JP3841940B2 - ペン型入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は図形及び文字を入力するペン型入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ装置等の入力装置としてはキーボード、マウス、デジタイザ、ライトペン及びタブレット等が用いられている。コンピュータ装置の小型化に伴い、携帯端末装置のニーズが高まり利用者も年々増加している。そこで、小型の入力装置が求められるようになった。
【0003】
キーボードの小型化にはヒューマンインターフェイスの点で限界があり、携帯端末装置の入力装置としては実用性が低い。また、マウスはポインティングデバイスとしては小型化が可能であるが、図形及び文字等の入力には適さない。
【0004】
このため、携帯端末装置の入力装置としてはタブレットとペンを用いたペン型の入力装置が多く採用されている。このタブレットを用いたペン型の入力装置をさらに小型化しようとした場合にはタブレットの大きさが問題となる。そこで、例えば特開平9-16320号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平8-76914号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16321号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペン型入力装置のようなタブレットレスの入力装置が開発された。
【0005】
特開平9-16320号公報に掲載されたペン型入力装置では、ペン先近傍のペン内部にペンの芯部が動く際の支点を設け、支点の上方にペン芯の動きを静電容量の変化として検出し、検出した静電容量の変化を基にペン先部の移動方向及び移動量を検出している。
【0006】
また、特開平8-76914号公報に掲載されたペン型入力装置では、静電容量型力覚センサをペン芯の端部に設け、静電容量型力覚センサからの信号を基に文字及び図形の筆記入力を行なっている。
【0007】
また、特開平9-16321号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペン型入力装置では、ペン芯に静電容量型力覚センサを設け、ペン先部が筆記面上を移動する場合はこの静電容量型力覚センサからの力信号を基にペン先部の軌跡を検出し、ペン先部が筆記面から離れて移動する際にはこの静電容量型力覚センサを加速度センサとして用いて、ペン先部の空中での軌跡を検出している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9-16320号公報に掲載されたペン型入力装置では、支点を中心としてペン芯がスムーズに動くような構成にすることは困難であり、検出精度を高くすることが困難である。
【0009】
また、特開平8-76914号公報に掲載されたペン型入力装置では、ペン芯にセンサを固定しているので、ペン先部又はペン芯だけを取り変えることが困難であり、シャープペンシルのように芯が消耗する場合には不便である。
【0010】
また、特開平9-16321号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペン型入力装置では、特開平8-76914号公報に掲載されたペン型入力装置と同様にペン芯にセンサを固定しているので、ペン先部又はペン芯だけを取り変えることが困難であり、シャープペンシルのように芯が消耗する場合には不便である。
【0011】
さらに、特開平9-16321号公報に掲載されたペン型入力装置、特開平9-16322号公報に掲載されたペン型入力装置及び特開平9-16323号公報に掲載されたペン型入力装置では、空中を移動する場合に加速度のみを基にして移動量を検出しているが、ペンがダイナミックな傾斜を伴う場合には検出結果に誤差が生じる。
【0012】
この発明はかかる短所を解消するためになされたものであり、筆記入力を簡単な構成で正確に検出する小型なペン型入力装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るペン型入力装置は、ペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きを設けて、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わっていない状態で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わると切欠きの上部の面と下部の面とが平行でなくなるように構成し、切欠きを挟んだ上部の面と下部の面との成す角度からペン先部に加わった力の方向及び大きさを検出できるようにした。
【0014】
さらに、ペン動作検出部と平行度検出部と補正部を有し、ペン動作検出部はペン軸方向をZ s 軸としたペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度及びペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を検出し、検出したペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を基にペンの傾斜角度を求め、求めたペンの傾斜角度を基に(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度を重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度に変換し、重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度を基にペン先部のXg軸方向及びYg軸方向の移動量を検出し、平行度検出部は切欠きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先部に加わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、補正部は平行度検出部が検出したXg軸方向及びYg軸方向の力がペン先部がXg軸方向、Yg軸方向のいずれか一方向又は両方向に対して停止状態であることを示していると、その停止状態であることを示している方向のペン動作検出部が検出した移動量がゼロになるように補正して、累積誤差の発生を防止する。
【0015】
さらに、上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の感圧センサを備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出する。
【0016】
