筆記中傾斜角演算部66は初期傾斜角
演算部64が算出した初期傾斜角(φo,θo,Ψo)と
傾斜角変化演算部65が算出した傾斜角の変化(dφ/
dt,dθ/dt,dΨ/dt)を基に筆記中の傾斜角
(φ,θ,Ψ)を算出する。
【0039】角加速度演算部67は3個のジャイロ3
a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ω
ys,ωzs)から回転角加速度(dωxs/dt,dωys/
dt,dωzs/dt)を算出する。加速度補正部68は
3個のジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転
角速度(ωxs,ωys,ωzs)、角加速度演算部67が算
出した回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,d
ωzs/dt)及び各加速度センサ2a,2b,2cの取
付位置を基に、3個の加速度センサ2a,2b,2cを
用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)のペン先部
10を中心とした傾斜運動による加速度成分を算出す
る。加速度補正部68は、算出した傾斜運動による加速
度成分を基に3個の加速度センサ2a,2b,2cを用
いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度
(Axs,Ays,Azs)を補正して、ペン先部10におけ
るペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度(Axos,A
yos,Azos)を求める。
【0040】座標変換演算部69は筆記中傾斜角演算部
66が算出した筆記中における傾斜角(φ,θ,Ψ)を
用いて、加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出し
たペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度(Ax
os,Ayos,Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)に
おける加速度(Axog,Ayog,Azog)変換する。重力
加速度除去部70は、重力座標系(Xg,Yg,Zg)に
おける加速度(Axog,Ayog,Azog)から重力加速度
gの成分を除去し、重力加速度gによる影響を除去す
る。
【0041】速度演算部71は、重力加速度除去部70
が重力加速度gの成分を除去した後の重力座標系(X
g,Yg,Zg)における各軸方向の加速度(Axog,Ayo
g,Azog)を積分して、重力座標系(Xg,Yg,Zg)
における各軸方向の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を算
出する。速度補正部72は、Xs軸速度ゼロ検出部62
a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs
軸方向に対して装置が停止状態であることを検出する
と、その検出した際における速度演算部71が算出した
速度と筆記中傾斜角演算部66が算出した筆記中の傾斜
角(φ,θ,Ψ)を基に停止状態を検出した方向に対す
る速度がゼロになるように速度演算部71が算出した重
力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を補正する。
移動量演算部73は重力座標系(Xg,Yg,Zg)にお
ける各軸方向の速度を基に装置の移動方向及び移動距離
を算出する。
【0042】上記構成のペン型入力装置1におけるペン
先部10の移動方向及び移動量算出について説明する。
【0043】最初に初期傾斜角演算部64が、加速度セ
ンサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axs
o,Ayso,Azso)を基に初期傾斜角(φo,θo,Ψo)
を算出する場合について説明する。
【0044】静止状態において各加速度センサ2a,2
b,2cを用いて検出した加速度(Axso,Ayso,Azs
o)と初期傾斜角(φo,θo,Ψo)との間には、次ぎの
関係が成り立つ。
【0045】
【数1】
【0046】上記式から静止状態における初期傾斜角φ
o,θoの絶対値が求まる。ここで、静止状態か否かは、
静止判別部63が加速度センサ2a,2b,2c及びジ
ャイロ3a,3b,3cの出力信号の時間変化を監視す
ることにより判別する。また、初期傾斜角Ψoは初期値
をゼロにリセットする。
【0047】ここで、2つの未知数φo,θoに対して3
本の方程式が立てられるので、重力加速度gについても
未知数として取り扱うことができ、重力加速度gの値を
定義しなくともφo,θoの絶対値を算出することができ
る。また、重力加速度gの値を演算し、演算した重力加
速度gの値をモニタし、この値が大きく変動した場合に
は警告等を発するようにしても良い。
【0048】次ぎに、傾斜角変化演算部65が筆記中の
傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)
を算出する場合について説明する。
【0049】ジャイロ3a,3b,3cで検出した回転
角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に傾斜角の変化(dφ
