JPH1110463A - 動力伝達機構の組付装置及び組付方法 - Google Patents

動力伝達機構の組付装置及び組付方法

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JPH1110463A
JPH1110463A JP16151297A JP16151297A JPH1110463A JP H1110463 A JPH1110463 A JP H1110463A JP 16151297 A JP16151297 A JP 16151297A JP 16151297 A JP16151297 A JP 16151297A JP H1110463 A JPH1110463 A JP H1110463A
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JP
Japan
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rotating body
coil spring
power transmission
torsion coil
transmission mechanism
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Pending
Application number
JP16151297A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Okada
昌彦 岡田
Hiroaki Kayukawa
浩明 粥川
Hideki Mizutani
秀樹 水谷
Suguru Hirota
英 廣田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達機構におけるがたつきや各部材の干
渉の発生及び製作コストの高騰を抑制可能な組付装置及
び組付方法を提供する。 【解決手段】 リミットバネ78の前方延出部78aを
前端固定部材83の第2係合凹部93に、後方延出部7
8bを後端固定部材82の第1係合凹部88にそれぞれ
係合させ、前端固定部材83をリミットバネ78の巻き
が緩む方向に回転させる。これにより、ねじり荷重が付
与された状態で組付装置81内に保持されたリミットバ
ネ78に、回転軸26の端面26が前端固定部材83の
当接部94に当接するように、ロータ65の内筒部65
aを挿嵌する。そして、前端固定部材83をリミットバ
ネ78の巻きが締まる方向に回転させて、リミットバネ
78を前記内筒部65aに締め付け接合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転運動する動
力源側の第1回転体と被動機器側の第2回転体とを、常
には動力伝達可能に連結し、被動機器側における負荷ト
ルクが過大になったときには動力伝達を遮断する動力伝
達機構の組付装置及び組付方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ねじりコイルバネを用いた動力伝達機構
としては、例えば特開平8−121336号公報に記載
の構成が知られている。
【0003】すなわち、往復動型圧縮機(被動機器)の
ハウジングのボス部の外周面に、円環状のプーリ(一方
の回転体)がアンギュラベアリングを介して支持されて
いる。このプーリは、ベルトを介して動力源に連結され
ている。前記圧縮機の回転軸(他方の回転体)には、そ
の端部において略円板状の駆動力伝達体(連結部材の一
部)が抜け止めされている。この駆動力伝達体の外周面
と、前記プーリの内周面をなす支持基板の前方側内周面
との間には、環状の緩衝ゴム(連結部材の一部)が接着
固定されている。
【0004】前記回転軸の外周面には、ねじりコイルバ
ネが自らのねじりバネ力により所定の初期締め付け力を
もって接合されている。ねじりコイルバネの一端は回転
軸の接線方向に延出されており、この延出端部が前記駆
動力伝達体の圧縮機側面に形成された掛止凹部に掛止さ
れている。
【0005】これにより、常には、動力源の回転が、ベ
ルト、ロータ、支持板、緩衝ゴム、駆動力伝達体、及
び、ねじりコイルバネを介して、圧縮機側の回転軸に伝
達される。一方、圧縮機側における負荷トルクが過大に
なったときには、ねじりコイルバネが負荷トルクによ
り、その巻きが緩む方向にねじり変形する。このねじり
変形に伴って、ねじりコイルバネはその内周面が拡径
し、ねじりコイルバネの回転軸に対する締め付け力が低
下する。やがて、その締め付け力が所定値を下回ると、
ねじりコイルバネと回転軸との間に滑りを生じて、動力
源から被動機器への動力伝達が遮断されるようになって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記公報に
は、回転軸に対するねじりコイルバネの組付方法が開示
されていない。このため、各部材の加工及び組み付け上
の公差の状況から、回転軸に接合されたねじりコイルバ
ネの接合位置にばらつきが生じることがある。このた
め、ねじりコイルバネと前記プーリとの間の相対位置の
ずれが生じるおそれがある。そして、このようなずれに
より、ねじりコイルバネの前端位置にばらつきが生じる
と、ねじりコイルバネとプーリとを、連結部材を介して
連結する際に、がたつきの発生や、各部材の干渉等の支
障を来すおそれがある。
【0007】特に、前記従来構成のように、被動機器が
往復動型圧縮機である場合には、各部材の加工及び組み
付け上の公差に加えて、次のようなねじりコイルバネの
前端位置をばらつかせる要因が存在するため、前記ばら
つきが大きくなる。
【0008】ここで、往復動型圧縮機としては、例えば
次のような構成が知られている。すなわち、ハウジング
内には、クランク室及び圧縮室が区画されている。その
クランク室内には、回転軸に一体回転可能に止着された
カムプレートが設けられている。そのカムプレートの外
周部にはピストンが係留され、そのピストンの少なくと