また、上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の力覚センサ備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて力覚センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出する。
【0017】
また、上記平行度検出部は、ペン筐体部の切欠きの上部の面又は下部の面に少なくとも1個の反射型の光センサを備え、反射型の光センサが出力した反射光の強度を基にペン筐体の上部の面と下部の面との距離を検出し、検出した距離を基にペン筐体の上部の面と下部の面とがなす傾きを求め、求めた傾きからペン先部に加わった力を検出する。
【0018】
また、上記平行度検出部は、ペン筐体の上部と下部との間にペン筐体の切欠きの上部の面と下部の面との傾きに応じてオンオフする少なくとも1個のスイッチを備え、このスイッチのオンオフによりペン筐体の上部と下部とがなす角度を検出し、検出した角度からペン先部に加わった力を検出する。
【0019】
さらに、上記ペン筐体の切欠きの中心の支柱部をペン芯材が入るように空洞にして、ペン芯材の交換等を容易にできるようにした。
【0020】
さらに、上記平行度検出部を、ペン軸を対称軸とした少なくとも2か所に備え、両平行度検出部が出力した信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン先部に加わった力を検出して、差動増幅を用いた正確な検出を行なうようにする。
【0021】
さらに、上記ペン動作検出部は検出した加速度及び回転角速度から低周波数成分を抽出し、抽出した低周波数成分を基にペン先部の移動方向を検出する。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明のペン型入力装置は、コンピュータ装置等に文字、記号、図形及び姿勢等を入力するものある。ペン型入力装置は、例えば静止状態において加速度センサを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を基に装置の初期傾斜角を算出し、算出した初期傾斜角とジャイロを用いて検出した回転角速度を基に筆記中の傾斜角を算出し、算出した筆記中の傾斜角を基に各加速度センサを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を重力加速度方向に伸びる軸をZg軸にした重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度に変換し、変換した加速度を基にペン先部の移動方向及び移動距離を算出して、正確に筆跡の検出を行なう。
【0024】
ここで、上記処理には積分処理が含まれ、誤差を生じる場合がある。また、ペン軸の傾斜角の検出誤差が生じ、重力加速度の成分を正確に除去できない場合もある。そこでこれらの影響をなくし、正確な移動量及び移動距離の算出を行なうものである。
【0025】
ペン型入力装置は、例えば3個の加速度センサと3個のジャイロと平行度検出部とA/D変換部と演算部を有する。ここで、ペン型入力装置の筐体はペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きが設けられていて、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わっていない状態で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わると切欠きの上部の面と下部の面とが平行でなくなるように構成されている。また、ペン筐体の切欠きの中心の支柱部はペン芯材が入るように空洞になっていて、ペン芯材の交換等を容易に行なうことができるようになっている。
【0026】
3個の加速度センサはそれぞれペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)のXs軸方向,Ys軸方向及びZs軸方向の加速度を示す信号を出力する。3個のジャイロはそれぞれペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)のXs軸周り,Ys軸周り及びZs軸周りの回転角速度を示す信号を出力する。
【0027】
平行度検出部は、例えばペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた2個の感圧センサを備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧センサに加わる力を示す信号を出力する。
【0028】
A/D変換部は、加速度センサとジャイロと感圧センサが出力した信号をデジタル変換する。演算部は、ペン先部の動作を検出するペン動作検出部として例えば静止判別部と初期傾斜演算部と傾斜角変化演算部と筆記中傾斜角演算部と角加速度演算部と加速度補正部と座標変換演算部と重力加速度除去部と速度演算部と移動量演算部を備え、補正部として例えばXs軸速度ゼロ検出部とXs軸速度ゼロ検出部と速度補正部を備える。静止判別部は、例えば各加速度センサ及び各ジャイロからの信号を基に静止状態か否かを判別する。初期傾斜演算部は静止状態において加速度センサを用いて検出したペン座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を基に装置の初期傾斜角を求める。筆記中傾斜角演算部は初期傾斜角演算部が算出した初期傾斜角とジャイロを用いて検出した回転角速度を基に筆記中の傾斜角を算出する。座標変換演算部は筆記中傾斜角演算部が算出した筆記中の傾斜角を基に各加速度センサを用いて検出したペン座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度に変換する。重力加速度除去部は座標変換演算部が変換して得た重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度から重力加速度成分を除去する。
【0029】
速度演算部は重力加速度除去部が重力加速度成分を除去して得た加速度を積分して、重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を算出する。Xs軸速度ゼロ検出部はペン筐体の上部の面と下部の面とがなすXs軸方向の角度を基にペン先部がXs軸方向に対して停止状態であるか否かを検出する。同様に、Ys軸速度ゼロ検出部はペン筐体の上部の面と下部の面とがなすYs軸方向の角度を基にペン先部がYs軸方向に対して停止状態であるか否かを検出する。速度補正部はXs軸速度ゼロ検出部又はYs軸速度ゼロ検出部がXs軸方向又はYs軸方向に対して停止状態であることを検出すると、その検出した際における速度演算部が算出した速度と筆記中傾斜角演算部が算出した筆記中の傾斜角を基に停止状態を検出した方向に対する速度がゼロになるように速度演算部が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を補正する。ここで、速度補正部が停止状態を検出した方向に対する速度がゼロになるように速度演算部が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を補正する補正の方法としては、例えば静止状態を検出した方向の速度をゼロにリセットし、ゼロにリセットしたことによって生じた誤差分を重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度から引いたり、静止状態を検出した方向の速度がゼロになるように前回静止状態を検出してから今回静止状態を検出するまでの重力座標系における速度を補正したりする。また、速度補正部は速度を補正する代わりに静止状態を検出した方向の速度がゼロになるように初期傾斜角を補正しても良い。
