JPH11104653A - 浴槽水の循環式濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の塩素系殺菌剤では細菌の除去を効果的
に行うことができるが、その反面、トリハロメタン等の
有機塩素化合物を発生したり、装置内の配管を腐食させ
るといった問題が起きることが指摘されている。 【解決手段】 浄化材１３を内蔵する浄化材ユニット１
０の内部に、銀コーティングを施した不織布からなる抗
菌クロス１６を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、浴槽水を交換する
ことなく、循環、濾過することで再利用を図る浴槽水の
循環式濾過装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一度使用した浴槽水を浄化して繰り返し
使用することは、水道水を大幅に節約できることに加
え、浴槽水の交換や使用した浴槽水の汚れによって浴槽
に付着した異物を掃除する手間を省くという点からも非
常に効果的である。そこで、浴槽水をポンプで吸引して
濾過した後、浴槽に環流させて浴槽水を連続的に使用す
る浴槽水の循環式濾過装置なるものが開発されている。

【０００３】従来の循環式濾過装置では、内部にフィル
タや浄化材が内蔵され、これらフィルタや浄化材によっ
て浴槽水の浄化と殺菌とを行うようになっている。ま
た、これらフィルタや浄化材によっても除去されにくい
レジオネラ菌等の細菌に対しては塩素系の殺菌剤を用い
ることによってこれらを死滅させるといった技術が採用
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
塩素系殺菌剤では細菌の除去を効果的に行うことができ
るが、その反面、トリハロメタン等の有機塩素化合物を
発生したり、濾過装置内の配管を腐食させるといった問
題が起きることが指摘されている。

【０００５】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、塩素系殺菌剤を使用することなく細菌を除去し
さらにその繁殖を抑えることが可能な浴槽水の循環式濾
過装置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、次のような構造を有する循環式濾過装
置を採用する。この循環式濾過装置には、浴槽水の循環
流路の内部に、銀コーティングを施した多孔質体が配置
されている。そして、循環流路を浴槽水が流通すると、
多孔質体表面の銀が浴槽水中に溶出し、銀の殺菌作用に
よって循環流路中に存在する細菌の除去が行われる。

【０００７】この多孔質体は、循環流路を流れる浴槽水
の流れ方向に沿って配置されており、浴槽水に晒される
多孔質体の表面積がより広く確保されて銀の溶出効率が
高められる。

【０００８】浄化材を収納する浄化材ユニットは、循環
ポンプを内蔵する本体に対して着脱可能とされており、
この浄化材ユニットの内部に、銀コーティングを施した
多孔質体が配置されている。これにより、浄化材の洗浄
を行う場合と同じ要領で多孔質体の交換が簡単に行え
る。

【０００９】また、浄化材ユニットとは別に、浴槽水を
汲み上げる吸水口の内側にも、銀コーティングを施した
多孔質体が配置されている。これにより、装置内部に存
在する細菌はもちろんのこと、吸水口周辺に存在する細
菌についてもその効果が発揮される。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明に係る浴槽水の循環式濾過
装置の一実施形態を図１ないし図４に示して説明する。
図１は、本発明の循環式濾過装置を浴槽に設置した状態
を示す図である。図に示すように、循環式濾過装置１は
浴槽２の角に載る三角形の座脚３を備えており、この座
脚３の上部に、循環ポンプ４や加熱ヒータ５、制御部６
等を内蔵する本体ケース７が設けられている。

【００１１】座脚３の下側には浄化材ユニット１０およ
び吸水管２０が設けられている。さらに吸水管２０の下
部には吸水口ユニット２１が取り付けられている。これ
ら浄化材ユニット１０、吸水管２０、吸水口ユニット２
１は、座脚３を浴槽２の角に載せたとき、浴槽２のコー
ナーにちょうど収まるように形成されている。しかも吸
水口ユニット２１は、その背面に設けられた吸盤２２が
浴槽２の側面に吸着するようになっている。

【００１２】浄化材ユニット１０は、図２に示すよう
に、浄化材ケース１１と蓋体１２とを備え、浄化材ケー
ス１１の内部には浄化材１３が収容されている。浄化材
ケース１１の正面下部には、左右幅広に開口する排水口
１４が設けられている。蓋体１２の上部には、本体ケー
ス７の下部に設けられた循環ポンプ４の排水管８に対す
る接続部１５が設けられ、浄化材ユニット１０が本体ケ
ース７に対して着脱可能とされている。