/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を算出する微分方程
式は、次式で表すことができる。
【0050】
【数2】
【0051】次ぎに、筆記中傾斜角演算部66は、上記
のようにして初期傾斜角演算部64が算出した初期傾斜
角(φo,θo,Ψo)と傾斜角変化演算部65が算出し
た筆記中の傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,d
Ψ/dt)を基に、次式を用いて筆記中の傾斜角(φ,
θ,Ψ)を算出する。
【0052】
【数3】
【0053】次ぎに、上記のようにして得た筆記中の傾
斜角(φ,θ,Ψ)を基に各加速度センサ2a,2b,
2cの出力を用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,
Zs)の加速度(Axs,Ays,Azs)を重力座標系(X
g,Yg,Zg)の加速度(Axg,Ayg,Azg)に変換す
る場合について説明する。
【0054】筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基にペン
軸座標系(Xs,Ys,Zs)から重力座標系(Xg,Y
g,Zg)に変換する際に用いる座標変換行列invE
(φ,θ,Ψ)は次式で表すことができる。ここで、in
vE(φ,θ,Ψ)は行列E(φ,θ,Ψ)の逆行列を
表すものとする。
【0055】
【数4】
【0056】ここで、前にvectorをつけたものはベクト
ルを表すものとし、Xg軸方向,Yg軸方向,Zg軸方向
の単位ベクトルをそれぞれvectorig,vectorjg,vect
orkgで表し、Xs軸方向,Ys軸方向,Zs軸方向の単位
ベクトルをそれぞれvectoris,vectorjs,vectorks
で表す。また、vector(is)g,vector(js)g,vector
(ks)gはペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の単位ベクト
ルを重力座標系(Xg,Yg,Zg)で表したものとす
る。
【0057】ペン先座標系(Xs,Ys,Zs)でのXs軸
方向,Ys軸方向及びZs軸方向の各加速度センサ2a,
2b,2cの取付座標をそれぞれ(Xas,Yas,Za
s),(Xbs,Ybs,Zbs),(Xcs,Ycs,Zcs)と
し、重力加速度gを考慮して上記座標変換行列invE
(φ,θ,Ψ)を用いると、各加速度センサ2a,2
b,2cから得られる加速度(Axs,Ays,Azs)から
重力座標系(Xg,Yg,Zg)のペン先部8の加速度(A
xog,Ayog,Azog)を求める式は、次式のようにな
る。
【0058】
【数5】
【0059】上記式の括弧内の第2項及び第3項はジャ
イロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ω
xs,ωys,ωzs)と回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)か
ら得た回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,d
ωzs/dt)の関数であるので、加速度補正部59は上
記式の括弧内の第2項及び第3項を算出して、加速度セ
ンサ2a,2b,2cからの信号を基に検出した加速度
(Axs,Ays,Azs)を補正して、括弧内で表すペン先
部8におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速
度を得る。重力加速度除去部62は、さらに、上記式か
ら重力加速度成分を除去する。
【0060】次ぎに、速度補正部64の動作について説
明する。
【0061】ペン先部8の重力座標系(Xg,Yg,Z
g)における速度ベクトルvectorVogを(Vxog,Vyo
g,Vzog)、速度ベクトルvectorVogのXs軸方向の速
度ベクトルをvectorαs、速度ベクトルvectorVogをXs
軸とYs軸とが成す平面に投影した速度ベクトルをvecto
rγsで表す。Xs軸方向について考えると、図4に示す
ようにXs軸速度ゼロ検出部62aがXs軸方向に対して
ペン先部8が停止状態にあることを検出したときの誤差
ベクトルはvectorαsとなるので、このベクトルvector
αsを重力座標系(Xg,Yg,Zg)で表現した誤差ベク
トルvector(αs)gと速度ベクトルvectorVogからvector
(γs)gが算出できる。ここで、ベクトルvector(αs)g及
びベクトルvector(γs)gはペン軸座標系(Xs,Ys,Z
s)でのベクトルvectorαs及びベクトルvectorγsを重
力座標系(Xg,Yg,Zg)で表したものを示す。した
がって、誤差ベクトルvector(αs)gを含まないようにし
て算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度
ベクトルvectorVogを表す。
【0062】速度補正部72はXs軸速度ゼロ検出部6
2a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はY
s軸方向に対して停止状態であることを検出すると、そ
の検出した際における速度演算部71が算出した速度ベ
