JPH1110473A - 被加工管の芯出し方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】真円誤差のある管の芯出しを迅速かつ正確に行
い、これら管の加工を容易にすることを課題とする。 【解決手段】被加工管Ｐの管端加工面Ｐ１を把持面とし
て管Ｐを支持する管端クランプ装置２と、該管端クラン
プ装置２に隣接配置され、前記管端クランプ装置２で固
定された管外面をクランプし前記管端クランプ装置２の
クランプを解除後前記被加工管をクランプしたまま自身
が回転する回転クランプ装置４とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は被加工管の芯出し
方法及びその装置に関し、詳しくは断面が真円でないよ
うな成形誤差を含む管を回転させながら加工する場合に
好適な被加工管の芯出し方法及びその装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】遠心鋳造管は、鋳造後管外周や管端部に
加工を施す場合がある。特に鋳鋼管は管を突き合わせ溶
接するため、管端溶接面に芯出しするための研削加工が
行われ、管の溶接はこの研削加工面を基準に管を接合す
ることが行われる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、遠心鋳造管は
製造方法の特殊性より管断面が真円でない場合がある。
もとよりこれら変形は許容誤差の範囲内のもので、製品
の規格上は何等問題がないのであるが、溶接工程時に種
々の弊害を生ずる問題があった。

【０００４】即ち、被加工管を駆動ローラで摩擦回転さ
せつつ溶接する場合、突き合わせる管の真円誤差に起因
して互いの管端加工面の管軸が食い違う方向に変位した
り、真円誤差に起因して摩擦力が変動し回転速度が変動
して管周方向への相対位置ずれを起こし、正確な突き合
わせ接合が不可能になる問題があった。

【０００５】従来では、このような問題を防止するため
常時芯出し作業が行われているが、この作業は作業員の
目視により、被加工管のターニングローラを上下左右に
動かすことによって行われていたため、高度な熟練を要
する上監視労力が負担となる問題があった。

【０００６】さらに、鋳鉄管外面は鋳肌のためターニン
グローラとの接触性が悪くてスリップ率が高く、目視に
よる調整作業効率も非常に悪いといった問題があった。
この発明は上記問題を解消することを目的としてなされ
たものであり、管に真円誤差がある場合でも、芯出しが
迅速かつ非常に容易に行える被加工管の芯出し方法及び
その装置を提供することを目的としてなされたものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の被加工管の芯
出し方法は、既加工管端部を有する被加工管を水平方向
に配置し、前記既加工管端部の外周面を基準として前記
被加工管を加工時の仮想中心軸に一致させて仮固定し、
この状態の被加工管を前記仮想中心を回転中心として回
転するクランプ装置に把持させ、その後前記仮固定を解
き被加工管を把持させたまま前記クランプ装置を回転駆
動させて必要な加工を行うことを特徴とするものであ
る。

【０００８】即ち、正確に加工された管端部外面を基準
として被加工管を仮想中心に正確に一致させて一旦仮固
定し、その状態の被加工管をクランプ装置で把持し、し
かる後仮想中心を中心として回転するクランプ装置を、
被加工管を把持させたまま回転させるため、被加工管は
仮想中心を中心として確実に回転し、回転中の軸芯調整
が不要となり、被加工管に対する加工が容易となる。

【０００９】請求項２の被加工管の芯出装置は、被加工
管の管端加工面を把持面として管を支持する管端クラン
プ装置と、該管端クランプ装置に隣接して配置され、前
記管端クランプ装置の仮想中心を中心として回転駆動さ
れるリング状基板であって側面に中心方向へ向け出没し
前記被加工管外周をクランプするする油圧シリンダ装置
を有した回転クランプ装置とからなることを特徴とする
ものである。

【００１０】これは、請求項１の方法を実施するための
装置に関し、管端クランプ装置で管を仮想中心に一致さ
せて一旦固定し、次いで回転クランプ装置で被加工管を
固定する装置である。

