JPH11107154A - ポリエステル極細繊維ウエブ - Google Patents

ポリエステル極細繊維ウエブ

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JPH11107154A
JPH11107154A JP27937797A JP27937797A JPH11107154A JP H11107154 A JPH11107154 A JP H11107154A JP 27937797 A JP27937797 A JP 27937797A JP 27937797 A JP27937797 A JP 27937797A JP H11107154 A JPH11107154 A JP H11107154A
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JP
Japan
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ultrafine fiber
polymer
fiber web
web
polytrimethylene terephthalate
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JP27937797A
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English (en)
Inventor
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 実質的にポリトリメチレンテレフタレー
トからなる極細繊維ウエブであって、0.8〜5μmの
平均繊維径と、0.4〜1.0の極限粘度を有する極細
繊維群からなるポリエステル極細繊維ウエブ。 【効果】 本発明によれば、メルトブロー法による、柔
軟性、磨耗性に優れ、常圧で濃色に染色することができ
ポリマー玉が少ない、メルトブロー法によるポリトリメ
チレンテレフタレート極細繊維ウエブを提供することが
できる。得られたポリトリメチレンテレフタレート極細
繊維ウエブは、人工皮革基布等の衣料用、フィルター、
テープ、使い捨ておむつ、パップ剤基布、作業着、ワイ
ピングクロス、保温中綿、芯地、シート等に有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メルトブロー法に
よるポリトリメチレンテレフタレート極細繊維ウエブに
関する。更に詳しくは、柔軟性、磨耗性に優れ、常圧で
濃色に染色することができポリマー玉が少ない、メルト
ブロー法によるポリトリメチレンテレフタレート極細繊
維ウエブに関する。
【0002】
【従来の技術】メルトブロー法による重合体の紡糸方法
については、インダストリアル・アンド・エンジニアリ
ング・ケミストリー 第48巻、第8号、1956年
1342〜1346頁に記載されており、その中ではポ
リエチレンテレフタレートを用いた極細繊維ウエブが紹
介されており、それ以降、ポリエチレンテレフタレート
ホモポリマー、ポリエチレンテレフタレート共重合体、
ポリブチレンテレフタレートを用いた、メルトブロー法
による極細繊維ウエブに関する特許出願が数多くなされ
ている(特開昭53−65471号公報、特公昭63−
53309号公報、特開平3−8855号公報、特開昭
4−2850号公報)。
【0003】一方、テレフタル酸またはテレフタル酸ジ
メチルに代表されるテレフタル酸の低級アルコールエス
テルと、トリメチレングリコール(1,3−プロパンジ
オール)を重縮合させて得られるポリトリメチレンテレ
フタレートは、優れた弾性回復性、低弾性率(ソフトな
風合い)、易染性といったポリアミドに類似した性質
と、耐光性、熱セット性、寸法安定性、低吸水率といっ
たポリエチレンテレフタレートに類似した性能を併せ持
つ画期的なポリマーであり、その特徴を生かしてBCF
カーペット、ブラシ、テニスガットなどに応用されてい
る(特開平9−3724号公報、特開平8−17324
4号公報、特開平5−262862号公報)。
【0004】ポリトリメチレンテレフタレートを用いた
メルトブロー極細繊維ウエブが得られれば、新規な特徴
を持つウエブが期待できるものの、これまでにそのよう
な提案はなされていないのが現状である。もちろん、メ