クトルvectorVogと筆記中傾斜角演算部が算出した筆記
中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基に、上記式で示す演算を
行なって、停止状態を検出した方向に対する速度がゼロ
になるように速度演算部71が算出した重力座標系(X
g,Yg,Zg)における速度vectorVogを補正する。
【0063】移動量演算部73は速度補正部72が必要
に応じて補正した後の重力座標系(Xg,Yg,Zg)で
のペン先部10の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を積分
して、ペン先部8の軌跡(Xog,Yog,Zog)を求め
る。
【0064】上記構成のペン型入力装置1の動作を、図
5のフローチャートを参照して説明する。
【0065】加速度センサ2a,2b,2c及びジャイ
ロ3a,3b,3cはそれぞれXsa軸方向,Ysa軸方
向,Zs軸方向の加速度Axs,Ays,Aza及びXsb軸周
り,Ysb軸周り,Zs軸周りの回転角速度(ωxs,ωy
s,ωzs)を示す信号を出力する。また、感圧センサ4
1a〜41dはペン筐体の上部1aと下部1bとにより
加わる圧力を示す信号を出力し、差動増幅部42a,4
2bはその信号を差動増幅する。感圧センサ41a〜4
1dは既に示したように例えばXs軸方向に力が加わっ
た場合は感圧センサ41aは正の圧力を受け、感圧セン
サ41cは負の圧力を受け、差動増幅部42aがこの信
号を差動増幅するので、圧力の検出制度を高めることが
できる。
【0066】AD変換器51c〜51hは、各加速度セ
ンサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cを
用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角
速度(ωxs,ωys,ωzs)をデジタル変換する。LPF
52a〜51fは各加速度センサ2a,2b,2c及び
ジャイロ3a,3b,3cからの信号をデジタル変換し
て得た加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角速度(ω
xs,ωys,ωzs)から低周波数成分を抽出する。
【0067】予め定めた一定周期のサンプリングタイミ
ングになると、静止判別部63は、AD変換器51c〜
51hからデジタル変換後の加速度(Axs,Ays,Az
s)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を読み出し
(ステップS1)、例えば読み出した加速度(Axs,A
ys,Azs)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)の時間
変化を観察し変化が無くなったときを静止状態と判別
し、変化が発生しているときを筆記中と判別する。
【0068】静止判別部63が静止状態と判別すると
(ステップS2)、初期傾斜角演算部64は、既に説明
したように加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出
した加速度(Axso,Ayso,Azso)を基にして初期傾
斜角(φo,θo,Ψo)を求める(ステップS3)。
【0069】その後、静止判別部63が静止状態でない
と判別すると(ステップS2)加速度センサ2a,2
b,2c及びジャイロ3a,3b,3cから加速度信号
及び回転角速度信号を読み出し(ステップS4)、傾斜
角変化演算部65は、ジャイロ3a,3b,3cを用い
て検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に傾斜
角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を求
める(ステップS5)。筆記中傾斜角演算部66は、既
に説明したように初期傾斜角(φo,θo,Ψo)と傾斜
角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を基
にφ=φo+Σ(dφ/dt)、θ=θo+Σ(dθ/
dt)、Ψ=Ψo+Σ(dΨ/dt)を計算して、筆記
中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を算出する(ステップS
6)。
【0070】角加速度演算部67はジャイロ3a,3
b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ω
zs)を基に回転角加速度(dωxs/dt,dωys/d
t,dωzs/dt)を算出する(ステップS7)。加速
度補正部68は回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)及び回
転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/d
t)を基に、既に説明したように加速度センサ2a,2
b,2cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)
を補正して、ペン先部10におけるペン軸座標系(X
s,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を算
