JPH11106980A - 亜鉛系メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents

亜鉛系メッキ鋼板の製造方法

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JPH11106980A
JPH11106980A JP26675197A JP26675197A JPH11106980A JP H11106980 A JPH11106980 A JP H11106980A JP 26675197 A JP26675197 A JP 26675197A JP 26675197 A JP26675197 A JP 26675197A JP H11106980 A JPH11106980 A JP H11106980A
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zinc
treatment
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JP26675197A
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English (en)
Inventor
Toru Imokawa
透 妹川
Takayuki Urakawa
隆之 浦川
Satoru Hashimoto
哲 橋本
Shuji Nomura
修二 野村
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 亜鉛系メッキ鋼板の表面に、亜鉛系メッキ層
に比べて硬質、且つ高融点であり、更に、電気伝導度が
高い皮膜を形成させる。 【解決手段】 Ni2++Zn2+の濃度で0.3〜2.0
mol/lを含有し、pHが1〜3、温度が30〜70
℃の酸性硫酸塩水溶液からなる電解液中で、亜鉛系メッ
キ鋼板を陰極にし、電流密度が1〜150A/dm2
電解処理を行ない、次いで、更に、pHが3〜5.5の
後処理液で、処理時間t(sec)が、式:50/T≦
t≦10、但し、T:後処理液の温度(℃)、を満たす
間、後処理を行なう。 【効果】 耐食性、塗装適合性の他に車体製造工程にお
いて要求される性能として、プレス成形性及びスポット
溶接性に優れた亜鉛系メッキ鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プレス成形性及
びスポット溶接性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系メッキ鋼板は種々の優れた特徴を
有するために、各種の防錆鋼板として広く使用されてい
る。この亜鉛系メッキ鋼板を自動車用防錆鋼板として使
用するためには、耐食性、塗装適合性等のほかに、車体
製造工程において要求される性能として、プレス成形性
及びスポット溶接性に優れていることが重要である。
【0003】しかし、亜鉛系メッキ鋼板は、一般に冷延
鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。
これは亜鉛系メッキ鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、
冷延鋼板の場合に比較して大きいことが原因である。即
ち、この摺動抵抗が大きいので、ビードと亜鉛系メッキ
鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分で、亜鉛系メッキ
鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起
こりやすくなる。
【0004】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性を向上さ
せる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布する方
法が広く用いられている。しかしこの方法では、潤滑油
の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗装欠陥
が発生したり、またプレス時の油切れにより、プレス性
能が不安定になる等の問題がある。従って、亜鉛系メッ
キ鋼板のプレス成形性が改善されることが強く要請され
ている。
【0005】亜鉛系メッキ鋼板は、スポット溶接時に電
極である銅が溶融した亜鉛と反応して脆い合金層を形成
