以下、この発明によるスタイラスの実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態のスタイラスは電磁誘導方式のもので、位置検出装置の位置検出用センサとの間で電磁誘導方式で信号の授受を行なうことで、位置検出装置はスタイラスによる指示位置を検出する。
[第1の実施形態]
図1は、圧力センシングデバイスを筆圧検出や傾き検出用等として備える実施形態のスタイラス2の構造例を示す図である。図1(A)は、スタイラス2の外観を示す図、図1(B)は、スタイラス2のペン先側の部分の断面図である。
図1(A)に示すように、この実施形態のスタイラス2は、細長形状の筒状の筐体201の軸心方向の一方の開口側がペン先側とされ、他方の開口側が後端側とされる。この例では、筐体201は、ペン先側ケース2011と後端側ケース2012とに、軸心方向に2分されており、例えばペン先側ケース2011と後端側ケース2012とが螺合することで、筐体201が構成されている。ペン先側ケース2011と後端側ケース2012とは一方の端部が他方の端部に圧入されることで結合されるように構成してもよい。後端側ケース2012の軸心方向の後端側は、後端キャップ部材202により閉塞されている。筐体201は、この例では、SUSで構成されている。筐体201は、樹脂で構成されてもよい。
この実施形態のスタイラス2の筒状の筐体201のペン先側ケース2011のペン先側には、図1(B)に示すように、位置検出センサと電磁誘導結合するための共振回路を構成するコイル21が巻回される磁性体コア、この例ではフェライトコア22が配設されると共に、圧力センシングデバイス1が、このペン先側ケース2011の中空部2011a内に固定されて配設される。
この実施形態のスタイラスでは、筐体201のペン先側ケース2011のペン先側の開口には、コイル収納部材203が取り付けられる。この例では、コイル収納部材203は、円筒形状の筒状体のコイルケース203Aと、先細形状の筒状体からなるフロントキャップ203Bとで構成されている。コイルケース203A及びフロントキャップ203Bは、非磁性材料、この例では、樹脂で構成されており、図1(B)に示すように互いに軸心方向に螺合されることで、コイル21が巻回されたフェライトコア22の収納空間が形成される。
コイル収納部203の収納空間には、コイル21が巻回されたフェライトコア22が、その軸心方向の両端に、弾性部材、例えば弾性ゴムで構成されている第1の緩衝部材23及び第2の緩衝部材24が取り付けられた状態で収納される。コイル収納部材203は、コイルケース203Aが、ペン先側ケース2011に螺合されることで筐体201に取り付けられる。
なお、コイル21の両端のリード線は、例えば第2の緩衝部材23に設けられている溝(図示は省略)を通って、コイルケース203Aの中空部から後端側に導出されている。
フェライトコア22には、棒状の芯体31が挿通される軸心方向の貫通孔22aが、その中心位置に形成されている。
芯体31は、硬質材料、この例では、SUSで構成されており、その軸心方向の一端31a側が、フロントキャップ203Bの開口203Baから突出するようにされ、その突出する一端31aには、この例では、樹脂で構成されるペン先部材204が圧入嵌合されて取り付けられている。
芯体31のペン先部材204が取り付けられた一端31a側とは反対側の他端31b側は、後述するようにして圧力センシングデバイス1と結合されている。したがって、この例では、芯体31は、ペン先部材204に印加される力を受け付ける力受付部を構成し、受け付けた力を圧力センシングデバイス1に伝達する機能を備える。
なお、芯体31は、この例では、SUSで構成したが、これに限られるものではなく、硬質材料であれば、例えば樹脂であってもよい。
この実施形態の圧力センシングデバイス1は、後述する図6に示すように、円板状の板状部材10の一方の面部10aに、複数個のひずみ受感材11が配設されると共に、それら複数個のひずみ受感材11と導電パターン12(図6では図示を省略。図7参照)とからなる回路(ブリッジ回路)が配設されたものである。
圧力センシングデバイス1は、図1(B)に示すように、板状部材10の一方の面部10aの面方向が筐体201の軸心方向に直交する方向に向く状態で、ペン先側ケース2011の中空部2011a内に取り付けられて、ペン先側ケース2011に対して軸心方向に移動不可及び圧力センシングデバイス1の周方向に移動不可の状態で固定される。この実施形態では、ペン先側ケース2011は、圧力センシングデバイス1を含む力検出部材の一部を構成する。
図2は、ペン先側ケース2011と圧力センシングデバイス1とを含む力検出部材を構成する部品の分解斜視図である。すなわち、この実施形態のスタイラス2の力検出部材は、図2に示すように、ペン先側ケース2011と、圧力センシングデバイス1と、芯体31と、リング状ワッシャー部材32及び35と、挟持保持用部材33と、結合用ネジ34とで構成される。
図3は、圧力センシングデバイス1の板状部材10をその面部に直交する方向から見た図である。この例の圧力センシングデバイス1の板状部材10は、図2及び図3に示すように、この例では半径がr0の円形の薄板からなり、弾性的にひずみ変形が可能な材料、この例では、SUS板で構成されている。板状部材10の半径r0は、ペン先側ケース2011の内壁の半径r0´(図5参照)よりも若干小さい値に選定されている。
そして、この例では、図2及び図3に示すように、板状部材10の放射方向の端部には、互いに120度角間隔離れた周縁位置から放射方向に突出する突起10pa,10pb,10pcが形成されている。これらの突起10pa,10pb,10pcは、後述するように、圧力センシングデバイス1をペン先側ケース2011に対して固定する際の位置決め用であり、ペン先側ケース2011の中空部2011a内において、円周方向へ回転をしてしまうのを防止することができる。
図3に示すように、突起10pcは、この例では他の突起10pa,10pbよりも周方向の幅が大きくされていると共に、周方向の中央に凹溝10pcsが形成されている。この凹溝10pcsは、フェライトコア22に巻回されているコイル21の両端部のリード線を挿通させるためのものである。
図4は、リング状ワッシャー部材32の一例を示すものである。この例のリング状ワッシャー部材32は、図2及び図4に示すように、外周半径が圧力センシングデバイス1の板状部材10の半径r0に等しく、内周半径がr4(<r0)である弾性材料で構成されている。圧力センシングデバイス1は、後述するように、板状部材10の周縁部10Eの部分が、ペン先側ケース2011の中空部2011a内で挟持されることで、ペン先側ケース2011に固定される。リング状ワッシャー部材32の内周半径r4の大きさは、板状部材10の周縁部10Eの板状部材10の半径方向の幅(r0−r4)に対応するように選定されている。
この実施形態では、このリング状ワッシャー部材32の周縁位置から放射方向に突出する2個の突起32pa,32pbが形成されている。これら2個の突起32pa,32pbは、リング状ワッシャー部材32を、圧力センシングデバイス1の板状部材10の上に重ねたときに、板状部材10の突起10pa,10pbと丁度重なる位置に形成されている。この突起32pa,32pbは、リング状ワッシャー部材32が、ペン先側ケース2011の中空部2011a内において、円周方向へ回転をしてしまうのを防止するためのものである。
ペン先側ケース2011の中空部2011aの内壁には、図1(B)に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10の径r0よりも内側に更に張り出すリング状突部2011bが形成されていると共に、図2に示すように、軸心方向に3個の凹溝2011ga,2011gb,2011gcが形成されている。
3個の凹溝2011ga,2011gb,2011gcは、ペン先側ケース2011の中空部2011aの内壁面において、圧力センシングデバイス1の板状部材10の3個の突起10pa,10pb,10pcが挿入されるように、例えば互いに120度角間隔離れた位置に形成されている。ペン先側ケース2011の凹溝2011ga,2011gb,2011gcと、圧力センシングデバイス1の板状部材10の突起10pa,10pb,10pcとの係合により、ペン先側ケース2011の中空部2011a内において、圧力センシングデバイス1の板状部材10の周方向が位置決めされると共に、周方向に回転しないようにされる。
この場合に、ペン先側ケース2011の凹溝2011ga,2011gb,2011gcの大きさ及び形状は、圧力センシングデバイス1の板状部材10の突起10pa,10pb,10pcの大きさ及び形状に応じたものとされる。ただし、この例では、凹溝2011gcは、突起10pcの大きさに応じたものとされて、他の凹溝2011ga,2011gbとは異なる大きさとなっている。
したがって、圧力センシングデバイス1の板状部材10のペン先側ケース2011の中空部2011a内での周方向位置は、凹溝2011gcの位置により、一義的に決まる。なお、ペン先側ケース2011の外周面に、図2に示すように、周方向位置の目印マークMKを付しておくようにしてもよい。この目印マークMKの周方向位置は、図2の例のように凹溝2011gcの位置に対応した位置としてもよいし、その他の位置であってもよい。
図5は、図1(B)におけるA−A線断面図であって、ペン先側ケース2011の中空部2011a内に、圧力センシングデバイス1が存在していない状態として示している。この図5に示すように、ペン先側ケース2011の内壁のリング状突部2011bの張り出し方向の先端縁の円周の半径は、圧力センシングデバイス1の板状部材10の半径r4と等しく選定されている。
そして、図2及び図5に示すように、ペン先側ケース2011の中空部2011aの内壁面の軸心方向に設けられている3個の凹溝2011ga、2011gb及び2011gcの内、この例では、凹溝2011gcは、ペン先側ケース2011の軸心方向のペン先側端から後端側端の全体に亘って形成されている。そして、図5の例では、凹溝2011ga、2011gbは、ペン先側ケース2011の軸心方向の後端側端から、リング状突部2011bの位置まで、形成されている。なお、凹溝2011ga、2011gbも、ペン先側ケース2011の軸心方向のペン先側端から後端側端の全体に亘って形成されていてもよい。
この例の挟持保持用部材33は、図1(B)及び図2に示すように、リング状ワッシャー部材32の内径と同じ内径を有する筒状に形成されると共に、ねじ部33aを備えて構成され、この例では、いわゆるイモネジで構成されている。この例では、図2に示すように、挟持保持用部材33のねじ部33aの頭部側には、ねじ回しなどの工具が当該ねじ部33aに嵌合して、挟持保持用部材33を回転させるようにするための溝33bが形成されている。