ルトブローによるポリエステルウエブの出願において、
ポリエステルの例としてトリトリメチレンテレフタレー
トが数多く羅列されたポリマー例の一つとして示されて
いるものはあるものの、その特徴、工業的な有用性や製
造法は示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリトリメチレンテレ
フタレートの分子構造は、ポリエチレンテレフタレート
のエチレン部分にメチレンを一つ導入した構造であるた
めに、基本的にはポリエチレンテレフタレートに近い条
件で容易にメルトブローできると想像できるかもしれな
い。しかしながら、ポリトリメチレンテレフタレートは
ポリエチレンテレフタレートに比較して、結晶速度が極
めて速い、熱安定性がかなり低い、重合物中にオリゴマ
ーや低分子量不純物を多く含んでいる等の相違点があ
り、そのままポリエチレンテレフタレートの場合の製造
条件を適用しても粗悪なウエブしか得られない。
【0006】本発明の課題は、ポリトリメチレンテレフ
タレートの持つ優れた性能を極細繊維ウエブに応用し、
新規な性能を引き出しその工業的製造法を確立すること
である。その結果、ポリトリメチレンテレフタレート極
細繊維ウエブは、柔軟性、磨耗性に優れ、常圧で濃色に
染色することができ、ポリマー玉が少ないウエブになる
ことを見出したのである。常圧で濃色に染色でき、しか
も堅牢性に優れたメルトブロー法によるポリエステル極
細繊維ウエブは、染色工程の簡略化等に極めて有用であ
るが、これまでにそのようなものは実質ないのが現状で
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、実
質的にポリトリメチレンテレフタレートからなる極細繊
維ウエブであって、0.8〜5μmの平均繊維径と、
0.4〜1.0の極限粘度を有する極細繊維群からなる
ポリエステル極細繊維ウエブを提供するものである。本
発明に用いるポリマーは、実質的にテレフタル酸と1、
3−プロパンジオールを重縮合せしめて得られるポリト
リメチレンテレフタレートである。本発明において実質
的にとは、ポリトリメチレンテレフタレートホモポリマ
ーであっても以下に示すポリトリメチレンテレフタレー
トコポリマーであってもよいことを示す。すなわち、本
発明の目的・効果を損なわない範囲で、イソフタル酸、
コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−スルホイソフタル酸テトラブチルポスホニウム
塩等の酸成分や、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のグリ
コール成分、ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息
香酸、ポリオキシエチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等が10wt%未満共重合されていても
よい。
【0008】また、ポリトリメチレンテレフタレートに
は、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し剤、
熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを
共重合、または混合してもよい。本発明に用いるポリマ
ーは、トリメチレンテレフタレートのオリゴマーの含有
量が3wt%以下であることが好ましく、これによって
強度低下を避けることが可能になるほか、工業的に必要
な紡糸安定性を確保できる。尚、トリメチレンテレフタ
レートオリゴマーとは、通常トリメチレンテレフタレー
ト単位が2〜4個繋がったオリゴマーであり、線状構造
であっても、環状構造であってもよい。
【0009】3wt%を越える場合には、例えば、紡糸
する場合にオリゴマーがノズル周りに析出し、ポリマー
玉が生成しやすくなる。長時間安定に紡糸を行うために
は、1.5wt%以下が好ましく、更に好ましくは1w
t%以下である。更に、得られた繊維の毛羽が少なくな
るという点では、0.5wt%以下、更に好ましくは
0.3wt%以下が好ましく、もちろん理想的は不含で
ある。尚、ポリマー玉とはウエブ構成繊維の直径約10
〜500倍程度の直径を有する玉状ポリマーまたは繊維
の端部や中央部に生成したコブ状ポリマーである。この