しやすいために、銅電極の損耗が激しく、その寿命が短
く、冷延鋼板に比べて連続打点性が劣るという問題があ
る。
【0006】上述した問題を解決する方法として、特開
昭53-60332号公報および特開平2-190483号公報は、亜鉛
系メッキ鋼板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処
理、または加熱処理を施すことにより、ZnO を主体とす
る酸化膜を形成させて溶接性、または加工性を向上させ
る技術(以下、「先行技術1」という)を開示してい
る。
【0007】特開平4-88196 号公報は、亜鉛系メッキ鋼
板の表面に、リン酸ナトリウム5 〜60g/l を含みpH2
〜6 の水溶液中にメッキ鋼板を浸漬するか、電解処理、
また、上記水溶液を散布することによりP酸化物を主体
とした酸化膜を形成して、プレス成形性および化成処理
性を向上させる技術(以下、「先行技術2」という)を
開示している。
【0008】特開平3-191093号公報は、亜鉛系メッキ鋼
板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化処
理または加熱処理により、Ni酸化物を生成させること
によりプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
(以下、「先行技術3」という)を開示している。
【0009】特開昭58-67885号公報は、亜鉛系メッキ鋼
板の表面にNi及びFe等の金属を生成させることによ
り耐食性を向上させる技術(以下、「先行技術4」とい
う)を開示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には下記の問題がある。先行技術1は、上述
した各種処理により、メッキ層表面にZnO を主体とする
酸化物を生成させる方法であるため、プレス金型とメッ
キ鋼板との摺動抵抗の低減効果は少なく、プレス成形性
の改善効果は少ないという問題を有する。
【0011】先行技術2は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に
P酸化物を主体とした酸化膜を形成する方法であるた
め、スポット溶接性が劣化するという問題を有する。先
行技術3は、亜鉛系メッキ鋼板の表面にNi酸化物単相
の皮膜を形成させる方法であるため、スポット溶接性の
改善効果を持たない。
【0012】先行技術4は、亜鉛系メッキ鋼板の表面に
Ni及びFe等の金属皮膜を形成させる方法であるた
め、プレス成形性の改善効果が十分でない。従って、こ
の発明の目的は、上述した問題を解決して、プレス成形
性及びスポット溶接性に優れた亜鉛系メッキ鋼板の製造
方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系メッ
キ鋼板のメッキ層の表面に、適正なNi−Zn系皮膜を
形成することにより、プレス成形性及びスポット溶接性
を大幅に改善することができることを見出した。
【0014】ここで、適正なNi−Zn系皮膜とは、下
記(1)〜(4): (1)皮膜の下層部はNi及びZnからなる金属層であ
り、皮膜表層部はNi及びZnの酸化物と水酸化物とか
らなる層(以下、「酸化物系層」という)であり、
(2)皮膜中のNi含有量が、10〜1500mg/m
2 の範囲内にあり、(3)Ni含有量(mg/m2 )に
対するZn含有量(mg/m2 )の比率Zn/Niが、
1.6以下(但し、Znを含むので、Zn/Ni=0は
含まない)であり、且つ、(4)Ni−Zn系皮膜表層
部の酸化物系層の厚さが、4〜50nmの範囲内にある
こと、を満たすものであるとの知見を得た。なお、上述
した通り、このNi−Zn系皮膜表層部は「酸化物系
層」が形成されているので、酸素及び水素原子を含んで
いるが、その量はごく微量であるから、「Ni−Zn系
皮膜」と呼ぶことにする。
【0015】亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性が冷延鋼
板に比較して劣るのは、高面圧下において融点の低い亜
鉛と金型が凝着現象を起こすために、摺動抵抗が増大す
るのが原因である。本発明者等は、亜鉛と金型との凝着
を防ぐためには、亜鉛系メッキ鋼板の表面のメッキ層の
表面に、亜鉛または亜鉛合金メッキ層より硬質で、また
高融点の皮膜を形成することが有効と考察した。この考
察に基づき、検討を進めた結果、亜鉛系メッキ鋼板の表
面に適正なNi−Zn系皮膜を形成させることにより、