結合用ネジ34は、圧力センシングデバイス1の板状部材10に、この例では力受付部を構成する芯体31を結合させるための部材である。この例では、芯体31は、板状部材10の面部10aとは反対側の面部10bの中央部において結合される。図1(B)及び図2に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10の中央部には、この結合用ネジ34のねじ部が貫通する貫通孔10cが形成されていると共に、芯体31には、結合用ネジ34のねじ部に対応するねじ穴31cを備えたねじ部31bが形成されている。この場合に、この例では、結合用ネジ34の頭部34aと板状部材10の面部10aとの間には、リング状ワッシャー部材35が介在する状態で、結合用ネジ34が、板状部材10を介して芯体31のねじ部31cにねじ込まれて、板状部材10の面部10bの中央部に芯体31が結合される。
なお、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10a側には、ひずみ受感材及び導電パターンとからなる回路が形成されていると共に、後述するように、外部との接続用端子部も形成されている。この例では、図1(B)及び図2に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに形成されている接続用端子部は、フレキシブル基板36を介して、プリント基板25と接続される。そして、この例では、フレキシブル基板36の端部が、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに対して圧着されることで、フレキシブル基板36と、板状部材10の面部10aの接続用端子部との電気的接続がなされるように構成されている。
そのため、この例では、図1(B)及び図2に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10に対して芯体31を結合するに先立ち、板状部材10の面部10aにフレキシブル基板36の端部が圧着されて取り付けられる。そして、リング状ワッシャー部材35を、板状部材10の面部10aに圧着されたフレキシブル基板36の上に配置する状態で、結合用ネジ34により、圧力センシングデバイス1の板状部材10に対して芯体31を結合する。図2に示すように、フレキシブル基板36の端部には、結合用ネジ34が挿通される貫通孔36aが形成されている。
次に、ペン先側ケース2011の中空部2011a内への圧力センシングデバイス1の取付及び固定の手順について説明する。
先ず、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに対してフレキシブル基板36の端部の圧着を行う。なお、これに先立ち、フレキシブル基板36の他方の端部は、図2に示すように、プリント基板25に対して例えば半田付け等により電気的に接続されて、物理的にフレキシブル基板36とプリント基板25とが結合されている。次に、結合用ネジ34によるネジ止めにより、面部10aにフレキシブル基板36が圧着されている板状部材10の面部10bに対する芯体31の結合を行う。
次に、板状部材10に芯体31が結合されたものを、後端側からペン先側ケース2011の中空部2011a内に、芯体31側から挿入して、ペン先側ケース2011の内壁のリング状突部2011bに対して、板状部材10の面部10bの周縁部1OEが当接するようにする。
次に、圧力センシングデバイス1の板状部材10の一方の面部10a側の周縁部10Eに対してリング状のワッシャー部材32を配設した後、図1(B)に示すように、挟持保持用部材33を、ペン先側ケース2011の中空部2011aの内壁面に形成されたねじ部2011cにねじ込む。このとき、フレキシブル基板36及びプリント基板25は、リング状のワッシャー部材32及び挟持保持用部材33の中空部を通して、後端側ケース2012側に導出するようにしておく。
この挟持保持用部材33のペン先側ケース2011に対するねじ込みにより、圧力センシングデバイス1の板状部材10の周縁部10Eが、ペン先側ケース2011のリング状突部2011bと、挟持保持用部材33の先端のリング状端面との間で、ワッシャー部材32を介して挟持される。すなわち、圧力センシングデバイス1の板状部材10は、ペン先側ケース2011の中空部2011a内の所定の軸心方向位置において、その周縁部10Eが軸心方向に移動不可で、且つ、周方向にも回動不能の状態となるように固定される。なお、この挟持保持用部材33のペン先側ケース2011に対するねじ込み時に、リング状ワッシャー部材32を介して圧力センシングデバイス1の板状部材10には、力印加部である板状部材10に回転方向の力がかかる。しかし、この実施形態では、板状部材10の突起10pa,10pb,10pcと、ペン先側ケース2011の内壁面の凹溝2011ga,2011gb,2011gcとの係合により、挟持保持用部材33のねじ込み時の回転方向の力により板状部材10が回転することが防止(規制)される。
以上のようにして圧力センシングデバイス1の板状部材10は、ペン先側ケース2011内に、その周縁部10Eのみが挟持されて取り付けられているので、当該板状部材10の周縁部10Eよりも内側の部分は、軸心方向の圧力を受けたときには、その受けた圧力に応じた変位をすることが可能な状態となる。
この場合に、板状部材10の周縁部10Eは、接着等されずに、ペン先側ケース2011のリング状突部2011bと、挟持保持用部材33の先端のリング状端面との間で挟持されているだけであるので、板状部材10の周縁部10Eにおいても、板状部材10の半径方向への変位は可能となっている。
もしも、板状部材10の周縁部10Eが接着等されていて板状部材10の半径方向への変位が不可となっている場合には、板状部材10に対する軸心方向の圧力が過大になったときや、例えば電子ペンが落下して芯体31を通じて衝撃圧力が板状部材10に印加されたときには、板状部材10が破損してしまう恐れがある。
しかし、この実施形態では、板状部材10の周縁部10Eは、前述したように、挟持されているだけであるので、板状部材10に対して過大圧力や衝撃圧力が印加されたときには、板状部材10の周縁部10Eが板状部材10の半径方向へ変位することで、板状部材10の破損を防止することができる。
以上のようにして、芯体31が結合された圧力センシングデバイス1の板状部材10が中空部2011a内に固定されたペン先側ケース2011のペン先側に、コイルケース203Aが螺合されることで、ペン先側ケース2011にコイル収納部材203が取り付けられる。その場合に、芯体31は、フェライトコア22の貫通孔22aを挿通するようにされて、その一方の端部31aがコイル収納部材203のフロントキャップ203Bの開口203Bから突出する状態となる。そして、コイル収納部材203のフロントキャップ203Bの開口203Bから突出する状態となっている芯体31の一方の端部31aに、ペン先部材204が圧入される。
また、前述したように、コイル収納部材203からは、コイル21の両端のリード線が後端側に導出されているが、このリード線は、ペン先側ケース2011の内壁面に形成されている凹溝2011gcを通して、ペン先側ケース2011の後端側に導出されている。このコイル21の両端のリード線は、プリント基板25上に設けられているキャパシタの両端に電気的に接続されるようにプリント基板25に対して接続される。このコイル21とキャパシタとにより、位置検出センサと電磁誘導結合するための共振回路が構成されている。
そして、芯体31が結合された圧力センシングデバイス1の板状部材10が中空部2011a内に固定されたペン先側ケース2011の後端側には、後端側ケース2012が結合される。最後に、後端側ケース2012の後端側に、後端キャップ部材202が装着されて、スタイラス2が完成する。フレキシブル基板36に接続されているプリント基板は、この後端側ケース2012の中空部内に収納される。
この実施形態のスタイラス2は、以上のように構成されているので、位置検出装置の位置検出センサの入力面に対してペン先部材204が接触して、当該ペン先部材204を通じて芯体31に印加される力に応じて、圧力センシングデバイス1の板状部材10がひずみ変形をする。
圧力センシングデバイス1の一方の面部10aに配設されたひずみ受感材では、そのひずみ変形に応じて抵抗値変化を生じるので、当該面部10aに形成されている回路部(ブリッジ回路)の端子には、印加された力に応じた出力電圧が得られる。
プリント基板25には、この実施形態では、芯体31の軸心方向に印加される力成分を、ペン先部材204に印加される筆圧として検出すると共に、芯体31の軸心方向に直交する方向に印加される力成分から、位置検出センサの入力面に対するスタイラス2の傾き角を検出するペン状態検出回路が設けられている。ペン状態検出回路は、フレキシブル基板36を通じて送られてくる圧力センシングデバイス1の出力電圧に基づいて、前記筆圧及び前記傾きを検出する。ペン状態検出回路は、圧力センシングデバイス1の出力電圧に基づいて、スタイラス2のペン先部材204と、位置検出センサの入力面との間の摩擦力をも検出するように構成することもできる。
<圧力センシングデバイスの実施形態の説明>
図6は、この発明の実施形態のスタイラス2で用いられる圧力センシングデバイス1の構成例を説明するための図である。なお、この例の圧力センシングデバイス1の板状部材10は、上述したように、突起10pa,10pb,10pcを備えるが、図6(A)に示す板状部材10では、便宜上、省略した。
この例の圧力センシングデバイス1は、前述したように、弾性を有する絶縁性部材からなる板状部材10の一方の面部10aに、複数個のひずみ受感材11が配設されて形成されている。図6は、この実施形態の圧力センシングデバイス1の板状部材10の一方の面部10aに配設される複数のひずみ受感材11の配設位置と、印加された力に応じて板状部材10に発生するひずみとの関係を示している。
図6(A)は、圧力センシングデバイス1を、その板状部材10の一方の面部10aに対して直交する方向であって、当該一方の面部10a側から見た図を示している。
この実施形態の圧力センシングデバイス1では、板状部材10は、弾性を有する材料からなる板例えば金属板、この例では、SUSで構成されている。この例では、板状部材10の一方の面部10a側に絶縁層(図示は省略)が設けられて絶縁性部材とされる。そして、板状部材10の一方の面部10a側の絶縁層上に、ひずみ受感材11及び導電パターン12が成膜されて形成されることで、この実施形態ではブリッジ回路が形成されて、圧力センシングデバイス1が形成される。
この例では、以上のように、圧力センシングデバイス1の板状部材10は、その周縁部10Eがペン先側ケース2011の内壁面のリング状突部2011bと挟持保持用部材33との間で挟持されて軸心方向及び周方向に移動不可の状態で固定されると共に、その中心部において芯体31が結合用ネジ34によりネジ止めされて結合されるので、図1(B)に示すように、結合用ネジ34の頭部34aの周縁の位置と、挟持保持用部材33の内径の位置との間の幅Wのリング状領域RGが、芯体31のペン先部材204に印加される力に応じて弾性ひずみを生じることが可能である領域となる。