出する(ステップS8)。このように加速度センサ2
a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,
Azs)を基にペン先部8におけるペン軸座標系(Xs,
Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を算出
するので、加速度センサ2a,2b,2cの取付位置が
ペン先部8から離れていることによるペン軸9の傾斜運
動の影響をなくすことができる。
【0071】座標変換演算部69は、筆記中傾斜角演算
部66が算出した筆記中のペン軸の傾斜角(φ,θ,
Ψ)を用いて、加速度補正部68が算出したペン先部1
0におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度
(Axos,Ayos,Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Z
g)におけるペン先部10の加速度(Axog,Ayog,Az
og)に変換する(ステップS9)。このように、ペン軸
座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,
Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度
(Axog,Ayog,Azog)に変換するので、ペン軸の傾
斜による影響を除去することができる。重力加速度除去
部70は、重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるペン
先部10の加速度(Axog,Ayog,Azog)から重力加
速度gの成分を除去し、重力加速度gによる影響を除去
する(ステップS10)。速度演算部71は重力加速度
除去部70が重力加速度を除去した後の重力座標系(X
g,Yg,Zg)におけるペン先部10の加速度(Axog,
Ayog,Azog)を積分してペン先部10の速度(Vxo
g,Vyog,Vzog)を算出する(ステップS11)。
【0072】速度補正部72は、Xs軸速度検出部62
a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs
軸方向に対してペン先部10が停止状態であることを検
出すると(ステップS12)、既に説明したように停止
状態を検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の方向
に対する速度がゼロになるように速度演算部71が算出
した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度(Vxo
g,Vyog,Vzog)を補正する(ステップS13)。こ
れにより、累積誤差により筆記検出誤差が発生すること
を防止できる。上記速度補正部72による補正のさらに
具体的な方法については後に説明する。移動量演算部7
3は上記のようにして求めた重力座標系(Xg,Yg,Z
g)の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を基に移動方向及び
移動量(Xog,Yog,Zog)を算出して(ステップS1
4)、ペン先部10の軌跡を求め、入力処理が終了する
まで上記動作を繰り返す(ステップS15)。ここで、
ペン先部10の移動方向及び移動量を算出するので、ペ
ン形状などでペンの持ち方を拘束する必要が無くなる。
【0073】次ぎに、上記速度補正部72による補正の
さらに具体的な方法について説明する。
【0074】上記速度補正部72は、例えばXs軸速度
ゼロ検出部62a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs
軸方向又はYs軸方向に対して停止状態であることを検
出すると、速度演算部71が積分演算して求めたペン軸
座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸方向の速度のうち停止
状態であることを検出した方向の速度をゼロにリセット
して、停止状態における速度をゼロにする。Xs軸方向
について考えると、Xs軸速度ゼロ検出部62aがXs軸
方向に対して停止状態であることを検出した際における
速度ベクトルvectorVogをXs軸とYs軸とが成す平面に
投影したベクトルvectorγsを次式を用いて求める。
【0075】
【数6】
【0076】ここで、vector(is)gは、筆記中傾斜角演
算部66が算出した傾斜角(φ,θ,Ψ)を用いて、数
4に示した式を計算することにより求める。例えば図6
に示すように理想的な速度変化Aに対して補正を行なわ
ない場合は積分による累積誤差によりドリフトが生じ、
速度変化Bの波形が右下がりになっている。これに対し
て上記式を用いて補正することにより、図7に示すよう
に理想的な速度変化Aと誤差の少ない速度変化Cを求め
ることができる。ここで、矢印で示した部分が補正を行
なった部分である。このように、停止状態であることを
検出した方向の速度をゼロにリセットするだけでドリフ
トが低減でき、理想的なペン先部10の速度波形を得る
ことができる。
【0077】また、平行度検出部4は、感圧センサ41
a〜41dの代わりに、図8に示すように力覚センサ4
3を用いても良い。力覚センサ43としては、例えば図
9に示すようにペン軸を中心軸として4か所に対象に空