【００１１】

【発明の実施の形態】次にこの発明の一実施の形態を説
明する。図１はこの発明の装置の一実施の形態の正面
図、図２は図１の左側面図、図３は図１のＸ−Ｘ線矢視
図である。

【００１２】この発明の被加工管の芯出し装置１は、被
加工管Ｐの管端加工面Ｐ１を把持面として管Ｐを支持す
る管端クランプ装置２と、該管端クランプ装置２に隣接
して配置され、前記管端クランプ装置２の仮想中心Ｐ２
を中心として回転駆動されるリング状基板５であって側
面に中心方向へ向け出没し前記被加工管Ｐ外周をクラン
プする油圧シリンダ装置４Ａ…４Ａを有した回転クラン
プ装置４とから構成されている。

【００１３】上記において被加工管Ｐは予め管端Ｐ１だ
けが研削加工され、この加工面が管Ｐの仮想中心Ｐ２に
対し真円となるように加工されている。上記における管
端クランプ装置２は、図３に示すように加工面Ｐ１に対
し三点で接するローラ２Ａとこれを支持するアーム２Ｂ
とからなり、クランプは図４に示すように管端の加工面
Ｐ１にローラ２Ａを圧接させることにより行われる。

【００１４】なお、図示例の場合は、管端を溶接する場
合を示し、溶接のため突き合わせた加工面Ｐ１、Ｐ１に
ローラ２Ａを架け渡し、両管を共通して支えるようにし
た場合を示す。

【００１５】そして管端クランプ装置２は全体が油圧シ
リンダ装置２Ｓにより上下移動可能とされている。回転
クランプ装置４は、図２に示すように被加工管Ｐの仮想
中心を中心として回転可能に支持されたリング状基板５
とこのリング状基板５に放射状配置とされた油圧シリン
ダ装置４Ａであってピストン４Ｂ先端が被加工管Ｐ外面
に当接するように構成される。

【００１６】なお、図中３はピストン４Ｂの支持ガイド
を示し、ブラケット３Ａで先端同士が一体的に連接され
ている。この支持ガイド３は、油圧シリンダ装置４の作
動時にピストン４Ｂが軸振れしないように保持するもの
である。

【００１７】そしてリング状基板５は図１に示すように
内周を軸受５Ａにより回転自在に軸支され、軸受５Ａは
ブラケット５Ｂを介して基枠５Ｃに固定されている。図
５は装置全体の側面図を示し、この発明の被加工管の回
転駆動装置１の両側にさらに被加工管Ｐの支持ベッド９
が設けられ、この支持ベッド９上には、被加工管Ｐを支
えると共に周方向に管を回転させる支持ロール６、７
と、被加工管Ｐを支えると共に軸方向に管を移動支持す
る支持ロール８が設けられている。

【００１８】なお、図中１０は被加工管Ｐの浮き上がり
防止プッシャーを示す。次に、この発明の被加工管の回
転駆動装置１の作動を、被加工管の突き合わせ溶接を行
う場合について説明する。

【００１９】先ず、被加工管Ｐを支持ベッド９に載せ、
支持ロール８で軸方向へ移送し、管端クランプ装置２部
分で二本の被加工管Ｐ、Ｐを突き合わせ配置し、接合部
分を管端クランプ装置２部分に位置させる。

【００２０】次いで回転ローラ６、７を上昇させ、支持
ロール８との縁を切る。なお、この時の上昇レベルは管
端クランプ装置２の仮想中心に被加工管Ｐの中心が一致
するような高さとされる。

【００２１】ついで管端クランプ装置２を作動させ、被
加工管Ｐの既加工面を図４に示すようにローラ２Ａでク
ランプする。これにより管端Ｐ１は三つのローラ２Ａで
三点支持される。