すなわち、結合用ネジ34の頭部34aの半径をr1、挟持保持用部材33の内径をr4とすると、図6(A)に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10において、その中心位置Ocを中心とする半径rが、r1<r<r4の範囲である幅Wのリング状領域RGが、芯体31を通じて伝達される力に対応して弾性ひずみが発生する領域となる。図6(A)に示すように、この実施形態の圧力センシングデバイス1においては、この幅Wのリング状領域RGに、ジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11が複数個設けられる。
ところで、この例の圧力センシングデバイス1の板状部材10は、一定の厚さdを有する円板形状であって、その周縁部10Eで固定されると共に、その中心位置Oc(図6(A)参照)に、芯体31を通じて力が印加される。
ここで、板状部材10の幅Wのリング状領域RGの幅方向(板状部材10の半径方向)を、板状部材10の中心位置Ocを中心とした半径r1〜半径r2(r1<r2<r3)の範囲の内側リング状領域RG1と、半径r2〜半径r3(r2<r3<r4)の範囲の中間リング状領域RG0と、半径r3〜半径r4の範囲の外側リング状領域RG2とに3分割する。内側リング状領域RG1は、第1のリング状領域を構成し、外側リング状領域RG2は第2のリング状領域を構成する。そして、板状部材10が、筐体201内で、リング状突部と挟持保持部材33とのより挟持される周縁部10Eは、板状部材10において、印加部を中心として第2のリング状領域よりも以遠の位置となる。したがって、圧力センシングデバイス1の板状部材10は、印加部を中心とした第2のリング状領域よりも以遠の位置にて筐体と係合する状態となる。このように板状部材10の半径方向を領域分割すると、リング状領域RGの内側リング状領域RG1と外側リング状領域RG2とでは、芯体31のペン先部材204に力が印加されたときには、互いに逆向きの大きなひずみが生じ、中間リング状領域RG0では、発生するひずみは小さくなり、半径方向のその中央部では殆どひずみが生じない。
すなわち、圧力センシングデバイス1の板状部材10が、力受付部の例としての芯体31を介して面部10aに直交する方向の力(Z軸方向の力)を受けると、板状部材10は、図6(B)に示すように、下に突となるように弾性変形する。この場合に、Z軸方向の力以外の力が零であるときには、板状部材10においては、中心位置Ocから放射方向における同じ半径位置においては、全周に亘って等しいひずみを生じる。そして、そのひずみは、印加された力の大きさに応じたものとなると共に、図6(B)に示すように、内側リング状領域RG1では、伸長ひずみとなり、また、外側リング状領域RG2では、収縮ひずみとなって、互いに逆方向のひずみが生じる。そして、中間リング状領域RG0では、ひずみは比較的小さいものとなる。
したがって、内側リング状領域RG1と外側リング状領域RG2とのひずみの大きい位置に合わせてひずみ受感材11をそれぞれ設けて、内側リング状領域RG1での伸長ひずみと、外側リング状領域RG2での収縮ひずみとをそれぞれ検知することで、Z軸方向の力を検出することができる。
また、力受付部の例としての芯体31を介して圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに平行する方向の力(X軸方向またはY軸方向の力)を受けると、板状部材10は、図6(C)に示すように、板状部材10の中心位置Ocを中心として非対称に波打つようなひずみ変形をする。そして、そのひずみ変形の度合は、印加された力の大きさに応じたものとなると共に、図6(C)に示すように、板状部材10では、中心位置Ocを中心として互いに逆向きのひずみが生じる。
すなわち、図6(C)に示すように、力受付部の例としての芯体31に印加される力の方向から見て、中心位置Ocよりも手前側においては、内側リング状領域RG1では収縮ひずみが生じ、また、外側リング状領域RG2では伸長ひずみが生じる。また、力受付部の例としての芯体31に印加される力の方向から見て、中心位置Ocよりも後ろ側においては、内側リング状領域RG1では伸長ひずみが生じ、また、外側の外側リング状領域RG2では収縮ひずみが生じる。この場合も、中間リング状領域RG0では、ひずみは比較的小さいものとなる。
したがって、内側リング状領域RG1に配設されたジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11のひずみに応じた抵抗値の変化と、外側リング状領域RG2に配設されたジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11のひずみに応じた抵抗値の変化とから、X軸方向又はY軸方向の力成分を検出することができる。そして、この場合に、中心位置Ocよりも手前側の内側リング状領域RG1及び外側リング状領域RG2と、後ろ側の内側リング状領域RG1及び外側リング状領域RG2とでは、発生するひずみの態様が逆向きであることから、中心位置Ocよりも手前側と後ろ側とのそれぞれにおいてひずみ受感材11で検出したひずみ検出出力の差分を取ることで、X軸方向又はY軸方向の力成分の検出出力として、2倍の大きさの検出出力が得られる。
この実施形態の圧力センシングデバイス1の板状部材10では、以上のようなひずみ発生態様となることを踏まえて、圧力センシングデバイス1の板状部材10上に、以下に説明するように、ひずみ受感材11を配設することで、3軸圧力センシングデバイスを構成するようにする。
この実施形態においては、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに直交する方向に印加される力をZ軸方向の力として受けて、その大きさを検出する。また、この実施形態においては、圧力センシングデバイス1の板状部材10の面部10aに面方向に平行な方向に印加される力であって、互いに直交する方向の力を、X軸方向及びY軸方向の力として受けて、その大きさを検出する。
そこで、この実施形態の圧力センシングデバイス1においては、3軸圧力センシングデバイスとするために、図6(A)において点線で分割して示すように、円板からなる板状部材10の一方の面部10aは、円周方向が例えば4分割されて、それぞれ90度角範囲の4個の扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2に領域分割される。この場合に、図6(A)に示すように、この例では、扇形領域SX1とSX2とは、中心位置Ocを中心としてX軸方向に対向し、扇形領域SY1とSY2は、中心位置Ocを中心としてY軸方向に対向するように構成される。
そして、この実施形態では、各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれにおいて、力受付部の例としての芯体31を介して板状部材10に印加される力に応じて内側リング状領域RG1及び外側リング状領域RG2で互いに逆向きに生じるひずみ(伸長ひずみと収縮ひずみ)を検知するようにひずみ受感材11を配設する。
すなわち、この実施形態では、板状部材10の一方の面部10aの各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれにおけるリング状領域RGの内側リング状領域RG1と外側リング状領域RG2とのそれぞれにジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11を設ける。
そして、この実施形態では、各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれにおいて、ひずみ検出回路を構成するブリッジ回路を構成することができるように、内側リング状領域RG1と外側リング状領域RG2とのそれぞれの周方向に、2個ずつのひずみ受感材11を設ける。
図6(A)では、板状部材10の一方の面部10aの各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれに設けるひずみ受感材11を区別することができるように、参照符号11に括弧を付随させ、その括弧内に別の参照符号を付している。以下の説明において、ひずみ受感材11を区別する必要がないときには、そのままの参照符号を用いてひずみ受感材11と記載し、区別する必要があるときには、括弧内の参照符号を用いて説明することとする。
図6(A)においてハッチングを付して示すように、扇形領域SX1においては、内側リング状領域RG1には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材X1,X2が設けられる。また、外側リング状領域RG2には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材X3,X4が設けられる。また、扇形領域SX2においては、内側リング状領域RG1には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材X5,X6が設けられる。また、外側リング状領域RG2には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成されたからなる2個のひずみ受感材X7,X8が設けられる。
また、扇形領域SY1においては、内側リング状領域RG1には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材Y1,Y2が設けられる。また、外側リング状領域RG2には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材Y3,Y4が設けられる。また、扇形領域SY2においては、内側リング状領域RG1には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材Y5,Y6が設けられる。また、外側リング状領域RG2には、その周方向に沿ってジグザグパターンとして形成された導電性材からなる2個のひずみ受感材Y7,Y8が設けられる。
すなわち、この実施形態では、ひずみ受感材11は、図6(A)に示すように、線状の導電部材をジグザグ状に折り曲げて板状部材10の半径方向に直交する方向(円周方向)に配設し、板状部材10の半径方向(ひずみの発生方向)の長さが長さL0として構成されており、その円周方向の長さは、それぞれが配設される扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれの角範囲分に収められる長さとされている。