【0030】
移動量演算部は重力座標系(Xg,Yg,Zg)における各軸方向の速度を基に装置の移動方向及び移動距離を算出して、装置の筆跡を正確に検出する。
【0031】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例のペン型入力装置1の構成図である。図2はペン型入力装置1の断面図であり、図3は演算部の構成図である。以下の説明では、図に示すようにペン芯11の先端部を原点としペン軸をZs軸とした座標系をペン座標系(Xs,Ys,Zs)といい、ペン軸と直交する2軸をXs軸及びYs軸として説明する。また、重力加速度方向に伸びる軸をZg軸とする座標系を重力座標系(Xg,Yg,Zg)といい、Zg軸と直交する2軸をXg軸及びYg軸という。さらに、筆記面とXg軸及びYg軸が成す面とは一致しているものとする。
【0032】
図1、図2及び図3に示すように、ペン型入力装置1は加速度センサ2a,2b,2c、ジャイロ3a,3b,3c、平行度検出部4、A/D変換部5、演算部6、記憶部7及び電源部8を有する。加速度センサ2a,2b,2cは、それぞれXs軸に平行なXsa軸方向,Ys軸に平行なYsa軸方向及びZs軸方向に向けて設けられ、Xsa軸方向,Ysa軸方向及びZsa軸方向の加速度(Axs,Ays,Azs)を示す信号を出力する。加速度センサ2a,2b,2cは、小型且つ高感度で加速度検出に対する直線性が良好なものであれば良く、ピエゾ抵抗方式のもの、圧電方式のもの又は静電容量方式のもののいずれでも良い。ジャイロ3a,3b,3cはそれぞれXs軸及びXsa軸に平行なXsb軸周り,Ys軸及びYsa軸に平行なYsb軸周り及びZs軸周りの回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を示す信号を出力する。ジャイロ3a,3b,3cはスケールファクタ(回転運動検出の正確さ)とドリフトレート(出力オフセットの安定度)が良好で小型なものであれば良く、回転ジャイロ、振動ジャイロ又は光学式ジャイロ等のいずれでも良い。
【0033】
平行度検出部4は感圧センサ41a,41b,41c,41dと差動増幅部42a、42b備える。感圧センサ41a,41b,41c,41dは、例えばペン筐体の切欠きの上部1aと下部1bとに挟まれ、ペン筐体の上部1aの面と下部1bの面とがなす角度に応じて加わる力を示す信号を出力する。ここで、感圧センサ41aと感圧センサ41cとはペン軸を対称軸とした対称位置にペン筐体の上部1aと下部1bに接着されている。同様に感圧センサ41bと感圧センサ41dとはペン軸を対称軸とした対称位置にペン筐体の上部1aと下部1bに接着されている。例えばXs軸方向に力が加わった場合は感圧センサ41aは正の圧力を受け、感圧センサ41cは負の圧力を受ける。感圧センサ41a,41b,41c,41dとしては感圧導電性ゴム又はPVDF等がある。差動増幅部42aはホイートストンブリッジ回路からなり、感圧センサ41a,41cからの信号の差を取り増幅する。同様に、差動増幅部42bは感圧センサ41b,41dからの信号の差を取り増幅する。
【0034】
A/D変換部5はAD変換器51a〜51hを備え、平行度検出部4と加速度センサ2a,2b,2cとジャイロ3a,3b,3cからの信号を増幅する。
【0035】
演算部6は、ペン先部10の動作を検出するペン動作検出部として図3に示すようにローパスフィルタ(以後「LPF」という。)61a〜61fと静止判別部63と初期傾斜角演算部64と傾斜角変化演算部65と筆記中傾斜角度演算部66と角加速度演算部67と加速度補正部68と座標変換演算部69と重力加速度除去部70と速度演算部71と移動量演算部73を備え、ペン動作検出部が検出した移動量を補正する補正部としてXs軸速度ゼロ検出部62aとYs軸速度ゼロ検出部62bと速度補正部72を備える。
【0036】
LPF61a〜61fは、カットオフ周波数10Hz程度でペン先部8と筆記面との摩擦力により生じる加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信号の高周波成分を遮断する。これは、ペン先部10と筆記面との摩擦により加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信号に高周波成分が発生するからである。
【0037】
Xs軸速度ゼロ検出部62a及びYs軸速度ゼロ検出部62bはそれぞれ平行度検出部4からのペン筐体の上部1aと下部1bとの傾斜に応じて感圧センサに加わった力を示す信号を基にペン先部10がXs軸方向及びYs軸方向に対して停止状態か否かを検出する。
【0038】
静止判別部63は加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信号を基に静止中か否かを判別する。初期傾斜角演算部64は、筆記開始の際に各加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度Axso,Ayso,Azsoを基に初期傾斜角(φo,θo,Ψo)を算出する。傾斜角変化演算部65はジャイロ3a,3b,3cが検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を算出する。筆記中傾斜角演算部66は初期傾斜角演算部64が算出した初期傾斜角(φo,θo,Ψo)と傾斜角変化演算部65が算出した傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を基に筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を算出する。
【0039】