洞44a〜44dを設け、4個の梁を有するダイアフラ
ム構造とする。この梁の表面に図に示すように、例えば
圧電素子Fx1〜FX4,Fy1〜Fy4,Mx1〜M
x4,My1〜My4を設ける。ペン先部10が力を受
けて梁がひずむことにより、圧電素子Fx1〜FX4,
Fy1〜Fy4,Mx1〜Mx4,My1〜My4の抵
抗値が変化し、それを基に梁の歪を検出し、検出した梁
の歪からペン先部10に加わった力を検出することがで
きる。例えば圧電素子Mx1〜Mx4によりXs軸周り
のモーメントMxを検出でき、圧電素子My1〜My4
によりYs軸周りのモーメントMyを検出でき、圧電素子
Fx1〜FX4,Fy1〜Fy4によりZs軸方向の力
Fzを検出できる。この力覚センサ43は、例えばSUS又
はAlで製作した梁上に小型の箔状の歪ゲージを貼付たて
製作しても良いし、Si等の半導体材料を用い、エッチン
グにより梁を形成した後にイオンインプラよりピエゾ抵
抗素子として拡散抵抗を製作するようにしても良い。
【0078】また、平行度検出部4は、感圧センサ41
a〜41dの代わりに、図10に示すように発光素子4
5a〜45dと受光素子46a〜46dで構成された4
個の反射型光センサを用いても良い。発光素子45a〜
45dとしては、例えば小型の半導体レーザダイオード
を用い、受光素子46a〜46dとしては、例えば小型
のフォトダイオードを用いる。図11に発光素子45
a,45cと受光素子46a,46cとで示すように、
発光素子45a,45cが発光し、ペン筐体の下部1b
を照射した光は、ペン筐体下部1bに反射されて、受光
素子46a,46bに入射する。受光素子46a,46
bはこの反射光の強度を検出する。この反射光の強度を
基にペン筐体の上部1aとペン筐体の下部1bとのそれ
ぞれの地点における距離を計測することができる。
【0079】また、平行度検出部4は、感圧センサ41
a〜41dの代わりに、図12に示すようにスイッチ4
7a〜47dを設けても良い。ペン筐体の上部1aと下
部1bとの間にペン筐体の切欠きの上部1aの面と下部
1bの面との傾きに応じてオンオフするスイッチ47a
〜47dを備えることにより、このスイッチ47a〜4
7dのオンオフによりペン筐体の上部1aと下部1bと
がなす角度を検出し、検出した角度からペン先部10に
加わった力を検出することができる。
【0080】なお、上記実施例では感圧センサ41a〜
41d等のセンサをペン軸を中心軸として4か所に対象
に設けたが、要求された検出精度によっては、1か所だ
けに設けるようにしても良い。
【0081】また、例えば図2に示すようにペン筐体の
切欠きの中心の支柱部9をペン芯11が入るように空洞
にしているので、市販のボールペンの芯又はシャープペ
ンの芯等を支柱部9の中心に通して用いることができ、
これらのペン芯材の交換も容易にできる。
【0082】また、上記実施例ではオイラー方式による
座標変換を採用したペン型入力装置1について説明した
が、ストラップダウン方式を採用したペン型入力装置で
あっても良い。ストラップダウン方式を採用したペン型
入力装置の演算部6は、図13に示すようにLPF61
a〜61f、Xs軸速度ゼロ検出部62a、Ys軸速度ゼ
ロ検出部62b、静止判別部63、初期傾斜角演算部6
4、筆記中傾斜角演算部66、座標変換演算部69、重
力加速度除去部70、速度演算部71、速度補正部72
及び移動量演算部73を備える。初期傾斜角演算部64
は、静止状態において加速度センサ2a,2b,2cを
用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)におけ
る加速度を基に装置の初期回転角度を求める。筆記中傾
斜角演算部66は初期傾斜角演算部64が算出した初期
回転角度とジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した
回転角速度を基に筆記中の回転角度を算出する。座標変
換演算部69は筆記中回転角度演算部66が算出した筆
記中の回転角度を基に各加速度センサ2a,2b,2c
を用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)にお
ける加速度を重力加速度方向に伸びる軸をZg軸にした
重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度に変換す
る。
【0083】また、上記実施例では演算部6をペン筐体
内に設けたが、演算部6を外部装置内に設け、通信ケー
ブル等を介してデータの送受信をするようにしても良
い。
【0084】
【発明の効果】この発明は以上説明したように、ペン先
部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きを設け
て、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部にペン軸に
直行する方向の力が加わっていない状態で切欠きの上部
の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペン軸に直
行する方向の力が加わると切欠きの上部の面と下部の面
とが平行でなくなるように構成したので、切欠きを挟ん
だ上部の面と下部の面との成す角度からペン先部に加わ
った力の方向及び大きさを検出できる。
【0085】さらに、重力座標系(Xg,Yg,Zg)に