このようにひずみ受感材11を配設することで、圧力センシングデバイス1では、ひずみを十分な感度で、かつ、検出出力電圧の大きさを保持して検出することができる。すなわち、線状の導電性材を円周方向にジグザグに複数折り返して形成して、板状部材10の半径方向の長さがL0としたジグザグ状パターンからなるひずみ受感材11の前記長さL0の部分部分においてひずみが検知され、その長さL0の部分におけるひずみ検知が、ひずみ受感材11の円周方向の長さ分に亘って行われることになる。
そして、この実施形態では、板状部材10の一方の面部10aにおいて、内側リング状領域RG1に配設されるひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6は、当該内側リング状領域RG1において印加された力に応じて発生するひずみが大きく発生する位置、この例では、内側リング状領域RG1の幅方向(半径方向)の中央位置又はその近傍に配設される。すなわち、ひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6のそれぞれを構成するジグザグ状パターンからなる導電性材を、内側リング状領域RG1において、発生するひずみが大きい幅方向(半径方向)の中央位置又はその近傍にピンポイントに合わせて配設される。
以上のようにして、ひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6は、板状部材10の一方の面部10aにおいて、中心位置Ocから同一の半径位置において、周方向に沿ってジグザグ状パターンとして形成されたひずみ発生位置に合わせて配設される。
同様に、外側リング状領域RG2に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X3、X4,X7、X8及びひずみ受感材Y3,Y4,Y7,Y8は、当該外側リング状領域RG2において印加された力に応じたひずみが大きく発生する位置、この例では、外側リング状領域RG2の幅方向(半径方向)の中央位置又はその近傍に配設される。したがって、ひずみ受感材X3、X4,X7、X8及びひずみ受感材Y3,Y4,Y7,Y8は、板状部材10の一方の面部10aの外側リング状領域RG2において、中心位置Ocから同一の半径位置において、周方向に沿って、ひずみ発生位置に合わせて配設される。
そして、内側リング状領域RG1に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6と、外側リング状領域RG2に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X3、X4,X7、X8及びひずみ受感材Y3,Y4,Y7,Y8とは、図6(A)に示すように、板状部材10の中心位置Ocを中心とした放射方向、すなわち、ひずみの発生方向に整列するように配設される。
さらに、この実施形態においては、内側リング状領域RG1に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6と、外側リング状領域RG2に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X3、X4,X7、X8及びひずみ受感材Y3,Y4,Y7,Y8との内、少なくとも中心位置Ocから放射方向(半径方向)に並ぶ2個ずつのジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11は、ひずみが発生していないときの抵抗値が等しくなるようにする。
この実施形態では、板状部材10の中心位置Ocとした放射方向の全てで、ひずみの受感感度が等しくなるようにするために、内側リング状領域RG1に周方向に配設されるジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材X1、X2,X5、X6及びひずみ受感材Y1,Y2,Y5,Y6は、ひずみが発生していないときの抵抗値が、全て同一の値となるようにしている。したがって、この例では、ひずみ受感材X1〜X8及びひずみ受感材Y1〜Y8の全てを、ひずみが発生していないときの抵抗値が等しくなるように形成している。
この場合に、ひずみ受感材11の抵抗値は、導電性材の幅と、長さと、厚さ及び導電性材の材料により決まるので、導電性材の幅と、長さと、厚さとを等しくすることで、ひずみが発生していないときの抵抗値が等しくなるようにしている。しかし、ひずみ受感材X1〜X8及びひずみ受感材Y〜Y8の導電性材の幅と、長さと、厚さとをそれぞれ調整することで、ひずみが発生していないときの抵抗値が等しくなるようにしてもよい。
この実施形態の圧力センシングデバイス1は、板状部材10の一方の面部10aに、予め、ひずみ受感材11のそれぞれが形成されると共に、導電パターン12が形成されることで、所定の回路、この例ではブリッジ回路が形成される。そして、板状部材10の一方の面部10aには、形成されたブリッジ回路と、外部のプリント基板25に形成されている回路部分との接続用電極が形成される。
この実施形態の圧力センシングデバイス1においては、前述したように、板状部材10の一方の面部10aの各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれに配設される4個のジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材により、ひずみ検出回路を構成するブリッジ回路が構成される。
各扇形領域SX1,SY1,SX2,SY2のそれぞれに配設される4個のジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11で構成されるブリッジ回路は、同様の構成を有する。図7は、扇形領域SX1において、4個のひずみ受感材X1〜X4が導電パターン12により電気的に接続されて形成されるブリッジ回路の構成を、その代表例として示す図である。図7に示すように、ブリッジ回路のそれぞれは、電子ペン2の筐体201の中空部2011a内においてプリント基板25の導電パターンと電気的に接続するための4個の接続用電極tV、tG、tO(+)、tO(−)を有する。接続用電極tVは電源電圧Vccが供給される電極、接続用電極tGは接地される電極、接続用電極tO(+)はブリッジ回路の第1の出力端子、接続用電極tO(−)はブリッジ回路の第2の出力電極である。
この図7のブリッジ回路においては、出力電極tO(−)に得られる電圧と、出力電極tO(+)に得られる出力電圧との差分の電圧として、圧力センシングデバイス1に印加された力のX軸方向の力成分に応じた出力電圧EX1が得られる。
他の扇形領域SX2,SY1,SY2においても、同様によりブリッジ回路が形成されて、それぞれのブリッジ回路から、圧力センシングデバイス1に印加された力に応じた出力電圧EX1,EX2,EY1,EY2が得られる。
そして、扇形領域SX1,SX2,SY1,SY2に形成されている4個のブリッジ回路のそれぞれの出力電圧EX1,EX2,EY1,EY2を用いることで、電子ペン2の芯体31に印加された力のZ軸方向の力成分についての出力電圧EZ、X軸方向の力成分についての出力電圧EX及びY軸方向の力成分についての出力電圧EYが、次のような演算式より得られる。
すなわち、Z軸方向の力成分については、図6(B)に示したように、板状部材10の中心位置Ocを中心とする放射方向に同様のひずみ変形が生じるので、圧力センシングデバイス1の検出出力電圧EZは、
EZ=EX1+EX2+EY1+EY2
として算出される。
また、X軸方向の力成分については、図6(C)に示したように、板状部材10の中心位置Ocの手前側と、後ろ側とで、逆向きのひずみが生じるので、圧力センシングデバイス1の検出出力電圧EXは、
EX=EX1−EX2
として算出される。
また、Y軸方向の力成分についても、同様に、図6(C)に示したように、板状部材10の中心位置Ocの手前側と、後ろ側とで、逆向きのひずみが生じるので、圧力センシングデバイス1の検出出力電圧EYは、
EY=EY1−EY2
として算出される。
そして、この実施形態においては、力センサ1の板状部材10の一方の面部10aにおいては、ひずみ受感材11及び導電パターン12が形成されると共に、接続用電極tV、tG、tO(+)、tO(−)も形成される。したがって、この実施形態の圧力センシングデバイス1は、この例ではSUSからなる金属板上に、圧力センシングデバイス1を大量に面付けすることで、量産することができる。
図8(A)は、金属板から切り出された、絶縁膜41及び受感材料をジグザクに成膜した圧力センシングデバイス1を示している。なお、図8(A)では、板状部材10の突起10pa,10pb,10pcは、図示を省略した。
次に、図8(B)に示すように、作成したそれぞれの圧力センシングデバイス1に対して、力受付部の例としての芯体31を、板状部材10の面部の中央部においてネジ止めして結合することで、力検出部材の主要部品を構成する。したがって、この主要部品も量産することができる。なお、この主要部品には、前述したように、フレキシブル基板36が圧力センシングデバイス1に対して装着されているが、フレキシブル基板36は、図8(B)では図示を省略してある。
そして、この主用部品を、圧力センシングデバイス1の板状部材10の周縁部10Eをペン先側ケース2011のリング状突部2011bと挟持保持用部材33とで挟持することで、ペン先側ケース2011に固定することができる。つまり、この実施形態では、ペン先側ケース2011に圧力センシングデバイス1に芯体31が結合された力検出部材の主用部品を取り付けることで、力検出部材が構成される。
したがって、この実施形態では、力検出部材における圧力センシングデバイスがひずみ変形をすることができるように、圧力センシングデバイスを保持する部材がスタイラス2の筐体201を構成するペン先側ケース2011により構成されている。すなわち、スタイラスの筐体自身が、圧力センシングデバイス1の支持をする構造となっている。このため、圧力センシングデバイスを保持する部材を、スタイラスの筐体とは別個に設ける必要がないので、その分のスペースが不要となり、スタイラスの細型化に寄与する。
また、この実施形態における圧力センシングデバイスの製造には、ひずみ受感材がパターニングされて配設されたフレキシブル基板を接着材により接着する工程が不要であるので、その点でも量産に向いている。
以上のように構成されるスタイラス2は、フェライトコア22に巻回されているコイル21と、プリント基板25に配設されているキャパシタとにより構成される共振回路を備えている。
一方、位置検出装置は、X軸方向ループコイル群と、Y軸方向ループコイル群とが積層されて構成された位置検出センサを備えている。位置検出装置3は、スタイラス2による指示位置の検出を、コイル21とキャパシタとからなる共振回路と電磁誘導結合して、スタイラス2からの信号を受信する位置検出センサ上の位置を検出することで行う。
また、この例のスタイラス2は、上述した圧力センシングデバイス1の検出出力に基づいてペン先部材204に印加される筆圧や、スタイラス2の傾きや、摩擦力などのペン状態情報を検出し、位置検出装置に伝送する機能を有する。