角加速度演算部67は3個のジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)から回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/dt)を算出する。加速度補正部68は3個のジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)、角加速度演算部67が算出した回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/dt)及び各加速度センサ2a,2b,2cの取付位置を基に、3個の加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)のペン先部10を中心とした傾斜運動による加速度成分を算出する。加速度補正部68は、算出した傾斜運動による加速度成分を基に3個の加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度(Axs,Ays,Azs)を補正して、ペン先部10におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度(Axos,Ayos,Azos)を求める。
【0040】
座標変換演算部69は筆記中傾斜角演算部66が算出した筆記中における傾斜角(φ,θ,Ψ)を用いて、加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度(Axos,Ayos,Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度(Axog,Ayog,Azog)変換する。重力加速度除去部70は、重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度(Axog,Ayog,Azog)から重力加速度gの成分を除去し、重力加速度gによる影響を除去する。
【0041】
速度演算部71は、重力加速度除去部70が重力加速度gの成分を除去した後の重力座標系(Xg,Yg,Zg)における各軸方向の加速度(Axog,Ayog,Azog)を積分して、重力座標系(Xg,Yg,Zg)における各軸方向の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を算出する。速度補正部72は、Xs軸速度ゼロ検出部62a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs軸方向に対して装置が停止状態であることを検出すると、その検出した際における速度演算部71が算出した速度と筆記中傾斜角演算部66が算出した筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基に停止状態を検出した方向に対する速度がゼロになるように速度演算部71が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度を補正する。移動量演算部73は重力座標系(Xg,Yg,Zg)における各軸方向の速度を基に装置の移動方向及び移動距離を算出する。
【0042】
上記構成のペン型入力装置1におけるペン先部10の移動方向及び移動量算出について説明する。
【0043】
最初に初期傾斜角演算部64が、加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axso,Ayso,Azso)を基に初期傾斜角(φo,θo,Ψo)を算出する場合について説明する。
【0044】
静止状態において各加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axso,Ayso,Azso)と初期傾斜角(φo,θo,Ψo)との間には、次ぎの関係が成り立つ。
【0045】
【数1】
Figure 0003841940
【0046】
上記式から静止状態における初期傾斜角φo,θoの絶対値が求まる。ここで、静止状態か否かは、静止判別部63が加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cの出力信号の時間変化を監視することにより判別する。また、初期傾斜角Ψoは初期値をゼロにリセットする。
【0047】
ここで、2つの未知数φo,θoに対して3本の方程式が立てられるので、重力加速度gについても未知数として取り扱うことができ、重力加速度gの値を定義しなくともφo,θoの絶対値を算出することができる。また、重力加速度gの値を演算し、演算した重力加速度gの値をモニタし、この値が大きく変動した場合には警告等を発するようにしても良い。
【0048】
次ぎに、傾斜角変化演算部65が筆記中の傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を算出する場合について説明する。
【0049】
ジャイロ3a,3b,3cで検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を算出する微分方程式は、次式で表すことができる。
【0050】
【数2】
Figure 0003841940
【0051】
次ぎに、筆記中傾斜角演算部66は、上記のようにして初期傾斜角演算部64が算出した初期傾斜角(φo,θo,Ψo)と傾斜角変化演算部65が算出した筆記中の傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を基に、次式を用いて筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を算出する。
【0052】
【数3】
Figure 0003841940
【0053】
次ぎに、上記のようにして得た筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基に各加速度センサ2a,2b,2cの出力を用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の加速度(Axs,Ays,Azs)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)の加速度(Axg,Ayg,Azg)に変換する場合について説明する。
【0054】
筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基にペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)から重力座標系(Xg,Yg,Zg)に変換する際に用いる座標変換行列invE(φ,θ,Ψ)は次式で表すことができる。ここで、invE(φ,θ,Ψ)は行列E(φ,θ,Ψ)の逆行列を表すものとする。
【0055】
【数4】
Figure 0003841940
【0056】
ここで、前にvectorをつけたものはベクトルを表すものとし、Xg軸方向,Yg軸方向,Zg軸方向の単位ベクトルをそれぞれvectorig,vectorjg,vectorkgで表し、Xs軸方向,Ys軸方向,Zs軸方向の単位ベクトルをそれぞれvectoris,vectorjs,vectorksで表す。また、vector(is)g,vector(js)g,vector(ks)gはペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の単位ベクトルを重力座標系(Xg,Yg,Zg)で表したものとする。