も一端が前記圧縮室内に往復動可能に挿入されている。
また、カムプレートに作用するスラスト荷重は、スラス
トベアリングを介してハウジングの内壁面で受承される
ようになっている。
【0009】このような圧縮機では、その圧縮性能を調
整するために、ピストンが上死点に達したときのピスト
ンの端面と、その端面に対向する圧縮室の対向面との距
離を微妙に変更して、圧縮室の最小容積を調整する必要
がある。このために、前記カムプレートと、前記スラス
トベアリングまたはハウジングの内壁面との間に、容積
調整シムが介装されている。この容積調整シムの介装
は、ハウジングのボス部と回転軸との相対位置のばらつ
きの発生を招き、ねじりコイルバネと前記プーリとの間
に相対位置のずれが生じる。
【0010】そこで、前記のような相対位置のずれを吸
収するためには、例えばねじりコイルバネとプーリとの
間への相対位置調整シムの介装、あるいは、各部材の選
択嵌合といった対策が考えられる。ところが、これらの
ような対策では、微妙に寸法の異なる各部材を多数用意
する必要とともに、組付作業の工数の増加を招き、製作
コストの高騰を招くという問題があった。
【0011】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的
は、ねじりコイルバネの一方の回転体上への組み付け
を、他方の回転体に対して位置決めした状態で行うこと
ができる動力伝達機構の組付装置、及び、動力伝達機構
のがたつきや各部材の干渉の発生、及び、製作コストの
高騰の抑制可能な動力伝達機構の組付方法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、動力源側の第1回転体
と、被動機器側の第2回転体と、動力伝達時に発生する
負荷トルクによってねじり変形可能なねじりコイルバネ
とを備え、前記ねじりコイルバネと、第1回転体または
第2回転体の一方の回転体とを、所定の初期締め付け力
をもって接合して、前記ねじりコイルバネと、第1回転
体または第2回転体の他方の回転体とを、連結部材を介
して一体回転可能に連結し、前記第1回転体と第2回転
体とを、常には動力伝達可能に連結し、前記負荷トルク
が過大になったときにはねじりコイルバネと前記一方の
回転体との間に滑りを生じて、動力伝達を遮断するよう
にした動力伝達機構において、前記ねじりコイルバネを
前記一方の回転体に接合させる際に使用する動力伝達機
構の組付装置であって、前記ねじりコイルバネにねじり
荷重を付与する付与手段と、前記他方の回転体上の基準
位置に当接してねじりコイルバネの前記一方の回転体に
対する接合位置を決定する位置決め手段と、を備えたも
のである。
【0013】請求項2に記載の発明では、動力源側の第
1回転体と、被動機器側の第2回転体と、動力伝達時に
発生する負荷トルクによってねじり変形可能なねじりコ
イルバネとを備え、前記ねじりコイルバネと、第1回転
体または第2回転体の一方の回転体とを、所定の初期締
め付け力をもって接合して、前記ねじりコイルバネと、
第1回転体または第2回転体の他方の回転体とを、連結
部材を介して一体回転可能に連結し、前記第1回転体と
第2回転体とを、常には動力伝達可能に連結し、前記負
荷トルクが過大になったときにはねじりコイルバネと前
記一方の回転体との間に滑りを生じて、動力伝達を遮断
するようにした動力伝達機構において、前記ねじりコイ
ルバネを前記一方の回転体に接合させる動力伝達機構の
組付方法であって、前記ねじりコイルバネにねじり荷重
を付与して、同ねじりコイルバネをねじり変形させた状
態で前記一方の回転体に対向させ、前記他方の回転体上
の基準位置を基準として、前記ねじりコイルバネの前記
一方の回転体に対する接合位置を決定するものである。
【0014】ねじりコイルバネを組み付ける際に、前記
組付装置及び組付方法を採用することで、前記他方の回
転体に対して常に一定の位置関係をもって、ねじりコイ
ルバネを前記一方の回転体上に組み付けることができ
る。このため、ねじりコイルバネと他方の回転体との間
に、相対位置調整シムを介装したり、各部材の選択嵌合
を行ったりすることなく、連結部材を容易に組み付ける
ことができる。
【0015】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の動力伝達機構の組付方法において、前記基準位置が
前記他方の回転体の端面によりなるものである。この構
成によれば、他方の回転体の端面の加工により、自動的
に基準位置が形成されて、別途基準位置を形成するため
の加工を行う必要がない。
【0016】請求項4に記載の発明では、請求項2また
は3に記載の動力伝達機構の組付方法において、前記被
動機器を、ハウジング内に前記第2回転体をなす回転軸
を支持するとともにクランク室及び圧縮室を区画し、ク
ランク室内には前記回転軸に一体回転可能に止着された
カムプレートを設け、そのカムプレートの外周部にはピ
ストンを係留し、そのピストンの少なくとも一端を前記
圧縮室内に往復動可能に挿入した往復型圧縮機としたも
のである。
【0017】この種の往復動型圧縮機においては、前述
のように、前記一方の回転体と前記の他方の回転体との
相対位置のずれが大きくなりやすい。このため、前記各
請求項に記載の組付方法は、前記圧縮機の組み付けおい
てに特に好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下に、この発明を、車両用空調装
置におけるクラッチレス可変容量圧縮機用の動力伝達機
構の組付方法及び組付装置に具体化した一実施形態につ
いて、図1〜図8に基づいて説明する。
【0019】まず、クラッチレス可変容量圧縮機につい
て説明する。図3に示すように、被動機器としてのクラ
ッチレス可変容量圧縮機(以下、単に「圧縮機」とす
る)21は、シリンダブロック22と、その前端面に接
合されたフロントハウジング23と、その後端面にバル
ブプレート24を介して接合されたリヤハウジング25
とにより構成されている。なお、ここ、あるいは、以下