スタイラス2は、検出したペン状態情報を、例えば、位置検出センサを介して位置検出装置にディジタル信号として伝送するようにする。その場合には、スタイラス2は、コイル21とキャパシタで構成される共振回路を動作状態と、非動作状態に切替制御する制御回路が設けられて構成される。そして、スタイラスの制御回路は、ペン状態情報をディジタル信号に変換し、このディジタル信号により共振回路を動作状態と非動作状態とに切替制御することにより、ペン制御情報をASK(Amplitude Shift Keying)変調信号として、位置検出装置の位置検出センサに供給する。
この場合に、スタイラス2の信号制御回路とペン状態情報検出回路と圧力センシングデバイス1用の電源電圧は、位置検出装置から電磁誘導結合により送られてくるエネルギーを用いてもよいし、スタイラス2に電池を内蔵するようにしてもよい。
位置検出装置は、位置検出センサの2つのループコイル群のうちから、スタイラス2と電磁誘導結合して信号を検出する子Oができるループコイルを検出することで、スタイラス2による位置検出センサ上の指示位置を検出する。また、位置検出センサを通じて受信する上記のASK信号を復調することで、ペン状態情報を検出し、スタイラス2における筆圧やスタイラス2の傾きなどのペン状態を検出する。
なお、筆圧や傾きなどのペン状態情報は、スタイラスと位置検出センサとの電磁結合により位置検出装置に送信するようにしたが、別途、例えばブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信手段をスタイラスと位置検出装置とに設けて、その無線通信によりスタイラスから位置検出装置に送信するようにしてもよい。
[実施形態の効果]
以上説明したスタイラス2によれば、量産が可能な圧力センシングデバイス1を、筐体201の一部を構成するペン先側ケース2011内において、リング状突部2011bと挟持保持用部材33とで挟持することで固定するようにする簡単な構成であるので、スタイラス2の量産も可能となる。
しかも、圧力センシングデバイス1を含む力検出部材は、ペン先側ケース2011をも含んで構成されるので、スタイラス2の細型化が可能であるという効果もある。
そして、上述の実施形態のスタイラス2で用いる圧力センシングデバイス1は、円板状の板状部材10の中心位置から放射方向(半径方向)に異なる位置の領域である内側リング状領域RG1と、外側リング状領域RG2とのそれぞれに、ジグザグ状パターンとして形成されたひずみ受感材11を配置することで、圧力センシングデバイス1に印加される力を検出することができる構成である。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態のスタイラス2では、圧力センシングデバイス1のひずみ受感材11や導電パターン12が形成されている一方の面部10aを、スタイラス2の後端側に対向するようにすると共に、この面部10aに圧着したフレキシブル基板36は、挟持保持用部材33の中空部を通って、後端側ケース2012側に導出するようにした。このため、挟持保持用部材33を、ペン先側ケース2011の内壁面のねじ部にねじ込む作業をする際に、フレキシブル基板36の存在が邪魔になる恐れがある。
第2の実施形態のスタイラス2Aは、この問題を改善した例である。図9は、この第2の実施形態のスタイラス2Aの構成例を説明するための図であり、図9(A)は、この第2の実施形態のスタイラス2Aで用いられるフレキシブル基板36Aの形状を示す図、図9(B)及び図9(C)は、フレキシブル基板36Aと、このスタイラス2Aで用いられる圧力センシングデバイス1Aとの接続状態を示す図、図9(D)はスタイラス2Aのペン先側の構成を示す断面図である。なお、図9(D)は、上述の第1の実施形態のスタイラス2の構成例を示す図1(B)に対応する断面図である。図9において、上述した第1の実施形態のスタイラス2と同一部分には、同一の参照符号を付してその説明は省略する。
図9(A)に示すように、このフレキシブル基板36Aは、圧力センシングデバイス1Aとの接続側部36Aaと、プリント基板25との接続側部36Abとの間は、幅狭の連結くびれ部36Acとされている。なお、接続側部36Aaには、結合用ネジ34が貫通される貫通孔36Adが形成されている。
そして、圧力センシングデバイス1Aの板状部材10Aは、図9(B)に示すように、突起10pa,10pbを有すると共に、突起10Apcを備える。この板状部材10Aの突起10Apcは、圧力センシングデバイス1の板状部材10の突起10pcの溝10pcsの円周方向の幅が広い溝10Apcsを備えるように構成されている。フレキシブル基板36Aの連結くびれ部36Acの幅wtは、この板状部材10Aの突起10Apcの溝10Apcsの円周方向の幅よりも若干小さいものとされている。
図示は省略するが、ペン先側ケース2011の凹溝2011gcも、板状部材10Aの突起10Apcに応じた大きさとされている。そして、第1の実施形態のスタイラス2と同様に、この実施形態のスタイラス2Aにおいても、コイル21の両端がこの凹溝2011gcを通って、ペン先側ケース2011の後端側に導出される。
そして、この実施形態のスタイラス2Aにおいては、図9(D)に示すように、ひずみ受感材11、導電パターン12及び接続端子が形成される板状部材10Aの一方の面部10Aa側が、芯体31との結合側となるように構成される。そして、図9(B)、(C)及び(D)に示すように、フレキシブル基板36Aの圧力センシングデバイス1Aとの接続側部36Aaは、板状部材10Aの一方の面部10Aa側に圧着されて取り付けられると共に、くびれ部36Acが、突起10Apcの溝10Apcsを通って、板状部材10Aの他方の面部10Ab側に導出される。
このとき、フレキシブル基板36Aのくびれ部36Acは、図9(D)に示すように、ペン先側ケース2011の内壁面の凹溝2011gcに位置していて、圧力センシングデバイス1Aの板状部材10Aの周縁端の外側となっており、フレキシブル基板36Aは、挟持保持用部材33の外側に位置する。
したがって、図9(D)に示すように、圧力センシングデバイス1Aを挟持保持用部材33とリング状突部2011bとで挟持するために、挟持保持用部材33をペン先側ケース2011にねじ込むときに、フレキシブル基板36Aが邪魔になることはない。
[圧力センシングデバイスのペン先側ケースへの組み付け方法の他の例]
上述の実施形態では、後端側から挟持保持用部材33をペン先側ケース2011の中空部2011a内にねじ込んで、圧力センシングデバイス1,1Aを、ペン先側ケース2011の中空部2011a内に固定するようにした。しかし、図10の模式図に示すように、挟持保持用部材33を、ペン先側ケース2011のペン先側からねじ込んで、リング状ワッシャー部材32を介して圧力センシングデバイス1を、挟持保持用部材33とペン先側ケース2011のリング状突部2011bとの間で挟持して固定するようにしてもよい。
この例の場合には、圧力センシングデバイス1の一方の面部10a側に圧着されているフレキシブル基板36は、挟持保持用部材33をねじ込む際には、邪魔になることがないというメリットがある。
なお、上述の実施形態では、挟持保持用部材33は、ペン先側ケース2011の中空部内にねじ込むようにしたが、ペン先側ケース2011の中空部内に圧入するようにしてもよい。図11の模式図は、図10に示した例のスタイラスの場合に適用した例であり、この図11の例では、ねじ部を有しない挟持保持用部材33Bを、ペン先側ケース2011のペン先側から圧入している。なお、この図11の例では、コイル収納部材203とペン先側ケース2011とも螺合ではなく、圧入結合されている。
また、上述の実施形態では、スタイラス2,2Aの筐体201のペン先側ケース2011に一体的にリング状突部2011bを形成するようにした。しかし、圧力センシングデバイスを挟持保持用部材とで挟持するリング状突部は、筐体と別体として形成するようにしてもよい。図12の模式図は、そのように構成したスタイラスの要部を示すものである。
この図12の例においては、ペン先側ケースは設けられず、筐体201に対して、コイル収納部材203が結合される。図12に示すように、この例においては、筐体201及びコイル収納部材203の双方に対して螺合する筒状部材205が設けられる。この筒状部材205は、リング状突部205bを有するように構成されていると共に、その内壁面にもねじ部が設けられている。
この図12の例では、イモネジで構成される挟持保持用部材33が、筒状部材205内にねじ込まれることにより、圧力センシングデバイス1の板状部材10は、リング状突部205bと、挟持保持用部材33とでリング状ワッシャー部材32を介して挟持される。
なお、この図12の例においては、筒状部材205の後端側から挟持保持用部材33をねじ込むようにしたが、図10の例のように、筒状部材205のペン先側から挟持保持用部材33をねじ込むように構成してもよい。
<その他の変形例>
上述の第1の実施形態のスタイラス2では、図3に示したように、圧力センシングデバイス1の板状部材10には突起10pa,10pb,10pcを設け、図5に示したように、ペン先側ケース2011の内壁面には凹溝2011ga,2011gb,2011gcを設けて、圧力センシングデバイス1をペン先側ケース2011の円周方向の位置決めを行うと共に、圧力センシングデバイス1のペン先側ケース2011内での円周方向の回転を不能に構成するようにした。しかし、逆に、図13に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10には凹溝10pa,10pb,10pcを設けると共に、図15に示すように、ペン先側ケース2011の内壁面には突起2011ga,2011gb,2011gcを設けることで、圧力センシングデバイス1をペン先側ケース2011の円周方向の位置決めを行うと共に、圧力センシングデバイス1のペン先側ケース2011内での円周方向の回転を不能に構成するようにしてもよい。なお、第2の実施形態のスタイラス2Aについても、同様に構成することができることは言うまでもない。
この場合に、圧力センシングデバイス1と挟持保持用部材33との間に介在させるリング状ワッシャー部材32には、図14に示すように、ペン先側ケース2011の内壁面の突起2011pa,2011pbに対応する位置に、凹溝32pa及び32pbが設けられる。また、この場合にもペン先側ケース2011には、図15に示すように、コイル21の両端のリード線を挿通させるための凹溝2011gcは、形成されているものである。
また、図16(A),(B)に示すように、圧力センシングデバイス1の板状部材10の周縁部10Eに貫通孔10ha,10hb,10hcを設けると共に、図16(C)に示すように、ペン先側ケース2011の内壁面に設けられているリング状突部2011bの板状部材10の周縁部10Eとの当接面に、板状部材10の貫通孔10ha,10hb,10hcに係合する突部2011pd,2011pe,2011pfを形成することで、板状部材10の回転を不能に構成するようにしてもよい。