おけるXg軸方向及びYg軸方向の移動量を検出し、切欠
きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先部に加
わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、検出した
Xg軸方向及びYg軸方向の力がXg軸方向、Yg軸方向の
いずれか一方向又は両方向に対して停止状態であること
を示していると、その停止状態であることをしてしてい
る検出した方向のペン動作検出部が検出した移動量がゼ
ロになるように補正するので、累積誤差の発生を防止す
ることができる。
【0086】さらに、ペン筐体の切欠きの上部と下部に
挟まれた少なくとも1個の感圧センサを備え、ペン筐体
の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧センサ
に加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出する
ので、簡単な構成でペン先部に加わった力を測定するこ
とができる。
【0087】また、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟
まれた少なくとも1個の力覚センサ備え、ペン筐体の上
部の面と下部の面とがなす角度に応じて力覚センサに加
わる力を検出してペン先部に加わった力を検出するの
で、ペン先部に加わった力を高精度に検出することがで
きる。
【0088】また、ペン筐体部の切欠きの上部の面又は
下部の面に少なくとも1個の反射型の光センサを備え、
反射型の光センサが出力した反射光の強度を基にペン筐
体の上部の面と下部の面との距離を検出し、検出した距
離を基にペン筐体の上部の面と下部の面とがなす傾きを
求め、求めた傾きからペン先部に加わった力を検出する
ので、ペン先部に加わった力を検出できると共に光を用
いてペン先部に加わった力を検出するので、ノイズによ
る影響を少なくできる。
【0089】また、ペン筐体の上部と下部との間にペン
筐体の切欠きの上部の面と下部の面との傾きに応じてオ
ンオフする少なくとも1個のスイッチを備え、このスイ
ッチのオンオフによりペン筐体の上部と下部とがなす角
度を検出し、検出した角度からペン先部に加わった力を
検出するので、装置構成をさらに簡単にすることができ
る。
【0090】さらに、ペン筐体の切欠きの中心の支柱部
をペン芯材が入るように空洞にしたので、容易にペン芯
材の交換等ができる。
【0091】さらに、ペン軸を対象軸とした少なくとも
2か所でペン先部に加わった力を測定し、その検出した
信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン先部に
加わった力を検出するので、差動増幅を用いて正確な検
出を行なうことができる。
【0092】さらに、検出した信号から低周波数成分を
抽出し、抽出した低周波数成分を基にペン先部の移動方
向を検出する野で、簡単な構成でペン先部の移動方向を
検出できる。
【0093】さらに、ペン座標系(Xs,Ys,Zs)の
各軸方向の加速度及びペン座標系(Xs,Ys,Zs)の
各軸周りの回転角速度を検出し、検出したペン座標系
(Xs,Ys,Zs)の各軸周りの回転角速度を基にペン
の傾斜角度を求め、求めたペンの傾斜角度を基にペン座
標系(Xs,Ys,Zs)の各軸方向の加速度を重力座標
系(Xg,Yg,Zg)の各軸方向の加速度に変換し、重
力座標系(Xg,Yg,Zg)の各軸方向の加速度を基に
ペン先部のXg軸方向及びYg軸方向の移動量を求めるの
で、ペンの傾斜の変化の影響のない正確な移動方向及び
移動量の検出を行なうことができる。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す構成図である。
【図2】ペン筐体の切欠き部分の断面図である。
【図3】演算部の構成図である。
【図4】座標系を示す説明図である。
【図5】ペン型入力装置の動作を示すフローチャートで
ある。
【図6】速度ずれを示す波形図である。
【図7】リセットにより速度ずれを補正した速度信号の
波形図である。
【図8】力覚センサを有するペン筐体の切欠き部分の断
面図である。
【図9】力覚センサの配置図である。
【図10】反射型センサの配置図である。
【図11】反射型センサの構成を示す断面図である。
【図12】スイッチの配置図である。
【図13】ストラップダウン方式を採用した演算部の構
成図である。
【符号の説明】
1 ペン型入力装置 10 ペン先部 11 ペン芯 2 加速度センサ 3 ジャイロ 4 平行度検出部 41 感圧センサ 42 差動増幅部 43 力覚センサ 45 発光素子 46 受光素子 47 スイッチ 5 A/D変換部 6 演算部 62 速度ゼロ検出部 63 静止判別部 64 初期傾斜角演算部 65 傾斜角変化演算部 66 筆記中傾斜角演算部 67 角加速度演算部 68 加速度補正部 69 座標変換演算部 70 重力加速度除去部 71 速度演算部 72 速度補正部 73 移動量演算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 隆夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコ−内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の