【0057】
ペン先座標系(Xs,Ys,Zs)でのXs軸方向,Ys軸方向及びZs軸方向の各加速度センサ2a,2b,2cの取付座標をそれぞれ(Xas,Yas,Zas),(Xbs,Ybs,Zbs),(Xcs,Ycs,Zcs)とし、重力加速度gを考慮して上記座標変換行列invE(φ,θ,Ψ)を用いると、各加速度センサ2a,2b,2cから得られる加速度(Axs,Ays,Azs)から重力座標系(Xg,Yg,Zg)のペン先部8の加速度(Axog,Ayog,Azog)を求める式は、次式のようになる。
【0058】
【数5】
Figure 0003841940
【0059】
上記式の括弧内の第2項及び第3項はジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)と回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)から得た回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/dt)の関数であるので、加速度補正部59は上記式の括弧内の第2項及び第3項を算出して、加速度センサ2a,2b,2cからの信号を基に検出した加速度(Axs,Ays,Azs)を補正して、括弧内で表すペン先部8におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度を得る。重力加速度除去部62は、さらに、上記式から重力加速度成分を除去する。
【0060】
次ぎに、速度補正部64の動作について説明する。
【0061】
ペン先部8の重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度ベクトルvectorVogを(Vxog,Vyog,Vzog)、速度ベクトルvectorVogのXs軸方向の速度ベクトルをvectorαs、速度ベクトルvectorVogをXs軸とYs軸とが成す平面に投影した速度ベクトルをvectorγsで表す。Xs軸方向について考えると、図4に示すようにXs軸速度ゼロ検出部62aがXs軸方向に対してペン先部8が停止状態にあることを検出したときの誤差ベクトルはvectorαsとなるので、このベクトルvectorαsを重力座標系(Xg,Yg,Zg)で表現した誤差ベクトルvector(αs)gと速度ベクトルvectorVogからvector(γs)gが算出できる。ここで、ベクトルvector(αs)g及びベクトルvector(γs)gはペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)でのベクトルvectorαs及びベクトルvectorγsを重力座標系(Xg,Yg,Zg)で表したものを示す。したがって、誤差ベクトルvector(αs)gを含まないようにして算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度ベクトルvectorVogを表す。
【0062】
速度補正部72はXs軸速度ゼロ検出部62a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs軸方向に対して停止状態であることを検出すると、その検出した際における速度演算部71が算出した速度ベクトルvectorVogと筆記中傾斜角演算部が算出した筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を基に、上記式で示す演算を行なって、停止状態を検出した方向に対する速度がゼロになるように速度演算部71が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度vectorVogを補正する。
【0063】
移動量演算部73は速度補正部72が必要に応じて補正した後の重力座標系(Xg,Yg,Zg)でのペン先部10の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を積分して、ペン先部8の軌跡(Xog,Yog,Zog)を求める。
【0064】
上記構成のペン型入力装置1の動作を、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cはそれぞれXsa軸方向,Ysa軸方向,Zs軸方向の加速度Axs,Ays,Aza及びXsb軸周り,Ysb軸周り,Zs軸周りの回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を示す信号を出力する。また、感圧センサ41a〜41dはペン筐体の上部1aと下部1bとにより加わる圧力を示す信号を出力し、差動増幅部42a,42bはその信号を差動増幅する。感圧センサ41a〜41dは既に示したように例えばXs軸方向に力が加わった場合は感圧センサ41aは正の圧力を受け、感圧センサ41cは負の圧力を受け、差動増幅部42aがこの信号を差動増幅するので、圧力の検出制度を高めることができる。
【0066】
AD変換器51c〜51hは、各加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)をデジタル変換する。LPF61a〜61fは各加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cからの信号をデジタル変換して得た加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)から低周波成分を抽出する。
【0067】
予め定めた一定周期のサンプリングタイミングになると、静止判別部63は、AD変換器51c〜51hからデジタル変換後の加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を読み出し(ステップS1)、例えば読み出した加速度(Axs,Ays,Azs)及び回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)の時間変化を観察し変化が無くなったときを静止状態と判別し、変化が発生しているときを筆記中と判別する。
【0068】
静止判別部63が静止状態と判別すると(ステップS2)、初期傾斜角演算部64は、既に説明したように加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axso,Ayso,Azso)を基にして初期傾斜角(φo,θo,Ψo)を求める(ステップS3)。
【0069】