【００１３】さらに浄化材ユニット１０の内部には、銀
コーティングを施した不織布（多孔質体）からなる抗菌
クロス１６が配置されている。この抗菌クロス１６は幅
が浄化材ケース１１の高さにほぼ等しく、長さが浄化材
ケース１１の胴まわり長さにほぼ等しい長方形状に裁断
されており、浄化材ケース１１の内側面に沿って筒状に
丸められた状態で配置され、浄化材１３はその内側に収
容されている。

【００１４】吸水口ユニット２１は、図３に示すよう
に、吸水管２０に接続されるユニットケース２３と、こ
のユニットケース２３に着脱可能とされ吸水ノズル２４
が設けられた蓋体２５とを備えている。ユニットケース
２３は略円盤状に形成されており、その背面には吸盤２
２が取り付けられている。ユニットケース２３内部の空
間２６は吸水管２０と連通しており、この空間２６に
は、湯垢や髪の毛等の異物を濾過して除去するフィルタ
２７が設置されている。

【００１５】フィルタ２７は不織布製フィルタ２７ａと
スポンジ製フィルタ２７ｂとを重ねて構成したものであ
る。これらの形状はいずれもユニットケース２３に合わ
せた円盤状であり、中央に形成された孔２７ｃをユニッ
トケース２３内部に立設された取付棒２８に通して空間
２６に配置され、蓋体２５を装着することで吸水口ユニ
ット２１内に固定されている。

【００１６】吸水口ユニット２１にも、銀コーティング
を施した不織布からなる抗菌クロス２９が配置されてい
る。この抗菌クロス２９の形状はフィルタ２７と同じく
ユニットケース２３に合わせた円盤状であり、中央に形
成された孔２９ａを取付棒２８に通してフィルタ２７と
ともに吸水口ユニット２１内に固定されている。

【００１７】さらに、抗菌クロス２９には、図４に示す
ように半径方向に向けて複数の切込み３０が形成されて
おり、抗菌クロス２９を通過する浴槽水の流通抵抗の低
減が図られている。

【００１８】上記のように構成された循環式濾過装置１
を作動させると、浴槽水は吸水口ユニット２１から吸い
込まれ、加熱ヒータ５を通過する過程で加熱され、排水
管８を通じて浄化材ユニット１０に流し込まれ、再び浴
槽２に戻る。

【００１９】その際、浄化材ユニット１０の内部を浴槽
水が流通すると、不織布にコーティングされた銀が浴槽
水中に溶出する。そして、この浴槽水が浄化材１３の間
を通過する過程において、溶出した銀の殺菌作用により
浄化材１３中に存在する細菌の除去が行われる。

【００２０】さらに、浴槽水が浄化材ユニット１０の内
部を流通する過程において、抗菌クロス１６が浴槽水の
流れ方向に沿って配置されることで浴槽水に晒される抗
菌クロス１６の表面積がより広く確保されることから、
銀がより多く浴槽水に溶出する。

【００２１】また、浴槽水が吸水口ユニット２１に吸い
込まれる過程においても、抗菌クロス２９から銀が溶出
することから、吸水口ユニット２１内部の細菌だけでな
く、本体ケース７内の各機構ならびに装置内配管の内側
に存在する細菌に対してもその殺菌効果が発揮される。

【００２２】上記のように構成された循環式濾過装置１
によれば、浴槽水中に溶出した銀の殺菌作用によって浄
化材１３中に存在する細菌の除去が行われることによ
り、トリハロメタン等の有機塩素化合物の発生や装置内
配管の腐食促進といった問題を一挙に解決することがで
きる。

【００２３】抗菌クロス１６が浄化材ユニット１０内部
の浴槽水の流れ方向に沿って配置されており、浴槽水に
晒される抗菌クロス１６の表面積がより広く確保されて
銀の溶出効率が高められるので、浴槽水が銀をより多く
含有することになり、これによって殺菌効果をさらに向
上させることができる。

【００２４】循環ポンプ４を内蔵する装置本体に対して
浄化材ユニット１０を着脱可能し、この浄化材ユニット
１０の内部に抗菌クロス１６を配置することにより、浄
化材１３の洗浄を行う場合と同じ要領で抗菌くろす１６
の交換が簡単に行えるので、銀コーティングの効果が薄
れる時期を考慮して抗菌クロス１６を定期的に交換する
ことで銀による殺菌作用を継続して発揮させることがで
きる。