    円周に切欠きを設けて、切欠きの上部の面と下部の面が
    ペン先部にペン軸に直行する方向の力が加わっていない
    状態で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペ
    ン先部にペン軸に直行する方向の力が加わると切欠きの
    上部の面と下部の面とが平行でなくなるように構成した
    ペン型入力装置であって、ペン動作検出部と平行度検出
    部と補正部を有し、ペン動作検出部は重力加速度方向を
    Zg軸とした重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるXg
    軸方向及びYg軸方向の移動量を検出し、平行度検出部
    は切欠きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先
    部に加わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、補
    正部は平行度検出部が検出したXg軸方向及びYg軸方向
    の力がペン先部がXg軸方向、Yg軸方向のいずれか一方
    向又は両方向に対して停止状態であることを示している
    と、その停止状態であることを示している方向のペン動
    作検出部が検出した移動量がゼロになるように補正する
    ことを特徴とするペン型入力装置。
  2. 【請求項2】 上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠き
    の上部と下部に挟まれた少なくとも1個の感圧センサを
    備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応
    じて感圧センサに加わる力を検出してペン先部に加わっ
    た力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  3. 【請求項3】 上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠き
    の上部と下部に挟まれた少なくとも1個の力覚センサ備
    え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じ
    て力覚センサに加わる力を検出してペン先部に加わった
    力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  4. 【請求項4】 上記平行度検出部は、ペン筐体部の切欠
    きの上部の面又は下部の面に少なくとも1個の反射型の
    光センサを備え、反射型の光センサが出力した反射光の
    強度を基にペン筐体の上部の面と下部の面との距離を検
    出し、検出した距離を基にペン筐体の上部の面と下部の
    面とがなす傾きを求め、求めた傾きからペン先部に加わ
    った力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  5. 【請求項5】 上記平行度検出部は、ペン筐体の上部と
    下部との間にペン筐体の切欠きの上部の面と下部の面と
    の傾きに応じてオンオフする少なくとも1個のスイッチ
    を備え、このスイッチのオンオフによりペン筐体の上部
    と下部とがなす角度を検出し、検出した角度からペン先
    部に加わった力を検出する請求項1記載のペン型入力装
    置。
  6. 【請求項6】 上記ペン筐体の切欠きの中心の支柱部を
    ペン芯材が入るように空洞にした請求項1乃至5のいず
    れかに記載のペン型入力装置。
  7. 【請求項7】 上記平行度検出部をペン軸を対象軸とし
    た少なくとも2か所に備え、両平行度検出部が出力した
    信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン先部に
    加わった力を検出する請求項1乃至4のいずれかに記載
    のペン型入力装置。
  8. 【請求項8】 上記ペン動作検出部は検出した信号から
    低周波数成分を抽出し、抽出した低周波数成分を基にペ
    ン先部の移動方向を検出する請求項1乃至4のいずれか
    に記載のペン型入力装置。
  9. 【請求項9】 上記ペン動作検出部はペン軸方向をZs
    軸としたペン座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸方向の加
    速度及びペン座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸周りの回
    転角速度を検出し、検出したペン座標系(Xs,Ys,Z
    s)の各軸周りの回転角速度を基にペンの傾斜角度を求
    め、求めたペンの傾斜角度を基に(Xs,Ys,Zs)の
    各軸方向の加速度を重力座標系(Xg,Yg,Zg)の各
    軸方向の加速度に変換し、重力座標系(Xg,Yg,Z
    g)の各軸方向の加速度を基にペン先部のXg軸方向及び
    Yg軸方向の移動量を求める請求項1乃至8のいずれか
    に記載のペン型入力装置。
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