その後、静止判別部63が静止状態でないと判別すると(ステップS2)加速度センサ2a,2b,2c及びジャイロ3a,3b,3cから加速度信号及び回転角速度信号を読み出し(ステップS4)、傾斜角変化演算部65は、ジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を求める(ステップS5)。筆記中傾斜角演算部66は、既に説明したように初期傾斜角(φo,θo,Ψo)と傾斜角の変化(dφ/dt,dθ/dt,dΨ/dt)を基にφ=φo+Σ(dφ/dt)、θ=θo+Σ(dθ/dt)、Ψ=Ψo+Σ(dΨ/dt)を計算して、筆記中の傾斜角(φ,θ,Ψ)を算出する(ステップS6)。
【0070】
角加速度演算部67はジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)を基に回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/dt)を算出する(ステップS7)。加速度補正部68は回転角速度(ωxs,ωys,ωzs)及び回転角加速度(dωxs/dt,dωys/dt,dωzs/dt)を基に、既に説明したように加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)を補正して、ペン先部10におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を算出する(ステップS8)。このように加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出した加速度(Axs,Ays,Azs)を基にペン先部8におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を算出するので、加速度センサ2a,2b,2cの取付位置がペン先部8から離れていることによるペン軸9の傾斜運動の影響をなくすことができる。
【0071】
座標変換演算部69は、筆記中傾斜角演算部66が算出した筆記中のペン軸の傾斜角(φ,θ,Ψ)を用いて、加速度補正部68が算出したペン先部10におけるペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるペン先部10の加速度(Axog,Ayog,Azog)に変換する(ステップS9)。このように、ペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)での加速度(Axos,Ayos,Azos)を重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度(Axog,Ayog,Azog)に変換するので、ペン軸の傾斜による影響を除去することができる。重力加速度除去部70は、重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるペン先部10の加速度(Axog,Ayog,Azog)から重力加速度gの成分を除去し、重力加速度gによる影響を除去する(ステップS10)。速度演算部71は重力加速度除去部70が重力加速度を除去した後の重力座標系(Xg,Yg,Zg)におけるペン先部10の加速度(Axog,Ayog,Azog)を積分してペン先部10の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を算出する(ステップS11)。
【0072】
速度補正部72は、Xs軸速度検出部62a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs軸方向に対してペン先部10が停止状態であることを検出すると(ステップS12)、既に説明したように停止状態を検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の方向に対する速度がゼロになるように速度演算部71が算出した重力座標系(Xg,Yg,Zg)における速度(Vxog,Vyog,Vzog)を補正する(ステップS13)。これにより、累積誤差により筆記検出誤差が発生することを防止できる。上記速度補正部72による補正のさらに具体的な方法については後に説明する。移動量演算部73は上記のようにして求めた重力座標系(Xg,Yg,Zg)の速度(Vxog,Vyog,Vzog)を基に移動方向及び移動量(Xog,Yog,Zog)を算出して(ステップS14)、ペン先部10の軌跡を求め、入力処理が終了するまで上記動作を繰り返す(ステップS15)。ここで、ペン先部10の移動方向及び移動量を算出するので、ペン形状などでペンの持ち方を拘束する必要が無くなる。
【0073】
次ぎに、上記速度補正部72による補正のさらに具体的な方法について説明する。
【0074】
上記速度補正部72は、例えばXs軸速度ゼロ検出部62a又はYs軸速度ゼロ検出部62bがXs軸方向又はYs軸方向に対して停止状態であることを検出すると、速度演算部71が積分演算して求めたペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)の各軸方向の速度のうち停止状態であることを検出した方向の速度をゼロにリセットして、停止状態における速度をゼロにする。Xs軸方向について考えると、Xs軸速度ゼロ検出部62aがXs軸方向に対して停止状態であることを検出した際における速度ベクトルvectorVogをXs軸とYs軸とが成す平面に投影したベクトルvectorγsを次式を用いて求める。
【0075】
【数6】
Figure 0003841940
【0076】
ここで、vector(is)gは、筆記中傾斜角演算部66が算出した傾斜角(φ,θ,Ψ)を用いて、数4に示した式を計算することにより求める。例えば図6に示すように理想的な速度変化Aに対して補正を行なわない場合は積分による累積誤差によりドリフトが生じ、速度変化Bの波形が右下がりになっている。これに対して上記式を用いて補正することにより、図7に示すように理想的な速度変化Aと誤差の少ない速度変化Cを求めることができる。ここで、矢印で示した部分が補正を行なった部分である。このように、停止状態であることを検出した方向の速度をゼロにリセットするだけでドリフトが低減でき、理想的なペン先部10の速度波形を得ることができる。
【0077】
また、平行度検出部4は、感圧センサ41a〜41dの代わりに、図8に示すように力覚センサ43を用いても良い。力覚センサ43としては、例えば図9に示すようにペン軸を中心軸として4か所に対称に空洞44a〜44dを設け、4個の梁を有するダイアフラム構造とする。この梁の表面に図に示すように、例えば圧電素子Fx1〜FX4,Fy1〜Fy4,Mx1〜Mx4,My1〜My4を設ける。ペン先部10が力を受けて梁がひずむことにより、圧電素子Fx1〜FX4,Fy1〜Fy4,Mx1〜Mx4,My1〜My4の抵抗値が変化し、それを基に梁の歪を検出し、検出した梁の歪からペン先部10に加わった力を検出することができる。例えば圧電素子Mx1〜Mx4によりXs軸周りのモーメントMxを検出でき、圧電素子My1〜My4によりYs軸周りのモーメントMyを検出でき、圧電素子Fx1〜FX4,Fy1〜Fy4によりZs軸方向の力Fzを検出できる。この力覚センサ43は、例えばSUS又はAlで製作した梁上に小型の箔状の歪ゲージを貼付たて製作しても良いし、Si等の半導体材料を用い、エッチングにより梁を形成した後にイオンインプラよりピエゾ抵抗素子として拡散抵抗を製作するようにしても良い。