【００２５】吸水口ユニット２１にも抗菌クロス２９が
配置されているので、濾過装置の内部に吸入される浴槽
水も銀を含有することになり、これによって吸水ノズル
２４の周辺に存在する細菌だけでなく、濾過装置の内部
に存在する細菌に対しても殺菌効果を発揮することがで
きる。

【００２６】ところで、本実施形態においては抗菌クロ
ス１６を浄化材ユニット１０および吸水口ユニット２１
の内部に配置したが、抗菌クロス１６は装置本体に設け
られる浴槽水の循環流路中に配置される限りにおいて十
分な殺菌効果を発揮することができる。

【００２７】また、本実施形態においては抗菌クロス１
６を筒状に丸めて浄化材ユニット１０に配置したが、抗
菌クロス１６を丸めたりせず、浄化材ユニット１０を仕
切るようにして縦に挿入し、仕切られた空間に浄化材１
３を入れてもよい。コーティングを施す素材には、上記
実施形態において採用した不織布の他、スポンジ等の多
孔質体を採用してもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る浴槽
水の循環式濾過装置によれば、吸水口や装置内配管、浄
化材ユニット等により構成される浴槽水の循環流路の内
部に、銀コーティングを施した多孔質体を配置すること
により、浴槽水が装置の内部を通過する過程において不
織布にコーティングされた銀が浴槽水中に溶出し、溶出
した銀の殺菌作用によって浄化材中に存在する細菌の除
去が行われる。これにより、トリハロメタン等の有機塩
素化合物の発生や装置内配管の腐食促進といった問題が
解消され、より安全な循環式濾過装置を提供することが
できる。

【００２９】循環流路を流れる浴槽水の流れ方向に沿っ
て多孔質体を配置することにより、浴槽水に晒される多
孔質体の表面積がより広く確保されて銀の溶出効率が高
められるので、浴槽水が銀をより多く含有することにな
り、これによって細菌に対する浴槽水の殺菌作用をさら
に向上させることができる。

【００３０】浄化材を収納する浄化材ユニットを、循環
ポンプを内蔵する装置本体に対して着脱可能し、この浄
化材ユニットの内部に多孔質体を配置することにより、
浄化材の洗浄を行う場合と同じ要領で多孔質体の交換が
簡単に行えるので、銀コーティングの効果が薄れたら多
孔質体自体を交換することで銀による殺菌作用を継続し
て発揮させることができる。

【００３１】浴槽水を汲み上げる吸水口の内側に、銀コ
ーティングを施した多孔質体を配置することにより、濾
過装置の内部に吸入される浴槽水も銀を含有することに
なり、これによって吸水口周辺に存在する細菌だけでな
く、濾過装置の内部に存在する細菌に対しても殺菌効果
を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る循環式濾過装置の一実施形態を
示す斜視図である。

【図２】 浄化材ユニットの側方断面図である。

【図３】 吸水口ユニットの側方断面図である。

【図４】 図３におけるＩＶ−ＩＶ線矢視断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 循環式濾過装置 １０ 浄化材ユニット １３ 浄化材 １６ 抗菌クロス（多孔質体） ２１ 吸水口ユニット ２９ 抗菌クロス（多孔質体）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５６０ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５６０Ｚ Ａ４７Ｋ 3/00 Ａ４７Ｋ 3/00 Ｋ Ｂ０１Ｄ 35/027 Ｂ０１Ｄ 35/02 Ｊ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽水を循環ポンプで汲み上げ、浄化材
   を内蔵する浄化材ユニットを通過させて濾過したのちに
   浴槽内に環流させる浴槽水の循環式濾過装置において、 浴槽水の循環流路の内部に、銀コーティングを施した多
   孔質体が配置されていることを特徴とする浴槽水の循環
   式濾過装置。
2. 【請求項２】 前記多孔質体が、前記循環流路を流れる
   浴槽水の流れ方向に沿って配置されていることを特徴と
   する請求項１に記載の浴槽水の循環式濾過装置。
3. 【請求項３】 前記浄化材ユニットが、前記循環ポンプ
   を内蔵する装置本体に対して着脱可能とされ、該浄化材
   ユニットの内部に前記多孔質体が配置されていることを
   特徴とする請求項１または２に記載の浴槽水の循環式濾
   過装置。
4. 【請求項４】 前記多孔質体が、浴槽水を汲み上げる吸
   水口の内側に配置されていることを特徴とするせ１、２
   または３に記載の浴槽水の循環式濾過装置。