ポリマー玉は顕微鏡を用いて観察するか、またはウエブ
をそのまま、もしくはウエブにプレス、カレンダー、交
絡処理その他の手段を施して、その繊維密度を高めた
後、これを染色することによって検知できる。ポリマー
玉が多く存在すると、得られる極細繊維ウエブの用途が
大きく制限され、特に人工皮革用基布としては使用不能
となる。
【0010】更に、本発明に用いるポリマー中には、分
子量300以下の有機物の含有量が1wt%以下である
ことが好ましく、この範囲内で着色しないとか、耐光性
に優れるといった性能を確保できる。ここで言う分子量
300以下の有機物とは、ポリマーに共重合されていな
い有機物である。本発明者らの検討によれば、分子量3
00以下の有機物としては、アリルアルコール、アクロ
レイン、2−ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノー
ル、グリシジルメチルエーテル、オキシプロピルメチル
エーテル等が存在し、これらの化合物の総量が成形性、
製品耐久性、耐候性に大きな影響を与えることを見出し
た。分子量300以下の有機物の含有量が1wt%を越
える場合には、ポリマー玉が発生しやすくなったり、光
で着色しやすいものになってしまう。好ましくは、分子
量300以下の有機物の含有量が5000ppm以下で
あり、特に好ましくは、1000ppm以下である。も
ちろん、理想的には不含である。
【0011】本発明に用いるポリマーの融点としては、
227℃以上であることが好ましい。ここで融点とは、
220〜250℃の範囲で融解と考えられるピークのピ
ーク値と定義する。融解ピークが複数存在する場合(シ
ョルダーピークも含む)は、低い温度のピークを融点と
する。融点が227℃未満では耐候性の低下が起こりや
すくなる。例えば、一度ポリトリメチレンテレフタレー
トを製造し、そのポリマーを200℃程度で固相重合す
ると、オリゴマーの含有量を大きく低下させることがで
きる。しかしながら、固相重合を行うと、原料ポリマー
の融点が大きく低下し、225℃にも満たない状態とな
る。このようなポリマーの中には、トリメチレングリコ
ールが2量化して生成するビス−3−ヒドロキシプロピ
ルエーテルが大量に共重合されたり、末端カルボキシル
基量が増えたりし、その結果、紡糸安定性や耐候性が低
下しやすい。好ましいポリマーの融点としては230℃
以上であり、更に好ましくは233℃以上である。
【0012】本発明に用いるポリマーの極限粘度[η]
は0.4〜1.5が好ましく、更に好ましくは0.7〜
1.2である。この範囲で、強度、紡糸性に優れた繊維
を得ることができる。本発明における極限粘度[η]と
は、次の定義式に基づいて求められる値である。 [η]=lim1/(C×(ηr−1)) C→0 定義式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノ
ールで溶解した試料の希釈溶液の35℃での粘度を同一
温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、
相対粘度と定義されているものである。またCは、上記
溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値であ
る。
【0013】極限粘度が0.4未満の場合は、ポリマー
の分子量が低すぎるため強度発現が困難となる。逆に極
限粘度が1.5を越える場合は、溶融粘度が高すぎるた
めに安定な紡糸ができないので好ましくはない。本発明
に用いるポリマーの製法として好ましい一例を挙げるな
らば、テレフタル酸、またはテレフタル酸ジメチルを原
料とし、これにトリメチレングリコールを酢酸カルシウ
ム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸
マンガンといった金属酢酸塩1種あるいは2種以上を
0.03〜0.1wt%加え、常圧下あるいは加圧下で
エステル交換率90〜98%でビスヒドロキシプロピル
テレフタレートを得る。このように本発明の目的を達成
させるためには、遷移金属以外の金属の酢酸塩を用いる
ことが好ましい。次に、チタンテトライソプロピキシ
ド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモンといっ
た重縮合触媒の1種あるいは2種以上を0.03〜0.