なお、図16の例では、板状部材10の周縁部10Eには、貫通孔10ha,10hb,10hcを形成するようにしたが、貫通しない凹部として、この凹部にリング状突部の突部2011pd,2011pe,2011pfが係合するようにしてもよい。
また、図17に示すように、板状部材10の形状を、その一部を直線状に切り欠いた部分10sa,10sbを備える形状とすると共に、ペン先側ケース2011のリング状突部の形状を、対応する形状(図示は省略)とすることにより、板状部材10の回転を不能に構成するようにしてもよい。
なお、板状部材10において、図3の例の突部10pa,10pb,10pc、図13の例の凹溝10ga,10gb,10gc、また、図16の例の貫通孔10ha,10hb,10hcは、上述の例では複数個としたが、1個であってもよい。同様に、図17の例の切り欠いた部分10sa,10sbも、複数個ではなく、1個であってもよい。
なお、図13〜図17の例は、第2の実施形態のスタイラス2Aについても、同様に構成することができることは言うまでもない。
なお、上述の実施形態のスタイラス2においては、リング状突部2011bと、挟持保持用部材33との間で圧力センシングデバイス1、1Aの周縁部を挟持する際に、板状部材10,10Aとリング状突部2011bとは直接的に衝合させるようにした。しかし、板状部材10,10Aとリング状突部2011bとの間にも、リング状ワッシャー部材などの弾性体を設けるようにしてもよい。
上述の実施形態のスタイラス2,2Aにおいては、実施形態の圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aの中心部において結合用ネジ34を用いてネジ止めして、力受付部を構成する芯体31と結合するようにした。しかし、圧力センシングデバイス1,1Aと力受付部を構成する芯体31との結合方法は、これに限られるものではない。
図18に、圧力センシングデバイス1の板状部材10と力受付部との結合方法の他のいくつか例を示す図である。なお、図18では、力受付部は芯体31で構成する場合として説明するが、芯体31を、圧力伝達部材を介して板状部材10と結合するようにすることもできるものである。その場合には、図18における芯体31は、全て圧力伝達部材に置き換えられるものである。
図18(A)の例では、板状部材10の力が印加される中心部に、凹部10goを形成すると共に、芯体31の端部31bの端面形状を、凹部10goに対応する曲面形状とする。そして、芯体31は、端部31bを板状部材10の凹部10goに係合させると共に、図示は省略するバネなどの弾性部材により、芯体31を板状部材10側に押し当てるように構成する。これにより、圧力センシングデバイス1の板状部材10に対して、芯体31が係止される。
また、図18(B)の例では、板状部材10の力が印加される中心部に、芯体31側に凸となる凸部10pdを形成すると共に、芯体31の端部31bの端面に、凸部10pdが嵌合される凹部31gaを形成する。そして、芯体31の凹部31gaに板状部材10に形成された凸部10pdを嵌合させると共に、図示は省略するバネなどの弾性部材により、芯体31を板状部材10側に押し当てるように構成する。これにより、圧力センシングデバイス1の板状部材10に対して、芯体31が係止される。
また、図18(C)に示すように、板状部材10の力が印加される中心部に、貫通孔10hdを設けるとともに、芯体31の端部31bの端面に、貫通孔10hdに嵌合する凸部31paを形成して段差部31dを形成する。この例においても、図示は省略するバネなどの弾性部材により、芯体31を板状部材10側に押し当てるように構成してもよいし、芯体31の凸部31paを板状部材10の貫通孔10hd内に圧入するように構成してもよい。これにより、圧力センシングデバイス1の板状部材10に対して、芯体31が係止される。
なお、図18(D)に示すように、図18(C)の例の板状部材10の貫通孔10hdを、芯体31との結合側から徐々に先細となるテーパーを有する貫通孔10hd´に変更し、芯体31の端部31bの端面には、この貫通孔10pd´に対応する先細形状の凸部31pa´とするようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、結合用ネジ34を用いて、圧力センシングデバイス1の板状部材10と芯体31などの力受付部とを結合するようにしたが、結合用ネジ34を用いずに、板状部材10と芯体31などの力受付部とを螺合させることもできる。
例えば、図18(E)に示すように、板状部材10の力が印加される中心部には、微細加工によるねじ孔部10nを形成すると共に、芯体31の端部31bの端面にねじ部31nを形成する。そして、芯体31の端部31bの端面のねじ部31nを、板状部材10のねじ孔部10nに螺合することで、両者を係止して結合するようにする。
さらに、図18(E)の変形例として、図18(F)に示すように、芯体31の端部31bのねじ部31nの長さを、板状部材10の厚さよりも大きくしておき、ねじ部31nの板状部材10を貫通して突出した部分に、ナット37を螺合させることで、芯体31と板状部材10とを強固に結合するようにしてもよい。なお、図18(F)の例の場合には、板状部材10の中心部には、ねじ孔部10nとせずに、ねじ部31nが貫通する貫通孔を形成するようにしてもよい。
さらに、例えば、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aと芯体31とを、例えばSUSにより一体に形成するようにしてもよいし、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aと芯体31とを、溶接するようにしたり、接着材により接合したりするようにしてもよい。
以上の変形例において、結合用ネジを用いない場合には、図18(F)の例の場合を除き、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aには、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aの一方の面部10a,10Aa側における、結合用ネジ34の頭部34aの存在スペースを考慮する必要がなくなる。
そこで、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aの一方の面部10a,10Aa側の中央部に、ICやアンプなどの受動部品等の電子部品を配設することができる。その場合には、ブリッジ回路の接続用電極tV、tG、tO(+)、tO(−)と接続される導電パターン12の外部接続用の端子を、電子部品の端子の接続用のパッドとして使用することが可能である。
上述の実施形態では、各分割領域SX1,SX2,SY1,SY2のそれぞれに配設された4個のひずみ受感材は、ひずみが発生していないときの抵抗値が全て同一の値となるとして説明したが、ひずみ受感材の抵抗値が同一の値である必要はない。原理的には、ブリッジ回路における平衡条件、例えば、図7においてひずみ受感材X1、X2、X3、X4でブリッジ回路が構成されており、ひずみが発生していないときの抵抗値をそれぞれRX1、RX2、RX3、RX4とすると、RX1・RX2=RX3・RX4の平衡条件を満たすそれぞれの抵抗値を設定すると、ひずみが生じていない場合、出力電極tO(−)及び出力電極tO(+)の出力電圧は等しくなり、その差の出力電圧はゼロとなる。
なお、上述の実施形態では、圧力センシングデバイス1,1Aに印加される力のZ軸方向の力成分、X軸方向の力成分及びY軸方向の力成分の3軸方向の力成分に応じたひずみ検出出力を得るようにしたので、板状部材10,10Aの一方の面部10a,10Aaを、4個の扇形領域SX1,SX2,SY1,SY2に分けて、それぞれの領域にひずみ受感材11を設けるようにしたが、このような構成に限られる訳ではない。
なお、上述の実施形態では、圧力センシングデバイスの一方の面部にのみひずみ受感材を配設するようにしたが、一方の面部と他方の面部との両方にひずみ受感材を配設するようにしてもよい。その場合に、例えば、一方の面部には、Z軸方向のひずみを検出するためのひずみ受感材を配設し、他方の面部には、X軸方向及びY軸方向のひずみを検出するためのひずみ受感材を配設するようにしてもよい。
また、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aは、円板ではなく、多角形状であってもよく、その場合のリング状領域も、多角形状であってもよい。
また、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aは、一定の厚さとしたが、力の印加部を中心とした放射方向において厚さが変化しているものであってもよい。例えば、上述の実施形態の圧力センシングデバイス1,1Aの場合において、内側リング状領域RG1及び外側リング状領域RG2において、ひずみ受感材を配設する部分近傍は、ひずみ変形がし易いように厚さを他の部分よりも薄く構成してもよい。
また、上述の実施形態のスタイラスでは、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10と結合する力受付部としては、芯体31としたが、芯体31に対して軸心方向に力伝達部材を結合したものを力受付部として構成し、力伝達部材と圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10,10Aと結合するように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、圧力センシングデバイス1,1Aの板状部材10の一方の面部10a,10Aaは、ペン先側とは反対側の面部としたが、板状部材10の一方の面部10a,10Aaを、ペン先側の面部として、この面部10a,10Aaで力受付部と結合するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、スタイラスの筐体201を、ペン先側ケース2011と後端側ケース2012とに2分するようにしたが、筐体201は、この例のように2分するのではなく、1個の筒状のケースで構成されていても勿論よい。
なお、上述の実施形態のスタイラスは、電磁誘導方式のものとしたが、この発明によるスタイラスは、ペン先部に印加される力を、圧力センシングデバイスでひずみ受感材を用いて検出するものであれば、静電結合方式の他、いずれの方式のものであってもよい。
上述の実施形態では、圧力センシングデバイス1,1Aにおいては、板状部材10の一方の面部10a,10Aaにのみ、ひずみ受感材11を配設するようにしたが、板状部材10,10Aの他方の面部10bにもひずみ受感材を配設するようにしてもよい。例えば、板状部材10の一方の面部10aには、Z軸方向の力を検出するためのひずみ受感材を設け、他方の面部10b側には、X軸方向及びY軸方向の力を検出するためのひずみ受感材を設けるようにしてもよい。