プレス成形性時におけるメッキ層表面とプレス金型との
摺動抵抗が低下し、プレス成形性が向上することを知見
した。この理由は、Ni−Zn系皮膜が硬質であり、且
つ皮膜表層部に存在する酸化物系層の融点が高いため、
プレス成形時に金型との凝着が起こりにくいためと考え
られる。
【0016】亜鉛系メッキ鋼板のスポット溶接における
連続打点性が冷延鋼板に比較して劣るのは、溶接時に溶
融した亜鉛と電極の銅とが接触し脆弱な合金層を生成す
るために、電極の劣化が激しくなるためである。本発明
者等はスポット溶接性を改善するために、各種の皮膜に
ついて検討した結果、Ni及びZnからなる金属皮膜が
特に有効であることを見出した。この理由は明らかでな
いが、Ni及びZnからなる金属皮膜が高融点であり、
電気伝導度が高いことが理由として考えられる。本発明
におけるNi−Zn系皮膜は、皮膜の下層部がNi及び
Znからなる金属層であるため、優れた連続打点性が得
られる。本発明におけるNi−Zn系皮膜は、表層に電
気伝導度の低い酸化物系層を有するが、この厚さを制御
することにより、連続打点性への悪影響は回避される。
【0017】この発明は以上の知見に基づきなされたも
のであって、プレス成形性及びスポット溶接性に優れた
亜鉛系メッキ鋼板を製造する方法であり、その要旨は下
記の通りである。即ち、Ni2+イオンとZn2+イオンと
を合計濃度で0.3〜2.0mol/lを含有し、pH
が1〜3の範囲内にあり、温度が30〜70℃の範囲内
にある酸性硫酸塩水溶液からなる電解液中で、亜鉛系メ
ッキ鋼板を陰極にし、電流密度が1〜150A/dm2
の範囲内で電解処理を行ない、次いで、こうして電解処
理を施された亜鉛系メッキ鋼板を、更に、pHが3〜
5.5の範囲内にある後処理液で、処理時間t(se
c)が、50/T≦t≦10、但し、T:後処理液の温
度(℃)、を満たす間、後処理を行なうことに特徴を有
するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の製造条件の数値
限定理由を説明する。 (1)電解液中のNi2+イオンとZn2+イオンとの合計
濃度が0.3〜2.0mol/lの範囲内とすべき理由
は次の通りである。電解液中のNi2+イオンとZn2+
オンとの合計濃度が、0.3mol/l未満では、メッ
キ焼けが起こってNi−Zn系皮膜の密着性が低下し、
プレス成形性及びスポット溶接性の向上効果が得られな
い。一方、上記合計濃度が2.0mol/lを超えると
溶解度の限界に達して温度が低い場合には硫酸ニッケル
及び硫酸亜鉛の沈殿を生じる。従って、電解液中のNi
2+とZn2+との合計濃度は、0.3〜2.0mol/l
の範囲内にすべきである。
【0019】なお、電解液中には、Ni−Zn系皮膜の
密着性を向上させる等の目的で、ホウ酸、クエン酸、酢
酸、シュウ酸、マロン酸及び酒石酸、並びにこれらの塩
類、又は硫酸アンモニウム等のpH緩衝剤を添加しても
よい。また、電解液には、この発明において用いられる
亜鉛系メッキ鋼板のメッキ層等に含まれるFe、Co、
Mn、Mo、Al、Ti、Sn、W、Si、Pb、Nb
およびTa等の陽イオン、水酸化物及び酸化物、更に、
硫酸イオン以外の陰イオンを不可避的に含有していても
よい。
【0020】(2)電解液のpHが1未満では、水素発
生が陰極反応の主体となって電流効率が大きく低下す
る。一方、pHが3を超えると、電解液の部分的なpH
変動により、Ni及びZnの水酸化物が沈殿析出し易く
なり、電解液の安定性が低下する。従って、電解液のp
Hは1〜3の範囲内に制御すべきである。
【0021】(3)電解液の温度が30℃未満では、メ
ッキ焼けが起こってNi−Zn系皮膜の密着性が低下
し、プレス成形性及びスポット溶接性の向上効果が得ら
れない。一方、その温度が70℃を超えると、電解液の
蒸発量が多くなってNi2+イオン及びZn2+イオン濃度
の制御が困難になる。従って、電解液の温度は、30〜
70℃の範囲内にすべきである。
【0022】(4)電解の電流密度は、1A/dm2
満では水素発生が陰極反応の主体となって電流効率が大
きく低下する。一方、電流密度が150A/dm2 を超
えると、メッキ焼けが起こってNi−Zn系皮膜の密着
性が低下し、プレス成形性及びスポット溶接性の向上効
果が得られない。従って、電解の電流密度は、1〜15
0A/dm2 の範囲内にすべきである。
【0023】次に、後処理における数値限定理由を説明
する。 (5)後処理により、Ni−Zn系皮膜の表層部に酸化