15wt%、好ましくは0.03〜0.1wt%添加
し、250〜270℃で減圧下反応させる。重合の任意
の段階、好ましくは重縮合反応の前に安定剤を入れるこ
とが樹脂組成物の白度、ポリトリメチレンテレフタレー
トオリゴマー量や分子量が300以下の有機物量を特定
量に制御できる観点から好ましい。この場合の安定剤と
しては、5価または/および3価のリン化合物やヒンダ
ードフェノール系化合物が好ましい。
【0014】5価または/および3価のリン化合物とし
ては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェー
ト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイ
ト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイ
ト等が挙げられ、特に、トリメチルホスファイトが好ま
しい。ヒンダードフェノール系化合物とは、フェノール
系水酸基の隣接位置に立体障害を有する置換基を持つフ
ェノール系誘導体であり、分子内に1個以上のエステル
結合を有する化合物である。
【0015】具体的には、ペンタエリスリトール−テト
ラキス[3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニ
ル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
ピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒド
ロキシ−2,6−ジメチルベンゼン)イソフタル酸、ト
リエチルグリコール−ビス[3(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、2,2−チオ−ジエチレン−ビス[3
(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]を例示しうる。中でもペンタエリスリトール−テト
ラキス[3(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]が好ましい。
【0016】上記の方法で得られたポリマーには、一般
的に次に示す性質を持つ。共重合されたビス−3−ヒド
ロキシプロピルエーテルの含有量は0.1wt%以下で
ある。また、色相をb値で示すと10以下、場合によっ
ては3以下である。また、末端カルボキシル基量は10
〜35mg当量/kgである。本発明のポリエステル極
細繊維ウエブを構成する繊維は、0.8〜5μmの平均
繊維径の範囲であって、適度な繊維径分布を有する混合
繊維である。平均繊維径が0.8μm未満では得られる
繊維の強度が不十分になると同時に、発色性、堅牢性の
低下が起こる。一方、5μmを越えると、柔軟性に乏し
い粗悪な感触を与えるウエブにしかならない。また、こ
の極細繊維は極めて小さな繊維径を有しているため、繊
維の平均長さを測定することは困難であるが、30mm
以上、多くの場合は70〜350mm程度と推定でき
る。
【0017】本発明のポリエステル極細繊維ウエブの目
付量は用途によって任意に設定できるが、一般に5〜2
00g/m2 の範囲である。本発明のポリエステル極細
繊維ウエブは、0.4〜1.0の極限粘度を有する。こ
のために得られるウエブは柔軟性に富んだものであるに
も関わらず、強度が高い。0.4未満では強度が低く、
ポリマー玉が生じたりする。一方、1.0以上ではウエ
ブを構成する繊維がもつれてがさついたり、ピリングが
生じたりする。好ましくは、強度と表面性が共に優れて
いるとの観点から0.6〜0.8の範囲である。
【0018】本発明のポリエステル極細繊維ウエブの好
ましい製造法を図面に基づいて以下に説明する。押出機
内で溶融されたポリマー流は、適当なフィルターのよっ
て濾過された後、メルトブローダイ(1)の溶融ポリマ
ー導入部(2)へ導かれ、その後オリフィス状ノズル
(3)から吐出される。それと同時に加熱気体導入部
(4)に導入された加熱気体をメルトブローダイ(1)
とリップ(6)により形成された加熱気体噴出スリット
(5)へ導き、ここから噴出して、前記吐出ポリマー液
に当たってこれを細化して極細繊維を形成する。次いで
これをシート状に捕集してウエブを形成する。
【0019】本発明においては、ポリマーの溶融押し出
し温度を260〜300℃にすることが重要である。3
00℃を越えると、ポリマーが熱劣化、加水分解の加速
などを起こして溶融粘度が低下し、得られるウエブの強