でいう前後は、圧縮機の後述する動力伝達機構側を前側
とし、その逆側を後側とする。
【0020】第2回転体としての回転軸26は、前記シ
リンダブロック22及びフロントハウジング23の中央
に、一対のラジアルベアリング27を介して回転可能に
支持されている。その回転軸26の前端外周とフロント
ハウジング23との間には、リップシール28が介装さ
れている。
【0021】複数のシリンダボア29は、前記回転軸2
6と平行に延びるように、シリンダブロック22に所定
間隔おきで貫通形成され、それらの内部には片頭型のピ
ストン30が往復動可能に嵌挿支持されている。そし
て、シリンダボア29の内周面、バルブプレート24、
及び、ピストン30の端面により、圧縮室が区画され
る。クランク室31は、シリンダブロック22とフロン
トハウジング23との間に区画形成されている。
【0022】カムプレートの一部を構成する回転支持体
32は、前記クランク室31内において回転軸26に一
体回転可能に止着され、スラストベアリング33を介し
てフロントハウジング23の内面に接合されている。ま
た、この回転支持体32とスラストベアリング33との
間には、必要に応じて、円環状で所定厚さの容積調整シ
ム32aが介装されている。支持アーム34は、回転支
持体32の後面にシリンダブロック22側へ向かって突
設され、その先端には一対のガイド孔35が形成されて
いる。
【0023】カムプレートの一部を構成し、ほぼ円板状
をなす斜板36は、前記回転軸26に傾動可能に嵌挿さ
れ、その前面には一対の球状連結体37が突設されてい
る。そして、この球状連結体37が支持アーム34のガ
イド孔35に回動及び摺動自在に係入することによっ
て、斜板36が回転支持体32に対して傾角の変更可能
にヒンジ連結されている。
【0024】また、前記斜板36の外周部には、一対の
半球状のシュー38を介して各ピストン30が連結され
ている。そして、回転軸26が回転されたとき、回転支
持体32を介して斜板36が回転され、各ピストン30
がシリンダボア29内において往復動される。
【0025】収容室39は、前記回転軸26と同一軸線
上に位置するように、シリンダブロック22の中心に貫
通形成されている。吸入通路40は、回転軸26と同一
軸線上に延びるように、リヤハウジング25及びバルブ
プレート24の中心に形成されている。この吸入通路4
0の前端には収容室39が連通されるとともに、後端に
は外部冷媒回路41が接続されている。そして、この外
部冷媒回路41には、凝縮器42、膨張弁43及び蒸発
器44が接続されている。
【0026】吸入室45は、前記リヤハウジング25内
の中央部に環状に区画形成され、連通口46を介して収
容室39に連通されている。吐出室47は、リヤハウジ
ング25内の外周部に環状に区画形成され、吐出通路4
8を介して外部冷媒回路41に接続されている。
【0027】吸入弁機構49及び吐出弁機構50は、前
記各シリンダボア29に対応するように、バルブプレー
ト24に形成されている。そして、前記ピストン30の
上死点位置から下死点位置への復動動作により、吸入弁
機構49を介して吸入室45から各シリンダボア29内
の圧縮室に冷媒ガスが吸入される。さらに、その圧縮室
内に吸入された冷媒ガスは、ピストン30の下死点位置
から上死点位置への往動動作により、所定の圧力に達す
るまで圧縮された後、吐出弁機構50を介して吐出室4
7に吐出される。
【0028】円筒状の遮断体51は、前記回転軸26と
同一軸線上に位置するように、シリンダブロック22の
収容室39内に移動可能に収容されている。吸入通路開
放バネ52は、遮断体51と収容室39の後端縁の近傍
の段差部39aとの間に介装され、この吸入通路開放バ
ネ52により遮断体51が斜板36側に向かって付勢さ
れている。そして、この遮断体51内には、前記ラジア
ルベアリング27を介して回転軸26の後端が摺動可能
に嵌挿支持されている。スラストベアリング53は、遮
断体51と斜板36との間において、回転軸26に摺動
可能に嵌挿されている。
【0029】また、前記斜板36が最小傾角状態に傾動
されたときには、遮断体51が吸入通路開放バネ52の
付勢力に抗して後方の閉位置に移動される。そして、こ
の遮断体51が吸入通路40の前端開口縁に接合され
る。それにより、吸入通路40が閉じられて、外部冷媒
回路41から吸入室45内への冷媒ガスの導入が停止さ
れる。なお、この斜板36の最小傾角は0度よりも僅か
に大きくなるように設定されるとともに、その最小傾角
は遮断体51が閉位置に配置されることによって規制さ
れる。
【0030】これにより、この圧縮機21は、車室内に
冷房要求の存在しない状態においても、最小傾角状態で
の運転が継続可能となっている。つまり、この圧縮機2
1は、回転軸26と動力源とをクラッチを介することな
く常時連結可能な、いわゆるクラッチレスタイプとなっ
ている。
【0031】一方、斜板36が最大傾角状態に傾動され
たときには、遮断体51が吸入通路開放バネ52の付勢
力により前方の開位置に移動される。そして、この遮断
体51が吸入通路40の前端開口縁から離間される。そ
れにより、吸入通路40が開かれて、外部冷媒回路41
から吸入通路40、収容室39、連通口46を介して吸
入室45内に冷媒ガスが導入され、斜板36の回転に伴
って最大吐出容量の圧縮運転が行われる。なお、この斜
板36の最大傾角は、斜板36の前面に形成された規制
突部54と回転支持体32との当接によって規制され
る。
【0032】傾角減少バネ55は、前記回転支持体32
と斜板36との間に介装され、この傾角減少バネ55に
より斜板36が最小傾角方向に付勢されている。放圧通
路56は、前記回転軸26の中心に形成され、その前端
がクランク室31内に開口されるとともに、後端が遮断
体51の内部に開口されている。放圧通口57は、遮断
体51の後端外周に形成され、この放圧通口57を介し
て遮断体51の内部が収容室39内に連通されている。
そして、クランク室31の圧力が、これらの放圧通路5