物系層を形成させるが、この酸化物系層の厚さを4nm
以上とすることによりプレス成形性の改善効果が飛躍的
に大きくなる。一方、この酸化物系層は電気抵抗が大き
いため、その厚さが50nmを超えると、スポット溶接
性が低下する。従って、Ni−Zn系皮膜表層部の酸化
物系層の厚さは、4〜50nmの範囲内にすべきであ
る。ところで、上記(1)〜(4)の条件下での電解処
理では、Ni−Zn系皮膜表層部には厚さ4nm未満の
酸化物系層しか得られない。
【0024】そこで、本発明者等は、Ni−Zn系皮膜
表層部の酸化物系層の厚さを、4nm以上にする後処理
技術を開発するための検討を重ねた結果、電解処理後
に、pHが3〜5.5の範囲内の後処理液で浸漬処理、
又はスプレー処理を行なうことにより、Ni−Zn系皮
膜表層部の酸化物系層の厚さを、4nm以上にすること
ができることを知見した。
【0025】この後処理により、Ni−Zn系皮膜表層
部の酸化物系層の厚さが厚くなる機構は、以下のように
考えられる。pHが3〜5.5の後処理液によって浸漬
処理、又はスプレー処理等を行なうと、Ni−Zn系皮
膜中及びメッキ層中のZnの溶解反応(2)、並びに水
素発生反応(3)が起こる。
【0026】 Zn→Zn2++2e- ----------------(2) H+ +e- →(1/2)H2 ------------(3) (3)式の反応により、H+ イオンが消費されるため、
Ni−Zn系皮膜の表面近傍で、後処理液のpHが上昇
する。このため、一旦溶解したZn2+がNi−Zn系皮
膜に水酸化物として取り込まれ、結果として酸化物系層
の厚さが増加する。
【0027】後処理液のpHが3未満では、後処理によ
って酸化物系層の厚さは増加しない。これは(2)及び
(3)式の反応は起こるが、Ni−Zn系皮膜表面近傍
で後処理液のpHがZnの水酸化物が生成するpHまで
上昇しないためと考えられる。一方、後処理液のpHが
5.5を超えると、酸化物系層の厚さの増加効果は小さ
い。これは、(2)及び(3)式の反応速度が極端に遅
くなるためであると考えられる。従って、後処理液のp
Hは、3〜5.5の範囲内に調節すべきである。
【0028】更に、Ni−Zn系皮膜表層部の酸化物系
層の厚さを、4nm以上に形成させるための後処理所要
時間t(sec)について検討した。その結果、その所
要時間tは、後処理液の温度T(℃)に強く依存し、温
度Tが上昇すると所要時間tは大幅に短縮されることを
見出した。Ni−Zn系皮膜表層部の酸化物系層の厚さ
を4nm以上にするための後処理所要時間t(sec)
は、 t≧50/T で表わすことができる。tが50/T未満では、酸化物
系層の厚さは4nm未満となり、プレス成形性の改善効
果が不十分となる。但し、後処理時間の上限は、生産性
の観点から10sec以下にすべきである。従って、後
処理所要時間t(sec)は、50/T〜10secの
範囲内にすべきである。
【0029】後処理液の温度は、特に限定しないが、処
理時間が短くて済むという点では、その温度は高い方が
有利である。後処理の方法としては、スプレー処理、又
は浸漬処理等を採用することができる。浸漬処理におい
ては後処理液に流動を与えてもよい。
【0030】後処理液の成分組成は、特に限定する必要
はなく、各種の酸の水溶液、電解液を水で希釈した水溶
液等を採用することができる。この発明において、表面
にNi−Zn系皮膜を形成させるのに使用する亜鉛系メ
ッキ鋼板としては、鋼板の表面に、溶融メッキ法、電気
メッキ法又は気相メッキ法等により亜鉛系メッキ層を形
成させた鋼板であればよい。この亜鉛系メッキ層の成分
は、純Znの他、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、A
l、Mo、Ti、Si、W、Sn、Pb、Nb及びTa
等の金属(但し、Siも金属として扱う)もしくは酸化
物、又は、有機物の1種又は2種以上を含有する単相又
は複層のメッキ層からなる。また、上記メッキ層にSi
2 及びAl2 3 等の微粒子を含んでいてもよい。ま
た、亜鉛系メッキ鋼板として、メッキ層の組成を変化さ
せた複層メッキ鋼板及び機能傾斜メッキ鋼板を使用する
こともできる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。本発明法及び比較法により皮膜形成処理を施す前
の亜鉛系メッキ鋼板としては、下記GA、GI及びEG
の内、いずれかのメッキ種が形成さたものを使用した。