度が低下する他、ポリマー玉の生成、目付斑、染色堅牢
性の低下を起こす。次に、本発明ではポリマー流を吹き
飛ばし極細化するために噴出する高温高速気体流の温度
を270〜320℃にすることが重要である。270℃
未満では吐出ポリマー流に対する冷却効果が過大になる
ため、ポリマー流の細化が不十分となりポリマー玉が増
大しウエブの品質を大幅に低下させてしまう。一方、3
20℃を越えるとこの気体からの伝熱によって溶融ポリ
マー導入部(2)やオリフィス状ノズル(3)の温度が
300℃を越えてしまう。好ましくは、270〜290
℃である。用いるブローガスとしては、スチーム及び空
気がポリマーの劣化が少なくコスト面からも有利であ
る。
【0020】本発明では噴出する高温高速気体の噴出圧
力は、0.3〜4kg/cm2 の範囲に設定することが
好ましい。尚、噴出圧力は加熱気体導入部(4)のリッ
プ(6)に近い点で測定した値である。この噴出圧力が
0.3kg/cm2 未満の場合には噴出気体のポリマー
細化エネルギーが小さくなるために、細化不良となる。
そのために、柔軟性の低下、目付斑が起こる。一方、4
kg/cm2 以上では、ポリマーの細化も進み、ウエブ
の強度は強くなって好ましい方向となるものの、発色
性、堅牢性が低下し、また噴出気体の力が強すぎるため
に捕集されたウエブの一部が巻き上げられたりして表面
品位が劣ってしまう。このような現象はポリエチレンテ
レフタレートでは生じないが、ポリトリメチレンテレフ
タレートでは起こりやすくなる。
【0021】
【発明の実施形態】以下、実施例などを挙げて本発明を
より詳細に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例
などにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の
主な測定値は以下の方法で測定した。 (1)極限粘度 この極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる
値である。 [η]=lim 1/(C×(ηr−1)) C→0 定義式中のηrは、純度98%以上のo−クロロフェノ
ールで溶解した試料の希釈溶液の35℃での粘度を同一
温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、
相対粘度と定義されているものである。またCは、上記
溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値であ
る。
【0022】(2)融点 セイコー電子社製DSCを用い、20℃/minの昇温
速度で100ml/minの窒素気流下中で測定した。
ここでは、融解のピークのピーク値を融点とした。 (3)PTTオリゴマーの定量 微細化したポリエステル樹脂組成物、ポリエステル繊維
を、ソックスレー抽出器を用いてクロロホルムで50時
間抽出し、得られた残査に含まれるオリゴマーを用いた
試料に対する重量%で示した。
【0023】(4)分子量300以下の有機物の構造決
定と定量 (3)で得たクロロホルム液からポリエステル樹脂組成
物、繊維に含まれる分子量300以下の有機物を求め
た。キャピラリーカラムを備えたガスクロマトグラフィ
ーを用いて分析を行った。用いたカラムはシリコン系と
ポリエチレングリコール系の2種を用いた。分離した各
成分について、構造決定にはマススペクトル(GC−M
S)を用い、その秤量は検量線を作成し、用いた試料に
対する濃度をppmで求めた。
【0024】(5)平均繊維径 サンプルの任意の10ヶ所について、電子顕微鏡により
倍率2000倍で10枚写真撮影を行った。1枚の写真
につき、任意の10本の繊維の直径を測定し、これを1
0枚の写真について行った。合計100本の繊維径測定
値を求め、平均値を計算した。 (6)目付斑 ウエブの巾方向にわたって連続的に10cm×10cm
のサンプルを切り取り、この重量を計量した。その値の
平均値Aと、最大値と最小値の差Rを求め、次式により
目付斑を測定した。 目付斑=R/A×100
【0025】(7)柔軟度 カンチレバー法(45度)を用いて評価した。数値が小
さいほど柔軟性が高いことを示す。 (8)磨耗性 得られたシートを綿布で400gの加重を掛けて、50
0回磨耗した。その表面を観察し、表面変化を観察し
た。 (9)濃色性、湿摩擦堅牢性 カヤロンポリエステルブルー3RSF(日本化薬社製:
商品名)の10%owf用い、分散剤にディスパーTL
(明成化学社製:商品名)1g/リットル、浴比1:5