その場合には、他方の面部10bに配設するひずみ受感材は、上述の実施形態の圧力センシングデバイスと同様にして、円周方向を4分割して、各分割領域SX1,SX2,SY1,SY2のそれぞれに4個のジグザク状パターンとして形成されたひずみ受感材を配設すると共に、一方の面部10aには、2個の半円形領域の内側リング状領域RG1に2個のジグザク状パターンとして形成されたひずみ受感材11を、外側リング状領域RG2に2個のジグザク状パターンとして形成されたひずみ受感材11を、それぞれ配設したり、内側リング状領域RG1にリング状の1個のジグザク状パターンとして形成されたひずみ受感材11を配設すると共に、外側リング状領域RG2にリング状の1個のジグザク状パターンとして形成されたひずみ受感材11を、それぞれ配設するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、圧力センシングデバイスは、板状部材に直接的にひずみ受感材及び導電パターンを形成するようにしたが、板状部材の形状に合わせたフレキシブル基板に、上述のようにして、ひずみ受感材と導電パターンを形成して、そのフレキシブル基板を、板状体の面部に接着するようにしてもよいことは言うまでもない。
なお、上述の実施形態では、圧力センシングデバイスの周縁部を挟持することで、圧力センシングデバイスを保持して、スタイラスの筐体内に配設するようにしたが、これに限られるものではない。
例えば、圧力センシングデバイスを構成する板状部材の周縁部を溶接により挟持保持用部材と同様の形状の保持部材に固定するようにしてもよい。
また、以下に説明する例のように、圧力センシングデバイスを構成する板状部材の構成を工夫することで、圧力センシングデバイスを保持部材に固定するように構成することもできる。
図19は、この例の圧力センシングデバイス1Bを説明するための図である。この例の圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bも、上述の例と同様に、弾性的にひずみ変形が可能な材料、この例では、SUS板からなる薄板で構成されている。そして、この例では、図19(A)に示すように、板状部材10Bは、中央の領域部分から、互いに直交する方向に延伸する4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4を備える。板状部材10Bの中央の領域部分は、例えば上述の円形の板状部材10の半径r4の領域(図3参照)に対応する領域であって、芯体31を通じて印加される圧力によりひずみ変形を生じる領域とされている。
そして、この例の圧力センシングデバイス1Bにおいては、図19(A)において点線で示すように、板状部材10Bの中央の領域部分と4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれとの境目近傍位置において、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれは、図19(B)に示すように、板状部材10Bの中央の部分とは直交する方向に折り曲げられる。
そして、図19(A)及び(B)に示すように、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれの先端部近傍には、後述する保持部材に、この例ではネジ止め固定するための貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aのそれぞれが形成されている。
また、図19(A)に示すように、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの中央の領域部分の中心部には、上述の実施形態の圧力センシングデバイス10,10Aと同様に、電子ペンの芯体31を、この板状部材10Bにネジ止め固定するための貫通孔10Bcが形成されている。そして、図20に示すように、この例の圧力センシングデバイス1Bに対しても、上述の例と同様にして、電子ペンの芯体31が、結合用ネジ34により固定される。なお、図示は省略したが、この例においても、結合用ネジ34と圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bとの間にはリング状ワッシャーが介在している。
この例の圧力センシングデバイス1Bは、図20に示すように、円筒状あるいは円柱状の保持部材33Bに対して、板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4が、この例では、ネジ止め固定される。
すなわち、図20に示すように、保持部材33Bの軸心方向の一方の端面側の側周面には、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれが嵌合して挿入される凹溝33B1,33B2,33B3,33B4(凹溝33B4は、図20には図示せず)が形成されている。この場合に、保持部材33Bの外径は、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの中央の領域部分の板面方向の外形の大きさよりも大きく選定されている。そして、圧力センシングデバイス1Bと保持部材33Bとは、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれが凹溝33B1,33B2,33B3,33B4に挿入されたときに、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4により保持部材33Bが挟持されるような寸法を有するものとされている。
また、凹溝33B1,33B2,33B3,33B4の保持部材33Bの軸心方向の長さは、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の長さよりも短くされている。これにより、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bと、保持部材33Bの軸心方向の一方の端面との間には、空間が生じ、板状部材10Bは、その板面に直交する方向にひずみ変形することが可能となるように構成されている。
そして、図20に示すように、凹溝33B1,33B2,33B3,33B4のそれぞれに挿入された圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4のそれぞれは、ネジ13により、貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aのそれぞれを通じて保持部材33Bに対して固定される。
こうして、芯体31が結合された圧力センシングデバイス1Bが保持部材33Bに固定されたものは一つのモジュールの構成とすることができる。図20から明らかなように、このモジュールの保持部材33Bの軸心方向に直交する方向においては、圧力センシングデバイス1Bは、保持部材33Bの外径よりも外側となることはない。したがって、電子ペンの筐体の中空部の内径が保持部材33Bの外径よりも大きければ、電子ペンの筐体の中空部内にモジュールを配設することが可能となる。
そして、このモジュールが、電子ペン1の筐体内に、当該筐体の一方の開口から芯体の先端が突出する状態で、筐体の軸心方向に移動せず、かつ、筐体の軸心方向に直交する方向にも移動しないように配設されることで、芯体31に印加される圧力を検出することができる。
次に、この例のひずみ検出回路の構成について説明する。この例では、図19(A)に示すように、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bの中央の領域部分の、芯体31が結合される側の一方の面10Ba上には、複数個、この例では、4個のひずみ受感材11Bと導電パターン12Bが成膜されて形成されることでブリッジ回路が形成されている。
図19(A)では、板状部材10Bの一方の面部10aの設ける4個ひずみ受感材11Bを区別することができるように、参照符号11Bに括弧を付随させ、その括弧内に別の参照符号を付している。以下の説明において、ひずみ受感材11Bを区別する必要がないときには、そのままの参照符号を用いてひずみ受感材11Bと記載し、区別する必要があるときには、括弧内の参照符号を用いて説明することとする。
この場合に、4個のひずみ受感材11Bは、この例においても、ひずみ変形に応じて抵抗値を変える導電性材を用いる。
この例では、4個のひずみ受感材11Bは、図19に示すように、同一半径の円周に沿ってジグザク状パターンとして形成し、それぞれ90度角範囲よりも若干狭い角範囲において配設されている。この場合に、図19に示すように、中心孔10Bcを挟んで互いに対向する位置にある2個のひずみ受感材11Bは、互いに対向する位置にある脚部の方向に沿ってジグザク状パターンとして配置されるように構成されている。すなわち、図19の例においては、ひずみ受感材X11と、ひずみ受感材X12とは、互いに対向する脚部10BL1と脚部10BL3とを結ぶ方向において、互いに対向するように配置され、また、ひずみ受感材Y11と、ひずみ受感材Y12とは、互いに対向する脚部10BL2と脚部10BL4とを結ぶ方向において、互いに対向するように配置される。
なお、ひずみ受感材X11が配設される領域は、図6(A)に示した扇形領域SX1に対応し、ひずみ受感材X12が配設される領域は、図6(A)に示した扇形領域SX2に対応し、ひずみ受感材Y11が配設される領域は、図6(A)に示した扇形領域SY1に対応し、ひずみ受感材Y12が配設される領域は、図6(A)に示した扇形領域SY2に対応している。
そして、ひずみ受感材X11と、ひずみ受感材X12とは、ひずみを受けていないときの抵抗値は、互いに等しくなるように構成されている。また、同様に、ひずみ受感材Y11と、ひずみ受感材Y12とは、ひずみを受けていないときの抵抗値は、互いに等しくなるように構成されている。この例では、4個のひずみ受感材X11,X12,Y11,Y12の、ひずみを受けていないときの抵抗値は、互いに等しくなるように構成されている。
そして、この例では、板状部材10Bの一面10a上においては、4個のひずみ受感材11Bは、図19(A)に示すように導体パターン12Bにより電気的接続されると共に、この例では、6個の端子tV1、tV2、tI1、tI2、tX、tYが形成されるように構成されている。
この6個の端子tV1、tV2、tI1、tI2、tX、tYと、外部回路との接続は、上述の例と同様にフレキシブル基板を用いるようにしてもよいし、端子tV1、tV2、tI1、tI2、tX、tYのそれぞれから導出したリード線を用いるようにしてもよい。