6、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室39及び
連通口46を介して、吸入室45内へ放出されるように
なっている。
【0033】給気通路58は、前記リヤハウジング2
5、バルブプレート24及びシリンダブロック22に連
続して形成されている。この給気通路58により、吐出
室47とクランク室31とが接続されている。電磁開閉
弁59は、給気通路58の途中に位置するように、リヤ
ハウジング25に装着され、ソレノイド60の励磁また
は消磁に伴って閉止または開放される。そして、この電
磁開閉弁59が開放されたときには、吐出室47の圧力
が給気通路58を介して、クランク室31内へ供給され
て、クランク室31内の調圧が行われるようになってい
る。
【0034】次に、この実施形態の動力伝達機構につい
て説明する。図1〜図3に示すように、前記フロントハ
ウジング23には、ボス部63が一体形成されており、
このボス部63にはアンギュラベアリング64が嵌挿支
持されている。アンギュラベアリング64の外輪には、
第1回転体としての断面チャンネル状で環状をなすロー
タ65が止着されている。そして、ロータ65は、その
環状凹部66が、前端側、つまり前記フロントハウジン
グ23とは反対側に向かって開口するように配置されて
いる。
【0035】また、ロータ65の内筒部65aの外周面
には、樹脂層65bが形成されている。この樹脂層65
bは、例えばガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー等
の無機物等が充填された、例えばポリフェニレンサルフ
ァイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PE
EK)、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂等の合
成樹脂材料によりなっている。
【0036】そして、このロータ65は、前記回転軸2
6と同心円状に配置され、ベルト67を介して動力源と
しての車両エンジン68に連結されている。前記回転軸
26の前端部には、小径部69が形成されており、この
小径部69がスプライン軸70となっている。回転軸2
6の小径部69には、円筒状をなすブッシュ71が挿嵌
され、支持板75を介してボルト72及び座金73によ
り抜け止め固定されている。このブッシュ71の内周面
には、前記スプライン軸70と係合可能なスプライン溝
74が形成されている。そして、このスプライン軸70
とスプライン溝74との係合により、ブッシュ71が回
転軸26と一体回転されるようになっている。つまり、
このブッシュ71は、前記回転軸26とともに第2回転
体を構成している。また、この回転軸26の前端部の端
面26aは、後述するリミットバネ78を前記ロータ6
5の内筒部65aに組み付ける際の基準位置を構成して
いる。
【0037】前記支持板75の外周部には、フランジ部
75aが形成されている。そのフランジ部75aの後方
面には、円環状の弾性部材としての緩衝ゴム76が接着
固定されている。緩衝ゴム76の後側面には、ほぼ有底
円筒状をなす結合筒77がその底部77aにおいて接着
固定されている。そして、この緩衝ゴム76の弾性変形
により、圧縮機21側で発生する負荷トルクの変動が緩
和されるようになっている。そして、これらボルト7
2、座金73、支持板75、緩衝ゴム76及び結合筒7
7は、前記回転軸26とリミットバネ78とを連結する
連結部材を構成している。
【0038】図1〜図4に示すように、リミットバネ7
8は、例えばバネ鋼製の素線よりなるねじりコイルバネ
となっている。このリミットバネ78は、前記ロータ6
5の内筒部65aと前記結合筒77の結合筒部77bと
の間にわたって配置されている。このリミットバネ78
の両端には、その素線の端部がそれぞれ接線方向に延出
された前方延出部78a及び後方延出部78bが形成さ
れている。
【0039】リミットバネ78の前端側は、前記結合筒
77の結合筒部77b内に挿嵌されている。そのリミッ
トバネ78の前方延出部78aは、結合筒77の底面7
7aから内面側に向かって突設された係止突部77cに
係合されている。この係合により、リミットバネ78
が、結合筒77、緩衝ゴム76、支持板75及びブッシ
ュ71を介して回転軸26と一体回転可能に連結され
る。
【0040】また、このリミットバネ78の後端側部分
は、前記ロータ65の環状凹部66内にに嵌入され、そ
のロータ65の樹脂層65bに対して所定の締め代をも
って嵌合されている。つまり、このリミットバネ78の
内径は、ねじり荷重が作用していない無荷重状態におい
て、前記樹脂層65bの外径よりもわずかに小さくなる
ように形成されている。そして、この締め代の存在によ
り、リミットバネ78が所定の初期締め付け力をもって
ロータ65の内筒部65aに締め付け接合されるように
なっている。
【0041】ところで、前記リミットバネ78は、圧縮
機21に何らかの原因で過大な負荷トルクが発生した場
合に、ねじり変形されてその巻きが緩む方向に巻回され
た緩みバネとなっている。すなわち、その素線の巻き方
向がロータ65及び回転軸26の回転方向と一致するよ
うになっている。このため、圧縮機21の回転軸26か
ら、ブッシュ71、支持板75、緩衝ゴム76及び結合
筒77を介して、前記回転方向と逆方向の負荷トルクが
作用すると、リミットバネ78は巻きが緩む方向にねじ
り変形する。この緩み方向へのねじり変形により、リミ
ットバネ78はその内周が拡径して、前記樹脂層65b
に対する締め付け力が減少するようになっている。
【0042】そして、図1〜図3に示すように、通常の
運転状態においては、車両エンジン68からの動力は、
ベルト67、ロータ65、リミットバネ78、結合筒7
7、緩衝ゴム76、支持板75、ボルト72及びブッシ
ュ71を介して圧縮機21の回転軸26に伝達されるよ
うになっている。
【0043】次に、前記のように構成された動力伝達機