【００２２】ローラ２Ａは被加工管Ｐの仮想中心から等
距離とされ、管端Ｐ１は正確に加工されているため、被
加工管Ｐの未加工部分の外面が真円でなくても二つの被
加工管Ｐ、Ｐの管軸は仮想中心に沿って正確に整列され
る。

【００２３】なお、このとき管支持ローラ６、７のう
ち、管端クランプ装置２に近い側の管支持ローラ６は管
Ｐに対し降下させ、遠い側の管支持ローラ７で管を支
え、支持点に至る距離を大きくすることによって高さに
よる誤差を少なくする。

【００２４】次に、管端を挟んで対峙する二つの回転ク
ランプ装置４、４のピストン４Ｂを延出させ被加工管Ｐ
外周に接触させて、回転クランプ装置４、４に被加工管
を支持させる。

【００２５】そして、管端クランプ装置２をアンクラン
プし、かつ必要があれば油圧シリンダ装置２Ｓを駆動し
て管端クランプ装置２を下降させる。次いで、浮き上が
り防止プッシャー１０を下降させ被加工管の上方向逃げ
を防ぎながら、二つのクランプ装置４、４と管支持ロー
ラ７、７で管Ｐを支持してリング状基板５を回転させ
る。

【００２６】このとき、被加工管Ｐは外周に成形誤差が
あっても、回転そのものは二つの回転クランプ装置４、
４のリング状基板５の中心を中心とするので管Ｐは仮想
中心を中心として回転することとなり、管突き合わせ部
は互いに位置を変位させることなく一体的に回転する。

【００２７】そしてこの回転時に例えば管端部の溶接な
どを行うのである。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の被加工
管の回転駆動装置によれば、管端部に正確な加工端面が
成形されていれば、被加工管を正確に仮想中心に沿わせ
て設置することが可能となり、管壁が真円断面でない場
合であっても仮想中心を中心とした被加工管の回転が可
能となり面倒な軸芯調整が全く不要となる。

【００２９】また、被加工管の回転はリング状基板に設
けたクランプ装置で管を強固にクランプした後強制回転
させるため、外面粗面によるスリップや偏芯によるロー
ラの空転などを生ずる恐れなく確実に被加工管を回転さ
せることができ、正確な加工に寄与するなどの効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の装置の一実施の形態の正面図であ
る。

【図２】図１の左側面図である。

【図３】図１のＸ−Ｘ線矢視図である。

【図４】管端クランプの状態を示す要部拡大側面図であ
る。

【図５】装置全体を示す全体側面図である。

【符号の説明】

Ｐ…被加工管 Ｐ１…管端加工面 １…被加工管の芯出し装置 ２…管端クランプ装置 ２Ａ…ローラ ２Ｂ…アーム ２Ｓ…油圧シリンダ装置 ３…ガイド ３Ａ…ブラケット ４…回転クランプ装置 ４Ａ…油圧シリンダ装置 ４Ｂ…ピストン ５…リング状基板 ５Ａ…内周軸受 ５Ｃ…基枠

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河面 成則 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号 株式会社クボタ内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】既加工管端部を有する被加工管を水平方向
   に配置し、前記既加工管端部の外周面を基準として前記
   被加工管を加工時の仮想中心軸に一致させて仮固定し、
   この状態の被加工管を前記仮想中心を回転中心として回
   転するクランプ装置に把持させ、その後前記仮固定を解
   き被加工管を把持させたまま前記クランプ装置を回転駆
   動させて必要な加工を行うことを特徴とする被加工管の
   芯出し方法。
2. 【請求項２】被加工管の管端加工面を把持面として管を
   支持する管端クランプ装置と、該管端クランプ装置に隣
   接して配置され、前記管端クランプ装置の仮想中心を中
   心として回転駆動されるリング状基板であって側面に中
   心方向へ向け出没し前記被加工管外周をクランプする油
   圧シリンダ装置を有した回転クランプ装置とからなるこ
   とを特徴とする被加工管の芯出し装置。