この例の圧力センシングデバイス1Bを用いたひずみ検出回路の構成例を図21に示す。すなわち、圧力センシングデバイス1Bにおいては、ひずみ受感材X11とひずみ受感材X12とが直列に接続されると共に、ひずみ受感材X11側が端子tV1に接続され、ひずみ受感材X12側が端子tI1に接続されている。そして、ひずみ受感材X11とひずみ受感材X12との接続点が、端子tXに接続されている。
また、ひずみ受感材Y11とひずみ受感材Y12とが直列に接続されると共に、ひずみ受感材Y11側が端子tV2に接続され、ひずみ受感材Y12側が端子tI1に接続されている。そして、ひずみ受感材Y11とひずみ受感材Y12との接続点が、端子tYに接続されている。
そして、図21の例では、端子tV1と端子tV2とには、電源電圧Vccが印加されるように構成されている。また、端子tI1と端子tI2とは互いに接続されて、その接続点が、基準抵抗Rzrefを介して接地されている。この基準抵抗Rzrefは、Z軸方向(芯体31の軸心方向)の圧力を検出するためのもので、この例では、ひずみ受感材X11とひずみ受感材X12との直列接続と、ひずみ受感材Y11とひずみ受感材Y12との直列接続との並列接続回路が、ひずみ変化を受けていないときの抵抗値と等しく選定されている。
そして、端子tXは、X方向のひずみ変化出力を検出する差動増幅回路50Xの一方の入力端に接続されている。また、端子tYは、Y方向のひずみ変化出力を検出する差動増幅回路50Yの一方の入力端に接続されている。さらに、端子tI1及び端子tI2と基準抵抗Rzrefとの接続点が、Z方向のひずみ変化出力を検出する差動増幅回路50Zの一方の入力端に接続されている。
そして、差動増幅回路50X及び差動増幅回路50Yの他方の入力端には、ひずみ変化を受けていないときに、ひずみ受感材X11とひずみ受感材X12との接続点に得られる電圧(この例では、ひずみ受感材Y11とひずみ受感材Y12との接続点に得られる電圧と等しい)に等しい基準電圧VrefIが供給される。
また、差動増幅回路50Zの他方の入力端には、ひずみ変化を受けていないときに、端子tI1及び端子tI2と基準抵抗Rzrefとの接続点に得られる電圧に等しい基準電圧VrefVが供給される。
したがって、差動増幅回路50Xからは、圧力センシングデバイス1Bがひずみ変形を受けてひずみ受感材X11の抵抗値とひずみ受感材X12の抵抗値とに差異が生じたときに、その抵抗値の差異に応じたX軸方向のひずみ変形出力が得られる。また、差動増幅回路50Yからは、圧力センシングデバイス1Bがひずみ変形を受けてひずみ受感材Y11の抵抗値とひずみ受感材Y12の抵抗値とに差異が生じたときに、その抵抗値の差異に応じたY軸方向のひずみ変形出力が得られる。
さらに、差動増幅回路50Zからは、圧力センシングデバイス1Bがひずみ変形を受けて4個のひずみ受感材11Bの総合の抵抗値と基準の抵抗Rzrefの抵抗値とに差異が生じたときに、その抵抗値の差異に応じたZ軸方向のひずみ変形出力が得られる。
以上のように構成されている圧力センシングデバイス1Bを保持部材33Bに固定したモジュールを備える電子ペンによれば、芯体31を通じて圧力が圧力センシングデバイス1Bに印加されたときには、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4が、板状部材10Bの中央の領域の中心方向にお辞儀をするように曲がるので、Z軸方向(軸心方向)の感度が増すという効果を奏する。
また、X軸方向やY軸方向の軸心方向に直交する方向の圧力が印加されたときには、印加された圧力に応じて生じる横方向荷重は、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4に分散されるので、芯体31と板状部材10Bとの結合部分の耐性が上がるという効果を奏する。
さらに、圧力センシングデバイス1Bが固定される部分が、ひずみ受感材11Bからなるひずみ受感部から離れているので、印加される圧力の前記固定される力の変化に対する影響が少ない。このため、圧力が消失した後のゼロ戻りが良いという効果がある。
以上の例では、圧力センシングデバイス1Bは、保持部材33Bに対して4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aのそれぞれを通じてネジ13により固定するようにした。
しかし、保持部材に対する圧力センシングデバイス1Bの固定の方法は、ネジ止めに限られるものではない。図22及び図23に、圧力センシングデバイス1Bを、保持部材に対してホルダーにより固定する例を示す。
図22は、この例を説明するための構成部品の分解斜視図である。この図22に示すように、この例においては、上述した構成の圧力センシングデバイス1Bと、圧力センシングデバイス1Bの固定側の端部の側周面の構成が上述した保持部材33Bとは異なる保持部材33B´と、この保持部材33B´との間で圧力センシングデバイス1Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の先端側部分を挟持することで、圧力センシングデバイス1Bを、保持部材33B´に対して固定するようにするホルダー38とを用いる。
図23は、圧力センシングデバイス1Bを保持部材33B´に結合する組み立て手順を説明するための図であり、図23(A)は、保持部材33B´に対して圧力センシングデバイス1Bを嵌合させた状態を示す図、図23(B)は、圧力センシングデバイス1Bをホルダー38により保持部材33B´に保持固定する状態を示す図である。
ホルダー38は、図22及び図23に示すように、圧力センシングデバイス1Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の先端側部分をカバーするようにするリング状帯板部380を備える。このリング状帯板部380の内径は、圧力センシングデバイス1Bの中央の部分を丁度内接するような寸法とされている。そして、このリング状帯板部380には、図22及び図23(A)に示すように、当該リング状帯板部380の軸心方向の一方側に延出する4個の脚部381,382,383,384が形成されている。この4個の脚部381,382,383,384の延出方向の先端部には、リング状帯板部380の中心側に膨出する膨出部381a,382a,383a,384aが形成されている。4個の脚部381,382,383,384の、ホルダー38のリング状帯状部380の円周方向の幅は、圧力センシングデバイス1Bの4個の脚部10BL1,10BL2,10BL3,10BL4の円周方向の間隔分よりも若干短い長さとされている。
保持部材33B´の、圧力センシングデバイス1Bの固定側の端部の側周面には、図22及び図23に示すように、圧力センシングデバイス1Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4と係合する係合面3301,3302,3303,3304(係合面3302及び3303は図示を省略)が形成されている。この係合面3301,3302,3303,3304は、保持部材33Bの凹溝33B1,33B2,33B3,33B4に対応するものである。
この係合面3301,3302,3303,3304において、圧力センシングデバイス1Bの4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4が、この係合面3301,3302,3303,3304に係合されるときに、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aが対応する位置には、当該貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aが嵌合する突部3301a,3302a,3303a,3304aが形成されている。
そして、保持部材33B´の、圧力センシングデバイス1Bの固定側の端部の側周面には、図22及び図23に示すように、ホルダー38の4個の脚部381,382,383,384が挿入されて係合する凹溝3311,3312,3313,3314(図22及び図23には、凹溝3312は図示を省略する)が形成されている。この凹溝3311,3312,3313,3314には、ホルダー38の4個の脚部381,382,383,384が挿入されて係合するときに、膨出部381a,382a,383a,384aが嵌合する凹部3311a,3312a,3313a,3314a(図22では、凹部3314aのみを示し、他の図示は省略する)が形成されている。
図23(A)に示すように、圧力センシングデバイス1Bは、芯体31が固定用ネジ34によりワッシャー35を介してネジ止めされた後、その4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4が、保持部材33B´の係合面3301,3302,3303,3304に係合される。この際に、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aに、係合面3301,3302,3303,3304の突部3301a,3302a,3303a,3304aが嵌合されて圧力センシングデバイス1Bが、保持部材33B´に係止される。
この場合にも、圧力センシングデバイス1Bの板状部材10Bと、保持部材33B´の軸心方向の一方の端面との間には、空間が生じ、板状部材10Bは、その板面に直交する方向にひずみ変形することが可能となるように構成されている。
この状態で、ホルダー38を、圧力センシングデバイス1Bが、そのリング状帯板部380の内側になる状態で、図23(A)に示す矢印方向に移動させて、図23(B)に示すように、ホルダー38の4個の脚部381,382,383,384が凹溝3311,3312,3313,3314内に挿入されるようにする。すると、ホルダー38の4個の脚部381,382,383,384の膨出部381a,382a,383a,384aが、保持部材33B´の凹溝3311,3312,3313,3314の凹部3311a,3312a,3313a,3314aに嵌合することで、ホルダー38が保持部材33B´に係止される。
こうして、圧力センシングデバイス1Bは、ホルダー38のリング状帯板部380により、4個の脚部10BL1、10BL2、10BL3、10BL4の、貫通孔10BL1a、10BL2a、10BL3a、10BL4aに、保持部材33B´の突部3301a,3302a,3303a,3304aが嵌合されている部分がカバーされて、保持部材33B´との間で挟持されることにより、圧力センシングデバイス1Bは、保持部材33B´に対して固定される。
なお、上述の例では、X軸方向とY軸方向の圧力の検出をも考慮したので、圧力センシングデバイス1Bの脚部は、4個としたが、例えばZ軸方向の圧力のみを検出する用途に用いる場合には、脚部の数は、2個以上の複数個であればよい。ホルダー38の脚部も同様である。
また、上述の例では、ひずみ受感材11B、導体パターン12B及び端子は、板状部材10Bの保持部材33Bと対向する面とは反対側の面10Baとしたが、保持部材33Bと対向する面側に形成してもよい。