構の組み付けに用いられる組付装置について説明する。
図4〜図7に示すように、組付装置81は、付与手段の
一部を構成する後端固定部材82と、同じく付与手段の
一部を構成する前端固定部材83と、プレート84と、
固定ボルト85とから構成されている。
【0044】後端固定部材82は、後端側の小径円筒部
86と前端側の大径円筒部87とからなっている。小径
円筒部86の内周面は、前記リミットバネ78の外周と
対応するように形成されている。すなわち、小径円筒部
86の内周面の後端部には、リミットバネ78の後方延
出部78bに係合可能な第1係合凹部88が形成されて
いる。また、リミットバネ78の前方延出部78aの通
過を許容する通過凹部89は、前記第1係合凹部88に
ほぼ対向する内周面にその全幅にわたって形成されてい
る。大径円筒部87の前端側内周面の段部90には、前
記前端固定部材83の後端部が収容されるようになって
いる。大径円筒部87には、複数のネジ孔91が穿設さ
れている。
【0045】前記前端固定部材83は略円板状をなし、
その後端面には前記リミットバネ78の前端部と対応す
る形状の収容凹所92が形成されている。その収容凹所
92の内周面には、リミットバネ78の前方延出部78
bに係合可能な第2係合凹部93が形成されている。ま
た、この収容凹所92の中央には、リミットバネ78を
ロータ65の内筒部65a上に組み付ける際に、基準位
置となる前記回転軸26の端面26aに当接する位置決
め手段としての当接面94が形成されている。一方、前
端固定部材83の前側面上には、その前端固定部材83
の軸線に沿って、トルク付与ハンドル95が突設されて
いる。
【0046】前記プレート84は平面正方形状の平板に
よりなり、その中央には前記前端固定部材83のトルク
付与ハンドル95が挿通される挿通孔96が形成されて
いる。また、このプレート84には、その外周縁近傍に
おいて、前記後端固定部材82のネジ孔91に対応する
ように、複数の透孔97が穿設されている。
【0047】前記固定ボルト85は、前記プレート84
の透孔97を通して、前記後端固定部材82のネジ孔9
1に螺合されている。この螺合により、プレート84
が、前記後端固定部材82の前端面に対して固定され
る。そして、後端固定部材82とプレート84との間に
おいて、前端固定部材83が相対回動可能に収容されて
いる。
【0048】次に、前記のように構成された動力伝達機
構の前記組付装置81を用いた組付方法について説明す
る。図4及び図7に示すように、まず、ロータ65を、
前記圧縮機21のフロントハウジング23のボス部63
の外周面上に、アンギュラベアリング64を介して取着
する。
【0049】組付装置81の前端固定部材83を回転さ
せて、その第2係合凹部93の端面を後端固定部材82
の通過凹部89の端面に連続させる。この状態で、リミ
ットバネ78を後端固定部材82の開口部内に挿入す
る。そして、そのリミットバネ78の前方延出部78a
を前端固定部材83の第2係合凹部93に、後方延出部
78bを後端固定部材82の第1係合凹部88にそれぞ
れ係合させる。
【0050】ついで、プレート84を万力等で固定した
状態で、前端固定部材83のトルク付与ハンドル95
を、レンチ等を用いてリミットバネ78の巻きが緩む方
向に回転させ、リミットバネ78に、ねじり荷重を付与
する。リミットバネ78の内径がロータ65の内筒部6
5aの外径よりもわずかに大きくなったところで、前端
固定部材83の回転をやめる。これにより、リミットバ
ネ78がねじり荷重が付与された状態で組付装置81内
に保持される。
【0051】この状態で、図7及び図8に示すように、
組付装置81に保持されたリミットバネ78に、ロータ
65の内筒部65aを挿嵌する。この際、圧縮機21の
回転軸26の端面26aを、組付装置81の前端固定部
材83の当接面94に当接させる。そして、レンチ等に
よりリミットバネ78の巻きが締まる方向に、前端固定
部材83を回動させる。これにより、リミットバネ78
が、自身の元の形状に復帰しようとするねじりバネ力に
より、徐々に前記内筒部65aを締め付けていく。ここ
で、前述のように、リミットバネ78とロータ65の内
筒部65aとの間の締め代の存在により、リミットバネ
78が所定の初期締め付け力をもってロータ65の内筒
部65a上に接合される。これにより、付与されたねじ
り荷重が、初期締め付け力に相当する分を除いて解除さ
れる。そして、組付装置81のプレート84を万力等か
ら取り外すとともに、取付装置81を前方に移動させて
ロータ65から取り外す。
【0052】そして、図1及び図2に示すように、スプ
ライン軸70とスプライン溝74とが係合するように、
回転軸26の小径部69に対してブッシュ71を挿嵌す
る。ついで、支持板75及び緩衝ゴム76と一体化され
た結合筒77を、その係止突部77cがリミットバネ7
8の前方延出部78aの端面に係合するように、結合筒
部77bをリミットバネ78の前端部に挿冠する。そし
て、ブッシュ71及び支持板75を、回転軸26に対し
てボルト72及び座金73により固定する。これによ
り、リミットバネ78が、結合筒77、緩衝ゴム76、
支持板75、ボルト72及びブッシュ71を介して回転
軸26と一体回転可能に連結される。
【0053】次に、前のように構成された圧縮機21の
動作について説明する。さて、図3に示す状態では、ソ
レノイド60の励磁により電磁開閉弁59が閉止され
て、給気通路58が閉じられている。つまり、吐出室4
7内の高圧の圧縮冷媒ガスは、給気通路58を介してク
ランク室31内に供給されない状態となっている。この
ため、クランク室31の冷媒ガスは、もっぱら放圧通路
56、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室39及
び連通口46を介して吸入室45内に流入する。従っ
て、クランク室31内の圧力が吸入室45内の低圧力、
すなわち吸入圧力に近付いていき、斜板36が最大傾角