【0078】
また、平行度検出部4は、感圧センサ41a〜41dの代わりに、図10に示すように発光素子45a〜45dと受光素子46a〜46dで構成された4個の反射型光センサを用いても良い。発光素子45a〜45dとしては、例えば小型の半導体レーザダイオードを用い、受光素子46a〜46dとしては、例えば小型のフォトダイオードを用いる。図11に発光素子45a,45cと受光素子46a,46cとで示すように、発光素子45a,45cが発光し、ペン筐体の下部1bを照射した光は、ペン筐体下部1bに反射されて、受光素子46a,46bに入射する。受光素子46a,46bはこの反射光の強度を検出する。この反射光の強度を基にペン筐体の上部1aとペン筐体の下部1bとのそれぞれの地点における距離を計測することができる。
【0079】
また、平行度検出部4は、感圧センサ41a〜41dの代わりに、図12に示すようにスイッチ47a〜47dを設けても良い。ペン筐体の上部1aと下部1bとの間にペン筐体の切欠きの上部1aの面と下部1bの面との傾きに応じてオンオフするスイッチ47a〜47dを備えることにより、このスイッチ47a〜47dのオンオフによりペン筐体の上部1aと下部1bとがなす角度を検出し、検出した角度からペン先部10に加わった力を検出することができる。
【0080】
なお、上記実施例では感圧センサ41a〜41d等のセンサをペン軸を中心軸として4か所に対称に設けたが、要求された検出精度によっては、1か所だけに設けるようにしても良い。
【0081】
また、例えば図2に示すようにペン筐体の切欠きの中心の支柱部9をペン芯11が入るように空洞にしているので、市販のボールペンの芯又はシャープペンの芯等を支柱部9の中心に通して用いることができ、これらのペン芯材の交換も容易にできる。
【0082】
また、上記実施例ではオイラー方式による座標変換を採用したペン型入力装置1について説明したが、ストラップダウン方式を採用したペン型入力装置であっても良い。ストラップダウン方式を採用したペン型入力装置の演算部6は、図13に示すようにLPF61a〜61f、Xs軸速度ゼロ検出部62a、Ys軸速度ゼロ検出部62b、静止判別部63、初期傾斜角演算部64、筆記中傾斜角演算部66、座標変換演算部69、重力加速度除去部70、速度演算部71、速度補正部72及び移動量演算部73を備える。初期傾斜角演算部64は、静止状態において加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を基に装置の初期回転角度を求める。筆記中傾斜角演算部66は初期傾斜角演算部64が算出した初期回転角度とジャイロ3a,3b,3cを用いて検出した回転角速度を基に筆記中の回転角度を算出する。座標変換演算部69は筆記中回転角度演算部66が算出した筆記中の回転角度を基に各加速度センサ2a,2b,2cを用いて検出したペン軸座標系(Xs,Ys,Zs)における加速度を重力加速度方向に伸びる軸をZg軸にした重力座標系(Xg,Yg,Zg)における加速度に変換する。
【0083】
また、上記実施例では演算部6をペン筐体内に設けたが、演算部6を外部装置内に設け、通信ケーブル等を介してデータの送受信をするようにしても良い。
【0084】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、ペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きを設けて、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わっていない状態で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わると切欠きの上部の面と下部の面とが平行でなくなるように構成したので、切欠きを挟んだ上部の面と下部の面との成す角度からペン先部に加わった力の方向及び大きさを検出できる。
【0085】
さらに、ペン軸方向をZ s 軸としたペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度及びペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を検出し、検出したペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を基にペンの傾斜角度を求め、求めたペンの傾斜角度を基に(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度を重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度に変換し、重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度を基にペン先部のXg軸方向及びYg軸方向の移動量を検出し、切欠きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先部に加わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、検出したXg軸方向及びYg軸方向の力がペン先部がXg軸方向、Yg軸方向のいずれか一方向又は両方向に対して停止状態であることを示していると、その停止状態であることを示している方向のペン動作検出部が検出した移動量がゼロになるように補正するので、累積誤差の発生を防止することができる。
【0086】
さらに、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の感圧センサを備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出するので、簡単な構成でペン先部に加わった力を測定することができる。
【0087】
また、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の力覚センサ備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて力覚センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出するので、ペン先部に加わった力を高精度に検出することができる。
【0088】