0、pHを5にして沸騰状態で1時間染色を行った。発
色性は色の濃さを1〜5級で評価した。この場合、数字
が上がるほど濃色性が優れていることを示す。染色物を
乾かした後、学振式摩擦試験機を用いて、濡れた綿布で
200gの加重を掛けながら染色物を200回摩擦し、
綿布への色写りを1〜5級で評価した。この場合、数字
が上がるほど色移りが少ないことを示す。
【0026】(実施例1、2)テレフタル酸ジメチルと
1,3−プロパンジオールを1:2のモル比で仕込み、
理論ポリマー量の0.1wt%に相当する酢酸カルシウ
ムと酢酸コバルトの混合物(9:1)を加え、徐々に昇
温して240℃でエステル交換反応を完結させた。得ら
れたエステル交換物にチタンテトラブトキシドを理論ポ
リマー量の0.1wt%添加し、270℃で2時間反応
させた。得られたポリマーの極限粘度は0.7であっ
た。オリゴマー量は0.1wt%であり、分子量300
以下の有機物量は、330ppm、融点は234℃であ
った。紡糸は糸切れもなく、毛羽もなかった。
【0027】得られたポリマーを押出機を用いて290
℃で溶解し、溶融ポリマーを1mmピッチで1500個
一列に並んだ0.3mmφのオリフィスから吐出させ、
ダイオリフィス下60cmに位置せしめた移動する捕集
面上に連続的に集積し、目付200g/m2 になるよう
にランダムウエブとして巻き取った。実施例1、2のメ
ルトブロー条件および得られたウエブの物性を表1に示
した。
【0028】次に、このランダムウエブを金網上に乗
せ、下方から真空度50mmHgで吸引しながら、3m
mピッチで一直線に配列された0.2mmの径のオリフ
ィスより30kg/cm2 の圧力で連続的に噴出する高
速水流をシート全面に噴き当て、次いで10kg/cm
2 の圧力で同様に処理した。得られたシートの物性も表
1に示した。得られたウエブ、シートは、柔軟性、磨耗
性に優れ、常圧で濃色に染色することができポリマー玉
が少ない優れたものであった。
【0029】(比較例1、2)実施例1で製造したポリ
マーを用いて、メルトブロー条件を表1記載に変えて実
験を行った。得られたウエブ、シートの物性を表1に示
した。いずれの場合も、平均繊維径が本発明の範囲をは
ずれるために、粗悪なものであった。 (比較例3、4)ポリエチレンテレフタレート(比較例
3)、ポリブチレンテレフタレート(比較例4)を用い
て、実施例1と同様の実験を行った。メルトブロー条件
を表1記載に変えて実験を行った。得られたウエブ、シ
ートの物性を表1に示した。比較例3では発色性が悪
く、比較例4では湿摩擦堅牢性が悪いことがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】(比較例5)エステル交換触媒として酢酸
カルシウムと酢酸コバルトの混合物の代わりにチタンテ
トラブトキシド0.1wt%を用いた以外は実施例1を
繰り返した。得られたポリマーのオリゴマー量は3.5
wt%であり、分子量300以下の有機物量は1700
ppm、融点は233℃であった。このポリマーを用い
て紡糸を行ったが、リップ面に白い有機物が析出し、そ
の影響を受けて、シート内に白い粉が混ざることが認め
られた。白い粉を分析すると、2量化した環状オリゴマ
ーであることがわかった。
【0032】
【発明の効果】本発明によると、メルトブロー法によ
り、柔軟性、磨耗性に優れ、常圧で濃色に染色すること
ができポリマー玉が少ない、メルトブロー法によるポリ
トリメチレンテレフタレート極細繊維ウエブを提供する
ことができる。該ウエブは、人工皮革基布等の衣料用、
フィルター、テープ、使い捨ておむつ、パップ剤基布、
作業着、ワイピングクロス、保温中綿、芯地、シート等
に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で説明したメルトブロー装置のダイ周辺
を概略的に描いた図である。
【符号の説明】
1 メルトブローダイ 2 溶融ポリマー導入部 3 オリフィス状ノズル 4 加熱気体導入部 5 加熱気体噴出スリット 6 リップ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にポリトリメチレンテレフタレー
    トからなる極細繊維ウエブであって、0.8〜5μmの
    平均繊維径と、0.4〜1.0の極限粘度を有する極細
    繊維群からなるポリエステル極細繊維ウエブ。
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