状態に保持されて、最大吐出容量の圧縮運転が行われ
る。
【0054】このような最大吐出容量で圧縮運転が行わ
れて車室内の冷房要求が小さくなると、外部冷媒回路4
1における蒸発器44の温度が次第に低下する。そし
て、蒸発器44の温度がフロストを発生し始める設定温
度以下になると、ソレノイド60が消磁されて、電磁開
閉弁59が開放される。これにより、吐出室47内の高
圧の圧縮冷媒ガスが給気通路58を介してクランク室3
1内に供給されるようになる。そして、クランク室31
内の圧力が高くなって、斜板36が最大傾角状態から最
小傾角状態へ迅速に移行される。
【0055】このように斜板36の傾角が減少される
と、その傾動に伴いスラストベアリング53を介して遮
断体51に後方への移動力が付与される。これにより、
遮断体51が吸入通路開放バネ52の付勢力に抗して、
前方の開位置から後方の閉位置に向かって移動される。
そして、斜板36が最小傾角状態になると、遮断体51
が閉位置に配置されて、その後端面が吸入通路40の前
端開口縁に接合する。これにより、吸入通路40が閉じ
られて、外部冷媒回路41から吸入室45内への冷媒ガ
スの導入が阻止される。
【0056】この斜板36の最小傾角は、0度よりも僅
かに大きくなるように設定されている。このため、斜板
36の最小傾角状態においても、シリンダボア29から
吐出室47内に、圧縮冷媒ガスが吐出され続けて、最小
吐出容量での圧縮運転が行われる。そして、この吐出室
47内に吐出された圧縮冷媒ガスは、給気通路58を通
ってクランク室31内に流入する。さらに、クランク室
31内の冷媒ガスは、放圧通路56、遮断体51の内
部、放圧通口57、収容室39及び連通口46を介して
吸入室45内に流入して、再びシリンダボア29内に吸
入される。つまり、この斜板36の最小傾角状態では、
圧縮機21の内部において、冷媒ガスの循環通路が形成
されている。
【0057】前記のように斜板36の最小傾角状態で圧
縮運転が行われて、車室内の冷房要求が増大すると、外
部冷媒回路41における蒸発器44の温度が次第に上昇
する。やがて、蒸発器44の温度が設定温度を越える
と、ソレノイド60が励磁され、電磁開閉弁59が閉止
される。これにより、吐出室47内の高圧の圧縮冷媒ガ
スが給気通路58を介してクランク室31内に供給され
なくなる。そして、クランク室31の圧力のみが、放圧
通路56、遮断体51の内部、放圧通口57、収容室3
9及び連通口46を介して吸入室45内に放出される。
従って、クランク室31内の圧力が次第に減少され、斜
板36が最小傾角状態から最大傾角状態に移行される。
【0058】このように、斜板36の傾角が増大される
と、その傾動に従って遮断体51が吸入通路開放バネ5
2の付勢力により、後方の閉位置から前方の開位置に向
かって移動される。そして、図3に示すように、遮断体
51の後端面が、吸入通路40の前端開口縁から離間す
る。これにより、吸入通路40が開かれて、外部冷媒回
路41から吸入室45内への冷媒ガスの導入が再開さ
れ、斜板36が最大傾角に配置された状態にて、最大吐
出容量の圧縮運転が行われる。
【0059】一方、車両エンジン68が停止された場合
には、圧縮機21の運転も停止されて、電磁開閉弁59
が開放されて、斜板36は前記と同様に最小傾角状態に
配置される。
【0060】次に、この第1の実施形態の動力伝達機構
の動作について説明する。通常の運転状態においては、
前記のように車両エンジン68からの動力は、ベルト6
7、ロータ65、リミットバネ78、結合筒77、緩衝
ゴム76、支持板75、ボルト72及びブッシュ71を
介して圧縮機21の回転軸26に伝達される。
【0061】この動力伝達に際して、圧縮機21側の運
転状況に応じて、回転軸26にはロータ65の回転方向
と逆向きの負荷トルクが発生する。この負荷トルクによ
って、リミットバネ78が緩む方向にねじり変形する。
ところが、このように負荷トルクが発生しても、リミッ
トバネ78のねじり変形が所定の初期締め付け力を越え
ない範囲である場合には、リミットバネ78とロータ6
5の樹脂層65bとの密着が保たれている。このため、
ロータ65から回転軸26への動力伝達が継続される。
【0062】一方、圧縮機21側において何らかの原因
で過大な負荷トルクが発生して、その負荷トルクが所定
値を越えると、リミットバネ78の締め付け力が減少
し、リミットバネ78とロータ65の樹脂層65bとの
摩擦がトルクに耐えられなくなりリミットバネ78が開
放する。このため、リミットバネ78とロータ65の樹
脂層65bとの間で滑りが生じて、ロータ65から回転
軸26への動力伝達が遮断される。そして、リミットバ
ネ78が前記樹脂層65bの外周面上を滑りながら回転
すると、樹脂層65bが徐々に変形されるとともに摩擦
熱が発生する。このため、樹脂層65bがさらに変形し
やすくなって、リミットバネ78とロータ65の内筒部
65aとの締め代が消失される。これにより、ロータ6
5が、リミットバネ78に対してほとんど抵抗なく相対
回転されるようになる。
【0063】以上のように構成されたこの実施形態によ
れば、以下の効果が期待される。 ・ この実施形態の組付装置81及び組付方法を採用す
ることで、回転軸26に対して常に一定の位置関係をも
って、つまり位置決めした状態で、リミットバネ78を
ロータ65の内筒部65a上に組み付けることができ
る。
【0064】このため、前記リミットバネ78と回転軸
26との間に、相対位置調整シムを介装したり、各部材
の選択嵌合を行ったりすることなく、結合筒77、緩衝
ゴム76及び支持板75を容易に組み付けることができ
る。従って、煩わしい組付作業を経ることなく、動力伝
達機構のがたつきや各部材の干渉を確実に抑制すること
ができる。そして、微妙に寸法の異なる各部材を多数用
意する必要がないとともに、組付作業の工数の増加を抑
制できて、動力伝達機構の製作コストの高騰を抑制する
ことができる。
【0065】・ この実施形態の動力伝達機構の組付装
置及び組付方法では、リミットバネ78を組み付ける際