また、ペン筐体部の切欠きの上部の面又は下部の面に少なくとも1個の反射型の光センサを備え、反射型の光センサが出力した反射光の強度を基にペン筐体の上部の面と下部の面との距離を検出し、検出した距離を基にペン筐体の上部の面と下部の面とがなす傾きを求め、求めた傾きからペン先部に加わった力を検出するので、ペン先部に加わった力を検出できると共に光を用いてペン先部に加わった力を検出するので、ノイズによる影響を少なくできる。
【0089】
また、ペン筐体の上部と下部との間にペン筐体の切欠きの上部の面と下部の面との傾きに応じてオンオフする少なくとも1個のスイッチを備え、このスイッチのオンオフによりペン筐体の上部と下部とがなす角度を検出し、検出した角度からペン先部に加わった力を検出するので、装置構成をさらに簡単にすることができる。
【0090】
さらに、ペン筐体の切欠きの中心の支柱部をペン芯材が入るように空洞にしたので、容易にペン芯材の交換等ができる。
【0091】
さらに、ペン軸を対称軸とした少なくとも2か所でペン先部に加わった力を測定し、その検出した信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン先部に加わった力を検出するので、差動増幅を用いた正確な検出を行なうことができる。
【0092】
さらに、検出した加速度及び回転角速度から低周波数成分を抽出し、抽出した低周波数成分を基にペン先部の移動方向を検出するで、簡単な構成でペン先部の移動方向を検出できる。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す構成図である。
【図2】ペン筐体の切欠き部分の断面図である。
【図3】演算部の構成図である。
【図4】座標系を示す説明図である。
【図5】ペン型入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】速度ずれを示す波形図である。
【図7】リセットにより速度ずれを補正した速度信号の波形図である。
【図8】力覚センサを有するペン筐体の切欠き部分の断面図である。
【図9】力覚センサの配置図である。
【図10】反射型センサの配置図である。
【図11】反射型センサの構成を示す断面図である。
【図12】スイッチの配置図である。
【図13】ストラップダウン方式を採用した演算部の構成図である。
【符号の説明】
1 ペン型入力装置
10 ペン先部
11 ペン芯
2 加速度センサ
3 ジャイロ
4 平行度検出部
41 感圧センサ
42 差動増幅部
43 力覚センサ
45 発光素子
46 受光素子
47 スイッチ
5 A/D変換部
6 演算部
62 速度ゼロ検出部
63 静止判別部
64 初期傾斜角演算部
65 傾斜角変化演算部
66 筆記中傾斜角演算部
67 角加速度演算部
68 加速度補正部
69 座標変換演算部
70 重力加速度除去部
71 速度演算部
72 速度補正部
73 移動量演算部

Claims (8)

  1. ペン先部又はペン先部近傍でペン筐体の円周に切欠きを設けて、切欠きの上部の面と下部の面がペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わっていない状態で切欠きの上部の面と下部の面とが平行になり、ペン先部にペン軸に直交する方向の力が加わると切欠きの上部の面と下部の面とが平行でなくなるように構成したペン型入力装置であって、
    ペン動作検出部と平行度検出部と補正部を有し、
    ペン動作検出部はペン軸方向をZ s 軸としたペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度及びペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を検出し、検出したペン座標系(X s ,Y s ,Z s )の各軸周りの回転角速度を基にペンの傾斜角度を求め、求めたペンの傾斜角度を基に(X s ,Y s ,Z s )の各軸方向の加速度を重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度に変換し、重力座標系(X g ,Y g ,Z g )の各軸方向の加速度を基にペン先部のXg軸方向及びYg軸方向の移動量を検出し、
    平行度検出部は切欠きの上部の面と下部の面との平行度を基にペン先部に加わったXg軸方向及びYg軸方向の力を検出し、
    補正部は平行度検出部が検出したXg軸方向及びYg軸方向の力がペン先部がXg軸方向、Yg軸方向のいずれか一方向又は両方向に対して停止状態であることを示していると、その停止状態であることを示している方向のペン動作検出部が検出した移動量がゼロになるように補正することを特徴とするペン型入力装置。
  2. 上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の感圧センサを備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて感圧センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  3. 上記平行度検出部は、ペン筐体の切欠きの上部と下部に挟まれた少なくとも1個の力覚センサ備え、ペン筐体の上部の面と下部の面とがなす角度に応じて力覚センサに加わる力を検出してペン先部に加わった力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  4. 上記平行度検出部は、ペン筐体部の切欠きの上部の面又は下部の面に少なくとも1個の反射型の光センサを備え、反射型の光センサが出力した反射光の強度を基にペン筐体の上部の面と下部の面との距離を検出し、検出した距離を基にペン筐体の上部の面と下部の面とがなす傾きを求め、求めた傾きからペン先部に加わった力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  5. 上記平行度検出部は、ペン筐体の上部と下部との間にペン筐体の切欠きの上部の面と下部の面との傾きに応じてオンオフする少なくとも1個のスイッチを備え、このスイッチのオンオフによりペン筐体の上部と下部とがなす角度を検出し、検出した角度からペン先部に加わった力を検出する請求項1記載のペン型入力装置。
  6. 上記ペン筐体の切欠きの中心の支柱部をペン芯材が入るように空洞にした請求項1乃至5のいずれかに記載のペン型入力装置。
  7. 上記平行度検出部を、ペン軸を対称軸とした少なくとも2か所に備え、両平行度検出部が出力した信号を作動増幅し、差動増幅した信号を基にペン先部に加わった力を検出する請求項1乃至4のいずれかに記載のペン型入力装置。
  8. 上記ペン動作検出部は検出した加速度及び回転角速度から低周波数成分を抽出し、抽出した低周波数成分を基にペン先部の移動方向を検出する請求項1乃至4のいずれかに記載のペン型入力装置。
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