【0032】GA:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(10wt.%
Fe、残部Zn)であり付着量は両面共に60g/m2である。 GI:溶融亜鉛メッキ鋼板であり、付着量は両面共に90
g/m2である。
【0033】EG:電気亜鉛メッキ鋼板であり付着量は
両面共に40g/m2である。 上記3種の亜鉛系メッキ鋼板に対して、Ni2+イオン及
びZn2+イオンを含む酸性硫酸塩水溶液からなる電解液
中で陰極電解処理を施した。なお、電解液にはpH緩衝
剤としてホウ酸を添加した。電解処理条件として、電解
液中の(Ni2++Zn2+)濃度、pH及び温度、並びに
電流密度その他条件を適宜変化させた。次いで、後処理
を行なった。後処理条件として、後処理液は上記電解液
を水で適宜希釈したもの、硫酸水溶液又は塩酸水溶液を
使用し、そのpHその他を適宜変化させ、また後処理時
間その他条件を適宜変化させた。こうして、亜鉛系メッ
キ鋼板の表面にNi−Zn系皮膜を形成させた。
【0034】表1〜4に、本発明の範囲内の方法である
実施例、及び本発明の範囲内の条件を一つでも外れる方
法である比較例について、Ni−Zn系皮膜の形成条件
の詳細を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】上記各種製造条件により表面にNi−Zn
系皮膜を形成されたそれぞれの亜鉛系メッキ鋼板から供
試体を採取した。なお、電解処理及び後処理をしなかっ
たもの、又は後処理のみをしなかったものからも供試体
を採取した。次いで、採取された供試体について、Ni
−Zn系皮膜についての分析試験、並びに、Ni−Zn
系皮膜を形成された亜鉛系メッキ鋼板のプレス成形性及
びスポット溶接性の特性評価試験を行なった。分析試験
方法及び特性評価試験方法は、次の通りである。
【0040】(1)分析試験 「皮膜中のNi含有量(mg/m2 )及び皮膜中のZn
/Ni比率(含有量(mg/m2 )比率)」下層のメッ
キ層中にはNi−Zn系皮膜の成分元素の内のZnを含
むので、ICP法では、上層のNi−Zn系皮膜中成分
元素と下層のメッキ層中成分元素とを完全に分離するこ
とは困難である。そこで、ICP法により、下層のメッ
キ層中に含まれていないNiのみを定量分析した。更
に、Arイオンスパッタした後、XPS法によりNi−
Zn系皮膜中各成分元素の測定を表面から繰り返すこと
によって、Ni−Zn系皮膜の表面に垂直に、深さ方向
に対する各成分元素の組成分布を測定した。この測定方
法においては、下層のメッキ層中に含まれていないNi
−Zn系皮膜の元素であるNiが最大強度である深さ
と、その元素が検出されなくなった深さとの平均深さ
を、Ni−Zn系皮膜の厚さとした。そして、ICP法
の結果とXPS法との結果とから、Ni−Zn系皮膜の
Ni含有量(mg/m2 )、及び、Ni含有量(mg/
2 )に対するZn含有量(mg/m2)の比率を算定
した。
【0041】「皮膜表層部の酸化物系層の厚さ」Arイ
オンスパタリングと、X線光電子分光法(XPS)又は
オージェ電子分光法(AES)との組合せにより、Ni
−Zn系皮膜表層部の酸化物系層の厚さを測定した。供
試体の表面所定の深さまで、Arイオンスパタリングし
た後、XPS又はAESによる皮膜中各元素の測定を行
ない、これを繰り返した。この測定法において、ある深
さで、酸化物又は水酸化物に起因する酸素の量は最大濃
度となった後、減少し一定となる。この酸素濃度が、最
大濃度より深い位置で、最大濃度と一定濃度との和の1
/2となる深さを、酸化物系層の厚さとした。なお、ス
パッタ速度の標準試料として、SiO2 を用いた。その
スパッタ速度は4.5nm/minであった。
【0042】(2)特性評価試験 「摩擦係数測定試験」プレス成形性を評価するために、
各供試体の摩擦係数を、下記装置により次の通り測定し
た。
【0043】図1は、摩擦係数測定装置を示す概略正面
図である。同図に示すように、供試体から採取した摩擦
係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、
水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されて
いる。スライドテーブル3の下面には、これに接したロ
ーラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5
が設けられ、これを押上げることにより、ビード6によ
る摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するため
の第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取
付けられている。上記押付力を作用させた状態で、スラ
イドテーブル3の水平移動方向の一方の端部には、スラ
イドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗
力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテ
ーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑
油として、日本パーカライジング社製ノックスラスト5
50HNを試料1の表面に塗布して試験を行った。
【0044】供試体とビードとの間の摩擦係数μは、
式:μ=F/Nで算出した。但し、押付荷重N:400
kgf、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水
平移動速度):100cm/minとした。
【0045】図2は、使用したビードの形状・寸法を示
す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の表面に
押しつけられた状態で摺動する。その下面形状は、幅1
0mm、摺動方向長さ3mmの平面を有し、その前後面
の幅10mmの各々の線には4.5mmRを持つ筒面の
1/4筒面が同図のように接している。
【0046】〔連続打点性試験〕スポット溶接性を評価
するために、各供試体について連続打点性試験を行っ
た。同じ供試体を2枚重ね、それを両面から1対の電極
チップで挟み、加圧通電して電流を集中させた抵抗溶接
(スポット溶接)を、下記条件で連続的に行なった。
【0047】 ・電極チップ:先端径6mmのドーム型 ・加圧力:250kgf ・溶接時間:0.2秒 ・溶接電流:11.0kA ・溶接速度:1点/sec 連続打点性の評価としては、スポット溶接時に、2枚重
ねた溶接母材(供試体)の接合部に生じた溶融凝固した
金属部(ナゲット)の径が、4×t1/2 (t:1枚の板
厚、mm)未満になるまでに連続打点した打点数を用い
た。なお、上記打点数を以下、電極寿命という。
【0048】上記分析試験及び特性評価試験の結果を、
表5〜8に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】表1〜4のNi−Zn系皮膜の形成条件、
及び表5〜8の試験結果から、下記事項が明らかであ
る。 (1)Ni−Zn系皮膜を形成させなかった場合(比較
例1、21および23)は、亜鉛系メッキ鋼板のメッキ
種、GA、GI及びEGの如何を問わず、本発明の範囲
内のNi−Zn系皮膜を形成させた場合と比較して、プ
レス成形性及びスポット溶接性のいずれにおいても劣っ
ている。
【0054】(2)電解処理をしてNi−Zn系皮膜を
形成させたが、後処理をしなかった場合(比較例2〜
6、22及び24)は、Ni−Zn系皮膜表層部の酸化
物系層の厚さが1.0nm以下と薄く、本発明の範囲内
の電解処理及び後処理共にした場合(実施例1〜5、2
0と21、及び22と23)と比較して、プレス成形性
においてやや劣っている。
【0055】(3)電解の電流密度が本発明の範囲内よ
りも小さい場合(比較例7)は、Ni−Zn系皮膜中の
Ni含有量が少なく、上記電流密度が本発明の範囲内の
場合(実施例1〜5)と比較して、プレス成形性及びス
ポット溶接性共に劣っている。一方、電解の電流密度が
本発明の範囲内よりも大きい場合(比較例8)は、メッ
キ焼けが起こりNi−Zn系皮膜の密着性が低下し、上
記電流密度が本発明の範囲内の場合(実施例1〜5)と
比較して、プレス成形性及びスポット溶接性において劣
っている。
【0056】(4)電解液中のNi2+イオン+Zn2+
オンの濃度が、本発明の範囲内より低い場合(比較例
9)は、メッキ焼けが起こりNi−Zn系皮膜の密着性
が低下し、上記イオン濃度が本発明の範囲内の場合(実
施例6)と比較してプレス成形性及びスポット溶接性に
おいて劣っている。
【0057】(5)電解液のpHが、本発明の範囲内よ
り低い場合(比較例10)は、Ni−Zn系皮膜中のN
i含有量が少なく、上記pHが本発明の範囲内の場合
(実施例7)と比較してプレス成形性及びスポット溶接
性共に劣っている。
【0058】(6)電解液の温度が、本発明の範囲内よ