の基準位置が回転軸26の端面26aによりなってい
る。このため、回転軸26の端面26aの加工により、
自動的に基準位置が形成されて、別途基準位置を形成す
るための加工を行う必要がない。従って、部品の加工作
業の工数の増加を抑制できて、動力伝達機構の製作コス
トの高騰を抑制することができる。
【0066】・ この実施形態の動力伝達機構では、被
動機器が往復動型の圧縮機21となっている。ここで、
この種の圧縮機21においては、その圧縮性能を調整す
るために、ピストン30が上死点に達したときのピスト
ン30の端面と、その端面に対向するバルブプレート2
4との距離を微妙に変更して、圧縮室の最小容積を調整
する必要がある。このため、回転支持体32と、スラス
トベアリング33との間に、容積調整シム32aが介装
されている。そして、この容積調整シム32aの介装に
より、フロントハウジング23のボス部63と回転軸2
6との相対位置のばらつきの発生が避けられないものと
なっている。このばらつきに各部材の加工及び組み付け
上の公差が加わって、ロータ65と回転軸26との間の
相対位置のずれが大きくなる。
【0067】これに対して、この実施形態の組付装置及
び組付方法では、ロータ65と回転軸26との間の相対
位置のずれに関係なく、リミットバネ78と回転軸26
とを常に一定の位置関係をもって組み付けることができ
る。従って、この実施形態の組付装置及び組付方法は、
前記のような往復動型圧縮機21用の動力伝達機構に特
に好適である。
【0068】・ リミットバネ78と回転軸26との間
に相対位置調整シムを介装する場合には、その相対位置
の調整の自由度を確保するために、結合筒77の係合突
部77cの後方側面と、それに対向するリミットバネ7
8の前方延出部78aの側面との間の隙間を大きめに設
定しておく必要がある。
【0069】ここで、圧縮機21側で過大な負荷トルク
が発生すると、ロータ65の樹脂層65bが変形され、
リミットバネ78とロータ65の内筒部65aとの締め
代が消失する。この状態で、前記のような大きめの隙間
が存在すると、リミットバネ78がロータ65に対し、
相対回転状態で相対移動するおそれがある。このような
リミットバネ78の相対移動が生じると、リミットバネ
78がロータ65に接触して騒音を発生したり、また、
ロータ65の一部に引っかかって不用意にトルク伝達が
再開されてしまうおそれがある。
【0070】これに対して、この実施形態の組付方法に
よれば、前述のように、リミットバネ78と回転軸26
との間の相対位置ずれを吸収する手段を設ける必要がな
い。このため、結合筒77の係合突部77cの後方側面
と、それに対向するリミットバネ78の前方延出部78
aの側面との間の隙間を小さめに設定しておくことがで
きる。このため、リミットバネ78と結合筒77とを、
強固に係合させることができる。従って、前記のような
トルク解放状態においても、リミットバネ78が移動し
にくいものとなって、騒音が発生したり、不用意にトル
ク伝達が再開されたりするおそれを低減できる。
【0071】(変更例)なお、前記実施形態は、以下の
ように変更して具体化することもできる。 ・ 前記実施形態の組付方法を、リミットバネ78が、
過大な負荷トルクが作用した場合に、その巻きが締まる
方向に巻回された締まりバネとなっており、そのリミッ
トバネ78がロータ65の外筒部の内周面に形成された
樹脂層に対して初期締め付け力をもって締め付け接合さ
れた動力伝達機構において適用すること。また、これに
適応するように、組付装置21の前端固定部材83と後
端固定部材82の形状を変更すること。なお、この変更
例の動力伝達機構では、圧縮機21において過大な負荷
トルクが発生すると、リミットバネ78の外周が縮径さ
れて、リミットバネ78の締め付け力が減少する。この
ため、リミットバネ78と前記ロータ65の外筒部上の
樹脂層との間で滑りを生じて、ロータ65から回転軸2
6への動力伝達が遮断されるようになっている。
【0072】・ 前記実施形態の組付装置及び組付方法
を、回転軸26に動力源を連結し、ロータ65にベルト
67等を介して被動機器を連結した動力伝達機構におい
て適用すること。
【0073】・ 前記実施形態の組付装置及び組付方法
を、被動機器が、前記実施形態に記載以外の圧縮機、例
えばワブル式圧縮機、ウェーブカムプレート式圧縮機、
ベーン式圧縮機、スクロール式圧縮機、さらには動力源
の回転により駆動される回転軸を有する圧縮機以外の機
械であるような動力伝達機構において適用すること。
【0074】・ 前記実施形態の組付装置及び組付方法
を、動力源が車両エンジン以外のもの、例えば電動モー
タであるような動力伝達機構において適用すること。こ
れらのように構成した場合でも、前記実施形態とほぼ同
様の効果が期待される。
【0075】また、前記実施形態からは、以下に記載の
技術的思想も抽出することができる。 (1) 前記往復動型圧縮機が、動力源と前記回転軸と
が常時作動連結されたクラッチレスタイプの往復動型圧
縮機である請求項4に記載の動力伝達機構の組付方法。
【0076】クラッチレスタイプの往復動型圧縮機は、
車室内に冷房要求が存在しない場合にも最小吐出容量で
の運転が継続され、動力伝達機構のがたつきが発生する
と、その影響が大きくなる。つまり、前記請求項4に記
載の構成は、クラッチレスタイプの往復動型圧縮機用の
動力伝達機構の組付方法としてさらに好適である。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば
以下の優れた効果を奏する。すなわち、煩わしい組付作
業を経ることなく、動力伝達機構のがたつきや各部材の
干渉を確実に抑制することができる。そして、微妙に寸
法の異なる各部材を多数用意する必要がないとともに、
組付作業の工数の増加を抑制できて、動力伝達機構の製
作コストの高騰を抑制することができる。
【0078】特に、この発明は、第1回転体と第2回転
体との間の相対位置のずれが大きくなりがちな往復動型