り低い場合(比較例11)は、メッキ焼けがおこり、N
i−Zn系皮膜の密着性が低下し、上記温度が本発明の
範囲内の場合(実施例8)と比較してプレス成形性及び
スポット溶接性において劣っている。
【0059】(7)後処理液のpHが、本発明の範囲内
よりも小さい場合(比較例12及び13)は、Ni−Z
n系皮膜表層部の酸化物系層の厚さが薄く、上記pHが
本発明の範囲内の場合(実施例9及び10)と比較し
て、プレス成形性においてやや劣っている。一方、後処
理液のpHが、本発明の範囲内よりも大きい場合(比較
例17及び18)もNi−Zn系皮膜表層部の酸化物系
層の厚さが薄く、上記pHが本発明の範囲内の場合(実
施例13及び14)と比較して、プレス成形性において
やや劣っている。
【0060】(8)後処理時間が、本発明の範囲内より
も短い場合(14、15、16、19及び20)は、N
i−Zn系皮膜表層部の酸化物系層の厚さが薄く、上記
後処理時間が本発明の範囲内の場合(実施例9と10、
11と12、13と14、15〜17、及び18と1
9)と比較して、プレス成形性においてやや劣ってい
る。
【0061】(9)本発明の範囲内の電解処理条件及び
後処理条件で処理された実施例1〜23はすべて、形成
されたNi−Zn系皮膜中のNi含有量、Zn/Niの
含有量比率及び表層部の酸化物系層の厚さが、プレス成
形性及びスポット溶接性の向上に対して適切な範囲内に
あり、メッキ焼けも発生せず、また、効率的な製造が可
能であった。そして、上記Ni−Zn系皮膜が表面に形
成された亜鉛系メッキ鋼板はいずれも、プレス成形性が
著しく向上し、スポット溶接性にも優れている。
【0062】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、亜
鉛系メッキ鋼板の表面に形成されたNi−Zn系皮膜
は、亜鉛系メッキ層に比べて硬質であり、且つ皮膜表層
部に存在する酸化物系層が高融点であるために、プレス
成形時におけるメッキ層表面とプレス金型との摺動抵抗
を低下させる。また、Ni−Zn系皮膜は高融点で且つ
電気伝導度が高いため、スポット溶接性における連続打
点性を向上させる効果をもつ。従って、本発明によれ
ば、プレス成形性及びスポット溶接性に優れた亜鉛系メ
ッキ鋼板の製造方法を提供することができ、工業上有用
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。
【図2】図1のビードの形状・寸法を示す概略斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 摩擦係数測定用試料 2 試料台 3 スライドテーブル 4 ローラ 5 スライドテーブル支持台 6 ビード 7 第1ロードセル 8 第2ロードセル 9 レール N 押付荷重 F 摺動抵抗力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 修二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 櫻井 理孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni2+イオンとZn2+イオンとを合計濃
    度で0.3〜2.0mol/lを含有し、pHが1〜3
    の範囲内にあり、温度が30〜70℃の範囲内にある酸
    性硫酸塩水溶液からなる電解液中で、亜鉛系メッキ鋼板
    を陰極にし、電流密度が1〜150A/dm2 の範囲内
    で電解処理を行ない、次いで、前記電解処理を施された
    前記亜鉛系メッキ鋼板を、更に、pHが3〜5.5の範
    囲内にある後処理液で、処理時間t(sec)が、下記
    (1)式: 50/T≦t≦10 --------------------(1) 但し、T:後処理液の温度(℃) を満たす間、後処理を行なうことを特徴とする亜鉛系メ
    ッキ鋼板の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197821A (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 Jfeスチール株式会社 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法

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