圧縮機用の動力伝達機構に適用するとその効果が顕著な
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の組付方法の一実施形態により組み
付けられる動力伝達機構を拡大して示す断面図。
【図2】 図1の2−2線において一部を断面にして示
す側面図。
【図3】 図1の動力伝達機構を備えたクラッチレス可
変容量圧縮機を示す断面図。
【図4】 この発明の組付装置の一実施形態及び図1の
動力伝達機構の一部を示す分解して示す斜視図。
【図5】 図4の後端固定部材を後端側からみた側面
図。
【図6】 図4の後端固定部材を前端側からみた側面
図。
【図7】 図4の組付装置の使用状態に関する断面図。
【図8】 同じく図4の組付装置の使用状態に関する断
面図。
【符号の説明】
21…被動機器としてのクラッチレス可変容量圧縮機、
22…ハウジングの一部を構成するシリンダブロック、
23…ハウジングの一部を構成するフロントハウジン
グ、25…ハウジングの一部を構成するリヤハウジン
グ、26…第2回転体の一部を構成する回転軸、26a
…端面、30…ピストン、31…クランク室、32…カ
ムプレートの一部を構成する回転支持体、36…カムプ
レートの一部を構成する斜板、65…第1回転体として
のロータ、68…動力源としての車両エンジン、71…
第2回転体の一部を構成するブッシュ、72…連結部材
の一部を構成するボルト、73…連結部材の一部を構成
する座金、75…連結部材の一部を構成する支持板、7
6…連結部材の一部を構成する緩衝ゴム、77…連結部
材の一部を構成する結合筒、78…ねじりコイルバネと
してのリミットバネ、81…組付装置、82…付与手段
の一部を構成する後端固定部材、83…付与手段の一部
を構成する前端固定部材、94…位置決め手段としての
当接面。
フロントページの続き (72)発明者 廣田 英 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源側の第1回転体と、被動機器側の
    第2回転体と、動力伝達時に発生する負荷トルクによっ
    てねじり変形可能なねじりコイルバネとを備え、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の一方の回転体とを、所定の初期締め付け力をもって接
    合して、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の他方の回転体とを、連結部材を介して一体回転可能に
    連結し、 前記第1回転体と第2回転体とを、常には動力伝達可能
    に連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはねじ
    りコイルバネと前記一方の回転体との間に滑りを生じ
    て、動力伝達を遮断するようにした動力伝達機構におい
    て、 前記ねじりコイルバネを前記一方の回転体に接合させる
    際に使用する動力伝達機構の組付装置であって、 前記ねじりコイルバネにねじり荷重を付与する付与手段
    と、 前記他方の回転体上の基準位置に当接してねじりコイル
    バネの前記一方の回転体に対する接合位置を決定する位
    置決め手段と、 を備えた動力伝達機構の組付装置。
  2. 【請求項2】 動力源側の第1回転体と、被動機器側の
    第2回転体と、動力伝達時に発生する負荷トルクによっ
    てねじり変形可能なねじりコイルバネとを備え、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の一方の回転体とを、所定の初期締め付け力をもって接
    合して、 前記ねじりコイルバネと、第1回転体または第2回転体
    の他方の回転体とを、連結部材を介して一体回転可能に
    連結し、 前記第1回転体と第2回転体とを、常には動力伝達可能
    に連結し、前記負荷トルクが過大になったときにはねじ
    りコイルバネと前記一方の回転体との間に滑りを生じ
    て、動力伝達を遮断するようにした動力伝達機構におい
    て、 前記ねじりコイルバネを前記一方の回転体に接合させる
    動力伝達機構の組付方法であって、 前記ねじりコイルバネにねじり荷重を付与して、同ねじ
    りコイルバネをねじり変形させた状態で前記一方の回転
    体に対向させ、 前記他方の回転体上の基準位置を基準として、前記ねじ
    りコイルバネの前記一方の回転体に対する接合位置を決
    定する動力伝達機構の組付方法。
  3. 【請求項3】 前記基準位置が前記他方の回転体の端面
    によりなる請求項2に記載の動力伝達機構の組付方法。
  4. 【請求項4】 前記被動機器が、ハウジング内に前記第
    2回転体をなす回転軸を支持するとともにクランク室及
    び圧縮室を区画し、クランク室内には前記回転軸に一体
    回転可能に止着されたカムプレートを設け、そのカムプ
    レートの外周部にはピストンを係留し、そのピストンの
    少なくとも一端を前記圧縮室内に往復動可能に挿入した
    往復型圧縮機である請求項2または3に記載の動力伝達
    機構の組付方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012102868A (ja) * 2010-10-11 2012-05-31 Nsk Ltd 伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸
JP2013213589A (ja) * 2010-10-11 2013-10-17 Nsk Ltd 伸縮軸の製造方法、及び、この製造方法によって製造した伸縮軸
CN114725752A (zh) * 2022-04-22 2022-07-08 深圳市展荣鑫精密技术有限公司 冠簧机

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